JPH0532002Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案はコンパクト容器に係り、特に開口方式
を改良したコンパクト容器に関するものである。

〈従来の技術〉 従来より、化粧料等を収納するためのコンパク
ト容器は、夫々所定位置に係合部を形成した身と
蓋とをヒンジ部を介して開閉自在に構成し、身と
蓋とに形成した係合部を互いに噛合することによ
りコンパクト容器を密閉状態に保持すると共に、
前記係合部の噛合を解除することによりコンパク
ト容器を開放し得るように構成されている。

上記したコンパクト容器に於いて、係合部の噛
合が弱いと蓋が不用意に開いたり、身と蓋が密閉
されず空気中の埃等がコンパクト容器内に侵入し
たりする恐れがあり、このため前記係合部は互い
に緊密に噛合することが出来るような形状及び寸
法をもつて構成されている。

ところが、コンパクト容器に上記した如き係合
部を構成した場合には、蓋を開放する際に多大な
力が必要となる。このため従来よりこのようなコ
ンパクト容器の蓋を開放するための種々の機構が
提案されている。

上記した如きコンパクト容器には、実公昭60−
18167号公報に示されるように、操作部材の両側
面に取付軸を突設し、この取付軸を容器本体に形
成した取付孔に嵌入させて操作部材を容器本体に
対し縦回動自在に設け、押上部により起立片を押
し上げることによつてフツクの係合を解くように
した技術や、または同61−12005号公報に示され
るように、容器体にスペーサを設け、このスペー
サ上面に軸受凹部を穿設し、回転板の左右両端に
設けたピン軸を軸受凹部に嵌合して回転板を回動
自在に設け、回転板の前部を押し下げるとピン軸
を中心とする回動によつて回転板後部が蓋体下面
部分を押し上げて第１，第２係合子の係合を外す
ようにした技術や、或いは実開昭59−193166号公
報に示される技術がある。

〈考案が解決しようとする課題〉 上記した従来の技術はいずれもフツクの噛合を
解除するための解除部材を容器の身体に回動自在
に設けたものであり、この回動支点となる軸或い
は軸受部を解除部材または容器の身体と一体的に
形成したものである。

このような軸或いは軸受部を身体に形成するた
めには、形成部分に軸径及び軸径の何倍からの厚
みを必要とし、従つて身体の厚さを厚くしなけれ
ばならないという問題がある。

また上記した軸或いは軸受を形成するために、
解除部材または身体を成形するための金型がそれ
だけ複雑な形状となり、従つて金型コストが上昇
するという問題がある。

また前記軸を解除部材或いは身体と一体的に形
成せず、蝶番ピンを使用しているものもあるが、
この場合この蝶番ピンが外から見えてしまうため
美的外観を損なうという問題があり、且つコスト
的にも高くなるという問題がある。

本考案は上記事情に鑑み開発されたものであ
り、本考案の目的は単純な形状のフツクピースに
より係合部の噛合を確実に解除し得ると共に、全
体の厚さを薄くすることが出来るコンパクト容器
を提供することにある。

〈課題を解決するための手段〉 本考案は、身と蓋とを開閉自在に螺着してなる
コンパクト容器に於いて、先端部を低くかつ元端
部を高く段状に形成した水平押上板の下面にヒン
ジ部を有する垂直脚を突設してなる押上部材の該
先端部を前記容器の開口部の身と蓋との間に介在
せしめ、かつ前記垂直脚を身に揺動自在に枢着す
ると共に水平押上板の先端部を蓋の下面或いは蓋
のフツクの下面に当接して構成したことを特徴と
したコンパクト容器である。

〈作用〉 本考案に於いては上述の如く、身と蓋とを開閉
自在に螺着してなるコンパクト容器に於いて、先
端部を低くかつ元端部を高く段状に形成した水平
押上板の下面にヒンジ部を有する垂直脚を突設し
てなる押上部材の該先端部を前記容器の開口部の
身と蓋との間に介在せしめ、かつ前記垂直脚を身
に揺動自在に枢着すると共に水平押上板の先端部
を蓋の下面或いは蓋のフツクの下面に当接して構
成したので、垂直脚を簡単かつ確実に身に取り付
けることが出来、又水平押上板の先端部を蓋の下
面或いは蓋のフツクの下面に当接したので、この
水平押上板の元端部を押し下げることによつて全
体をテコ状に大きく揺動させて蓋の開口部を押し
上げ、これによつてフツクを開放して蓋を持ち上
げて開放することが出来る。

〈実施例〉 図により本考案に係る容器の一実施例を具体的
に説明すると、第１図乃至第４図に於いて、身１
の奥側部には蝶番ピン２を介して蓋３が開閉自在
に螺着されている。身１には数種類の化粧料４が
充填され、かつ蓋３の天井面には鏡５が設けら
れ、更に容器の開口部側には身１と蓋３とに夫々
相互に噛合し得るフツク６，７が設けられてい
る。

次に８は所定の幅と厚さを有する押上部材であ
つて、高さの低い先端部９ａと高さの高い元端部
９ｂとを段状に連結して構成したクランク状水平
押上板９の上記元端部９ｂの下面に垂直脚１０を
突設して全体がＴ形状に構成されている。又垂直
脚１０の下側部にはカギ状突起１０ａが突設され
ている。前記身１の開口部中央には前記押上部材
８の垂直脚１０を揺動自在に嵌着し得る縦穴１１
が穿孔され、かつこの縦穴１１の上端奥側入口部
には前記垂直脚１０のカギ状突起１０ａに係合し
得る突条１１ａが突設され、かつその上端開口側
入口部には傾斜面１１ｂが設けられている。又蓋
３の開口側縁部中央には前記水平押上板９の元端
部９ｂを挿入し得る切欠１２が穿設されている。

又上記実施例に於いて、蓋３の切欠１２の内径
は水平押上板９の元端部９ｂの外径とほぼ等しく
構成されている。

更に本考案に於いては前記垂直脚１０の元部片
壁にＶ状切欠を穿設してヒンジ部１３を構成して
いる。

本考案に係る容器の組立構成に当たつては、押
上部材８の垂直脚１０の身１の穴１１に嵌入して
押上部材８を身１の開口部に揺動自在に枢着し、
かつ押上部材８の水平押上板９の先端部９ａを蓋
３の開口部の下面に挿入することによつて全体を
組立構成することが出来る。

本考案に係る容器の使用に当たつて蓋３を開く
には、押上部材８の水平押上板９の元端部９ｂを
下方に押し下げると、特に第４図に示す如く、こ
の水平押上板９が垂直脚１０と共に全体で揺動す
ると同時に垂直脚１０のヒンジ部１３のヒンジ効
果でこの部分に於いてもテコ状に大きく揺動し、
水平押上板９の先端部９ａによつて蓋３を大きく
押し上げ、フツク６，７の噛合を強制的に開放
し、蓋３を開くことが出来る。

蓋３を閉じる際には蓋３を下方に押圧すると、
蓋３の下面で水平押上板９の先端部９ａを押し下
げ、押上部材８を元の水平状態に戻し、その元端
部９ｂを蓋３の切欠１２に挿入し、更にフツク
６，７を相互に噛合して開口部を閉鎖することが
出来る。

上記実施例に於いては押上部材８の水平押上板
９の先端部９ａで蓋３を直接に押し上げるように
構成したが、第５図に示す如く、水平押上板９の
先部を更に下方に段々状に伸長してその最先端部
９ｃを蓋３のフツク７の下面に当接するように構
成した場合には、押上部材８を押圧することによ
つて最先端部９ｃでフツク７を押し上げて蓋３を
開くことが可能である。

〈考案の効果〉 本考案に係る容器に於いては上述の如き構造を
有するので、押上部材のヒンジ部を有する垂直脚
を身体の縦穴に揺動自在に取り付けることが出
来、従つて従来の凹凸嵌合の如き精度を不要と
し、形成寸法の誤差による嵌合不良の発生を防止
することが出来、かつ押上部材を単純な作業によ
つて身に簡単かつ確実に取り付けることが出来、
又押上部材は全体を揺動させると同時に垂直脚に
設けられたヒンジ部で更に大きく揺動させること
が出来るので、テコの原理によつて蓋を大きく押
し上げて簡単に開くことが出来、構成部品は簡単
な構成であるので、金型コストを低減させること
が出来、更に押上部材を蓋の切欠に挿入するよう
にしたので容器全体を薄く体裁良く構成すること
が出来る等の多大な効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンパクト容器の斜視図、第２図はコ
ンパクト容器の断面図、第３図は要部説明図、第
４図はコンパクト容器を開放する場合の説明図、
第５図は他の実施例の説明図である。 １は身、２はピン、３は蓋、６，７はフツク、
８は押上部材、９は水平押上板、９ａは先端部、
９ｂは元端部、１０は垂直脚、１１は縦穴、１２
は切欠、１３はヒンジ部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 身と蓋とを開閉自在に螺着してなるコンパクト
   容器に於いて、先端部を低くかつ元端部を高く段
   状に形成した水平押上板の下面にヒンジ部を有す
   る垂直脚を突設してなる押上部材の該先端部を前
   記容器の開口部の身と蓋との間に介在せしめ、か
   つ前記垂直脚を身に揺動自在に枢着すると共に水
   平押上板の先端部を蓋の下面或いは蓋のフツクの
   下面に当接して構成したことを特徴としたコンパ
   クト容器。