JP3226326B2 - 複合管状物の製造法 - Google Patents

複合管状物の製造法

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JP3226326B2
JP3226326B2 JP14003492A JP14003492A JP3226326B2 JP 3226326 B2 JP3226326 B2 JP 3226326B2 JP 14003492 A JP14003492 A JP 14003492A JP 14003492 A JP14003492 A JP 14003492A JP 3226326 B2 JP3226326 B2 JP 3226326B2
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composite tubular
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正雄 中村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複写機、ファクシミリ、
プリンターのような画像形成装置の定着用ベルト等に好
適な複合管状物の新規な製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、画像形成装置における転写紙への
画像定着方法としては、例えば、熱ローラー定着法があ
る。このローラー定着法は例えば図1に示すように、熱
ローラー1とプレスローラー2とを上下に対向配置し、
転写紙3を両ローラー1、2間に送り込む方法であり、
熱ローラー1に内蔵されるヒーター4の発熱により転写
紙3に仮着された感熱インク5を溶融定着させると共
に、プレスローラー2により加圧して定着を強固にし、
それによって転写紙3上に感熱インクによる画像6を形
成するものである。なお、この場合、熱ローラー表面へ
の感熱インクの付着防止のため、該ローラー表面にフッ
素樹脂コーティングを施したり、このコーティング層に
シリコーンオイルを含浸したりするのが一般的である。
【0003】ところで、上記ローラー定着法による転写
紙への感熱インクの溶融定着に際しては、熱ローラーの
表面温度を感熱インクの溶融温度以上とする必要があ
る。従って、ローラー定着法による限り、定着作業毎に
熱ローラーの表面温度が感熱インクの溶融温度に達する
まで待たねばならず能率が悪いという不都合があった
(この待ち時間は通常20秒〜10分である)。
【0004】そこで、この待ち時間短縮のため、定着ベ
ルトを使用する方法が提案された。このベルト定着法は
図2に示すように互いに隔離状態にされた2つのローラ
ー7、8およびヒーター9に定着用ベルト10を掛け渡
して駆動すると共にヒーター9と対向させてプレスロー
ラー2を配置し、感熱インク5の仮着された転写紙3を
ベルト10とプレスローラー2間に送り込むことによ
り、転写紙3上に感熱インク5を溶融定着させて画像6
を形成するものである。この方法によれば、ベルトは薄
く熱容量が小さいため、ヒーターの発熱により直ちに定
着作業ができ、待ち時間は極めて短時間となるので好ま
しい。
【0005】かようなベルト定着法に用いるベルトとし
ては、耐熱性や機械的強度に優れたポリイミド樹脂製内
層と、この内層外周面に形成されたフッ素樹脂製外層か
ら成る複合管状物が知られている。そして、この複合管
状物の製造法としても、ポリイミド樹脂製管状物の外周
面にフッ素樹脂粉末含有液を塗布してフッ素樹脂外層を
形成し、次いで加熱することにより該フッ素樹脂を焼成
する方法が知られている(特開平3−130149号公
報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記複合管状物を定着
用ベルトとして用いるには、図2に示したようにローラ
ー7、8およびヒーター9に掛け渡して駆動するのであ
る。
【0007】このような使用形態から、定着用ベルトに
は内周長の均一さが要求されることになる。しかしなが
ら、従来法によって得られる定着用ベルトは内周長の均
一さに欠けることがあり問題となることがあった。例え
ば、ベルトの幅方向において、その一端側の内周長と他
端側の内周長に差があると、駆動時にベルトがローラー
上を移動してしまい、ベルトが片側に寄りきって駆動不
能状態に陥るという不都合を生ずる。また、ベルトの幅
方向における中央部の内周長と端部の内周長に差がある
と、駆動時に蛇行したり、シワが発生したりして、定着
画像に悪影響を及ぼすという不都合が発生する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は従来技術の有
する上記問題を解決するため鋭意研究の結果、ポリイミ
ド樹脂製管状物の外周面に形成されたフッ素樹脂等のコ
ーティング層を加熱して焼成するに際し、特定の支持体
を用いることにより、内周長の均一な複合管状物が得ら
れることを見い出し、本発明を完成するに至ったもので
ある。
【0009】即ち、本発明に係る複合管状物の製造法は
ポリイミド樹脂製管状物の外周面にコーティング層を形
成する工程、ポリイミド樹脂製管状物内に該管状物より
も線膨張係数の大きな支持体を挿入する工程、および加
熱によりコーティング層を焼成する工程を含むことを特
徴とするものである。
【0010】本発明に用いるポリイミド樹脂製管状物
は、例えば、ポリアミド酸(ポリイミド樹脂の前駆体)
溶液を金属、ガラス、セラミック等の耐熱性材料から成
るシリンダーの内周面に塗布し、これを加熱してポリア
ミド酸をイミド転化させると共に溶媒を蒸発除去させて
管状物を形成し、次いで該管状物をシリンダー内周面か
ら剥離する方法により得ることができる。
【0011】上記方法に用いるポリアミド酸溶液は、例
えば、テトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体と
ジアミンの略等モルを有機極性溶媒中で反応させること
により得ることができる。
【0012】このテトラカルボン酸二無水物は下記化1
で示される。
【0013】
【化1】
【0014】そして、このテトラカルボン酸二無水物の
具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3´,
4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、2,2´−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,
4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレ
ンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0015】また、かようなテトラカルボン酸二無水物
と反応させるジアミンの具体例としては、4,4´−ジ
アミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェ
ニルエーテル、4,4´ジアミオジフェニルメタン、
3,3´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジク
ロロベンジジン、4,4´−アミノジフェニルスルフィ
ド、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−
ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フ
ェニレンジアミン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジ
アミノビフェニル、ベンジジン、3,3´−ジメチルベ
ンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、4,4´
−ジアミノフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフ
ェニルスルフィド、4,4´−ジアミノジフェニルプロ
パン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエ
ン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エー
テル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベ
ンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノペ
ンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フ
ェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシ
リレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレ
ンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,
4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジア
ミノドデカン、1,2−ビス−(3−アミノプロポキ
シ)エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3
−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチル
ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチ
レンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5
−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエ
イコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1、
10−ジアミノ−1、10−ジメチルデカン、1,12
−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、
【0016】 H2 N(CH2 3 O(CH2 2 O(CH2 )N
2
【0017】 H2 N(CH2 3 S(CH2 3 NH2
【0018】 H2 N(CH2 3 N(CH3 )(CH2 3 NH3
が挙げられる。
【0019】更に、テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ンとを反応させる際に用いる有機極性溶媒の好ましい例
として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド等のN,N−ジアルキルアミド類を挙
げることができる。これらは蒸発、置換、拡散等により
ポリアミド酸溶液から容易に除去できる。また、上記以
外の極性溶媒、例えば、N,N−ジエチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチル
メトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサ
メチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスル
ホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等を使用するこ
ともでき、これら有機極性溶媒は単独あるいは二種以上
を併用してもよい。
【0020】また、これら有機極性溶媒にクレゾール、
フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニ
トリル、ジオキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等
の一種以上を混合することもできる。ただし、生成する
ポリアミド酸の加水分解による低分子量化を防止するた
めに水の添加は避けるべきである。
【0021】上記テトラカルボン酸二無水物とジアミン
とを有機極性溶媒中で約0.5〜10時間反応させるこ
とによりポリアミド酸溶液が得られる。反応時における
モノマー濃度は種々の要因に応じて設定できるが、通
常、約5〜30重量%である。また、反応温度は80℃
以下(より好ましくは5〜50℃)に設定することが好
ましい。
【0022】このようにして有機極性溶媒中でテトラカ
ルボン酸二無水物とジアミンを反応させるとその進行に
伴い溶液粘度が上昇するが、対数粘度[η]が0.5以
上のポリアミド酸を使用することが好ましい。対数粘度
[η]が0.5以上のポリアミド酸を用いて形成される
ポリイミド樹脂製管状物は耐熱性が特に優れている利点
がある。なお、上記対数粘度は毛細管粘度計を用いてポ
リアミド酸溶液と溶媒の落下時間を各々測定し、下記数
1によって算出される値である。
【0023】
【数1】
【0024】上記方法によりポリイミド樹脂製管状物を
得るには、先ず、ポリアミド酸溶液を耐熱性シリンダー
内周面に塗布する。ポリアミド酸溶液のシリンダー内周
面への塗布は、該溶液中にシリンダーを浸漬して引き上
げる方法、シリンダーの片端部内に溶液を供給した後、
シリンダー内を弾丸状、球状等の走行体を走行させる方
法、該溶液をシリンダー内にスプレー塗布する方法、等
により行なうことができる。
【0025】これらの方法によりポリアミド酸溶液を耐
熱性シリンダー内周面に塗布する際のポリアミド酸溶液
の粘度は、作業性の点から約10〜10000ポイズ
(塗布作業時の温度で、B型粘度計での測定値)とする
のが好ましい。また、ここで用いるシリンダーはその内
径が目的とする複合管状物の外径とほぼ等しいものであ
る。画像形成装置の定着用ベルトはその外径が通常約1
0〜500mmであるので、シリンダーとして内径がそ
れとほぼ等しいものを用いることができる。そして、ポ
リイミド樹脂製管状物の外観を良好とするため、シリン
ダー内周面の表面粗さ(Rz)は1〜10μm程度とす
るのが好ましいものである。
【0026】また、走行体としては例えば、金属製、溶
剤不溶性のプラスチック製、ガラス製のものを用いるこ
とができる。そして、その走行は圧縮空気、ガス爆発等
により走行体を押す方法、牽引ワイヤーにより牽引する
方法、減圧法あるいは自重走行法、等により行なう。こ
の走行をいずれの方法で行なうにしても塗布厚さを均一
とするため、シリンダーを垂直あるいは水平に維持する
のが好ましく、更にシリンダーや走行体を回転させるこ
ともできる。
【0027】かようにして、耐熱性シリンダー内周面に
ポリアミド酸溶液を塗布した後、加熱してポリアミド酸
をイミド転化すると共に溶媒を除去することによりポリ
イミド樹脂製管状物を形成する。加熱温度は適宜設定す
ることができるが、先ず、約80〜180℃の低温で加
熱しイミド転化に際して発生する閉環水および溶媒を蒸
発除去し、次いで約250〜400℃に昇温させてイミ
ド転化を終了させる多段加熱法を採用するのが好まし
い。加熱所要時間は加熱温度等に応じて設定するが、通
常、低温加熱およびその後の高温加熱とも約20〜60
分である。この多段加熱法を採用すれば、イミド転化に
伴い発生する閉環水や溶媒の蒸発に起因する複合管状物
内への微小ボイドの発生を防止できる。
【0028】このようにして耐熱性シリンダーの内周面
にポリイミド樹脂製管状物を形成した後、該管状物をシ
リンダー内周面から剥離する。剥離作業は、例えばシリ
ンダーの壁に小貫通孔を予め設けておき、この孔に空気
を圧送する方法により行なうことができる。
【0029】上記方法はポリアミド酸溶液を用いるもの
であるが、有機溶媒可溶性のポリイミド樹脂が既に知ら
れているので、このポリイミド樹脂溶液を用いてポリイ
ミド複合管状物を得ることもできる。ポリイミド樹脂溶
液を使用すれば、当然のことながらイミド転化は不要と
なる。
【0030】本発明の方法おいては、このようにして得
られるポリイミド樹脂製管状物の外周面にコーティング
層が形成される。このコーティング層はポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエ
チレン(PCTFE)等のフッ素樹脂、フッ素ゴム、あ
るいはシリコーンゴムから選ばれた少なくとも1種の材
料から形成できる。
【0031】ポリイミド樹脂製管状物外周面へのコーテ
ィング層の形成は、上記材料を含むディスパージョンま
たは溶液を該管状物の外周面上に塗布し、次いで、これ
を加熱することにより溶媒を蒸発除去すると共にフッ素
樹脂、フッ素ゴムあるいはシリコーンゴムを焼成する方
法により行なうことができる。なお、このディスパージ
ョンまたは溶液中に二酸化ケイ素、ガラスビーズ、シリ
コーン樹脂、セラミック、ポリイミド樹脂、ベンゾグア
ナミン樹脂等の粉末を分散させておくことにより、コー
ティング層の耐摩耗性を向上でき、カーボン、グラファ
イト、金属等の粉末を分散させておくことによりコーテ
ィング層に導電性を付与できる。
【0032】ポリイミド樹脂製管状物外周面へのディス
パージョンまたは溶液の塗布は、該管状物をディスパー
ジョンまたは溶液中に浸漬して引き上げる方法や該管状
物外周面にディスパージョンまたは溶液をスプレー塗布
する方法等を採用できる。浸漬法によれば、ポリイミド
樹脂管状物内周面にもディスパージョンまたは溶液が塗
布されるので、通常、加熱に先立ち、拭き取り等により
内周面に付着しているディスパージョンまたは溶液を除
去する。なお、ここで用いるディスパージョンまたは溶
液におけるフッ素樹脂、フッ素ゴムあるいはシリコーン
ゴムの濃度は塗布の方法等に応じて決定するが、通常5
〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。
【0033】このようにしてポリイミド樹脂製管状物の
外周面にフッ素樹脂、フッ素ゴムあるいはシリコーンゴ
ムの少なくとも1種を含むディスパーションまたは溶液
を塗布した後、これを加熱することにより溶媒を蒸発除
去すると共にこれらフッ素樹脂、フッ素ゴムあるいはシ
リコーンゴムを焼成する。従って、この加熱工程におけ
る温度は塗布に用いたフッ素樹脂、フッ素ゴムあるいは
シリコーンゴムの融点以上に設定する。
【0034】この加熱工程において重要なことはその実
施に際し、ポリイミド樹脂製管状物内に該管状物よりも
線膨張係数の大きな材料から成る耐熱性の支持体を挿入
配置して行なうことである。
【0035】該支持体は加熱時の膨張によりポリイミド
樹脂製管状物を僅かに拡大保持し得るものであればその
形状は限定されないが、ロッドあるいはパイプ形状のも
のが好適に使用できる。なお、支持体は外周面を粗面化
して用いることができ、この場合には表面粗さが1〜1
00μmになるように粗面化するのが好適である。外周
面の表面粗さがこの程度の支持体を使用した場合、得ら
れる複合管状物はその周長のバラツキが特に小さくな
り、また、支持体外周面の微小凹凸が複合管状物の内周
面に転写され難いという利点を有する。
【0036】また、支持体の材質はポリイミド樹脂製管
状物よりも線膨張係数が大きいものであればよく、例え
ば、金属製支持体をその具体例として挙げることができ
る。ポリイミド樹脂の線膨張係数は一般に1×10-5
3×10-5cm/cm/℃程度であるので、銅、アルミ
ニウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン等の金属やこれ
らの合金から成る支持体を用い得る。
【0037】ポリイミド樹脂製管状物内への支持体の挿
入は、該管状物外周面へのディスパーションまたは溶液
の塗布前に行なってもよく、あるいは塗布後(加熱前)
に行なってもよい。ポリイミド樹脂製管状物の内径と支
持体外径の差(クリアランス)は、支持体の管状物内へ
の挿入が容易で且つ加熱時に支持体の膨張により管状物
が僅かに拡大される程度に設定する。従って、ポリイミ
ド樹脂製管状物の内径と支持体外径の差は、主として支
持体の材質およびポリイミド樹脂製管状物の線膨張係数
を考慮して決定されるが、通常約30〜1000μm好
ましくは約50〜500μmである。
【0038】このようにポリイミド樹脂製管状物内にそ
れよりも大きな線膨張係数を有する支持体を挿入配置し
て加熱すると、温度の上昇と共に該管状物および支持体
の径が拡大するが、支持体の線膨張係数が管状物のそれ
よりも大きく且つ前記したように管状物内径と支持体外
径のクリアランスは比較的小さいので、支持体外径が管
状物内径よりも僅かに大となり、管状物は僅かに拡大
(延伸とも考えられる)保持されることとなる。この拡
大保持により、ポリイミド樹脂製管状物のガラス転移点
以上の温度での変形や歪みの発生が防止され、従って、
得られる複合管状物は内周長のバラツキのない良好なも
のとなるのである。加熱時に管状物内に支持体を配置し
ない場合には、該管状物がそのガラス転移点以上の温度
に達すると変形や歪みを生じ、その結果、得られる管状
物は内周長のバラツキの大きなものとなってしまう。
【0039】上記加熱工程により、ポリイミド樹脂製管
状物外周面上のコーティング層を焼成した後、支持体を
取り除くことにより目的とする複合管状物が得られる。
支持体の除去は、冷却により容易に行なうことができ
る。即ち、冷却により温度が下がると、支持体の線膨張
係数がポリイミド樹脂製管状物よりも大きいので、両者
間に隙間ができ、これにより支持体は管状物内から容易
に取り除くことができるのである。
【0040】本発明の方法により複合管状物を製造する
に際しては、ポリイミド樹脂製管状物とコーティング層
との接着強度を向上させるため、該管状物の外周面に公
知の接着処理、例えばアルカリ金属処理、プライマー塗
布処理、超音波処理、スパッタエッチング処理、プラズ
マ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射
処理、レーザー処理等を施すこともできる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。なお、実施例および比較例において、3,3´,
4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は「B
PDA」と、ピロメリット酸二無水物は「PMDA」
と、p−フェニレンジアミンは「PDA」と、3,3´
−ジアミノジフェニルエーテルは「DDE」と、N−メ
チル−2−ピロリドンは「NMP」と各々略記する。
【0042】実施例1 PMDAとDDEの等モルをフラスコ中でNMPに溶解
し(モノマー濃度20重量%)、窒素ガス雰囲気中にお
いて20℃の温度で5時間攪拌しながら反応させてポリ
アミド酸溶液を得る。このポリアミド酸溶液の回転粘度
は34000ポイズ、対数粘度[η]は2.8であっ
た。なお、回転粘度は温度20℃においてB型粘度計で
測定した値である。
【0043】次いで、このポリアミド酸溶液を60℃に
加熱してエージングを行ない、回転粘度計で2420ボ
イズ、対数粘度[η]2.5に調整し、#400のステ
ンレスメッシュを用いて濾過する。
【0044】一方、これとは別にPFA濃度35重量%
の水性ディスパージョンとカーボンブラック濃度16.
5重量%の水性ディスパージョンを混合することによ
り、PFAとカーボンブラックを含む混合ディスパージ
ョンを得る。なお、この混合ディスパージョン中におけ
るPFAとカーボンブラックの割合は、PFA100重
量部に対してカーボンブラック4重量部である。
【0045】内径50mm、肉厚5mm、長さ500m
m、内周面の表面粗さ(Rz)が1μm以下に調整され
た鉄製シリンダー(円筒体)の片端開口部に上記のポリ
アミド酸溶液を供給し、この開口部が上になるようにシ
リンダーを垂直に保持する。そして、該シリンダー内を
外径49.6mmの弾丸状体を自重により垂下させるこ
とにより、シリンダー内周面にポリアミド酸溶液を塗布
する。
【0046】これを温度100℃で30分間加熱し、温
度を350℃に上げ更に30分間加熱して溶媒と閉環水
の蒸発除去およびイミド転化を行い、ポリイミド樹脂製
管状物を形成させ、次いで、シリンダーの片端部に予め
設けておいた小貫通孔から空気を圧送し、シリンダー内
周面から管状物を剥離する。この管状物は長さ約500
mm、外径50mm、厚さ20μm、線膨張係数1.4
×10-5cm/cm/℃であった。
【0047】この管状物の外周面に上記の混合ディスパ
ージョンをスプレー塗布する。そして、この管状物内に
外径49.8mm、長さ520mmのアルミニウム製の
円筒状パイプ(表面を#400のサンドペーパーで粗
し、表面粗さ18μmに調整、線膨張係数2.4×10
-5cm/cm/℃)を挿入し、150℃で5分間加熱
し、更に温度400℃で10分間加熱することにり、管
状物外周面上に厚さ8μm、表面抵抗3×105 Ω/□
の焼成されたPFA層を有する複合管状物を得た。
【0048】この複合管状物は外観上の歪みは観察され
なかった。また、その内周長を5個所で測定したとこ
ろ、平均50.14mmであり、周長差(5個所の内周
長のうちの最大値から最小値を減じた値)は0.048
mmであった。
【0049】この複合管状物を所定幅に切断して画像定
着装置の定着用ベルト(エンドレスベルト)して用いた
ところ、オフセット性が良好で、得られた画像は良質で
あった。更に、この装置について連続通紙試験を行なっ
たところ、5万枚でもベルトの蛇行等による走行不良は
生じなかった。
【0050】実施例2 支持体としてマグネシウム製(表面を#400サンドペ
ーパーで粗し、表面粗さ23μmに調整、線膨張係数
2.6×10-5cm/cm/℃)のものを用いること以
外は実施例1と同様に作業して、ポリイミド樹脂製内層
の厚さが20μm、焼成されたPFA外層の厚さが8μ
m、その表面抵抗が5×105 Ω/□である複合管状物
を得た。
【0051】この複合管状物において外観上歪みは認め
られなかった。また、この複合管状物における内周長を
5個所で測定したところ、平均50.208mmであ
り、周長差は0.064mmであった。
【0052】この複合管状物を所定幅に切断して画像定
着装置の定着用ベルトとして用いたところ、オフセット
性が良好で、得られた画像は良質であった。更に、この
装置について連続通紙試験を行なったところ、5万枚で
もベルトの蛇行等による走行不良は生じなかった。
【0053】実施例3 アルミニウム製支持体の表面をサンドブラスト加工によ
り、その表面粗さが30μmになるように粗面化して用
いること以外は実施例1と同様に作業して、ポリイミド
樹脂製管状内層の厚さが20μm、焼成されたPFA外
層の厚さが8μm、その表面抵抗が3×105 Ω/□で
ある複合管状物を得た。
【0054】この複合管状物の内周長を5個所で測定し
たところ、平均50.143mmであり、周長差は0.
057mmであった。
【0055】また、この複合管状物を所定幅に切断して
画像定着装置の定着用ベルトとして用いたところ、オフ
セット性が良好で、得られた画像も良質であった。、そ
して、この装置について連続通紙試験行なったところ、
5万枚でもベルトの蛇行等による走行不良は生じなかっ
た。
【0056】比較例1 支持体を用いないこと以外は実施例1と同様に作業し
て、ポリイミド樹脂製内層の厚さ20μm、焼成された
PFA外層の厚さが7μm、その表面抵抗が3×105
Ω/□である複合管状物を得た。
【0057】この複合管状物の内周長を5個所で測定し
たところ、平均50.051mmであった。また、その
周長差は0.182mmと大きかった。
【0058】この複合管状物を実施例1と同様にして画
像定着装置の定着ベルトとして用いたところ、オフモッ
ト性は良好であったが、得られた画像には濃淡が認めら
れた。また、連続通紙試験では50枚目からベルトの蛇
行が始まり、600枚目で走行不能となった。
【0059】比較例2 ステンレス製支持体(線膨張係数1.2×10-5cm/
cm/℃)を用いること以外は実施例1と同様に作業し
たところ、PFA外層の焼成時に管状物と支持体が固着
し、冷却後においても両者の剥離ができなかった。
【0060】比較例3 サンドブラスト加工による表面粗さが110μmになる
ように支持体表面を粗面化して用いること以外は実施例
3と同様に作業して、ポリイミド樹脂製管状内層の厚さ
が20μm、焼成されたPFA外層の厚さが8μm、そ
の表面抵抗が3×105 Ω/□である複合管状物を得
た。
【0061】この複合管状物の内周面には支持体表面の
凹凸が転写されていた。また、その内周長を5個所で測
定したところ、平均50.025mmであり、周長差は
0.072mmであった。
【0062】そして、この複合管状物を所定幅に切断し
て画像定着装置の定着用ベルトとして用いたところ、オ
フセット製は良好であったが、得られた画像には濃淡が
認められた。
【0063】
【発明の効果】本発明は上記のように構成され、ポリイ
ミド樹脂製管状物よりも線膨張係数の大きな支持体を用
いて該管状物上のコーティング層を焼成するようにした
ので、内周長が均一で歪みのない複合管状物を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラー定着法による画像形成装置の要部模式
図である。
【図2】ベルト定着法による画像形成装置の要部模式図
である。
【符号の説明】
1 熱プレス 2 プレスローラー 3 転写紙 4 ヒーター 5 感熱インク 6 画像 7 ローラー 8 ローラー 9 ヒーター 10 定着用ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 29:00 B29L 29:00 (72)発明者 藤田 時男 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 審査官 加藤 友也 (56)参考文献 特開 平3−130149(JP,A) 特開 昭50−156573(JP,A) 特開 平3−180309(JP,A) 特開 平5−104646(JP,A) 特開 平1−141009(JP,A) 特開 平3−110137(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29D 23/00 - 23/24 B29C 41/00 - 41/52 B32B 1/08 B05D 3/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド樹脂製管状物の外周面にコー
    ティング層を形成する工程、ポリイミド樹脂製管状物内
    に該管状物よりも線膨張係数が大きな支持体を挿入する
    工程、および加熱によりコーティング層を焼成する工程
    を含むことを特徴とする複合管状物の製造法。
  2. 【請求項2】 コーティング層をフッ素樹脂、フッ素ゴ
    ムあるいはシリコーンゴムから選ばれた少なくとも1種
    の材料により形成する請求項1記載の複合管状物の製造
    法。
  3. 【請求項3】 金属製支持体を用いる請求項1または2
    記載の複合管状物の製造法。
  4. 【請求項4】 金属製支持体として、銅、アルミニウ
    ム、マグネシウム、亜鉛、マンガンから選ばれた少なく
    とも1種の材料から成るものを用いる請求項3記載の複
    合管状物の製造法。
  5. 【請求項5】 外周面が粗面化された支持体を用いる請
    求項1〜4のいずれかに記載の複合管状物の製造法。
  6. 【請求項6】 外周面がサンドブラスト加工により粗面
    化された支持体を用いる請求項5記載の複合管状物の製
    造法。
  7. 【請求項7】 外周面の表面粗さ(Rz)が1μm〜1
    00μmの支持体を用いる請求項1〜6のいずれかに記
    載の複合管状物の製造法。
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