JPH05323639A - 電子写真用積層型有機感光体 - Google Patents

電子写真用積層型有機感光体

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JPH05323639A
JPH05323639A JP13284192A JP13284192A JPH05323639A JP H05323639 A JPH05323639 A JP H05323639A JP 13284192 A JP13284192 A JP 13284192A JP 13284192 A JP13284192 A JP 13284192A JP H05323639 A JPH05323639 A JP H05323639A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 残留電位が低いレベルに抑制され、しかも優
れた感度を示す電子写真用積層型の有機感光体を得る。 【構成】 積層型の有機感光体において、その有機感光
層に使用する電子輸送剤として、少なくとも二種類のジ
フェノキノン誘導体を使用する。ジフェノキノン誘導体
は、例えば、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−tブチ
ル−4,4'−ジフェノキノンと、3,3’,5,5'−テト
ラ−tブチル−4,4'−ジフェノキノンである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機、レーザプリン
ター等に使用される電子写真用積層型有機感光体に関
し、より詳細には、感度や残留電位の改善された電子写
真用積層型有機感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル光学系を用いた電子写真複写機
には、通常700nm以上の波長を有する光源が使用さ
れている。この波長領域に感度を有する感光体として、
有機感光体(OPC)、アモルファスシリコン(α−S
i)、一部のセレン感光体等が知られているが、感度、
コスト等の総合的見地から、この分野ではOPCを使用
するケースが多い。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層(CG
L)と電荷輸送層(CTL)とを積層した所謂機能分離
型の有機感光体、即ち、積層型の感光体が従来より提案
されている。これら機能分離型の有機感光体において
は、感度面や機械的強度面から、導電性基体上にCGL
やCTLを順次積層したものが現在多数実用に供されて
いる。
【0004】この種の感光体の電荷輸送物質としては、
キャリヤ移動度の高いものが要求されているが、キャリ
ヤ移動度の高い電荷輸送剤は殆どが正孔輸送性であるた
め、実用に供せられているものは負帯電型の有機感光体
に限られている。しかしながら、負帯電型の有機感光体
では、負極性コロナ放電を利用するためオゾンの発生量
が多く、従って環境を汚染する、感光体を劣化する等の
問題があり、これを防止するため、オゾンを発生させな
い格別の帯電システムや、生成オゾンを分解するシステ
ム、装置内のオゾンを排気するシステム等を必要とし、
プロセスやシステムが複雑化するという欠点がある。
【0005】そこで、これらの欠点を解消するため、電
子輸送能を有する電子輸送剤を使用することが検討され
ており、特開平1−206349号公報にはジフェノキ
ノン構造を有する化合物が電子写真感光体用電荷輸送剤
として提案されている。
【0006】また、例えば、特開平3−216662号
公報には、下引層及び電荷発生層、または下引層にジフ
ェノキノン誘導体を含有する感光体が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
電子輸送剤は、ジフェノキノン類をも含めて、結着樹脂
への相溶性に乏しく、ホッピング距離が長くなるため、
低電界での電子移動が生じ難くなり、残留電位がかなり
高いという欠点が認められる。従って、実用に耐え得る
電子輸送剤を用いた感光体の開発が望まれている。
【0008】また、上記特開平3−216662号公報
に開示された積層型有機感光体においても感度の点で十
分とはいえず、高速複写等においてさらに感度に優れた
感光体が望まれている。
【0009】本発明は上記の欠点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは残留電位が低
いレベルに抑制され、しかも優れた感度を示す電子写真
用積層型有機感光体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電子輸送
剤としてジフェノキノン誘導体を使用し、このジフェノ
キノン誘導体のうち特定の二種を併用して積層型有機感
光体を作製すると、感光体の残留電位が著しく低下し、
感度が向上することを見い出し、本発明を完成するに至
ったものである。
【0011】第1発明の電子写真用積層型有機感光体
は、導電性基体と、該導電性基体上に積層された電荷発
生剤を含有する電荷発生層と、該電荷発生層上に積層さ
れた第1の電荷輸送層と、該第1の電荷輸送層上に積層
された第2の電荷輸送層とを有する電子写真用積層型有
機感光体であって、該第1の電荷輸送層中に含有される
ジフェノキノン誘導体Bが、該第2の電荷輸送層中に含
有されるジフェノキノン誘導体Aに比べて還元電位の絶
対値が大きいものであり、そのことにより上記目的が達
成される。
【0012】第2発明の電子写真用積層型有機感光体
は、導電性基体と、該導電性基体上に積層された電荷発
生剤を含有する電荷発生層と、該電荷発生層上に積層さ
れた電荷輸送層とを有する電子写真用積層型有機感光体
であって、該電荷発生層中に含有されるジフェノキノン
誘導体Bが、該電荷輸送層中に含有されるジフェノキノ
ン誘導体Aに比べて還元電位の絶対値が大きいものであ
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】第3発明の電子写真用積層型有機感光体
は、導電性基体と、該導電性基体上に積層された下引層
と、該下引層上に積層された電荷発生剤を含有する電荷
発生層と、該電荷発生層上に積層された電荷輸送層とを
有する電子写真用積層型有機感光体であって、該電荷発
生層中に含有されるジフェノキノン誘導体Bが、該下引
層中に含有されるジフェノキノン誘導体Aに比べて還元
電位の絶対値が大きいものであり、該電荷輸送層中に正
孔輸送剤が含有されており、そのことにより上記目的が
達成される。
【0014】
【作用】既に指摘した通り、下引層や有機感光層に含ま
れる電子輸送剤として、上記のようなジフェノキノン誘
導体Bと、ジフェノキノン誘導体Aとを併用することに
より、残留電位が少なく、かつ感度の向上した積層型有
機感光体が得られる。
【0015】本発明において電子輸送剤(第1ETおよ
び第2ET)としてジフェノキノン誘導体を使用する理
由は、この電子輸送剤が従来のものに比べて電子輸送性
に優れているからであり、これは分子鎖両端末に電子受
容性に優れたキノン系酸素原子が結合しており、また分
子鎖全体にわたって共役に二重結合があって、構造内の
電子の移動が容易で、しかも電子の授受が容易に行われ
ることに関係しているものと思われる。
【0016】しかしながらジフェノキノンは、対称的で
しかも剛直な分子構造を有するため、感光層形成に用い
る溶剤に対する溶解性が低く、感光層の媒質となる結着
樹脂に対しても相溶性が低いものである。
【0017】そこで本発明者らによると、このジフェノ
キノンに対してアルキル基またはアリール基等の置換基
を導入することにより、溶剤に対する溶解性や結着樹脂
に対する相溶性を向上できるが、さらに置換基を非対称
に導入すると、より高濃度の電子輸送剤を感光層中に分
散可能となることがわかった。また、各層に含有される
ジフェノキノン誘導体同士の還元電位の絶対値や量比
と、感光体の残留電位(低いほど、見かけの感度が増大
する)との間には一定の関係があり、ジフェノキノン誘
導体Aと、ジフェノキノン誘導体Aに比べて添加量が少
なく還元電位の大きなジフェノキノン誘導体Bとの組み
合わせの範囲内で、残留電位が最少ないしその近傍の値
を示すことがわかった。
【0018】図1は第1発明の積層型有機感光体におけ
る電荷像生成原理を説明したものである。図1におい
て、導電性基体1上には、電荷発生剤CGが分散された
電荷発生層3が積層され、電荷発生層3上にジフェノキ
ノン誘導体Bからなる電子輸送剤ET1が分散された第
1電荷輸送層4、ジフェノキノン誘導体Aからなる電子
輸送剤ET2が分散された第2電荷輸送層5が順次積層
されている。
【0019】露光に先立った帯電工程により、有機感光
体層2の表面は正(+)に帯電されており、導電性基体
1表面には負電荷(−)が誘導されている。この状態で
光線(hν)を照射すると、電荷発生層3中の電荷発生
剤CGには電荷が発生し、電子は第1電荷輸送層4中の
第1電子輸送剤ET1を介して第2電荷輸送層5中の第
2電子輸送剤ET2に注入されるが、直接電子輸送剤E
2に注入され、有機感光体層2の表面に移動して、正
電荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は導電性基体
1の表面の負電荷(−)により打ち消される。
【0020】図2は第2発明の積層型有機感光体におけ
る電荷像生成原理を説明したものである。図2におい
て、導電性基体1上には、電荷発生剤CG、およびジフ
ェノキノン誘導体Bからなる電子輸送剤ET1が分散さ
れた電荷発生層6が積層され、電荷発生層6上にジフェ
ノキノン誘導体Aからなる電子輸送剤ET2が分散され
た電荷輸送層7が積層されている。
【0021】図1の説明と同様に、露光に先立った帯電
工程により、有機感光体層2の表面は正(+)に帯電さ
れており、導電性基体1表面には負電荷(−)が誘導さ
れている。この状態で光線(hν)を照射すると、電荷
発生層6中の電荷発生剤CGには電荷が発生し、電子は
電荷発生層6中の第1電子輸送剤ET1を介して電荷輸
送層7中の第2電子輸送剤ET2に注入されるが、直接
電子輸送剤ET2に注入され、有機感光体層2の表面に
移動して、正電荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)
は導電性基体1の表面の負電荷(−)により打ち消され
る。
【0022】さらに、図3は第3発明の積層型有機感光
体における電荷像生成原理を説明したものである。図3
において、導電性基体1上には、ジフェノキノン誘導体
Aからなる電子輸送剤ET2が分散された下引層8が積
層され、下引層8上には、電荷発生剤CGおよびジフェ
ノキノン誘導体Bからなる電子輸送剤ET1が分散され
た電荷発生層9が形成され、この上に正孔輸送剤HTが
分散された電荷輸送層10が積層されている。
【0023】この感光体においては、露光に先立った帯
電工程により、有機感光体層2の表面は負(−)に帯電
されており、導電性基体1表面には正電荷(+)が誘導
されている。この状態で光線(hν)を照射すると、電
荷発生層9中の電荷発生剤CGには電荷が発生し、電子
は電荷発生層9中の第1電子輸送剤ET1を介して下引
層8中の第2電子輸送剤ET2に注入されるが、直接電
子輸送剤ET2に注入され、基体1の表面に移動して正
電荷(+)により打ち消される。一方、正孔(+)は正
孔輸送剤HTに注入されて、途中でトラップされること
なく有機感光体層2の表面に移動して、負電荷(−)を
打ち消す。
【0024】本発明者らによれば、ジフェノキノン誘導
体Bは、電荷発生剤から放出される電子の注入には優れ
るものの、ジフェノキノン誘導体Aに比して、溶剤への
溶解性および結着樹脂との相溶性に劣る傾向にある。逆
にジフェノキノン誘導体Aは、ジフェノキノン誘導体B
に比して、結着樹脂中に高濃度に分散可能であるもの
の、分散したジフェノキノン誘導体Aの中には電子注入
に寄与できない部分も存在し、電子注入効率を低下させ
ているものと推定される。
【0025】これに対して、本発明においては、電子輸
送剤として、ジフェノキノン誘導体Bとこれに比べて還
元電位の絶対値が小さいジフェノキノン誘導体Aとを併
用することにより両者の相乗効果により電子輸送性を向
上させることができる。
【0026】すなわち、光照射により電荷発生剤から放
出された電子のうち、従来ジフェノキノン誘導体A単独
では注入されなかった部分が、本発明で使用する電子注
入効率に優れた還元電位の絶対値が大きいジフェノキノ
ン誘導体Bからなる電子輸送剤ET1へまず注入される
ため、その後のジフェノキノン誘導体Aからなる電子輸
送剤ET2への注入が容易に行われるものと推測され
る。このように、ジフェノキノン誘導体Bを介してジフ
ェノキノン誘導体Aへ電子注入することにより、ジフェ
ノキノン誘導体Aへの電子注入効率が向上し、感光体の
感度が向上するものと推測される。また、ジフェノキノ
ン誘導体Bは電子輸送を行っているジフェノキノン誘導
体Aよりも還元電位が大きいため電子トラップとはなら
ないのである。
【0027】
【好適態様】本発明に用いられるジフェノキノン誘導体
Aは、下記一般式(1)、(2)または(3)で示され
る非対称置換型のジフェノキノン誘導体であるのがよ
く、上記ジフェノキノン誘導体Bは下記一般式(4)で
示されるジフェノキノン誘導体であるのがよい。
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】上式(1)〜(3)中の、R1〜R6の各々
は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール
基、アラルキル基、シクロアルキル基、アミノ基または
置換アミノ基を表す。アルキル基としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、t−ブチル基等の低級アルキル基
が好ましい。
【0033】式(1)、(2)および(3)中、R1
2の置換基は互いに異なる。
【0034】式(4)中、R3〜R6の置換基は互いに異
なってもよく、もしくはそれらの置換基のうち二つ、三
つまたは四つの置換基が同一であってもよい。特に、R
3〜R6の置換基のすべてが同一の対称型ジフェノキノン
誘導体が好ましい。
【0035】ジフェノキノン誘導体Aの適当な例は、こ
れに限定されないが、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ
t−ブチルジ−4,4'−ジフェノキノン、3,3’−ジ
メチル−5,5’−ジt−ブチル−4,4'−ジフェノキ
ノン、3,5’−ジメチル−3’,5−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン等を挙げることができる。これ
らの置換基を有するジフェノキノン誘導体は、分子の対
称性が低いために分子間の相互作用が小さく、溶解性に
優れているために好ましい。これらのジフェノキノン誘
導体Aは、一種または二種以上混合して用いられる。
【0036】本発明に用いられる他のジフェノキノン誘
導体Bは、上式(4)で示されるものが好ましく、その
適当な例はこれに限定されないが、3,3',5,5’−テ
トラ−tメチル−4,4'−ジフェノキノン、3,3',5,
5’−テトラ−tエチル−4,4'−ジフェノキノン、
3,3',5,5’−テトラ−tブチル−4,4'−ジフェノ
キノン、等を挙げることができる。これらのジフェノキ
ノン誘導体Bは、一種または二種以上混合して用いられ
る。
【0037】二種のジフェノキノン誘導体の還元電位の
絶対値の差は、0.03V以上が好ましい。
【0038】本発明に使用される正孔輸送剤としては、
従来公知の正孔輸送物質が使用され、例えばオキサジア
ゾール系化合物、スチリル化合物、カルバゾール系化合
物、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラ
ゾン化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール
系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系
化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合
物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリ
アゾール系化合物等の含窒素還式化合物、縮合多還式化
合物等が挙げられる。
【0039】上記正孔輸送剤の中でも、特に、イオン化
ポテンシャルが5.3〜5.6eVのものが好ましく使
用される。また、電界強度3×105V/cmで10-6
Vcm以上の移動度を有するものが特によい。具体的に
は、アルキル置換トリフェニルジアミンが好ましい。
【0040】なお、イオン化ポテンシャルの測定は、大
気化光電子分析装置(理研計器株式会社製、AC−1)
を用いて行ったものである。
【0041】本発明に用いられる好適な正孔輸送剤は、
これに限定されないが、1,1−ビス(p−ジエチルア
ミノフェニル)−4,4ジフェニル−1,3−ブタジエ
ン、N,N’−ビス(o,p−ジメチルフェニル)−N,
N’−ジフェニルベンジジン、3,3’−ジメチル−N,
N,N’,N’−テトラキス−4−メチルフェニル(1,
1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N−エチル
−3−カルバゾリルアルデヒド−N,N’−ジフェニル
ヒドラゾン、4−[N,N−ビス(p−トルイル)アミ
ノ]−β−フェニルスチルベン等である。
【0042】本発明において、正孔輸送剤HTとして、
イオン化ポテンシャルが前記範囲内にあるものを用いる
ことによって、残留電位を低下させ、感度を向上させ得
るのは、現象として見いだされたものであり、必ずしも
以下の説明に限定されないが、次のようなものと考えら
れる。
【0043】即ち、電荷発生剤から正孔輸送剤への電荷
の注入し易さは、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルと
密接に関連しており、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャ
ルが本発明よりも大きい場合には、電荷発生剤から正孔
輸送剤への電荷の注入の程度が低くなるか、または正孔
輸送剤間での正孔の授受の程度が低くなるため、感度の
低下が生じるものと認められる。
【0044】一方、電荷輸送剤として、正孔輸送剤と電
子輸送剤とが共存する系では、両者の間の相互作用、よ
り具体的には電荷移動錯体の形成に注意する必要があ
る。
【0045】両者の間にこのような錯体が形成される
と、正孔と電子との間に再結合が生じ、全体として電荷
の移動度が低下する。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャ
ルが本発明の範囲よりも小さい場合には、電子輸送剤と
の間に錯体を形成する傾向が大きくなり、電子−正孔の
再結合が生じるために、見かけの量子収率が低下し、感
度の低下に結び付くものと思われる。
【0046】従って、ジフェノキノン誘導体に置換基、
特にかさ高な置換基を導入することにより、この誘導体
に立体障害が付与され、正孔輸送剤との間の錯体形成傾
向が抑制され、感度を向上させることができる。
【0047】本発明に使用される電荷発生剤としては、
例えば、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコ
ン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アン
サンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系
顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系
顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が例示さ
れ、所望の領域に吸収波長域を有するよう、一種または
二種以上混合して用いられる。イオン化ポテンシャルが
5.3〜5.6eVの範囲にあるものが好適であり、特
に好適なものとして、X型無金属フタロシアニンとオキ
ソチタニルフタロシアニンが例示される。
【0048】本発明においては、ジフェノキノン誘導体
と組み合わせる正孔輸送剤として、イオン化ポテンシャ
ルが5.3〜5.6eVのものを使用することに関連し
て、電荷発生剤としても、正孔輸送剤とのバランスがと
れたイオン化ポテンシャルを有するもの、具体的には、
イオン化ポテンシャルが5.3〜5.6eV、特に好ま
しくは、5.32〜5.38eVのものを使用するのが
残留電位の抑制および感度向上の点から望ましい。
【0049】また、上記の各剤を分散させるための結着
樹脂としては、有機感光層に使用されている従来公知の
種々の樹脂が使用でき、例えば、スチレン系重合体、ア
クリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノ
マ−等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド
樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリ
ルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ
ビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール
樹脂や、エポキシアクリレート等の光硬化型樹脂等、各
種の重合体が例示できる。
【0050】これらの結着樹脂は一種または二種以上混
合して用いられる。好適な結着樹脂は、スチレン系重合
体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合
体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート等である。
【0051】有機感光層(電荷発生層、電荷輸送層、下
引層等)を形成する樹脂組成物には、電子写真学的特性
に悪影響を及ぼさない範囲で、それ自体公知の種々の配
合剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエ
ンチャー、UV吸収剤、軟化剤、表面改質剤、消剤、増
量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、
ドナー等を配合させることができる。
【0052】特に、全固形分当たり0.1〜20重量%
の立体障害性フェノール系酸化防止剤を配合すると、電
子写真学的特性に悪影響を与えることなく、感光層の耐
久性を顕著に向上させることができる。適当な酸化防止
剤は次の通りである。
【0053】2,6−ジt−ブチル−p−クレゾール、
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、 オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,
4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−第3−ブ
チル−フェノール)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビ
ス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ン)、2−第3−ブチル−6−(3’−第3ブチル−
5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチ
ルフェニルアクリレート、3,9−ビス[1,1−ジメ
チル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ3エチル]−
2,4,8,10−テトラキサスピコ[5,5]ウンデ
カン。
【0054】本発明の積層型有機感光体に使用される導
電性基体としては、導電性を有する種々の材料が使用で
き、例えば、アルミニウム(通常のアルミニウム素管、
特に膜厚が1〜50μmとなるようにアルマイト処理を
施した素管)、銅、錫、白金、金、銀、バナジウム、モ
リブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、イ
ンジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金
属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨ
ウ化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム等で被覆さ
れたガラス等が例示される。
【0055】(第1発明)第1発明の有機感光体は、図
1に示すように、導電性基体1と、該導電性基体1上に
積層された電荷発生層3と、該電荷発生層3上に積層さ
れた第1の電荷輸送層4と、該第1の電荷輸送層4上に
積層された第2の電荷輸送層5とを有している。
【0056】該第1の電荷輸送層は上記結着樹脂および
上記ジフェノキノン誘導体Bを含有する樹脂組成物にて
形成され、該第2の電荷輸送層は、上記結着樹脂および
上記ジフェノキノン誘導体Aを含有する樹脂組成物にて
形成されている。
【0057】前記電荷発生層に含有される電荷発生剤
は、結着樹脂に対して50〜150重量%、特に80〜
120重量%の範囲で配合されるのがよい。
【0058】また、電荷発生層には正孔輸送剤が含有さ
れてもよく、また、電荷発生層の厚みは0.1〜5μm
、特に0.5〜3μm の範囲にあるのがよい。
【0059】第1電荷輸送層に含有されるジフェノキノ
ン誘導体Bは、結着樹脂に対して5〜50重量%、特に
10〜40重量%の範囲で配合されるのがよく、またそ
の厚みは0.05〜4μm 、特に0.1〜2μm の範囲
にあるのがよい。
【0060】第2電荷輸送層に含有されるジフェノキノ
ン誘導体Aは、結着樹脂に対して20〜80重量%、特
に40〜70重量%の範囲で配合されるのがよく、また
その厚みは10〜30μm 、特に18〜25μm の範囲
にあるのがよい。
【0061】これらジフェノキノン誘導体の結着樹脂に
対する配合割合が上記範囲を下回る場合には、後述する
ように、得られた感光層の残留電位を低下させる効果が
小さく、感度を高める効果が小さい。上記範囲を超えて
もそれ以上の添加効果が期待できない。
【0062】このような積層構成の有機感光体を製造す
るには、電荷発生剤、結着樹脂等を含む樹脂組成物を溶
剤中に溶解乃至分散させて得られた電荷発生層用塗布液
を導電性基体上に塗布・乾燥して電荷発生層を形成し、
次いでこの層上に、ジフェノキノン誘導体Bおよび結着
樹脂等を含む樹脂組成物を溶剤中に溶解乃至分散させて
得られた第1電荷輸送層用塗布液を塗布・乾燥して第1
電荷輸送層を形成する。その上に、ジフェノキノン誘導
体Aおよび結着樹脂等を含む樹脂組成物を溶剤中に溶解
乃至分散させて得られた第2電荷輸送層用塗布液を塗布
・乾燥して第2電荷輸送層を形成する。
【0063】上記各塗布液を調製するには、上記樹脂組
成物および溶剤を、従来公知の方法、例えば、ロールミ
ル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェイカーある
いは超音波分散器等を用いて調製することができる。ま
た、塗布液を導電性基体または各層上に塗布するには、
従来公知の塗布手段が採用できる。
【0064】該塗布液を形成するのに使用する溶剤とし
ては、種々の有機溶剤が使用でき、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪
族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩
化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレン
グリコール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢
酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等、種々の溶剤が例示され、一種また
は二種以上混合して用いられる。
【0065】なお、第2電荷輸送層の上に保護層を設け
てもよい。
【0066】(第2発明)第2発明の有機感光体は、図
2に示すように、導電性基体1と、該導電性基体1上に
積層された電荷発生層6と、該電荷発生層6上に積層さ
れた電荷輸送層7とを有している。
【0067】該電荷発生層は、上記電荷発生剤、上記ジ
フェノキノン誘導体Bおよび結着樹脂等を含有する樹脂
組成物にて形成されている。該電荷輸送層は上記結着樹
脂、ジフェノキノン誘導体A等を含有する樹脂組成物に
て形成されている。
【0068】電荷発生層に含有される電荷発生剤は、結
着樹脂に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重
量%の範囲で配合されるのがよい。
【0069】また、電荷発生層に含有されるジフェノキ
ノン誘導体Bは、結着樹脂に対して5〜50重量%、特
に10〜40重量%の範囲で配合されるのがよい。
【0070】電荷発生層の厚みは0.1〜5μm 、特に
0.5〜3μm の範囲にあるのがよい。
【0071】電荷輸送層に含有されるジフェノキノン誘
導体Aは、結着樹脂に対して20〜80重量%、特に3
0〜70重量%の範囲で配合されるのがよく、またその
厚みは10〜30μm 、特に18〜25μm の範囲にあ
るのがよい。
【0072】このような積層構成の有機感光体を製造す
るには、電荷発生剤、ジフェノキノン誘導体Bおよび結
着樹脂等を含む樹脂組成物を溶剤中に溶解乃至分散させ
て得られた電荷発生層用塗布液を基体上に塗布・乾燥し
て電荷発生層を形成し、次いでこの層上に、ジフェノキ
ノン誘導体Aおよび結着樹脂等を含む樹脂組成物を溶剤
中に溶解乃至分散させて得られた電荷輸送層用塗布液を
塗布・乾燥して電荷輸送層を形成する。
【0073】塗布液を調製するには、上記第1発明と同
じように行うことができる。また、電荷輸送層の上に保
護層を設けてもよい。
【0074】(第3発明)第3発明の有機感光体は、図
3に示すように、導電性基体1と、該導電性基体1上に
積層された下引層8と、該下引層8上に積層された電荷
発生層9と、該電荷発生層9上に積層された電荷輸送層
10とを有している。有機感光層2は、下引層8、電荷
発生層9および電荷輸送層10から形成されている。
【0075】該下引層は、上記結着樹脂、上記ジフェノ
キノン誘導体A等を含む樹脂組成物にて形成され、該電
荷発生層は上記結着樹脂、電荷発生剤およびジフェノキ
ノン誘導体B等を含む樹脂組成物にて形成されている。
【0076】また、電荷輸送層は結着樹脂、上記正孔輸
送剤等を含む樹脂組成物にて形成されている。
【0077】この第3発明においては、負帯電型の感光
体となっている。
【0078】このような構成の有機感光体において、下
引層に含有されるジフェノキノン誘導体Aは、結着樹脂
に対して30〜80重量%、特に40〜60重量%の範
囲で配合されるのがよく、またその厚みは0.5〜5μ
m 、特に1〜4μm の範囲にあるのがよい。
【0079】電荷発生層に含有される電荷発生剤は、結
着樹脂に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重
量%の範囲で配合されるのがよい。
【0080】また、電荷発生層に含有されるジフェノキ
ノン誘導体Bは、結着樹脂に対して5〜50重量%、特
に10〜40重量%の範囲で配合されるのがよい。電荷
発生層の厚みは0.1〜5μm 、特に0.5〜3μm の
範囲にあるのがよい。
【0081】上記電荷輸送層に含有される正孔輸送剤
(HT)は、結着樹脂に対して50〜150重量%、特
に60〜120重量%の範囲がよい。その厚みは、特に
制限されないが、一般に5〜100μm、特に10〜5
0μmの範囲にあることが望ましい。
【0082】このような積層構成の有機感光体を製造す
るには、ジフェノキノン誘導体Aおよび結着樹脂等を含
む樹脂組成物を溶剤中に溶解乃至分散させて得られた下
引層用塗布液を基体上に塗布・乾燥して下引層を形成
し、次いで、この下引層上に、ジフェノキノン誘導体A
および結着樹脂等を含む樹脂組成物を溶剤中に溶解乃至
分散させて得られた電荷発生層用塗布液を塗布・乾燥し
て電荷発生剤層を形成する。その上に、正孔輸送剤およ
び結着樹脂等を含む樹脂組成物を溶剤中に溶解乃至分散
させて得られた電荷輸送層用塗布液を塗布・乾燥して電
荷輸送層を形成する。
【0083】塗布液を調製するには、上記第1発明と同
じように行うことができる。また、電荷輸送層の上に保
護層を設けてもよい。
【0084】第1乃至第3発明によれば、正孔輸送剤の
内でも、イオン化ポテンシャル(その測定は大気化光電
子分析装置(理研計器株式会社製、AC−1)による)
が5.3〜5.6eV、特に5.32〜5.56eVの
範囲にあるものを選択するのがよく、ジフェノキノン誘
導体と組み合わせる正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル
と、感光層の残留電位(低い程見掛けの感度が増大す
る)との間には一定の関係があり、イオン化ポテンシャ
ルが一定の範囲で、残留電位が低レベルとなるものであ
る。
【0085】
【実施例】以下に、実施例に基づき、本発明をより詳細
に説明する。
【0086】実施例では以下の材料を用いた。
【0087】電荷発生剤: I:X型メタルフリーフタロシアニン(IP=5.38
eV) II:オキソチタニルフタロシアニン(IP=5.32e
V) 尚、IPはイオン化ポテンシャルの略である。
【0088】正孔輸送剤: N,N'−ビス−2,4−ジメチルフェニル−N,N'
−ジフェニルベンジジン(IP=5.43eV) 3,3'−ジメチル−N,N,N',N'−テトラキス−
4−メチルフェニル(1,1'−ビフェニル)−4,4'
−ジアミン(IP=5.56eV)電子輸送剤: a:3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.86V) b:3,5'−ジフェニル−3’,5−ジt−ブチル−4,
4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.74V) c:3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチル−
4,4'−ジフェノキノン(還元電位 −0.87V) d:3,3’,5,5'−テトラt−ブチル−4,4'−ジフ
ェノキノン(還元電位−0.94V) e:3,5'−ビス(α,α,γ,γ−テトラメチルブチ
ル)−3’,5−ジフェニル−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.76V) f:3,5'−ビス(α−ジメチルベンジル)−3’,5
−ジ(α−メチルプロピル)−4,4'−ジフェノキノン
(還元電位 −0.85V) (還元電位の測定)還元電位の測定は、以下の材料を用
い、3電極式のサイクリックボルターメトリーにて行っ
た。
【0089】電極:作用電極(グラッシーカーボン電
極)、対極(白金電極) 参照電極:銀硝酸銀電極(0.1 mol/リットル AgNO3-
アセトニトリル溶液) 測定溶液 電界質:過塩素酸t−ブチルアンモニウム
0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2Cl2 1リットル 以上を調合して測定溶液を調製した。
【0090】還元電位の算出:図7に示すように、牽引
電圧(V)と電流(μA)との関係を求めて図に示すE
1とE2を測定し、以下の計算式により還元電位を求め
た。
【0091】還元電位=(E1+E2)/2 (V) (電子写真感光体の評価)静電複写試験装置(川口電気
社製、EPA−8100)を用いて、各実施例及び各比
較例で得られた感光体に印加電圧を加えて正または負に
帯電させ、光源として白色ハロゲン光を用いて電子写真
特性を測定した。
【0092】なお、表中V1(V)は電圧を印加して、
感光体を帯電させた時の感光体の初期表面電位を示し、
表中のV2(V)は露光開始後1秒経過後の表面電位を
残留電位として測定したものである。E1/2(lux
・sec)は初期表面電位V1(V)が1/2になるの
に要した時間より算出した半減露光量を示す。
【0093】(実施例1〜8)電荷発生剤として、表1
に示す化合物を100重量部、結着樹脂としてのポリビ
ニルブチラール樹脂を100重量部および溶剤として所
定量のテトラヒドロフランを、ボールミルで混合分散し
て電荷発生層用塗布液を調製した。この調製液をアルミ
ニウム箔上にワイヤーバーにて塗布した後、100℃で
60分間熱風乾燥することにより膜厚15〜20μmの
電荷発生層を形成した。
【0094】正孔輸送剤として表1に示すジフェノキノ
ン誘導体を表1に示す重量部数と、結着樹脂としてのポ
リカーボネート100重量部および溶剤として所定量の
トルエンをボールミルで混合分散して第1電荷輸送層用
塗布液を調製した。この調製液を、上記電荷発生層上に
ワイヤーバーにて塗布した後、100℃で60分間熱風
乾燥することにより膜厚0.5〜1μmの第1電荷輸送
層を形成した。
【0095】電子輸送剤として表1に示すジフェノキノ
ン誘導体を表1に示す重量部数と、結着樹脂としてのポ
リカーボネート100重量部および溶剤として所定量の
トルエンをボールミルで混合分散して第2電荷輸送層用
塗布液を調製した。この調製液を、上記第1電荷輸送層
上にワイヤーバーにて塗布した後、100℃で60分間
熱風乾燥することにより膜厚15〜20μmの第2電荷
輸送層を形成して積層型電子写真用感光体を得た。
【0096】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって正に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表1に示す。
【0097】(比較例1〜3)第1電荷輸送層を形成し
ない以外は実施例1と同様にして積層型電子写真用感光
体を得た。
【0098】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって正に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】表1の結果より、第1電荷輸送層および第
2電荷輸送層にそれぞれ異なる電子輸送剤を添加するこ
とにより、残留電位が低下することが確認された。これ
らの現象は、電子輸送剤の種類が変わった場合でも同じ
傾向を示した。
【0101】(実施例9〜16)電荷発生剤として、表
2に示す化合物を100重量部、電子輸送剤として表2
に示す化合物を表2に示す重量部数、結着樹脂としてポ
リビニルブチラール樹脂100重量部および溶剤として
所定量のテトラヒドロフランを、ボールミルで混合分散
して電荷発生層用塗布液を調製した。この調製液をアル
ミニウム箔上にワイヤーバーにて塗布した後、100℃
で60分間熱風乾燥することにより膜厚1〜2μmの電
荷発生層を形成した。
【0102】電子輸送剤として表2に示すジフェノキノ
ン誘導体を表2に示す重量部数と、結着樹脂としてのポ
リカーボネート100重量部および溶剤として所定量の
トルエンをボールミルで混合分散して電荷輸送層用塗布
液を調製した。この調製液を、上記電荷発生層上にワイ
ヤーバーにて塗布した後、100℃で60分間熱風乾燥
することにより膜厚15〜20μmの電荷輸送層を形成
して積層型電子写真用感光体を得た。
【0103】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって正に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表2に示す。
【0104】(比較例4〜6)電子輸送剤を加えないで
電荷発生層を形成したこと以外は実施例8と同様にして
積層型電子写真用感光体を得た。
【0105】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって正に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】表2の結果より、電荷発生層および電荷輸
送層にそれぞれ異なる電子輸送剤を添加することによ
り、残留電位が低下することが確認された。これらの現
象は、電子輸送剤の種類が変わった場合でも同じ傾向を
示した。
【0108】(実施例17〜26)電子輸送剤として、
表3に示すジフェノキノン誘導体を表3に示す重量部数
と、結着樹脂としてのCM8000(東洋レーヨン社
製、ナイロン樹脂)100重量部および溶剤として所定
量のメタノールを、ボールミルで混合分散して下引層用
塗布液を調製した。この調製液をアルミニウム箔上にワ
イヤーバーにて塗布した後、100℃で60分間熱風乾
燥することにより膜厚2〜3μmの下引層を形成した。
【0109】電荷発生剤として、表3に示す化合物を1
00重量部、電子輸送剤として表3に示す化合物を表3
に示す重量部数、結着樹脂としてのポリビニルブチラー
ル樹脂100重量部および溶剤として所定量のテトラヒ
ドロフランを、ボールミルで混合分散して電荷発生層用
塗布液を調製した。この調製液を上記下引層上にワイヤ
ーバーにて塗布した後、100℃で60分間熱風乾燥す
ることにより膜厚1〜2μmの電荷発生層を形成した。
【0110】正孔輸送剤として表3に示す化合物を60
重量部と、結着樹脂としてのポリカーボネート100重
量部および溶剤として所定量のトルエンをボールミルで
混合分散して電荷輸送層用塗布液を調製した。この調製
液を、上記電荷発生層上にワイヤーバーにて塗布した
後、100℃で60分間熱風乾燥することにより膜厚1
5〜20μmの電荷輸送層を形成して積層型電子写真用
感光体を得た。
【0111】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって負に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表3に示す。
【0112】(比較例7〜9)電子輸送剤を加えないで
電荷発生層を形成したこと以外は実施例8と同様にして
積層型電子写真用感光体を得た。
【0113】得られた感光体について、上記評価方法に
したがって負に帯電させその電子写真特性を測定した。
結果を表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】表3の結果より、下引層および電荷発生層
にそれぞれ異なる電子輸送剤を添加することにより、残
留電位が低下することが確認された。これらの現象は、
電子輸送剤の種類が変わった場合でも同じ傾向を示し
た。また、感光体の負帯電においても残留電位の低下が
見られた。
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、積層型の有機感光体に
おいて、その有機感光層に使用する電子輸送剤として、
特定の二種類のジフェノキノン誘導体を使用したので、
得られた有機感光体の残留電位が著しく低下し、帯電に
対して優れた感度を示す有機感光体が得られる。従っ
て、複写機またはプリンター等におけるハードスピード
の向上を図ることができる。
【0117】さらに、正孔輸送剤の内でも、イオン化ポ
テンシャルが5.3〜5.6eV、特に5.32〜5.
56eVの範囲にあるものを選択し、これを上記ジフェ
ノキノン誘導体と組み合わせて使用すると、残留電位が
少なく、感度の向上した積層型有機感光体が得られ、こ
の感光体は正帯電域或いは負帯電の用途に有利に使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真用積層型有機感光体の一例
の断面構造及び動作を示す説明図である。
【図2】 本発明の電子写真用積層型有機感光体の他の
例の断面構造及び動作を示す説明図である。
【図3】 本発明の電子写真用積層型有機感光体のさら
に他の例の断面構造及び動作を示す説明図である。
【図4】 牽引電圧(V)と電流(μA)との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】 1 導電性基体 2 有機感光体層 3 電荷発生層 4 第1電荷輸送層 5 第2電荷輸送層 6 電荷発生層 7 電荷輸送層 8 下引層 9 電荷発生層 10 電荷輸送層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体と、該導電性基体上に積層さ
    れた電荷発生剤を含有する電荷発生層と、該電荷発生層
    上に積層された第1の電荷輸送層と、該第1の電荷輸送
    層上に積層された第2の電荷輸送層とを有する電子写真
    用積層型有機感光体であって、 該第1の電荷輸送層中に含有されるジフェノキノン誘導
    体Bが、該第2の電荷輸送層中に含有されるジフェノキ
    ノン誘導体Aに比べて還元電位の絶対値が大きいもので
    ある電子写真用積層型有機感光体。
  2. 【請求項2】 導電性基体と、該導電性基体上に積層さ
    れた電荷発生剤を含有する電荷発生層と、該電荷発生層
    上に積層された電荷輸送層とを有する電子写真用積層型
    有機感光体であって、 該電荷発生層中に含有されるジフェノキノン誘導体B
    が、該電荷輸送層中に含有されるジフェノキノン誘導体
    Aに比べて還元電位の絶対値が大きいものである電子写
    真用積層型有機感光体。
  3. 【請求項3】 導電性基体と、該導電性基体上に積層さ
    れた下引層と、該下引層上に積層された電荷発生剤を含
    有する電荷発生層と、該電荷発生層上に積層された電荷
    輸送層とを有する電子写真用積層型有機感光体であっ
    て、 該電荷発生層中に含有されるジフェノキノン誘導体B
    が、該下引層中に含有されるジフェノキノン誘導体Aに
    比べて還元電位の絶対値が大きいものであり、該電荷輸
    送層中に正孔輸送剤が含有されている電子写真用積層型
    有機感光体。
  4. 【請求項4】 前記ジフェノキノン誘導体Aが、層を構
    成する結着樹脂に対して20〜80重量%の割合で配合
    される請求項1〜3項のいずれかの項に記載の有機感光
    体。
  5. 【請求項5】 前記ジフェノキノン誘導体Aが以下の一
    般式(1)、(2)または(3)で表され、前記ジフェ
    ノキノン誘導体Bが以下の一般式(4)で表される請求
    項1〜3のいずれかの項に記載の有機感光体。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 式中、R1〜R6の各々は水素原子、アルキル基、アルコ
    キシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル
    基、アミノ基または置換アミノ基を表し、かつR1とR2
    の置換基は互いに異なり、R3〜R6の置換基は互いに異
    なってもよく、もしくはそれらの置換基のうち二つ、三
    つまたは四つの置換基が同一であってもよい。
  6. 【請求項6】 前記ジフェノキノン誘導体Aが、3,5
    −ジメチル−3’,5’−ジt−ブチル−4,4’−ジ
    フェノキノンである請求項1〜3のいずれかの項に記載
    の有機感光体。
  7. 【請求項7】 前記ジフェノキノン誘導体Bが、3,
    3’,5,5’−テトラt−ブチル−4,4’−ジフェ
    ノキノンである請求項1〜3のいずれかの項に記載の有
    機感光体。
  8. 【請求項8】 前記電荷発生剤のイオン化ポテンシャル
    が5.3〜5.6eVであり、かつ前記正孔輸送剤のイ
    オン化ポテンシャルが5.3〜5.6eVである請求項
    1〜3のいずれかの項に記載の有機感光体。
  9. 【請求項9】 前記正孔輸送剤が、アルキル置換トリフ
    ェニルジアミンである請求項3に記載の有機感光体。
  10. 【請求項10】 前記電荷発生剤が、X型無金属フタロ
    シアニンである請求項1〜3のいずれかの項に記載の有
    機感光体。
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