JPH0733675A - 血中脂質改善剤及びこれを含有する組成物 - Google Patents

血中脂質改善剤及びこれを含有する組成物

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JPH0733675A JP5179431A JP17943193A JPH0733675A JP H0733675 A JPH0733675 A JP H0733675A JP 5179431 A JP5179431 A JP 5179431A JP 17943193 A JP17943193 A JP 17943193A JP H0733675 A JPH0733675 A JP H0733675A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血中脂質量のバランスの崩れを十分に改善す
る作用を有し、動脈硬化を抑制する効果に優れ、しかも
安全性が高い血中脂質改善剤およびこれを含有する組成
物を提供する。 【構成】 リグストルム ペドンクラレの抽出物を血中
脂質改善剤に配合する。又、この血中脂質改善剤を食
品、医薬品等の組成物に配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血中脂質改善剤及びそ
れを含有する組成物に関し、詳しくは、リグストルム
ペドンクラレの抽出物を有効成分として含有する血中脂
質改善剤及びこの血中脂質改善剤を含有する組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の欧米化が進むにつれて、
国民一人当たりの脂肪摂取量も増加し続けており、なか
でも、若年層における総脂肪摂取量の増加及び全年齢層
における動物性脂肪摂取量の増加が、特に著しい。この
ため、過度に脂肪を摂取することにより、血中コレステ
ロール量、血中トリグリセリド量等の血中脂質量が増加
した病態である高脂血症を起こし、動脈硬化をはじめと
する循環系の成人病にかかる人が多く、また循環系成人
病の若年化を招き、社会問題のひとつとなっている。
【0003】このような循環系の成人病を抑制するため
に、動脈硬化等の原因となる高脂血症などの、血中脂質
量が増加した病態を改善する方法として、従来より、リ
ノール酸などの多価不飽和脂肪酸を摂取する方法や、ク
ロフィブレートやニコチン酸等を用いる等の方法がとら
れてきた。
【0004】しかしながら、多価不飽和脂肪酸は長期連
用が必要な上に過剰摂取に問題があり、クロフィブレー
トは筋けいれん等の副作用があり、またニコチン酸にも
全身紅潮、胃障害等の副作用があるといった問題があっ
た。
【0005】ところで、リグストルム ペドンクラレ
は、モクセイ科イボタノキ属の植物であり、中国四川地
方で消炎、抗疲労などの効能があるとされ、古くから用
いられている植物である。
【0006】しかし、この植物の抽出物が、血中コレス
テロール量、血中トリグリセリド量等の血中脂質量のバ
ランスの崩れを改善する作用を有することは知られてお
らず、また、これらを利用して高脂血症等を改善しよう
とする試みはいまだ報告されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、血中脂質量のバランスの崩れを
十分に改善する作用を有し、動脈硬化を抑制する効果に
優れ、かつ安全性が高い血中脂質改善剤及びこれを含有
する組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、血中脂質量、特に血中コレステロール
量のバランス及び血中トリグリセリド量を改善する作用
を有する成分を鋭意探索した結果、リグストルム ペド
ンクラレの抽出物に、優れた血中コレステロール量バラ
ンス改善作用を有すると共に、血中トリグリセリド量の
改善作用も十分に有する成分が存在することを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、リグストルム ペド
ンクラレの抽出物を有効成分として含有する血中脂質改
善剤及びこの血中脂質改善剤を含有する食品、医薬品等
の組成物である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】<1>本発明の血中脂質改善剤 (1)リグストルム ペドンクラレの抽出物及びその分
画物 本発明の血中脂質改善剤は、リグストルム ペドンクラ
レの抽出物を有効成分として含有する。
【0012】まず、本発明において用いるリグストルム
ペドンクラレ(Ligustrum pedunculare Rhed.)とは、
中国四川地方で多く採集される、モクセイ科イボタノキ
属の植物である。
【0013】上記リグストルム ペドンクラレは、血中
脂質量、特に血中コレステロール量及び血中トリグリセ
リド量のバランスを改善する作用を有する成分を含んで
おり、粉砕した葉をそのまま用いることも可能である
が、抽出により前記成分を含む抽出物を取り出して、本
発明の血中脂質改善剤の有効成分として用いることが好
ましい。本発明において抽出物とは、このような粉砕物
及び抽出物、更に後述する分画物、又はこれらの濃縮物
のいずれでもよく、またこれらの混合物でもよい。
【0014】リグストルム ペドンクラレの抽出処理
は、連続式、バッチ式等の方法で、常法により冷浸、ま
たは温浸にて任意の時間行う。例えば、リグストルム
ペドンクラレの葉を細切し、抽出溶媒に、室温で1〜3
日間、または抽出溶媒の沸騰温度で1時間〜5時間、浸
漬し抽出を行う。その後、抽出液から抽出残渣を除い
て、減圧または限外濾過を行い抽出物を濃縮する。さら
に、必要に応じて有機溶媒を完全に留去して乾固するか
または凍結乾燥させる。
【0015】抽出に用いる溶媒としては、水及び/又は
極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、メタ
ノール、エタノール、アセトンなどが挙げられ、これら
を単独または2種以上混合して用いてもよく、またこれ
らと水との混合溶媒としてもよい。
【0016】このようにして得られた抽出物を製剤化に
用いてもよいが、さらにこの抽出物のうち血中脂質量の
バランスを改善する作用を有する成分を高濃度に含有す
る分画物を使用してもよい。分画物を得るためには、上
記抽出物を吸着分配型充填剤、ゲル濾過剤などを充填し
たカラムに通す、カラムクロマトグラフィ等の方法を用
いる。
【0017】例えば、上記抽出物を精製水に溶解させ、
アンバーライトXAD−2(多孔性スチレン−ジビニル
ベンゼンコポリマー、オルガノ(株)製)に通すと、血
中脂質量のバランスを改善する作用を有する成分は、ア
ンバーライトXAD−2に吸着する。この吸着物を、エ
タノールやアセトン等で溶出させると、前記成分を高濃
度に含有する分画物が、前記溶媒の溶液として得られ
る。さらに、必要に応じてこの溶液から溶媒を完全に留
去して乾固する等の処理を行ってもよい。また、この変
法として、バッチ法で分画処理を行うこともできる。
【0018】なお、分画を行う前に必要ならば、前処理
として、前記抽出物をn−ヘキサンや石油エーテルなど
の非極性溶媒を用いて常法により脱脂処理を行ってもよ
い。
【0019】(2)血中脂質改善剤 本発明の血中脂質改善剤は、上記リグストルム ペドン
クラレの抽出物を含有するものである。また、この抽出
物は、そのまま製剤とすることもできるし、各種基剤に
配合して製剤としてもよい。
【0020】配合量や基剤の種類は特に限定されるもの
ではなく、適宜設定すればよいが、基剤としては例え
ば、錠剤、カプセルあるいはドリンク等の経口用基剤が
好ましい。
【0021】 <2>本発明の血中脂質改善剤を含有する組成物 本発明の組成物は、上記血中脂質改善剤を、常法に従っ
て配合したものであり、例えば、食品、医薬品等が挙げ
られる。
【0022】食品に、上記血中脂質改善剤を用いる場合
には、一般食品として、各々の食品原料に抽出物の所要
量を加え、通常の製造方法により加工製造することによ
り、また、健康食品、機能性食品として、植物や抽出
物、分画物をそのまま、或は食べ易い状態にして使用す
ることができる。
【0023】本発明の医薬品の剤型は、特に限定されな
いが、一般に製剤上許容される無害の一種、或は数種の
ベヒクル、坦体、賦形剤、統合剤、防腐剤、安定剤、香
味剤等と共に混和して、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、水
薬等の内服剤型とすることが好ましい。これらは、従来
公知の技術を用いて製造することができる。
【0024】これらの組成物における上記血中脂質改善
剤の配合量は、通常は、リグストルム ペドンクラレの
抽出物として成人1日当り10〜2000mg/kg、
好ましくは、30〜100mg/kg、分画物では、5
〜1000mg/kg、好ましくは15〜50mg/
kgである。
【0025】なお、リグストルム ペドンクラレは、中
国四川地方においてお茶として広く飲用に供されている
ものであり、安全性に関して問題はない。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。はじめ
に、本発明の血中脂質改善剤の実施例を示す。
【0027】
【実施例1】乾燥したリグストリム ペドンクラレの葉
を5〜10mm長に細切したもの100gに精製水10
00mlを加えて105℃にて3時間還流抽出した。そ
の後、これを濾過し、得られた濾液を減圧下のロータリ
ーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を凍結乾燥
し、34.3gのリグストリム ペドンクラレ抽出物を
得た。この抽出物は特有の匂いを有する褐色の不定形固
形物で吸湿性を有するものであった。これをそのまま血
中脂質改善剤とした。
【0028】
【実施例2】前記実施例1で得られたリグストリム ペ
ドンクラレ抽出物6.0gを、30mlの精製水に溶解
し、120mlのアンバーライトXAD−2を充填した
カラムに通し、次いで500mlの精製水を通して、得
られた溶出部を非吸着画分とした。次に、吸着部を得る
ために、上記カラムに99.5%エタノール水溶液50
0mlを通し、溶出物をロータリーエバポレーターで溶
媒留去した。こうして3.4gの99.5%エタノール
溶出画分を得た。
【0029】以上のようにして得られた分画物のうち、
99.5%エタノール溶出画分のみに、血中脂質改善作
用が認められた。なお、この分画物は、特有の匂いを有
する淡褐色の不定形固形物で吸湿性を有し、水、メタノ
ール、エタノールなどに可溶であるがn−ヘキサン、ジ
エチルエーテルなどに不溶であり、塩化第二鉄反応に陽
性であった。
【0030】TLC(PSC-Frtigplatten Kieselgel 60
:MERCK社製)では、展開溶媒クロロホルム:メタ
ノール=10:1で50%硫酸噴霧後加熱発色によりR
f値0.00〜0.27に数個のスポットとして確認し
た。同条件で展開溶媒をクロロホルム:メタノール:水
=45:15:2とするとRf値0.03〜0.62に
数個のスポットとして確認された。これをそのまま血中
脂質改善剤とした。
【0031】<本発明の血中脂質改善剤の評価>上記各
実施例で得られた血中脂質改善剤について、血中脂質改
善効果に関する評価を行った。
【0032】室温22±1℃に調整された飼育室で、1
群10匹づつのICR系5週令雄性マウスを、日本クレ
ア(株)製CE−2(80%)及びセルロースパウダー
(20%)の混合固形飼料と水を自由に摂取させて4週
間予備飼育した。
【0033】その後、ブランク群には、上記混合固形飼
料と同じ配合の混合固形飼料と水を、コントロール群と
テスト群1、2には、日本クレア(株)製CE−2(8
0%)及びラード(20%)の混合固形飼料と水を、そ
れぞれ自由に摂取させながら、ブランク群とコントロー
ル群には、1重量%カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム水溶液を、テスト群1、2には、上記実施例1で得
られた血中脂質改善剤を10重量%含有する1重量%カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を、それぞ
れ0.5ml/匹/日の投与量で2週間経口投与した。
【0034】投与終了後、すべてのマウスを16時間絶
食させ、採血を行った。得られた血液から常法により血
清を採取し、総コレステロール量を酵素法により、HD
L−コレステロール量をヘパリン−Mn沈殿酵素法によ
り、トリグリセリド量を酵素法によりそれぞれ測定し
た。
【0035】総コレステロール量、HDLコレステロー
ル量、トリグリセリド量のほかに、総コレステロール量
からHDLコレステロール量を引いたものをHDLコレ
ステロール量で割った値を動脈硬化指数として評価に用
いた。結果を、各群10匹のマウスの平均値として、標
準偏差とともに表1に示す。尚、表中*は、コントロー
ル群に対して5%未満の危険率で、**は、コントロー
ル群に対して1%未満の危険率で、それぞれ有意差があ
ることを示す。
【0036】
【表1】
【0037】次に、実施例2の血中脂質改善剤に関して
同様の試験を行った。ただし、血中脂質改善剤の投与量
は、70mlの1重量%カルボキシメチルセルロースナ
トリウム水溶液に上記血中脂質改善剤を3.4g溶解し
たもので、0.5ml/匹/日とした。結果を、各群1
0匹のマウスの平均値として、標準偏差とともに表2に
示す。尚、表中*は、コントロール群に対して5%未満
の危険率で、**は、コントロール群に対して1%未満
の危険率で、それぞれ有意差があることを示す。
【0038】
【表2】
【0039】表1、2に示すように、本発明の血中脂質
改善剤を投与されたマウスは、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム水溶液のみを投与されたマウスに比べ、
有意に動脈硬化指数の上昇を抑制する作用があり、更
に、総コレステロールに占めるHDLコレステロールの
割合を高めることができ、トリグリセリド量を低減する
作用があることが明らかである。
【0040】<急性毒性試験>体重13〜19gのdd
系マウス1群10匹を用いて経口投与での急性毒性試験
を行った。試料は、実施例1で得られた血中脂質改善剤
を30重量%含有する水溶液を用い、12.0g/kg
経口投与し72時間後の生死を判定した。その結果、死
亡したものは認められず、その後1週間の引き続き観察
においても正常動物群との差異は認められなかった。
【0041】次に、本発明の血中脂質改善剤を含有する
組成物について実施例を説明する。
【0042】
【実施例3】 キャンディー 表3中のA成分を150℃で加熱溶解させ120℃に冷
却後、B成分を添加、撹拌後、均一としたものを成型、
冷却してキャンディーとした。
【0043】
【表3】
【0044】
【実施例4】 グミ 表4中A成分を110℃で加熱溶解させ、別途膨潤溶解
させたB成分を添加し更にC成分を添加し、型に流し込
み、一昼夜放置後型からはずしグミを製造した。
【0045】
【表4】
【0046】
【実施例5】 カプセル剤 表5中のA成分を混合撹拌し、均一なものとし、これに
B成分を加えてニーダーにより十分に混練した。これを
カプセル充填機によりカプセル化し製品とした。
【0047】
【表5】
【0048】
【実施例6】 錠剤 表6の成分を均一に混合し、流動法で造粒してから乾燥
した。これを打錠機にて打錠して製品とした。
【0049】
【表6】
【0050】
【実施例7、8】 顆粒剤 表7中のA成分を60号篩で篩過し、均一に混合した
後、練合機へ入れ、B成分の5%水溶液を注加して、練
合した。次いで18合篩で篩過した後、50℃で24時
間送風乾燥した。乾燥後製粒して実施例7および8の顆
粒剤を製造した。
【0051】
【表7】
【0052】
【発明の効果】本発明の血中脂質改善剤およびこれを含
有する組成物は、血中脂質量のバランスの崩れを十分に
改善する作用を有し、動脈硬化を抑制する効果に優れ、
しかも安全性が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陳 新民 中国四川省成都市人民南路4段9号中国科 学院成都生物研究所内 (72)発明者 楊 磊 中国四川省成都市人民南路4段9号中国科 学院成都生物研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグストルム ペドンクラレの抽出物を
    有効成分として含有する血中脂質改善剤。
  2. 【請求項2】 前記抽出物が、水及び/又は極性有機溶
    媒で抽出されたことを特徴とする請求項1記載の血中脂
    質改善剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の血中脂質改善剤を含有す
    る組成物。
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