JPH0533267Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、植込ボルトを取付ける際に使用す
るボルト植込用治具の改良に関する。

〔従来の技術〕

従来のこの種ボルト植込用治具（以下単に「治
具」という）としては、上半部に六角頭部を備え
た押えボルトを、また下半部に植込ボルトをそれ
ぞれ同一ピツチで螺合可能にした六角長ナツトに
レンチのソケツトを外嵌して回転することによ
り、上記押えボルトが植込ボルトに当接した時点
で、該植込ボルトを所定のボルト孔に植込むよう
にしたものが知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら上記従来の治具は、押えボルトと
長ナツトの六角対辺が同長で、しかも上記押えボ
ルトと植込ボルトのピツチが同一のものを使用し
ていたから、ボルトの植込が完了した後、治具を
取外すために上記レンチを直ちに逆回転すると、
上記押えボルトと植込ボルトの各端面が強力に圧
着している関係上、植込ボルトが長ナツト及び押
えボルトに追従して共回りし、その締付けが緩む
という不都合が見られた。そこで通常、上記治具
の取外しに当たつては、上記ナツトにスパナ等を
係合し、植込ボルトの共回りを防止しつゝ押えボ
ルトだけを緩めて両ボルト間に間隙を設けた後、
上記治具を逆回転させて取外すという著しい手間
を余儀なくされていたのである。

本考案はボルトの植込み完了後、直ちにレンチ
を逆回転させても植込ボルトが共回りして緩むこ
とのない治具を提供することを目的としたもので
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の治具は、上記目的を達成するため、六
角形状のナツト本体の下半部に植込ボルトが螺合
可能な内ネジを切設する一方、その内周上半部に
上記植込ボルトよりも大きなピツチの内ネジを切
設し、この部分に上記ナツト本体よりも対辺がや
や大きい六角頭部を有する押えボルトを螺合した
ものである。

〔作用〕

上記構成の治具は、上記押えボルトの頭部が密
に嵌合するレンチのソツケトと係合して回転され
るものであるが、植込ボルトの螺着操作は、従来
のこの種の治具によるものと全く同様である。

而して、ボルトの植込み後は直ちに上記ソケツ
トを逆回転した場合でも、ナツト本体と押えボル
トの頭部と径差を設けてソケツトとの間に嵌合間
隙を保持させたことにより、ナツト本体に先立つ
て、押えボルトが僅かに回転すると同時にピツチ
巾の小さい植込ボルトよりも大きく移動して、両
ボルトの接触面が開離する。その直後に、上記ソ
ケツト内周面と係合したナツト本体が押えボルト
と共に逆回転し、植込ボルトから速やかに抜外れ
るという作用を奏する。

〔実施例〕

以下、本案の治具をバルブのボンネツトにおけ
るフランジ部に立設される例えばM36×３の植込
ボルトに適用した実施例に基づいて更に具体的に
述べると、図において１は対辺53mmの六角ナツト
本体で、その下半部に植込ボルト３が螺合可能な
３mmピツチの内ネジ１ａを設け、また上半部に下
述する押えボルト２が螺合し得る６mmピツチの内
ネジ１ｂを切設したものである。

而して上記押えボルト２は、その六角頭部２′
の対辺が上記ナツト本体１のそれよりも２mm大き
い55mmとする一方、上記ナツト本体１の上半部に
螺入するねじ部のピツチをM36×６としたもので
ある。更に４は空気圧または油圧駆動レンチのソ
ケツトであつて、上記押えボルトの頭部２′と対
応する対辺55mmの六角中空状のものであり、５は
ボルト孔を示す。

上記構成の本案治具は、予め上記ボルト孔５に
手等で軽くねじ込まれた植込ボルト３の上端に押
えボルト２を装着したナツト本体１を一回転程度
螺入した後、該ナツト本体に上記レンチのソケツ
ト４を外嵌して規定方向の回転を与えれば、先ず
治具全体が一定量螺入し、その押えボルト２の下
端面が植込ボルト３の上端面に当接した時点で該
植込ボルトが回転し、上記ボルト孔５に所定のト
ルクで螺装されるのである。（第２図ａ参照）。

この植込作業が完了した時点でレンチのソケツ
ト４は自動的に、或いはレバーの切換えにより逆
回転するが、第１，２図に示したようにソケツト
４とナツト本体１との間に一定量の嵌合間隙Ｓ、
即ち「遊び」（本実施例では２mm）を設けている
ため、逆転当初は「遊び」を持たない押えボルト
２のみが逆回転する。この時、上記押えボルト２
と圧接する植込ボルト３にも一瞬、逆転力が生じ
るものゝ、該植込ボルトよりもピツチ巾の大きな
押えボルト２のみが効率よく回転・上昇し、両ボ
ルトはその端面間に一定の間隙S′を形成した状態
で分離する。

更に上記「遊び」がなくなつた後（第２図ｂ参
照）、ソケツト４はナツト本体１及び押えボルト
２を伴つて逆転し、これらを速やかに植込ボルト
３から抜取るのである。

〔考案の効果〕

本案治具は、以上の通り構成されているので、
次に記載する効果を奏する。

外嵌されたレンチのソケツト４とナツト本体１
との間に一定量の嵌合間隙（「遊び」）を設けると
共に、ナツト本体１に対する押えボルト２のピツ
チを植込ボルト３よりも大きくしたものであるか
ら、一旦、植込まれたボルト３が取外しに際して
逆転するナツト本体１及び押えボルト２に追従し
て緩むということがない。

従つて従来品の如く、回転防止用スパナを使用
する等の手間がなく、この種ボルトの植込作業時
間が大幅に短縮されるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案治具の縦断面図、第２図はそのＡ
−Ａ線断面図であつて、ａはソケツトを締付けた
状態、ｂは緩めた状態を示す。 尚、図中１……ナツト本体、２……押えボル
ト、１ａ・１ｂ……内ネジ、３……植込ボルト、
４……ソケツト、５……ボルト孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下半部に植込ボルト３が螺合可能な内ネジ１ａ
   を、又上半部に上記植込ボルトよりも大きなピツ
   チの内ネジ１ｂをそれぞれ切設してなる角形ナツ
   ト本体１と、上記上半部の内ネジ１ｂに螺合し、
   上記ナツト本体１よりも対辺がやや大きな角形頭
   部２′を有する押えボルト２とからなるボルト植
   込用治具。