JP3569563B2 - ボルトの緩めトルク低減構造および緩め方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、取付け体との間に被締結物を挟持して取付け体に螺合されるボルトの緩めトルクを低減するためのボルトの緩めトルク低減構造およびボルトの緩め方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボルトを用いて被締結物を取付け体に強固に締結した状態で、分解、修理等のためにボルトを取外す必要を生じることがあるが、そのボルトのねじ部等が錆付いたり、焼付いたりしてボルトが簡単には緩まないことがある。
【0003】
この場合、従来ではボルトに強大な緩めトルクを加えて緩めるか、それでも緩まない場合にはボルトの頭部をカッタ等で削り取ったり、バーナーで焼き切ったりするようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のようにすると、ボルトの緩め作業が非常に面倒であるばかりでなく、その作業によって被締結物が損傷してしまうことがあり、締結状態解除後に被締結物を補修する必要が生じたり、場合によっては被締結物の再使用が不可能となることがあり、全体として作業能率が低くてコストが嵩み、また資源の浪費にもなっていた。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ボルトの緩め作業を小さな緩めトルクで容易かつ迅速に行い得るようにして上記問題を解決したボルトの緩めトルク低減構造および緩め方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、取付け体との間に被締結物を挟持して取付け体に螺合されるボルトの緩めトルクを低減するためのボルトの緩めトルク低減構造において、ボルトには、少なくとも軸方向に沿う一部を被締結物に対応させた挿通孔部と、外端をボルトの軸方向一端面に開口させて挿通孔部よりも大径に形成されるとともに挿通孔部の一端との間に係止段部を形成する第1ねじ孔部と、挿通孔部の他端に連なる第2ねじ孔部とが同軸に設けられ、軸方向一端部に回転工具係合部を有するとともに軸方向に延びる貫通孔を有する第1補助ボルトが係止段部に当接するまで第1ねじ孔部に螺合されるとともに第1ねじ孔部内に回転自在に収容される頭部を有して貫通孔および挿通孔部に挿通される第2補助ボルトが前記頭部を第1補助ボルトに当接させるまで第2ねじ孔部に螺合された状態で、ボルトが被締結物を貫通して取付け体に螺合されることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、第1補助ボルトに設けられる回転工具係合部が、第2補助ボルトの頭部の一部を収容可能な凹部として形成されることを特徴とする。
【0008】
さらに請求項3記載の発明は、第1ねじ孔部及び第2ねじ孔部は相互に逆ねじであることを特徴とする。
【0009】
さらに請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載のボルトを緩めるにあたって、第1および第2補助ボルトを緩めてボルトから取外した後、第2補助ボルトをその頭部が係止段部に間隔をあけて対向する位置までボルトの第2ねじ孔部に螺合し、さらに第1補助ボルトを第1ねじ孔部に螺合して締付けた状態で、ボルトを緩めることを特徴とする。
【作用】
上記請求項1記載の発明の構成によれば、第1および第2補助ボルトを締付けた状態で被締結物を貫通したボルトが取付け体に螺合されると、ボルトおよび第2補助ボルトにはその軸方向に沿う引張力がともに作用する。而して第1および第2補助ボルトが緩められてボルトから取外されると、第2補助ボルトが分担していた引張力の分もボルトが分担するようになり、少なくとも被締結物に対応する部分でボルトが軸方向に伸びる。また係止段部に間隔をあけて頭部を対向させた位置に在る第2補助ボルトで受けるようにして第1補助ボルトが締付けられると、ボルトがさらに軸方向に伸びることになり、緩めトルクがさらに低減される。しかもボルトの締着時に第1および第2補助ボルトもボルトに螺合された状態にあるので、ボルトを緩める際に、その緩め作業に必要な両補助ボルトを準備する必要がない。
【0010】
また上記請求項2記載の発明の構成によれば、第1補助ボルトの回転工具係合部に第2補助ボルトの頭部を収容させることにより、ボルトの頭部の軸方向長さを比較的小さくすることが可能となる。
【0011】
また上記請求項3記載の発明の構成によれば、第1ねじ孔部及び第2ねじ孔部は相互に逆ねじであるため、第1補助ボルトの締付けによって第2補助ボルトが第1補助ボルトと連れ回りして締付け方向に回転することを確実に防止できる。
【0012】
さらに請求項4記載の発明によれば、第2および第1補助ボルトの緩め作業、第2補助ボルトの螺合作業、ならびに第1補助ボルトの締付け作業を順次行って、ボルトの緩めトルクを低減した状態でボルトを緩めることにより、ボルトを小さな緩めトルクで容易かつ迅速に緩めることが可能となる。
【0013】
【実施例】
以下、図面により本発明の実施例について説明する。
【0014】
図1ないし図3は本発明の第1実施例を示すものであり、図1はボルトによる被締結物の締結状態を示す断面図、図2は第1および第2補助ボルトを取外した後に第2補助ボルトをボルトに再螺合した状態での図1に対応する断面図、図3はボルトを緩める状態での図1に対応する断面図である。
【0015】
先ず図1において、ボルトBは、スパナ等の回転操作工具を係合可能として横断面略正六角形に形成される係合部1が軸部2の一端に一体に連設され、該軸部2の少なくとも他端側外周に雄ねじ3が設けられて成る。このボルトBにより被締結物4が取付け体5に締着されるものであり、取付け体5にはねじ孔6が設けられ、被締結物4には、ボルトBの軸部2を挿通させる貫通孔7が設けられる。而して貫通孔7に挿通された軸部2の雄ねじ3をねじ孔6に螺合して締付けることにより、被締結物4はボルトBの係合部1および取付け体5間に挟持され、これにより被締結物4が取付け体5に締着されることになる。
【0016】
ボルトBには、横断面円形の挿通孔部8と、外端をボルトBの軸方向一端面(この実施例では係合部1の端面)に開口させて挿通孔部8よりも大径に形成されるとともに挿通孔部8の一端との間に係止段部9を形成する第1ねじ孔部10と、挿通孔部8の他端に連なってボルトBの他端に開口する第2ねじ孔部11とが同軸に設けられる。しかも挿通孔部8が設けられる範囲Aは、該挿通孔部8の少なくとも軸方向に沿う一部が被締結物4に対応するように設定される。また第1および第2ねじ孔部10,11は相互に逆ねじに形成される。
【0017】
ボルトBには第1および第2補助ボルト121 ,131 が同軸に螺合される。第1補助ボルト121 は、ボルトBの第1ねじ孔部10に螺合されるものであり、その軸方向一端部には、第1ねじ孔部10内で図示しない回転工具を係合可能として横断面正六角形状に形成された回転工具係合部141 が設けられる。しかも、第1補助ボルト121 の軸方向全長にわたっては貫通孔151 が同軸に設けられる。
【0018】
また第2補助ボルト131 は、第1ねじ孔部10内に回転自在に収容されるとともに係止段部9に当接、係合可能な頭部161 が、第2ねじ孔部11に螺合される雄ねじ17を一端側外周に有する軸部18の他端に一体に設けられて成るものであり、頭部161 は、図示しない回転工具を係合可能として横断面正六角形状に形成される。
【0019】
而して、ボルトBを締付けて被締結物4を取付け体5に締着する前に、第1補助ボルト121 が係止段部9に当接するまで第1ねじ孔部10に螺合されるとともに第1補助ボルト121 の貫通孔151 および挿通孔部8に挿通される第2補助ボルト131 がその頭部161 を第1補助ボルト121 に当接させるまで第2ねじ孔部11に螺合されており、その状態で被締結物4を貫通するボルトBが取付け体5に螺合して締付けられる。これによりボルトBおよび第2補助ボルト131 には、その軸方向に沿う引張力がともに作用している。
【0020】
ボルトBを緩めるにあたっては、第2補助ボルト131 を緩めてボルトBから取外した後、第1補助ボルト121 を緩めてボルトBから取外す。これにより、第2補助ボルト131 が分担していた引張力の分もボルトBが負担するようになり、ボルトBに作用する引張力が大きくなってボルトBを軸方向により伸ばすことになる。しかもボルトBの挿通孔部8が設けられる範囲Aは、その少なくとも一部が被締結物4に対応させるように設定されるので、ボルトBの係止段部9および第2ねじ孔部11間が軸方向に伸びることにより、ボルトBから被締結物4に作用する締結力を低下させることができる。
【0021】
その後、図2で示すように、第2補助ボルト131 を、その頭部161 が係止段部9に間隔をあけて対向する位置となるまでボルトBの第2ねじ孔部11に螺合する。次いで図3で示すように、ボルトBの第1ねじ孔部10に第1補助ボルト121 を螺合させて締付ける。そうすると第1補助ボルト121 が第2補助ボルト131 の頭部161 で受けられ、第1補助ボルト121 の締付け力によりボルトBがさらに軸方向に伸びることになり、ボルトBから被締結物4に作用する締結力をさらに低下させることができる。
【0022】
したがって、ボルトBが雄ねじ3の錆付きや焼付き等に起因して通常の緩めトルクでは簡単に緩まない場合にも、比較的小さな緩めトルクで容易かつ迅速にボルトBを緩めることが可能となる。すなわち第1および第2補助ボルト121 ,131 の緩め、取外し作業に続いて、第2補助ボルト131 の螺合作業および第1補助ボルト121 の締付け作業を行うことにより、ボルトBを軸方向に伸ばしてボルトBから被締結物4に作用する締結力を低下させ、それにより、ボルトBの係合部1および被締結物4間に作用する摩擦力、ならびにボルトBの軸部2と取付け体5のねじ孔6との螺合部に作用する摩擦力が低下することになり、比較的小さな緩めトルクでもボルトBを容易に緩めることができる。したがってボルトBの緩め作業を、その作業中に被締結物4を損傷することなく、簡単迅速に行なうことが可能となる。
【0023】
また第2補助ボルト131 の頭部161 に当接した第1補助ボルト121 を締付ける際に、第1補助ボルト121 が螺合している第1ねじ孔部10は、第2補助ボルト131 が螺合している第2ねじ孔部11とは逆ねじであるので、第1補助ボルト121 の締付けによって第2補助ボルト131 が第1補助ボルト12 1 と連れ回りして締付け方向に回転することを確実に防止できる。
【0024】
しかもボルトBによる被締結物4の取付け体5への締着時には第1および第2補助ボルト121 ,131 がともにボルトBに螺合されているものであり、ボルトBを緩める際、その緩め作業に必要な第1および第2補助ボルト121 ,131 を新たに準備する必要がない。
【0025】
また第1および第2補助ボルト121 ,131 を、ボルトBに比べて強度の高い材料により形成しておくと、被締結物4の締結に伴う軸力の負担を第2補助ボルト131 に持たせることができるので、第2補助ボルト131 を緩めることによりボルトBに大きな軸力を作用させてボルトBの伸び量を大きくし、ボルトBの緩めトルクをより低減することが可能である。
【0026】
図4および図5は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0027】
ボルトBの第1ねじ孔部10に螺合される第1補助ボルト122 の軸方向一端には、第1ねじ孔部10内で図示しない回転工具を係合可能として横断面正六角形状に形成された回転工具係合部142 が設けられ、軸方向他端には図示しない回転工具を係合し得る回転工具係合部19が、その横断面形状を正六角形状とした凹部として設けられる。しかも第1補助ボルト122 の軸方向全長にわたっては貫通孔152 が同軸に設けられる。
【0028】
一方、第2補助ボルト132 は、第1補助ボルト122 の回転工具係合部19に一部を収容させる横断面円形であって外端面には図示しない回転工具を係合し得る係止凹部20が設けられた頭部162 が、第2ねじ孔部11に螺合される雄ねじ17を一端側外周に有する軸部18の他端に一体に設けられて成るものである。
【0029】
而して、ボルトBを締付けて被締結物4を取付け体5に締着する前には、図4で示すように、第1補助ボルト122 がその回転工具係合部142 を係止段部9に当接させるまで第1ねじ孔部10に螺合されるとともに、第1補助ボルト122 の貫通孔152 および挿通孔部8に挿通される第2補助ボルト132 がその頭部162 を第1補助ボルト122 の回転工具係合部19に一部を収容させるようにして第1補助ボルト122 に当接させるまで第2ねじ孔部11に螺合されており、その状態で被締結物4を貫通するボルトBが取付け体5に螺合して締付けられる。
【0030】
ボルトBを緩めるにあたっては、第2補助ボルト132 を緩めてボルトBから取外した後、第1補助ボルト122 を緩めてボルトBから取外す。さらに、図5で示すように、第2補助ボルト132 を、その頭部162 が係止段部9に間隔をあけて対向する位置となるまでボルトBの第2ねじ孔部11に螺合し、その後、回転工具係合部19を頭部162 側に向けた第1補助ボルト122 を第1ねじ孔部10に螺合させて締付ける。
【0031】
この第2実施例によれば、上記第1実施例と同様の効果を奏した上に、ボルトBによる被締結物4の締着時に、第2補助ボルト132 における頭部162 の一部を第1補助ボルト122 の回転工具係合部19に収容することが可能であるので、ボルトBの係合部1の軸方向長さを比較的短くしても第2補助ボルト132 がボルトBから突出することがなく、ボルトBの小型化を図ることができる。
【0032】
本発明の他の実施例として、上記第2実施例における第1補助ボルト122 の回転工具係合部142 を省略するようにしてもよく、その場合、ボルトBを緩める際に第1補助ボルト122 は、回転工具係合部19を軸方向外方位置とした向きで第1ねじ孔部10に螺合して締付けられる。
【0033】
図6および図7は本発明の第3実施例を示すものであり、上記各実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0034】
ボルトBには、挿通孔部8と、挿通孔部8の一端との間に係止段部9を形成する第1ねじ孔部10と、挿通孔部8の他端に連なる第2ねじ孔部11′とが同軸に設けられ、第1および第2ねじ孔部10,11′におけるねじの向きは同一である。
【0035】
第1ねじ孔部10に螺合される第1補助ボルト123 の軸方向一端には、図示しない回転工具を係合可能として横断面正六角形状の凹部として形成された回転工具係合部19が設けられ、第1補助ボルト123 の軸方向全長にわたっては貫通孔153 が同軸に設けられる。
【0036】
一方、第2補助ボルト131 は、第1補助ボルト123 の回転工具係合部19に一部を係合させ得る横断面正六角形状の頭部161 が、第2ねじ孔部11′に螺合される雄ねじ17を一端側外周に有する軸部18の他端に一体に設けられて成るものである。
【0037】
而して、ボルトBを締付けて被締結物4を取付け体5に締着する前には、図6で示すように、第1補助ボルト123 がその回転工具係合部19を外方位置として係止段部9に当接するまで第1ねじ孔部10に螺合されるとともに、第1補助ボルト123 の貫通孔153 および挿通孔部8に挿通される第2補助ボルト131 がその頭部161 を第1補助ボルト123 の回転工具係合部19に一部を係合、収容させるようにして第1補助ボルト123 に当接させるまで第2ねじ孔部11′に螺合されており、その状態で被締結物4を貫通するボルトBが取付け体5に螺合して締付けられる。
【0038】
ボルトBを緩めるにあたっては、第2補助ボルト131 の頭部161 に回転工具を係合して緩める方向に回転操作する。そうすると、頭部161 が第1補助ボルト123 の回転工具係合部19に係合しているので、第2補助ボルト131 および第1補助ボルト123 を同時に緩めてボルトBから取外すことができる。その後、図7で示すように、第2補助ボルト131 を、その頭部161 が係止段部9から間隔をあけた位置となるまでボルトBの第2ねじ孔部11′に螺合し、さらに回転工具係合部19を外方位置とした第1補助ボルト123 を第1ねじ孔部10に螺合させて締付ける。
【0039】
この第3実施例によれば、上記第2実施例と同様の効果を奏した上に、第1および第2補助ボルト123 ,131 をボルトBから同時に取外すことができるので、ボルトBの緩め作業をより迅速に行うことができる。
【0040】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0041】
たとえばボルトBの係合部1側に第2ねじ孔部11,11′が設けられるようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、ボルトには、少なくとも軸方向に沿う一部を被締結物に対応させた挿通孔部と、外端をボルトの軸方向一端面に開口させて挿通孔部よりも大径に形成されるとともに挿通孔部の一端との間に係止段部を形成する第1ねじ孔部と、挿通孔部の他端に連なる第2ねじ孔部とが同軸に設けられ、軸方向一端部に回転工具係合部を有するとともに軸方向に延びる貫通孔を有する第1補助ボルトが係止段部に当接するまで第1ねじ孔部に螺合されるとともに第1ねじ孔部内に回転自在に収容される頭部を有して貫通孔および挿通孔部に挿通される第2補助ボルトが前記頭部を第1補助ボルトに当接させるまで第2ねじ孔部に螺合された状態で、ボルトが被締結物を貫通して取付け体に螺合されるので、第1および第2補助ボルトを緩めてボルトから取外すことにより少なくとも被締結物に対応する部分でボルトを軸方向に伸ばし、さらに係止段部との間に間隔をあけて第1ねじ孔部に螺合された第2補助ボルトで受けるようにして第1補助ボルトを締付けることによりボルトをさらに軸方向に伸ばして緩めトルクを低減することができ、ボルトを小さな緩めトルクで容易かつ迅速に緩めることが可能となる。
【0043】
また請求項2記載の発明によれば、第1補助ボルトに設けられる回転工具係合部が、第2補助ボルトの頭部の一部を収容可能な凹部として形成されるので、第1補助ボルトの回転工具係合部に第2補助ボルトの頭部を収容させることにより、ボルトの頭部の軸方向長さを比較的小さくすることができ、ボルトの小型化に寄与することができる。
【0044】
また請求項3記載の発明によれば、第1ねじ孔部及び第2ねじ孔部が相互に逆ねじであるため、第1補助ボルトの締付けによって第2補助ボルトが第1補助ボルトと連れ回りして締付け方向に回転することを確実に防止できる。
【0045】
さらに請求項4記載の発明によれば、ボルトを緩めるにあたって、第1および第2補助ボルトを緩めてボルトから取外した後、第2補助ボルトをその頭部と係止段部との間に間隔をあけた位置までボルトの第2ねじ孔部に螺合し、さらに第1補助ボルトを第1ねじ孔部に螺合して締付けた状態で、ボルトを緩めるので、、第2および第1補助ボルトの緩め、取外し作業、第2補助ボルトの螺合作業、ならびに第1補助ボルトの締付け作業を順次行って、ボルトの緩めトルクを低減した状態でボルトを緩めることにより、ボルトを小さな緩めトルクで容易かつ迅速に緩めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のボルトによる被締結物の締結状態を示す断面図である。
【図2】第1および第2補助ボルトを取外した後に第2補助ボルトをボルトに再螺合した状態での図1に対応する断面図である。
【図3】ボルトを緩める状態での図1に対応する断面図である。
【図4】第2実施例の図1に対応する断面図である。
【図5】第2補助ボルトをボルトに再度螺合した状態での図4に対応する断面図である。
【図6】第3実施例の図1に対応する断面図である。
【図7】ボルトを緩める状態での図6に対応する断面図である。
【符号の説明】
4・・・被締結物
5・・・取付け体
8・・・挿通孔部
9・・・係止段部
10・・・第1ねじ孔部
11,11′・・・第2ねじ孔部
121 ,122 ,123 ・・・第1補助ボルト
131 ,132 ・・・第2補助ボルト
141 ,142 ,19・・・回転工具係合部
151 ,152 ,153 ・・・貫通孔
161 ,162 ・・・頭部
20・・・第2補助ボルト
B・・・ボルト
Claims (4)
- 取付け体(5)との間に被締結物(4)を挟持して取付け体(5)に螺合されるボルト(B)の緩めトルクを低減するためのボルトの緩めトルク低減構造において、
ボルト(B)には、少なくとも軸方向に沿う一部を被締結物(4)に対応させた挿通孔部(8)と、外端をボルト(B)の軸方向一端面に開口させて挿通孔部(8)よりも大径に形成されるとともに挿通孔部(8)の一端との間に係止段部(9)を形成する第1ねじ孔部(10)と、挿通孔部(8)の他端に連なる第2ねじ孔部(11,11′)とが同軸に設けられ、軸方向に沿う少なくとも一端に回転工具係合部(141 ,142 ,19)を有するとともに軸方向に延びる貫通孔(151 ,152 ,153 )を有する第1補助ボルト(121 ,122 ,123 )が係止段部(9)に当接するまで第1ねじ孔部(10)に螺合されるとともに第1ねじ孔部(10)内に回転自在に収容される頭部(161 ,162 )を有して貫通孔(151 ,152 ,153 )および挿通孔部(8)に挿通される第2補助ボルト(131 ,132 )が前記頭部(161 ,162 )を第1補助ボルト(121 ,122 ,123 )に当接させるまで第2ねじ孔部(11,11′)に螺合された状態で、ボルト(B)が被締結物(4)を貫通して取付け体(5)に螺合されることを特徴とする、ボルトの緩めトルク低減構造。 - 第1補助ボルト(122 ,123 )に設けられる回転工具係合部(19)が、第2補助ボルト(131 ,132 )の頭部(161 ,162 )の一部を収容可能な凹部として形成されることを特徴とする、請求項1記載のボルトの緩めトルク低減構造。
- 第1ねじ孔部(10)及び第2ねじ孔部(11)は相互に逆ねじであることを特徴とする、請求項1記載のボルトの緩めトルク低減構造。
- 請求項1,2又は3記載のボルト(B)を緩めるにあたって、
第1および第2補助ボルト(121 ,122 ,123 ;131 ,132 )を緩めてボルト(B)から取外した後、第2補助ボルト(131 ,132 )をその頭部(161 ,162 )が係止段部(9)に間隔をあけて対向する位置までボルト(B)の第2ねじ孔部(11,11′)に螺合し、さらに第1補助ボルト(121 ,122 ,123 )を第1ねじ孔部(10)に螺合して締付けた状態で、ボルト(B)を緩めることを特徴とする、ボルトの緩め方法。
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