JPH05322148A - 炉内圧力制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炉内圧力を常に安定した状態で負圧に保持す
る 【構成】 炉内により近い位置に設置され、かつ途中に
少数の機器しか存在しないために能力調節の効果が直接
的に影響する押込送風機１に対して一次空気圧力偏差信
号と炉内圧力偏差信号とを重み付けを行なって重畳した
信号を用いて制御し、比較的短時間の燃焼量の変動を吸
収させる一方、誘引送風機２に対して平均化された炉内
圧力偏差信号を用いて制御し、長時間にわたる燃焼量の
変動を吸収させる

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ごみ焼却炉や産業廃棄
物焼却炉等の炉内圧力を所定の値に制御する炉内圧力制
御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、押込送風機と誘引送風機を備える
ごみ焼却炉や産業廃棄物焼却炉等の廃棄物焼却炉では、
押込送風機により炉の入口圧力を、誘引送風機により炉
内圧力をそれぞれ所定の値となるように調節していた。

【０００３】図５はその廃棄物焼却炉の炉内圧力を制御
する制御装置の構成を示すものである。同図で１は押込
送風機（ＦＤＦ）、２は誘引送風機（ＩＤＦ）、３は焼
却炉、４は焼却炉３の炉床下部、５，６はＰＩＤ演算器
である。焼却炉３には固定床あるいは流動床によりごみ
等の固形物が燃料として供給されるが、その時の焼却能
力は一般に床下の空気圧力が一定となるように、炉床下
部４の圧力からＰＩＤ演算器５が目標値との偏差を演算
し、押込送風機１のモータ回転数あるいは入り口ダンパ
開度により調節される。一方、燃焼後の高温ガスが外部
に漏れるのを防止するため、焼却炉３内の圧力は−５ｍ
ｍＡｑ程度の負圧に保持する必要があり、目標値との偏
差をＰＩＤ演算器６で算出して誘引送風機２を操作制御
することによりこれを実現している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかして、近年はエネ
ルギの有効利用、公害規則の強化等の動きに対応し、排
ガス処理装置、排熱ボイラ等の機器が増加し、排ガス通
路の総延長が増大しているため、その末端に位置する誘
引送風機２にとってはプロセス無駄時間の増大により炉
内圧力を調節することが困難な状況となっている。ま
た、焼却炉３内に高発熱量の廃棄物が混入されるように
なり、爆発的な燃焼が生起して炉内圧力が大きく変動す
る外乱原因となるため、ますます安定化が困難となって
いるという問題がある。こうして炉内圧力が不安定とな
り、正圧となった際には、排ガスが外部に漏出してしま
うこととなる。

【０００５】本発明は上記のような実情に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、炉内圧力を常に安
定した状態で負圧に保持することが可能な炉内圧力制御
装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び作用】炉内圧力は、押
込送風機による燃焼空気量、誘引送風機による排ガス吸
引量及び焼却炉内の燃焼ガス量のバランスで決定される
ものである。しかしながら、焼却炉内の燃焼ガス量は外
乱として操作不可能であるため、制御のためには誘引送
風機による排ガス吸引量及び押込送風機による燃焼空気
量のいずれか少なくとも一方を操作制御しなければなら
ない。ここで、誘引送風機による排ガス吸引量を操作し
ないとすると、押込送風機による燃焼空気量のみで炉内
圧力の操作制御を行なう必要があり、燃焼量が増大した
際に燃焼ガスの増加に対応して燃焼空気量を減少させな
ければならず、全体としては本来増大すべき特性と逆の
特性となってしまうため、誘引送風機による排ガス吸引
量の操作制御は不可欠となる。

【０００７】そこで本発明は、炉内により近い位置に設
置され、かつ途中に少数の機器しか存在しないために能
力調節の効果が直接的に影響する押込送風機に対して一
次空気圧力偏差信号と炉内圧力偏差信号とを重畳した信
号を用いて制御し、比較的短時間の燃焼量の変動を吸収
させる一方、誘引送風機に対して平均化された炉内圧力
偏差信号を用いて制御し、長時間にわたる燃焼量の変動
を吸収させるようにしたもので、炉内圧力を常に安定し
た状態で負圧に保持することができる。

【０００８】またさらに本発明は、構成に加えて上記焼
却炉内の燃焼ガス量以外の外乱原因となり得る燃焼床の
目詰まり防止ブローやボイラチューブの飛灰除去ブロー
に対応し、スケジューリングされたこれらブロー時に、
上記炉内圧力偏差信号を得るための炉内圧力目標値及び
上記一次空気圧力偏差信号を得るための一次空気圧力目
標値をそれぞれ変更するようにしたもので、燃焼床の目
詰まり防止ブローやボイラチューブの飛灰除去ブローに
よる外乱に対しても予めスケジューリングしておくこと
でこれに対処し、外乱に際しても炉内圧力を常に安定し
た状態で保持することができる。

【０００９】

【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。

【００１０】図１は一実施例の概略構成を示すもので、
上記図５に示したものと基本的な構成は同様であるの
で、同一部分には同一符号を付してその説明は省略す
る。

【００１１】同図で、炉床下部４の一時空気圧力が検出
され、その検出信号が演算器１０に送られる。演算器１
０では、送られてきた検出信号と一時空気圧力目標値と
を比較演算し、その偏差信号を係数付加器７に送る。係
数付加器７は、演算器１０からの偏差信号に対して重み
係数Ｋ（０＜Ｋ＜１）を乗じ、得られた積を加算器９に
出力する。

【００１２】一方、焼却炉３上部の内部圧力が検出さ
れ、その検出信号が演算器１１に送られる。演算器１１
では、送られてきた検出信号と炉内圧力目標値とを比較
演算し、その偏差信号を係数付加器８及び平均演算器１
２に送る。係数付加器８は、演算器１１からの偏差信号
に対して重み係数（１−Ｋ）を乗じ、得られた積を上記
加算器９に出力する。

【００１３】上記加算器９は、上記係数付加器７と係数
付加器８からの信号を加算演算し、その和をＰＩＤ演算
器５に供給する。ＰＩＤ演算器５では、加算器９からの
信号に応じて制御演算を行ない、その演算結果に従って
押込送風機１のモータ回転数あるいは入り口ダンパ開度
を調節する。

【００１４】上記平均演算器１２は、炉内圧力の偏差信
号の平均値を適宜時間幅で演算し、算出した平均化した
炉内圧力の偏差信号をＰＩＤ演算器６に供給する。ＰＩ
Ｄ演算器６では、平均演算器１２を介して平均化された
炉内圧力の偏差信号に基づいて制御演算を行ない、その
演算結果に従って誘引送風機２を調整し、焼却炉３内を
例えば−５ｍｍＡｑ程度の負圧に保持する。

【００１５】上記のような構成にあって、係数付加器
７，８に設定する係数Ｋを１に近付ければ近付ける程、
炉床下部４における炉内圧力の偏差が焼却炉３上部の炉
内圧力の偏差に対して優先され、応答性が高く、焼却炉
３内の圧力変動に随時追従して短時間のうちに該変動を
吸収する結果となる。

【００１６】一方、誘引送風機２においては、平均演算
器１２を介して平均化された炉内圧力の偏差信号に基づ
くＰＩＤ演算器６により演算制御されるので、長時間に
わたる燃焼量の変動を吸収する結果となる。

【００１７】図２（１）は上記図５に示した従来の炉内
圧力制御装置における一次空気圧力と炉内圧力の関係を
例示するものであり、押込送風機１の能力調節が炉内圧
力とは独立して制御されていることを示す。

【００１８】これに対して図２（２）は上記図１に示し
た構成の炉内圧力制御装置における一次空気圧力と炉内
圧力の関係を例示するものであり、押込送風機１の能力
調節が炉内圧力を加味して両者の安定性を重み係数Ｋの
調節により選択できるように制御されていることを示
す。ここでは重み係数Ｋ＝０．５として示しており、当
然ながら該重み係数Ｋを炉内圧力側に大きく設定すれば
一次空気圧力の安定性は悪化するが、一次空気圧力の変
動には許容幅があり、実用上は問題とならない。

【００１９】また、炉内圧力の上昇は燃焼が一時的に活
発になるためであり、この時に一次空気圧力を減少させ
ることにより、燃焼空気量をも減少させ、燃焼を一時的
に抑制させることも副次的に期待することが可能とな
る。

【００２０】次に本発明の他の実施例を説明する。

【００２１】図３は他の実施例の概略構成を示すもの
で、上記図１に示した一実施例と基本的な構成は同様で
あるので、同一部分には同一符号を付してその説明は省
略する。

【００２２】同図で、１３，１４はともに目標値変更部
であり、目標値変更部１３は予めスケジューリングされ
た燃焼床の目詰まり防止ブロー時及びボイラチューブの
飛灰除去ブロー時の一次空気圧力目標変更値信号を、目
標値変更部１４は同じく燃焼床の目詰まり防止ブロー時
及びボイラチューブの飛灰除去ブロー時の炉内圧力目標
変更値信号をそれぞれ出力する。

【００２３】目標値変更部１３の出力した一次空気圧力
目標変更値信号は、スイッチ１５を介して演算器１０に
送られ、ここで炉床下部４からの検出信号と比較演算さ
れて偏差信号が算出される。算出された偏差信号は係数
付加器７で重み付けされた後に加算器９に出力される。

【００２４】一方、目標値変更部１４の出力した炉内圧
力目標変更値信号は、スイッチ１６を介して演算器１１
に送られ、ここで焼却炉３からの検出信号と比較演算さ
れて偏差信号が算出される。算出された偏差信号は係数
付加器８及び平均演算器１２に出力される。

【００２５】しかして、上記スイッチ１５，１６は共に
燃焼床の目詰まり防止ブロー信号及びボイラチューブの
飛灰除去ブロー信号によって連動して開閉制御されるも
のであり、上記信号の入力時にのみオン状態となるもの
である。

【００２６】上記のような構成にあって、通常の運転時
には、上記スイッチ１５，１６は共にオフ状態となって
おり、その動作は図１で説明した場合と同様となる。

【００２７】そして、予めスケジューリングされた目詰
まり防止ブロー時あるいはボイラチューブの飛灰除去ブ
ロー時には、その信号がスイッチ１５，１６をオン状態
とする。そのため、目標値変更部１３，１４の出力した
一次空気圧力目標変更値信号、炉内圧力目標変更値信号
がスイッチ１５，１６を介して演算器１０，１１に送ら
れることとなる。目詰まり防止ブロー時あるいはボイラ
チューブの飛灰除去ブロー時においては炉内圧力が急激
に上昇してしまうため、目標値変更部１３，１４の出力
する一次空気圧力目標変更値信号、炉内圧力目標変更値
信号は共に通常運転時の値よりも低めにセットしておく
ことにより、外乱による炉内圧力の上昇と目標値の変更
に伴なう制御による炉内圧力の下降とが互いに相殺し、
焼却炉３内の圧力を安定した状態に保持することが可能
となる。

【００２８】図４（１）は上記図５に示した従来の炉内
圧力制御装置における一次空気圧力と炉内圧力の関係を
例示するものであり、予めスケジューリングされた燃焼
床の目詰まり防止ブロー時には炉内の空気圧力と一次空
気圧力、とりわけ炉内の空気圧力が急激に上昇し、炉内
が一時的に正圧となって排ガスが焼却炉３より漏出して
しまっていることを示す。

【００２９】これに対して図４（２）は上記図３に示し
た構成の炉内圧力制御装置における一次空気圧力と炉内
圧力の関係を例示するものであり、予めスケジューリン
グされた燃焼床の目詰まり防止ブロー時であっても、炉
内の空気圧力及び一次空気圧力の双方共に問題となるよ
うな変動を抑制し、炉内が正圧となって排ガスが焼却炉
３より漏出してしまうことのない、安定した運転が可能
であることを示している。

【００３０】

【発明の効果】以上詳記した如く本発明は、炉内により
近い位置に設置され、かつ途中に少数の機器しか存在し
ないために能力調節の効果が直接的に影響する押込送風
機に対して一次空気圧力偏差信号と炉内圧力偏差信号と
を重畳した信号を用いて制御し、比較的短時間の燃焼量
の変動を吸収させる一方、誘引送風機に対して平均化さ
れた炉内圧力偏差信号を用いて制御し、長時間にわたる
燃焼量の変動を吸収させるようにしたもので、炉内圧力
を常に安定した状態で負圧に保持する可能な炉内圧力制
御装置を提供することができる。

【００３１】またさらに本発明は、上記に加えて上記焼
却炉内の燃焼ガス量以外の外乱原因となり得る燃焼床の
目詰まり防止ブローやボイラチューブの飛灰除去ブロー
に対応し、スケジューリングされたこれらブロー時に、
上記炉内圧力偏差信号を得るための炉内圧力目標値及び
上記一次空気圧力偏差信号を得るための一次空気圧力目
標値をそれぞれ変更するようにしたので、燃焼床の目詰
まり防止ブローやボイラチューブの飛灰除去ブローによ
る外乱に対しても予めスケジューリングしておくことで
これに対処し、外乱に際しても炉内圧力を常に安定した
状態で保持することが可能な炉内圧力制御装置を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る概略構成を示す図。

【図２】図１における一次空気圧力と炉内圧力の特性を
従来の特性と比較して示す図。

【図３】本発明の他の実施例に係る概略構成を示す図。

【図４】図３における一次空気圧力と炉内圧力の特性を
従来の特性と比較して示す図。

【図５】従来の炉内圧力制御装置の概略構成を示す図。

【符号の説明】

１…押込送風機、２…誘引送風機、３…焼却炉、４…炉
床下部、５，６…ＰＩＤ演算器、７，８…係数付加器、
９…加算器、１０，１１…演算器、１２…平均演算器、
１３，１４…目標値変更部、１５，１６…スイッチ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 英浩 神奈川県横浜市中区錦町12番地 菱日エン ジニアリング株式会社本牧事業所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 押込送風機と誘引送風機を備える廃棄物
   焼却炉の炉内圧力を所定の値に制御する炉内圧力制御装
   置において、 炉内圧力値と炉内圧力目標値との偏差値を求める第１の
   演算手段と、 この第１の演算手段で得られた偏差信号により上記炉内
   圧力の偏差値の平均値を算出する第２の演算手段と、 この第２の演算手段で得られた炉内圧力の偏差平均値に
   重み係数を付加する第１の係数付加手段と、 一次空気圧力値と一次空気圧力目標値との偏差値を求め
   る第３の演算手段と、 この第３の演算手段で得られた一次空気圧力の偏差値に
   重み係数を付加する第２の係数付加手段と、 上記第１の係数付加手段の出力する重み係数が付加され
   た炉内圧力の偏差平均値と上記第２の係数付加手段の出
   力する重み係数が付加された一次空気圧力の偏差値とを
   加算する加算手段と、 この加算手段の出力に応じて上記押込送風機及び誘引送
   風機の少なくとも一方を制御する制御手段とを具備した
   ことを特徴とする炉内圧力制御装置。
2. 【請求項２】 上記第１の演算手段はスケジュールに対
   応した炉内圧力目標値の変更手段を有し、 上記第３の演算手段はスケジュールに対応した一次空気
   圧力目標値の変更手段を有することを特徴とした請求項
   １記載の炉内圧力制御装置。