JPH05319127A - 車両の差動制限装置 - Google Patents

車両の差動制限装置

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JPH05319127A
JPH05319127A JP15574992A JP15574992A JPH05319127A JP H05319127 A JPH05319127 A JP H05319127A JP 15574992 A JP15574992 A JP 15574992A JP 15574992 A JP15574992 A JP 15574992A JP H05319127 A JPH05319127 A JP H05319127A
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differential
state
differential limiting
vehicle
predetermined
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JP15574992A
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Hideji Hiruta
秀司 昼田
Nobuyuki Nakamura
信之 中村
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の差動制限装置において、省エネと小型
化と耐久性向上とを図ること。 【構成】 4輪駆動車のフロントデフとセンタデフとリ
ヤデフとに夫々差動制限の為の電磁多板クラッチを設
け、これら電磁多板クラッチの作動モード(Fモード、
Rモード、Cモード、Autoモード)を選択的に設定
するモード設定スイッチを設け、通常の運転状態のとき
には、電流フラグCFをリセットしてデフを中間ロック
状態にし、また、プロペラ軸やデフに大きなトルクが作
用する発進時、1速段又は後進段のとき、副変速機が低
速段のとき、加速時等には、その開始時点から所定時間
の間、電流フラグCFをセット状態としてデフを完全ロ
ック状態にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の差動制限装置に
関し、特に設定スイッチ手段を介して差動制限装置を所
定締結状態に作動させ、且つトルク増大時に差動制限装
置の締結力を所定締結状態以上に高めるように構成した
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、4輪駆動車には、左右の前輪間
のフロントデファレンシャルと、左右の後輪間のリヤデ
ファレンシャルと、旋回時に前後輪の軌跡差によるスリ
ップの発生を防止する為に前後輪の車軸間に設けられた
センタデファレンシャルとを備えており、特開平3−2
00424号公報には、前記のような4輪駆動車におい
て、各デファレンシャルに設けた電磁クラッチにより、
各デファレンシャルをロック状態とアンロック状態とに
切り換え可能に構成し、スイッチ手段から制御回路にデ
フロックが指令された場合にのみ、電源から制御回路に
電力を供給して指令されたデファレンシャルをロック状
態に切り換えるように構成した車両のデフロック装置が
記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記公報に記載のデフ
ロック装置では、差動制限時にはデファレンシャルをフ
ルのロック状態に切り換えるように構成してあるため、
消費電力が多くなること、装置の耐久性が低下すること
等の問題がある。この種のデフロック装置において、必
要な締結力を発生させる為には、(a)デフロック装置
内のクラッチを大型化して締結面を大きくする方法と、
(b)クラッチを小型化して締結力を大きくする方法と
がある。ここで、装置の耐久性を高める為には前記
(a)を採用することが望ましいが、車載機器のレイア
ウト性及び最低地上高の確保等の要求から、前記(a)
を採用することは難しい。本発明の目的は、差動制限用
のクラッチの小型化を図りつつ、クラッチの耐久性を高
め得るような車両の差動制限装置を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両の差動制
限装置は、デファレンシャルの差動を締結力を付加して
制限する差動制限手段と、この差動制限手段を所定値の
締結力で作動させるように設定する為の設定スイッチ手
段とを備えた車両の差動制限装置において、前記デファ
レンシャルに作用するトルクが増大する所定状態になる
ことを直接的又は間接的に検出する検出手段と、前記デ
ファレンシャルが前記所定値の締結力で差動制限された
状態において、前記所定状態が検出されたときには、前
記差動制限手段の締結力を前記所定値以上に高める制御
手段とを備えたものである。
【0005】尚、前記検出手段が検出する所定状態とし
ては、エンジン出力が所定値以上の状態、変速段が低段
位の状態、主変速機と副変速機とを備えた変速機におけ
る副変速機が低速段の状態、前記デファレンシャルに差
動が生じた状態、プロペラシャフトに所定以上のトルク
が作用する状態、等の何れか1つの状態を挙げることが
出来る。
【0006】請求項8の車両の差動制限装置は、請求項
1の装置において、前記制御手段は、前記所定状態にな
ってから所定期間の間、前記差動制限手段の締結力を前
記所定値以上に高めるように構成されている。
【0007】
【作用】請求項1の車両の差動制限装置においては、設
定スイッチ手段の設定に基いて差動制限手段が所定値の
締結力でデファレンシャルの差動を制限し、検出手段
は、デファレンシャルに作用するトルクが増大する所定
状態になることを直接的又は間接的に検出し、制御手段
は、デファレンシャルが差動制限手段により前記所定値
の締結力で差動制限された状態において、前記所定状態
が検出されたときには、差動制限手段の締結力を前記所
定値以上に高める。
【0008】このように、通常の差動制限状態では、差
動制限手段を所定値の締結力で作動させ、所定状態が検
出されたときだけ差動制限手段の締結力を前記所定値以
上に高めるので、差動制限手段における消費エネルギー
を節減でき、差動制限手段を小型化した場合にもその耐
久性を向上でき、所定状態のときには締結力を高めて十
分な差動制限機能を発揮できる。請求項8の車両の差動
制限装置においては、前記所定状態になってから所定期
間の間、前記差動制限手段の締結力を前記所定値以上に
高めるので、所定期間中には十分な差動制限機能を発揮
しつつ、その後の過剰な差動制限を解消できる。
【0009】
【発明の効果】前記作用の欄で説明したように、本発明
によれば次の効果が得られる。請求項1の車両の差動制
限装置によれば、検出手段と制限手段を設け、通常の差
動制限状態では、差動制限手段を所定値の締結力で作動
させ、デファレンシャルに作用するトルクが増大した所
定状態が検出されたときだけ差動制限手段の締結力を前
記所定値以上に高めることにより、差動制限手段におけ
る消費エネルギーを節減でき、また、差動制限手段を小
型化した場合にもその耐久性を向上でき、所定状態のと
きには締結力を高めて十分な差動制限機能を発揮でき
る。請求項8の車両の差動制限装置によれば、前記所定
状態になってから所定期間の間、前記差動制限手段の締
結力を前記所定値以上に高めるので、所定期間中には十
分な差動制限機能を発揮しつつ、その後の過剰な差動制
限を解消できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明する。図1は、4輪駆動車の駆動系及び差動制
限装置の全体構成図であり、この図1に示すように、エ
ンジン1には変速機2が接続され、この変速機2は主変
速機とこれに連動連結された副変速機とからなる前進5
速・後進1速の変速機である。前記変速機2には、トラ
ンスファ3が接続され、このトランスファ3には、エン
ジン1の出力を前輪4a、4bに伝達するフロントプロ
ペラ軸5とエンジン1の出力を後輪4c、4dに伝達す
るリヤプロペラ軸6が接続されている。
【0011】前記フロントプロペラ軸5には、フロント
アクスル7を介して左右の前輪4a、4bが接続され、
また、リヤプロペラ軸6には、リヤアクスル8を介して
左右の後輪4c、4dが接続されている。前記トランス
ファ3には、センタデファレンシャル9(以下、センタ
デフという)が設けられ、フロントアクスル7には、フ
ロントデファレンシャル10(以下、フロントデフとい
う)が設けられ、リヤアクスル8には、リヤデファレン
シャル11(以下、リヤデフという)が設けられてい
る。
【0012】次に、図2に基いて、前記センタデフ9に
組み込まれた電磁多板クラッチ30について説明する
と、この電磁多板クラッチ30は、センタデフ9をアン
ロック状態、中間ロック状態(これが、所定値の締結力
での締結状態に相当する)、完全ロック状態の3つ状態
に亙って択一的に切り換えるものである。この電磁多板
クラッチ30は、フロントプロペラ軸5とリヤプロペラ
軸6との差動を制限できるものであれば、どのような形
式のものでもよいが、本実施例の電磁多板クラッチ30
は、複数枚のインナディスクとアウタディスクとからな
るクラッチ板31とこのクラッチ板31に押圧力を発生
させる電磁アクチュエータ32とから構成されている。
【0013】図中、33は軸受、34は一方のプロペラ
軸に連結された伝動部材、35は他方のプロペラ軸に連
結された伝動部材である。前記電磁アクチュエータ32
は、ソレノイド36(SOL C)に電流が流れるときに発
生する磁力でアーマチュア37がクラッチ板31を押圧
するように構成されている。この電磁多板クラッチ30
においては、ソレノイドSOL Cに流れる電流とクラッチ
板31を摩擦係合させる押圧力つまり電磁多板クラッチ
30で伝達するトルクとが比例関係にあるため、センタ
デフ9の作動回転数を電流の増減により連続的に変化さ
せることが出来る。更に、前記フロントデフ10にも前
記同様の電磁多板クラッチ(ソレノイドSOL Fを備えて
いる)が設けられ、また、リヤデフ11にも前記同様の
電磁多板クラッチ(ソレノイドSOL Rを備えている)が
設けられているが、同様のものなのでそれらの説明は省
略する。
【0014】次に、図1に基いて前記3つの電磁多板ク
ラッチ、つまり3つのソレノイドSOL F,C,Rを制御
する制御系について説明する。先ず、スイッチ類やセン
サ類として、左右の前輪4a,4b及び左右の後輪4
c,4dの回転速度を検出する車輪速センサ12a,1
2b,12c,12dと、リヤプロペラ軸6の回転位相
を検出する1対の位相検出センサ15a,15bからな
りリヤプロペラ軸6に作用するトルクを検出するトルク
センサ15と、エンジン1のスロットル開度を検出する
スロットル開度センサ16と、変速機2の変速段を検出
する変速段スイッチ17と、副変速機の変速段を検出す
る副変変速段スイッチ18と、エンジン1と変速機2間
のクラッチのON(接続)、OFF(非接続)を検出す
るクラッチスイッチ19と、前記センタデフ9とフロン
トデフ10とリヤデフ11の作動モードを設定する為の
モード設定スイッチ20等が設けられており、これらセ
ンサ類やスイッチ類からの信号がコントロールユニット
21に入力されている。尚、符号22はバッテリであ
る。
【0015】前記センサ12a〜12dは、例えば電磁
ピックアップセンサからなり、前記トルクセンサ15を
構成する位相センサ15a,15bは、リヤプロペラ軸
6にトルクが作用してない状態においてリヤプロペラ軸
6が1回転する毎に同時に1つのパルスを発生する電磁
ピックアップセンサからなり、前記スロットル開度セン
サ16は、例えばポテンショメータからなる。
【0016】前記コントロールユニット21は、センサ
類やスイッチ類からの検出信号を必要に応じて波形整形
する波形整形回路とスロットル開度センサ16からの検
出信号をA/D変換するA/D変換器を含む入出力イン
タフェース、マイクロコンピュータ、3つのソレノイド
SOL F,C,Rの為の駆動回路、等からなり、マイクロ
コンピュータのROMには、後述の差動制限制御の制御
プログラムが予め入力格納され、またマイクロコンピュ
ータのRAMには差動制限制御の為のメモリやカウンタ
等が設けられている。
【0017】次に、前記センタデフ9とフロントデフ1
0とリヤデフ11に対する差動制限制御の概要について
説明する。前記モード設定スイッチ20は、前記3つの
デフ9〜11の作動モードを設定する為のスイッチであ
り、AUTO(Aモード)、C(Cモード)、R(Rモ
ード)及びF(Fモード)を択一的に設定可能に構成さ
れ、これら作動モードとデフの種類と制御内容は、表1
に示す通りである。
【表1】
【0018】表1について説明すると、Aモードにおい
ては、フロントデフ10がアンロック状態とされ、セン
タデフ9とリヤデフ11とがオートモード制御に設定さ
れる。Cモードにおいては、フロントデフ10がアンロ
ック状態とされ、センタデフ9が中間ロック状態とされ
(但し、デフに作用するトルクが増大する所定状態で
は、完全ロック状態とされる)、リヤデフ11がオート
モード制御に設定される。Rモードにおいては、フロン
トデフ10がアンロック状態とされ、センタデフ9及び
リヤデフ11が中間ロック状態とされる(但し、デフに
作用するトルクが増大する所定状態では、完全ロック状
態とされる)。Fモードにおいては、フロントデフ10
及びセンタデフ9及びリヤデフ11の全部が中間ロック
状態とされる(但し、デフに作用するトルクが増大する
所定状態では、完全ロック状態とされる)。
【0019】前記作動モードは、モード設定スイッチ2
0を介して運転者により任意に設定されるが、Aモード
においては、フロントデフ10がアンロック状態とされ
ているため、駆動性に影響が少なく操作性に優れてお
り、市街地等の通常路をオンロード走行するのに適して
いる。一方、Fモードにおいては、全部のデフが中間ロ
ック状態とされるため操作性が若干低下するが駆動性に
優れており、悪路等を走行するオフロード走行に適して
いる。Cモード及びRモードは、これらの中間の特性を
有し、運転者の好みに応じて選択される。
【0020】ところで、本発明の差動制限制御は、前記
運転者により設定されるた作動モードで制御しつつも、
デフやプロペラ軸に作用するトルクが増大する所定状態
を検出し、その所定状態になったときには、中間ロック
状態にて差動制限しているデフを完全ロック状態に切り
換えて所定時間の間その完全ロック状態に保持すること
により駆動性を高めようとするものである。次に、この
差動制限制御について、図3、図4のフローチャートに
基いて説明するが、図中符号Si(i=1、2、3、・
・・)は各ステップを示す。制御の開始後、この制御に
必要な各種信号が読み込まれる。この各種信号として
は、モード設定スイッチ20からのモード信号MS、ク
ラッチスイッチ19からのクラッチ信号CS、スロット
ル開度信号θ、車輪速センサ12a〜12dからの車輪
速信号Va,Vb,Vc,Vd、変速段スイッチ17か
らの変速段信号TS、副変速機の変速段スイッチ18か
らの副変変速段信号VTS等が読み込まれる(S1)。
【0021】次に、タイマフラグTFがセット状態か否
か判定して(S2)、Noのときには、S3において、
例えば車輪速信号Va〜Vdの各々から演算された車体
速の最小値として求めた車速Vがほぼ零で且つクラッチ
がON状態か否か、つまり発進状態か否か判定し、発進
状態のときにはS8へ移行し、NoのときにはS4へ移
行する。次に、S4において変速機2が大トルクの1速
段(1st)又は後進段(Rev)か否か判定し、Ye
sのときにはS8へ移行し、NoのときにはS5へ移行
する。次に、S5において副変速機が大トルクを要求す
る低速段(Low)か否か判定し、YesのときにはS
8へ移行し、NoのときにはS6へ移行する。次に、S
6においてスロットル開度θが所定値C以上か否か、つ
まり加速状態か否か判定し、YesのときにはS8へ移
行し、NoのときにはS7へ移行する。
【0022】前記S3〜S6の判定の結果が全てNoの
場合、つまり比較的低トルクの通常の走行状態の場合や
加速中でない場合には、S7においてデフ9〜11のソ
レノイドSOL C,F,Rへの駆動電流Iの大きさを指定
する為の電流フラグCFがリセットされ、制御は、図4
のS14へ移行する。尚、後述のように、電流フラグC
Fがリセット状態のときはデフ9〜11を中間ロック状
態とする為駆動電流Iが2.5Aに、また電流フラグC
Fがセット状態のときはデフを完全ロック状態とする為
駆動電流Iが4.0Aに設定される。
【0023】次に、後述するS14〜S21の制御が実
行されて、S1へ戻りS1以降の制御が所定微小時間お
きに繰り返し実行されるが、S3〜S6の何れかのステ
ップにおいてYesと判定されると、S8へ移行してソ
フトタイマTM(そのカウント値をTMとする)に所定
時間TM0(例えば、5秒)が設定され、次にタイマフ
ラグTFがセットされ(S9)、次に電流フラグCFが
セットされ(S10)、S14へ移行する。このタイマ
フラグTFがセットされると、次回にはS2の判定がY
esとなってS2からS11へ移行し、タイマのカウン
ト値TMが正か否か判定し、前記所定時間TM0の経過
前は、S11の判定がYesで、S11からS12へ移
行してタイマTMがカウントダウンされてからS10へ
移行する。前記所定時間TM0の経過前は、S2、S1
1、S12、S10のステップが実行されるため、電流
フラグCFがセット状態に保持され、所定時間TM0の
経過後には、S11の判定がNoとなるためS11から
S13へ移行してタイマフラグTFがリセットされ、S
13からS7へ移行する。つまり、前記所定時間TM0
の経過後には、再び電流フラグCFがリセット状態に切
り換えられることになる。
【0024】次に、図2に基いてS14以降のステップ
について説明すると、前記のように、車速Vやエンジン
1の状態や変速機2の状態に応じて電流フラグCFが設
定され、S14以降の制御では、この電流フラグCFと
作動モードに基いてフロントデフ10とセンタデフ9と
リヤデフ11の電磁多板クラッチ30のソレノイドSOL
F,C,Rが駆動されることになる。S14においては
モード信号MSに基いて作動モードを判定し、Fモード
のときは、S15においてソレノイドSOL F,C,Rに
電流フラグCFに応じた駆動電流Iが出力され、その後
S1へ戻る。但し、電流フラグCF=0のときには、駆
動電流Iが2.5Aに設定されてデフ9〜11が中間ロ
ック状態にされ、また、電流フラグCF=1のときに
は、駆動電流Iが4.0Aに設定されてデフ9〜11が
完全ロック状態にされる。
【0025】一方、FモードでないときにはS15から
S16へ移行し、S16においてRモードか否か判定さ
れ、RモードのときはS16からS17へ移行し、S1
7においてソレノイドSOL C,Rに電流フラグCFに応
じた駆動電流Iが出力され、その後S1へ戻る。但し、
電流フラグCFと駆動電流Iの関係は前記と同様であ
る。一方、FモードやRモードでないときには、S18
においてCモードか否か判定され、Cモードのときに
は、S19へ移行し、S19において、ソレノイドSOL
Cに、電流フラグCFに応じた駆動電流Iが出力され、
その後S1へ戻る。但し、電流フラグCFと駆動電流I
の関係は前記と同様である。更に、Aモードのときは、
S20においてYesと判定されてS21へ移行し、S
21においてソレノイドSOL C,Rに対してオートモー
ド制御により設定された駆動電流Iが出力され、その後
S1へ戻る。
【0026】次に、図5〜図10に基いて、デフ9〜1
1の電磁多板クラッチ30のソレノイド駆動電流Iを自
動的に設定するオートモード制御について説明する。図
5は、オートモード制御における車速演算ルーチンであ
り、S30において4つの車輪速センサ12a〜12d
からの車輪速Va,Vb,Vc,Vdが読み込まれ、次
にS31において、前記と同様に車輪速Va,Vb,V
c,Vdの各々から求められる最小の車体速が車速Vと
して演算される。図6は、オートモード制御におけるセ
ンタデフ9の差動回転数演算のルーチンであり、S40
において車輪速Va,Vb,Vc,Vdが読み込まれ、
次にS41において、センタデフ差動回転数ΔNcが図
示の式にて演算される。
【0027】図7は、オートモード制御におけるセンタ
デフ9の駆動電流Iを演算設定するルーチンであり、S
50において駆動電流Iが演算されるが、この駆動電流
Iは、センタデフ9の差動回転数ΔNcと、スロットル
開度θとに基いて設定される。図8は電流値I1と差動
回転数ΔNcの関係を示す線図であり、図9は電流値I
2とスロットル開度θの関係を示す線図である。即ち、
電流値I1とI2の何れか一方が最大電流Imax(但
し、Imaxは、例えば4.0A)となった場合に、駆
動電流I=Imaxとする。電流値I1とI2の両方共
最大電流Imax未満の場合には、電流値I1と電流値
I2とを用いて所定の演算式により駆動電流Iが演算さ
れることになる。
【0028】次に、S51において、駆動電流Iが最大
電流Imaxに等しいか否か判定し、NoのときはS5
6において駆動電流IとしてS50で設定された駆動電
流Iが設定され且つSOL C へ出力され、また、駆動電流
Iが最大電流Imaxより小さいときには、センタデフ
9が略中間ロック状態に近い状態となり、駆動電流Iが
零のときはセンタデフ9がアンロック状態となる。S5
1の判定の結果、駆動電流Iが最大電流Imaxに等し
いときは、S52においてタイマTcがリセットされ、
次にS53において駆動電流Iに最大電流Imaxが設
定され且つSOL C へ出力され、次にS54においてタイ
マTcがカウントアップされ、次にS55においてタイ
マTcが所定時間K以上になったか否か判定し、所定時
間K経過していないときには、S54、S55を繰り返
し、所定時間K経過すると制御はリターンする。こうし
て、所定時間Kの間、駆動電流Iが最大電流Imaxに
保持され、その後S1へ戻る。
【0029】尚、リヤデフ11の電磁多板クラッチ30
に対する駆動電流Iをオートモード制御で設定する場合
も基本的には前記と同様であるが、この場合、図10に
示すように、S60においてリヤ車輪速Vc,Vdを読
込み、次にS61においてリヤデフ差動回転数ΔNrを
図示の式にて演算し、この差動回転数ΔNrとスロット
ル開度θとに基いて前記同様に駆動電流Iを演算する。
以上説明した差動制限制御においては、通常の運転状態
のときには、作動モード設定スイッチ20で設定された
作動モードに応じて差動制限すべきデフ9〜11を中間
ロック状態に保持するため、操作性と駆動性を両立させ
ることができ、電磁多板クラッチの耐久性を向上でき、
同時に、ソレノイドSOL F,C,Rの消費電力も節減で
きる。更に、発進状態、1速段や後進段、副変速機が低
速段などプロペラ軸やデフに作用するトルクが増大する
場合や加速時には、所定時間TM0の間、電流フラグC
Fをセット状態に保持して、駆動電流Iを4.0Aとし
て差動制限すべきデフを完全ロック状態にするので、前
記のように必要な場合の駆動性を十分に高めることが出
来、電磁多板クラッチの小型化を図ることが出来る。
【0030】次に、デフ差動制限制御の別実施例につい
て、図11のフローチャトに基いて説明する。制御の開
始後、S70において各種信号が読み込まれるが、この
各種信号としては、モード信号MS、4つの車輪速信号
Va,Vb,Vc,Vd、位相センサ15a,15bか
らのトルク信号Ta,Tb等が読み込まれ、図示してい
ないが、フロントデフ10の差動回転数Sfとセンタデ
フ9の差動回転数Scとリヤデフ11の差動回転数S
r、及びリヤプロペラ軸6に作用するトルクTが演算さ
れる。前記フロントデフ10の電磁多板クラッチの差動
回転数Sfは、左右の前輪の車輪速Va,Vbの差の絶
対値として演算でき、また、センタデフ9の差動回転数
Scは、前記図6のS41に記載の演算式で演算でき、
また、リヤデフ11の電磁多板クラッチの差動回転数S
rは、左右の後輪の車輪速Vc,Vdの差の絶対値とし
て演算でき、S72の差動回転数Sは前記差動回転数S
f,Sc,Srのうちの最大値を示すものである。一
方、リヤプロペラ軸6に作用するトルクTは、トルク信
号Ta,Tbの発生タイミングの差を用いて所定の演算
式により求めることが出来る。即ち、リヤプロペラ軸6
にトルクが作用していない場合には、トルク信号Ta,
Tbが同一タイミングで発生するが、トルクが作用して
いる場合には、リヤプロペラ軸6に捩れが発生するた
め、トルク信号Ta,Tbがトルクに応じたタイミング
差で発生するからである。
【0031】次に、S70の次のS71においては、タ
イマフラグTFがセット状態か否か判定され、Yesの
ときはS75へ移行するが、NoのときはS72におい
て、前記差動回転数Sが所定値S0以上か否か判定され
る。S72の判定の結果、YesのときはS75へ移行
するが、NoのときはS73において前記トルクTが所
定値T0以上か否か判定され、その判定の結果Yesの
ときはS75へ移行するが、NoのときはS74へ移行
し、電流フラグCFがリセットされ、その後制御は、図
4のS14〜S21と同一のルーチンを実行してからS
70へ戻るのを繰り返すことになる。但し、図4のルー
チンについては前述したので説明を省略する。尚、前記
フロントプロペラ軸5にもトルクセンサ15と同様のト
ルクセンサを設け、その検出トルクについて、S73と
同様の判定ステップを加えてもよい。こうして、前記差
動回転数Sが所定値S0未満で、且つ前記トルクTが所
定値T0未満の通常の運転状態のときには、設定されて
いる作動モードに従って駆動されるソレノイドSOL F,
C,Rの駆動電流Iが2.5Aに設定され、電磁多板ク
ラッチ30は中間ロック状態に保持されることになる。
【0032】一方、前記差動回転数Sが所定値S0以上
又は前記トルクTが所定値T0以上の場合には、つま
り、デフ9〜11の何れかに差動が生じている場合、又
はリヤプロペラ軸6に作用しているトルクTが所定値T
0以上の場合には、S72又はS73からS75へ移行
し、S75においてソフトタイマTM(そのカウント値
をTMとする)に所定時間TM1がセットされてからS
76へ移行し、S76においてタイマフラグTFがセッ
トされ、次にS77において電流フラグCFがセットさ
れ、その後制御は、図4のS14〜S21と同一のルー
チンを実行してからS70へ戻る。次に、次回はタイマ
フラグTFがセット状態にあるため、S71の判定の結
果S78へ移行してタイマTMが正か否か判定され、所
定時間TM1の経過前はYeと判定されてS79へ移行
し、タイマTMがカウントダウンされてS77へ移行す
る、こうして、所定時間TM1の間、電流フラグCFが
セット状態に保持され、駆動電流Iが4.0Aに設定さ
れ、差動制限されるデフ9〜11は完全ロック状態に保
持されることになる。但し、前記所定時間TM1の経過
後には、S78の判定がNoとなって、S80において
タイマフラグTFがリセットされ、その後S74へ移行
する。以上説明した差動制限制御においては、前記説明
した作用・効果と略同様の作用・効果が得られるので、
ここに重複記載するのを省略する。
【0033】尚、前記実施例は、4輪駆動車の場合を例
として説明したが、FF車やFR車等のデファレンシャ
ルに対しても本発明を同様に適用できることは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る4輪駆動車の駆動系と差動制限装
置の全体構成図である。
【図2】デフの差動制限用の電磁多板クラッチの断面図
である。
【図3】デフ差動制限制御のルーチンのフローチャート
の一部である。
【図4】デフ差動制限制御のルーチンのフローチャート
の一部である。
【図5】デフ差動制限制御における車速演算ルーチンの
フローチャートである。
【図6】デフ差動制限制御におけるセンタデフ差動回転
数演算ルーチンのフローチャートである。
【図7】デフ差動制限制御におけるオートモード制御に
より駆動電流を設定するルーチンのフローチャートであ
る。
【図8】デフ差動制限制御における電流値I1の特性線
図である。
【図9】デフ差動制限制御における電流値I2の特性線
図である。
【図10】デフ差動制限制御におけるリヤデフ差動回転
数演算ルーチンのフローチャートである。
【図11】別実施例に係るデフ差動制限制御のルーチン
のフローチャートの要部である。
【符号の説明】
9 センタデフ 10 フロントデフ 11 リヤデフ 12a〜12d 車輪速センサ 15 トルクセンサ 16 スロットル開度センサ 17 変速段スイッチ 18 副変変速段スイッチ 19 クラッチスイッチ 20 モード設定スイッチ 21 コントロールユニット

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デファレンシャルの差動を締結力を付加
    して制限する差動制限手段と、この差動制限手段を所定
    値の締結力で作動させるように設定する為の設定スイッ
    チ手段とを備えた車両の差動制限装置において、 前記デファレンシャルに作用するトルクが増大する所定
    状態になることを直接的又は間接的に検出する検出手段
    と、 前記デファレンシャルが前記所定値の締結力で差動制限
    された状態において、前記所定状態が検出されたときに
    は、前記差動制限手段の締結力を前記所定値以上に高め
    る制御手段と、 を備えたことを特徴とする車両の差動制限装置。
  2. 【請求項2】 前記検出手段は、車両の発進状態を前記
    所定状態として検出するように構成されたことを特徴と
    する請求項1に記載の車両の差動制限装置。
  3. 【請求項3】 前記検出手段は、エンジン出力に相関す
    る物理量を検出し、エンジン出力が所定値以上の状態を
    前記所定状態として検出するように構成されたことを特
    徴とする請求項1に記載の車両の差動制限装置。
  4. 【請求項4】 前記検出手段は、変速機の変速段位信号
    に基いて、変速段が低段位の状態を前記所定状態として
    検出するように構成されたことを特徴とする請求項1に
    記載の車両の差動制限装置。
  5. 【請求項5】 前記車両のパワーユニットは、主変速機
    とこれに連結された副変速機とを備え、前記検出手段
    は、変速機の変速段位信号に基いて、副変速機が低速段
    の状態を前記所定状態として検出するように構成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の差動制限装
    置。
  6. 【請求項6】 前記検出手段は、前記デファレンシャル
    に差動が生じた状態を前記所定状態として検出するよう
    に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の
    差動制限装置。
  7. 【請求項7】 前記検出手段は、プロペラシャフトに所
    定以上のトルクが作用する状態を前記所定状態として検
    出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記
    載の車両の差動制限装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、前記所定状態になって
    から所定期間の間、前記差動制限手段の締結力を前記所
    定値以上に高めるように構成されたことを特徴とする請
    求項1に記載の車両の差動制限装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003091057A1 (fr) * 2002-04-26 2003-11-06 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha Dispositif et procede de commande de la distribution de la force motrice d'un vehicule a quatre roues

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003091057A1 (fr) * 2002-04-26 2003-11-06 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha Dispositif et procede de commande de la distribution de la force motrice d'un vehicule a quatre roues
US7290636B2 (en) 2002-04-26 2007-11-06 Jtekt Corporation Device and method for controlling distribution of drive force of four-wheel drive car

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