JPH05340020A - 屋根トラスの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】天井パネルの鋼製の枠材を用いて構造耐力を低
下させることなく屋根トラスを形成し、部材種類の削減
を図りうる。 【構成】鋼製の枠材２、２を有する矩形の大型の周囲枠
３を具える天井パネル４を、家屋の壁構造体５の上端に
架け渡すとともに、前記枠材２の両端部に、山形状に上
端で接続される１対の鋼製の斜材６、６の各下部を固定
することにより、該斜材６、６と前記枠材２とを用いて
屋根トラス７を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、天井パネルの枠材を用
いて屋根トラスを形成でき、部材種類の削減を図りうる
屋根トラスの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、施工性を高めるために、鋼製の枠
材を矩形に接合した大型の周囲枠を具えた天井パネルを
クレーンを用いて家屋の壁構造体の上端に架け渡すこと
により天井を形成するパネル工法の家屋が普及してい
る。

【０００３】一方、このようなパネル工法の家屋の屋根
もいわゆる屋根パネルを用いて形成されるが、この屋根
パネルは、前記壁構造体の上端に架設される鋼製の屋根
トラスにより支承される。

【０００４】このような屋根トラスと前記天井パネルと
は、従来、例えば該屋根トラスから垂下しかつ天井パネ
ルの前記枠材にボルト止めされる吊り金具を用いて連結
され、従って天井パネルと屋根トラスとは別部材を用い
て個別に形成されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記天井
パネルと屋根トラスとを別部材を用いて形成する従来の
ものにあっては、天井パネルを構成する枠材などの部
材、および屋根トラスを構成する下弦材などの部材種類
が増し、施工コストを増大させることがあった。

【０００６】本発明者は、天井パネルの大型の周囲枠を
構成する長尺の枠材が水平に架け渡される鋼製の部材で
あることに着目し、該枠材を屋根トラスの下弦材として
利用することにより、屋根トラスを、その構造耐力を低
下させることなく形成でき、部材種類を削減しうる本発
明を完成させた。

【０００７】従って、本発明は、鋼製の枠材を有する周
囲枠を具えた天井パネルの前記枠材と、この枠材の両端
部に各下部が固定される１対の鋼製の斜材とを用いて屋
根トラスを形成することを基本として、屋根トラスの構
造耐力を低下させることなく該屋根トラスを形成でき、
しかも部材種類の削減を図りうる屋根トラスの構造の提
供を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明の屋根トラスの構造は、鋼製の１対かつ平行な
枠材を有する矩形の大型の周囲枠を具えかつ家屋の天井
を形成する天井パネルを、家屋の壁構造体の上端に前記
枠材を跨がらせて架け渡すとともに、前記枠材の両端部
に、山形状に上端で接続される１対の鋼製の斜材の各下
部を固定することにより、該斜材と前記枠材とを用いて
家屋の屋根を支承する屋根トラスを形成する。

【０００９】

【作用】天井パネルを壁構造体の上端に架け渡し、かつ
その鋼製の枠材の両端部に、山形状に上端で接続される
１対の鋼製の斜材の各下部を固定することにより、該斜
材と前記枠材とを用いて屋根トラスを形成する。このよ
うに屋根トラスの下弦材として天井パネルの枠材を利用
するため、部材種類を削減でき、施工コストを節減しう
るとともに、屋根トラスは、鋼製の枠材、斜材を具えた
いわゆる三角トラスをなすため、その構造耐力を低下さ
せることはなく、屋根荷重を確実に担持しうる。

【００１０】又天井パネルは、屋根トラスの一部を構成
し該屋根トラスと一体化されるため、天井パネルの枠材
は、天井の他、家屋架構体をも併せて形成でき、部材の
付加価値を高めうる。

【００１１】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図において本発明の屋根トラスの構造は、鋼製の１
対かつ平行な枠材２、２を有する矩形の大型の周囲枠３
を具えかつ家屋の天井を形成する天井パネル４を、家屋
の壁構造体５の上端に前記枠材２を跨がらせて架け渡す
とともに、前記枠材２の両端部に、山形状に上端で接続
される１対の鋼製の斜材６、６の各下部を固定すること
により、該斜材６、６と前記枠材２とを用いて家屋の屋
根を支承する屋根トラス７を形成する。

【００１２】前記天井パネル４は、図７に示すように、
垂直なウエブの上下に水平なフランジを設けた断面コ字
の形鋼材からなる枠材２、２、枠材９、９を溝部を向き
合わせて矩形に接合した大型の周囲枠３を具えるととも
に、該周囲枠３の長辺をなす１対かつ平行な前記枠材
２、２間には周囲枠３の短辺をなす前記枠材９、９と平
行な野縁１０…が例えば５本架け渡される。

【００１３】野縁１０は、その両端上部に矩形の切欠部
１０Ａ、１０Ａを設けており、該切欠部１０Ａを前記枠
材２の下のフランジ下面に固着することにより、その下
面を枠材２下面の下方に位置させて該枠材２に取付けら
れる。

【００１４】又前記周囲枠３には、１対の水平ブレース
１１、１１が配される。水平ブレース１１、１１は、断
面Ｌ字状をなす長尺のアングル金具であって、その水平
な１片の一端を前記枠材２と枠材９とが直角に交わる部
分の上のフランジに溶接などにより固定し、かつ他端を
枠材２の長手方向略中央の上のフランジに固着すること
により、周囲枠３にく字状に取付けられる。

【００１５】なお前記野縁１０…下面には、家屋の天井
面を形成しうる例えば石膏ボードからなる天井板１２
（図２に示す）が添着される。

【００１６】このような天井パネル４は、家屋の壁構造
体５の上端に前記枠材２、２、枠材９、９を跨がらせて
架け渡される。壁構造体５は、本実施例では、家屋の外
壁を形成する壁パネル１３…と、該壁パネル１３、１３
の上端間を継ぐ屋根梁１４とからなる。

【００１７】壁パネル１３は、枠材を矩形に接合した枠
組１３Ａの内外に面材１３Ｂ、１３Ｂを添着してなる一
体可搬のパネル体であって、その下端を梁材に適宜の取
付金具（ともに図示せず）を用いて固定することにより
該梁材に立設される。又壁パネル１３…は、図１に示す
ように、家屋の出隅Ａを形成して直角に配されるととも
に、平行な壁パネル１３、１３間には、その上端に固定
される屋根金具１５を介して前記屋根梁１４が架け渡さ
れる。

【００１８】屋根金具１５は、図３に示すように、壁パ
ネル１３の前記枠組１３Ａ上にボルト止めされる下片１
５Ａ、屋根勾配でのびる上片１５Ｂの各内端を垂直な立
片１５Ｃで継いだ基体を具えるとともに、図１に示すよ
うに、併設された壁パネル１３、１３上端に跨がって該
壁パネル１３、１３に固定される。

【００１９】又前記屋根金具１５の立片１５Ｃには、断
面コ字の形鋼材からなる屋根梁１４の端部がその溝部を
上に向けてボルト止めされ、該屋根梁１４を水平に保持
するとともに、該屋根梁１４と平行な壁パネル１３上端
にも前記屋根金具１５が固定される。なお屋根梁１４の
下面には、図４に示すように、該屋根梁１４にボルト止
めされる固定片２０Ａと、この固定片２０Ａの両端縁か
ら垂下する垂下片２０Ｂ、２０Ｂと、該垂下片２０Ｂ、
２０Ｂの下端から水平に突出する受片２０Ｃ、２０Ｃと
からなる吊り金具２０が取付けられる。

【００２０】さらに屋根金具１５は、前記屋根梁１４と
直角に配される壁パネル１３の上端かつ略中央にもボル
ト止めされるとともに、該壁パネル１３上端、および屋
根梁１４と平行な壁パネル１３上端には、屋根金具１５
と略同構成の屋根金具１６…が固定される。

【００２１】又前記出隅Ａかつ壁パネル１３、１３上端
には、図５、図６に示すように、出隅の屋根金具１７が
固定される。出隅の屋根金具１７は、直角に配される壁
パネル１３、１３の各枠組１３Ａ、１３Ａに夫々ボルト
止めされるＬ字状の水平な固定片１７Ａの各片に、その
内端から立上がる取付片１７Ｂ、１７Ｂを設けた下金物
１７Ｃ、および前記固定片１７Ａに立設されかつ家屋の
屋根を形成しうる屋根パネル１９を支持する支持金物１
７Ｄを具える。

【００２２】前記天井パネル４は、前記屋根金具１５…
の各立片１５Ｃ、屋根金具１６…の各立片、出隅の屋根
金具１７の取付片１７Ｂ、１７Ｂ、および屋根梁１４下
面にボルト止めされた前記吊り金具２０の垂下片２０Ｂ
に、前記枠材２、２、枠材９、９の各ウエブを夫々ボル
ト止めすることにより、該屋根金具１５、１６、出隅の
屋根金具１７、吊り金具２０を介して壁パネル１３…、
屋根梁１４に固定される。なお天井パネル４は、図１に
示すように、前記水平ブレース１１を前記出隅Ａからの
びるごとく壁構造体５の上端に水平に架け渡されるとと
もに、前記１対の枠材２、２の内、壁パネル１３と直角
に配される枠材２Ａのウエブには、隣接して壁構造体５
上端に架設される他の天井パネル４の枠材２Ｂのウエブ
が当着する。なお該他の天井パネル４の水平ブレース１
１と天井パネル４の水平ブレース１１とは、略一直線上
に配され、これにより水平方向の荷重を担持でき、家屋
の歪みを防止できる。

【００２３】前記枠材２Ａと該枠材２Ａに当着する他の
天井パネル４の枠材２Ｂとの各両端部には、１対の溝形
鋼からなる斜材６、６の下部がその溝部を下に向けて固
定される。斜材６は、その両側面下部に溶着された台形
状の立上げ片２１Ａ、２１Ａの下端を水平な取付片２１
Ｂで継いだ固定金具２１を予め取付けており、又山形状
に配される１対かつ同長の斜材６、６の上端は、ガゼッ
トプレート２２を用いて接続されている。

【００２４】前記斜材６、６は、前記固定金具２１、２
１の取付片２１Ｂ、２１Ｂを、枠材２Ａ、２Ｂ両端部に
ボルト止めすることにより、該枠材２Ａ、２Ｂに固定さ
れるとともに、この斜材６、６と、枠材２Ａ、２Ｂと、
斜材６、６の上端から垂下しかつ下端が枠材２Ａ、２Ｂ
に固定される束材２３とにより前記屋根パネル１９を支
承する三角状の屋根トラス７を形成する。

【００２５】なお屋根パネル１９は、図２に示すよう
に、枠材２４…を接合してなる周囲枠に母屋材２５…を
架設した枠組の上面に野地板２６を添着した一体可搬の
パネル体であって、その軒先端近傍を前記屋根金具１
５、１６の上片１５Ｂに取付け、かつ前記母屋材２５を
前記屋根トラス７の斜材６、６上端に突設した支持金具
２７にボルト止めすることにより屋根トラス７に支承さ
れる。なお屋根パネル１９は、その棟部が前記屋根梁１
４に立設する束材２９上端に取付く受金具３０により支
持され、家屋の屋根下地を形成する。

【００２６】

【発明の効果】叙上の如く本発明の屋根トラスの構造
は、天井形成用の天井パネルの鋼製の枠材と、該枠材に
取付く１対の斜材とを用いて屋根トラスを形成するた
め、天井パネルと屋根トラスとを構造耐力を低下させる
ことなく一体化でき、部材種類を削減しうるとともに、
施工コストの節減を図りうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す平面図である。

【図２】その断面図である。

【図３】天井パネルと斜材との取付状態を示す部分断面
図である。

【図４】天井パネルと斜材との取付状態を示す部分断面
図である。

【図５】天井パネルの出隅部の取付状態を示す平面図で
ある。

【図６】その断面図である。

【図７】天井パネルを例示する斜視図である。

【符号の説明】 ２、２Ａ、２Ｂ 枠材 ３ 周囲枠 ４ 天井パネル ５ 壁構造体 ６ 斜材 ７ 屋根トラス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鋼製の１対かつ平行な枠材を有する矩形の
   大型の周囲枠を具えかつ家屋の天井を形成する天井パネ
   ルを、家屋の壁構造体の上端に前記枠材を跨がらせて架
   け渡すとともに、前記枠材の両端部に、山形状に上端で
   接続される１対の鋼製の斜材の各下部を固定することに
   より、該斜材と前記枠材とを用いて家屋の屋根を支承す
   る屋根トラスを形成してなる屋根トラスの構造。