JPH05338061A - ポリイミド管状物およびその製法 - Google Patents

ポリイミド管状物およびその製法

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JPH05338061A
JPH05338061A JP4144587A JP14458792A JPH05338061A JP H05338061 A JPH05338061 A JP H05338061A JP 4144587 A JP4144587 A JP 4144587A JP 14458792 A JP14458792 A JP 14458792A JP H05338061 A JPH05338061 A JP H05338061A
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polyimide
tubular
heat
layer
resistant core
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JP4144587A
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Masao Nakamura
正雄 中村
Toshio Nakajima
登志雄 中島
Tokio Fujita
時男 藤田
Toshiaki Iwamoto
登志明 岩元
Toshihiko Tomita
俊彦 富田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 駆動中に蛇行の生起しないポリイミド管状物
およびその製法を提供する。 【構成】 特定の溶媒含有率を有するポリイミド前駆体
管状物に、この管状物の一端部分を内側から造形しうる
耐熱性芯体を挿入して、これを加熱して溶媒除去し、イ
ミド化する。ついで、上記耐熱性芯体を抜き取ることに
より、一端部分3aが、他の部分3bより大径に形成さ
れた略均厚のポリイミド管状物3を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ローラー等に用いられ
るポリイミド管状物およびその製法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、優れた耐熱性,耐薬
品性,機械的特性を有するために、それを用いて得られ
る管状物が種々の用途に期待されている。特に、近年、
上記ポリイミド樹脂製管状物は、広範に普及している複
写機,ファクシミリ,プリンター等の画像形成装置の定
着用管状物に有用であるとして汎用されている。
【0003】上記画像形成装置における転写紙等への画
像定着法としては、熱,圧力等を用いたオーブン定着法
やフラッシュ定着法,圧力定着法,熱ローラー定着法等
があげられ、なかでも上記熱ローラー定着法が広く採用
されている。上記熱ローラー定着法は、熱ローラーとプ
レスローラーを対峙させ、その間に転写紙を通過させる
方法であって、熱ローラー内の定着ヒーターの熱とプレ
スローラーの圧力によって感熱インクを転写紙に強固に
定着させて画像を形成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような定着部に用
いる管状ベルトの素材としては、上記ポリイミド樹脂が
好適である。しかしながら、上記ポリイミド樹脂を用い
た管状ベルトやその駆動用ガイドローラーは、通常、管
状ベルトやその駆動用ガイドローラーの表面は平坦であ
るために、駆動中に蛇行が生起する場合があり、そのコ
ントロールが困難であるという問題を有している。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、駆動中に蛇行が生起しないポリイミド管状物お
よびその製法の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、一端部分もしくは両端部分が、他の部分
より大径に形成された段差を有するポリイミド管状物を
第1の要旨とし、溶媒含有率が5〜30重量%のポリイ
ミド前駆体管状物を準備する工程と、上記管状物に、こ
の管状物の一端部分もしくは両端部分を内側から造形し
うる耐熱性芯体を挿入する工程と、上記耐熱性芯体が挿
入された管状物を加熱して溶媒除去し、イミド化する工
程と、上記耐熱性芯体を抜き取る工程とを備えたポリイ
ミド管状物の製法を第2の要旨とする。
【0007】
【作用】すなわち、本発明者らは、駆動中に蛇行が生じ
ないような管状ベルトや駆動用ガイドローラーを得るた
めに一連の研究を重ねた。その結果、特定の溶媒含有率
を有するポリイミド前駆体管状物に、この管状物の一端
部分もしくは両端部分を内側から造形しうる耐熱性芯体
を挿入して、これを加熱して溶媒除去し、イミド化す
る。ついで、上記耐熱性芯体を抜き取ることにより、一
端部分もしくは両端部分が、他の部分より大径に形成さ
れたポリイミド管状物を作製する。そして、これを上記
大径部分に対応して形状を有する駆動ロールの外周に接
するように取り付けると、駆動時に蛇行等が生じず、安
定した駆動状態が得られることを見出し本発明に到達し
た。
【0008】本発明のポリイミド管状物は、ポリイミド
前駆体の溶液を用い所定の製法によって得られるもので
あり、上記ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液は、
テトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体と、ジア
ミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させることに
より得られる。特に好ましくは、芳香族テトラカルボン
酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応によって得られる
ポリアミド酸が用いられる。
【0009】上記芳香族テトラカルボン酸二無水物とし
ては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,
3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、2,2′−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等があげら
れる。これらは単独でもしくは併せて用いられる。
【0010】上記芳香族ジアミンとしては、具体的に
は、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′
−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフ
ェニルメタン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレ
ンジアミン、ベンチジン、3,3′−ジメトキシベンチ
ジン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,
4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジア
ミノジフェニルプロパン、2,2−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等があげられる。
これらは単独でもしくは併せて用いられる。
【0011】また、上記有機極性溶媒としては、N−メ
チル−2−ピロリドン、N,N′−ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘ
キサメチレンホスホルトリアミド等があげられる。これ
らの有機極性溶媒には、クレゾール,フェノール,キシ
レノール等のフェノール類、ヘキサン,ベンゼン,トル
エン等の炭化水素類等を混合することもできる。これら
溶媒は、単独でもしくは併せて用いられる。
【0012】上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳
香族ジアミンを溶媒中で反応させてポリアミド酸溶液を
得る際の溶媒中でのモノマー濃度は、種々の条件に応じ
て設定される。しかし、通常、5〜30重量%、好まし
くは10〜25重量%であり、通常、80℃以下、好ま
しくは5〜50℃の範囲で約2〜10時間反応させる。
【0013】このようにして得られるポリアミド酸溶液
は、反応の進行とともに溶液粘度が上昇した状態で得ら
れるが、本発明においては固有粘度が0.5以上(30
℃、N−メチル−2−ピロリドン中)のポリアミド酸溶
液を用いることが好ましい。すなわち、固有粘度を0.
5以上のポリアミド酸溶液を用いることにより、得られ
管状物は熱劣化に対する信頼性が特に優れたものとなる
からである。
【0014】本発明の一端部分が他の部分より大径に形
成されたポリイミド管状物は、例えばつぎのようにして
得られる。すなわち、まず上記成分を用いてポリアミド
酸溶液を作製する。ついで、シリンダー等の管状成形型
内周面に、上記ポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥して部
分的にイミド化され、有機極性溶媒等の揮発分が5〜3
0%残存含有された状態のポリイミド前駆体管状物を作
製する。ついで、この管状物を管状成形型から抜き出
す。つぎに、図6に示すような一端部分2aが段差とな
るように他の部分2bより大径に形成された耐熱性芯体
2を準備し、この耐熱性芯体2を図5に示すように、上
記ポリイミド前駆体管状物1内に挿入する。そして、上
記耐熱性芯体2が挿入された管状物を加熱して溶媒除去
し、イミド化する。イミド化した後、上記耐熱性芯体2
を抜き取ることにより、図1および図2に示す構造の、
一端部分3aが段差となるように他の部分3bより大径
に形成された略均厚のポリイミド管状物3が得られる。
【0015】また、両端部分が段差となるように他の部
分よりも大径に形成された略均厚のポリイミド管状物
は、例えばつぎのようにして得られる。すなわち、上記
製法において、一端部分が他の部分より大径に形成され
た耐熱性芯体2に代えて、図7に示すような両端部分が
段差となるように他の部分よりも大径に形成された耐熱
性芯体4を用いる。それ以外は上記製法と同様の工程を
経由することにより図3および図4に示す構造の、両端
部分5aが段差となるように他の部分5bより大径に形
成された略均厚のポリイミド管状物5が得られる。
【0016】上記耐熱性芯体2,4としては、得られる
ポリイミド管状物3,5の有する線膨張係数によって決
まり、例えばフッ素樹脂,ポリイミド樹脂,アルミニウ
ム等の材質を用いて所定の形成される。
【0017】このようにして得られたポリイミド管状物
3,5は、大径部分3a,5aと他の部分3b,5bと
の内径差にもとづく段差を有するものである。
【0018】上記ポリイミド管状物の製法において用い
られる耐熱性芯体2,4は、いずれもその線膨張係数が
イミド化されたポリイミド管状物3,5の線膨張係数よ
り大きいものであることが好ましい。すなわち、上記の
ような関係を有することで耐熱性芯体2,4が、イミド
化により得られたポリイミド管状物3,5から容易に抜
き取ることができるからである。
【0019】上記のようにして得られたポリイミド管状
物3,5の外周面に、さらにプライマー層を形成して、
これを介してフッ素樹脂層,フッ素ゴム層,シリコーン
ゴム層等の付加層を形成してもよい。このような付加層
を形成することにより、この管状物を画像形成装置等の
定着用管状ベルトに用いた場合、転写紙との剥離性が向
上するようになる。
【0020】さらに、上記付加層に導電性物質を含有さ
せてもよい。このように導電性物質を含有させることに
より、導電性が付与されるため、ポリイミド管状物に除
電性が付与され好ましい。上記導電性物質としては、カ
ーボン,グラファイト,金属性粉末等の導電性粉末や、
導電性を有する有機化合物等があげられ、特にカーボ
ン,グラファイト,金属性粉末等の導電性粉末を用いる
ことが好ましい。このような導電性粉末の含有量は、例
えば付加層中2〜50重量%の範囲に調整することが効
果の点から好ましい。
【0021】上記プライマー層およびこれを介して形成
される付加層は、例えば前記製法において、ポリイミド
前駆体管状物に耐熱性芯体を挿入する前に、予めポリイ
ミド前駆体管状物の外周面に従来公知の方法によりプラ
イマー層形成材料および付加層形成材料を塗布して層形
成してもよいし、ポリイミド管状物を作製した後に、従
来公知の方法によりプライマー層形成材料および付加層
形成材料を塗布して層形成してもよい。あるいは、前記
ポリイミド前駆体管状物の作製時に用いるシリンダー等
の管状成形型内周面に、予め付加層形成材料を塗布して
付加層形成し、つぎに上記付加層内周面にプライマー層
形成材料を塗布してプライマー層を形成する。ついで、
この内周面にポリアミド酸溶液を塗布することにより上
記付加層およびプライマー層が形成されたポリイミド前
駆体複層管状物を形成する。そして、このポリイミド前
駆体複層管状物を用いて、後は上記と同様の工程を経由
することによりプライマー層および付加層が形成された
変形ポリイミド複層管状物を作製してもよい。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明は、溶媒含有率が
5〜30重量%のポリイミド前駆体管状物に、この管状
物の一端部分もしくは両端部分を内側から造形しうる耐
熱性芯体を挿入する。ついで、上記耐熱性芯体が挿入さ
れた管状物を加熱して溶媒除去し、イミド化して上記耐
熱性芯体を抜き取ることにより、一端部分もしくは両端
部分が、他の部分より大径に形成され、上記大径部分と
他の部分との内径差にもとづく段差を有するポリイミド
管状物を作製するものである。このようにして得られる
ポリイミド管状物を、例えば画像形成装置の定着用ベル
ト等に用いると、駆動時に蛇行等が生じず、安定した走
行が得られる。
【0023】つぎに、本発明を実施例にもとづいて説明
する。
【0024】
【実施例1】3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンの略等モル
を、N−メチル−2−ピロリドン(モノマー濃度20重
量%溶液)中において、温度20〜60℃で12時間反
応させて粘度1000ポイズ(温度25℃,B型粘度計
での測定値),固有粘度2.1のポリアミド酸溶液を作
製した。
【0025】内径24.0mm,長さ50cmの内周面
が平滑なステンレス製シリンダーを、上記ポリアミド酸
溶液に浸漬し、10mm/分の速度で引き上げた。その
後、シリンダー内を外径22.93mmの弾丸状走行体
を用いて自重走行法により30mm/分の速度で走行さ
せ、シリンダー内周面にポリアミド酸溶液を均一に塗布
した。ついで、140℃で20分乾燥した後、200℃
まで2℃/分で昇温し、200℃に至った時点で10分
間保持して、加熱後室温まで冷却してシリンダー内周に
ポリイミド前駆体管状物を作製した。そして、シリンダ
ーからポリイミド前駆体管状物を剥離し取り出した。得
られたポリイミド前駆体管状物は、内径23.84±
0.06mmで厚みが58μm,長軸方向の長さが50
0mmであった。また、このポリイミド前駆体管状物の
溶媒含有量は14重量%であった。
【0026】つぎに、図6に示す一端部分2a(外径2
3.88mm,長さ100mm)が他の部分2b(外径
23.09mm,長さ400mm)より大径に形成され
た全長500mmのアルミ性パイプ(線膨張係数:2.
4×10-5cm/℃)を準備した。これを、図5に示す
ように、上記ポリイミド前駆体管状物1内に挿入した。
そして、上記耐熱性芯体2が挿入された管状物を、25
0℃で30分,300℃で30分,350℃で30分の
条件で加熱して溶媒除去し、イミド化した。イミド化し
た後、上記アルミ性パイプ2を抜き取ることにより、図
1および図2に示す構造の、一端部分3aが段差となる
ように他の部分3bより大径に形成されたポリイミド管
状物3が得られた。得られたポリイミド管状物3は、厚
み51μmで、大径部分3aの内径23.96mmで、
他の部分3bの内径23.17mmであった。そして、
大径部分3aと他の部分3bとの内径差にもとづく段差
が、大径部分3aの内径に対して1.6%であった。ま
た、ポリイミド管状物3の線膨張係数は、1.2×10
-5cm/℃であった。
【0027】
【実施例2】3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエー
テルの略等モルを、N−メチル−2−ピロリドン(モノ
マー濃度20重量%溶液)中において、温度20℃で5
時間反応させて粘度25000ポイズ(温度20℃,B
型粘度計での測定値)のポリアミド酸溶液を作製した。
つぎに、上記ポリアミド酸溶液100重量部に対してN
−メチル−2−ピロリドンを33重量部添加した後、さ
らに50℃に加温してエージングを行い、溶液粘度50
0ポイズ(温度20℃,B型粘度計での測定値)の、固
有粘度1.1のポリアミド酸溶液を作製した。
【0028】一方、内径60.0mm,長さ50cmの
内周面が平滑なステンレス製シリンダーを、フッ素樹脂
ディスパージョン(TE−334−J、デュポン社製)
に浸漬し、速度20mm/分でゆっくりと引き上げ、こ
れを100℃で60分間加熱して水分を蒸発させた。さ
らに、300℃で30分間加熱してシリンダー内周面に
フッ素樹脂層を形成した。つぎに、下記の成分からなる
プライマー溶液を作製した。
【0029】 四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂粉末 1.5重量% ポリイミド前駆体 2.5重量% シリカ粉末 0.5重量% 界面活性剤 2.5重量% エチレングリコール 20.0重量% N−メチル−2−ピロリドン 73.0重量%
【0030】そして、上記プライマー溶液を、スプレー
にて上記フッ素樹脂層内周面に塗装した後、150℃で
10分,250℃で10分乾燥することによりフッ素樹
脂層内周面にプライマー層を形成した。
【0031】ついで、上記フッ素樹脂層およびプライマ
ー層が形成されたステンレス製シリンダーを上記ポリア
ミド酸溶液に浸漬し、500mm/分の速度でゆっくり
と引き上げた。その後、シリンダー内を外径59.5m
mの弾丸状走行体を用いて自重走行法により20mm/
分の速度で走行させ、シリンダー内周面にポリアミド酸
溶液を均一に塗布した。塗布後、150℃で30分加熱
し、溶媒除去、イミド化を行い、加熱後室温まで冷却し
てプライマー層内周面にポリイミド前駆体管状物を作製
した。そして、シリンダーから、プライマー層を介して
フッ素樹脂層が形成されたポリイミド前駆体管状物を剥
離し取り出した。得られたポリイミド前駆体複層管状物
は、内径59.4±0.05mmで、フッ素樹脂層の厚
み8μm、プライマー層の厚み2μm、ポリイミド前駆
体複層管状物の厚み23μmの総厚みが33μm、長軸
方向の長さが500mmであった。また、このポリイミ
ド前駆体複層管状物の溶媒含有量は28重量%であっ
た。
【0032】つぎに、図6に示す一端部分2a(外径5
9.30mm,長さ100mm)が他の部分2b(外径
55.39mm,長さ400mm)より大径に形成され
た全長500mmの四フッ化エチレン樹脂(PTFE)
製芯体(線膨張係数:21.8×10-5cm/℃、25
〜300℃)を準備した。これを、上記ポリイミド前駆
体複層管状物内に挿入した。そして、上記PTFE製芯
体が挿入された管状物を、200℃で30分,250℃
で30分,315℃で30分の条件で加熱して溶媒除去
し、イミド化した。イミド化した後、上記PTFE製芯
体を抜き取ることにより、図1および図2に示す構造
の、一端部分3aが段差となるように他の部分3bより
大径に形成された変形ポリイミド複層管状物3が得られ
た。得られた変形ポリイミド複層管状物3は、フッ素樹
脂層の厚み8μm、プライマー層の厚み2μm、ポリイ
ミド層の厚み20μmの総厚みが30μm、長軸方向の
長さが500mmであった。また、大径部分3aの内径
が62.30mmで、他の部分3bの内径が58.43
mmであった。そして、大径部分3aと他の部分3bと
の内径差にもとづく段差が、大径部分3aの内径に対し
て3.1%であった。また、変形ポリイミド複層管状物
3の線膨張係数は、2.5×10-5cm/℃であった。
【0033】
【実施例3】3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンの略等モル
を、N−メチル−2−ピロリドン(モノマー濃度20重
量%溶液)中において、温度20〜60℃で12時間反
応させて粘度1000ポイズ(温度25℃,B型粘度計
での測定値),固有粘度2.1のポリアミド酸溶液を作
製した。
【0034】内径24.0mm,長さ50cmの内周面
が平滑なステンレス製シリンダーを、上記ポリアミド酸
溶液に浸漬し、10mm/分の速度で引き上げた。その
後、シリンダー内を外径22.93mmの弾丸状走行体
を用いて自重走行法により30mm/分の速度で走行さ
せ、シリンダー内周面にポリアミド酸溶液を均一に塗布
した。ついで、140℃で20分乾燥した後、200℃
まで2℃/分で昇温し、200℃に至った時点で10分
間保持して、加熱後室温まで冷却してシリンダー内周に
ポリイミド前駆体管状物を作製した。そして、シリンダ
ーからポリイミド前駆体管状物を剥離し取り出した。得
られたポリイミド前駆体管状物は、内径23.84±
0.06mmで厚みが58μm,長軸方向の長さが50
0mmであった。また、このポリイミド前駆体管状物の
溶媒含有量は14重量%であった。
【0035】つぎに、図7に示す両端部分4a(外径2
3.88mm,各長さ100mm)が他の部分4b(外
径23.09mm,長さ300mm)より大径に形成さ
れた全長500mmのアルミ性パイプ4(線膨張係数:
2.4×10-5cm/℃)を準備した。これを、上記ポ
リイミド前駆体管状物1内に挿入した。そして、上記ア
ルミ性パイプ4が挿入された管状物を、250℃で30
分,300℃で30分,350℃で30分の条件で加熱
して溶媒除去し、イミド化した。イミド化した後、上記
アルミ性パイプ4を抜き取ることにより、図3および図
4に示す構造の、両端部分5aが段差となるように他の
部分5bより大径に形成されたポリイミド管状物5が得
られた。得られたポリイミド管状物5は、厚み51μm
で、両端に形成された大径部分5aの内径23.96m
mで、他の部分5bの内径23.17mmであった。そ
して、大径部分5aと他の部分5bとの内径差にもとづ
く段差が、大径部分5aの内径に対して1.6%であっ
た。また、ポリイミド管状物5の線膨張係数は、1.2
×10-5cm/℃であった。
【0036】このようにして得られた実施例1〜2品
を、図8に示す管状ベルト3としてロール6に外嵌し
て、駆動ロール7により駆動走行させた。また、上記実
施例3品を、図9に示す管状ベルト4として、2個のロ
ール8に張架させて駆動走行させた。その結果、長時間
の走行において上記管状ベルト3,4は蛇行せず安定し
て走行した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一端部分が他の部分より大径に形成さ
れたポリイミド管状物の斜視図である。
【図2】本発明の一端部分が他の部分より大径に形成さ
れたポリイミド管状物の断面図である。
【図3】本発明の両端部分が他の部分より大径に形成さ
れたポリイミド管状物の斜視図である。
【図4】本発明の両端部分が他の部分より大径に形成さ
れたポリイミド管状物の断面図である。
【図5】一端部分が他の部分より大径に形成されたポリ
イミド管状物の製造状態を示す説明図である。
【図6】一端部分が他の部分より大径に形成された耐熱
性芯体の斜視図である。
【図7】両端部分が他の部分より大径に形成された耐熱
性芯体の斜視図である。
【図8】一端部分が他の部分より大径に形成されたポリ
イミド管状物を管状ベルトとして駆動ロールに組み込ん
だ状態を示す説明図である。
【図9】両端部分が他の部分より大径に形成されたポリ
イミド管状物を管状ベルトとして駆動ロールに組み込ん
だ状態を示す説明図である。
【符号の説明】
3,5 ポリイミド管状物 3a 一端部分 3b,5b 他の部分 5a 両端部分 2,4 耐熱性芯体
フロントページの続き (72)発明者 岩元 登志明 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 富田 俊彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部分もしくは両端部分が、他の部分
    より大径に形成された段差を有することを特徴とするポ
    リイミド管状物。
  2. 【請求項2】 ポリイミド管状物の外周面に、プライマ
    ー層を介してフッ素樹脂層,フッ素ゴム層またはシリコ
    ーンゴム層が形成されている請求項1記載のポリイミド
    管状物。
  3. 【請求項3】 溶媒含有率が5〜30重量%のポリイミ
    ド前駆体管状物を準備する工程と、上記管状物に、この
    管状物の一端部分もしくは両端部分を内側から造形しう
    る耐熱性芯体を挿入する工程と、上記耐熱性芯体が挿入
    された管状物を加熱して溶媒除去し、イミド化する工程
    と、上記耐熱性芯体を抜き取る工程とを備えたことを特
    徴とするポリイミド管状物の製法。
  4. 【請求項4】 イミド化されたポリイミド管状物の線膨
    張係数が、耐熱性芯体の線膨張係数より小さい請求項3
    記載のポリイミド管状物の製法。
  5. 【請求項5】 ポリイミド前駆体管状物の外周面に、プ
    ライマー層を介してフッ素樹脂層,フッ素ゴム層または
    シリコーンゴム層が形成されている請求項3または4記
    載のポリイミド管状物の製法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5589111A (en) * 1994-05-13 1996-12-31 Chisso Corporation Polyimide precursor composition for extrusion molding of polyimide, process for preparing it, and process for preparing molded articles of polyimide

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JPS6317614A (ja) * 1986-07-09 1988-01-25 井関農機株式会社 乗用コンバインにおける脱穀部の点検装置

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