JPH05320380A - 二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム - Google Patents

二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム

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JPH05320380A
JPH05320380A JP15005092A JP15005092A JPH05320380A JP H05320380 A JPH05320380 A JP H05320380A JP 15005092 A JP15005092 A JP 15005092A JP 15005092 A JP15005092 A JP 15005092A JP H05320380 A JPH05320380 A JP H05320380A
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JP
Japan
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film
pps
zinc oxide
biaxially oriented
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Application number
JP15005092A
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Yukio Noguchi
幸男 野口
Kenji Kida
健次 喜田
Tomoaki Ueda
智昭 上田
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリフェニレンスルフィドフィルムの優れた
特性を損なうことなく、滑り性、透明性を維持したまま
耐摩耗性を向上させた2軸配向PPSフィルムを提供す
る。 【構成】 フイルム中での平均粒子径が0.005μm
〜1.0μmである酸化亜鉛を0.1重量%〜10重量
%含有し、かつ、濁度が0.5%/μm以下である2軸
配向ポリフェニレンスルフィドフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性に優れた2軸
配向ポリフェニレンスルフィドフィルムに関する。さら
に詳しくは、表面平滑性、透明性を維持したまま滑り性
を向上でき、しかも加工時の削れの少ない耐摩耗性の優
れた2軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下PPS
と略称することもある)は、融点、2次転移点ともに高
く、機械的特性、耐熱性が優れており、また、溶融成形
も可能であることから、フイルム、繊維およびその他成
形品として種々の分野への応用が進められている。特に
2軸配向PPSフイルムは、2軸配向によってさらに機
械的特性が向上しているため、コンデンサの誘電体、電
気絶縁材料、磁気記録媒体のベースフィルム、サーモラ
ベル、光学用ベースフイルム等での使用が期待されてい
る。
【0003】従来より、プラスチックフィルムに不活性
微粒子等を配合して、滑り性などのフイルム特性を改善
することが知られている。PPSフイルムにおいても、
(1)特開昭55−34968号公報には、フイルム表
面粗度を調整する目的で重合時あるいは重合終了時にポ
リマ−中に不活性無機粒子を添加し、または重合のため
に使用した不溶解塩を一定量ポリマ中に残存させること
が開示されている。また、特開昭60−257510号
公報には、2軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフ
イルムをコンデンサに用いた場合に、その容量および絶
縁破壊電圧のバラツキを小さくするために、微細突起密
度および粗大突起密度を一定範囲に調整した2軸配向ポ
リ−p−フェニレンスルフィドフイルムが開示されてお
り、必要に応じて溶融押出工程以前の任意の段階で、樹
脂組成物中に微粒子を分散させることが開示されてい
る。さらに、特開昭63−245442号公報には、粒
径0.01〜5μmの不活性無機粒子と特定嵩密度のポ
リ−p−フェニレンスルフィド樹脂粉末とを混合し、溶
融押出して微粒子を分散させる方法が開示されている。
【0004】更に、(2)再公表番号H02−8086
77号公報には、沸点が180〜290℃の液体中に平
均粒径が3μm以下になるよう固体微粒子を分散させた
スラリーをポリフェニレンスルフィド粉末に混合し、こ
の混合物をベント孔を有する押出機で溶融混練し、その
後に液体成分だけをベント孔から除去して固体微粒子を
ポリフェニレンスルフィドポリマ中に微分散させる方法
が開示されている。
【0005】また、(3)酸化亜鉛等を含有せしめ耐銅
害性を向上させた2軸配向PPSフィルムが、特開昭5
7−205445号公報で提案されている。
【0006】しかしながら、このような従来公知の方法
には次のような欠点があった。すなわち、(1)の方法
において、ポリマー重合時に添加する方法は、例えば、
特開平2−91130号公報に開示されているように、
この重合が強塩基性溶媒を用いた溶液重合であることか
ら、不活性無機粒子や不溶解塩をポリマー中に微分散さ
せることは困難であり、粗粒が発生しやすい。一方、重
合後単離したポリマーと不活性微粒子を混合して添加す
る場合にも、不活性微粒子が2次凝集しやすく粗粒が発
生しやすい。この粗粒がフイルム表面の粗大突起とな
り、製膜工程でのロール上走行時や磁気記録媒体として
ヘッドに接触走行する時にフイルム表面が削れる、いわ
ゆる耐摩耗性が劣る欠点があった。
【0007】(2)の方法においては、固体微粒子と液
体の種類を選択することで2次凝集を抑制し粗大突起の
少ない表面が形成でき、滑り性の良好なフイルムが得ら
れる。しかしながら、滑り性を良好にすると透明性が低
下し、例えばサーモラベル、光学用ベースフイルムなど
良好な透明性を必要とする用途では使用できない欠点が
あった。また、この方法では耐摩耗性に関しては不十分
なものであった。
【0008】(3)の方法においては、耐銅害性に効果
はあるものの、(1)の方法と同様に粗粒の発生により
耐摩耗性が劣る欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の欠点を解消し、2軸配向PPSフィルムの優れた
特性を損なうことなく、滑り性、透明性を維持したまま
耐摩耗性を向上させた2軸配向PPSフィルムを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の2軸配向ポリフェニレンスルフィドフィル
ムは、フイルム中での平均粒子径が0.005μm〜
1.0μmである酸化亜鉛を0.1重量%〜10重量%
含有し、かつ、濁度が0.5%/μm以下であるものか
らなる。
【0011】本発明で言うポリフェニレンスルフィド
(以下PPSと言う)とは、ポリ−p−フェニレンスル
フィドを主たる対象とし、p−フェニレンスルフィド単
位が70モル%以上存在するものが好ましい。より好ま
しくは、90モル%以上がp−フェニレンスルフィド単
位であるものである。30モル%未満であれば、例え
ば、化1、化2、化3、化4、化5、化6などを共重合
成分として含有することは差し支えないが、これらの共
重合成分は10モル%以下であることがより好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】特に、化7等の3官能単位以上の多官能共
重合成分は2モル%以下が好ましい。
【0019】
【化7】
【0020】本発明のPPSは、溶融粘度としては、温
度300℃、みかけのせん断速度200(秒)-1の条件
下で50ポイズ〜10万ポイズが好ましく、100ポイ
ズ〜5万ポイズがより好ましい。
【0021】本発明のPPSには、PPS以外のポリ
マ、無機または有機の滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、熱安定剤、結晶核剤、表面粗さを調整するフ
ィラーなどの添加物を含むことも、本発明の目的を阻害
しない範囲であれば差し支えない。
【0022】本発明のPPSフィルムは2軸配向してい
ることが必要であり、広角X線回折で2θ=20〜21
度の結晶ピークについて求めた配向度OFがEnd方向
及びEdge方向で0.07〜0.70、Throug
h方向で0.6〜1.00の範囲にあることが好まし
い。
【0023】本発明の酸化亜鉛は、フランス法によって
得たものが、好ましい。酸化亜鉛は、その製法によりい
くつかに分類され、原鉱石に石炭を加えて焙焼し、還元
されて蒸気となって出てきた亜鉛に熱空気を接触させて
酸化するアメリカ法(直接法)、いったん金属亜鉛とし
たのちこれを加熱して気化し、同様な方法で捕集するフ
ランス法(間接法)、塩化亜鉛溶液に炭酸ソーダを加え
て塩基性炭酸亜鉛を得、これを仮焼分解して得る湿式法
があり、均一性、微細性、結晶性の点から本発明ではフ
ランス法によるものが好ましい。
【0024】酸化亜鉛のPPSフイルム中での平均粒子
径は0.005μm〜1.0μm、好ましくは0.01
μm〜0.5μmの範囲である。平均粒子径が0.00
5μm未満では、滑り性、耐摩耗性に劣るため好ましく
ない。1.0μmを越えると、透明性に劣り、耐摩耗性
の改良効果が得られず好ましくない。さらに、PPSフ
ィルム中の酸化亜鉛は、PPSに対して0.1重量%〜
10重量%が含有されている必要がある。好ましい含有
量は、0.1重量%〜2重量%である。0.1重量%未
満でも、10重量%を越えても耐摩耗性の改良が認めら
れず好ましくない。
【0025】次に、本発明のPPSフィルムの製造方法
について説明する。PPSポリマの製法は、この分野に
おいて周知であり、いずれの方法をも採用することがで
きる。ここでは、硫化アルカリとp−ジハロベンゼンを
極性溶媒中で高温高圧下に反応させる方法が好ましい。
特に、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN−メ
チル−2−ピロリドン(以下NMPと言う)等のアミド
系極性溶媒中で反応させるのが好ましい。この場合、重
合度を調整するために、アルカリ金属水酸化物、カルボ
ン酸のアルカリ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して
230℃ないし280℃にて反応させるのが最も好まし
い。重合系内の圧力及び重合時間は、使用する助剤の種
類や量及び所望する重合度等によって適宜決定される。
【0026】重合終了後、系を徐冷し、ポリマを析出さ
せた後、水中に投入してできるスラリーをフィルターで
ろ別後、水洗、乾燥してPPS粉末を得ることができ
る。次に、液体に分散された酸化亜鉛のスラリーを上記
PPS粉末に添加して、ヘンシェルミキサー等のような
高速撹拌手段により均一に混合して得られた混合物を、
少なくとも1段のベント孔を有する押出機に供給し、該
押出機中でまず溶融混練後、ベント孔から該液体成分を
除去し、適当な口金から押出して、酸化亜鉛が微分散さ
れたPPSを得る。
【0027】ここで、本発明においては、酸化亜鉛は、
沸点が180℃ないし290℃、好ましくは180℃な
いし250℃の液体に分散したスラリー状にする。この
液体の沸点が上記範囲よりも低いと、該スラリーとPP
Sを溶融混練する際、微細粒子の2次凝集が起こり易
く、逆に該液体の沸点が上記範囲よりも高いとスラリー
を含むPPSを溶融混練した後、ベント部で該液体を系
から除去することが困難になる。該液体の例としては、
エチレングリコール、トリエチレングリコール、NMP
及びジフェニルエーテルなどを挙げることができるが、
前二者のように、沸点以上の温度でPPSを溶解するこ
とのないものが好ましい。ここで、使用する酸化亜鉛
は、一次粒径が0.005μm〜1.0μmの範囲、比
表面積が5m2 /g〜100m2 /g の範囲のものが
好ましい。一次粒径0.005μm未満、比表面積10
0m2 /g以上では2次凝集による粗粒が多くなるため
好ましくない。このようなスラリーの調製方法は特に限
定されないが、該液体に酸化亜鉛を添加してボールミ
ル、振動ミル等の分散手段で分散して、必要に応じて瀘
過して粗大粒子分を除去する方法がある。スラリー中の
酸化亜鉛の濃度は、5重量%ないし50重量%の範囲が
好ましい。
【0028】PPS粉末と酸化亜鉛スラリーとの均一混
合法としては、ヘンシェルミキサー等のような高速撹拌
手段によることが好ましい。また、かかる混合の際、材
料の温度をスラリーの分散媒たる上記液体の沸点より5
0℃以上低く保ち、該液体の揮発を防止するのが好まし
い。PPS粉末に対する酸化亜鉛スラリーの添加量は、
PPSに対する酸化亜鉛の重量割合が1重量%ないし1
00重量%となるように調整する。ここで、PPS粉末
に対する該液体成分の重量割合は、1重量%〜80重量
%とするのが好ましい。こうして得られた混合物は、少
なくとも1段のベント孔を有する押出機に供給され、押
出機中でまず溶融混練された後、ベント孔から該液体成
分を除去し、適当な口金から押出して酸化亜鉛が微分散
されたPPS組成物を得る。2段以上のベント孔を有す
る押出機を使用する場合も、最終のベントはポリマが溶
融状態で行なうべきであり、一部のベント孔から、未溶
融状態の混合物中の液体成分の一部を除去する場合で
も、その割合は、該液体成分の50重量%以下とするこ
とが好ましい。いずれにしても、押出機のシリンダ中
で、分散媒である液体、酸化亜鉛および溶融状態のポリ
マの三者が共存する状態が少なくとも存在することが必
要である。このようにして、ポリマ中の液体成分は、最
終的に発泡等による液体の気化に伴う欠点の出ない程度
にまで除去される。
【0029】上記方法では、PPS粉末と酸化亜鉛とを
押出機に供給する前に混合したが、まず押出機にPPS
粉末を供給し、押出機のシリンダの部分で、ポリマの溶
融前または溶融後に酸化亜鉛スラリーを押出機に設けら
れた開口部から強制的に注入することも可能である。こ
の注入は、押出成形を行ないながら連続的に行なうこと
もできる。他の製造条件は上述した方法と同様である。
【0030】上記いずれの方法においても、押出機に取
り付けた適当な口金から酸化亜鉛が分散したPPSを押
出して、一旦ペレットとするかあるいはそのままフィル
ムの形態とすることができるが、一旦ペレットとするこ
とが好ましい。得られたペレットは、そのまま、あるい
は例えば粒子を含有しないPPSのプレーンペレットお
よび/または他のフィラー分散ペレットと混合して、フ
ィルムに成形することができる。この段階において、P
PS中の酸化亜鉛の平均粒子径は0.005μm〜1.
0μmの範囲に分散されている必要があり、その後の延
伸、熱処理工程でも変化しない。
【0031】2軸配向フイルムは周知の方法(例えば特
開昭55−111235号公報等に記載)で作製するこ
とができる。すなわち、前記の酸化亜鉛が分散されたペ
レット単独あるいは他のPPSペレットと混合して、押
出機に供給して溶融し、Tダイから冷却ドラム上にキャ
ストして未延伸シートととし、該シートを80℃ないし
120℃の温度で縦、横に同時または逐次に面積倍率で
好ましくは4倍以上に延伸し、さらに180℃以上、融
点以下の温度で緊張下で熱処理して本発明の2軸配向フ
ィルムを得ることができる。
【0032】〔特性の測定、評価法〕 (1)フイルム中の平均粒子径 走査型電子顕微鏡の試料台に固定した測定フイルム表面
を、スパッタリング装置を用いて真空度10-3Tor
r、電圧0.25KV、電流12.5mAの条件にて1
0分間、イオンエッチング処理を施す。次に、同装置に
て該表面に金スパッタを施し、走査型電子顕微鏡にて1
0000〜30000倍にて観察する。100個以上n
個の粒子の面積円相当径(Di)を測定し、下記数1に
て算出する。
【0033】
【数1】
【0034】(2)滑り性 直径100mmのコアに連続して巻取る際の巻姿より判
定した。 (判定)1:良好 2:少し迷い巻になる 3:エヤーが抜けず折皺が発生
【0035】(3)耐摩耗性 水平に固定された鋼製ロッドに細幅のスリットしたフイ
ルム試料をこすりつけ、鋼製ロッド表面に発生した粉の
量で判定した。 (判定)1:発生なし 2:少し発生 3:多量に発生
【0036】(4)濁度 JIS−K674に準じ、積分球式HTRメータ(日本
精密光学製)にて測定した。測定した全ヘイズ値(%)
を試料厚み(μm)で除した値を濁度(%/μm)とし
た。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げて、さらに詳細
に説明する。 実施例1 (1)PPSポリマの作製 50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナト
リウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム
54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メ
チルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、
窒素ガス気流下に撹拌しながら内温を220℃まで昇温
させ脱水を行なった。脱水終了後、系を170℃まで冷
却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DC
B)と0.055モルの1,2,4,−トリクロロベン
ゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒
素気流下に系を2.0kg/cm2 まで加圧封入した。2
35℃にて1時間、さらに270℃にて2〜5時間撹拌
下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマのス
ラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間撹
拌後、ポリマを分離する。このポリマをさらに約70℃
のイオン交換水(ポリマ重量の9倍)で撹拌しながら5
回洗浄後、約70℃の酢酸リチウムの5重量%水溶液に
て窒素気流下にて約1時間撹拌した。さらに、約70℃
のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、0.
8〜1Torrの雰囲気下で20時間乾燥することによ
って白色のPPS粉末が得られた。次に、このPPS粉
末を市販の窒素ガス雰囲気下20〜90℃のNMP(P
PSポリマ重量の3倍量)にて1時間の撹拌処理を5回
行なった。このPPS粉末をさらに約70℃のイオン交
換水で4回洗浄した後分離し、上記のようにして乾燥す
ることによって白色のPPS粉末を得た。このPPS粉
末の300℃、200sec-1 における溶融粘度は5
000ポイズであった。
【0038】(2)フィラー分散ペレットの作製 エチレングリコール中に一次粒径0.05μm、比表面
積25m2 /gの酸化亜鉛粉末を高速ミルで分散させ5
0重量%になるように調製した。このスラリーを上述の
PPS粉末にヘンシェルミキサを用いて、酸化亜鉛が5
重量%となるよう混合した。次いで、2個所のベント孔
を有する2軸押出機に供給し、溶融混練後にベント孔よ
りエチレングリコールを除去したのち、ガット状に押出
しペレットとした。
【0039】(3)2軸配向PPSフイルムの作製 上述のフィラー分散ペレットとプレーン(無粒子)PP
Sペレットを酸化亜鉛が1.0重量%となるよう混合
し、回転式真空乾燥機で、150℃、3mmHgの減圧
下で3時間処理し、結晶化ペレットとした。次いで、こ
の結晶化ペレットを90mmφの単軸押出機に供給し、
溶融温度330℃、瀘過精度10μmのフィルターを通
過させて、リップ幅400mm、スリット間隙1.5m
mのステンレス製Tダイ型口金から吐出させ、表面を3
0℃に保った金属ドラム上で冷却固化して、厚さ130
μmの非晶シ−トとした。次いで、この非晶シ−トを表
面温度95℃の回転ロール群に巻き付けて加熱し、引き
続いて配置された表面温度25℃のロールとの間で3.
5倍にフイルムの流れ方向(MD)に延伸した。次い
で、テンタ−で100℃の熱風が循環する室内でフイル
ムの流れと直行方向(TD)に3.5倍延伸し、引き続
いて250℃の熱風が循環する室内で10秒間定長熱処
理して、厚さ10μmの2軸配向PPSフイルムを得
た。このフイルムは良好な耐摩耗性を示し、透明性、滑
り性に優れたものであった。またフイルム中の酸化亜鉛
粒子の平均粒子径は0.05μmであった。このフイル
ムの評価結果を表1に示した。
【0040】実施例2〜5 実施例1と同様の方法で、一次粒径および比表面積の異
なる酸化亜鉛を5重量%分散したPPSペレットを作製
した。次いで、これらのペレットとプレーンPPSペレ
ットとを混合し、実施例1と同様の方法で平均粒子径、
粒子添加量の異なる種々の2軸配向PPSフイルムを作
製した。いづれのフイルムも、滑り性、透明性があり、
耐摩耗性に優れていた。これらのフイルムの評価結果を
表1に示した。
【0041】比較例1、2 酸化亜鉛の代わりにシリカおよび炭酸カルシウムを分散
したPPSペレットを作製した。次いで、これらのペレ
ットとプレーンPPSペレットとを混合し、実施例1と
同法でフイルム中の平均粒子径0.5μmのシリカ(比
較例1)および炭酸カルシウム(比較例2)を1.0重
量%含有する2軸配向PPSフイルムとした。これらの
フイルムは滑り性はあるものの、透明性、耐摩耗性に劣
るものであった。これらのフイルムの評価結果を表1に
示した。
【0042】比較例3 実施例1と同様の方法で、一次粒径0.003μm、比
表面積120m2 /gの酸化亜鉛を5重量%分散したP
PSペレットを作製した。次いで、このペレットとプレ
ーンPPSペレットとを混合し、酸化亜鉛を1.0重量
%含有する厚み10μmの2軸配向PPSフイルムを作
製した。このフイルム中の酸化亜鉛の平均粒子径は0.
004μmであり、透明性はあるものの、滑り性、耐摩
耗性に劣るものであった。このフイルムの評価結果を表
1に示した。
【0043】比較例4、5 実施例1の酸化亜鉛分散ペレットおよびプレインペレッ
トを混合して、酸化亜鉛0.05重量%(比較例4)お
よび20重量%(比較例5)含有する厚み10μmの2
軸配向PPSフイルムを作製した。酸化亜鉛0.05重
量%(比較例4)では透明性には優れるものの、滑り
性、耐摩耗性に劣り、酸化亜鉛20重量%(比較例5)
では滑り性には優れるものの、透明性、耐摩耗性に劣る
ものであった。これらのフイルムの評価結果を表1に示
した。
【0044】比較例6 一次粒径0.8μm、比表面積4m2 /gの酸化亜鉛を
粉末状でPPS粉末に混合し、実施例1と同様に2軸押
出機で酸化亜鉛が5重量%分散したPPSペレットとし
た。このペレットとプレーンPPSペレットを混合し、
実施例1と同様の方法で酸化亜鉛を1.0重量%含有す
る2軸配向PPSフイルムを得た。このフイルムは粗大
突起が多く、滑り性、耐摩耗性に劣るものであった。フ
イルム中の酸化亜鉛の平均粒子径は2.5μmであり凝
集していることがわかる。このフイルムの評価結果を表
1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明では、フイルム中での平均粒子径
が特定の範囲にある酸化亜鉛を特定量含有させるととも
に、濁度を一定値以下に抑えるようにしたので、滑り
性、透明性、耐摩耗性がともに優れた2軸配向ポリ−p
−フェニレンスルフィドフイルムが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フイルム中での平均粒子径が0.005
    μm〜1.0μmである酸化亜鉛を0.1重量%〜10
    重量%含有し、かつ、濁度が0.5%/μm以下である
    ことを特徴とする2軸配向ポリフェニレンスルフィドフ
    ィルム。
JP15005092A 1992-05-19 1992-05-19 二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム Pending JPH05320380A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021109308A (ja) * 2020-01-06 2021-08-02 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィドフィルム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021109308A (ja) * 2020-01-06 2021-08-02 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィドフィルム

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