JP2000159809A - シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途 - Google Patents

シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途

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JP2000159809A
JP2000159809A JP10353922A JP35392298A JP2000159809A JP 2000159809 A JP2000159809 A JP 2000159809A JP 10353922 A JP10353922 A JP 10353922A JP 35392298 A JP35392298 A JP 35392298A JP 2000159809 A JP2000159809 A JP 2000159809A
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homopolysaccharide
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ion
shiitake mushroom
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Katsuyuki Fujimura
勝行 藤村
Yasuyo Yamaguchi
康代 山口
Reiko Sugino
玲子 杉野
Hideki Shirogane
英樹 白銀
Toyomi Takeuchi
豊実 竹内
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Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シイタケ菌糸体抽出物から新規な画分を得て、
その構造を研究し、さらに薬理作用を詳しく解明し、シ
イタケ菌糸体抽出物画分の新しい医薬用途および/又は
保健用途を探索する。 【解決手段】以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物をエタノールを含有する溶液
で処理することにより、エタノール不溶性画分と可溶性
画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶性画分をイオン交
換体で処理し、イオン交換体非吸着画分とイオン交換体
吸着画分に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換体非吸着画分をゲルろ
過クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ
多糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得られ
るシイタケ菌糸体抽出物のホモ多糖画分,及び該ホモ多
糖画分を含む肝障害防御剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシイタケ菌糸体抽出
物から得られる新規画分及びこれを含む肝障害防御剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】シイタケ(Lentinus edodes)は日本、
中国の代表的な食用キノコであり、日本では約300年
前から人工栽培が行われてきた。日常食用にしているキ
ノコは子実体と呼ばれ、菌類が子孫を残すために胞子を
生じる生殖体であり、栄養体である菌糸細胞は地中や原
木中で長い時間をかけて成長し、菌糸体を形成する。
【0003】シイタケは古くからさまざまな病気や症状
に効果があると言われてきたが、その薬理作用が解明さ
れてきたのは比較的最近である。シイタケ菌糸体抽出物
については、ラット、マウスでの発癌実験において、動
物の大腸、肝臓などの腫瘍形成及び移植腫瘍細胞の増殖
を抑制し、動物の生存率を上昇させた(N. Sugano eta
l., Cancer Letter, 17:109, 1982;鈴木康将ら、日本大
腸肛門病会誌、43:178, 1990など)、マイトジェン活性
を示した(T. Tabata et al., Immunopharmacology, 2
4:57, 1992; Y. Hibino et al., Immunopharmacology,
28:77, 1994など)、抗体産生を増強し、抗体を介する
ADCC(antibody-dependent cell-mediated cytotox
icity)による免疫学的肝細胞障害に抑制効果を示した
(溝口靖紘ら、肝胆膵、15:127, 1987)などの種々な報
告がなされている。この他にもシイタケ菌糸体抽出物に
は発根促進、農作物の成長促進などの植物ホルモン作用
(M.Mitsuhashi-Kato et al., Plant Cell Physiol. 2
6:221, 1985)や抗植物ウイルス作用(小室康雄:農林
水産省植物ウイルス研報告, 1977)のあることが報告さ
れている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、シイタケ菌
糸体抽出物から新規な画分を得て、その構造を研究し、
さらに薬理作用を詳しく解明し、シイタケ菌糸体抽出物
分画物の新しい医薬用途および/又は保健用途を探索す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため、鋭意研究した結果、シイタケ菌糸体抽出
物から新たに分離、精製したホモ多糖画分が肝障害に対
して顕著な防御効果を示すことを発見して本発明を完成
した。
【0006】すなわち、本発明は、以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物をエタノールを含有する溶液
で処理することにより、エタノール不溶性画分と可溶性
画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶性画分をイオン交
換体で処理し、イオン交換体非吸着画分とイオン交換体
吸着画分に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換体非吸着画分をゲルろ
過クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ
多糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得られ
るシイタケ菌糸体抽出物のホモ多糖画分、を提供する。
【0007】本発明のホモ多糖画分で好ましいのは、以
下の理化学的性質を有するホモ多糖画分: 1)分子量: 20万〜100万 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)比旋光度[α]D 20: 133.26、 である。
【0008】本発明のホモ多糖画分でより好ましいの
は、以下の理化学的性質を有するホモ多糖画分: 1)分子量: 20万〜100万 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)構成単糖組成(%): グルコース: 90.5 アミノ糖: 3.2 ウロン酸: 6.3 3)比旋光度[α]D 20: 133.26 である。
【0009】本発明はさらに、上記ホモ多糖画分を含む
肝障害防御剤を提供する。本発明の肝障害防御剤は、シ
イタケ菌糸体抽出物のホモ多糖画分及び任意成分として
薬剤的に許容できる担体を含む、肝障害の治療用及び/
又は予防用組成物の形であってよい。
【0010】また、本発明の肝障害防御剤は、食品の形
であってもよく、飲料の形であってもよい。
【0011】さらに、本発明の肝障害防御剤は、これら
の形態に何ら限定されるものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、シイタケ菌糸体
抽出物とは、シイタケ菌を固体培地上で培養して得られ
る菌糸体、好ましくは菌糸体を含む固体培地を水及び酵
素の存在下に粉砕、分解して得られる抽出物を言う。
【0013】シイタケ菌糸体抽出物は好ましくは以下の
方法により得られたものを使用するが、これに限定され
ない。すなわち、バガス(サトウキビのしぼりかす)と
脱脂米糠を基材とする固体培地上にシイタケ菌を接種
し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体
培地を12メッシュ通過分が30重量%以下となるよう
解束し、この解束された固体培地に水およびセルラー
ゼ、プロテアーゼまたはグルコシダターゼから選ばれる
酵素の1種またはそれ以上を、前記固体培地を30〜5
5℃の温度に保ちながら添加するとともに、前記固体培
地を前記酵素の存在下に粉砕、すりつぶしてバカス繊維
の少なくとも70重量%以上が12メッシュ通過分であ
るようにし、次いで95℃までの温度に加熱することに
より酵素を失活させるとともに滅菌し、得られた懸濁状
液をろ過することによってシイタケ菌糸体抽出物を得
る。シイタケ菌糸体抽出物はそのまま本発明の防御剤に
用いてもよいが、これを濃縮、凍結乾燥して粉末として
保存し、使用時に種々の形態で使用するのが便宜的であ
る。凍結乾燥して得られる粉末は褐色粉末で、吸湿性が
あり、特異な味と臭いをもつ。
【0014】このようにして得られるシイタケ菌糸体抽
出物はフェノール-硫酸法による糖質分析により糖質を
15−50%、好ましくは20−40%(w/w)、Lo
wry法によるタンパク質分析によりタンパク質を10−
40%、好ましくは13−30%(w/w)、没食子酸
を標準とするFolin-Denis法によりポリフェノールを1
−5%、好ましくは2.5−3.5%(w/w)含む。
シイタケ菌糸体抽出物にはそのほかに脂質約0.1%、
繊維約0.4%、灰分約20%を含む。
【0015】また、シイタケ菌糸体抽出物の構成糖組成
(%)は以下の通りであった: キシロース:15.2;アラビノース:8.2;マンノ
ース:8.4;グルコース:39.4;ガラクトース:
5.4;アミノ糖:12.0;ウロン酸:11.3。
【0016】本発明によるシイタケ菌糸体抽出物のホモ
多糖画分は、以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物にエタノールを加えてエタノ
ール不溶性画分(以下においてエタノール不溶画分とい
うこともある)と可溶性画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶画分をイオン交換
体で処理し、水で溶出したときに吸着されずに流出する
画分(以下においてイオン交換体非吸着画分ということ
もある)と、イオン交換体に吸着され0.05-3M NaClで溶
離する画分(以下においてイオン交換体吸着画分という
こともある)に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換体非吸着画分をゲルろ
過クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ
多糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得るこ
とができる。
【0017】本発明のホモ多糖画分を得るために用いる
シイタケ菌糸体抽出物の分離、精製方法の概略を示した
ものが図1である。
【0018】まず、本発明の分離、精製工程を行う前
に、好ましくはシイタケ菌糸体抽出物を適当な濃度の水
溶液として夾雑物を除去するために、固形粒子ろ過助剤
を用いろ過する。ろ過助剤としてはセライト503,セ
ライト535、セライト545などで、好ましくはセラ
イト545で処理して夾雑物を除去する。
【0019】第1工程では、シイタケ菌糸体抽出物にエ
タノール(好ましくは4容)を加えて不溶画分と可溶性
画分に分ける。エタノール不溶画分には粗多糖類が含ま
れている。
【0020】第2工程では、第1工程で得られたエタノ
ール不溶画分を蒸留水に再溶解し、イオン交換体で処理
し、イオン交換非吸着画分とイオン交換吸着画分とに分
ける。イオン交換体としては、例えばジエチルアミノエ
チル・合成樹脂イオン交換体(Cl―型)、ジエチルア
ミノエチル・セルロース、ジエチルアミノエチル・アガ
ロース、ジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ
エチル・セルロース、ジエチル−(2−ヒドロキシプロ
ピル)アミノエチル・アガロースなどの陰イオン交換体
を使用でき、好ましくはジエチルアミノエチル−トヨパ
ールイオン交換体(東ソー株式会社製)のカラム式であ
る。第2工程で得られるクロマトグラムの一例を図2に
示す。
【0021】次に第3工程では、第2工程で得られたイ
オン交換体非吸着画分を蒸留水に再溶解し、ゲルろ過カ
ラムクロマトグラフィーにかけて分子量に応じて分画す
る。ゲルとしては例えば、デキストランゲル、ポリアク
リルアミドゲル、アガロースゲル、ポリビニルゲル、セ
ルロースゲルなどを使用することができ、好ましくはセ
ファロースCL−6B、セファクリルS-300などであ
る。また溶出液としては0.05−0.5MのNaClを使用するこ
とができ、好ましくは0.2M NaClで溶出する。この操作
によって、分子量の大きい順にホモ多糖画分、ヘテロ多
糖画分及び低分子画分を得た。第3工程で得られるクロ
マトグラムの一例を図3に示す。
【0022】これらのシイタケ菌糸体抽出物から分離さ
れた各画分について、成分組成及び構成糖の組成を分析
した結果を表1及び表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】従って、ホモ多糖画分はグルコースを主体
とするホモ多糖であると推定された。また、ホモ多糖画
分の比旋光度は[α]D 20: 133.26であった。
【0026】これに対して、ヘテロ多糖画分はグルコー
ス、ガラクトース、マンノースなどにより構成されるヘ
テロ多糖であると推定された。ヘテロ多糖画分の比旋光
度は[α]D 20: 54.23であった。
【0027】また、低分子画分は糖質とタンパク質とを
含む画分であると推定された。さらに、ホモ多糖画分、
ヘテロ多糖画分の元素分析(柳本製作所株式会社製:C
HNレコーダーMT−5)の結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】本発明によるシイタケ菌糸体抽出物ホモ多
糖画分の肝障害に対する防御効果を以下の方法により試
験したところ、ラット肝細胞を用いるin vitro試験及び
CCl4で誘導したラット肝障害モデルを用いるin vivo試
験において、いずれも顕著な防御効果が観察された。
【0030】本発明の防御剤は、治療剤及び/又は予防
剤及び/又は保健用剤である。本発明の防御剤は、セフ
ロキサジン、セフロキシムナトリウム、ラタモキセフナ
トリウムなどのセフェム系、硫酸アミカシンなどのアミ
ノ配糖体系、アクラルビシンなどの抗腫瘍系、リファン
ピシンなどの抗酸菌抗生物質系、テトラサイクリン系、
マクロライド系、ペニシリン系などの抗生物質、中枢神
経用薬である、アスピリンなどの解熱鎮痛消炎系、クロ
キサゾラムなどの精神神経系、バルプロ酸ナトリウムな
どの抗てんかん剤系、ハロタンなどの全身麻酔剤系、フ
ェノバルビタールなどの催眠鎮静系、総合感冒薬系など
の薬剤の投与によって引き起こされる肝障害、またこれ
らの他に、ピンドロールなどの不整脈用系、トラビジル
などの血管拡張剤系、塩酸ニカルジピンなどの循環器官
用系、塩酸ラベタロールなどの降圧剤系、クロフィブラ
ートなどの動脈硬化用系で知られる循環器用薬、さらに
テガフールなどの代謝拮抗剤系やエストラサイトなどの
ホルモン剤やスルファメトキサゾールなどのサルファ
剤、イソニアジドなどの抗結核剤、ノルフロキサシンな
どの合成抗菌剤などの薬剤の投与により引き起こされる
肝障害、さらには、生活環境中に存在するビスフェノー
ル、フタル酸エステル、塩素化合物、アルキルフェノー
ル、アルコール類などの環境有害物質によって引き起こ
される肝障害に有用であるのみならず、免疫学的肝障
害、ウィルス性肝障害、脂肪肝、肝癌、アルコール性肝
障害、肝硬変などに有効である。従って、シイタケ菌糸
体抽出物ホモ多糖画分及び任意成分として薬剤的に許容
できる担体を含む、肝障害の治療用及び/又は予防用組
成物として使用することができる。
【0031】投与経路は経口投与が最も好ましいが、静
脈内投与、皮下投与などであってもよい。経口投与に適
した製剤には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液
剤、シロップ剤などが含まれるが、これに限定されな
い。
【0032】薬剤的に許容できる担体には、当業界で公
知の適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香料、
着色剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などを含
むが、これに限定されない。
【0033】本発明の防御剤の投与量は患者の年齢、体
重、症状、投与経路などを考慮して医師、薬剤師、栄養
士などにより決定される。本発明の防御剤に含まれるシ
イタケ菌糸体抽出物は食品として使用されてきたもので
あり、極めて安全であるところから、投与量を厳しく限
定する必要はないが、通常ホモ多糖画分に換算して1日
あたり1mg−100mg、好ましくは5mg−30m
gである。さらに、肝障害の原因となる薬剤と併用して
投与しても支障はない。
【0034】本発明の防御剤は、食品の形で提供するこ
ともできる。好ましい食品としては顆粒、麺類、キャン
ディー、ゼリー、クッキーなどが挙げられる。さらに、
本発明の防御剤は、飲料の形で提供することもできる。
このような食品、飲料にはシイタケ菌糸体抽出物の他
に、ビタミン剤、カルシウムなどの無機成分、キトサン
などの食物繊維、大豆抽出物などの蛋白質、レシチンな
どの脂質、乳糖などの糖類などを追加してもよい。
【0035】本発明を以下の実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発
明の方法を種々変更、修飾して使用することが当業者に
は可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0036】
【実施例】実施例1:シイタケ菌糸体抽出物の調製法 バガス90重量部、米糖10重量部からなる固体培地に
純水を適度に含ませた後に、シイタケ種菌を接種し、温
度および湿度を調節した培養室内に放置し、菌糸体を増
殖させた。菌糸体が固体培地に蔓延した後、バガス基材
の繊維素を解束し、12メッシュ通過分が24重量%以
下となるようにした。この解束された培地1.0kgに、純
水3.5Lを加え、40℃に保ちながら精製セルラーゼ2.0
gを加えて培地含有混合物とした。
【0037】次いで培地含有混合物を変速付ギヤーポン
プにより循環させながら、固体培地にギヤー部分におい
て粉砕およびすりつぶし作用を200分間程度加えバカ
ス繊維の約80重量%が12メッシュ通過分となるよう
にした。培地含有混合物の粉砕およびすりつぶしは、該
混合物の温度を徐々に上昇させながら行った。その後培
地含有混合物をさらに加熱して、90℃として30分間
放置した。90℃への加熱により、酵素を失活せしめ、
かつ殺菌を施した。得られた培地含有混合物を60メッ
シュろ布を用いてろ過してシイタケ菌糸体抽出物を得
た。
【0038】実施例2:第1工程 実施例1で得られたシイタケ菌糸体抽出物乾燥粉末12
gを水2Lに溶解し、セライト545で処理して夾雑物
を除去した。これにエタノール8Lを加えて攪拌、静置
して生じた沈殿を遠心分離し、沈殿物としてエタノール
不溶画分を得た。エタノール不溶画分は粗多糖類画分で
あり、シイタケ菌糸体抽出物に対し、20%(凍結乾燥
重量)であった。
【0039】実施例3:第2工程 第1工程で得られたエタノール不溶画分1gを蒸留水2
00mLに溶解し、ジエチルアミノエチル−トヨパール
イオン交換カラム(2.5 x 50 cm:東ソー株式会社製)
のクロマトグラフィーにかけて、蒸留水で溶出した。カ
ラムに吸着されないイオン交換体非吸着性画分が流出し
た後、2M NaClでカラムに吸着されたイオン交換体吸着
性画分を溶離した。溶離して得た各フラクションをフェ
ノール-硫酸法およびLowry法により波長490nm及び
660nmで分光学的に測定したクロマトグラムを図2
に示す。得られたイオン交換体非吸着画分は47.5mg、
イオン交換体吸着画分は51.5mgであった。
【0040】実施例4:第3工程 第2工程で得られたイオン交換体非吸着画分(417.
5mg)を蒸留水(14mL)に溶解し、0.2M NaCl
で平衡化したセファロースCL-6B(ファルマシア社製)
を充填した2.5 x 120 cmのカラムクロマトグラフィーに
かけて、0.2M NaClで溶出した。この操作によって、分
子量の大きい順にホモ多糖画分、ヘテロ多糖画分及び低
分子画分を得た。この操作で得られたクロマトグラムを
図3に示す。得られたホモ多糖画分は10.02mg、ヘテ
ロ多糖画分は63.0mg、低分子画分は11.3mgであっ
た。
【0041】実施例5:各画分の組成 上記実施例で得られたシイタケ菌糸体抽出物の各画分に
ついて、シイタケ菌糸体抽出物に対する収率(%)、デ
キストランを標準とするゲルろ過法による分子量測定、
フェノール-硫酸法による糖質分析、Lowry法によるタン
パク質分析、および没食子酸を標準とするFolin-Denis
法によるポリフェノール分析を実施した。得られた結果
を上記表1に示す。
【0042】実施例6:分画成分の構成糖組成 加水分解管(3mL用、Pierce社製)に上記実施例で得
られた各画分1mgをとり、4M トリフルオロ酢酸を
1mL加えて真空シールし、100℃で3時間、酸加水
分解を行った。加水分解液をナスフラスコに移して粘稠
なオイル状になるまで減圧濃縮(ロータリーエバポレー
ター)し、純水2mLに溶解した後、0.45μmフィ
ルターでろ過し、高速液体クロマトグラフィーを用いた
ポストカラムラベル法により構成単糖の定量を行った。
アミノ糖は亜硝酸-indole法、ウロン酸はカルバゾール
法を用いて測定した。得られた結果を上記表2に示す。
【0043】実施例7:初代培養肝細胞を用いるin vit
ro試験 1)ラット肝細胞の分離及び初代培養 ラット(Wistar、雄、6−8週齢)の肝細胞を分離し、
37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。 2)肝細胞のCCl4及び被験物質による処理 1)で調製した肝細胞に、CCl4(DMSO溶液:肝
障害誘導物質)及び被験物質(ホモ多糖画分)を種々の
濃度で調整した無血清培地を500μl加え、24時間
37℃、5%CO2条件下で培養した。 3)GOT活性測定 培養液をエッペンドルフチューブに移し、10000r
pm、5分間、室温にて遠心した。この上清中のGOT
活性をGOT測定試薬(リキテックGOT IFCC:
ベーリンガーマンハイム社製)を用い、測定した。被験
物質を加えていない培養液上清のGOT活性の平均値を
100としたときの各培養液上清のGOT活性の割合を
求め、肝障害強度とした。その結果を図4に示す。
【0044】図から明らかなように、シイタケ菌糸体抽
出物ホモ多糖画分は、肝障害防御効果が観察された。
【0045】実施例8:CCl4で誘導したラット肝障害モ
デルを用いるin vivo試験 ホモ多糖画分ならびに比較対照として強力ネオミノファ
ーゲンC(肝臓障害用剤)をラットに7日間経口投与
し、CCl4誘導の肝障害防御効果を検討した。投与終
了後、CCl4を腹腔内投与し、肝障害を引き起こした
後、下大静脈から採血し、血清中のGPT活性を測定し
た。得られた結果を図5に示す。
【0046】図から明らかなように、シイタケ菌糸体抽
出物ホモ多糖画分は、肝障害防御効果が観察された。
【0047】
【発明の効果】本発明のシイタケ菌糸体抽出物ホモ多糖
画分は顕著な肝障害の防御効果を有しており、肝障害の
予防、治療に使用できる。本発明の防御剤は、肝障害の
原因となる薬剤の投与と併用することができ、また副作
用がないことから、安全に使用でき、大きな産業上の利
用可能性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分離、精製方法の概略を示す図であ
る。
【図2】本発明の第2工程であるイオン交換カラムクロ
マトグラフィーの結果を示す図である。
【図3】本発明の第3工程であるゲルろ過カラムクロマ
トグラフィーの結果を示す図である。
【図4】ラット初代培養肝細胞を用いるin vitro試験に
おけるホモ多糖画分の肝障害防御試験の結果を示すグラ
フである。
【図5】CCl4で誘導したラット肝障害を用いるin vivo
試験におけるホモ多糖画分の肝障害防御試験の結果を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 1/16 A61K 35/84 A A61K 35/84 A23L 2/00 F (72)発明者 杉野 玲子 大阪府大阪市淀川区三津屋南3−13−35 小林製薬株式会社内 (72)発明者 白銀 英樹 大阪府大阪市淀川区三津屋南3−13−35 小林製薬株式会社内 (72)発明者 竹内 豊実 大阪府大阪市淀川区三津屋南3−13−35 小林製薬株式会社内 Fターム(参考) 4B017 LC03 LG19 LK13 LP01 LP08 4B018 LB00 MD83 ME14 MF01 4C088 AA08 AC17 BA12 CA14 MA52 NA14 ZA75 4C090 AA01 AA08 AA09 BA01 BB06 BB12 BB21 BB27 BC18 BD16 BD37 DA09 DA23 DA27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物をエタノールを含有する溶液
    で処理することにより、エタノール不溶性画分と可溶性
    画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶性画分をイオン交
    換体で処理し、イオン交換体非吸着画分とイオン交換体
    吸着画分に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換体非吸着画分をゲルろ
    過クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ
    多糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得られ
    るシイタケ菌糸体抽出物のホモ多糖画分。
  2. 【請求項2】以下の理化学的性質を有する請求項1記載
    のホモ多糖画分: 1)分子量: 20万〜100万 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)比旋光度[α]D 20: 133.26。
  3. 【請求項3】以下の理化学的性質を有する請求項1記載
    のホモ多糖画分: 1)分子量: 20万〜100万 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)構成単糖組成(%): グルコース: 90.5 アミノ糖: 3.2 ウロン酸: 6.3 3)比旋光度[α]D 20: 133.26。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のホモ多糖
    画分を含む肝障害防御剤。
  5. 【請求項5】肝障害の治療用及び/又は予防用組成物で
    ある請求項4記載の防御剤。
  6. 【請求項6】経口で投与する請求項4又は5記載の防御
    剤。
  7. 【請求項7】食品である請求項4記載の防御剤。
  8. 【請求項8】飲料である請求項4記載の防御剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100453559C (zh) * 2005-11-04 2009-01-21 杨勇杰 一种提取香菇多糖的方法
CN101921346A (zh) * 2010-08-31 2010-12-22 浙江省林业科学研究院 一种香菇菌丝体多糖的径向流色谱分离方法
KR101978819B1 (ko) * 2018-11-21 2019-05-15 주식회사 엠진바이오 진세노사이드 화합물 k를 이용한 지방성 간질환 개선용 조성물

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