JPH05338455A - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置

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JPH05338455A
JPH05338455A JP4147115A JP14711592A JPH05338455A JP H05338455 A JPH05338455 A JP H05338455A JP 4147115 A JP4147115 A JP 4147115A JP 14711592 A JP14711592 A JP 14711592A JP H05338455 A JPH05338455 A JP H05338455A
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rear wheel
lateral acceleration
wheel speed
torque
turning
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Hiroki Sasaki
博樹 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 後輪にはエンジン駆動力を直接伝達し、前輪
にはトルク配分用クラッチを介して伝達するトルクスプ
リット式の四輪駆動車において、低横加速度旋回時での
駆動性能を低下させることなく、内輪空転の発生前後を
含めて限界旋回付近での車両コントロール性の向上を図
ること。 【構成】 重み係数設定手段dにより、少なくとも横加
速度が大きい時に横加速度に応じて大きな重み係数を設
定し、後輪速演算手段eでは、この重み係数に基づいて
高横加速度であるほどセレクトロー傾向による後輪速を
演算し、この後輪速演算値から前輪速演算値を差し引い
た前後輪回転速度差演算値に応じた締結力指令をトルク
配分用クラッチaへ出力する駆動力配分制御手段gを設
けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前後輪駆動力配分が変
更可能な四輪駆動車の駆動力配分制御装置、特に、旋回
限界付近での車両のコントロール性向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、四輪駆動車の駆動力配分制御装置
としては、例えば、特開昭63−13331号公報に記
載されている装置が知られている。
【0003】この従来出典には、後輪ベースの四輪駆動
車において、前後輪回転速度差が大きいほど前輪側への
配分する駆動トルクを増し、また、横加速度が大きいほ
ど制御ゲインを小さくし、前輪側への駆動トルク配分を
小さくし、走行性能(駆動性能,安定性)並びに旋回性
能(回頭性,限界の高さ,アクセルコントロール性)の
向上を図る技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の駆動力配分制御装置にあっては、左右後輪速
の平均値から左右前輪速の平均値を差し引いた前後輪回
転速度差に比例した駆動トルクを前輪側に伝達する制御
となっている為、高横加速度旋回時で前輪が大きな横力
を必要とする時に、ドライバーのアクセル操作で前後輪
回転速度差が増大すると、その増大に応じて前輪側に駆
動トルクが伝達されてしまい、マサツ円の原理によっ
て、前輪の横力が低下し、さらに、アンダーステアが出
てしまい、車両コントロール性が低くなってしまうとい
う問題がある。特に、限界に近い旋回時で、内輪空転発
生時には、左右後輪速の平均値が急上昇し、前輪側への
駆動トルク伝達量が急増することでこの問題が顕著とな
る。
【0005】すなわち、高横加速度旋回時の車両軌跡と
しては、図9に示すように、旋回中期である区間Bでク
リッピングポイントCPに向けてアクセル踏み込み操作
を行なうと、不要な前輪側への駆動トルク伝達により、
前輪の横力が低下してアンダーステアが強まり、旋回軌
跡が膨らんで目標のクリッピングポイントCPに着くこ
とができない。
【0006】上記問題に対し、特開平2−30392号
公報には、内輪空転を検出したら、後輪速を左右後輪速
の平均値により得るのに代え、旋回外輪側の遅い後輪速
を選択するセレクトローにより後輪速を得るようにし、
過剰な前輪側への駆動トルク伝達による前輪の横力低下
を抑え、操安性を向上させる技術が提案されている。し
かし、高横加速度旋回時であっても車両の駆動状態によ
って内輪空転が起きたり起きなかったりする。このた
め、高横加速度旋回時で内輪空転が起きない時には、平
均値後輪速による制御となり問題解決とはならないし、
また、高横加速度旋回時で内輪空転が起きるような時に
は、内輪空転状態に移行したら急に後輪速がセレクトロ
ーに切り換わり、前輪側への伝達トルクが低下し、これ
により、ステア特性が変動することで、依然として、車
両をコントロールしずらいという面が残る。
【0007】本発明は、上述のような問題に着目してな
されたもので、後輪にはエンジン駆動力を直接伝達し、
前輪にはトルク配分用クラッチを介して伝達するトルク
スプリット式の四輪駆動車において、低横加速度旋回時
での駆動性能を低下させることなく、内輪空転の発生前
後を含めて限界旋回付近での車両コントロール性の向上
を図ることを第1の課題とする。
【0008】低横加速度旋回時の駆動性能確保と限界旋
回付近での車両コントロール性向上の両立をトルク変化
にスムーズなつながりを持たせながら図ることを第2の
課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
るため請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置
では、少なくとも横加速度が大きい時に横加速度に応じ
て左右後輪のうち遅い車輪速に大きな重み係数を設定
し、この重み係数に基づいて高横加速度であるほどセレ
クトロー傾向による後輪速を演算し、この後輪速演算値
から前輪速演算値を差し引いた前後輪回転速度差演算値
に応じた締結力指令をトルク配分用クラッチへ出力する
駆動力配分制御手段を設けた。
【0010】即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、エンジン直結駆動系の後輪に対し前輪への駆動系の
途中に設けられ、前輪へ伝達されるエンジン駆動力を外
部からの締結力制御で変更可能とするトルク配分用クラ
ッチaと、前後輪の各車輪速を検出する車輪速検出手段
bと、横加速度を検出する横加速度検出手段cと、少な
くとも横加速度が大きい時に横加速度に応じて大きな重
み係数を設定する重み係数設定手段dと、左右後輪速と
前記重み係数に基づいて高横加速度であるほどセレクト
ロー傾向による後輪速を演算する後輪速演算手段eと、
前記後輪速演算手段eからの後輪速演算値から前輪速演
算値とを差し引いて前後輪回転速度差を演算する前後輪
回転速度差演算手段fと、前記前後輪回転速度差演算値
に応じた締結力指令値を前記トルク配分用クラッチaへ
出力する駆動力配分制御手段gとを備えている事を特徴
とする。
【0011】上記第2の課題を解決するため請求項2記
載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置では、請求項1記
載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記重
み係数設定手段dを、横加速度に対し2次以上の高次関
数で重み係数を設定する手段としたことを特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明の作用を説明する。
【0013】乾燥路等の高μ路での加速旋回等で高い横
加速度が発生する時には、重み係数設定手段dにおい
て、横加速度に応じて左右後輪のうち遅い車輪速に大き
な重み係数が設定され、後輪速演算手段eにおいて、左
右後輪速と前記重み係数に基づいて高横加速度であるほ
どセレクトロー傾向による後輪速が演算される。なお、
前輪速は、例えば、車輪速検出手段bからの左右前輪速
検出値を平均することで演算される。
【0014】そして、前後輪回転速度差演算手段fにお
いて、後輪速演算手段eからの後輪速演算値から前輪速
演算値を差し引いて前後輪回転速度差が演算され、駆動
力配分制御手段gにおいて、前後輪回転速度差演算値に
応じた締結力指令値が前記トルク配分用クラッチaへ出
力される。
【0015】したがって、高横加速度領域での旋回時に
は、横加速度が大きくなるほどセレクトロー傾向による
後輪速に基づいて前後輪回転速度差演算値が決定される
ことで、後輪速平均値に応じた締結力指令による駆動ト
ルクに比べ前輪側へ配分される駆動トルクが小さく抑え
られ、マサツ円の原理によって前輪の横力が増すことで
前輪の舵の効きが確保される。しかも、この制御は横加
速度を入力情報とするものであり、内輪空転判断を行な
わない制御としていることで、内輪空転の発生前後にお
いて滑らかなトルク変化により前輪の舵の効きを確保で
きるし、内輪空転が発生する高横加速度時には、ほぼセ
レクトローにより旋回外輪速に基づいて後輪速が設定さ
れることで、内輪空転発生時にも前輪の舵の効きを確保
できる。
【0016】この結果、高横加速旋回時、ドライバーは
アクセル操作によって後輪のスリップアングルをコント
ロールでき、また、ステアリング操作によって前輪のス
リップアングルをコントロールできる。
【0017】尚、低μ路旋回時で、横加速度の発生が小
さい時には、重み係数設定手段dにおいて、重み係数が
1または1に近い値に設定されることで、アクセル踏み
込み操作により前後輪回転速度差が発生すると、ほぼ後
輪速平均値に応じた締結力指令により前輪への駆動トル
クが大きくなり、オーバステアの急増が防止される。
【0018】請求項2記載の発明の作用を説明する。
【0019】低横加速度旋回時は、低μ路であるか、前
輪が大きな横力を必要としない領域であるから、駆動性
能の向上を目的とすると、すみやかに4輪駆動状態にな
る方が望ましく、後輪速をセレクトローで設定しない方
がよい。
【0020】そこで、仮にある横加速度値までは重み係
数を1とし、ある横加速度値以上の領域で一次関数によ
り重み係数を設定すると、ある横加速度値となるまで伝
達されていた前輪側への駆動トルクがある横加速度値を
超えた途端、急に減少し、車両挙動を不安定にすること
がある。つまり、重み係数の設定に関しては、横加速度
に対し連続関数であることが望ましく、さらに、2次関
数以上の高次関数で設定すれば、低横加速度領域で重み
係数を1に近い値に抑え、高横加速度領域で重み係数を
大きくとれることで、低横加速度旋回時での駆動性能確
保と限界旋回付近での車両コントロール性向上の両立を
図るのに望ましい特性となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0022】まず、構成を説明する。
【0023】図2は請求項1及び請求項2に対応する本
発明実施例の四輪駆動車のトルクスプリット制御システ
ム(駆動力配分制御装置)が適用された駆動系を含む全
体システム図である。
【0024】実施例のトルクスプリット制御システムが
適用される車両は後輪ベースの四輪駆動車であり、その
駆動系には、エンジン1,トランスミッション2,トラ
ンスファ入力軸3,リヤプロペラシャフト4,リヤディ
ファレンシャル5,後輪6,トランスファ出力軸7,フ
ロントプロペラシャフト8,フロントディファレンシャ
ル9,前輪10を備えていて、後輪6へはトランスミッ
ション2を経過してきたエンジン駆動力が直接伝達さ
れ、前輪10へは前輪駆動系である前記トランスファ入
出力軸3,7間に設けてあるトランスファ11を介して
伝達される。
【0025】そして、駆動性能と操舵性能の両立を図り
ながら前後輪の駆動力配分を最適に制御するトルクスプ
リット制御システムは、湿式多板摩擦クラッチ11a
(トルク配分用クラッチに相当)を内蔵した前記トラン
スファ11(例えば、先願の特願昭63−325379
号の明細書及び図面を参照)と、クラッチ締結力となる
制御油圧Pcを発生する制御油圧発生装置20と、制御
油圧発生装置20に設けられたソレノイドバルブ28へ
各種入力センサ30からの情報に基づいて所定のディザ
ー電流i* を出力するトルクスプリットコントローラ4
0を備えている。
【0026】前記油圧制御装置20は、リリーフスイッ
チ21により駆動または停止するモータ22と、該モー
タ22により作動してリザーバタンク23から吸い上げ
る油圧ポンプ24と、該油圧ポンプ24からのポンプ吐
出圧(一次圧)をチェックバルブ25を介して蓄えるア
キュムレータ26と、該アキュムレータ26からのライ
ン圧(二次圧)をトルクスプリット制御部40からのソ
レノイド駆動のディザー電流i* により所定の制御油圧
Pcに調整するソレノイドバルブ28とを備え、制御油
圧Pcの作動油は制御油圧パイプ29を経過してクラッ
チポートに供給される。
【0027】図3は実施例システムの電子制御系ブロッ
ク図である。
【0028】前記トルクスプリットコントローラ40の
入力側には、各種入力センサ30として、左前輪回転セ
ンサ30a,右前輪回転センサ30b,左後輪回転セン
サ30c,右後輪回転センサ30d,第1横加速度セン
サ30e,第2横加速度センサ30fが接続され、トル
クスプリットコントローラ40の出力側には、ソレノイ
ドバルブ28が接続されている。なお、各回転センサ3
0a〜30dは車輪速検出手段に相当する。
【0029】次に、作用を説明する。
【0030】(A) 前後輪駆動力配分制御作動 図4はトルクスプリットコントローラ40で行なわれる
前後輪駆動力配分制御作動の流れを示すフローチャート
で、以下、各ステップについて説明する。
【0031】ステップ80では、左前輪速VWFL,右前輪
速VWFR,左後輪速VWRL,右後輪速VWRR,第1横加速度Y
G1 ,第2横加速度YG2 が入力される。
【0032】ステップ81では、左前輪速VWFLと右前輪
速VWFRとの平均値により前輪速VWF が演算され、第1横
加速度YG1 と第2横加速度YG2 との平均値により横加速
度YGが演算される(横加速度検出手段に相当)。
【0033】ステップ82では、左後輪速VWRLと右後輪
速VWRRのうち大きい方の値を選択することで、空転側後
輪速VWRMX が設定される。
【0034】ステップ83では、後輪速左右差DVWR
下記の式により演算される。
【0035】DVWR =VWRMX −MIN(VWRR,VWRL) ステップ84では、横加速度YGに対し2次の関数である
下記の式により、左右後輪のうち遅い車輪速に対する重
み係数RM が演算される(重み係数設定手段に相当)。
【0036】RM =K・YG 2 +1 ステップ85では、空転側後輪速VWRMX と後輪速左右差
VWR と重み係数RM を用い、重み係数RM が大きいほ
どセレクトロー傾向となる下記の式により後輪速VWR
演算される(後輪速演算手段に相当)。
【0037】 VWR ={VWRMX /(1+RM )}+RM・{(VWRMX−DVWR)/(1+RM )} ステップ86では、前輪速VWF と後輪速VWR とから前後
輪回転速度差演算値ΔV(=VWR-VWF ;但し、ΔV≧
0)が演算される(前後輪回転速度差演算手段に相
当)。
【0038】ステップ87では、前後輪回転速度差演算
値ΔVに対するクラッチトルクTΔVの制御ゲインKh
横加速度YGの逆数に基づいて下記の式で演算される。
【0039】Kh=αh /YG(但し、Kh≦βh ) 例えば、αh =1 でβh =10とする。
【0040】ステップ88では、上記制御ゲインKhと前
後輪回転速度差演算値ΔVとによってクラッチトルクT
ΔV が演算される。
【0041】ステップ89では、予め与えられたTΔV
-i特性テーブルに基づいてクラッチトルクTΔV が得ら
れるソレノイド駆動電流iに変換される。
【0042】ステップ90では、ソレノイドバルブ28
に対しディザー電流i*(例えば、i±0.1A 100Hz)が出
力される。
【0043】なお、ステップ87〜ステップ90は、駆
動力配分制御手段に相当する。
【0044】(B) 直進走行時の駆動力配分作用 横加速度の発生がない直進走行時には、ステップ84で
の重み係数RM が1とされ、また、ステップ85での後
輪速VWR も左右の後輪速VWRR,VWRLの平均値とされ、前
後輪回転速度差演算値ΔVは後輪速を左右後輪速平均値
により得る場合と一致し、従来制御と同様となる。
【0045】したがって、図5の点線特性である前後輪
回転速度差演算値ΔVに対し最大の制御ゲインKhMAX
持つ特性によりクラッチトルクTΔV が与えられる。
【0046】この結果、各直進走行状態では下記の様に
なる。
【0047】*急発進時 駆動トルクが大きい急発進時には、小さい前後輪回転速
度差の発生に対して前輪10への伝達トルクがほぼ最大
とされ、前後輪駆動トルク配分としては、ほぼ50:50と
なることで、車両の発進性と安定性が高められる。
【0048】*定速走行時 定速走行時のうち、前後輪回転速度差の発生がほとんど
ない低速・中速走行時には、前後輪駆動トルク配分がほ
ぼ0:100 であるが、高速走行時には、走行抵抗の増大
に見合う分、前輪10へトルクが伝達されることで、車
両の高速安定性が高められる。
【0049】*加速走行時 加速走行時には、加速の大きさに応じて前後輪回転速度
差が発生し、前後輪駆動トルク配分も加速の強さに応じ
て、0:100 〜50:50へと変化することで、車両の加速
性能と安定性とが高められる。
【0050】(C) 旋回時の駆動力配分作用 横加速度の発生する旋回時には、ステップ84で横加速
度YGの大きさに対する2次関数特性により重み係数RM
が設定され、また、ステップ85で重み係数RM が大き
いほどセレクトロー傾向の後輪速VWR が設定され、ステ
ップ86で演算される前後輪回転速度差演算値ΔVは、
後輪速VWR をセレクトロー傾向にして得る分、後輪速を
左右後輪速平均値により得る場合より小さな値となる。
【0051】また、前後輪回転速度差演算値ΔVに対す
るクラッチトルクTΔV の制御ゲインKhが、図5に示す
ように、横加速度YGが大きいほど小さく設定される。
【0052】したがって、前後輪回転速度差の発生に対
するクラッチトルクTΔV の特性のイメージとしては、
図5の特性に示すように、横加速度YGが大きくなるほど
制御ゲインKhが小さくなってゆくと共に、前後輪回転速
度差演算値ΔVの値も小さくなってゆく。
【0053】この結果、各旋回状態では下記の様にな
る。
【0054】*低μ路定常旋回時 横加速度YGの発生が非常に小さく、高い制御ゲインKh
持つ特性によりクラッチトルクTΔV が与えられること
になるが、低μ路定常旋回時には、駆動トルクがほぼゼ
ロの状態にあるため、前後輪回転速度差の発生もほぼな
く、前後輪駆動トルク配分がほぼ0:100 となり、後輪
駆動車並のステアリングの効きが実現される。
【0055】*低μ路加速旋回時 横加速度YGの発生が小さく、高い制御ゲインKhを持つ特
性によりクラッチトルクTΔV が与えられることにな
り、加速の強さに応じて前後輪回転速度差が発生するこ
とで前輪10側への伝達トルクが大きくなり、前後輪駆
動トルク配分も加速の強さに応じて、0:100 〜50:50
へと変化することで、オーバステアの急増が防止され、
車両コントロール性が高められる。
【0056】つまり、横加速度YGの発生が小さい低μ路
旋回時には、重み係数RM の値が1に近い値でほぼ左右
後輪速の平均値に近い値で後輪速VWR が設定され、この
重み係数RM を設定したことによる影響はほとんどな
く、従来システム並の駆動性能がそのまま確保される。
【0057】*高μ路定常旋回時 横加速度YGの発生が大きく、低い制御ゲインKhを持つ特
性によりクラッチトルクTΔV が与えられることにな
る。また、高い横加速度YGにより重み係数RM も大きな
値に設定され、セレクトローの傾向が強くなるが、定常
旋回であることで左右後輪速差が小さく、左右後輪速の
平均値に近い値の後輪速VWR が設定される。また、高μ
路定常旋回時には、駆動トルクがほぼゼロの状態にある
ため、前後輪回転速度差の発生もほぼなく、前後輪駆動
トルク配分がほぼ0:100 となり、後輪駆動車並のステ
アリングの効きが実現される。
【0058】*高μ路加速旋回時 高μ路加速旋回時には、アクセル踏み込み操作等により
横加速度YGが大きくなるほどセレクトロー傾向による後
輪速VWR に基づいて前後輪回転速度差演算値ΔVが決定
されることで、後輪速平均値に応じた締結力指令による
駆動トルクに比べ、前輪10側へ配分される駆動トルク
が小さく抑えられ、マサツ円の原理によって前輪10の
横力が増すことで前輪10の舵の効きが確保される。
【0059】しかも、この制御は横加速度YGを入力情報
とするものであり、内輪空転判断を行なわない制御とし
ていることで、内輪空転の発生前後において滑らかなト
ルク変化により前輪10の舵の効きを確保できるし、内
輪空転が発生する高横加速度時には、ほぼセレクトロー
により旋回外輪速に基づいて後輪速VWR が設定されるこ
とで、内輪空転発生時にも前輪10の舵の効きを確保で
きる。
【0060】したがって、限界に近い高い横加速度YG
発生時には、ほぼセレクトローにより旋回外輪速に基づ
いて後輪速VWR が設定されることで、内輪空転の発生前
後を含めて前輪10の舵の効きが確保される。
【0061】ちなみに、本ロジックのイメージを明確に
するため、一例として、前輪速VWL =48km/h,右後輪速
VWRR=60km/h,左後輪速VWRL=50km/hの時の前後輪回転
速度差演算値ΔVの横加速度依存性を図6に示し、クラ
ッチトルクTΔV の横加速度依存性を図7に示す。な
お、図6及び図7の点線特性は後輪速平均値による従来
特性を示す。
【0062】この結果、限界に近い高横加速旋回時、ド
ライバーはアクセル操作によって後輪6のスリップアン
グルをコントロールでき、また、ステアリング操作によ
って前輪10のスリップアングルをコントロールできる
というように、車両コントロール性が向上する。
【0063】すなわち、高横加速度旋回時の車両軌跡と
しては、図8に示すように、旋回中期である区間Bでク
リッピングポイントCPに向けてアクセル踏み込み操作
を行なうと、前輪側への駆動トルク伝達が抑えられるこ
とにより、前輪10の横力が増し、ステアリング操作に
応じた旋回軌跡により、速く目標のクリッピングポイン
トCPに到達することができる。
【0064】ここで、重み係数RM の設定を、横加速度
YGに対し可変にする理由について説明する。
【0065】(1) 低〜中横加速度時は、例えば、μスプ
リット路での加速時のように、低μ路側の駆動輪が空転
した場合、空転分の駆動トルクを補償するため、前輪に
駆動トルクを伝達する必要がある。この時は、左右後輪
速のセレクトロー制御では空転分の駆動トルクを補償す
ることができない。
【0066】(2) (1) の極端な場合は、μスプリット路
での発進の場合である。
【0067】(3) 左右後輪速のセレクトロー制御の必要
があるのは、特に、高横加速度旋回時の内輪が空転する
時のみである。
【0068】上記(1) 〜(3) を満たし、なおかつ、連続
的に制御が切り換わるようにするためには、重み係数R
M を横加速度YGに対し変更する必要がある。
【0069】また、重み係数RM の設定を、横加速度YG
に対し2次の連続関数で設定する理由について説明す
る。
【0070】低横加速度旋回時は、低μ路であるか、前
輪が大きな横力を必要としない領域であるから、駆動性
能の向上を目的とすると、すみやかに4輪駆動状態にな
る方が望ましく、後輪速をセレクトローで設定しない方
がよい。
【0071】そこで、仮にある横加速度値までは重み係
数RM を1とし、ある横加速度値以上の領域で一次関数
により重み係数RM を設定すると、ある横加速度値とな
るまで伝達されていた前輪側への駆動トルクがある横加
速度値を超えた途端、急に減少し、車両挙動を不安定に
することがある。つまり、重み係数RM の設定に関して
は、横加速度YGに対し連続関数であることが望ましく、
さらに、2次関数以上の高次関数で設定すれば、低横加
速度領域で重み係数RM を1に近い値に抑え、高横加速
度領域で重み係数RM を大きくとれることで、低横加速
度旋回時での駆動性能確保と限界旋回付近での車両コン
トロール性向上の両立を図るのに望ましい特性となる。
【0072】次に、効果を説明する。
【0073】(1)後輪6にはエンジン駆動力を直接伝
達し、前輪10には湿式多板クラッチ11aを介して伝
達するトルクスプリット式の四輪駆動車において、少な
くとも横加速度が大きい時に横加速度YGに応じて左右後
輪速VWRR,VWRLのうち遅い車輪速に大きな重み係数RM
を設定し、この重み係数RM に基づいて高横加速度であ
るほどセレクトロー傾向による後輪速VWR を演算し、こ
の後輪速VWR から前輪速VWL を差し引いた前後輪回転速
度差演算値ΔVに応じた締結力指令により湿式多板摩擦
クラッチ11aを締結制御する装置とした為、低横加速
度旋回時での駆動性能を低下させることなく、内輪空転
の発生前後を含めて限界旋回付近での車両コントロール
性の向上を図ることができる。
【0074】(2)左右後輪速VWRR,VWRLの平均により
後輪速VWR を決めるにあたって、左右後輪速VWRR,VWRL
のうち低い後輪速側の重み係数RM の設定を、横加速度
YGに対し2次の連続関数で設定するようにした為、低横
加速度旋回時の駆動性能確保と限界旋回付近での車両コ
ントロール性向上の両立をトルク変化にスムーズなつな
がりを持たせながら図ることができる。
【0075】以上、実施例を図面に基づいて説明してき
たが、具体的な構成及び制御内容はこの実施例に限られ
るものではない。
【0076】
【発明の効果】請求項1記載の駆動力配分制御装置にあ
っては、後輪にはエンジン駆動力を直接伝達し、前輪に
はトルク配分用クラッチを介して伝達するトルクスプリ
ット式の四輪駆動車において、少なくとも横加速度が大
きい時に横加速度に応じて左右後輪のうち遅い車輪速に
大きな重み係数を設定し、この重み係数に基づいて高横
加速度であるほどセレクトロー傾向による後輪速を演算
し、この後輪速演算値から前輪速演算値を差し引いた前
後輪回転速度差演算値に応じた締結力指令をトルク配分
用クラッチへ出力する駆動力配分制御手段を設けた為、
低横加速度旋回時での駆動性能を低下させることなく、
内輪空転の発生前後を含めて限界旋回付近での車両コン
トロール性の向上を図ることができるという効果が得ら
れる。
【0077】請求項2記載の四輪駆動車の駆動力配分制
御装置にあっては、前後輪回転速度差不感帯設定手段
を、横加速度に対し2次以上の高次関数で重み係数を設
定する手段とした為、上記請求項1の効果に加え、低横
加速度旋回時の駆動性能確保と限界旋回付近での車両コ
ントロール性向上の両立をトルク変化にスムーズなつな
がりを持たせながら図ることができるという効果が得ら
れる。
【0078】尚、本発明の技術は、限界旋回付近での車
両コントロール性向上技術であり、スポーツ走行をする
車両に適用するのに有効な技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の四輪駆動車の駆動力配分制御装置を示
すクレーム対応図である。
【図2】実施例のトルクスプリット制御装置(駆動力配
分制御装置)を適用した四輪駆動車の駆動系及び制御系
を示す全体概略図である。
【図3】実施例システムの電子制御系ブロック図であ
る。
【図4】実施例装置のトルクスプリットコントローラで
行なわれる前後輪駆動力配分制御作動を示すフローチャ
ートである。
【図5】実施例のトルクスプリット制御装置での前後輪
回転速度差演算値に対するクラッチトルク特性図であ
る。
【図6】実施例のトルクスプリット制御装置での前後輪
回転速度差演算値の横加速度依存性を示す一例図であ
る。
【図7】実施例のトルクスプリット制御装置でのクラッ
チトルクの横加速度依存性を示す一例図である。
【図8】実施例装置を搭載した車両での高横加速度加速
旋回時の旋回軌跡図である。
【図9】従来装置を搭載した車両での高横加速度加速旋
回時の旋回軌跡図である。
【符号の説明】
a トルク配分用クラッチ b 車輪速検出手段 c 横加速度検出手段 d 重み係数設定手段 e 後輪速演算手段 f 前後輪回転速度差演算手段 g 駆動力配分制御手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン直結駆動系の後輪に対し前輪へ
    の駆動系の途中に設けられ、前輪へ伝達されるエンジン
    駆動力を外部からの締結力制御で変更可能とするトルク
    配分用クラッチと、 前後輪の各車輪速を検出する車輪速検出手段と、 横加速度を検出する横加速度検出手段と、 少なくとも横加速度が大きい時に横加速度に応じて大き
    な重み係数を設定する重み係数設定手段と、 左右後輪速と前記重み係数に基づいて高横加速度である
    ほどセレクトロー傾向による後輪速を演算する後輪速演
    算手段と、 前記後輪速演算手段からの後輪速演算値から前輪速演算
    値を差し引いて前後輪回転速度差を演算する前後輪回転
    速度差演算手段と、 前記前後輪回転速度差演算値に応じた締結力指令値を前
    記トルク配分用クラッチへ出力する駆動力配分制御手段
    と、 を備えている事を特徴とする四輪駆動車の駆動力配分制
    御装置。
  2. 【請求項2】 前記重み係数設定手段は、横加速度に対
    し2次以上の高次関数で重み係数を設定する手段である
    ことを特徴とする請求項1記載の四輪駆動車の駆動力配
    分制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021176734A (ja) * 2020-05-08 2021-11-11 良明 佐藤 旋回性の良い四輪駆動車制御方法

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