JPH05345725A - キノコに由来する水溶性多糖類、その製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 - Google Patents
キノコに由来する水溶性多糖類、その製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤Info
- Publication number
- JPH05345725A JPH05345725A JP3162220A JP16222091A JPH05345725A JP H05345725 A JPH05345725 A JP H05345725A JP 3162220 A JP3162220 A JP 3162220A JP 16222091 A JP16222091 A JP 16222091A JP H05345725 A JPH05345725 A JP H05345725A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- soluble polysaccharide
- protein
- polysaccharide
- sugar
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
(57)【要約】
【目的】 中国の吉林省等の東北地方に自生する食用キ
ノコの一つであり、古くから関節炎等に効く民間薬とし
て伝承され、酒に浸漬して飲用されていたワサビタケ科
のキノコである黄▲磨▼(Hohenbuehelia serotina)の薬
効成分を化学的に解析し、その有効な用途を発見する。
又、本発明の他の目的は、黄▲磨▼の薬効成分を効率良
く得ることのできる方法を提供することにある。 【構成】 本発明の水溶性多糖体は、黄▲磨▼の有機溶
媒不溶画分から、水系溶媒にて抽出されるマンノガラク
トグルカン蛋白複合体、マンノグルコガラクタン蛋白複
合体あるいはフコマンノグルコガラクタン蛋白複合体で
あることを特徴とするものであり、又、本発明の水溶性
多糖体の製造方法は、黄▲磨▼あるいはその乾燥物を有
機溶媒により抽出し、その抽出残渣を更に水系溶媒で抽
出することを特徴とするものであり、更に、本発明の抗
腫瘍剤は、上記本発明の水溶性多糖体を主剤とすること
を特徴とする。
ノコの一つであり、古くから関節炎等に効く民間薬とし
て伝承され、酒に浸漬して飲用されていたワサビタケ科
のキノコである黄▲磨▼(Hohenbuehelia serotina)の薬
効成分を化学的に解析し、その有効な用途を発見する。
又、本発明の他の目的は、黄▲磨▼の薬効成分を効率良
く得ることのできる方法を提供することにある。 【構成】 本発明の水溶性多糖体は、黄▲磨▼の有機溶
媒不溶画分から、水系溶媒にて抽出されるマンノガラク
トグルカン蛋白複合体、マンノグルコガラクタン蛋白複
合体あるいはフコマンノグルコガラクタン蛋白複合体で
あることを特徴とするものであり、又、本発明の水溶性
多糖体の製造方法は、黄▲磨▼あるいはその乾燥物を有
機溶媒により抽出し、その抽出残渣を更に水系溶媒で抽
出することを特徴とするものであり、更に、本発明の抗
腫瘍剤は、上記本発明の水溶性多糖体を主剤とすること
を特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワサビタケ科のキノコ
である黄▲磨▼(Hohenbuehelia serotina)に由来する水
溶性多糖類、その製造方法及びその水溶性多糖類を主剤
とする抗腫瘍剤に関するものである。
である黄▲磨▼(Hohenbuehelia serotina)に由来する水
溶性多糖類、その製造方法及びその水溶性多糖類を主剤
とする抗腫瘍剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする問題点】黄▲
磨▼は、中国の吉林省等の東北地方に自生する食用キノ
コ(但し、栽培はされていない)の一つであり、古くか
ら関節炎等に効く民間薬として伝承され、酒に浸漬して
飲用されていた。
磨▼は、中国の吉林省等の東北地方に自生する食用キノ
コ(但し、栽培はされていない)の一つであり、古くか
ら関節炎等に効く民間薬として伝承され、酒に浸漬して
飲用されていた。
【0003】しかしながら、現在に至るまで、その薬効
成分の化学的解析はなされておらず、不明のままであっ
た。
成分の化学的解析はなされておらず、不明のままであっ
た。
【0004】本発明は、上述した従来技術を背景として
なされたもので、その目的は、黄▲磨▼の薬効成分を化
学的に解析し、その有効な用途を発見することにある。
なされたもので、その目的は、黄▲磨▼の薬効成分を化
学的に解析し、その有効な用途を発見することにある。
【0005】又、本発明の他の目的は、黄▲磨▼の薬効
成分を効率良く得ることのできる方法を提供することに
ある。
成分を効率良く得ることのできる方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の水溶性多
糖類は、黄▲磨▼の有機溶媒不溶画分から、水系溶媒に
て抽出されるマンノガラクトグルカン蛋白複合体、マン
ノグルコガラクタン蛋白複合体あるいはフコマンノグル
コガラクタン蛋白複合体であることを特徴とするもので
あり、又、本発明の水溶性多糖類の製造方法は、黄▲磨
▼あるいはその乾燥物を有機溶媒により抽出し、その抽
出残渣を更に水系溶媒で抽出することを特徴とするもの
であり、更に、本発明の抗腫瘍剤は、上記水溶性多糖類
を主剤とすることを特徴とするものである。
糖類は、黄▲磨▼の有機溶媒不溶画分から、水系溶媒に
て抽出されるマンノガラクトグルカン蛋白複合体、マン
ノグルコガラクタン蛋白複合体あるいはフコマンノグル
コガラクタン蛋白複合体であることを特徴とするもので
あり、又、本発明の水溶性多糖類の製造方法は、黄▲磨
▼あるいはその乾燥物を有機溶媒により抽出し、その抽
出残渣を更に水系溶媒で抽出することを特徴とするもの
であり、更に、本発明の抗腫瘍剤は、上記水溶性多糖類
を主剤とすることを特徴とするものである。
【0007】尚、水系溶媒は、好ましくは加熱して使用
するものであり、又、有機溶媒の抽出残渣を水系溶媒で
抽出した後、アルコ−ル沈殿法、イオン交換クロマト法
あるいはアフィニティクロマト法等により、含有組成分
量の異なる水溶性多糖類を得ることもできる。
するものであり、又、有機溶媒の抽出残渣を水系溶媒で
抽出した後、アルコ−ル沈殿法、イオン交換クロマト法
あるいはアフィニティクロマト法等により、含有組成分
量の異なる水溶性多糖類を得ることもできる。
【0008】即ち、本発明の発明者らは、中国の山野に
自生する前記黄▲磨▼あるいはその乾燥物に含まれる成
分につき研究を続けた結果、新規な水溶性多糖類を見い
だし、これを、サルコ−マ180固型癌を移植したJC
R/Slc系マウスに投与したところ、顕著な抗腫瘍活
性を示すことを知得し、更に研究を重ねた結果、上記抗
腫瘍活性を示す成分がキシロ−ス、マンノ−ス、ガラク
ト−ス等を随伴するβ−(1→6);β−(1→3)−
D−グルカン蛋白複合体であることを見いだし、本発明
の完成に至ったものである。
自生する前記黄▲磨▼あるいはその乾燥物に含まれる成
分につき研究を続けた結果、新規な水溶性多糖類を見い
だし、これを、サルコ−マ180固型癌を移植したJC
R/Slc系マウスに投与したところ、顕著な抗腫瘍活
性を示すことを知得し、更に研究を重ねた結果、上記抗
腫瘍活性を示す成分がキシロ−ス、マンノ−ス、ガラク
ト−ス等を随伴するβ−(1→6);β−(1→3)−
D−グルカン蛋白複合体であることを見いだし、本発明
の完成に至ったものである。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】まず、本発明製造方法について説明すれ
ば、最初に黄▲磨▼の子実体あるいはその乾燥物に有機
溶媒を加え、常温で適宜時間放置して抽出する。尚、本
発明でいう「黄▲磨▼の子実体あるいはその乾燥物」と
いう語には、それらのみならず、黄▲磨▼を人工培養
(菌床栽培あるいは液体培養)したときに得られる菌糸
体あるいはその培地での生産物をも含まれるものであ
る。
ば、最初に黄▲磨▼の子実体あるいはその乾燥物に有機
溶媒を加え、常温で適宜時間放置して抽出する。尚、本
発明でいう「黄▲磨▼の子実体あるいはその乾燥物」と
いう語には、それらのみならず、黄▲磨▼を人工培養
(菌床栽培あるいは液体培養)したときに得られる菌糸
体あるいはその培地での生産物をも含まれるものであ
る。
【0011】上記有機溶媒としては、エチルエ−テル、
ヘキサン、エチルアルコ−ル、メチルアルコ−ル、アセ
トン等を例示することができ、これらのうちエチルアル
コ−ル、メチルアルコ−ル、アセトン等については約1
0〜20%に含水しているものを使用し得る。これら有
機溶媒の使用量は、例えば約10〜100倍量であり、
約80℃以下の温度で抽出を行なうことが好ましい。
ヘキサン、エチルアルコ−ル、メチルアルコ−ル、アセ
トン等を例示することができ、これらのうちエチルアル
コ−ル、メチルアルコ−ル、アセトン等については約1
0〜20%に含水しているものを使用し得る。これら有
機溶媒の使用量は、例えば約10〜100倍量であり、
約80℃以下の温度で抽出を行なうことが好ましい。
【0012】次いで、上記有機溶媒可溶画分を濾過して
低分子成分を除去し、その残渣をそのまま、あるいは必
要に応じ適宜に乾燥し、当該抽出残渣を熱水で適宜時間
煮沸して抽出する。この場合、熱水は、例えば約10〜
100倍量使用するが、必ずしも熱水である必要はな
く、含水率約80%以上であれば、例えばエタノ−ル、
メタノ−ルあるいはアセトン等を使用することができ
る。
低分子成分を除去し、その残渣をそのまま、あるいは必
要に応じ適宜に乾燥し、当該抽出残渣を熱水で適宜時間
煮沸して抽出する。この場合、熱水は、例えば約10〜
100倍量使用するが、必ずしも熱水である必要はな
く、含水率約80%以上であれば、例えばエタノ−ル、
メタノ−ルあるいはアセトン等を使用することができ
る。
【0013】上記抽出液を冷却した後、その上澄液を分
離し、必要に応じ当該分離上澄液をある程度濃縮してか
ら、これに濃縮液の例えば約5倍量の高純度溶媒液を加
えて沈殿物を得、上澄液とを分離して沈殿物のみを取り
出し、当該沈殿物を洗滌し、乾燥して粉末を得るのであ
る。
離し、必要に応じ当該分離上澄液をある程度濃縮してか
ら、これに濃縮液の例えば約5倍量の高純度溶媒液を加
えて沈殿物を得、上澄液とを分離して沈殿物のみを取り
出し、当該沈殿物を洗滌し、乾燥して粉末を得るのであ
る。
【0014】上記高純度溶媒としては、例えばエタノ−
ル、メタノ−ルあるいはアセトン等を挙げることがで
き、好ましくはその純度は約99%以上である。
ル、メタノ−ルあるいはアセトン等を挙げることがで
き、好ましくはその純度は約99%以上である。
【0015】このようにして得られた粉末が、本発明の
水溶性多糖類であり、次のような理化学的性質を有す
る。 (イ)色:凍結乾燥して得られる本発明水溶性多糖類の
粉末は白色ないし灰白色を呈する。 (ロ)溶解性:水、DMSO(ジメチルスルホキシ
ド)、稀アルコ−ルに可溶であり、アセトン、メタノ−
ル、エタノ−ル、エチルエ−テル等の有機溶媒には不溶
である。 (ハ)呈色反応:フェノ−ル硫酸およびアンスロン硫酸
反応による糖の反応は陽性を示し、Lowry法による
蛋白質(牛血清アルブミン換算)を3.9〜10.8%
を含有する蛋白多糖類である。 (ニ)糖含量:フェノ−ル硫酸法による糖含量(グルコ
−ス換算)は59.8%〜88.3%である。 (ホ)糖組成:N・硫酸で3〜5時間100℃で加水分
解するとき、生成する構成糖をアルジト−ルアセテ−ト
に誘導してからガスクロマトグラフ法で検索・定量する
と、グルコ−ス(100)に対してガラクト−ス(91
〜145)、マンノ−ス(29〜88)、フコ−ス(痕
跡〜27)からなり、この他にキシロ−ス、アラビノ−
ス、リボ−スの痕跡が検出される。 (ヘ)平均分子量:トヨパ−ルHW−65Fカラムを用
いるゲル濾過法(標準デキストラをマ−カ−とする)に
よって2〜3万であることがわかる。
水溶性多糖類であり、次のような理化学的性質を有す
る。 (イ)色:凍結乾燥して得られる本発明水溶性多糖類の
粉末は白色ないし灰白色を呈する。 (ロ)溶解性:水、DMSO(ジメチルスルホキシ
ド)、稀アルコ−ルに可溶であり、アセトン、メタノ−
ル、エタノ−ル、エチルエ−テル等の有機溶媒には不溶
である。 (ハ)呈色反応:フェノ−ル硫酸およびアンスロン硫酸
反応による糖の反応は陽性を示し、Lowry法による
蛋白質(牛血清アルブミン換算)を3.9〜10.8%
を含有する蛋白多糖類である。 (ニ)糖含量:フェノ−ル硫酸法による糖含量(グルコ
−ス換算)は59.8%〜88.3%である。 (ホ)糖組成:N・硫酸で3〜5時間100℃で加水分
解するとき、生成する構成糖をアルジト−ルアセテ−ト
に誘導してからガスクロマトグラフ法で検索・定量する
と、グルコ−ス(100)に対してガラクト−ス(91
〜145)、マンノ−ス(29〜88)、フコ−ス(痕
跡〜27)からなり、この他にキシロ−ス、アラビノ−
ス、リボ−スの痕跡が検出される。 (ヘ)平均分子量:トヨパ−ルHW−65Fカラムを用
いるゲル濾過法(標準デキストラをマ−カ−とする)に
よって2〜3万であることがわかる。
【0016】更に、上記多糖類を、イオン交換クロマト
法、ゲル濾過法、アフィニティクロマト法等による精製
手段に付せば、含有組成分量の異なる本発明の本発明多
糖類に分別することができる。
法、ゲル濾過法、アフィニティクロマト法等による精製
手段に付せば、含有組成分量の異なる本発明の本発明多
糖類に分別することができる。
【0017】上記分別操作により、例えば、以下の表1
に示すような本発明多糖類を得ることができる。
に示すような本発明多糖類を得ることができる。
【表1】
【0018】又、上記表1に示した本発明多糖類は以下
のようなスペクトルデ−タを有する。 (ア)赤外線吸収スペクトル(KBr法):上記本発明
多糖類(1)乃至(4)の赤外線スペクトルは図1に示
すとおりで、いずれも890cm-1近辺にβ−グルコシ
ド結合を示す吸収が認められ、β−D−グルカンである
ことがわかる。 (イ)核磁気共鳴スペクトル:多糖類(2)及び(4)
の10−20mgを0.3MNaOD・D2Oに溶解し
て、JEOL製GSX−400スペクトルメ−タ−によ
って測定した結果は図2、3(1H−NMRスペクトル
分析)、及び図4、(13C−NMRスペクトル分析)に
示す通りである。これらの分析の結果、本発明多糖類は
ガラクト−ス、マンノ−ス、フコ−ス等を随伴するβ−
(1→6):β−(1→3)−D−グルカン蛋白複合体
であることが確認される。 (ハ)比旋光度〔α〕24 D:+14.0°〜+72.9
°(c=0.5、10%NaOH)であり、β−結合性
のD−グルカンであることを示している。
のようなスペクトルデ−タを有する。 (ア)赤外線吸収スペクトル(KBr法):上記本発明
多糖類(1)乃至(4)の赤外線スペクトルは図1に示
すとおりで、いずれも890cm-1近辺にβ−グルコシ
ド結合を示す吸収が認められ、β−D−グルカンである
ことがわかる。 (イ)核磁気共鳴スペクトル:多糖類(2)及び(4)
の10−20mgを0.3MNaOD・D2Oに溶解し
て、JEOL製GSX−400スペクトルメ−タ−によ
って測定した結果は図2、3(1H−NMRスペクトル
分析)、及び図4、(13C−NMRスペクトル分析)に
示す通りである。これらの分析の結果、本発明多糖類は
ガラクト−ス、マンノ−ス、フコ−ス等を随伴するβ−
(1→6):β−(1→3)−D−グルカン蛋白複合体
であることが確認される。 (ハ)比旋光度〔α〕24 D:+14.0°〜+72.9
°(c=0.5、10%NaOH)であり、β−結合性
のD−グルカンであることを示している。
【0019】一方、本発明の抗腫瘍剤は、上記説明した
本発明の多糖類を主剤とし、錠剤、散剤あるいはカプセ
ル剤等の経口投与剤、又は、注射剤等の非経口剤に製剤
されたものである。本発明の抗腫瘍剤における多糖類の
含有量は、当該多糖類の有効使用量が、経口投与(p.
o.)で10〜1000mg/Kg、非経口投与(腹腔
内投与、i.p.)で1〜10mg/Kg(いずれもマ
ウスを使用した実験による数値)であるので、これらの
値を考慮して決定すればよい。
本発明の多糖類を主剤とし、錠剤、散剤あるいはカプセ
ル剤等の経口投与剤、又は、注射剤等の非経口剤に製剤
されたものである。本発明の抗腫瘍剤における多糖類の
含有量は、当該多糖類の有効使用量が、経口投与(p.
o.)で10〜1000mg/Kg、非経口投与(腹腔
内投与、i.p.)で1〜10mg/Kg(いずれもマ
ウスを使用した実験による数値)であるので、これらの
値を考慮して決定すればよい。
【0020】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。
る。
【0021】黄▲磨▼乾燥子実体の粉末3000gに、
抽出溶媒として85%濃度のエタノ−ル10リットルを
加え、室温で時々攪拌しつつ1日放置して溶媒抽出を行
う。次にエタノ−ル可溶画分を吸引濾過して低分子成分
を除去した後、残渣を70℃以下で通風しながら乾燥す
る。
抽出溶媒として85%濃度のエタノ−ル10リットルを
加え、室温で時々攪拌しつつ1日放置して溶媒抽出を行
う。次にエタノ−ル可溶画分を吸引濾過して低分子成分
を除去した後、残渣を70℃以下で通風しながら乾燥す
る。
【0022】この乾燥したエタノ−ル抽出残渣500g
を、100℃の熱水3リットルで3時間攪拌しつつ煮沸
し、熱水時抽出を行う。熱水抽出液を冷却し、遠心分離
によってその上澄液に5倍量の99%濃度のエタノ−ル
を加え、多糖類を沈殿させ、遠心分離によって得た沈殿
を流水中で透析後、凍結乾燥して多糖類(1)を粉末と
して得る。収量は20gであった。
を、100℃の熱水3リットルで3時間攪拌しつつ煮沸
し、熱水時抽出を行う。熱水抽出液を冷却し、遠心分離
によってその上澄液に5倍量の99%濃度のエタノ−ル
を加え、多糖類を沈殿させ、遠心分離によって得た沈殿
を流水中で透析後、凍結乾燥して多糖類(1)を粉末と
して得る。収量は20gであった。
【0023】次いで、この多糖類(1)の粉末15gを
イオン交換クロマト法、即ちDEAEセルロ−ス(Cl
-)カラム(3×70cm)を用いて水によって溶出
し、非吸着画分である多糖類(2)と吸着画分とに大別
する。
イオン交換クロマト法、即ちDEAEセルロ−ス(Cl
-)カラム(3×70cm)を用いて水によって溶出
し、非吸着画分である多糖類(2)と吸着画分とに大別
する。
【0024】尚、上記非吸着画分である多糖類(2)
2.4gをトヨパ−ルHW−65Fカラム(3.5×3
5cm)を用いるゲル濾過法(0.2M食塩溶液で溶
出)によって多糖類(2)−a、−b、−cおよび不溶
部として多糖類(2)−inに分割したが、抗腫瘍活性
は多糖類(2)より増大しなかった。
2.4gをトヨパ−ルHW−65Fカラム(3.5×3
5cm)を用いるゲル濾過法(0.2M食塩溶液で溶
出)によって多糖類(2)−a、−b、−cおよび不溶
部として多糖類(2)−inに分割したが、抗腫瘍活性
は多糖類(2)より増大しなかった。
【0025】一方、DEAEセルロ−ス(Cl-)カラ
ムに吸着された吸着画分は、0→2M食塩溶液による濃
度勾配溶出によって、イオン強度の弱い順番に多糖類
(3)(162mg)、多糖類(4)(577mg)、
多糖類(A)(660mg)および多糖類(B)(49
0mg)が得られた。これらのうち、多糖類(3)と多
糖類(4)に高い抗腫瘍活性が見られた。上記分別操作
を、以下に示す。
ムに吸着された吸着画分は、0→2M食塩溶液による濃
度勾配溶出によって、イオン強度の弱い順番に多糖類
(3)(162mg)、多糖類(4)(577mg)、
多糖類(A)(660mg)および多糖類(B)(49
0mg)が得られた。これらのうち、多糖類(3)と多
糖類(4)に高い抗腫瘍活性が見られた。上記分別操作
を、以下に示す。
【化1】
【0026】薬理作用 腹腔内投与法によるサルコ−マ180固形ガンに対する
効果 JCR/Slcマウス腹腔内で継代されているサルコ−
マ180腹水ガンを腋窩部皮下に移植し、移植24時間
後より、本発明の多糖を10mg/kgマウス体重含む
本発明抗腫瘍剤を腹腔内に投与した。投与回数は1日1
回10日間とし、移植3週間後に腫瘍の直径を測定し、
それを対照群と比較して腫瘍抑制率を算出した。また、
6週間後には腫瘍完全消失割合と生存割合を調べた。そ
の結果を以下の表2に示す。
効果 JCR/Slcマウス腹腔内で継代されているサルコ−
マ180腹水ガンを腋窩部皮下に移植し、移植24時間
後より、本発明の多糖を10mg/kgマウス体重含む
本発明抗腫瘍剤を腹腔内に投与した。投与回数は1日1
回10日間とし、移植3週間後に腫瘍の直径を測定し、
それを対照群と比較して腫瘍抑制率を算出した。また、
6週間後には腫瘍完全消失割合と生存割合を調べた。そ
の結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0027】上記表2に示すように、本発明の抗腫瘍剤
は、良好な腫瘍抑制率、生存率、腫瘍完全消失率を示
し、死亡率(61日目)も低く、良好な効果を発揮する
ものである。
は、良好な腫瘍抑制率、生存率、腫瘍完全消失率を示
し、死亡率(61日目)も低く、良好な効果を発揮する
ものである。
【0028】急性毒性 JCR/Slc系の雄性マウス(5週)の腹腔内又は経
口投与による急性毒性試験(1週間観察)において、本
発明の多糖類は1000mg/kgで死亡率は0/6で
あり、飼料摂取量、体重増加量、尿検査、血液検査結果
および相対的臓器重量比等、対照群との間に統計学的有
意差は認められなかった。
口投与による急性毒性試験(1週間観察)において、本
発明の多糖類は1000mg/kgで死亡率は0/6で
あり、飼料摂取量、体重増加量、尿検査、血液検査結果
および相対的臓器重量比等、対照群との間に統計学的有
意差は認められなかった。
【図1】図1は本発明多糖類(1)〜(4)の赤外線ス
ペクトルである。
ペクトルである。
【図2】図2は本発明多糖類(2)の1H−NMRスペ
クトルである。
クトルである。
【図3】図3は本発明多糖類(4)の1H−NMRスペ
クトルである。
クトルである。
【図4】図4は本発明多糖類(2)の13C−NMRスペ
クトルである。
クトルである。
【図5】図5は本発明多糖類(4)の13C−NMRスペ
クトルである。
クトルである。
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月4日
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 キノコに由来する水溶性多糖類、そ
の製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤
の製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 卓 静岡県藤枝市青南町5丁目5−9 (72)発明者 馬 岩 静岡県静岡市大谷836 (72)発明者 伊藤 均 三重県津市城山2丁目3−10 (72)発明者 鈴木 千春 静岡県静岡市大谷3800−211
Claims (12)
- 【請求項1】 黄▲磨▼の有機溶媒不溶画分から、水系
溶媒にて抽出されるマンノガラクトグルカン蛋白複合体
であることを特徴とする水溶性多糖類。 - 【請求項2】 蛋白質9.5〜10.5%と、糖76〜
84%(但し、糖組成は、グルコ−ス:ガラクト−ス:
マンノ−ス=100:86〜96:52〜58である)
とを含む請求項1に記載の水溶性多糖類。 - 【請求項3】 蛋白質10.3〜11.3%と、糖84
〜93%(但し、糖組成は、グルコ−ス:ガラクト−
ス:マンノ−ス=100:28〜32:27〜31であ
る)とを含む請求項1に記載の水溶性多糖類。 - 【請求項4】 黄▲磨▼の有機溶媒不溶画分から、水系
溶媒にて抽出されるマンノグルコガラクタン蛋白複合体
であることを特徴とする水溶性多糖類。 - 【請求項5】 蛋白質5.1〜5.7%と、糖57〜6
3%(但し、糖組成は、グルコ−ス:ガラクト−ス:マ
ンノ−ス=100:130〜144:85〜95であ
る)とを含む請求項4に記載の水溶性多糖類。 - 【請求項6】 黄▲磨▼の有機溶媒不溶画分から、水系
溶媒にて抽出されるフコマンノグルコガラクタン蛋白複
合体であることを特徴とする水溶性多糖類。 - 【請求項7】 蛋白質3.7〜4.1%と、糖70〜7
7%(但し、糖組成は、グルコ−ス:ガラクト−ス:マ
ンノ−ス:フコ−ス=100:138〜152:84〜
92:25〜29である)とを含む請求項6に記載の水
溶性多糖類。 - 【請求項8】 黄▲磨▼あるいはその乾燥物を有機溶媒
により抽出し、その抽出残渣を更に水系溶媒で抽出する
ことを特徴とする水溶性多糖類の製造方法。 - 【請求項9】 水系溶媒を加熱して抽出する請求項8に
記載の水溶性多糖類の製造方法。 - 【請求項10】 黄▲磨▼あるいはその乾燥物を有機溶
媒により抽出し、その抽出残渣を更に水系溶媒で抽出し
た後、アルコ−ル沈殿法、イオン交換クロマト法あるい
はアフィニティクロマト法等により、含有組成分量の異
なる水溶性多糖類を得ることを特徴とする水溶性多糖類
の製造方法。 - 【請求項11】 請求項1乃至7に記載された水溶性多
糖類を主剤とすることを特徴とする抗腫瘍剤。 - 【請求項12】 請求項8乃至10に記載された製造方
法により得られる水溶性多糖類を主剤とすることを特徴
とする抗腫瘍剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3162220A JPH05345725A (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | キノコに由来する水溶性多糖類、その製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3162220A JPH05345725A (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | キノコに由来する水溶性多糖類、その製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05345725A true JPH05345725A (ja) | 1993-12-27 |
Family
ID=15750251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3162220A Pending JPH05345725A (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | キノコに由来する水溶性多糖類、その製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05345725A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1069650C (zh) * | 1995-12-29 | 2001-08-15 | 中国科学院上海药物研究所 | 香菇多糖的分离纯化方法 |
US7442541B2 (en) | 2002-06-25 | 2008-10-28 | Adeka Corporation | β-glucan-containing fat and oil composition and novel microorganism capable of producing β-glucan |
CN111568946A (zh) * | 2020-05-14 | 2020-08-25 | 燕山大学 | 一种生物活性核桃壳多酚纳米传递体系的制备方法 |
-
1991
- 1991-06-05 JP JP3162220A patent/JPH05345725A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1069650C (zh) * | 1995-12-29 | 2001-08-15 | 中国科学院上海药物研究所 | 香菇多糖的分离纯化方法 |
US7442541B2 (en) | 2002-06-25 | 2008-10-28 | Adeka Corporation | β-glucan-containing fat and oil composition and novel microorganism capable of producing β-glucan |
CN111568946A (zh) * | 2020-05-14 | 2020-08-25 | 燕山大学 | 一种生物活性核桃壳多酚纳米传递体系的制备方法 |
CN111568946B (zh) * | 2020-05-14 | 2021-07-30 | 燕山大学 | 一种生物活性核桃壳多酚纳米传递体系的制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA1107725A (en) | Antitumor substance | |
HU188599B (en) | Process for preparing physiologically active substance designated as ch-1 | |
CN110128562A (zh) | 一种抗肿瘤补骨脂多糖及其提取分离方法和在制备抗肿瘤药物方面的应用 | |
JPH05345725A (ja) | キノコに由来する水溶性多糖類、その製造方法及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 | |
US20200317822A1 (en) | Method for Preparing Arabinogalacturonan from Tangerine Peel | |
KR870001930B1 (ko) | 다당체 ron물질의 제조 방법 | |
JP2646361B2 (ja) | 抗腫瘍作用を有する酸性多糖体の製法 | |
CN1202135C (zh) | 赤灵芝多糖及其制法和用途 | |
CN104558222A (zh) | 具有抗肿瘤活性的厚壳贻贝多糖类化合物的制备工艺 | |
CN114805624B (zh) | 一种牡丹皮多糖及其制备方法与应用 | |
JPH0680703A (ja) | キノコに由来する水不溶性多糖類、その製造方法及び該水不溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 | |
JPH0278630A (ja) | 抗腫瘍剤 | |
KR100450061B1 (ko) | 홍삼으로부터 분리된 항암 면역 조절효과를 갖는 신규산성다당체 및 이를 함유하는 항암 면역 조절용 조성물 | |
JPH05117303A (ja) | ヤマブシタケ由来の水溶性多糖類及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 | |
CN113336808A (zh) | 一种从百合中提取分离的糖苷类化合物及其方法和应用 | |
CN113004299A (zh) | 山竹皮中具有降低餐后血糖的呫吨酮类化合物及其提取方法和应用 | |
JPH05306233A (ja) | やまびこほんしめじ熱水抽出物 | |
CN1287811A (zh) | 甘薯中粘液蛋白的提取纯化方法 | |
JPH069423A (ja) | 抗腫瘍活性物質 | |
JPH115745A (ja) | 抗hiv活性物質およびその製造方法 | |
JPH05117304A (ja) | ヤマブシタケ由来の水不溶性多糖類及び該水不溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤 | |
JP5461872B2 (ja) | アラビノシルビテキシンを含有する経口摂取用組成物の製造方法とその用途 | |
JP2000159809A (ja) | シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途 | |
JP4995440B2 (ja) | ニンニク処理物を含む腫瘍を予防及び/又は治療するための組成物 | |
KR100311762B1 (ko) | 항산화활성을가지는고로쇠나무추출물및이를이용한풀라반계화합물의제조방법 |