JPH05338425A - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JPH05338425A
JPH05338425A JP3021893A JP3021893A JPH05338425A JP H05338425 A JPH05338425 A JP H05338425A JP 3021893 A JP3021893 A JP 3021893A JP 3021893 A JP3021893 A JP 3021893A JP H05338425 A JPH05338425 A JP H05338425A
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研輔 福山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】制御対象車輪より前方で路面情報を検出する場
合に、その検出地点を制御対象車輪が通過しないときの
乗心地低下を防止する。 【構成】前輪11FL,11FR 側に設けた上下加速度センサ27
FL, 27FRやストロークセンサFL,27FR の検出値に基づい
てコントローラ30で前輪側センサの検出時点から車速セ
ンサ24の車速検出値V及びホイールベースから算出され
る遅延時間τD 分遅れた時点で後輪11RL,11RR 側に設け
た油圧シリンダ18RL,18RR を制御する圧力制御弁20RL,2
0RRRに対する圧力指令値を出力することにより車体の揺
動を抑制するストローク制御を行い、操舵角センサ25で
旋回状態を検出したとき及びリバーススイッチで車両の
後進状態を検出したときには前輪が通過した路面を後輪
が通過しないものと判断して後輪ストローク制御を中断
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪前方の路面情報に
基づいて車体及び車輪間のサスペンション特性を制御す
るようにしたサスペンション制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション制御装置として
は、特開昭61−135811号公報(以下、第1従来
例と称す)及び特開昭60−193710号公報(以
下、第2従来例と称す)に記載されているものがある。
第1従来例は、路面沿って回転駆動される車輪と、該車
輪と車体とを所定間隔により支持するスピンドル機構と
を備え、路面の凹凸に応じてスピンドル機構を駆動させ
る車両の緩衝装置であって、前記車輪の走行前方に配設
されて前記凹凸を検出する検出部と、該検出部の信号と
走行速度信号とによって前記所定間隔の伸縮を指令する
制御部と、該指令によって前記スピンドル機構に油圧を
注入または排出するように電磁バルブを励磁するバルブ
駆動機構とを備えた構成を有する。
【0003】第2従来例は、前輪の上下方向運動を検出
する検出手段と、前記検出手段の検出結果によって路面
状態を推定し、この路面状態に対応したサスペンション
特性に設定する制御情報を得る演算手段と、前記制御情
報を車速に対応して所定時間遅延させる遅延手段と、前
記遅延された制御情報によって後輪サスペンションの特
性を可変するアクチュエータとを備えた構成を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1従来例及び第2従来例のサスペンション制御装置にあ
っては、路面検出部又は前輪の上下動によって検出した
路面を、制御対象となる車輪が車速によって定まる所定
時間後に通過することが前提要件となっていたため、車
両が直進定速走行時には所望の制御効果が得られるが、
車両の旋回時や後進時には検出した路面を制御対象車輪
が通過しないことがあり、この場合にも検出した路面情
報に基づいてアクチュエータが制御されるので、却って
乗心地を損なうという未解決の課題があった。
【0005】また、車両が直進走行状態であっても、車
両の加減速状態では、車速が変化するため、この車速に
基づいて前方路面検出手段で検出した前方路面情報を遅
延させる遅延時間を算出したときに、加減速度が大きい
ときには、算出された遅延時間と実際の検出した路面を
制御対象車輪が通過するまでの時間とが異なることか
ら、却って乗心地を損なうという未解決の課題もあっ
た。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、前方路面情報検出
手段の軌跡と制御対象車輪の軌跡とが異なるときや、車
両の後進時及び加減速時に前方路面情報に基づくアクチ
ュエータ制御を制限又は中断して乗心地を向上させるこ
とができるサスペンション制御装置を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション制御装置は、図1
(a)に示すように、車輪と車体との間に配設され、制
御信号によってそれら間のサスペンション特性を制御可
能な制御力を発生するアクチュエータと、車輪前方の路
面情報を検出する前方路面情報検出手段と、前記前方路
面情報検出手段の前方路面情報に基づいて前記アクチュ
エータを制御する制御手段とを備えたサスペンション制
御装置において、前記前方路面情報検出手段で検出した
路面の軌跡と制御対象車輪の軌跡とが異なる軌跡である
ことを検出する軌跡不一致判定手段と、該軌跡不一致判
定手段で異なる軌跡であることを検出したときに前記制
御手段によるアクチュエータ制御を制限又は中断させる
手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置は、図1(b)に示すように、車輪と車体との間に
配設され、制御信号によってそれら間のサスペンション
特性を制御可能な制御力を発生するアクチュエータと、
車輪前方の路面情報を検出する前方路面情報検出手段
と、前記前方路面情報検出手段の前方路面情報に基づい
て前記アクチュエータを制御する制御手段とを備えたサ
スペンション制御装置において、車両の後進状態を検出
する後進状態検出手段と、該後進状態検出手段で車両の
後進状態を検出したときに前記制御手段によるアクチュ
エータ制御を中断させる制御中断手段とを備えたことを
特徴としている。
【0009】さらに、請求項3に係るサスペンション制
御装置は、図1(c)に示すように、車輪と車体との間
に配設され、制御信号によってそれら間のサスペンショ
ン特性を制御可能な制御力を発生するアクチュエータ
と、車輪前方の路面情報を検出する前方路面情報検出手
段と、前記前方路面情報検出手段の前方路面情報に基づ
いて前記アクチュエータを制御する制御手段とを備えた
サスペンション制御装置において、車両の加減速状態を
検出する加減速状態検出手段と、該加減速状態検出手段
で車両の加減速状態を検出したときに前記制御手段によ
るアクチュエータ制御を制限又は中断させる手段とを備
えたことを特徴としている。
【0010】ここで、前方路面情報検出手段としては、
車両の前端側に設けた非接触式距離センサ又は後輪の制
御においては、前輪の変位センサ等の前輪運動情報を検
出するセンサを適用することが好ましい。
【0011】
【作用】請求項1に係るサスペンション制御装置におい
ては、軌跡不一致判定手段で、前方路面情報検出手段の
軌跡と制御対象車輪の軌跡とが不一致であることを検出
し、両者が一致する場合には、検出した前方路面情報に
基づいて制御手段で車輪と車体との間に介装されたアク
チュエータを制御して路面凹凸によって車体に起振力が
発生することを防止するが、両者が不一致の場合には制
御手段によるアクチュエータの制御を制限又は中断する
ことにより、旋回時において前方路面情報検出手段で検
出した路面を制御対象車輪が通過しない場合の誤制御に
よる乗心地の低下を防止する。
【0012】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置においては、後進検出手段で車両の後進状態を検出
したときに、制御手段によるアクチュエータの制御を中
断することにより、車両の後進時での前方路面情報検出
手段の検出路面を制御対象車輪が通過しない場合の誤制
御による乗心地の低下を防止する。さらに、請求項3に
係るサスペンション制御装置においては、加減速状態検
出手段で車両の加減速状態を検出したときに、制御手段
によるアクチュエータの制御を制限又は中断することに
より、車両の加速状態、減速状態のように車速変化が大
きい状態での制御対象車輪の制御タイミングのずれを防
止して乗心地の低下を防止する。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明の第一実施例を示す概略構成図で
あり、この第一実施例は、前輪の運動情報をもとに後輪
側アクチュエータを制御するようにしたものである。図
中、10は車体側部材を、11FL〜11RRは前左〜後右
車輪を、12はサスペンション制御装置を夫々示す。
【0014】サスペンション制御装置12は、車体側部
材10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間
に各々介装されたアクチュエータとしての油圧シリンダ
18FL〜18RRと、これら油圧シリンダ18FL〜18RR
の作動圧を個別に調整する圧力制御弁20FL〜20RR
と、これら圧力制御弁20FL〜20RRに所定圧力の作動
油を供給側配管21Sを介して供給すると共に、圧力制
御弁20FL〜20RRからの戻り油を戻り側配管21Rを
通じて回収する油圧源22と、この油圧源22及び圧力
制御弁20FL〜20RR間の供給圧側配管21Sに介挿さ
れた蓄圧用のアキュムレータ23F,23Rと、車速を
検出してこれに応じたパルス信号を出力する車速センサ
24と、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵
角センサ25と、セレクトレバーでリバース(R)レン
ジを選択したときにこれを検出してオン状態のスイッチ
信号SR を出力するリバーススイッチ26と、前左輪1
1FL及び前右輪11FRに夫々対応する位置における車体
の上下方向加速度を夫々個別に検出する前方路面情報検
出手段としての上下方向加速度センサ27FL及び27FR
と、前輪側油圧シリンダ18FL及び18FRと並列に配設
されて前輪11FL及び11FRと車体との間の相対変位を
検出するストロークセンサ28FL及び28FRと、各セン
サ24、25、26、27FL,27FR及び28FL,28
FRの検出値に基づき前輪の運動状態に応じて後輪側の圧
力制御弁20RL及び20RRの出力圧を個別に制御するコ
ントローラ30とを備えている。
【0015】油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、シ
リンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ1
8aには、軸方向貫通孔を有するピストン18cにより
隔設された下側の圧力室Lが形成され、ピストン18c
の上下面の受圧面積差と内圧に応じた推力を発生する。
そして、シリンダチューブ18aの下端が車輪側部材1
4に取り付けられ、ピストンロッド18bの上端が車体
側部材10に取り付けられている。また、圧力室Lの各
々は、油圧配管38を介して圧力制御弁20FL〜20RR
の出力ポートに接続されている。また、油圧シリンダ1
8FL〜18RRの圧力室Lの各々は、絞り弁32を介して
バネ下振動吸収用のアキュムレータ34に接続されてい
る。また、油圧シリンダ18FL〜18RRの各々のバネ
上,バネ下相当間には、比較的低いバネ定数であって車
体の静荷重を支持するコイルスプリング36が配設され
ている。
【0016】圧力制御弁20FL〜20RRの夫々は、スプ
ールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジングとこれ
に一体的に設けられた比例ソレノイドとを有する、従来
周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開昭64−7
4111号参照)で構成されている。そして、比例ソレ
ノイドの励磁コイルに供給する指令電流i(指令値)を
調整することにより、弁ハウジング内に収容されたポペ
ットの移動距離、即ちスプールの位置を制御し、供給ポ
ート及び出力ポート又は出力ポート及び戻りポートを介
して油圧源22と油圧シリンダ18FL〜18RRとの間で
流通する作動油を制御できるようになっている。
【0017】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図3に
示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のとき
には最低制御圧PNIM となり、この状態から電流値iを
増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧Pが
増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設定
ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図3
で、iN は中立指令電流,PCNは中立制御圧である。
【0018】操舵角センサ25は、図4に示すように、
車両が直進走行状態であってステアリングホイールが中
立位置にあるときに零の電圧、この中立状態からステア
リングホイールを右切りしたときに、その操舵角に応じ
た正の電圧、中立状態からステアリングホイールを左切
りしたときに、その操舵角に応じた負の電圧でなる操舵
角検出値θを出力するように構成されている。
【0019】上下方向加速度センサ27FL及び27RLの
夫々は、図5に示すように、上下方向加速度が零である
ときに零の電圧、上方向の加速度を検出したときにその
加速度値に応じた正のアナログ電圧、下方向の加速度を
検出したときに、その加速度値に応じた負のアナログ電
圧でなる上下方向加速度検出値ZGFL 及びZGFR を出力
するように構成されている。
【0020】ストロークセンサ28FL及び28FRの夫々
は、図6に示すように、車高が予め設定した目標車高に
一致するときに零の中立電圧VS 、車高が目標車高より
高くなるとその偏差に応じた正の電圧、車高が目標車高
より低くなるとその偏差に応じた負の電圧でなるストロ
ーク検出値HFL及びHFRを出力するように構成されてい
る。
【0021】コントローラ30は、図7に示すように、
操舵角センサ25の操舵角検出値θをディジタル値に変
換するA/D変換器41a、上下方向加速度センサ27
FL,27FRの上下方向加速度検出値ZGFL,GFR をディ
ジタル値に変換するA/D変換器41b, 41c、スト
ロークセンサ28FL,28FRのストローク検出値HFL
FRをディジタル値に変換するA/D変換器41d,4
1eと、車速センサ24の車速検出値V、リバーススイ
ッチ26のスイッチ信号SR 及び各A/D変換器41a
〜41dのA/D変換出力が入力されるマイクロコンピ
ュータ42と、このマイクロコンピュータ42から出力
される圧力指令値PFL〜PRRがD/A変換器43FL〜4
3RRを介して供給され、これらを圧力制御弁20FL〜2
0RRに対する駆動電流iFL〜iFRに変換する例えばフロ
ーティング形定電圧回路で構成される駆動回路44FL〜
44FRとを備えている。
【0022】ここで、マイクロコンピュータ42は、少
なくとも入力側インタフェース回路42a、出力側イン
タフェース回路42b、演算処理装置42c及び記憶装
置42dを有する。入力インタフェース回路42aに
は、車速検出値V、リバーススイッチ信号SR 及びA/
D変換器41a〜41eの変換出力が入力され、出力側
インタフェース回路42bからは圧力指令値PFL〜PRR
がD/A変換器43FL〜43RRに出力される。また、演
算処理装置42cは、後述する図8の処理を実行して、
所定サンプリング時間TS (例えば20msec)毎に、前
輪ストローク検出値HFL,HFR及び前輪上下方向加速度
GFL,GFR を読込み、これらに基づいて前輪側の圧力
制御弁20FL,20FRに対する圧力指令値PFL,PFR
算出し、これらを記憶装置42dに形成した所定段数の
シフトレジスタに対応する記憶領域に順次シフトしなが
ら更新記憶すると共に、操舵角検出値θ及びリバースス
イッチ信号SR を読込み、これらに基づいて前輪11FL
及び11FRで検出した路面を夫々対応する後輪11RL及
び11RRが通過するか否かを判定し、通過するときには
車速検出値Vに基づいて算出した所定の遅延時間τD
前の前輪の圧力指令値PFL,PFRを読出してこれを後輪
の現在圧力指令値PRL(n)及びPRR(n)としてD/
A変換器43RL,43RRに出力し、不通過であるときに
前回の圧力指令値PRL(n−1)及びPRR(n−1)を
読出してこれらを後輪の現在圧力指令値PRL(n)及び
RR(n)としてD/A変換器43RL及び43RRに出力
する。さらに、記憶装置42dは、予め演算処理装置4
2cの演算処理に必要なプログラムが記憶されていると
共に、所定サンプリング時間TS 毎に算出する前輪側圧
力指令値PFL及びPFRを夫々順次シフトさせながら所定
数格納するシフトレジスタ領域が形成され、さらに演算
処理装置42cの演算過程で必要な演算結果を逐次記憶
する。
【0023】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ42における演算処理装置42cの処理手順を示
す図8のフローチャートを伴って説明する。すなわち、
図8の処理は所定サンプリング時間TS (例えば20ms
ec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステッ
プS1で、前輪側ストロークセンサ28FL,28FRのス
トローク検出値HFL, FRを読込み、次いでステップS
2に移行して前輪側の上下加速度センサ27FL,27FR
の上下加速度検出値ZGFL, GFR を読込み、次いでステ
ップS3に移行して読込んだ上下加速度検出値ZGFL,
GFR を積分して上下速度検出値ZVFL,VFR を算出し、
次いでステップS4に移行して車速センサ24の車速検
出値Vを読込み、次いでステップS5に移行して操舵角
センサ25の操舵角検出値θを読込み、次いでステップ
S6に移行してリバーススイッチ26のスイッチ信号S
R を読込んでからステップS7に移行する。
【0024】ステップS7では、ストローク検出値H
FL, FRと上下速度検出値ZVFL,VF R とをもとに下記
(1)式〜(4)式の演算を行って現時点での前輪側の
圧力制御弁20FL〜20RRに対する圧力指令値P
FL(n)〜PRR(n)を算出し、これらのうち後輪側圧
力指令値PRL(n)及びPRR(n)を記憶装置42dに
設定した2組のシフトレジスタ領域の初段に夫々格納す
ると共に、前回迄の後輪側圧力指令値PRL(n−1)及
びPRR(n−1)、PRL(n−2)及びPRR(n−2)
……を順次1つずつシフトする。
【0025】 PFL(n)=PNF−KS ・HFL−KB ・ZVFL …………(1) PFR(n)=PNF−KS ・HFR−KB ・ZVFR …………(2) PRL(n)=PNR−KS ・HFL−KB ・ZVFL …………(3) PRR(n)=PNR−KS ・HFR−KB ・ZVFR …………(4) ここで、PNF及びPNFは前輪側及び後輪を目標車高に維
持するために必要とする中立圧指令値、KS はストロー
ク制御ゲイン、KB はバウンス制御ゲインである。
【0026】次いで、ステップS8に移行して、ステッ
プS5で読込んだ操舵角検出値θの絶対値|θ|が予め
設定した閾値θS (一定値或いは車速Vに応じて可変と
なる値等でもよい。)を越えているかないかを判定す
る。この判定は、車両が旋回状態にあって、前輪の軌跡
と後輪の軌跡とが異なるか否かを判定するものであり、
|θ|>θS であるときには、前輪及び後輪の軌跡が異
なり、前輪が通過した路面を後輪が通過しないものと判
断してステップS9に移行し、後輪側の圧力指令値PRL
(m), RR(m)として前回の圧力指令値PRL(m−
1),PRR(m−1)を決定してから後述するステップ
S13に移行し、|θ|≦θS であるときには前輪及び
後輪の軌跡が一致して前輪が通過した路面を後輪が通過
するものと判断してステップS10に移行する。
【0027】このステップS10では、リバーススイッ
チ26のスイッチ信号SR を読込み、これがオン状態で
あるか否かを判定する。この判定は、車両が前輪が通過
した路面を後輪が通過しない後進状態であるか否かを判
定するものであり、スイッチ信号SR がオン状態である
ときには後進状態であると判断して前記ステップS9に
移行し、スイッチ信号がオフ状態であるときには、後進
状態ではない前進状態であると判断してステップS11
に移行する。
【0028】このステップS11では、下記(5)式に
示すように、前輪11FL及び11FRと後輪11RL及び1
1RRとの間の距離を表すホイールベースLを車速検出値
Vで除して前輪11FL及び11FRが通過した路面を後輪
11RL及び11RRが通過するまでの所要時間(L/V)
を算出し、これから演算遅れとアクチュエータの応答遅
れを考慮した時間Δτを減算して前輪11FL及び11FR
と後輪11RL及び11RRとの間の遅延時間τD を算出す
る。
【0029】 τD =(L/V)−Δτ …………(5) 次いで、ステップS12に移行して、上記ステップS1
1で算出した遅延時間τD をサンプリング時間TS で除
して、現在時点で後輪11RL,11RRが通過する路面情
報に該当するシフトアドレスを決定し、これに基づいて
記憶装置42dのシフトレジスタ領域をアクセスして該
当する後輪用圧力指令値PRL(n−i)及びPRR(n−
i)を読出し、これらを後輪用圧力指令値PRL(m)及
びPRR(m)として決定する。 次いで、ステップS1
3に移行して、前記ステップS7で算出した現時点での
前輪側圧力指令値PFL(n)及びPFR(n)とステップ
S9又はステップS12で決定した後輪側圧力指令値P
RL(m)及びPRR(m)とを夫々D/A変換器43FL〜
43RRに出力してからタイマ割込処理を終了して所定の
メインプログラムに復帰する。
【0030】ここで、図8のステップS8の処理が軌跡
不一致検出手段に対応し、ステップS9の処理が制御中
断手段に対応し、ステップS10の処理が後進状態検出
手段に対応し、ステップS11〜S13が制御手段に対
応している。したがって、今、車両が平坦な良路を目標
車高を維持して直進定速走行しているものとする。この
状態では、車両が平坦な良路で目標車高を維持している
ことから、操舵角センサ25の操舵角検出値θは略零で
あり、リバーススイッチ26のスイッチ信号SR はオフ
状態であり、さらにストロークセンサ28FL及び28FR
のストローク検出値HFL及びHFRは零であり、これらが
コントローラ30に入力される。
【0031】一方、車体側部材10に揺動を生じないの
で、前後に配置された上下方向加速度センサ27FL及び
27FRの加速度検出値ZGFL 及びZGFR は略零となって
おり、これらがコントローラ30に入力される。このよ
うに、平坦な良路走行を継続している状態では、マイク
ロコンピュータ42で、所定サンプリング時間TS
に、図8の処理が実行される毎に、そのステップS7で
前記(1)〜(4)式で右辺第2項及び第3項が零とな
ることにより、目標車高値HT にのみ対応した中立圧指
令値PNF及びPNRの前輪側圧力指令値PFL(n),PFR
(n)及び後輪側圧力指令値PRL(n),PRR(n)が
算出され、後輪側圧力指令値PRL(n),PRR(n)が
順次記憶装置42dのシフトレジスタ領域に格納される
ことから、ステップS12で読出される前輪側及び後輪
側圧力指令値PFL(n),PFR(n)及びPRL(m),
RR(m)は共に等しい中立圧指令値PNF及びPNRに対
応した値となり、これらが出力側インタフェース回路4
2b及びD/A変換器43FL〜43RRを介して駆動回路
44FL〜44RRに出力される。
【0032】このため、駆動回路44FL〜44RRで圧力
指令値PFL〜PRRに対応した指令電流iFL〜iRRに変換
されて前輪側の圧力制御弁20FL〜20RRに供給され
る。この結果、圧力制御弁20FL〜20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNF ,PCNR が前輪側
及び後輪側の油圧シリンダ18FL,18FR及び18RL,
18RRに出力され、これら油圧シリンダ18FL〜18RR
で車体側部材10及び車輪側部材14間のストロークを
目標車高に維持する推力を発生する。
【0033】この良路直進走行状態で、例えば前左輪1
1FLのみが一過性の例えば凸部を通過する状態となる
と、この凸部通過によって、車体側部材10及び車輪側
部材14間のストロークが目標ストロークより短くなる
ため、前左側ストロークセンサ28FLのストローク検出
値HFLが負方向に増加すると共に、前左輪の凸部乗り上
げによって車体側部材10に上方向の加速度が発生し、
これが前左輪の上下方向加速度センサ27FLで検出され
る。
【0034】このため、マイクロコンピュータ42で図
8の処理が実行されるサンプリング時間TS 毎に、ステ
ップS7で前輪側の車高及び上下速度の変化を抑制する
前輪側圧力指令値PFL(n), FR(n)及び後輪側圧
力指令値PRL(n)及びPRR(n)が算出され、後輪側
圧力指令値PRL(n)及びPRR(n)が順次シフトされ
ながら記憶装置42dのシフトレジスタ領域に格納され
る。したがって、ステップS7で算出される圧力指令値
FL(n)及びPRL(n)は凸部形状に応じて中立圧指
令値PNF及びPNRより低下され、これに応じて駆動回路
44FL及び44FRから出力される指令電流iFLが低下
し、これによって圧力制御弁20FL及び20FRから出力
される制御圧PC が中立圧PCNF より低下して、油圧シ
リンダ18FL及び18FRの推力が低下されて、前輪側の
ストロークを減少させることにより、前輪11FL及び1
1FRの凸部乗り上げによるストローク変化を吸収して車
体側部材10の揺動を抑制することができる。
【0035】その後、凸部の頂部を通過し終わると、ス
トロークセンサ28FLのストローク検出値HFLが正の値
から零側に復帰することになり、これに応じて前左輪側
の圧力指令値PFL(n)が中立圧指令値PNFに復帰する
ので、油圧シリンダ18FL及び18FRの推力が上昇され
て、前輪側のストロークを増加させることにより、前輪
11FL及び11FRの凸部の頂部通過後に車体側部材10
に生じる揺動を抑制することができる。
【0036】同様に、後輪側については、図8のステッ
プS12で算出される遅延時間τDが経過した時点から
順次、遅延時間τD だけ前即ち前述した前左輪11FLが
凸部を通過した時点の前輪側圧力指令値PFL(n−i)
を読出し、これらを後輪側圧力指令値PRL(m)として
圧力制御弁20RLに出力する。この結果、前輪11FLが
凸部乗り上げ開始時点から遅延時間τD 分遅れた時点か
ら後輪側圧力指令値P RL(m)が中立圧指令値PN から
減少することにより、駆動回路44RL及び44RRから出
力される指令電流iRLが中立電流iNRより低下し、これ
によって圧力制御弁20RLから出力される制御圧PC
中立圧PCNR より低下して、油圧シリンダ18RLの推力
が低下されて、後左輪側のストロークを減少させること
により、後左輪11RLの凸部乗り上げによって車体側部
材10に生じる揺動を抑制することができる。
【0037】この直進走行状態から、ステアリングホイ
ール(図示せず)を例えば左切りして左旋回状態に移行
すると、これに応じて操舵角センサ25の操舵角検出値
θが増加することになり、その絶対値|θ|が予め設定
された閾値θS を越える状態となると、図8の処理が実
行された時点で、前輪11FL及び11FRの軌跡と後輪1
1RL及び11RRの軌跡とが不一致となって、前輪11FL
及び11FRが通過した路面を後輪11RL及び11RRが通
過しないものと判断して、ステップS9に移行し、所定
サンプリング時間TS だけ前の前回の処理時における後
輪側圧力指令値PRL(m−1)及びPRR(m−1)を現
在の後輪側圧力指令値PRL(m)及びP RR(m)として
算出することになるので、前輪11FL及び11FRでのス
トローク変化にかかわらず直前の車高を維持するストロ
ーク制御状態を継続する。このため、前輪11FL及び1
1FRが通過した凹凸を後輪11RL及び11RRが通過しな
いときに誤って後輪11RL及び11RR側で不必要なスト
ローク制御が行われることを防止することができ、乗心
地を向上させることができる。
【0038】同様に、車両が停車状態から後進する場合
には、リバーススイッチ26のスイッチ信号SR がオン
状態となることから、図8の処理が実行される毎に、ス
テップS10からステップS9に移行することになり、
上記旋回状態と同様に前輪11FL及び11FRのストロー
ク変化にかかわらず後輪11RL及び11RRを直前のスト
ローク制御を継続するので、不必要なストローク制御を
防止して、乗心地を向上させることができる。
【0039】次に、この発明の第2実施例を図9及び図
10について説明する。この第2実施例は、車両の旋回
状態であっても、前輪11FL及び11FRと後輪11RL及
び11RRとが同一軌跡上を走行する場合があり、この場
合には前輪11FL及び11FRの運動情報に基づく後輪ス
トローク制御を実施するようにしたものである。
【0040】この第2実施例では、図9に示すように、
図7の操舵角センサ25に代えて車体に取付けられた横
加速度センサ29Yが適用されていると共に、車両のス
リップ角βを検出するスリップ角センサ29Sが新設さ
れ、且つコントローラ30のマイクロコンピュータ42
で図8の処理に代えて図10の処理を実行することを除
いては前述した第1実施例と同様の構成を有し、第1実
施例との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明は
これを省略する。
【0041】図10の処理は、先ず、ステップS21で
ストロークセンサ28FL及び28FRのストローク検出値
FL及びHFRを読込み、次いでステップS22で上下方
向加速度センサ27FL及び27FRの上下加速度検出値Z
GFL 及びZGFR を読込み、次いでステップS23に移行
して上下加速度検出値ZGFL 及びZGFR を積分して車体
の上下速度ZVFL 及びZVFR を算出し、次いでステップ
S24に移行して、車速センサ24の車速検出値Vを読
込み、次いでステップS25に移行してスリップ角セン
サ29Sのスリップ角検出値βを読込み、次いでステッ
プS26に移行して横加速度センサ29Yの横加速度検
出値YG を読込み、次いでステップS27に移行してリ
バーススイッチ26のスイッチ信号SR を読込んでから
ステップS28に移行する。
【0042】このステップS28では、前述した(1)
式〜(4)式の演算を行って各圧力制御弁20FL〜20
RRに対する圧力指令値PFL(n)〜PRR(n)を算出
し、後輪側圧力制御弁20RL及び20RRに対する圧力指
令値PRL(n)及びPRR(n)を記憶装置42dのシフ
トレジスタ領域の初段に前回迄の圧力指令値PRL(n−
1)及びPRR(n−1)、PRL(n−2)及びPRR(n
−2)……を順次1つずつシフトさせて格納する。
【0043】次いで、ステップS29に移行して、前記
ステップS26で読込んだ横加速度検出値YG の絶対値
|YG |が予め設定した閾値YGSを超えているか否かを
判定する。この判定は、車両の旋回状態が大きく前輪1
1FL及び11FRの軌跡と後輪11RL及び11RRの軌跡と
が不一致となったか否かを判定するものであり、|Y G
|>YGSであるときには、前輪及び後輪の軌跡が不一致
となって前輪が通過した路面を後輪が通過しないものと
判断して、ステップS30に移行し、|YG |≦YGS
あるときには直進状態又は緩い旋回状態で前輪及び後輪
の軌跡が一致して前輪が通過した路面を後輪が通過する
ものと判断してステップS31に移行する。
【0044】ステップS30では、旋回状態であっても
前輪及び後輪の軌跡が一致する走行条件であるか否かを
判定する。この場合の走行条件は、図11に示すよう
に、車両の左右の車輪を1つの車輪に置換して二輪車の
モデルとして考えたときに以下のようにして決定され
る。すなわち、図11において、重心CGのスリップ角
をβ、ホイールベースを内分する重心の前輪WF及び後
輪WRからの距離をA及びB、重心位置の旋回半径を
R、速度をV、旋回中心Oと重心CGを結ぶ線をL1
旋回中心Oと前輪WFの中心PF を結ぶ線をL2 、旋回
中心Oと後輪WFの中心PR を結ぶ線をL3 とする。
【0045】そして、前輪WFの中心PF から線L1
達する垂線L4 の長さは、Acosβで表され、この垂
線L4 と線L1 との交点P1 と重心CGとの間の長さは
Asinβで表されるので、旋回中心Oと前輪WFの中
心PF を結ぶ線L2 の長さは{(R−Asinβ)2
(Acosβ)2 1/2 で表すことができる。一方、後
輪WRの中心PR から線L1 に達する垂線L5 の長さ
は、Bcosβで表され、この垂線L4 と線L1 との交
点P2 と重心CGとの間の長さはBsinβで表される
ので、旋回中心Oと後輪WRの中心PR を結ぶ線L3
長さは{(R+Bsinβ)2 +(Bcosβ)2
1/2 で表すことができる。
【0046】したがって、前輪WFと後輪WRとが同一
路面を通過する条件は、旋回中心Oと前輪WFの中心P
F を結ぶ線L2 の長さと旋回中心Oと後輪WRの中心P
R を結ぶ線L3 の長さとが等しくなることであるので、
【0047】
【数1】
【0048】で表すことができる。ここで、旋回半径R
は、R=V2 /YG で表すことができるので、これを上
記(6)式に代入することにより、 sinβ=(A−B)V2 /2YG β=sin-1{(A−B)V2 /2YG } …………(7) となる。
【0049】この(7)式を満足すれば、前輪11FL及
び11FRと後輪11RL及び11RRとが同一軌跡上を通る
ことになる。したがって、ステップS30で(7)式が
満足されるか否かを判定し、(7)式が満足される場
合、例えばホイールベースを内分する重心の前輪及び後
輪からの距離A及びBが等しい(A=B)車両におい
て、スリップ角βが零であるときには、前輪及び後輪が
同一軌跡上を通過するものと判断して前記ステップS3
1に移行し、(7)式が満足されない場合には前輪及び
後輪が同一軌跡上を通過しないものと判断して、ステッ
プS32に移行する。
【0050】このステップS32では、図8のステップ
S9と同様に、後輪側の圧力指令値PRL(m),
RR(m)として前回の圧力指令値PRL(m−1),PRR
(m−1)を決定してから後述するステップS35に移
行する。一方、ステップS31では、図8のステップS
10と同様に、リバーススイッチ26のスイッチ信号S
R を読込み、これがオン状態であるか否かを判定する。
この判定は、車両が前輪が通過した路面を後輪が通過し
ない後進状態であるか否かを判定するものであり、スイ
ッチ信号SR がオン状態であるときには後進状態である
と判断して前記ステップS32に移行し、スイッチ信号
がオフ状態であるときには、後進状態ではない前進状態
であると判断してステップS33に移行する。
【0051】このステップS33では、図8のステップ
S11と同様に前述した(5)式の演算を行って前輪1
1FL及び11FRと後輪11RL及び11RRとの間の遅延時
間τ D を算出し、次いでステップS34に移行して、図
8のステップS12と同様に上記ステップS33で算出
した遅延時間τD をサンプリング時間TS で除して、現
在時点で後輪11RL,11RRが通過する路面情報に該当
するシフトアドレスを決定し、これに基づいて記憶装置
42dのシフトレジスタ領域をアクセスして該当する後
輪用圧力指令値PRL(n−i)及びPRR(n−i)を読
出し、これらを後輪用圧力指令値PRL(m)及びP
RR(m)として決定する。
【0052】次いで、ステップS35に移行して、前記
ステップS28で算出した現時点での前輪側圧力指令値
FL(n)及びPFR(n)とステップS32又はステッ
プS34で決定した後輪側圧力指令値PRL(m)及びP
RR(m)とを夫々D/A変換器43FL〜43RRに出力し
てからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラ
ムに復帰する。
【0053】ここで、図10のステップS29及びS3
0の処理が軌跡不一致検出手段に対応し、ステップS3
1の処理が後進状態検出手段に対応し、ステップS32
の処理が制御中断手段に対応し、ステップS33〜S3
5の処理が制御手段に対応している。このように、第2
実施例によると、車両の前進走行状態での旋回状態であ
っても、前輪11FL及び11FRと後輪11RL及び11RR
とが同一軌跡を通る場合には、後輪ストローク制御を継
続することができるので、第1実施例に比較してより乗
心地を向上させることができる。
【0054】次に、本発明の第3実施例を図12及び図
13について説明する。この第3実施例は、車両の加減
速時には、車速検出値Vに基づいて算出される前輪が通
過した路面を後輪が通過する迄の遅延時間τD の変化が
早く、後輪のストローク制御の応答にずれが生じること
を防止するようにしたものである。すなわち、図12に
示すように、第1実施例における操舵角センサ25に代
えて前後方向加速度XG を検出する前後方向加速度セン
サ51が設けられ、コントローラ30のマイクロコンピ
ュータ42で図16の処理が実行されることを除いては
前記第1実施例と同様の構成を有し、第1実施例との対
応部分には同一符号を付してその詳細説明はこれを省略
する。
【0055】図13の処理は、先ず、ステップS41
で、ストロークセンサ28FL及び28FRのストローク検
出値HFL及びHFRを読込み、次いでステップS42に移
行して上下方向加速度センサ27FL及び27FRの上下加
速度検出値ZGFL 及びZGFR を読込み、次いでステップ
S43に移行して、上下加速度検出値ZGFL 及びZGFR
を積分して上下速度ZVFL 及びZVFR を算出し、次いで
ステップS44に移行して車速センサ24の車速検出値
Vを読込み、次いでステップS45に移行して前後方向
加速度センサ51の前後加速度検出値XG を読込んでか
らステップS46に移行する。
【0056】このステップS46では、前述した(1)
式〜(4)式の演算を行って各圧力制御弁20FL〜20
RRに対する圧力指令値PFL(n)〜PRR(n)を算出
し、後輪側圧力制御弁20RL及び20RRに対する圧力指
令値PRL(n)及びPRR(n)を記憶装置42dのシフ
トレジスタ領域の初段に前回迄の圧力指令値PRL(n−
1)及びPRR(n−1)、PRL(n−2)及びPRR(n
−2)……を順次1つずつシフトさせて格納する。
【0057】次いで、ステップS47に移行して、前記
ステップS45で読込んだ前後加速度検出値XG の絶対
値|XG |が予め設定した閾値XGSを超えているか否か
を判定する。この判定は、車両の加減速度が大きく車速
検出値Vに基づいて算出する前輪が通過した路面を後輪
が通過する迄の遅延時間τD に基づく後輪ストローク制
御の追従性が良いか否かを判定するものであり、|XG
|>XGSであるときには、遅延時間τD に基づく後輪ス
トローク制御の追従性が悪くなるものと判断して、ステ
ップS48に移行し、|XG |≦XGSであるときには遅
延時間τD に基づく後輪ストローク制御の追従性が良い
ものと判断して、ステップS49に移行する。
【0058】このステップS48では、図8のステップ
S9と同様に、後輪側の圧力指令値PRL(m),
RR(m)として前回の圧力指令値PRL(m−1),PRR
(m−1)を決定してから後述するステップS51に移
行する。一方、ステップS49では、図8のステップS
11と同様に前述した(5)式の演算を行って前輪11
FL及び11FRと後輪11RL及び11RRとの間の遅延時間
τD を算出し、次いでステップS50に移行して、図8
のステップS12と同様に上記ステップS49で算出し
た遅延時間τD をサンプリング時間TS で除して、現在
時点で後輪11RL,11RRが通過する路面情報に該当す
るシフトアドレスを決定し、これに基づいて記憶装置4
2dのシフトレジスタ領域をアクセスして該当する後輪
用圧力指令値PRL(n−i)及びPRR(n−i)を読出
し、これらを後輪用圧力指令値PRL(m)及びP
RR(m)として決定する。
【0059】次いで、ステップS51に移行して、前記
ステップS46で算出した現時点での前輪側圧力指令値
FL(n)及びPFR(n)とステップS48又はステッ
プS50で決定した後輪側圧力指令値PRL(m)及びP
RR(m)とを夫々D/A変換器43FL〜43RRに出力し
てからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラ
ムに復帰する。
【0060】ここで、図13のステップS47の処理と
前後加速度センサ51とが加減速状態検出手段に対応
し、ステップS48の処理が制御中断手段に対応し、ス
テップS49〜S51の処理が制御手段に対応してい
る。このように、第3実施例では、車両の前後加速度検
出値XG の絶対値が予め設定した閾値XGS未満であると
きには、車速検出値Vの単位時間当たりの変化が少な
く、この車速検出値Vに基づいて前輪11FL及び11FR
が通過した路面を後輪11RL及び11RRが通過する迄の
遅延時間τD を算出し、この遅延時間τD 分前の後輪側
圧力指令値PRL(n−i)及びPRR(n−i)を現在の
後輪圧力指令値PRL(m)及びPRR(m)としてストロ
ーク制御することにより路面状態に応じた最適ストロー
ク制御を行うが、前後加速度検出値XG の絶対値が閾値
GS異常であるときには、遅延時間τD に基づくストロ
ーク制御を行ったときに路面状態に応じた最適ストロー
ク制御を行うことができないものと判断して後輪ストロ
ーク制御を中止することができ、ストローク制御の不適
合による乗心地の低下を防止することができる。
【0061】なお、上記第3実施例においては、車両の
加減速状態を前後加速度センサの加速度検出値に基づい
て検出する場合について説明したが、これに限定される
ものではなく、ブレーキ圧、スロットル開度等を検出し
て加減速状態を判断するようにしてもよい。次に、本発
明の第4実施例を図14〜図18について説明する。
【0062】この第3実施例では、前後輪の軌跡差を概
算し、その軌跡差に応じて後輪側の圧力指令値に対する
制御ゲインを変更して、後輪側のストローク制御を制限
するようにしたものである。すなわち、図14に示すよ
うに、前述した第2実施例におけるリバーススイッチ2
6が省略されていると共に、横加速度センサ28Yが車
両の重心位置に配設され、さらにコントローラ30のマ
イクロコンピュータ42で図15の処理が実行されるこ
とを除いては前記第1実施例と同様の構成を有し、第2
実施例との対応部分には同一符号を付してその詳細説明
はこれを省略する。
【0063】図15の処理は、先ずステップS61で、
ストロークセンサ28FL及び28FRのストローク検出値
FL及びHFRを読込み、次いでステップS62に移行し
て上下方向加速度センサ27FL及び27FRの上下加速度
検出値ZGFL 及びZGFR を読込み、次いでステップS6
3に移行して、前記ストローク検出値HFL及びHFRを微
分してストローク速度HFL′及びHFR′を算出すると共
に、上下加速度検出値ZGFL 及びZGFR を積分して上下
速度ZVFL 及びZVFR を算出し、これらに基づいて下記
(8)式及び(9)式の演算を行って路面変位速度X
0FL ′及びX0FR′を算出する。
【0064】 X0FL ′=HFL′+∫ZGFL …………(8) X0FR ′=HFR′+∫ZGFR …………(9) 次いで、ステップS64に移行して、車速センサ24の
車速検出値Vを読込み、次いでステップS65に移行し
て横方向加速度センサ29Yの横加速度検出値YG を読
込んでからステップS66に移行する。
【0065】このステップS66では、下記(13)式
の演算を行って前後輪の軌跡差δdを算出する。すなわ
ち、図17に示すように、ホイールベースをL、重心点
から後輪までの距離をLr 、重心点の軌跡差をyとする
と、旋回時の前後輪軌跡差δd は、 δd =y・L/(L+Lr ) …………(10) で表すことができる。
【0066】そして、重心点の軌跡差yは、重心点の横
加速度をYG 、車速をVとすると、 y=(YG /2)・(L/V)2 …………(11) で表すことができる。また、重心点がホイールベースL
の中間に位置するものとすると、重心点から後輪までの
距離Lr は、 Lr =L/2 …………(12) であるので、上記(10)式に(11)式及び(12)
式を代入すると前後輪軌跡差δd は、 δd =|(YG /3)・(L/V)2 | …………(13) で表すことができる。
【0067】次いで、ステップS67に移行して、算出
した前後輪軌跡差δd を元に、予め設定された前後輪軌
跡差δd と後輪圧力指令値PRL及びPRRに対する制御ゲ
インKd との関係を表す図16の制御マップを参照し
て、制御ゲインKd を算出する。ここで、制御マップ
は、図16に示すように、前後輪軌跡差δd が零から第
1の所定値δd1迄の間は制御ゲインKd が“1”とな
り、前後輪軌跡差δd が所定値δd1から第2の所定値δ
d2迄の間は前後輪軌跡差δd の増加に応じて制御ゲイン
Kd が減少し、第2の所定値δd2以上で制御ゲインKd
が零となるように選定されている。
【0068】次いで、ステップS68に移行して、下記
(14)式及び(15)式の演算を行って現時点での後
輪側の圧力制御弁20RR及び20RRに対する予見制御力
RL(n) 及びURR(n) を算出し、これらを記憶装置42
dに設定した2組のシフトレジスタ領域の初段に夫々格
納すると共に、前回までの後輪側予見制御力URL(n−
1)及びURR(n−1)、URL(n−2)及びURR(n
−2)、……を順次1つずつシフトする。
【0069】 URL(n) =−(Kr ・∫X0FL ′+Cr ・X0FL ′)………(14) URR(n) =−(Kr ・∫X0FR ′+Cr ・X0FR ′)………(15) これら(14)式及び(15)式において、Kr はばね
定数、Cr は減衰定数であって、実際のサスペンション
のバネ定数K及び減衰定数Cに対して、Kr ≦K,Cr
≦Cに設定されている。
【0070】ここで、予見制御力URL(n) 及びURR(n)
を(14)式及び(15)式に従って算出する理由は、
通常の能動型サスペンションのように、ばね下共振周波
数領域に対しては能動制御を行わず、5Hz以下の主にば
ね上共振周波数領域の振動抑制を図る場合には、1輪の
運動モデルは図18に示すように、路面にばね要素K、
減衰要素C及び予見制御力を与える制御要素Uとが並列
に配置され、これらの上方にばね上質量Mが配置され、
このばね上質量Mに外力Fが作用する1自由度モデルと
して考えることができる。なお、図18において、X0
は路面変位、Xはばね上変位である。
【0071】この1輪1自由度モデルの運動方程式は、 M″X0 =C(X0 ′−X′)+K(X0 −X)−F+U…………(16) で表すことができる。この(16)式をばね上変位Xに
ついて解くと、 となる。
【0072】例えば(14)式において、X0FL ′=s
0FL で表されるので、予見制御力Uは、 U=−(Kr ・X0FL +Cr ・sX0FL ) …………(18) で表すことができ、この(18)式においてKr =K、
r =Cとして上記(17)式に代入すると、(17)
式は、 となる。
【0073】この(19)式で前述したステップS64
の処理による路面変位の推定精度は前述したように十分
高く、(X0 −X0FL )≒0となるので、(19)式
は、 となり、路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達されず、
良好な乗心地を得ることができる。
【0074】次いで、ステップS69に移行して、前述
した(5)式の演算を行って、前輪11FL及び11FRと
後輪11RL及び11RRとの間の遅延時間τD を算出する
と共に、ステップS70で上記ステップS69で算出し
た遅延時間τD をサンプリング時間TS で除して、現在
時点で後輪11RL,11RRが通過する路面情報に該当す
るシフトアドレスを決定し、これに基づいて記憶装置4
2dのシフトレジスタ領域をアクセスして該当する後輪
用予見制御力URL(n−i)及びURR(n−i)を読出
し、これらを後輪用予見制御力URL(m)及びU
RR(m)として設定する。
【0075】次いで、ステップS71に移行して、下記
(21)式及び(22)式の演算を行って後輪側圧力制
御弁20RL及び20RRに対する圧力指令値PRL及びPRR
を算出する。 PRL=PNR+Kd URL(m) …………(21) PRR=PNR+Kd URR(m) …………(22) して決定し、ステップS73で決定した後輪側圧力指令
値PRL及びPRRを夫々D/A変換器43RL及び43RRに
出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプ
ログラムに復帰する。
【0076】ここで、ステップS67及びS68の処理
が軌跡不一致検出手段に対応し、ステップS71の処理
が制御制限又は中断手段に対応している。この第4実施
例によると、車両が平坦な良路を目標車高を維持して直
進定速走行状態であるときには、車体に生じる横加速度
G が零であることにより、図15のステップS66で
算出される前後輪軌跡差δd は零となり、このため、ス
テップS67で制御ゲインKd が“1”に設定される。
一方、前輪側に配設されたストロークセンサ28FL及び
28FRのストローク検出値SFL及びSFRは略零となって
おり、且つ車体側部材10に揺動を生じないので、各上
下方向加速度センサ27FL及び27FRの加速度検出値Z
FL及びZFRは略零となっている。このため、図15のス
テップS63で算出される路面変位速度X0FL ′及びX
0FR ′も略零となり、これに応じてステップS68で算
出される後輪側予見制御力URL(n) ,URR(n) も零とな
り、これらが順次記憶装置42dのシフトレジスタ領域
に格納されることから、ステップS70で読出される後
輪側予見制御力URL(m) 及びU RR(m) も零となり、ステ
ップS71で算出される後輪側圧力指令値PRL及びPRR
は共に等しい目標車高を維持する中立圧指令値PNF及び
NRに対応した値となり、これらが出力インタフェース
回路42b及びD/A変換器43RL及び43RRを介して
駆動回路44RL及び44RRに出力される。このように、
直進走行状態では、制御ゲインKd が“1”に設定され
るので、前述した第1実施例と同様に、前輪側で凹凸を
通過したときに、その凹凸に後輪側が到達した時点で後
輪側のストロークを増減させて、後輪側の凹凸通過によ
って車体側部材10に生じる揺動を抑制することができ
る。
【0077】ところが、直進走行状態からステアリング
ホイール(図示せず)を例えば左切りして左旋回状態に
移行すると、これに応じて横加速度センサ29Yで検出
される横加速度検出値YG が大きな値となる。このた
め、図15のステップS66で横加速度検出値YG と車
速センサ24で検出された車速検出値Vとに基づいて前
記(13)式に従って算出される前後輪軌跡差δd は、
車速検出値Vが一定であるとしたときには、横加速度検
出値YG が大きくなる程大きくなり、横加速度検出値Y
G が一定であるとしたときには、車速検出値Vが小さく
なる程大きくなる。
【0078】したがって、高速走行状態での旋回状態で
は、車両の旋回半径が大きくなり、横加速度検出値YG
が大きくても車速検出値Vが大きいため、前後輪軌跡差
δdは所定値δd1前後の小さい値となり、これに基づい
て図16の制御マップを参照して算出される制御ゲイン
Kd が“1”に近い値となって、前輪側の挙動に基づい
て算出した予見制御力URL(m) 及びURR(m) を略そのま
ま中立圧指令値PRNに加算して後輪側圧力指令値PRL
びPRRを算出するので、後輪側の圧力制御弁20RL及び
20RRを前輪側と同様に制御することにより、後輪の凹
凸通過時の車体側部材10の揺動を抑制することができ
る。
【0079】しかしながら、低速走行状態での旋回状態
では、車両の旋回半径が小さくなり、この状態で横加速
度検出値YG が大きいときは、旋回半径がより小さくな
って大きな内輪差を生じるようになることから、ステッ
プS66で算出される前後輪軌跡差δd が所定値δd1
り大きな値となり、これをもとに図16の制御マップを
参照して算出される制御ゲインKd が“1”より小さい
値となり、ステップS71で算出される後輪側圧力指令
値PRL及びPRRが前輪側の挙動に基づいて算出した圧力
指令値PRL及びPRRより小さい値となり、前後輪軌跡差
δd による凹凸の通過状態の相違に応じて予見制御力U
RL(m) 及びURR(m) を制限した値となり、乗心地の低下
を抑制することができる。
【0080】そして、車両の旋回半径がより小さくなっ
て、ステップS67で算出される前後輪軌跡差δd が所
定値δd2以上となると、図16に示すように、制御ゲイ
ンKd が零となるので、ステップS72で算出される後
輪側制御力PRL及びPRRは中立圧指令値PNRのみとな
り、予見制御力URL(m) 及びURR(m) による制御が中断
される。
【0081】このように、第4実施例では、旋回状態に
応じて前後輪軌跡差δd を算出し、これが大きくなると
前輪側の挙動に基づいて算出される予見制御力URL(m)
及びURR(m) で後輪側を制御したときに制御ずれが大き
くなると判断して、予見制御力による制御成分を制限す
るようにしているので、前後軌跡差δd による誤制御に
よって乗心地が悪化することを確実に防止することがで
きる。
【0082】次に、本発明の第5実施例を図19及び図
20について説明する。この第5実施例は、車両の加減
速状態での定速走行時における前後輪通過遅れ時間τD
に対するずれ時間に応じて前輪側の挙動に応じた制御力
による後輪制御成分を制限するようにしたものである。
すなわち、この第5実施例は、システム構成としては、
前述した図12と同様の構成を有するが、マイクロコン
ピュータ42での演算処理が図19に示すように、前述
した第4実施例における図15の処理において、ステッ
プS65が横加速度センサ29Yからの横加速度検出値
G に代えて前後加速度センサ51からの前後加速度検
出値XG を読込むステップS75に変更されていると共
に、ステップS66が前後輪軌跡差δd を演算する処理
に代えて定速走行時における前後輪通過遅れ時間τD
対するずれ時間δt を演算するステップS76に変更さ
れ、さらにステップS67がずれ時間δt の絶対値|δ
t |をもとに予め設定された図20の制御マップを参照
して制御ゲインKt を算出するステップS77に変更さ
れ、さらにステップS71の処理が前述した(21)式
及び(22)式による演算に代えて下記(23)式及び
(24)式の演算を行って後輪側圧力制御弁20RL及び
20RRに対する圧力指令値PRL及びPRRを算出するステ
ップS81に変更されていることを除いては図15と同
様の処理を行い、対応するステップには同一ステップ符
号を付して、その詳細説明はこれを省略する。
【0083】 PRL=PNR+Kt URL(m) …………(23) PRR=PNR+Kt URR(m) …………(24) そして、ステップS76におけるずれ時間δt は、以下
のようにして算出される。すなわち、今車両が加速状態
にあるものとして、車両が一定車速Vで前後輪間の距離
を表すホイールベースLを走行するに要する時間をt、
車両前後加速度をXG 、前輪が路面凹凸を通過した時の
車速をVとしたとき、加速度XG を伴う加速走行時での
車両がホイールベースLを走行する要する時間t′は、 t′=t+δt …………(25) で表され、このときのホイールベースLは、 L=V・t′+XG t′2 /2 …………(26) で表されるので、この(26)式から加速状態での時間
t′は、 t′=(L/V)−(XG t′2 /2V) …………(27) となる。
【0084】ここで、前後加速度XG が零であれば、上
記(27)式はt′=L/Vとなり、定速走行時の時間
tとなるので、前後加速度XG による誤差δt は、 2 V t2 Vで表される。この
(28)式において、δt ≪tとすれば、δt 2 /t2
≒0と見なせるので、この(28)式は、 δt {1+(XG /V)t}=−(1/2)(XG /V)t2 ……(29) となり、この(29)式からずれ時間δt は、 で表すことができる。
【0085】したがって、前記ステップS64で前輪が
路面凹凸を通過する時点で読込んだ車速検出値Vとステ
ップS75で読込んだ現時点での前後加速度検出値XG
とに基づいて上記(30)式の演算を行うことにより、
前後加速度検出値XG に応じたずれ時間δt を算出する
ことができる。また、ステップS77で参照する制御マ
ップは、図20に示すように、ずれ時間δt の絶対値|
δt |が零から所定時間δt1までの間は制御ゲインKt
が“1”を維持するが、所定時間δt1を越えるとずれ時
間δt の増加に反比例して制御ゲインKt が減少し、ず
れ時間δt が所定時間δt2以上となると制御ゲインKt
が零となるように設定されている。
【0086】ここで、ステップS75の処理と前後加速
度センサ51とが加減速状態検出手段に対応し、ステッ
プS76,S77,S68〜S70,S81及びS72
の処理が制御制限又は中断手段に対応している。この第
5実施例によると、車両が定速走行しているときには、
前後加速度センサ51の前後加速度検出値XG が零であ
るので、図19のステップS76の処理で前記(30)
式に基づいて算出されるずれ時間δt も零となる。この
ため、ステップS77で算出される制御ゲインKt が
“1”となって、ステップS81で算出される前輪側の
挙動に基づく予見制御力URL(m) 及びURR(m) がそのま
ま中立圧指令値PNRに加算されるので、前輪側で通過し
た路面凹凸に後輪11RL及び11RRが達したときに、こ
の路面凹凸による振動が車体に伝達されることを確実に
防止して正確な予見制御を行うことができる。
【0087】しかしながら、車両が加速状態であるとき
には、前後加速度センサ51の前後加速度検出値XG
正方向に増加することになり、この前後加速度検出値X
G と前輪11FL及び11FRが路面凹凸を通過した時点で
の車速検出値Vとに基づいてステップS76で算出され
るずれ時間δt が所定値δt1を越えるまでの間は略定速
走行状態であると判断して制御ゲインKt が“1”を維
持するので、正確な予見制御を行うことができるが、ず
れ時間δt が所定値δt1を越えるとその増加量に応じて
制御ゲインKt が減少することから、ステップS81で
算出される後輪側圧力指令値PRL及びPRRに含まれる前
輪側の挙動に基づく予見制御力URL(m)及びURR(m) が
小さくなることにより、ずれ時間δt の増加によって生
じる予見制御タイミングのずれによる乗心地の低下を抑
制することができ、さらに急加速状態となって、ずれ時
間δt が所定値δt2を越えると、制御ゲインKt が零と
なることにより、ステップS81で算出される後輪側圧
力指令値PRL及びPRRが前輪側の挙動に基づく予見制御
力URL(m) 及びURR(m) を含まない中立圧指令値P RN
みとなり、前輪側の挙動による予見制御を中断して、乗
心地の低下を抑制する。
【0088】また、車両が制動状態にあるときには、前
後加速度センサ51の前後加速度検出値XG が負の値と
なることにより、上記と同様に減速度の増加に応じてず
れ時間δt が正方向に増加するが、ずれ時間δt の絶対
値|δt |は加速時と同様の値となるので、減速度の増
加に応じて制御ゲインKt が小さくなり、前輪側の挙動
による予見制御力URL(m) 及びURR(m) を制限して後輪
側圧力指令値PRL及びPRRを算出することにより、予見
制御を制限又は中断して減速時の制御タイミングの遅れ
による乗心地の低下を抑制することができる。
【0089】なお、上記第5実施例においても、車両の
加減速状態を前後加速度センサの加速度検出値に基づい
て検出する場合について説明したが、これに限定される
ものではなく、ブレーキ圧、スロットル開度等を検出し
て加減速状態を判断するようにしてもよい。また、上記
第1〜第5実施例においては、後輪11RL及び11RRの
前方路面情報検出手段として、前輪側の上下方向加速度
センサ27FL及び27FRとストロークセンサ28FL及び
28FRとを適用した場合について説明したが、これに限
定されるものではなく、上下加速度及びストロークの何
れか一方に基づいて後輪圧力指令値を算出するようにし
てもよく、さらには前方路面情報検出手段として前輪1
1FL及び11FRより前方位置に超音波距離測定器、レー
ザ距離計等の非接触式距離測定装置を設置し、その対地
距離測定値に基づいて前輪11FL及び11FRと後輪11
RL及び11RRの圧力指令値を算出するようにしてもよ
い。
【0090】さらに、上記各実施例においては、上下方
向加速度に基づいてのみサスペンション制御を行う場合
について説明したが、これに限定されるものではなく、
他の横方向加速度センサ、前後方向加速度センサ等の加
速度検出値に基づくロール、ピッチ、バウンスを抑制す
る制御信号を算出し、これらを前記圧力指令値PFL〜P
RRに加減算してトータル制御を行うようにしてもよい。
【0091】さらにまた、上記各実施例においては、制
御弁として圧力制御弁20FL〜20RRを適用した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、他
の流量制御型サーボ弁等を適用し得るものである。ま
た、上記各実施例においては、コントローラ30をマイ
クロコンピュータ62で構成した場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、シフトレジスタ、
演算回路等の電子回路を組み合わせて構成するようにし
てもよいことは言うまでもない。
【0092】さらに、上記各実施例においては、作動流
体として作動油を適用した場合について説明したが、こ
れに限らず圧縮率の少ない流体であれば任意の作動流体
を適用し得る。さらにまた、上記各実施例においては、
アクチュエータとして能動型サスペンションを適用した
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、減衰力可変型ショックアブソーバ等のサスペンショ
ンのバネ特性や減衰特性などのサスペンション特性を変
更し得る構成であれば任意のアクチュエータを適用する
ことができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、軌跡不一致検出手段
で、前方路面情報検出手段で検出した路面の軌跡と制御
対象車輪の軌跡とが不一致であることを検出したとき
に、制御制限又は中断手段で、前方路面情報に基づく制
御対象車輪のアクチュエータ制御を制限又は中断するよ
うにしたので、前方路面情報検出手段で凹凸路面を検出
したときに、この凹凸路面に対して制御対象車輪の通過
軌跡にずれを生じているときにアクチュエータが制御さ
れて乗心地が低下することを確実に防止することができ
るという効果が得られる。
【0094】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置によれば、後進検出手段で、車両の後進状態を検出
したときに、制御中断手段で、前方路面情報に基づく制
御対象車輪のアクチュエータ制御を中断するようにした
ので、車両が後進する場合の前方路面情報検出手段で検
出した路面を制御対象車輪が通過しない場合に不必要に
アクチュエータが制御されることを確実に防止すること
ができるという効果が得られる。
【0095】さらに、請求項3に係るサスペンション制
御装置によれば、加減速状態検出手段で、車両の加減速
状態を検出したときに、制御制限又は中断手段で、前方
路面情報に基づく制御対象車輪のアクチュエータ制御を
制限又は中断するようにしたので、車両の加減速状態で
の車速変化の激しい状態での制御対象車輪におけるアク
チュエータの制御タイミングの遅れや進みによる乗心地
の低下を確実に防止することができるという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図であって、(a)は請求項
1に対応し、(b)は請求項2に対応し、(c)は請求
項3に対応している。
【図2】本発明の第1実施例を示す概略構成図である。
【図3】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図4】操舵角センサの出力特性を示す特性線図であ
る。
【図5】ストロークセンサの出力特性を示す特性線図で
ある。
【図6】上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図7】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図8】マイクロコンピュータの処理手順の一例を示す
フローチャートである。
【図9】本発明の第2実施例を示すコントローラのブロ
ック図である。
【図10】本発明の第2実施例におけるマイクロコンピ
ュータの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第2実施例の旋回状態の前輪と後輪の軌跡を
示す説明図である。
【図12】本発明の第3実施例を示すコントローラのブ
ロック図である。
【図13】第3実施例におけるマイクロコンピュータの
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4実施例を示すコントローラのブ
ロック図である。
【図15】第4実施例におけるマイクロコンピュータの
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】前後輪軌跡差と制御ゲインとの関係を示す制
御マップである。
【図17】前後輪軌跡差を算出する場合の説明図であ
る。
【図18】1輪1自由度モデルを示す説明図である。
【図19】本発明の第5実施例におけるマイクロコンピ
ュータの処理手順を示すフローチャートである。
【図20】ずれ時間と制御ゲインとの関係を示す制御マ
ップである。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR 車輪 14 車輪側部材 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 22 油圧源 24 車速センサ 25 操舵角センサ 26 リバーススイッチ 27FL,27FR 上下加速度センサ 28FL,28FR ストロークセンサ 29Y 横加速度センサ 29S スリップ角センサ 30 コントローラ 42 マイクロコンピュータ 51 前後加速度センサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪と車体との間に配設され、制御信号
    によってそれら間のサスペンション特性を制御可能な制
    御力を発生するアクチュエータと、車輪前方の路面情報
    を検出する前方路面情報検出手段と、前記前方路面情報
    検出手段の前方路面情報に基づいて前記アクチュエータ
    を制御する制御手段とを備えたサスペンション制御装置
    において、前記前方路面情報検出手段で検出した路面の
    軌跡と制御対象車輪の軌跡とが異なる軌跡であることを
    検出する軌跡不一致検出手段と、該軌跡不一致検出手段
    で異なる軌跡であることを検出したときに前記制御手段
    によるアクチュエータ制御を制限又は中断させる手段と
    を備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 車輪と車体との間に配設され、制御信号
    によってそれら間のサスペンション特性を制御可能な制
    御力を発生するアクチュエータと、車輪前方の路面情報
    を検出する前方路面情報検出手段と、前記前方路面情報
    検出手段の前方路面情報に基づいて前記アクチュエータ
    を制御する制御手段とを備えたサスペンション制御装置
    において、車両の後進状態を検出する後進状態検出手段
    と、該後進状態検出手段で車両の後進状態を検出したと
    きに前記制御手段によるアクチュエータ制御を中断させ
    る制御中断手段とを備えたことを特徴とするサスペンシ
    ョン制御装置。
  3. 【請求項3】 車輪と車体との間に配設され、制御信号
    によってそれら間のサスペンション特性を制御可能な制
    御力を発生するアクチュエータと、車輪前方の路面情報
    を検出する前方路面情報検出手段と、前記前方路面情報
    検出手段の前方路面情報に基づいて前記アクチュエータ
    を制御する制御手段とを備えたサスペンション制御装置
    において、車両の加減速状態を検出する加減速状態検出
    手段と、該加減速状態検出手段で車両の加減速状態を検
    出したときに前記制御手段によるアクチュエータ制御を
    制限又は中断させる手段とを備えたことを特徴とするサ
    スペンション制御装置。
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