JP2000159807A - シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途 - Google Patents

シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途

Info

Publication number
JP2000159807A
JP2000159807A JP10338266A JP33826698A JP2000159807A JP 2000159807 A JP2000159807 A JP 2000159807A JP 10338266 A JP10338266 A JP 10338266A JP 33826698 A JP33826698 A JP 33826698A JP 2000159807 A JP2000159807 A JP 2000159807A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fraction
heteropolysaccharide
ethanol
extract
shiitake mushroom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10338266A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuyuki Fujimura
勝行 藤村
Yasuyo Yamaguchi
康代 山口
Reiko Sugino
玲子 杉野
Hideki Shirogane
英樹 白銀
Toyomi Takeuchi
豊実 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Kobayashi Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP10338266A priority Critical patent/JP2000159807A/ja
Publication of JP2000159807A publication Critical patent/JP2000159807A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】シイタケ菌糸体抽出物から新規な画分を得て、
その構造を研究し、さらに薬理作用を詳しく解明し、シ
イタケ菌糸体抽出物分画物の新しい医薬用途および/又
は保健用途を探索する。 【解決手段】以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物をエタノールを含有する水溶
液で処理することにより、エタノール不溶性画分と可溶
性画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶性画分をイオン交
換体で処理し、イオン交換体非吸着画分とイオン交換体
吸着画分に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換非吸着画分をゲルろ過
クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ多
糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得られる
シイタケ菌糸体抽出物のヘテロ多糖画分、及び該ヘテロ
多糖分画物を含む肝障害防御剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシイタケ菌糸体抽出
物から得られる新規画分及びこれを含む肝障害防御剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】シイタケ(Lentinus edodes)は日本、
中国の代表的な食用キノコであり、日本では約300年
前から人工栽培が行われてきた。日常食用にしているキ
ノコは子実体と呼ばれ、菌類が子孫を残すために胞子を
生じる生殖体であり、栄養体である菌糸細胞は地中や原
木中で長い時間をかけて成長し、菌糸体を形成する。
【0003】シイタケは古くからさまざまな病気や症状
に効果があると言われてきたが、その薬理作用が解明さ
れてきたのは比較的最近である。シイタケ菌糸体抽出物
については、ラット、マウスでの発癌実験において、動
物の大腸、肝臓などの腫瘍形成及び移植腫瘍細胞の増殖
を抑制し、動物の生存率を上昇させた(N. Sugano eta
l., Cancer Letter,17:109, 1982; 鈴木康将ら、日本大
腸肛門病会誌、43:178, 1990など)、マイトジェン活性
を示した(T. Tabata et al., Immunopharmacology, 2
4:57, 1992; Y. Hibino et al., Immunopharmacology,
28:77, 1994など)、抗体産生を増強し、抗体を介する
ADCC(antibody-dependent cell-mediated cytotox
icity)による免疫学的肝細胞障害に抑制効果を示した
(溝口靖紘ら、肝胆膵、15:127, 1987)などの種々な報
告がなされている。この他にもシイタケ菌糸体抽出物に
は発根促進、農作物の成長促進などの植物ホルモン作用
(M.Mitsuhashi-Kato et al., Plant Cell Physiol. 2
6:221, 1985)や抗植物ウイルス作用(小室康雄:農林
水産省植物ウイルス研報告, 1977)のあることが報告さ
れている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、シイタケ菌
糸体抽出物から新規な画分を得て、その構造を研究し、
さらに薬理作用を詳しく解明し、シイタケ菌糸体抽出物
分画物の新しい医薬用途および/又は保健用途を探索す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため、鋭意研究した結果、シイタケ菌糸体抽出
物から新たに分離、精製したヘテロ多糖画分が肝障害に
対して顕著な防御効果を示すことを発見して本発明を完
成した。
【0006】すなわち、本発明は、以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物をエタノールを含有する水溶
液で処理することにより、エタノール不溶性画分と可溶
性画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶性画分をイオン交
換体で処理し、イオン交換体非吸着画分とイオン交換体
吸着画分に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換非吸着画分をゲルろ過
クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ多
糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得られる
シイタケ菌糸体抽出物のヘテロ多糖画分、を提供する。
【0007】本発明のヘテロ多糖画分で好ましいのは、
以下の理化学的性質を有するヘテロ多糖画分: 1) 分子量: 5,000〜50,000 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)比旋光度[α]D 20: 54.23、 である。
【0008】本発明のヘテロ多糖画分でより好ましいの
は、以下の理化学的性質を有するヘ テロ多糖画分: 1) 分子量: 5,000〜50,000 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)構成単糖組成(%): キシロース: 3.4 マンノース: 14.0 グルコース: 41.0 ガラクトース: 29.6 アミノ糖: 6.1 ウロン酸: 5.9 3)比旋光度[α]D 20: 54.23、 である。
【0009】本発明はさらに、上記ヘテロ多糖画分を含
む肝障害防御剤を提供する。本発明の肝障害防御剤は、
シイタケ菌糸体抽出物のヘテロ多糖画分及び任意成分と
して薬剤的に許容できる担体を含む、肝障害の治療用及
び/又は予防用組成物の形であってよい。
【0010】また、本発明の肝障害防御剤は、食品の形
であってもよく、飲料の形であってもよい。
【0011】さらに、本発明の肝障害防御剤は、これら
の形態に何ら限定されるものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、シイタケ菌糸体
抽出物とは、シイタケ菌を固体培地上で培養して得られ
る菌糸体、好ましくは菌糸体を含む固体培地を水及び酵
素の存在下に粉砕、分解して得られる抽出物を言う。
【0013】シイタケ菌糸体抽出物は好ましくは以下の
方法により得られたものを使用するが、これに限定され
ない。すなわち、バガス(サトウキビのしぼりかす)と
脱脂米糠を基材とする固体培地上にシイタケ菌を接種
し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体
培地を12メッシュ通過分が30重量%以下となるよう
解束し、この解束された固体培地に水およびセルラー
ゼ、プロテアーゼまたはグルコシダーゼから選ばれる酵
素の1種またはそれ以上を、前記固体培地を30〜55
℃の温度に保ちながら添加するとともに、前記固体培地
を前記酵素の存在下に粉砕、すりつぶしてバカス繊維の
少なくとも70重量%以上が12メッシュ通過分である
ようにし、次いで95℃までの温度に加熱することによ
り酵素を失活させるとともに滅菌し、得られた懸濁状液
をろ過することによってシイタケ菌糸体抽出物を得る。
シイタケ菌糸体抽出物はそのまま本発明の防御剤に用い
てもよいが、これを濃縮、凍結乾燥して粉末として保存
し、使用時に種々の形態で使用するのが便宜的である。
凍結乾燥して得られる粉末は褐色粉末で、吸湿性があ
り、特異な味と臭いをもつ。
【0014】このようにして得られるシイタケ菌糸体抽
出物はフェノール-硫酸法による糖質分析により糖質を
15−50%、好ましくは20−40%(w/w)、Lo
wry法によるタンパク質分析によりタンパク質を10−
40%、好ましくは13−30%(w/w)、没食子酸
を標準とするFolin-Denis法によりポリフェノールを1
−5%、好ましくは2.5−3.5%(w/w)含んで
いた。シイタケ菌糸体抽出物にはそのほかに脂質約0.
1%、繊維約0.4%、灰分約20%を含む。
【0015】また、シイタケ菌糸体抽出物の構成糖組成
(%)は以下の通りであった: キシロース:15.2;アラビノース:8.2;マンノ
ース:8.4;グルコース:39.4;ガラクトース:
5.4;アミノ糖:12.0;ウロン酸:11.3。
【0016】本発明によるシイタケ菌糸体抽出物のヘテ
ロ多糖画分は、以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物にエタノールを加えてエタノ
ール不溶性画分(以下においてエタノール不溶画分とい
うこともある)と可溶性画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶画分をイオン交換
体で処理し、水で溶出したときに吸着されずに流出する
画分(以下においてイオン交換体非吸着画分)と、イオ
ン交換体に吸着され0.05-3M NaClで溶離する画分(以下
においてイオン交換体吸着画分ということもある)に分
ける; 3)工程2で得られたイオン交換体非吸着画分をゲルろ
過クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ
多糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得るこ
とができる。
【0017】本発明のヘテロ多糖画分を得るために用い
るシイタケ菌糸体抽出物の分離、精製方法の概略を示し
たものが図1である。
【0018】まず、本発明の分離、精製工程を行う前
に、好ましくはシイタケ菌糸体抽出物を適当な濃度の水
溶液として夾雑物を除去するために、固形粒子ろ過助剤
を用いろ過する。ろ過助剤としてはセライト503,セ
ライト535、セライト545などで、好ましくはセラ
イト545で処理して夾雑物を除去する。
【0019】第1工程では、シイタケ菌糸体抽出物にエ
タノール(好ましくは4容)を加えて不溶画分と可溶性
画分に分ける。エタノール不溶画分には粗多糖類が含ま
れている。
【0020】第2工程では、第1工程で得られたエタノ
ール不溶画分を蒸留水に再溶解し、イオン交換体で処理
し、イオン交換非吸着画分とイオン交換吸着画分とに分
ける。イオン交換体としては、例えばジエチルアミノエ
チル・合成樹脂イオン交換体(Cl―型)、ジエチルア
ミノエチル・セルロース、ジエチルアミノエチル・アガ
ロース、ジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ
エチル・セルロース、ジエチル−(2−ヒドロキシプロ
ピル)アミノエチル・アガロースなどの陰イオン交換体
を使用でき、好ましくはジエチルアミノエチル−トヨパ
ールイオン交換体(東ソー株式会社製)のカラム式であ
る。第2工程で得られるクロマトグラムの一例を図2に
示す。
【0021】次に第3工程では、第2工程で得られたイ
オン交換体非吸着画分を蒸留水に再溶解し、ゲルろ過カ
ラムクロマトグラフィーにかけて分子量に応じて分画す
る。ゲルとしては例えば、デキストランゲル、ポリアク
リルアミドゲル、アガロースゲル、ポリビニルゲル、セ
ルロースゲルなどを使用することができ、好ましくはセ
ファロースCL−6B、セファクリルS-300などであ
る。また溶出液としては0.05−0.5MのNaClを使用するこ
とができ、好ましくは0.2M NaClで溶出する。この操作
によって、分子量の大きい順にホモ多糖画分、ヘテロ多
糖画分及び低分子画分を得た。第3工程で得られるクロ
マトグラムの一例を図3に示す。
【0022】これらのシイタケ菌糸体抽出物から分離さ
れた各画分について、成分組成及び構成糖の組成を分析
した結果を表1及び表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】従って、ホモ多糖画分はグルコースを主体
とするホモ多糖であると推定された。また、ホモ多糖画
分の比旋光度は[α]D 20: 133.26であった。
【0026】これに対して、ヘテロ多糖画分はグルコー
ス、ガラクトース、マンノースなどにより構成されるヘ
テロ多糖であると推定された。ヘテロ多糖画分の比旋光
度は[α]D 20: 54.23であった。
【0027】また、低分子画分は糖質とタンパク質とを
含む画分であると推定された。さらに、ホモ多糖画分、
ヘテロ多糖画分の元素分析(柳本製作所株式会社製:C
HNレコーダーMT−5)の結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】本発明によるシイタケ菌糸体抽出物ヘテロ
多糖画分の肝障害に対する防御効果を以下の方法により
試験したところ、ラット肝細胞を用いるin vitro試験及
びCCl4で誘導したラット肝障害モデルを用いるin vivo
試験において、いずれも顕著な防御効果が観察された。
【0030】本発明の防御剤は、治療剤及び/又は予防
剤及び/又は保健用剤である。本発明の防御剤は、セフ
ロキサジン、セフロキシムナトリウム、ラタモキセフナ
トリウムなどのセフェム系、硫酸アミカシンなどのアミ
ノ配糖体系、アクラルビシンなどの抗腫瘍系、リファン
ピシンなどの抗酸菌抗生物質系、テトラサイクリン系、
マクロライド系、ペニシリン系などの抗生物質、中枢神
経用薬である、アスピリンなどの解熱鎮痛消炎系、クロ
キサゾラムなどの精神神経系、バルプロ酸ナトリウムな
どの抗てんかん剤系、ハロタンなどの全身麻酔剤系、フ
ェノバルビタールなどの催眠鎮静系、総合感冒薬系など
の薬剤の投与によって引き起こされる肝障害またこれら
の他に、ピンドロールなどの不整脈用系、トラビジルな
どの血管拡張剤系、塩酸ニカルジピンなどの循環器官用
系、塩酸ラベタロールなどの降圧剤系、クロフィブラー
トなどの動脈硬化用系で知られる循環器用薬、さらにテ
ガフールなどの代謝拮抗剤系やエストラサイトなどのホ
ルモン剤やスルファメトキサゾールなどのサルファ剤、
イソニアジドなどの抗結核剤、ノルフロキサシンなどの
合成抗菌剤などの薬剤の投与により引き起こされる肝障
害、さらには、生活環境中に存在するビスフェノール、
フタル酸エステル、塩素化合物、アルキルフェノール、
アルコール類などの環境有害物質によって引き起こされ
る肝障害に有用であるのみならず免疫学的肝障害、ウィ
ルス性肝障害、脂肪肝、肝癌、アルコール性肝障害、肝
硬変などに有効である。従って、シイタケ菌糸体抽出物
ヘテロ多糖画分及び任意成分として薬剤的に許容できる
担体を含む、肝障害の治療用及び/又は予防用組成物と
して使用することができる。
【0031】投与経路は経口投与が最も好ましいが、静
脈内投与、皮下投与などであってもよい。経口投与に適
した製剤には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液
剤、シロップ剤などが含まれるが、これに限定されな
い。
【0032】薬剤的に許容できる担体には、当業界で公
知の適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香料、
着色剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などを含
むが、これに限定されない。
【0033】本発明の防御剤の投与量は患者の年齢、体
重、症状、投与経路などを考慮して医師、薬剤師、栄養
士などにより決定される。本発明の防御剤に含まれるシ
イタケ菌糸体抽出物は食品として使用されてきたもので
あり、極めて安全であるところから、投与量を厳しく限
定する必要はないが、通常ヘテロ多糖画分に換算して1
日あたり1mg−100mg、好ましくは5mg−30
mgである。さらに、肝障害の原因となる薬剤と併用し
て投与しても支障はない。
【0034】本発明の防御剤は、食品の形で提供するこ
ともできる。好ましい食品としては顆粒、麺類、キャン
ディー、ゼリー、クッキーなどが挙げられる。さらに、
本発明の防御剤は、飲料の形で提供することもできる。
このような食品、飲料にはシイタケ菌糸体抽出物の他
に、ビタミン剤、カルシウムなどの無機成分、キトサン
などの食物繊維、大豆抽出物などの蛋白質、レシチンな
どの脂質、乳糖などの糖類などを追加してもよい。
【0035】本発明を以下の実施例によりさらに詳しく
説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発
明の方法を種々変更、修飾して使用することが当業者に
は可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0036】
【実施例】実施例1:シイタケ菌糸体抽出物の調製法 バガス90重量部、米糖10重量部からなる固体培地に
純水を適度に含ませた後に、シイタケ種菌を接種し、温
度および湿度を調節した培養室内に放置し、菌糸体を増
殖させた。菌糸体が固体培地に蔓延した後、バガス基材
の繊維素を解束し、12メッシュ通過分が24重量%以
下となるようにした。この解束された培地1.0kgに、純
水3.5Lを加え、40℃に保ちながら精製セルラーゼ2.0
gを加えて培地含有混合物とした。次いで培地含有混合
物を変速付ギヤーポンプにより循環させながら、固体培
地にギヤー部分において粉砕およびすりつぶし作用を2
00分間程度加えバカス繊維の約80重量%が12メッ
シュ通過分となるようにした。培地含有混合物の粉砕お
よびすりつぶしは、該混合物の温度を徐々に上昇させな
がら行った。その後培地含有混合物をさらに加熱して、
90℃として30分間放置した。90℃への加熱によ
り、酵素を失活せしめ、かつ殺菌を施した。得られた培
地含有混合物を60メッシュろ布を用いてろ過してシイ
タケ菌糸体抽出物を得た。
【0037】実施例2:第1工程 実施例1で得られたシイタケ菌糸体抽出物乾燥粉末12
gを水2Lに溶解し、セライト545で処理して夾雑物
を除去した。これにエタノール8Lを加えて攪拌、静置
して生じた沈殿を遠心分離し、沈殿物としてエタノール
不溶画分を得た。エタノール不溶画分は粗多糖類画分で
あり、シイタケ菌糸体抽出物に対し、20%(凍結乾燥
重量)であった。
【0038】実施例3:第2工程 第1工程で得られたエタノール不溶画分1gを蒸留水2
00mLに溶解し、ジエチルアミノエチル−トヨパール
イオン交換カラム(2.5 x 50 cm:東ソー株式会社製)
のクロマトグラフィーにかけて、蒸留水で溶出した。カ
ラムに吸着されないイオン交換体非吸着画分が流出した
後、2M NaClでカラムに吸着されたイオン交換体吸着画
分を溶離した。溶離して得た各フラクションをフェノー
ル-硫酸法およびLowry法により波長490nm及び66
0nmで分光学的に測定したクロマトグラムを図2に示
す。得られたイオン交換体非吸着画分は47.5mg、イオ
ン交換体吸着画分は51.5mgであった。
【0039】実施例4:第3工程 第2工程で得られたイオン交換体非吸着画分(417.
5mg)を蒸留水(14mL)に溶解し、0.2M NaCl
で平衡化したセファロースCL-6B(ファルマシア社製)
を充填した2.5 x 120 cmのカラムクロマトグラフィーに
かけて、0.2M NaClで溶出した。この操作によって、分
子量の大きい順にホモ多糖画分、ヘテロ多糖画分及び低
分子画分を得た。この操作で得られたクロマトグラムを
図3に示す。得られたホモ多糖画分は10.02mg、ヘテ
ロ多糖画分は63.0mg、低分子画分は11.3mgであっ
た。
【0040】実施例5:各画分の組成 上記実施例で得られたシイタケ菌糸体抽出物の各画分に
ついて、シイタケ菌糸体抽出物に対する収率(%)、デ
キストランを標準とするゲルろ過法による分子量測定、
フェノール-硫酸法による糖質分析、Lowry法によるタン
パク質分析、および没食子酸を標準とするFolin-Denis
法によるポリフェノール分析を実施した。得られた結果
を上記表1に示す。
【0041】実施例6:分画成分の構成糖組成 加水分解管(3mL用、Pierce社製)に上記実施例で得
られた各画分1mgをとり、4M トリフルオロ酢酸を
1mL加えて真空シールし、100℃で3時間、酸加水
分解を行った。加水分解液をナスフラスコに移して粘稠
なオイル状になるまで減圧濃縮(ロータリーエバポレー
ター)し、純水2mLに溶解した後、0.45μmフィ
ルターでろ過し、高速液体クロマトグラフィーを用いた
ポストカラムラベル法により構成単糖の定量を行った。
アミノ糖は亜硝酸-indole法、ウロン酸はカルバゾール
法を用いて測定した。得られた結果を上記表2に示す。
【0042】実施例7:初代培養肝細胞を用いるin vit
ro試験 1)ラット肝細胞の分離及び初代培養 ラット(Wistar、雄、6−8週齢)の肝細胞を分離し、
37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。 2)肝細胞のCCl4及び被験物質による処理 1)で調製した肝細胞に、CCl4(DMSO溶液:肝
障害誘導物質)及び被験物質(ヘテロ多糖画分)を種々
の濃度で調整した無血清培地を500μl加え、24時
間37℃、5%CO2条件下で培養した。 3)GOT活性測定 培養液をエッペンドルフチューブに移し、10000r
pm、5分間、室温にて遠心した。この上清中のGOT
活性をGOT測定試薬(リキテックGOT IFCC:
ベーリンガーマンハイム社製)を用い、測定した。被験
物質を加えていない培養液上清のGOT活性の平均値を
100としたときの各培養液上清のGOT活性の割合を
求め、肝障害強度とした。その結果を図4に示す。
【0043】図から明らかなように、ヘテロ多糖画分
は、肝障害防御効果が観察された。
【0044】実施例8:CCl4で誘導したラット肝障害モ
デルを用いるin vivo試験 ヘテロ多糖画分ならびに比較対照として強力ネオミノフ
ァーゲンC(肝臓障害用剤)をラットに7日間経口投与
し、CCl4誘導の肝障害防御効果を検討した。投与終
了後、CCl4を腹腔内投与し、肝障害を引き起こした
後、下大静脈から採血し、血清中のGPT活性を測定し
た。得られた結果を図5に示す。
【0045】図から明らかなように、シイタケ菌糸体抽
出物のヘテロ多糖画分は、肝障害防御効果が観察され
た。
【0046】
【発明の効果】本発明のシイタケ菌糸体抽出物ヘテロ多
糖画分は顕著な肝障害の防御効果を有しており、肝障害
の予防、治療に使用できる。本発明の防御剤は、肝障害
の原因となる薬剤の投与と併用することができ、また副
作用がないことから、安全に使用でき、大きな産業上の
利用可能性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分離、精製方法の概略を示す図であ
る。
【図2】本発明の第2工程であるイオン交換カラムクロ
マトグラフィーの結果を示す図である。
【図3】本発明の第3工程であるゲルろ過カラムクロマ
トグラフィーの結果を示す図である。
【図4】ラット初代培養肝細胞を用いるin vitro試験に
おけるヘテロ多糖画分の肝障害防御試験の結果を示すグ
ラフである。
【図5】CCl4で誘導したラット肝障害を用いるin vivo
試験におけるヘテロ多糖画分の肝障害防御試験の結果を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/84 A23L 2/00 F (72)発明者 杉野 玲子 大阪府大阪市淀川区三津屋南3−13−35 小林製薬株式会社内 (72)発明者 白銀 英樹 大阪府大阪市淀川区三津屋南3−13−35 小林製薬株式会社内 (72)発明者 竹内 豊実 大阪府大阪市淀川区三津屋南3−13−35 小林製薬株式会社内 Fターム(参考) 4B017 LG19 LK13 LL09 LP01 4B018 LB01 LB02 LB08 MD33 MD83 ME14 MF01 4C088 AA08 AC17 BA12 BA21 BA25 BA26 CA14 MA52 ZA75 4C090 AA01 AA08 AA09 BA61 BB10 BB12 BB13 BB14 BB21 BC18 BD16 DA23

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の工程: 1)シイタケ菌糸体抽出物をエタノールを含有する水溶
    液で処理することにより、エタノール不溶性画分と可溶
    性画分に分ける; 2)工程1で得られたエタノール不溶性画分をイオン交
    換体で処理し、イオン交換体非吸着画分とイオン交換体
    吸着画分に分ける; 3)工程2で得られたイオン交換非吸着画分をゲルろ過
    クロマトグラフィーにかけて、ホモ多糖画分、ヘテロ多
    糖画分及び低分子画分に分ける、ことによって得られる
    シイタケ菌糸体抽出物のヘテロ多糖画分。
  2. 【請求項2】以下の理化学的性質を有する請求項1記載
    のヘテロ多糖画分: 1) 分子量: 5,000〜50,000 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)比旋光度[α]D 20: 54.23。
  3. 【請求項3】以下の理化学的性質を有する請求項1記載
    のヘテロ多糖画分: 1) 分子量: 5,000〜50,000 (デキストランを標準とするゲルろ過法により測定) 2)構成単糖組成(%): キシロース: 3.4 マンノース: 14.0 グルコース: 41.0 ガラクトース: 29.6 アミノ糖: 6.1 ウロン酸: 5.9 3)比旋光度[α]D 20: 54.23。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のヘテロ多
    糖画分を含む肝障害防御剤。
  5. 【請求項5】肝障害の治療用及び/又は予防用組成物で
    ある請求項4記載の防御剤。
  6. 【請求項6】経口で投与する請求項4又は5記載の防御
    剤。
  7. 【請求項7】食品である請求項4記載の防御剤。
  8. 【請求項8】飲料である請求項4記載の防御剤。
JP10338266A 1998-11-27 1998-11-27 シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途 Withdrawn JP2000159807A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10338266A JP2000159807A (ja) 1998-11-27 1998-11-27 シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10338266A JP2000159807A (ja) 1998-11-27 1998-11-27 シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000159807A true JP2000159807A (ja) 2000-06-13

Family

ID=18316513

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10338266A Withdrawn JP2000159807A (ja) 1998-11-27 1998-11-27 シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000159807A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005072763A1 (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd. 肝線維化抑制剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005072763A1 (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd. 肝線維化抑制剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mizuno Bioactive substances in Hericium erinaceus (Bull.: Fr.) Pers.(Yamabushitake), and its medicinal utilization
US5683991A (en) Blocking the attachment of germs to human cells
KR870001930B1 (ko) 다당체 ron물질의 제조 방법
WO2008082200A1 (en) Antitumoric compositions for oral administration comprising chlorin compounds
JP2022529085A (ja) 葛根多糖およびその製作方法並び用途
JP2000159808A (ja) 担子菌類菌糸体抽出物の分離、精製方法
US4614733A (en) Polysaccharides pharmaceutical compositions and the use thereof
JPH07284375A (ja) イザリア型虫草を主成分とする免疫強化食品
JP2000159809A (ja) シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途
JPH05117303A (ja) ヤマブシタケ由来の水溶性多糖類及び該水溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤
JP2000159807A (ja) シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途
JPH0245499A (ja) オタネニンジン糖タンパク質およびその用途
JP2000159684A (ja) シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途
JP2000157205A (ja) シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途
JP4405611B2 (ja) 肝障害防御剤
JPS63119427A (ja) 抗アレルギ−剤
KR100729213B1 (ko) 면역 증강 활성을 갖는 잎새 버섯의 액체배양물로부터분리한 세포외 생체고분자
JP2000157204A (ja) シイタケ菌糸体抽出物の分画物及びその用途
JPH11302191A (ja) ハタケシメジ抽出物を活性成分とする免疫賦活剤及び抗腫瘍剤
JP2714663B2 (ja) 腸内有益菌増殖促進剤
JPH119223A (ja) 健康食品
JPH05117304A (ja) ヤマブシタケ由来の水不溶性多糖類及び該水不溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤
JPH0139759B2 (ja)
JPH0680703A (ja) キノコに由来する水不溶性多糖類、その製造方法及び該水不溶性多糖類を主剤とする抗腫瘍剤
JP3048628B2 (ja) 還元ヘキサ―n―アセチル―キトヘキサオースを有効成分とする抗腫瘍剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090716

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090914