JPH05320627A - 保冷材とその製造法 - Google Patents

保冷材とその製造法

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JPH05320627A
JPH05320627A JP3089531A JP8953191A JPH05320627A JP H05320627 A JPH05320627 A JP H05320627A JP 3089531 A JP3089531 A JP 3089531A JP 8953191 A JP8953191 A JP 8953191A JP H05320627 A JPH05320627 A JP H05320627A
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和也 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 吸水性樹脂、アクリルアミド系共重合体、水
およびグリセリン等の親水性アルコール類を含有するゲ
ル状物からなる保冷材。 【効果】 この保冷材は、−30〜−5℃で凍結させて
用いるものであるが、凍結後も柔軟性を失うことがな
く、また繰り返し使用してもこの柔軟性を保持する。従
って、保冷対象物の形状に合わせ、密着させて使用で
き、繰り返し使用時も同様である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温柔軟性を有しかつ
保冷能力の大きい保冷材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来低温柔軟性を有する保冷材としては
テレブロック共重合体エラストマーと油成分からなる連
続相に含水した吸水性架橋高分子を分散させたもの(例
えば特開昭60−79061号公報);可塑剤を混合し
てゲル化させた塩化ビニル樹脂と含水ハイドロゲルまた
は水溶性ポリマーとを含有するもの(例えば特開昭63
−178156号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の保冷材は保冷時間が不十分であり、かつ繰り返し使用
回数が増すにつれて低温柔軟性が落ちるという問題点が
あった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは保冷時間が
更に長く、低温柔軟性が優れ、さらに繰り返し使用して
も低温柔軟性が落ちない保冷材を得るべく鋭意検討した
結果、本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、水不溶性吸水性ポリマ
ー、水溶性ポリマー、水および親水性アルコール類を含
有するゲル化物からなることを特徴とする保冷材;並び
に、水不溶性吸水性ポリマー、水溶性ポリマーおよび親
水性アルコール類を混合しゲル化させた物に、水および
必要により親水性アルコール類を加えて再びゲル化させ
ることを特徴とする上記保冷材の製法である。
【0006】本発明に使用する水不溶性吸水性ポリマー
としては、例えば寒天、ゼラチンなどの天然系の水不溶
性吸水性ポリマーや、合成系の吸水性樹脂があげられ
る。合成系の吸水性樹脂としては、例えばデンプンま
たはセルロース(a)とカルボキシル基および/または
スルホン酸基を含有する水溶性単量体および/または加
水分解により水溶性となる単量体(b)と、架橋剤
(c)とを必須成分として重合させ、必要により加水分
解を行うことにより得られる吸水性樹脂が挙げられる。
上記に例示した吸水性樹脂の製造に用いられる(a)、
(b)および(c)の詳細、(a)、(b)および
(c)の割合、製造法および吸水性樹脂の具体例は特開
昭52−25886号、特公昭53−46199号、特
公昭53−46200号および特公昭55−21041
号公報に記載されている。
【0007】上記に例示した以外の吸水性樹脂として
は、例えば(a)と(b)とを重合させたもの(デン
プン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、
セルロース−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分
解物など)、(a)の架橋物(カルボキシメチルセル
ロースの架橋物など)、(b)と(c)との共重合体
(架橋ポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋され
たアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたス
ルホン化ポリスチレン、ビニルエステル−不飽和カルボ
ン酸共重合体ケン化物、架橋されたポリアクリル酸塩、
架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、
架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、お
よび架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール)
並び自己架橋を有する(b)の重合物(自己架橋型ポ
リアクリル酸塩など)が挙げられる。また以上例示した
吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
【0008】これら吸水性樹脂のうち、好ましいものは
;並びにのうち、架橋ポリアクリルアミドの部分加
水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルエステル共
重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重
合体および架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコ
ールである。
【0009】上記吸水性樹脂は純水に対する吸水性能が
少なくとも50ml/g、特に100〜1000ml/
gのものが適している。
【0010】該ゲル状物中の水と水不溶性吸水性ポリマ
ーとの重量比は、通常100:0.1〜10、好ましく
は100:0.5〜8である。水不溶性吸水性ポリマー
が0.1未満では保冷熱量が低下し、10を越えると冷
凍時の柔軟性が低下する。
【0011】本発明において使用される水溶性ポリマー
としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチル
セルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソー
ダ、デンプン、プルランおよびアクリルアミド系共重合
体があげられる。アクリルアミド系共重合体は非イオン
性、アニオン性、カチオン性、何れを用いても良く、例
えば非イオン性としてはポリアクリルアミド、ポリメタ
クリルアミドなどがあげられる。アニオン性としては、
ポリアクリルアミドまたはポリメタクリルアミドの部分
加水分解物、アクリル酸またはメタクリル酸とアクリル
アミドまたはメタクリルアミドとの共重合体およびその
塩類、アクリル酸またはメタクリル酸とアクリルアミド
またはメタクリルアミドと2−アクリルアミド−2メチ
ルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸またはビニル
メチルスルホン酸との3元共重合体およびその塩類など
があげられる。カチオン性としては、アクリルアミドと
アクリロイルまたはメタクリロイルオキシエチルトリメ
チルアンモニウムクロライドの共重合物、アクリルアミ
ドとトリメチルアンモニウムクロライドの共重合物等が
あげられる。
【0012】これらの水溶性ポリマーうち、好ましいも
のは非イオン性およびアニオン性のアクリルアミド系共
重合体であり、特に好ましいものはアニオン性のアクリ
ルアミド系共重合体である。また以上例示した水溶性ポ
リマーは2種以上併用してもよい。
【0013】本発明に使用される水溶性ポリマーは、3
0℃、1規定硝酸ソーダ水溶液中で測定した固有粘度が
10(dl/g)以上であり、かつ0.1重量%水溶液
の曳糸性が50mm以上のものが好ましい。曳糸性が高
いものを用いることにより、保冷材の形状保持性が良好
となる。
【0014】該ゲル状物中の水と水溶性ポリマーとの重
量比は、通常100:0.1〜10、好ましくは10
0:0.5〜8である。水溶性ポリマーが0.1未満で
は常温時の形状保持性が低下し、10越えると冷凍時の
柔軟性が低下する。
【0015】本発明の保冷材中の水不溶性吸水性ポリマ
ーと水溶性ポリマーの重量比は、通常1:0.1〜10
であり、好ましくは1:0.2〜3である。水溶性ポリ
マーが0.1未満では繰り返し使用回数が低下し、10
を越えると該ゲル状物製造時、製造設備から曳糸性の高
いゲル状物を取り出すのに手間を要する。
【0016】本発明に使用される親水性アルコール類と
しては、ここで親水性とは水溶性および水分散性を意味
し、例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、エタノール、および親水性ポリエーテル
類[ポリエチレングリコール、ポリ(オキシエチレン・
オキシプロピレン)トリオール、ポリ(オキシエチレン
・オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシエチレ
ン・オキシプロピレン)グリコール・モノアルキルエー
テル等]があげられる。また以上例示した親水性アルコ
ール類は2種以上併用してもよい。これらのうち好まし
いものは親水性ポリエーテル類、ジエチレングリコー
ル、グリセリンおよびこれたの併用であり、特に好まし
いものはグリセリン並びにグリセリンと親水性ポリエー
テル類および/またはジエチレングリコールとの併用で
ある。
【0017】本発明の保冷材中の水と親水性アルコール
類の重量比は、通常100:1〜80、好ましくは10
0:10〜65である。親水性アルコール類が1未満で
は冷凍時の柔軟性が低下し、80を越えると保冷時間が
低下する。
【0018】本発明のゲル状物中の水溶性ポリマーと親
水性アルコール類との重量比は、通常1:10〜60、
好ましくは1:20〜40である。特に好ましくは1:
25〜35である。10未満では冷凍時の柔軟性が低下
し、60を越えると繰り返し使用回数が低下する。
【0019】本発明の保冷材には使用目的に照らして特
に支障のない範囲でフィラーあるいはガラス粉末を混入
しても良い。フィラーの例としては炭酸カルシウム、酸
化アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、粉末マイ
カ、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタ
ン、タルク、コルク等があげられる。ガラス粉末の例と
しては硼酸塩ガラス、硅酸塩ガラス、燐酸塩ガラス、酸
化物ガラス等があげられる。酸化物ガラスは板状ガラス
を溶融、冷却後、粉砕して用いる。ガラス粉末の粒度は
特に制限は無いが粒径が小さく同じ粒径のものが望まし
い。
【0020】本発明の保冷材には必要に応じ、顔料等の
着色剤、感熱染料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤
等の他の添加剤を混入しても良い。
【0021】本発明のゲル状保冷材は通常包装部材中に
ゲル状物が充填された形態である。包装部材の形状とし
ては、袋状、箱状、円筒状、ボール状、球状など任意の
形でよく、特に制限されない。大きさも使用目的に応じ
て保冷能力を発揮できる範囲で任意に設定することがで
きる。
【0022】包装部材の材質は耐水性のものであれば特
に制限されないが、例えばポリエチレン/ナイロン系ラ
ミネートフィルム、ポリエチレン/ナイロン/EVAラ
ミネートフィルムなどが、薄くてもフィルム強度、耐水
性、ヒートシール性、加工性などに優れたものを袋にし
て使用すれば便利である。
【0023】本発明の保冷材の製法を例示すると、水不
溶性吸水性ポリマーと水溶性ポリマーを万能混合機等で
粉末の状態で混合する。この粉体混合物に1種または2
種以上の親水性アルコール類を加え50〜60℃で充分
攪拌しゲル状にする。次いでこのゲル状の生成物中に
水、必要に応じ1種または2種以上のアルコール類およ
び必要によりフィラーやガラス粉末や他の添加剤を配合
した溶液を加えた後、万能混合機等で充分混合して再度
ゲルにし、耐水性のプラスチック包装用材料に充填し、
熱融着、接着剤等で封をすることにより本発明の保冷材
が得られる。再度ゲル化する際にも親水性アルコール類
を用いる場合は、1回目のゲル化の際に用いたものとは
別の親水性アルコール類を用いた方が作業上効率的であ
る。
【0024】本発明のゲル状保冷材は、通常−30〜−
5℃の条件で、好ましくは−20〜−15℃の条件で、
1〜24時間かけて冷凍させることにより、保冷材とし
て用いることができる。
【0025】
【実施例】
【0026】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中
の部は重量部である。 実施例1 吸水性樹脂[三洋化成工業(株)製サンウエットIM−
5000]4部とアクリルアミド系共重合体[三洋化成
工業社製サンフロックAH−210P]4部とを万能混
合機で充分に混合した。これにグリセリン64部を加え
50℃で1時間30分攪拌した。ついで25℃に冷却
し、水116部、ジエチレングリコール6部、ポリエチ
レングリコール(分子量300以下PEG−300と略
す)6部を加え万能混合機で十分に混合し白色のゲル状
の本発明の保冷材を得た。得られた保冷材の保冷時間、
保冷時柔軟性、20回くり返し使用後さらに冷凍した時
の柔軟性(可逆性)を試験した結果を表1に示す。
【0027】実施例2 実施例1において、ジエチレングリコールをポリ(オキ
チエチレン・オキシプロピレン)グリコール・モノブチ
ルエーテル(三洋化成工業社製ニューポール50HB−
660)とする以外は全く同様の方法で白色ゲル状の本
発明の保冷材を得た。このものの性能測定結果を表1に
示す。
【0028】実施例3 実施例1において、水、ジエチレングリコール、PEG
−300を加える際にさらにタルク粉末20部加える以
外は全く同様の方法で白色ゲル状の本発明の保冷材を得
た。このものの性能測定結果を表1に示す。
【0029】実施例4 実施例1においてサンフロックAH−210P4部に代
えてデンプン5部とする以外は全く同様の方法で白色ゲ
ル状の本発明の保冷材を得た。このものの性能測定結果
を表1に示す。
【0030】実施例5 実施例4において、水、ジエチレングリコール、PEG
−300を加える際にさらに硼酸塩ガラス粉末0.5部
を加える以外は全く同様の方法で白色ゲル状の本発明の
保冷材を得た。このものの性能測定結果を表1に示す。
【0031】比較例1 サンウエットIM−5000 3部、サンフロックAH
−210P3部を万能混合機で充分に混合した。この粉
末の混合物を、別に作成した水120部、グリセリン6
8部、エチレングリコール3部、PEG−300 3部
を混合した水溶液に加え約5分間攪拌後靜置して白色ゲ
ル状の比較の保冷材を得た。このものの性能測定結果を
表1に示す。
【0032】比較例2 特開昭60−79061号公報の実施例に基づいて比較
の保冷材を作成した。このものの性能測定結果を表1に
示す。
【0033】比較例3 特開昭63−178156号公報の実施例1に基づいて
比較の保冷材を作成した。このものの性能測定結果を表
1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】注1保冷時間は−20℃で12時間冷凍し
たものを25℃の室内で放置し、10℃になるまでの時
間を測定した。サンプルは重量600g、250mm×
250mm×10mmのポリエチレン/ナイロン系ラミ
ネート製の袋に詰めたものを使用した。
【0036】注2初期柔軟性は−20℃で12時間冷凍
したものを指で押した時の状態で確認した。○は容易に
変形する、△は強く押すと変形する、×は変形しないこ
とを表している。
【0037】注3柔軟保持性は−20℃で12時間冷凍
したサンプルを25℃の温水につけ常温に戻す操作を2
0回繰り返した後、さらに−20℃で12時間冷凍した
ものを指で押した時の状態で確認した。判定基準は
(2)と同様である。
【0038】
【発明の効果】
【0039】本発明は下記の効果を奏する。 (1)保冷時間を従来より向上させたものである。 (2)本発明の保冷材は、通常−30〜−5℃で冷凍さ
せて用いるものであるが、冷凍時も柔軟性があり、繰り
返し使用してもこの柔軟性が変化することはない。従来
の保冷材は繰り返し使用しているうち冷凍時の柔軟性が
低下し、最後には固化してしまう。 (3)保冷対象物の形状に合わせ、密着させて使用で
き、繰り返し使用時も同様である。 上記効果を奏することから本発明により得られた保冷材
は保冷用の枕並びに、血液や検体や冷菓や食料品等の保
冷に有用である。さらには競走馬の運動やレース後のク
ーリングダウン時の故障の予防、馬の脚および蹄の治療
時、人の運動後のクーリングダウン時に用いる保冷材と
して有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水不溶性吸水性ポリマー、水溶性ポリマ
    ー、水および親水性アルコール類を含有するゲル状物か
    らなることを特徴とする保冷材。
  2. 【請求項2】水不溶性吸水性ポリマーの純水に対する吸
    水性能が100〜1000ml/gである請求項1記載
    の保冷材。
  3. 【請求項3】水溶性ポリマーがアクリルアミド、(メ
    タ)アクリル酸(塩)、2−メチル−2−アクリルアミ
    ドプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アクリロイロキ
    シエチルトリメチルアンモニウム4級塩、(メタ)アク
    リロイロキシエチルジアルキルアミン塩の少なくとも1
    種以上を構成単位とする(共)重合物である請求項1ま
    たは2記載の保冷材。
  4. 【請求項4】水溶性ポリマーが、その30℃、1規定硝
    酸ソーダ水溶液中で測定した固有粘度が10(dl/
    g)以上であり、かつ0.1重量%水溶液の曳糸性が5
    0mm以上である請求項1〜3のいずれか記載の保冷
    材。
  5. 【請求項5】親水性アルコール類がエタノール、グリセ
    リン、ジエチレングリコール、エチレングリコールまた
    は親水性ポリエーテル類から選ばれる1種以上である請
    求項1〜4のいずれか記載の保冷材。
  6. 【請求項6】包装部材に該ゲル状物が充填された請求項
    1〜5のいずれか記載の保冷材。
  7. 【請求項7】水不溶性吸水性ポリマー、水溶性ポリマー
    および親水性アルコール類を混合しゲル化させた物に、
    水および必要により親水性アルコール類を加えて再びゲ
    ル化させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記
    載の保冷材の製法。
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WO2014208604A1 (ja) * 2013-06-27 2014-12-31 国立大学法人大阪大学 分子内相互作用に基づく高強度ゲル
JP3212790U (ja) * 2017-04-27 2017-10-05 三志 濱田 流動型保冷剤

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WO2014208604A1 (ja) * 2013-06-27 2014-12-31 国立大学法人大阪大学 分子内相互作用に基づく高強度ゲル
JPWO2014208604A1 (ja) * 2013-06-27 2017-02-23 国立大学法人大阪大学 分子内相互作用に基づく高強度ゲル
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