JP2903569B2 - ポリフェニレンスルフィドフィルム - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドフィルム

Info

Publication number
JP2903569B2
JP2903569B2 JP27270389A JP27270389A JP2903569B2 JP 2903569 B2 JP2903569 B2 JP 2903569B2 JP 27270389 A JP27270389 A JP 27270389A JP 27270389 A JP27270389 A JP 27270389A JP 2903569 B2 JP2903569 B2 JP 2903569B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
calcium carbonate
polyphenylene sulfide
aluminum silicate
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP27270389A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03134029A (ja
Inventor
喜代彦 伊藤
豊志 斉藤
雄吉 出口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TORE KK
Original Assignee
TORE KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TORE KK filed Critical TORE KK
Priority to JP27270389A priority Critical patent/JP2903569B2/ja
Publication of JPH03134029A publication Critical patent/JPH03134029A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2903569B2 publication Critical patent/JP2903569B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリフェニレンスルフィドフィルムに関す
るものである。さらに詳しくは、軽量かつ/またはクッ
ション性に富むポリフェニレンスルフィドフィルムに関
するものである。
[従来技術] 従来、ポリフェニレンスルフィドを主成分とする樹脂
組成物を延伸、熱処理した配向フィルムが、特開昭57−
205119、特開昭57−205445等で提案されている。上記の
フィルムは、耐熱性、誘電特性に優れているため、電気
絶縁材料、コンデンサの誘電体、耐熱包装材料、耐熱ラ
ベルをはじめ種々の用途への応用が期待されている。
とりわけ、12μm以上の厚みの2軸配向ポリフェニレ
ンスルフィドフィルムはF種耐熱タイプのトランスやモ
ーターなどの電気絶縁材料としての応用が注目されてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来のポリフェニレンスルフィドフィ
ルムは、ポリフェニレンスルフィドポリマ自体が高価で
あるため単位体積当たりのフィルムコストも従来の汎用
フィルムに比べて高価であるという欠点があった。さら
に、ポリエステルフィルムなどの汎用フィルムにくらべ
てフィルム自体の剛性が大きく、フィルムのスリット加
工時やモーター、トランスなどに用いられる平角銅線な
どへの巻回加工時にフィルムのエッジ部で手を切るとい
った取り扱い時の安全性においても問題があった。
また、該ポリフェニレンスルフィドフィルムを耐熱性
印字基材として用いた場合、クッション性に劣るため、
プリント時の印字適性が悪く、印字が不鮮明となった
り、インクの乗りが悪いという、いわゆる抜けが生じる
という問題があった。
本発明は、かかる問題点を解決し、軽量かつ/または
クッション性に富んでいるのみならず、耐熱性、機械特
性に優れたポリフェニレンスルフィドフィルムを提供す
るものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記課題を解決するためポリフェニレンス
ルフィドに対し、下記式および式および式を満足
するように炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミ
ニウムを含有せしめた組成物から主としてなり、かつ少
なくとも1軸方向に延伸されていることを特徴とするポ
リフェニレンスルフィドフィルムに関するものである。
0.4≦Y≦2.5 …… X≦40 …… (13−5Y)≦X≦(100−35Y) …… ここで、 Y:炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウム
の平均粒径(単位:μφ) X:炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウム
の添加量(単位:重量%) 本発明においてポリフェニレンスルフイド(以下、PP
Sと略称することがある)とは、繰り返し単位の70モル
%以上(好ましくは85モル%以上)が構造式 で示される構成単位からなる重合体をいう。係る成分が
70モル%未満ではポリマの結晶性、熱転移温度等が低く
なりPPSを主成分とする樹脂組成物からなるフィルムの
特長である耐熱性、寸法安定性、機械的特性等を損な
う。
繰り返し単位の30モル%未満、好ましくは15モル%未
満であれば共重合可能なスルフィド結合を含有する単位
が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の30モル
%未満、好ましくは15モル%未満の繰り返し単位として
は、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単
位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基等の置換基
を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレ
ン単位、ビニレン単位、カーボネート単位などが具体例
としてあげられ、このうち1つまたは2つ以上共存させ
て構成することができる。この場合、該構成単位は、ラ
ンダム共重合、ブロック共重合いずれの形態でも差し支
えない。また、ポリマの末端または末端近くに該ポリマ
の主要構成単位 以外の構成単位が存在することはなんら差し支えない。
本発明において、ポリフェニレンスルフイドに対し
て、炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウム
が含有せしめられるものである。
また、本発明においては、炭酸カルシウムおよび/ま
たはケイ酸アルミニウムの真密度が4.5以下、より好ま
しくは、3.5以下であることが望ましい。該密度が、前
記範囲を超えると本発明の特長である軽量化の発現が難
しくなる。
さらに、スリット時の刃の耐摩耗性などの点から、モ
ース硬度が4以下の炭酸カルシウムおよび/またはケイ
酸アルミニウムが好ましい。これらのうち、単位重量当
たりの粒子コストの安価さやフィルム中における粒子周
り空隙の発生し易さによるフィルムの軽量化効果などか
ら炭酸カルシウム、特には、重質炭酸カルシウムが好ま
しい。
また、本発明の要件を満足する炭酸カルシウムおよび
/またはケイ酸アルミニウムを2種類以上混合して用い
てもよい。
本発明における炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸
アルミニウムの平均粒径Y(単位:μφ)ならびに炭酸
カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムの添加量
X(単位:重量%)は、請求項(1)に記載された
式、式、式の範囲を同時に満足することが必要であ
る。該平均粒径Yが、請求項(1)に記載された式の
範囲未満では本発明の軽量化効果がほとんど得られな
い。また該平均粒径Y、該添加量Xが請求項(1)に記
載された式、式の範囲を超えると製膜時にフィルム
破れを起こし易くなったり、キャストフィルム製造時に
用いる押出機のフィルターの目づまりが起き易くなるな
どフィルム生産性が悪化したり、フィルムの削れ性が悪
化したりするので好ましくない。また該平均粒径Yなら
びに該添加量Xが、請求項(1)に記載された式の範
囲を超えるとボイド生成による軽量化効果よりも炭酸カ
ルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムによる比重
増加が勝るためフィルムの軽量化効果の発現が極めて難
しくなったり、フィルムの削れ性が悪化したりする。ま
た、該式の範囲未満では、ボイド生成に伴うフィルム
内空隙の総体積が小さいためフィルムの軽量化効果がほ
とんど発現しない。
本発明の請求項(1)に記載の炭酸カルシウムおよび
/またはケイ酸アルミニウムを含有せしめた組成物から
主としてなるとは、ポリフェニレンスルフイドを50重量
%以上含む組成物をいう。ポリフェニレンスルフイドの
含有量が50重量%未満では、該組成物からなるフィルム
の特長である耐熱性、温度特性等を損なう。特に、該組
成物の重量から本発明の炭酸カルシウムおよび/または
ケイ酸アルミニウムの重量を引いた残りの組成物中にに
占めるPPSの重量割合が90重量%以上であることが好ま
しい。また該PPSの溶融粘度は、300℃、せん断速度200s
ec-1の下で500〜12000ポイズの範囲が好ましい。また、
本発明の炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニ
ウムの含有量が、本発明の要件を満たしていれば、他の
樹脂組成物や種々の添加剤等を含むことができる。
本発明は、上述したポリフェニレンスルフイドと炭酸
カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムを本発明
の要件を満足するように配合せしめることを特徴とする
が、本発明の目的とする最終フィルムの軽量化やクッシ
ョン性を得るためには、更に少なくとも1軸方向に延伸
することが必須である。
すなわち、該組成物を単に押出成形して得られた無配
向シートは、軽量性やクッション性の点で従来のポリフ
ェニレンスルフィドフィルムとほとんど変わらず、該無
配向シートを延伸することによって初めて軽量性やクッ
ション性が発現するのである。これについては、延伸過
程でPPSと炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミ
ニウムの界面に微細な独立気泡(ボイド)が生成するた
めであると推定される。また、PPSと炭酸カルシウムお
よび/またはケイ酸アルミニウムの本発明の要件による
組み合わせは、他の汎用樹脂、たとえばポリエチレンテ
レフタレートなどと炭酸カルシウムおよび/またはケイ
酸アルミニウムの組み合わせに比べ、軽量性やクッショ
ン性の効果がより明確に発現する。これについての理由
は定かではないが樹脂と炭酸カルシウムおよび/または
ケイ酸アルミニウムの親和性が影響しているもの考えて
いる。
本発明のポリフェニレンスルフィドフィルムの見掛け
比重は、0.50〜1.30の範囲(好ましくは、0.50〜1.10の
範囲)が望ましい。該範囲未満ではフィルム自体の強度
が小さく実用上取り扱いが難しくなり、また、該範囲を
超えるとフィルムの見掛け比重を下げて原料の量を減ら
すことによるコストダウンの効果が十分でなくなる。
本発明のポリフェニレンスルフィドフィルムのクッシ
ョン率は、9〜50%の範囲(好ましくは、12〜35%)が
望ましい。該クッション率が、前記範囲内にあると印字
基材として用いた場合のプリント印字適性が改良さる。
特に、前記範囲の上限以内にあると長尺フィルムのロー
ル巻姿も改善されるので望ましい。
本発明において、ポリフェニレンスルフィドフィルム
(以下、PPSフィルムと略称することがある)とは、ポ
リフェニレンスルフイドと本発明の炭酸カルシウムおよ
び/またはケイ酸アルミニウムを主成分とする組成物の
1軸配向フィルムまたは2軸配向フィルムであるが、本
発明の効果をより明確に発現させるためには2軸配向フ
ィルムの方が好ましい。該フィルムの厚さは、好ましく
は0.3〜150μmの範囲であるが、8〜125μmの範囲が
効果が大きい。該フィルムの平均表面粗さRa(カットオ
フ値0.25)は、特に限定されないが、巻回時の作業性な
どの点から、0.02〜0.30μm(カットオフ値0.25)、好
ましくは、0.03〜0.10μmの範囲が望ましい。またX線
回折法による結晶化度25%〜45%の結晶化フィルムであ
ることが好ましい。さらに、広角X線回折で2θ=20〜
21゜の結晶ピークについて求めた配向度OFがEnd方向お
よびEdge方向で0.07〜0.5、Through方向で0.6〜1.0の範
囲にある2軸配向フィルムであることが好ましい。次に
本発明のポリフェニレンスルフィドフィルムの製造法に
ついて説明する。
まず、本発明に使用するPPSの重合方法としては、硫
化アルカリとp−ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温高
圧下に反応させる方法を用いる。
特に、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN−
メチル−2−ピロリドン等のアミド系極性溶媒中で反応
させるのが好ましい。この場合、重合度を調製するため
に、苛性アルカリ、カルボン酸アルカリ金属塩等のいわ
ゆる重合助剤を添加して230〜280℃で反応させるのが最
も好ましい。重合系内の圧力および重合時間は、使用す
る助剤の種類や量および所望する重合度などによって適
宜決定される。
重合終了後、系を徐冷し、ポリマを析出させた後、水
中に投入してできるスラリーをフィルターで瀘別して粒
状ポリマを得る。得られた粒状ポリマは、必要に応じ
て、酢酸塩等の水溶液中で30〜100℃の温度で10〜60分
間攪拌処理後、イオン交換水にて30〜80℃の温度にて数
回洗浄を繰り返した後乾燥してポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)粉末を得る。
さらに、上記のようにして得られた粉状および/また
は粒状ポリマを酸素分圧30torr、好ましくは10torr、さ
らに好ましくは5torr以下の雰囲気下でNMPにて洗浄後、
イオン交換水にて30〜80℃の温度にて数回洗浄を繰り返
すことが本発明の効果をより明確に生じせしめる上で有
効である。この時のポリマ重量に対するNMPの重量は、
2倍以上が好ましく、また洗浄温度は60〜150℃が好ま
しいがこの限りではない。例えば、酸素分圧が上記範囲
にある不活性ガス雰囲気下でソックスレー抽出器にてNM
Pで抽出後、イオン交換水にて30〜80℃の温度にて数回
洗浄を繰り返す方法も有効である。このようにして得ら
れたポリマを乾燥する場合、上記のように、乾燥雰囲気
中の酸素分圧が30torr、好ましくは10torr、さらに好ま
しくは5torrであることが必要である。ここで、NMPによ
る洗浄時に酸素分圧が上記範囲を外れると得られたポリ
マの溶融結晶化温度Tmcが上昇し、フィルムの製膜性が
著しく悪化する。酸素分圧が上記範囲内でNMPによる洗
浄を行なったポリマのTmcは、通常160〜190℃の範囲と
なりフィルム製膜性も良好である。
このようにして得られたPPSに本発明の炭酸カルシウ
ムおよび/またはケイ酸アルミニウム、必要に応じて、
その他のポリマ、添加剤などを本発明の特許請求の範囲
の要件を満足するように混合添加して本発明の組成物を
作製する この時、本発明の炭酸カルシウムおよび/またはケイ
酸アルミニウムを沸点が180℃〜290℃(より好ましくは
180〜250℃)の液体にボールミル振動ミルなどで分散し
たスラリー状物(以下、微粒子スラリーということがあ
る)を作製し、該スラリー状物とPPSをヘンシェルミキ
サーなどのような高速攪拌にて均一に混合したのち得ら
れた混合物を、少なくとも1段のベンド孔を有する押出
機に供給し、該押出機中でまず溶融混練後、ベント孔か
ら該液体成分を除去し、適当な口金から押し出して、ポ
リフェニレンスルフィドを主体とする樹脂組成物を作製
する方法が本発明の効果を明確に発現させる上で望まし
い。
ここで、ヘンシェルミキサーなどのような高速攪拌に
て均一に混合したのち得られた該混合物は、少なくとも
1段のベント孔を有する押出機に供給され、該押出機中
でまず溶融混練された後、ベント孔から該液体成分を除
去し、適当な口金から押し出して、該樹脂組成物を得る
が、2段以上のベント孔を有する押出機を使用する場合
も、最終のベントはポリマが溶融状態で行なうべきであ
り、一部のベント孔から、未溶融状態の混合物中の液体
成分の一部を除去する場合でも、その割合は、該液体成
分の50重量%以下とすべきである。いずれにしても、押
出機のシリンダ中で、該液体、炭酸カルシウムおよび/
またはケイ酸アルミニウム、および溶融状態のポリマの
三者が共存する状態を作り出すことが必須である。この
ようにして、ポリマ中の該液体成分は、最終的に得られ
る樹脂組成物をベント孔のない押出機で加工した場合に
比べて発泡など液体の気化に伴う欠点の出ない程度にま
で除去される。
また、該液体の例としては、エチレングリコール、ト
リエチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジフェ
ニルエーテル、などが挙げられるが、前二者のように、
沸点以上の温度でポリフェニレンスルフイドを溶解する
ことのないものが好ましい。また、該スラリー中の炭酸
カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムの含有量
は、10〜70重量%の範囲が好ましい。
このようにして得られたPPS系組成物を特開昭55−111
235号に記載された周知の方法で押出機などに供給して
溶融し、Tダイから冷却ドラム上に押し出して無配向シ
ートとし該シートを95〜115℃の温度で縦に延伸し、さ
らに200℃以上、融点以下の温度で熱処理することによ
って1軸配向フィルムを得る。あるいは、該シートを95
〜115℃の温度で縦、横に同時、もしくは逐次2軸延伸
し、さらに200℃以上、融点以下の温度で熱処理して2
軸配向フィルムを得る。
また、本発明の請求項(3)または請求項(4)で記
載した見掛け比重あるいはクッション率のポリフェニレ
ンスルフィドフィルムを得るためには、請求項(1)ま
たは請求項(2)の炭酸カルシウムおよび/またはケイ
酸アルミニウムの遠心沈降法から得られるストークス直
径の累積分布曲線をロジンラムラー分布で表わした時の
均等数Nが(「粉体工学ハンドブック」p44、朝倉書
店、1972年出版参照)が5以上、好ましくは6以上であ
ることが望ましい。該均等数Nが前記範囲内にあると請
求項(3)または請求項(4)記載の特許要件の達成が
容易となる。
また、前記PPSの無配向シートを延伸して本発明のポ
リフェニレンスルフィドフィムを作製する際、95〜115
℃、好ましくは95〜105℃の温度で縦・横に同時、もし
くは、逐次2軸方式にて面積倍率で8倍以上、好ましく
は10倍以上に延伸することが本発明の請求項(3)また
は請求項(4)記載のポリフェニレンスルフィドフィル
ムを得るために有効である。
以上のようにして本発明のポリフェニレンスルフィド
フィルムを得る。
次に、本発明の記述に用いたポリマ、フィルム等の特
性値の測定・評価法について説明する。
(1) 炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニ
ウムの平均粒径 炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムを
メタノールあるいはエタノール等の分散媒中に添加し、
超音波分散法にて分散する。得られた炭酸カルシウムお
よび/またはケイ酸アルミニウムの稀薄分散液を平滑な
試料台上に滴下し、十分乾燥させ、平均粒径測定用サン
プルを作製する。あるいは、フィルムからPPSをプラズ
マ低温灰化処理法(たとえばヤマト科学製PR−503型)
で除去し炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニ
ウムを露出させ、平均粒径測定用サンプルを作製する。
該処理条件はPPSは灰化されるが炭酸カルシウムおよび
/またはケイ酸アルミニウムはダメージを受けない条件
を選択する。これをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察
し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメ
ージアナライザー(たとえばケンブリッジインストルメ
ント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えて粒子数50
00個以上で次の数値処理を行ない、それによって求めた
数平均径Dを平均粒径とした。
D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。
(2) フィルムの見掛け比重 軽液に、n−ヘプタン(0.68g/cm3)、重液に、四塩
化炭素(1.59g/cm3)を用いて、ASTM−D1505により測定
した。
(3) 難燃性 試料を20mm幅に切り出し、先端を炎にあて、該試料を
炎から遠ざけたときの試料の燃焼状態を次の基準で評価
した。
○:すぐ消える。
△:しばらく燃焼してから消える。
×:火が消えない。
(4) プリント時の印字適性 フィルム上にインク受容層を3μmコーティングした
後、シャープ製ビデオプリンターGZ−P10B/Wにてプリン
トし、プリント状態を観察して測定した。
○:印字、画像が良好。
×:印字、画像が不鮮明であり、一部欠落している。
(5) クッション率 三豊製ダイアルゲージ(No.2109−10、測定子:3mmφ
硬球)のスピンドル上部に10gの台座を取り付けスピン
ドルを持ち上げて測定台にセットしたサンプルの上にお
ろす。台座の上に50gの分銅を載せ、5秒後の厚みを読
み取り、この時の値をaμmとする。さらに台座の分銅
を500gのものと取り替えて、5秒後の厚みを読み取り、
この時の値をbμmとする。これらの値から次式により
クッション率Cを算出した。
C=100×(a−b)/a (ここで単位:%) (6) 削れ性 大栄科学精器製作所製の学振型染色物磨耗堅牢度試験
機にて、荷重216g/20mmでサラシ布を当て30回こすった
後サラシ布についた白粉の有無で評価し、白粉の発生し
たもの×印で、発生しなかったものを○印で示した。
(7) 炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニ
ウムの真密度 溶剤としてキシレンまたは、ヘキサメタリン酸ナトリ
ウム(0.003mol/L)水溶液を用いピクノメーター法にて
求めた。
[用途] 本発明のポリフェニレンスルフィドフィルムは、良好
な耐熱性とクッション性を有しているのでプリンター用
印字基材や像形成用材料として最適である。
また、モーターやトランスなどの絶縁材としても最適
である。たとえば、ハーメチックモーター、サーボモー
ター、車輛用モーターなどの各種モーターやガストラン
ス、オイルトランス、モールドトランスなどの各種変圧
器、発電機などの絶縁材として用いうる。
また、電線の被覆材、プリント基板、ベルト、ダイヤ
フラム、音響振動板や難燃性、軽量性をいかした壁紙な
どの内装材や耐熱ラベルなどにも適している。
また、本発明のポリフェニレンスルフィドフィルムの
片面あるいは両面に別のフィルム、たとえば、本発明以
外の1軸あるいは2軸配向ポリフェニレンスルフィドフ
イルムやヒートシール可能なフィルムあるいは耐熱性を
有する繊維シート、金属を貼り合わせたり、共押出し等
の手段で積層したりしても良い。また別の樹脂をコーテ
ィングしたりしてもよい。
[実施例] 次に、本発明の実施例を挙げて、さらに詳細に説明す
る。
実施例1〜3 ステンレス製オートクレーブに、硫化ナトリウム32.6
kg(250モル、結晶水40wt%を含む)、水酸化ナトリウ
ム100g、安息香酸ナトリウム36.1kg(250モル)、及び
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略称すること
がある)79.2kgを仕込み205℃で脱水したのち、1,4ジク
ロルベンゼン(p−DCBと略称する)37.5kg(255モ
ル)、及びNMP20.0kgを加え、265℃で4時間反応させた
後、系を室温まで冷却、得られたポリマのスラリーを水
200モル中に投入し、70℃で30分間攪拌後、ポリマを分
離する。このポリマをさらに約70℃のイオン交換水(ポ
リマ重量の9倍)で攪拌しながら5回洗浄後、約70℃の
酢酸カルシウムの5重量%水溶液にて窒素気流下にて約
1時間攪拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回
洗浄後、分離し、120℃、0.8〜1torrの雰囲気下で20時
間乾燥することによって白色のPPS粉末が得られた。さ
らに、このPPS粉末を市販の窒素ガス雰囲気下90℃のNMP
(PPSポリマ重量の3倍量)にて5分間〜1時間の攪拌
処理を1〜5回行ない、上記のようにして水洗、乾燥す
ることによって白色のPPS粉末を得た。
この粉末100重量部に、ロジンラムラー分布における
均等数Nが7.1かつ平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシウ
ムのエチレングリコールスラリー(固形分濃度50%)40
重量部加え、ヘンシェルミキサーを用いて50℃で高速攪
拌した。
この混合物を、1段のベント孔を有する異方向回転二
軸押出機に供給して、310℃で溶融し、ベント部で、溶
融状態の樹脂からポリエチレングリコールを除去した。
その後、溶融ポリマを3φの口金から押し出し、急冷後
ペレット状に切断して、炭酸カルシウムをポリマに対し
て16.7重量%含有した本発明のポリフェニレンスルフィ
ドを主体とする樹脂組成物を得た(樹脂Aとする)。
樹脂Aを40mm径のエクストルーダによって310℃で溶
融し、金属繊維を用いた95%カット孔径10μmのフィル
タで瀘過した後、長さ400mm、間隙1.5mmの直線状リップ
を有するTダイから押し出し、表面を25℃に保った金属
ドラム上にキャストして冷却固化し、厚さ300μmの未
延伸フィルムを得た。このフィルムをロール群から成る
縦延伸装置によって、フィルム温度100℃、延伸速度300
00%/分で3.7倍延伸し、続いてテンタを用いて、温度1
00℃、延伸速度1000%/分で3.4倍延伸し、さらに同一
テンタ内の後続する熱処理室で、270℃で10秒間緊張下
に熱処理して、厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを得
た(フィルムAとする)。
同様にして、平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシウム
の代わりに平均粒子径0.6μm(該均等数N=8.3)、平
均粒径1.1μm(該均等数N=7.5)の重質炭酸カルシウ
ムを用いて厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを得た
(フィルムB、フィルムCとする)。
実施例4〜5 平均粒子径0.6μmの重質炭酸カルシウムのPPSポリマ
に対する含有を11.0重量%、38.0重量%とする以外は、
実施例2と同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PPSフ
ィルムを得た(フィルムD、フィルムEとする)。
実施例6〜7 平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウムのPPSポリマ
に対する含有を8.0重量%、38.0重量%とする以外は、
実施例3と同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PPSフ
ィルムを得た(フィルムF、フィルムGとする)。
実施例8〜9 平均粒子径2.4μm(該均等数N=6.9)の重質炭酸カ
ルシウムのPPSポリマに対する含有を2.0重量%、15.0重
量%とする以外は、実施例1〜3と同様の方法にて厚さ
25μmの二軸配向PPSフィルムを得た(フィルムH、フ
ィルムIとする)。
実施例10 平均粒子径1.5μmの重質炭酸カルシウムの代わりに
平均粒径1.5μm(該均等数N=6.1)のケイ酸アルミニ
ウム(ジョージアカオリン)を用いる以外は、実施例1
と同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを
得た(フィルムJとする)。
実施例11 平均粒子径1.5μmの重質炭酸カルシウムの代わりに
平均粒径1.5μm(該均等数N=6.2)の重質炭酸カルシ
ウムを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて厚さ25
μmの二軸配向PPSフィルムを得た(フィルムKとす
る)。
実施例12 平均粒子径1.5μmの重質炭酸カルシウムの代わりに
平均粒径1.5μm(該均等数N=8.6)の重質炭酸カルシ
ウムを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて厚さ25
μmの二軸配向PPSフィルムを得た(フィルムLとす
る)。
比較例1〜2 平均粒子径1.5μmの重質炭酸カルシウムの代わりに
平均粒子径0.2μm(該均等数N=7.9)の軽質炭酸カル
シウムならびに、平均粒子径4.0μm(該均等数N=4.
8)の重質炭酸カルシウムを用いる以外は、実施例1と
同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを得
た(フィルムO、フィルムPとする)。
比較例3〜4 平均粒子径0.6μmの重質炭酸カルシウムのPPSポリマ
に対する含有を8.5重量%、43.0重量%とする以外は、
実施例2と同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PPSフ
ィルムを得た(フィルムQ、フィルムRとする)。
比較例5〜6 平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウムのPPSポリマ
に対する含有を6.5重量%、43.0重量%とする以外は、
実施例3と同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PPSフ
ィルムを得た(フィルムS、フィルムTとする)。
比較例7〜8 平均粒子径2.4μmの重質炭酸カルシウムのPPSポリマ
に対する含有を0.8重量%、18.0重量%とする以外は、
実施例8〜9と同様の方法にて厚さ25μmの二軸配向PP
Sフィルムを得た(フィルムU、フィルムVとする)。
比較例9 平均粒子径1.5μmの重質炭酸カルシウムの代わりに
平均粒径0.27μm(該均等数N=7.3)のJISI号亜鉛華
を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて厚さ25μm
の二軸配向PPSフィルムを得た(フィルムWとする)。
(評価) 表1、2に得られたポリマおよびフィルムの評価結果
を示す。
本発明の特許要件を満たす本発明のフィルムは、軽量
かつクッション性に富んでおり、印字適性、削れ性も優
れていることがわかる。また実施例1〜12のフィルムの
難燃性の評価はすべて「○」であり良好であった。
[発明の効果] 本発明のフィルムは、以上のような構成とした結果、
耐熱性、難燃性、耐湿熱性などの特性に優れているのみ
ならず、従来の配向PPSフィルムに比べ軽量性に優れ、
かつ良好なクッション性を有している。また、本発明の
フィルムは、従来の配向PPSフィルムに用いたものに比
べ単位体積あたりの原料ポリマ量を少なくできるためフ
ィルムのコストダウンも図れる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 81:02 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/18 C08J 9/00 - 9/42 B29C 55/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリフェニレンスルフィドに対し、下記
    式および式および式を満足するように炭酸カルシウ
    ムおよび/またはケイ酸アルミニウムを含有せしめた組
    成物から主としてなり、かつ少なくとも1軸方向に延伸
    されていることを特徴とするポリフェニレンスルフィド
    フィルム。 0.4≦Y≦2.5 …… X≦40 …… (13−5Y)≦X≦(100−35Y) …… ここで、 Y:炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムの
    平均粒径(単位:μφ) X:炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アルミニウムの
    添加量(単位:重量%)
  2. 【請求項2】炭酸カルシウムおよび/またはケイ酸アル
    ミニウムの真密度が4.5以下であることを特徴とする請
    求項(1)記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。
  3. 【請求項3】見掛け比重が0.50〜1.30であることを特徴
    とする請求項(1)または(2)記載のポリフェニレン
    スルフィドフィルム。
  4. 【請求項4】クッション率が10〜50%であることを特徴
    とする請求項(1)〜(3)のいずれかに記載のポリフ
    ェニレンスルフィドフィルム。
JP27270389A 1989-10-18 1989-10-18 ポリフェニレンスルフィドフィルム Expired - Lifetime JP2903569B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27270389A JP2903569B2 (ja) 1989-10-18 1989-10-18 ポリフェニレンスルフィドフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27270389A JP2903569B2 (ja) 1989-10-18 1989-10-18 ポリフェニレンスルフィドフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03134029A JPH03134029A (ja) 1991-06-07
JP2903569B2 true JP2903569B2 (ja) 1999-06-07

Family

ID=17517613

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27270389A Expired - Lifetime JP2903569B2 (ja) 1989-10-18 1989-10-18 ポリフェニレンスルフィドフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2903569B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007169521A (ja) * 2005-12-22 2007-07-05 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリフェニレンサルファイド系樹脂製フィルム
JP2011140150A (ja) * 2010-01-06 2011-07-21 Toray Ind Inc 積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03134029A (ja) 1991-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0662848B2 (ja) ポリアリーレンサルファイド組成物の製造方法
DE69913969T2 (de) Verfahren zur herstellung von porösem kalziniertem polyimid
JP2020075481A (ja) 熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法
JP7272263B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドフィルム
JP2903569B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドフィルム
CN112500686B (zh) 一种树脂组合物及其应用
CN107614256B (zh) 叠层膜及其制造方法
JP2009062472A (ja) ポリフェニレンスルフィドフィルムおよびそれからなるコンデンサ
JP5587771B2 (ja) ポリフェニレンサルファイド樹脂製回路基板用離型フィルム及び積層体
DE69109311T2 (de) Schichtstoffe und Verfahren zu ihrer Herstellung.
JP2841561B2 (ja) 積層体
JPS63245464A (ja) ポリ−p−フエニレンスルフイド樹脂組成物
JPS62156139A (ja) ポリ−p−フエニレンスルフイドフイルム
US5256234A (en) Laminate and process for producing it
JP3378460B2 (ja) 水酸基末端パラ配向芳香族ポリアミドおよびその多孔質フィルム
JPH0320354A (ja) 金属基板用フィルム
JP3099986B2 (ja) 2軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフィルム
JP3536482B2 (ja) 電気絶縁フィルムおよび電気絶縁テープ
JPS63130333A (ja) 易滑性ポリアリ−レンチオエ−テルフイルムおよびその製造法
JP3099981B2 (ja) 2軸配向ポリ−p−フェニレンスルフィドフィルム
JP4259086B2 (ja) 二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム
JP2016097518A (ja) ポリフェニレンスルフィドフィルム
JP2024070340A (ja) ポリフェニレンサルファイドフィルム
JP2023142607A (ja) ポリアリーレンスルフィドフィルム、および回路基板
JP2023050160A (ja) 二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080326

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090326

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090326

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326