JPH0533339Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は遮光ネツトに関し、特には各種農業、
園芸に用いられる優れた遮光ネツトに関する。

〔従来の技術〕

各種農産物や園芸作物の育成時に、植物の遮光
のために種々の植物に対して多数の場所で遮光ネ
ツトが用いられている。

遮光ネツトとしては、黒色等に着色された合成
樹脂糸を通気間隙を有するように比較的ラフな織
物組織に構成したもの、黒色等に着色された合成
樹脂テープを通気間隙を有するよう織成又は編成
したものが一般的に用いられてきた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の様な遮光ネツトは着色に
よつて熱エネルギーを吸収するため、遮光と同時
に吸熱による昇温が生じ、遮光ネツトによつて被
われた内部は異常な高温となつて植物の生育には
不向きな環境となりがちであつた。この問題を解
決するために、アルミニウム粉を練り込んだ合成
樹脂テープを用いることによつて太陽光線の反射
率を高めたネツトも提案されているが、反射効率
は十分ではなく、更に優れた遮光ネツトが求めら
れていた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案者は、上記遮光ネツトにおける問題点を
解決するために種々検討した結果、特定の合成樹
脂フイルム２層の間にアルミニウム蒸着層を設け
たテープを用いることによつて太陽光線を十分に
反射し、かつ高強度を有するなどの優れた特性を
有する遮光ネツトが得られることを知得して本考
案に到達した。

すなわち、本考案の要旨は、延伸したポリエチ
レンフイルム上に、アルミニウム蒸着層及び無延
伸ポリエチレンフイルムを順次積層してなる積層
体テープを用いた編織物からなる遮光ネツトに存
する。

以下、本考案を詳細に説明する。

本考案の延伸されたポリエチレンフイルムに用
いるポリエチレン樹脂としては高密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、綿状低密度ポリエチレ
ンが単独又は２種以上の混合物、若しくはこれら
を主成分とした樹脂が用いられ、強度の観点から
は特に高密度ポリエチレンが好ましい。

ポリエチレン樹脂のフイルムへの成形は、通常
のフイルム成形装置及び成形方法に準じて実施す
れば良く、円形ダイによるインフレーシヨン成
形、ＴダイによるＴダイ押出成形等を適宜採用す
れば良い。

得られたフイルムを一軸又は一軸方向に延伸す
ることにより、本考案に用いる、延伸されたポリ
エチレンフイルムが得られるが、一軸延伸はチユ
ーブラ延伸で一軸方向（引取方向）に延伸させた
ものでも良いが、ロール延伸が通常好んで採用さ
れ、延伸は一段でも二段以上の多段で行なつても
よい。

二軸延伸は、縦延伸及び横延伸を逐次又は同時
に行なつても良い。なお、逐次延伸においては延
伸順序は、縦延伸後に横延伸しても、その逆でも
よい。また延伸方法としては、ロール延伸、テン
ター法延伸又はチユーブラ法延伸を適宜採用すれ
ばよく、例えば、インフレーシヨン成形あるいは
Ｔダイ押出成形により得たフイルムをロールで縦
延伸後テンターで横延伸しても、又はインフレー
シヨン成形で得たフイルムをロール縦延伸後チユ
ーブラ法で横延伸してもよく、その逆でもよい。
またテンター法あるいはチユーブラ法による同時
二軸延伸を行なつてもよい。延伸では、縦延伸を
一段でも二段以上の多段で行なつてもよく、横延
伸でも同様である。

また、延伸で得られたフイルムの寸法精度を安
定化させるために熱処理を実施することができ
る。

以上の延伸は通常一軸延伸で十分であり、フイ
ルムは厚み５〜50μmのものが一般的に用いられ
る。

延伸されたポリエチレンフイルム上に設けるア
ルミニウム蒸着層は、公知の物理的蒸着法による
ものはいずれでもよく、例えば、抵抗加熱法、フ
ラツシユ蒸着、アーク蒸着、電子ビーム蒸着、レ
ーザ蒸着等の真空蒸着、イオンビームスパツタ、
マグネトロンスパツタ等のスパツタ蒸着などが挙
げられる。アルミニウム蒸着層の厚みは通常400
〜500Åである。

アルミニウム蒸着層上に積層する無延伸ポリエ
チレンフイルムは延伸されたポリエチレンフイル
ムに用いられる樹脂として前述したものと同種の
樹脂が用い得るが、特には低密度ポリエチレンが
用いられ、該蒸着層上に接着剤層を介して又は介
さずに積層される。特に低密度ポリエチレンを用
いれば、Ｔダイ等から溶融押出しした樹脂を接着
剤を使用せずにアルミニウム蒸着層上に直接積層
できるので好都合である。無延伸ポリエチレンフ
イルムの厚みは10〜50μmが好ましい。

なお、以上の２つポリエチレンフイルムには常
法に従い、紫外線吸剤、充填剤等を添加すること
ができる。ポリエチレン樹脂の耐候性向上のため
に紫外線吸収剤を使用することが好ましい。紫外
線吸収剤は通常ポリエチレン樹脂に使用できるも
のはいずれでも良く、例えば、２−ヒドロキシ−
４−メトキシベンゾフエノン、２−ヒドロキシ−
４−ｎ−オクトキシベンゾフエノン等のベンゾフ
エノン類、ｐ−ｔ−ブチルフエニルサリシレート
等のサリチル酸誘導体、２−（2′−ヒドロキシ−
5′−メチルフエニル）ベンゾトリアゾール、２−
（2′−ヒドロキシ−3′−ｔ−ブチル−5′−メチルフ
エニル）−５−クロロベンゾトリアゾール等のベ
ンゾトリアゾール類、〔ビス（３，５−ジーｔ−
ブチル−４−ヒドロキシベンジル）フオスフオン
酸モノエチルエステル〕ニツケル塩等のニツケル
錯体が例として挙げられる。

延伸されたポリエチレンフイルム、アルミニウ
ム蒸着層及び無延伸ポリエチレンフイルムからな
る積層体を、延伸されたポリエチレンフイルムの
延伸方向、即ち一軸延伸であればその延伸方向、
二軸延伸であれば通常縦延伸の方向、を長さ方向
としたテープとして使用する。該積層体テープは
積層体シートを製造した後に幅３〜７mm程度のテ
ープにスリツトして得ることが好ましいが、これ
に限定されるものではない。

本考案は上記の積層体テープを織成又は編成し
た編織物を遮光ネツトとするものである。遮光ネ
ツトは、対象とする植物等の使用場所、及び通気
性等を考慮して、遮光率を40〜98％程度、特には
60〜95％程度となるように織成又は編成すること
が好ましい。

なお、遮光ネツトは上記積層体テープのみの織
物又は編物から構成しても良いが、積層体テープ
を主構成要素とすれば他のものを混合しても良
い。例えば、第１図又は第２図の如く積層体テー
プ１を横糸とし、モノフイラメント２を縦糸とし
た織物が好ましく、この場合モノフイラメント２
は、耐候性を考慮して、高密度ポリエチレンの着
色品、特に黒色品が好ましいが、モノフイラメン
ト２の代りに他の物を使用することも可能であ
る。

なお、編織物の組織は用途によつて適宜選択で
き、第１図に示したカラミ織が目ずれがなく、長
期間の使用に耐える点で最も好ましいが、高遮光
率の観点からは第２図の平織、切つてもほつれず
通風性・通水性に優れている点からは第３図の様
な積層体テープ１とモノフイラメント２からなる
ラツセル編が好ましいが、これらの組織に限定さ
れるものではない。

〔効果〕

以上の本考案の遮光ネツトは、（）農業用ハ
ウスにおいてハウスの骨格に沿つて当該ネツトを
掛け、種々の植物の遮光に、（）ハウスを使わ
ずに地面と水平に張ることによつて、茶の防霜・
遮光、椎茸の遮光に用いる、など従来の遮光ネツ
トの用途に適用でき、かつ高い反射率を有するた
めこれらの用途においても従来の遮光ネツト以上
に、高い遮光率を奏することができる。

更に、太陽光線を反射するため、作物の根元に
敷くマルチングとして使用して、地温上昇防止と
共に作物に太陽光線の反射光を当てること、果樹
園等に張つておくことにより防鳥効果を奏するな
ど、従来のネツトでは使用できなかつた新しい用
途に使用することができる。そして、延伸された
ポリエチレンフイルムの使用によつてテープの長
さ方向の強度が向上すると共に、無延伸フイルム
は該テープの縦方向の切れ易さを防止し、結果的
にどの方向からも強度のあるネツトとなるので、
極めて優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、本願考案の遮光ネツトの例
を示す部分平面図である。 １……積層体テープ、２……モノフイラメン
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 延伸されたポリエチレンフイルム上にアルミ
   ニウム蒸着層及び無延伸ポリエチレンフイルム
   を順次積層してなり、かつ前記延伸されたポリ
   エチレンフイルムの延伸方向を長さ方向とした
   積層体テープを用いた編織物からなる遮光ネツ
   ト。 (2) 上記積層体テープを横糸とし、他のモノフイ
   ラメントを縦糸とした織物からなることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の遮
   光ネツト。