JPH0535201B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、転炉出鋼口から溶鋼を出鋼する工程
の末期において、スラグが出鋼口を経由して排出
されることを防止するためのスラグストツパーを
正確に出鋼口に合致させる転炉出鋼口スラグカツ
ト装置に関する。

〔従来の技術〕

転炉吹錬が終了した溶鋼は、転炉側壁に設けら
れている出鋼口を介して、取鍋等の容器に出鋼さ
れる。このとき、転炉内に存在するスラグが溶鋼
と共に取鍋等の容器に移行すると、製品歩留まり
の低下が大きくなる。特に、最近のように高純度
まで鋼を吹錬するような場合にあつては、製品の
品質を維持する上でも、このスラグの混入を防止
する必要がある。

このスラグ混入を防止する手段として、本発明
者等は、先にスラグストツパーを備えたスラグカ
ツト方法及び装置を、特開昭57−19315号公報、
特開昭57−19316号公報、特開昭59−53615号公報
等として提案している。

既に提案されている前記スラグカツト装置の一
例を、第３図に示す。

炉前側の作業床面上に立設されている建屋支持
柱１にジブクレーンの形態で取り付けられている
操作装置２は、炉前側の作業床面上に略水平状態
にて保持されているノズル支持アーム３、該ノズ
ル支持アーム３の先端に吊り下げられているノズ
ルストツパー４、ノズル支持アーム３を進退自在
に囲んでいるアーム案内筒５、該アーム案内筒５
上に取り付けられノズル支持アーム３を転炉Ａ内
部に向けて進退自在に繰り出すアーム操出機構
６、下端がアーム案内筒５の基端に回動自在に枢
着され中間部が建屋支持柱１の横架取付リブ７に
軸受８を介して昇降及び回動自在に取り付けられ
ている垂直アーム支持軸９、ノズル支持アーム３
を昇降させるために該垂直アーム支持軸９に併設
されているアーム昇降機構１０、垂直アーム支持
軸９を旋回中心としてノズル支持アーム３を旋回
させるように横架取付リブ７に併設されているア
ーム旋回機構（図示せず）及び一端が垂直アーム
支持軸９の中途に連結され他端がアーム案内筒５
の先端に連結されているアーム俯仰機構１１を備
えている。

このような構成をもつ操作装置２により、ノズ
ルストツパー４を旋回及び前進・後退させながら
転炉Ａの出鋼口Ｂに位置合わせし、出鋼末期にス
ラグが出鋼口Ｂを経由して転炉Ａから排出されよ
うとするとき、その出鋼口Ｂをノズルストツパー
４で閉塞するものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、転炉Ａが新しいときと古くなつたとき
とでは、このノズルストツパー４による出鋼口Ｂ
の閉塞状態が大きく異なる。これは、出鋼口Ｂを
構成するノズルレンガの偏つた溶損や摩耗等によ
り、出鋼口Ｂが当初の設計仕様から変形してくる
ことに原因する。また、ノズルストツパー４自体
の溶損や摩耗等も、その閉塞性を劣化させるもの
である。

更に、出鋼口Ｂをこのノズルストツパー４によ
り閉塞した後、ノズルストツパー４を炉外に引き
出すに必要な転炉の傾転角度まで、その閉塞状態
を維持しながら転炉の炉口を上方に向ける方向に
転炉を復帰させるとき、従来の方法ではノズルス
トツパー４を支持しているアーム３の長さが一定
であるため、ノズルストツパー４の軸と出鋼口Ｂ
の軸とが作る交叉角が、転炉の復転の推移により
変化する。この角度変化に起因してノズルストツ
パー４と出鋼口Ｂとの間に摺動摩擦が生じ、ノズ
ルストツパー４を構成するれんがにおける割損の
発生を促進している。

その結果、出鋼口Ｂとノズルストツパー４との
間に隙間が生じ、出鋼口Ｂがノズルストツパー４
で完全に閉塞することができない状態に至り、そ
の隙間から転炉Ａ内にあるスラグが排出されるこ
とになる。このようにして排出されたスラグは、
製品である鋼材に巻き込まれることになる。そし
て、鋼材に移行したスラグは、鋼材の圧延性を大
幅に低下させ、製品にあつては疵や腐食の発生原
因となり、また高純度鋼材に対して特に要求基準
が厳しい表面状態に重大な悪影響を与える等、
種々の弊害をもたらすものである。

すなわち、このようなノズルストツパーの機能
を充分に引き出すためには、ノズルストツパーを
構成するれんがに割損、摩耗等が生じないように
ノズルストツパーを扱い、しかもノズルストツパ
ーと転炉の出鋼口とを正確に位置合わせする必要
がある。

本発明の目的は、進退自在なアーム及び該アー
ム先端に懸垂されたストツパーを備えた内挿式ス
ラグカツト装置によつて転炉出鋼末期にスラグカ
ツトを行うに当たつて、割損、摩耗等の損傷をな
るべく少なくするようにノズルストツパーを操作
し、且つ出鋼口やノズルストツパーの形状変化に
応じて閉塞位置の調整を確実に行うための転炉出
鋼口スラグカツト装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、進退自在なアーム及び該アーム先端
に懸垂されたストツパーを備えた内挿式スラグカ
ツト装置において、転炉の傾動角度を検知する検
知手段と、該検知手段により検知された傾動角度
に基づいて前記アームの進退量を制御する制御手
段を設けたことを特徴とする。

すなわち、転炉の復転時に出鋼口の軸とノズル
ストツパーの軸により作られる交叉角度を一定に
維持するためには、該ノズルストツパーを支持す
るアームの長さを復転の推移に応じて調整する必
要がある。交叉角度を一定に維持する上で最適な
位置にアームの長さを調整しようとするとき、ア
ーム伸縮速度は、その時のアーム傾斜角にほぼ比
例している。本発明は、この比例関係を利用する
ものである。すなわち、転炉復転時におけるアー
ム傾斜角の変化量を検出し、その検出結果を表す
信号に基づきアームの伸縮速度の調整を行うもの
である。また、このような調整は、実施例のよう
な俯仰するアームに限ることなく、アームが垂直
方向と水平方向に別個に動く機構、又は垂直、水
平方向を組み合わせて動く機構（たとえばリンク
機構）としてもよい。

〔実施例〕

次いで、図面に示した実施例により、本発明の
特徴を具体的に説明する。

第１図は、本実施例における閉塞位置調整機構
を備えたスラグカツト装置の全体構成を示す。

ノズル支持アーム３を嵌挿するアーム案内筒５
は、第２図に示した場合と同様にアーム俯仰機構
１１により吊下されている。このアーム案内筒５
内のノズル支持アーム３に、それを前進・後退さ
せる駆動部１２を取り付け、この駆動部１２を駆
動させるアーム３前後進用の油圧モータ１３を付
設する。そして、この油圧モータ１３の油圧回路
に、流量調整用電磁弁１４及び方向切替弁１５を
設ける。これら２個の弁１４，１５は、転炉のト
ラニオンに設けたリミツトスイツチ１７に連動さ
れている。

出鋼口Ｂを介した出鋼が完了すると、転炉は復
転され、次の工程の準備に移る。この復転操作
は、転炉復転レバー１６により行う。この動作と
同調して軸芯ずれ防止装置を作動させるため、該
レバー１６から軸芯ずれ防止装置に信号を入力す
る。この入力信号に応じて、アーム３を前後進さ
せる油圧モータ１３の油圧回路に設けられた流量
調整用電磁弁１４がオンロードとなり、アーム傾
斜角検出回路２０、増幅器２１及び流量調整用電
磁弁１４からなる電気回路が閉じられる。アーム
傾斜角検出回路２０では、スライド抵抗器１９に
よつてアーム傾斜角を抵抗値に変換し、電圧変化
として出力させ、増幅器２１で増幅する。そし
て、この増幅された信号により、アーム前後進用
の油圧モータ１３の油圧回路に設けられた流量調
整用電磁弁１４が作動される。

このようにして、それぞれのアーム傾斜角に対
応して、アーム３の前後進速度が調整される。し
たがつて、ノズルストツパー４の軸と出鋼口Ｂの
軸とで作られる交叉角を一定に維持しながら、転
炉の復転を行うことができる。

第２図は、転炉復転レバーに連動するスイツチ
１７，１８を設け、且つアーム傾斜角を抵抗調節
器２２を介して増幅器２１で増幅する場合の例を
示す。この例にあつては、レバーを操作しても、
転炉は直ぐには動かない。また、アーム３の動き
も、増幅器２１との間で遅れがある。すなわち、
増幅器２１を使用して、アーム３の遅れを転炉の
動きの遅れに対応させることによつて、両者のタ
イミングを合わせている。

〔発明の効果〕

本発明の転炉出鋼口スラグカツト装置は、スラ
グカツト防止のための転炉の傾動角度を検知する
検知手段と、該検知手段により検知された傾動角
度に基づいて前記アームの進退量を制御する制御
手段を設けたことによつて、ノズルストツパーの
軸と出鋼口の軸とで作られる交叉角度を一定に維
持しながら、転炉の復転を行うことができる。し
たがつて、ノズルストツパーが出鋼口に対して摺
動摩擦することが少なくなり、そのノズルストツ
パーを構成するれんがを割損から保護することが
可能となつた。また、摩耗や損傷等に起因する出
鋼口やノズルストツパーを構成するレンガの変形
に拘らず、ノズルストツパーの軸芯を出鋼口の軸
芯に、自動的に、確実に、位置合わせすることが
できる。そのため、長期間にわたり出鋼末期にお
ける溶鋼に随伴したスラグの排出を防止すること
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例における軸芯ずれ
防止装置を示し、第２図は他の実施例における軸
芯ずれ防止装置を示し、第３図は従来のスラグカ
ツト用ノズルストツパーを備えた転炉設備を示
す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 進退自在なアーム及び該アーム先端に懸垂さ
   れたストツパーを備えた内挿式スラグカツト装置
   において、転炉の傾動角度を検知する検知手段
   と、該検知手段により検知された傾動角度に基づ
   いて前記アームの進退量を制御する制御手段を設
   けた転炉出鋼口スラグカツト装置。