JP2000239414A - 二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルム - Google Patents

二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルム

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JP2000239414A
JP2000239414A JP4745099A JP4745099A JP2000239414A JP 2000239414 A JP2000239414 A JP 2000239414A JP 4745099 A JP4745099 A JP 4745099A JP 4745099 A JP4745099 A JP 4745099A JP 2000239414 A JP2000239414 A JP 2000239414A
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particles
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Yukio Noguchi
幸男 野口
Yasutoshi Watanabe
泰利 渡邊
Taiichi Kurome
泰一 黒目
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑り性が良好で粒子脱落が少なく、かつ絶縁
耐圧が高く絶縁欠陥の少ない、フイルムコンデンサ用誘
電体、離型シート、フロピーディスクベースなどに適し
た二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルムを
提供する。 【解決手段】 辺長比(最大辺長/最小辺長)の平均値
が1〜3、平均粒径(面積円相当径の平均値)が0.0
5μm〜3μmの直方体形状の不活性微粒子を0.05
重量%以上2重量%未満含有する二軸配向ポリ−p−フ
ェニレンスルフィドフイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸配向ポリ−p
−フェニレンスルフィドフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィ
ドフイルムは優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性を持つ
ことから、電気絶縁材料、電子部品、音響振動板、離型
材など様々な分野に単体または複合体の形態で使用され
ている。
【0003】従来より、二軸配向ポリ−p−フェニレン
スルフィドフイルムの性質を改善するために、これに不
活性粒子を配合することが知られている。
【0004】(1)たとえば特開昭55−34968号
公報には、フイルム表面粗度を調整する目的で重合時あ
るいは重合終了時にポリマ中に不活性無機粒子を添加
し、または重合のために使用した不溶解塩を一定量ポリ
マ中に残存させることが開示されている。また、特開昭
60−257510号公報には、二軸配向ポリ−p−フ
ェニレンスルフィドフイルムをコンデンサに用いた場合
に、その容量および絶縁破壊電圧のバラツキを小さくす
るために、微細突起密度および粗大突起密度を一定範囲
に調整した二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフ
イルムが開示されており、必要に応じて溶融押出工程以
前の任意の段階で、樹脂組成物中に微粒子を分散させる
ことが開示されている。さらに、特開昭63−2454
42号公報には、粒径0.01〜5μmの不活性無機粒
子と特定嵩密度のポリ−p−フェニレンスルフィド樹脂
粉末とを混合し、溶融押出して微粒子を分散させる方法
が開示されている。
【0005】(2)再公表公報平2−808677号に
は、沸点が180〜290℃の液体中に平均粒径が3μ
m以下になるよう固体微粒子を分散させたスラリーをポ
リフェニレンスルフィド粉末に混合し、この混合物をベ
ント孔を有する押出機で溶融混練し、その後に液体成分
だけをベント孔から除去して固体微粒子をポリフェニレ
ンスルフィドポリマ中に微分散させる方法が開示されて
いる。さらに、固体微粒子として特定形状の炭酸カルシ
ウムを用いることが特開平05−065353号、特開
平05−163370号公報などに開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来公知の方法には次のような欠点があった。すな
わち、(1)の方法において、ポリマ重合時に添加する
方法は、例えば特開平2−91130号公報に開示され
るように、この重合が強塩基性溶媒を用いた溶液重合で
あることから不活性無機粒子や不溶解塩をポリマ中に微
分散させることは困難であり、粗粒が発生しやすい。一
方、重合後単離したポリマと不活性微粒子を混合して添
加する場合にも、不活性微粒子が2次凝集しやすく粗粒
が発生しやすい。
【0007】また(2)の方法において、固体微粒子と
液体の種類を選択することで、いわゆるスラリ状での微
粒子の2次凝集が抑制されて小径微粒子の適用や粒子形
状の選択が可能となり、フイルムの使用目的に合った粒
子選択が可能となった。しかしながら、フイルム中での
不活性微粒子の2次凝集抑制は十分でなく、粗粒が発生
し易い、粒子が脱落し易いなどの欠点があった。
【0008】このように、従来の方法は、粗粒の発生や
粒子の脱落のため、例えばフロッピーディスクなどの磁
気記録媒体のベースとしたときには、フイルム表面のこ
れらの欠陥部分が記録抜けするいわゆるドロップアウト
が多く発生する欠点があった。また、二軸延伸製膜時に
は添加した粒子の周囲にはボイド(空隙)が形成され、
一般的に粒子径が大きいほど大きなボイドになる。例え
ば、10μm以下の薄いフイルムをコンデンサー誘電体
として使用した場合には、上述の粗粒や粒子の脱落によ
りフイルムに絶縁欠陥を作るため、コンデンサー製造の
不良率が大きくなるなどの欠点があった。
【0009】本発明の課題は、上述の欠点を解消し、滑
り性が良好で粗大突起が少なく粒子脱落の少ない、また
薄いフイルムとしたときの絶縁耐圧が高く絶縁欠陥が少
ないフイルムコンデンサ用誘電体、離型シート、フロピ
ーディスクベースなどに適した二軸配向ポリ−p−フェ
ニレンスルフィドフイルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィド
フイルムは、直方体状の不活性微粒子を含有する二軸配
向ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルムであって、
フイルム中での直方体状の不活性微粒子の辺長比(最大
辺長/最小辺長)の平均値が1〜3、平均粒径(面積円
相当径の平均値)が0.05μm〜3μmであり、さら
に該不活性微粒子のフイルム中での含有量が0.05重
量%以上2重量%未満であることを特徴とするものから
なる。
【0011】とくにこの二軸配向ポリ−p−フェニレン
スルフィドフイルムにおいては、不活性微粒子が、辺長
比が1の立方体形状を有するカルサイト型炭酸カルシウ
ムであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について望ましい
実施の形態とともに詳細に説明する。本発明において、
不活性微粒子とは、少なくとも300℃の温度では固体
の粒子であり、有機物であるか、無機物であるかは問わ
ない。かかる不活性微粒子の例としては、シリカ、アル
ミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、珪酸アルミニウ
ム、硫酸バリウムなどのミネラル類、金属、金属酸化
物、金属塩類、高融点ポリマ、架橋ポリマなどが挙げら
れる。ポリ−p−フェニレンスルフィド(以下、PPS
と略称することがある。)への分散性、熱安定性などの
点でシリカ、炭酸カルシウムが好ましく、直方体形状の
微粒子とする点でカルサイト型炭酸カルシウムが特に好
ましい。カルサイト型炭酸カルシウムとはX線による広
角回折プロファイル中の強い回折ピークの上位5つが、
回折角29.4°、36.0°、40.4°、43.1
°、47.5°、48.5°に観察されるものを言う。
【0013】本発明において、直方体状の不活性微粒子
とは、たとえば図1に示すような形状のものであり、フ
イルム中の個々の粒子が実質的に6面体の形状を成すも
のを指す。ここで、各面間の内角は80〜100度の範
囲が好ましく、85〜95度の範囲がフイルム特性の点
でより好ましい。フイルム中の粒子形状は、スパッタリ
ング装置を用いてフイルム表面をイオンエッチングして
不活性微粒子を露出させ、常法により走査型電子顕微鏡
にて観察できる。本発明の直方体状の不活性微粒子は、
辺長比(各々面の境界をなす辺の長さの最小長さに対す
る最大長さの比の平均値)が1〜3の範囲であり、フイ
ルムの表面特性、絶縁耐圧、粒子脱落の点から1〜2の
範囲が好ましい。図1に示した例では、各辺の長さa、
b、cがa<b<cの関係にあるので、辺長比はc/a
となる。
【0014】一般に不活性微粒子とポリマとは親和性が
低い(弱い)ため、延伸時の応力で粒子とポリマの界面
で剥離が起こり粒子周りにボイド(空隙)が生じやす
い。このとき、辺長比が1に近いほどボイドとなりにく
く、辺長比が大きいほど大きなボイドとなりやすく粒子
脱落が生じやすい。また、辺長比が大きいほどフイルム
表面に形成する突起高さが不揃いとなる。このため十分
な滑り性を得ようとすると該微粒子の添加量を増やさね
ばならず、フイルムの絶縁耐圧が低下しやすい。また、
厚さ10μm以下の薄いフイルムとした場合には粒子径
がフイルム厚さに近づくため、ボイドによる絶縁耐圧の
低下傾向が強く、辺長比は1〜1.5の範囲が特に好ま
しい。
【0015】本発明において、かかる不活性微粒子の平
均粒径(本発明では、面積円相当径の平均値と定義す
る。)は、0.05μm〜3μmの範囲とする必要があ
る。平均粒径が0.05μm未満では、フイルムの滑り
性が十分でなく、また、ポリマへの分散前およびポリマ
への混練中に2次凝集が起こりやすいため粗粒が発生
し、フイルム表面に粗大突起が発生しやすい。このた
め、粒子脱落の増加や10μm以下の薄いフイルムとし
たときには絶縁欠陥の増加となりやすい。平均粒径が3
μmを超えると、該微粒子の周囲にできるボイドが大き
くなるため、粒子脱落の増加や10μm以下の薄いフイ
ルムとしたときには絶縁欠陥の増加となりやすい。平均
粒径はフイルム厚みや使用目的に応じて適宜選択される
が、好ましい平均粒径は0.1μm〜2μmの範囲であ
り、さらに好ましくは0.2μm〜2μmの範囲であ
る。
【0016】本発明において、かかる不活性微粒子の添
加量は0.05重量%〜2重量%の範囲である。添加量
が0.05重量%未満では、フイルムの滑り性が十分で
なく、2重量%を超えるとボイドによる絶縁耐圧の低下
や、フイルム特性の低下が生じやすい。不活性微粒子の
添加量はフイルム厚さや、使用目的、所望する表面突起
形状などで決められるが、例えば、10μm以下の薄い
フイルムとしたときには、フイルムの電気特性の点から
0.1重量%〜1重量%が特に好ましい。
【0017】このように、本発明の不活性微粒子は直方
体形状で平均粒径が0.05μm〜3μmの範囲にある
が、これら粒子形状はフイルム中で測定した数値であ
り、添加前の粒子形状をなんら制約するものではない。
また、該不活性微粒子の分散性、ポリマとの親和性を高
めるなどの目的で、該微粒子を表面処理することは差し
支えない。また、本発明の二軸配向ポリ−p−フェニレ
ンスルフィドフイルム(以下、PPSフイルムと略称す
ることがある。)は、上記直方体状の不活性微粒子以外
の粒子(以下、他粒子と称することがある。)を含むこ
とは差し支えない。この場合、フイルム特性の点から他
粒子の含有量は全粒子量の50重量%未満が好ましい。
【0018】本発明においてポリ−p−フェニレンスル
フィド(以下PPSと称することがある)とは、繰り返
し単位の70モル%以上、好ましくは85モル%以上が
下記構造式化1で示される構成単位からなる重合体をい
う。係る成分が70モル%未満ではポリマの結晶性、熱
転移温度等が低くなりPPSを主成分とする樹脂組成物
からなるフイルムの特長である耐熱性、寸法安定性、機
械的特性等を損なう。
【0019】
【化1】
【0020】繰り返し単位の30モル%未満、好ましく
は15モル%未満であれば共重合可能なスルフィド結合
を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返
し単位の30モル%未満、好ましくは15モル%未満の
繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル
単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アル
キル基等の置換基を有するアリール単位、ビフェニル単
位、ターフェニレン単位、ビニレン単位、カーボネート
単位などが具体例としてあげられ、このうち1つまたは
2つ以上共存させて構成することができる。この場合、
該構成単位は、ランダム共重合、ブロック共重合いずれ
の形態でも差し支えない。また、ポリマの末端または末
端近くに前記ポリマの主要構成単位化1以外の構成単位
が存在することはなんら差し支えない。該組成物中の残
りの30重量%未満はPPS以外のポリマ、着色剤、紫
外線吸収剤などの添加物を含むことも差し支えない。
【0021】本発明におけるPPSフイルムとは、例え
ば、特公昭63−12772号公報に記載されている方
法などと同様に製造される。すなわち、溶融押出法によ
り成形された実質的に無配向の非晶フイルムを、二軸延
伸法により二軸配向させたのち熱処理を施して得られる
PPSフイルムである。該フイルムの厚みは、0.3μ
m〜300μmの範囲が好ましく、0.5μm〜150
μmの範囲がさらに好ましい。本発明におけるPPSフ
イルムの溶融粘度は、300℃、せん断速度200se
-1のもとで100ポイズ以上が好ましい。係る溶融粘
度が100ポイズ未満では、シートの機械的特性、耐熱
性に劣りPPSフイルムの特徴が発揮出来ない。また、
溶融粘度は高い方がフイルムの熱的、機械的特性が良好
になるが、高過ぎると押出機に高負荷がかかることや瀘
過装置などに大きな圧力がかかることなどから設備が大
型となり好ましくない。さらに高粘度になると、流動性
が悪くなり実用的な成形が困難となる。溶融押出成形に
好ましい溶融粘度は500ポイズ〜30000ポイズの
範囲であり、さらに1000ポイズ〜15000ポイズ
の範囲がより好ましい。またこの溶融粘度はPPSフイ
ルムとした後でも変化しない。
【0022】次に、本発明のPPSフイルムの製法につ
いて述べる。 (1)ポリ−p−フェニレンスルフィドの重合方法 例えば、特開平2−91130号公報に記載されている
方法などと同様に作製することができる。すなわち、硫
化アルカリとp−ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温高
圧下に反応させる方法を用いる。特に、硫化ナトリウム
とp−ジクロロベンゼンをN−メチル−2−ピロリドン
(以下、NMPと略称することがある。)等のアミド系
極性溶媒中で反応させるのが好ましい。この場合、重合
度を調節するために、苛性アルカリ、カルボン酸アルカ
リ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して230〜28
0℃で反応させるのが最も好ましい。重合系内の圧力お
よび重合時間は、使用する助剤の種類や量および所望す
る重合度などによって適宜決定される。重合終了後、系
を徐冷して析出させたポリマを水中または有機溶媒中に
投入してできるスラリーをフィルターで瀘別してポリマ
ケークを得る。得られたポリマケークは、イオン交換水
または有機溶媒にて洗浄を繰り返した後、必要に応じて
さらに酢酸塩等の水溶液中で30〜100℃の温度で1
0〜60分間撹拌処理後、イオン交換水にて30〜80
℃の温度にて数回洗浄を繰り返した後乾燥し、ポリマ粉
末とする。
【0023】(2)不活性微粒子分散ペレットの製法 上述のようにして得られたPPSポリマ粉末と液体中に
不活性微粒子を分散させたスラリーとを混合し、該混合
物をベント押出機に供給して溶融混練と同時に該液体を
除去し、PPSポリマ中に不活性微粒子を分散させる。
好ましい分散方法は、まず不活性微粒子を沸点が180
℃〜290℃の液体中に微分散させスラリーとする(以
下、微粒子スラリーと称することがある。)。ここで必
要に応じて瀘過やデカンター等により、粗大粒子や微小
粒子を除去することは好ましい。ここで、微粒子の粒径
が小さいほどスラリー中で2次凝集が起こりやすく、ス
ラリー中における微粒子の2次凝集の安定性の点で不活
性微粒子の平均粒径は0.05μm以上が好ましく、
0.1μm以上がさらに好ましい。また、本発明のフイ
ルムとするには、該微粒子の平均粒径はスラリー中にお
いても0.05μm〜3.0μmの範囲が好ましく、か
つ微粒子の濃度は2次凝集の点から80重量%以下が好
ましい。該液体としては、例えばエチレングリコール、
トリエチレングリコール、NMP、ジフェニルエーテル
などが挙げられるが、該液体の沸点以上でPPSを溶解
しない前2者が特に好ましい。ここで、該スラリー中お
よび/またはポリマ中における微粒子の2次凝集を防止
する目的で、必要に応じて該微粒子の表面処理、スラリ
ー中への界面活性剤の添加などを行なってもなんら差し
支えない。
【0024】次いで、上述の微粒子スラリーをPPSポ
リマ粉末に混合後ベント孔を有する押出機に供給する方
法、またはPPSポリマをベント孔を有する押出機に供
給し該ポリマが溶融前または/および溶融中に該微粒子
スラリーを強制的に注入する方法等により、微粒子スラ
リーが溶融状態のPPSポリマに混練されると同時にベ
ント孔より該液体成分を除去することにより、PPSポ
リマ中に不活性微粒子を微分散させる。ここで、PPS
粉末に対する該液体成分の割合は、分散性、液体成分の
除去効率の点から30重量%以下が好ましく、20重量
%以下がさらに好ましい。押出機から吐出されたガット
状の該ポリマは、常法により水浴中などで冷却後、切断
してPPSポリマ中に不活性微粒子が分散したペレット
(以下、粒子ペレットと称することがある。)となる。
また、ここで押出機に成形用の口金を設けて、直接シー
ト状にキャストすることも可能である。さらに、押出機
と口金の間に瀘過装置を設け、該混練ポリマ中の粗粒を
除去することも好ましい方法である。
【0025】また、(1)で得たPPS粉末のみを
(2)と同様の方法で不活性微粒子を含まないペレット
(以下、無粒子ペレットと称することがある。)とし、
フイルム製造の際に上記粒子ペレットと混合して使用す
ることができる。
【0026】(3)二軸配向PPSフイルムの製法 PPSフイルムとするには、例えば特公昭63ー127
72号公報などに記載の公知の方法を用いる。すなわち
上述のようにして得られた粒子ペレットおよび/または
無粒子ペレットを減圧下で乾燥した後、公知の押出機に
供給してスリットダイから溶融吐出させ急冷して非晶シ
ートに成形する。ここで塵埃または添加物の凝集物など
粗大異物を除去する目的で、押出機と口金の間に瀘過装
置を設けることは欠点の少ないフイルムを得る上で好ま
しい。成形法は常法が適用でき、例えばTダイからポリ
マを吐出させ、表面温度25℃のドラム上に静電印加法
で密着させて急冷し非晶シートとすることができる。次
いで、この非晶シートを表面温度が90℃以上120℃
未満の同周速のロール群に巻き付け、表面温度が90℃
以下の周速の異なるロールとの間で長手方向(MD)に
3〜5倍に延伸し一軸延伸フイルムとする。次に90℃
〜130℃のテンター内で長手方向と直交する方向(T
D)に2〜4倍延伸して二軸配向フイルムとし、引き続
きテンター内で200℃以上融点以下の温度範囲で2〜
60秒間定長熱処理し、必要に応じて引き続き200℃
以上融点以下の温度範囲で制限収縮させてPPSフイル
ムとする。
【0027】〔特性の測定、評価法〕 (1)フイルム中の不活性微粒子の形状 走査型電子顕微鏡の試料台に固定した測定フイルム表面
を、スパッタリング装置を用いて真空度10-3Tor
r、電圧0.25KV、電流12.5mAの条件にて1
0分間、イオンエッチング処理を施す。次に、同装置に
て該表面に金スパッタを施し、走査型電子顕微鏡にて1
0000〜30000倍の写真を撮影する。
【0028】A.辺長比 粒子の辺長比(K)は、上記写真から100個以上n個
の粒子の最大辺長(LLi)、最小辺長(LSi)を測定
し、下記数1の式により求める。ここで、粒子の辺長
とは直方体をなす各面の境界をなす辺(稜線)の長さで
ある。
【0029】
【数1】
【0030】B.平均粒径 平均粒径(D)は、上記写真から100個以上n個の粒
子の面積円相当径(Di)を求め、下記数2の式によ
り求める。ここで面積円相当径(Di)は個々の外接円
の直径である。
【0031】
【数2】
【0032】(2)粒子含有量 フイルムをα−クロロナフタレンに溶解し、熱時に濾過
を行って粒子を分離し、フイルム全重量に対する比率
(重量%)で表す。また、必要に応じて赤外分光法、蛍
光X線法、SEM−XMAを利用して定量することもで
きる。
【0033】(3)表面粗さ JIS−B−0601に準じて中心線平均粗さ(Ra)
で表した。測定条件は針径2μm、荷重70mg、測定
基準長0.25mm、カットオフはフイルム厚み10μ
m未満は0.08mm、フイルム厚み10μm以上は
0.25mmである。
【0034】(4)摩擦係数 ASTM−D−1894Bに準じて測定した。
【0035】(5)粒子脱落 水平に固定された直径15mmのステンレス製丸棒に2
0mm幅×300mm長に裁断したフイルム試料を接触
させ、フイルム加重1kg/mm2 、移動速度500m
m/分で50回擦った。鋼製ロッド(ステンレス製丸
棒)表面に付着した粉の付着幅を測定し、下記基準で表
した。 ○:フイルムキズの面積が擦った面積の20%未満 △:フイルムキズの面積が擦った面積の50%未満 ×:フイルムキズの面積が擦った面積の50%以上
【0036】(6)絶縁耐圧(絶縁破壊電圧) JIS−C2318に準じて測定した。
【0037】(7)絶縁欠陥 真鋳製の電極(150mm×200mm、表面粗度2
S)と、アルミニウム蒸着ポリエステルフイルムのアル
ミ面(表面抵抗2Ω/□以下)との間に、測定フイルム
(200mm×250mm)を挟み、測定フイルムの厚
みあたり150V/μmの直流電圧を90秒間印加した
際の絶縁破壊個数を数えた。
【0038】
【実施例】次に、本発明の実施例を挙げて、さらに詳細
に説明する。 実施例1 (1)PPSポリマの作製 50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナト
リウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム
54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メ
チルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、
窒素ガス気流下に撹拌しながら内温を220℃まで昇温
させ脱水を行なった。脱水終了後、系を170℃まで冷
却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DC
B)と0.055モルの1,2,4,−トリクロロベン
ゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒
素気流下に系を2.0kg/cm2 まで加圧封入した。
235℃にて1時間、さらに270℃にて2〜5時間撹
拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマの
スラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間
撹拌後、ポリマを分離する。このポリマをさらに約70
℃のイオン交換水(ポリマ重量の9倍)で撹拌しながら
5回洗浄後、約70℃の酢酸リチウムの5重量%水溶液
にて窒素気流下にて約1時間撹拌した。さらに、約70
℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、
0.8〜1torrの雰囲気下で20時間乾燥すること
によって白色のPPS粉末が得られた。
【0039】次に、このPPS粉末を市販の窒素ガス雰
囲気下20〜90℃のNMP(PPSポリマ重量の3倍
量)にて5分間〜1時間の撹拌処理を1〜5回行なっ
た。このPPS粉末をさらに約70℃のイオン交換水で
4回洗浄した後分離し、上記のようにして乾燥すること
によって白色のPPS粉末を得た。このPPS粉末の3
00℃における溶融粘度は5000ポイズであった。
【0040】(2)ペレットの作製 辺長比1.0、平均粒径0.5μmの直方体形状(この
場合、立方体形状)のカルサイト型炭酸カルシウムをエ
チレングリコール中に50重量%微分散させたスラリー
を調製した。このスラリーを1μmカットフィルターで
濾過した後上述のPPS粉末にヘンシェルミキサを用い
て炭酸カルシウムが5.0重量%となるよう混合した。
次いで、2個所のベント孔を有する2軸押出機に供給
し、溶融混練と同時にベント孔よりエチレングリコール
を除去し、ガット状に押出し、水中で冷却後切断して粒
子ペレットとした。また、PPS粉末のみを上記同様に
溶融押出し、無粒子ペレットとした。
【0041】(3)二軸配向PPSフイルムの作製 上述の粒子ペレットおよび無粒子ペレットを炭酸カルシ
ウムが0.5重量%となるよう混合し、回転式真空乾燥
機で150℃、3mmHgの減圧下で3時間処理して結
晶化ペレットとした。次いで、この結晶化ペレットを9
0mmφの単軸押出機に供給し、溶融温度330℃、瀘
過精度10μmのフィルターを通過させて、リップ幅4
00mm、スリット間隙1.5mmのステンレス製Tダ
イから吐出させ、表面を30℃に保った金属ドラム上で
冷却固化して、厚さ65μmの非晶シートとした。次い
で、この非晶シートを表面温度95℃の回転ロール群に
巻き付けて加熱し、引き続いて配置された表面温度25
℃のロールとの間で3.5倍にフイルムの長手方向(M
D)に延伸した。次いで、テンターで100℃の熱風が
循環する室内でフイルムの長手方向と直交する方向(T
D)に3.5倍延伸し、引き続いて260℃の熱風が循
環する室内で10秒間定長熱処理して厚さ5μmのPP
Sフイルムを得た。
【0042】このフイルムの表面をプラズマエッチング
し走査型電子顕微鏡を用いてフイルム中の粒子を観察し
た。結果はスラリー中での形状と変化がなく辺長比1.
0、平均粒径0.5μmであった。このフイルムは滑り
性が良好で粒子脱落が極めて少なく、絶縁耐圧に優れ、
絶縁欠陥が極めて少ないものであった。評価結果を表1
にまとめて示した。
【0043】実施例2、3 辺長比2.0(実施例2)および辺長比2.5(実施例
3)とする以外は実施例1と同様に厚さ5μmのPPS
フイルムを得た。これらのフイルムは、滑り性が良好で
粒子脱落が極めて少なく、絶縁耐圧に優れ、絶縁欠陥が
極めて少ないものであった。評価結果を表1にまとめて
示した。
【0044】比較例1 辺長比を3.5とする以外は実施例1と同様に厚さ5μ
mのPPSフイルムを得た。このフイルムは粒子脱落が
あり、絶縁耐圧、絶縁欠陥に劣るものであった。評価結
果を表1にまとめて示した。
【0045】比較例2 粉砕後にふるいで分級した平均粒径0.5μmの重質炭
酸カルシウム微粉末をヘンシェルミキサを用いて実施例
1(1)で作製したPPS粉末と混合した。次いで、こ
の混合物を2軸の強混練タイプ押出機で溶融混練し炭酸
カルシウムを0.5重量%含む粒子ペレットとした。次
いで、実施例1と同様の方法で厚さ5μmのPPSフイ
ルムとした。このフイルムは、実施例1(本発明)のフ
イルムに比べると滑り性が悪く、粒子脱落が多い、絶縁
欠陥が多いフイルムであった。このフイルム中の粒子形
状は不定形であり、辺長比5.0、平均粒径0.5μm
であった。評価結果を表1にまとめて示した。
【0046】比較例3 平均粒径0.5μmの球状炭酸カルシウムのエチレング
リコールスラリーを用いた以外は、実施例1と同様に5
μm厚みのPPSフイルムを得た。このフイルムは、不
定形粒子に比べると良好な滑り性、絶縁耐圧を示すが、
本発明のフイルムに比べると粒子脱落、絶縁欠陥の点で
不十分なものであった。評価結果を表1にまとめて示し
た。
【0047】実施例4,5、比較例4,5 辺長比1.0、平均粒径0.5μmの実施例1の粒子ペ
レットを用いて粒子添加量およびフイルム厚みの異なる
フイルムをを実施例1と同様に作製した。粒子添加量
0.03重量%(比較例4)および添加量2.3重量%
(比較例5)のフイルムはともに粒子脱落、絶縁欠陥の
点で不十分であり、粒子添加量は0.05〜2重量%の
範囲が好ましいことが判る。評価結果を表2にまとめて
示した。
【0048】実施例6〜8、比較例6,7 辺長比1.0の直方体炭酸カルシウム粒子の平均粒径を
変更して実施例1と同様の方法で厚さ2μmのPPSフ
イルムを作製した。平均粒径0.02μm(比較例
6)、平均粒径3.5μm(比較例7)はともに粒子脱
落、絶縁欠陥の点で不十分であり平均粒径は0.05〜
3μmの範囲が好ましいことがわかる。評価結果を表3
にまとめて示した。
【0049】実施例9,10、比較例8 平均粒径1.5μmで辺長比の異なる炭酸カルシウム粒
子を用いて、実施例1と同様の方法で、添加量0.3重
量%、厚さ75μmのPPSフイルムを作製した。辺長
比5.0(比較例8)のフイルムは滑り性が不十分で、
粒子脱落が多いものであった。評価結果を表4にまとめ
て示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、滑り性が良好で粒子脱
落の少ない、かつ絶縁耐圧、絶縁欠陥に優れた二軸配向
ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直方体状の不活性微粒子の斜視図である。
【符号の説明】
a、b、c 各辺の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 81/02 C08L 81/02 // H01G 4/18 330 H01G 4/18 330A B29K 81:00 B29L 7:00 (72)発明者 黒目 泰一 岐阜県安八郡神戸町大字安次900番地の1 東レ株式会社岐阜工場内 Fターム(参考) 4F071 AA63 AB21 AD02 AF27 AF39 AH12 BB08 BC01 4F210 AA34 AB16 AC04 AE01 AG01 QA02 QA03 QC06 QG01 QG18 QW07 4G076 AA16 CA01 CA02 CA25 CA26 CA29 DA18 DA30 4J002 CN011 DE206 5E082 BC35 BC38 FF14 FG06 FG22 FG27 FG34 FG48 FG54 FG56 MM22 MM23 MM24 PP03 PP09 PP10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直方体状の不活性微粒子を含有する二軸
    配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルムであっ
    て、フイルム中での直方体状の不活性微粒子の辺長比
    (最大辺長/最小辺長)の平均値が1〜3、平均粒径
    (面積円相当径の平均値)が0.05μm〜3μmであ
    り、さらに該不活性微粒子のフイルム中での含有量が
    0.05重量%以上2重量%未満であることを特徴とす
    る二軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフイルム。
  2. 【請求項2】 不活性微粒子が、辺長比が1の立方体形
    状を有するカルサイト型炭酸カルシウムであることを特
    徴とする請求項1記載の二軸配向ポリ−p−フェニレン
    スルフィドフイルム。
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