JPH0531812A - 繊維強化樹脂シートの製造方法及び繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂シートの製造方法及び繊維強化樹脂成形品の製造方法

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JPH0531812A
JPH0531812A JP3187667A JP18766791A JPH0531812A JP H0531812 A JPH0531812 A JP H0531812A JP 3187667 A JP3187667 A JP 3187667A JP 18766791 A JP18766791 A JP 18766791A JP H0531812 A JPH0531812 A JP H0531812A
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JP
Japan
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sheet
thermoplastic resin
fiber
reinforced resin
reinforcing
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JP3187667A
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Inventor
Masahiro Ishii
正裕 石居
Kiyoyasu Fujii
清康 藤井
Masami Nakada
雅己 中田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 成形の際一方向にそろえられた連続強化繊維
がむやみに流動することのない繊維強化樹脂シートの製
造方法を提供することにある。 【構成】 熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維(F3)が一
方向にそろえられた状態で配されるとともにネット状補
強材が内蔵されている第1シート(ア)と、熱可塑性樹
脂(B)に長さ5mm以上の強化繊維(f5)が長さ方向のラ
ンダムな状態で配されている第2シート(イ)とを重ね
てプレスし、繊維強化樹脂シートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強靭なプレート材料、
各種製品を得るためのプレス成形用材料であるいゆわる
スタンパブルシートにおいて、一方向に機械的強度が要
求される成形品、たとえば自動車のバンパーの補強材や
ドアの補強材をスタンピング成形するのに好適な繊維強
化樹脂シートの製造方法と、前記のような繊維強化樹脂
成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂シートおよび繊維強化樹脂
成形品として、従来一方向にそろえられた強化長繊維
と、長繊維マットとの積層体に熱可塑性樹脂を含浸せし
めてなるものは知られている(特開昭62−24051
4号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記(イ)の繊維強化
樹脂シートおよび繊維強化樹脂成形品では、一方向にそ
ろえられた強化長繊維と、長繊維マットとの積層体に同
じ熱可塑性樹脂を含浸せしめてなるものであるため、こ
のシートを用いてプレス成形する際には、一方向にそろ
えられた長繊維強化層の熱可塑性樹脂は長繊維マット強
化層の熱可塑性樹脂と同様にかなり流動する。その結
果、実際の成形品中の長繊維は所期する方向にそろって
おらず、そのため、機械的強度が部分的に低下する。し
かも、その低下の生じる箇所及び程度もばらついている
ために制御ができないという問題がある。
【0004】本発明の目的は、一方向にそろえられた連
続強化繊維が成形時に流動せずに所定位置を保っている
繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形品を強度が大
でかつ物性のばらつきが生じないように生産性よく製造
しうる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明による繊
維強化樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂(A)に
連続強化繊維が一方向にそろえられた状態で配されると
ともにネット状補強材が内蔵されている第1シート
(ア)と、熱可塑性樹脂(B)に長さ5mm以上の強化繊
維が長さ方向のランダムな状態で配されている第2シー
ト(イ)とを用意し、少なくとも1枚の第1シート
(ア)と少なくとも1枚の第2シート(イ)とを交互に
重ねかつ重ねる前後いずれかに熱可塑性樹脂(A)
(B)のうち少なくとも熱可塑性樹脂(B)を加熱溶融
せしめ、その後重ねられた第1及び第2シート(ア)
(イ)を加圧して一体化することを特徴とするものであ
る。
【0006】請求項2の発明による繊維強化樹脂成形品
の製造方法は、熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維が一
方向にそろえられた状態で配されるとともにネット状補
強材が内蔵されている第1シート(ア)と、熱可塑性樹
脂(B)に長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダ
ムな状態で配されている第2シート(イ)とを用意し、
少なくとも1枚の第1シート(ア)と少なくとも1枚の
第2シート(イ)とを交互に重ねかつ重ねる前後いずれ
かに熱可塑性樹脂(A)(B)のうち少なくとも熱可塑
性樹脂(B)を加熱溶融せしめ、その後重ねられた第1
および第2シート(ア)(イ)を加圧して一体化し、つ
ぎに所要形状に成形することを特徴とするものである。
【0007】第2シート(イ)の強化繊維の長さは、5
mm未満であると繊維の補強効果がないので5mm以上とす
る。強化繊維は一般に長い程補強効果が高くなるので長
さの上限は特に限定されないが、第2シート(イ)の形
成の仕方によっては、分散性が低下したり、繊維強化樹
脂シートより得られるスタンピング成形品の表面特性が
低下したりする場合があるので、通常は100mm以下、
好ましくは50mmとする。
【0008】強化繊維としては、使用せられる熱可塑性
樹脂の溶融温度において熱的に安定な繊維が用いられ
る。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チ
タン・炭素繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維、アラミ
ド繊維、液晶ポリマー繊維、ポリエステル繊維、ポリア
ミド繊維等の有機繊維をあげることができる。
【0009】モノフィラメントの直径は1〜50μmが
好ましい。多数の連続フィラメントを強化繊維束とする
さいに集束剤を使用しても使用しなくてもよいが、使用
する場合には、集束剤の付着量が1重量%以下になるよ
うにすることが望ましい。1重量%を超えると、流動層
中で繊維束をモノフィラメント単位に分離するのが困難
となり、熱可塑性樹脂のモノフィラメント相互間への含
浸性が低下する。
【0010】強化繊維束は、連続するモノフィラメント
が数百〜数千から構成されたストランド状又はロービン
グ状のものである。そしてこの強化繊維束は、製造する
繊維強化樹脂シートの幅、厚み、製造速度などを考慮し
て、通常多数並列にして使用される。
【0011】第1シート中の強化繊維と第2シート中の
強化繊維は、同種であっても異種であってもよく、また
その含有割合も機械的強度、シートから成形すべき成形
品の形状等により適宜決定される。
【0012】熱可塑性樹脂(A)(B)は、加熱により
溶融軟化する樹脂すべてが使用可能である。たとえば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
スチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
フェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエ
ーテルエーテルケトン等が使用される。また上記熱可塑
性樹脂を主成分とする共重合体やグラフト樹脂やブレン
ド樹脂、たとえばエチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸
ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共
重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸変性
ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン等も使用
しうる。そして上記熱可塑性樹脂には、安定剤、滑剤、
加工助剤、可塑剤、着色剤のような添加剤が配合されて
もよい。また重合時に粉体状で得られる熱可塑性樹脂及
び粉砕機により粉体状となされる熱可塑性樹脂のいずれ
も使用できる。粒子径としては、平均粒径が2mm未満が
好ましい。平均粒径が2mmを超えると、流動層中で強化
繊維束のモノフィラメント間に均一に含浸させにくくな
る。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とは、同
種であっても異種であってもよい。
【0013】熱可塑性樹脂と強化繊維の割合は、繊維強
化樹脂シートの必要とする物性により適宜決定される
が、シート中の強化繊維が5〜70重量%であることが
好ましい。強化繊維が5重量%未満ではシートの機械的
強度が十分でなく、70重量%を超えると熱可塑性樹脂
が均一に含浸したシートが得にくい。
【0014】ネット状補強材としては、強化繊維材料を
使用し、接着や織り等によりネット状の面材に加工した
ものであればどのようなものでもよい。
【0015】第1シート(ア)と第2シート(イ)の重
ね方は、後述の実施例のように、第1シートを介してそ
の両面にそれぞれ第2シートを重ねた3層が好ましい
が、第1シートと第2シートを重ねた2層のものまたは
第1シートと第2シートを順次交互に重ねた4層以上の
ものでもよい。
【0016】第1及び第2シートを一体化するために
は、第2シート(イ)の熱可塑性樹脂(B)が溶融して
いる必要がある。加熱温度は、使用せられる熱可塑性樹
脂の種類により適宜決定されるが、一般に100〜35
0℃であり、好ましくは150〜250℃である。10
0℃未満では熱融着化が十分でなくて一体化したシート
が得難く、350℃を超えると熱可塑性樹脂の熱劣化が
起こって補強効果が低下する。また第1シート(ア)の
熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(B)が溶融状態
であれば、室温でも一体化しうる。しかしながら、使用
せられる熱可塑性樹脂の種類に応じて40〜200℃に
加熱する方が望ましく、かつ熱可塑性樹脂(B)の加熱
温度より低温であることが好ましい。室温未満では第2
シート(イ)との一体化が阻害され、熱可塑性樹脂
(B)よりも高温であると、一方向にそろえられた連続
強化繊維の流動が顕著になって補強効果の低下が起こ
る。
【0017】一体化する際の加圧力は、使用せられる熱
可塑性樹脂の種類とその温度により適宜決定せられる
が、面圧で0.5〜100kg/cm2であり、好ましくは
3〜60kg/cm2 である。0.5kg/cm2 未満では一体
化が十分ではなく、100kg/cm2 を超えてもそれ以上
の効果がなくて経済的に非効率であり、また強化繊維の
勝手な流動により補強効果に問題が生じる。
【0018】
【作用】請求項1の発明による強化繊維樹脂シートの製
造方法は、熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維が一方向
にそろえられた状態で配されるとともにネット状補強材
が内蔵されている第1シート(ア)と、熱可塑性樹脂
(B)に長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダム
な状態で配されている第2シート(イ)とを用意し、少
なくとも1枚の第1シート(ア)と少なくとも1枚の第
2シート(イ)とを交互に重ねかつ重ねる前後いずれか
に熱可塑性樹脂(A)(B)のうち少なくとも熱可塑性
樹脂(B)を加熱溶融せしめ、その後重ねられた第1及
び第2シート(ア)(イ)を加圧して一体化するもので
あるから、得られた繊維強化樹脂シートには、連続強化
繊維が一方向にのびている繊維強化樹脂層が存在してい
ることになり、一方向に機械的強度が要求される成形品
を成形するのに適するし、またこの繊維強化樹脂層には
ネット状補強材が内蔵されているから、成形における加
熱時に、一方向にそろえられた状態で配されている連続
強化繊維がむやみに流動することがない。さらに同シー
トには長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダムな
状態で配された繊維強化樹脂層が併せて存在することに
なるから、繊維強化樹脂シート全体の強度も向上する。
【0019】請求項2による繊維強化樹脂成形品の製造
方法は、熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維が一方向に
そろえられた状態で配されるとともにネット状補強材が
内蔵されている第1シート(ア)と、熱可塑性樹脂
(B)に長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダム
な状態で配されている第2シート(イ)とを用意し、少
なくとも1枚の第1シート(ア)と少なくとも1枚の第
2シート(イ)とを交互に重ねかつ重ねる前後いずれか
に熱可塑性樹脂(A)(B)のうち少なくとも熱可塑性
樹脂(B)を加熱溶融せしめ、その後重ねられた第1お
よび第2シート(ア)(イ)を加圧して一体化し、つぎ
に所要形状に成形するものであるから、得られた繊維強
化成形品には、連続強化繊維が一方向にのびている繊維
強化樹脂層が存在していることになり、一方向に機械的
強度が増加するし、またこの繊維強化樹脂層にはネット
状補強材が内蔵されているから、成形における加熱時
に、一方向にそろえられた状態で配されている連続強化
繊維がむやみに流動することがない。さらに同成形品に
は長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダムな状態
で配された繊維強化樹脂層が併せて存在することにな
り、これによって成形品全体の強度も向上する。
【0020】
【実施例】まず、請求項1及び請求項2の発明に使用す
る装置につき、図1及び図2を参照して説明する。以下
の説明において、前とは図1及び図2の右方向をいうも
のとする。
【0021】図1には、熱可塑性樹脂(A)に連続強化
繊維が一方向にそろえられた状態で配されるとともにネ
ット状補強材(N)が内蔵されている第1シート(ア)
の製造装置が、また図2には、熱可塑性樹脂(B)に長
さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダムな状態で配
されている第2シート(イ)の製造装置がそれぞれ示さ
れている。両者は、ともに、流動層装置(1) と、各流動
層装置(1) の後方に配された巻き戻しロール(2) と、各
流動層装置(1) の前方に配された上下一対のスクレーパ
ー(3) とを備えている。
【0022】ただ、前者では、流動層装置(1) 、巻き戻
しロール(2) 及びスクレーパー(3)が上下一対ずつ存在
しており、さらに上下流動層装置(1) の中間前方に長尺
ネット状補強材(N)の巻き戻しロール(4) が配され、
その前方に3つの加熱ロール(5) 、上下2対の冷却ロー
ル(6) 及び上下一対のピンチ・ロール(7) が順次配され
ている。
【0023】第2シート(イ)の製造装置では、スクレ
ーパー(3) の斜め前下方に配された引き取り駆動ロール
(8) と、各引き取り駆動ロール(8) と対をなすようにそ
の上に配されたピンチ・ロール(9) と、引き取り駆動ロ
ール(8) の前にこれと対峙せしめられたロータリー・カ
ッター(10)と、所定間隔をおいて対向せしめられた上下
無端ベルト(11)(12)と、両無端ベルト(11)(12)の対向移
送部(11a)(12a)に対して後側から順次配された加熱炉(1
3)及び上下冷却ガイド・ロール(14)とを備えており、下
無端ベルト(12)の後部が上無端ベルト(11)より後方に突
出せしめられ、その移送部(12a) の後方延長部分がロー
タリー・カッター(10)の下方に位置せしめられ、両無端
ベルト(11)(12)の間隙への送り込み部(12b) となされて
いる。なお、上記移送部(12a) を延長して送り込み部(1
2b) とする代わりに、別の無端ベルトを同じ場所に配置
して送り込み部を設けてもよい。
【0024】各流動層装置(1) の槽底は多孔板(15)で形
成せられており、気体供給路から送られてきた空気や窒
素などの気体(G) が多孔板(15)の下方からこれの多数の
孔を通って上方に噴出せしめられる。その結果、流動層
装置(1) の槽内に満たされた粉体状熱可塑性樹脂は噴出
気体(G) によって流動化状態となり、第1シート(ア)
製造用の流動層装置(1) には熱可塑性樹脂(A)の流動
層(a) が、第2シート(イ)製造用の流動層装置(1) に
は熱可塑性樹脂(B)の流動層(b) がそれぞれ形成され
る。第1シート(ア)製造用の巻き戻しロール(2) には
強化繊維束(F1)が、第2シート(イ)製造用の巻き戻し
ロール(2) には強化繊維束(f1)がそれぞれ巻回されてい
る。なお、強化繊維束(F1)(f1)は、便宜上1本のみ図示
したが、実際には多数本並列状に用いる。各流動層装置
(1) の槽内及びその前後壁上端には、繊維束(F1)(f1)を
案内するためのガイド・ロール(16)が設けられている。
さらに第1シート(ア)の製造装置では、槽前壁上端と
スクレーパー(3) との間、また第2シート(イ)の製造
装置では、スクレーパー(3) と引き取り駆動ロール(8)
との間にもそれぞれガイド・ロール(16)が設けられてい
る。
【0025】上記第1及び第2シート(ア)(イ)の製
造装置では、強化繊維束(F1)(f1)に対する粉体状熱可塑
性樹脂の付着量を調整するため、上下一対のスクレーパ
ー(3) を配し、両者の間隙を調節しうるようにしている
が、強化繊維束(F1)(f1)に振動を与え、過剰に付着した
粉体状熱可塑性樹脂を除去してもよい。この場合には与
える振動の強弱により、粉体状熱可塑性樹脂の付着量を
調整することができる。
【0026】両無端ベルト(11)(12)は、モーター(図示
略)で上下各複数のプーリー(17)(18)のうち上下各1つ
を駆動することにより、連続して同方向へほぼ同速度で
移動するようになされている。また上無端ベルト(11)の
移送部(11a) の後部は、後上向きに傾斜せしめられてお
り、上下移送部(11a)(12a)の間隙が後方に向かって広が
っている。上下無端ベルト(11)(12)は、高強度で耐熱性
のある、たとえばスチール、ステンレス、ガラス布強化
テフロンなどで形成される。
【0027】加熱炉(13)としては、電熱式または熱風循
環式のものが用いられ、これらの中を上下無端ベルト(1
1)(12)を通過させているが、上下無端ベルト(11)(12)の
移送部(11a)(12a)を上下より押さえかつ直接加熱する複
数対の加熱ロールが用いられてもよい。加熱炉(13)内に
は、複数対の上下ガイド・ロール(19)が配設されてお
り、上下のガイド・ロール(19)の間隙は、それぞれ調整
可能となされている。冷却ガイド・ロール(14)の代わり
に、上下無端ベルト(11)(12)の移送部(11a)(12a)に対
し、空気を吹き付けて冷却するブロアーを用いてもよ
い。
【0028】つぎに請求項1の発明の実施例を説明す
る。
【0029】実施例1 各巻き戻しロール(2) から多数の連続モノフィラメント
よりなる強化繊維束(F1)(f1)を、第1シート(ア)の製
造装置では、ピンチ・ロール(7) により、また第2シー
ト(イ)の製造装置では引き取り駆動ロール(8) とピン
チ・ロール(9)によりそれぞれひねりが生じないように
しながら巻き戻し、粉体状熱可塑性樹脂(A)(B)の
流動層(a)(b)中を通過させる。流動層(a)(b)中で、強化
繊維束(F1)(f1)は気体の噴出や流動層(a)(b)中に発生す
る靜電気や擦り揉み効果等によって、モノフィラメント
単位に分離、開繊され、粉体状熱可塑性樹脂がモノフィ
ラメント相互間に侵入するとともにこれがモノフィラメ
ントに付着する。
【0030】樹脂付着強化繊維束(F2)(f2)を、上下一対
のスクレーパー(3) 間を通過させ、スクレーパー(3) に
より過剰の粉体状熱可塑性樹脂を除去し、粉体状熱可塑
性樹脂と強化繊維の割合を調整する。
【0031】第1シート(ア)の製造装置では、ピンチ
・ロール(7) の駆動により巻き戻しロール(4) からもネ
ット状補強材(N)を巻き戻して上位と下位の連続樹脂
付着繊維束(F2)の間に挾み込み、加熱ロール(5) で加熱
加圧してこれらを一体化し、ついで冷却ロール(6) で加
圧しつつ冷却することにより、熱可塑性樹脂(A)に連
続強化繊維が一方向にそろえられた状態で配されかつネ
ット状補強材(N)が内蔵されている厚み1mmの第1シ
ート(ア)を得た。
【0032】他方、第2シート(イ)の製造装置では、
樹脂付着繊維束(f2)をロータリー・カッター(10)により
それぞれ5〜100mmに切断し、切断樹脂付着繊維(f3)
を上下無端ベルト(11)(12)の間隙への送り込み部(12b)
上に落下させて集積し、切断樹脂付着繊維集積物(f4)を
移動する両無端ベルト(11)(12)で挾みながら、両無端ベ
ルト(11)(12)の間の最小間隙を上下ガイド・ロール(19)
によりに調節し、厚み方向に加圧して熱風が循環してい
る加熱炉(13)中を通過させる。
【0033】引き続いて、溶融状態にある樹脂と強化繊
維の混合物を、上下無端ベルト(11)(12)間の最小間隙を
上下冷却ガイド・ロール(14)により調節して加圧しつつ
冷却し、熱可塑性樹脂(B)に長さ25mmの強化繊維が
長さ方向のランダムな状態で配されている厚み1mmの第
2シート(イ)を得た。
【0034】熱可塑性樹脂(A)(B)としては、ポリ
プロピレンを用いた。
【0035】強化繊維束(F1)としては、ロービング状ガ
ラス繊維束(モノフィラメントの直径14μm、110
0g/km)を用い、熱可塑性樹脂(A)と強化繊維束(F
1)の重量割合を1:1とし、強化繊維(f1)としては、強
化繊維束(F1)と同じものを25mmに切断して用い、熱可
塑性樹脂(B)と強化繊維束(f1)の重量割合を6:4と
した。
【0036】ネット状補強材(N)としては、ガラス繊
維で、厚み0.13mm、メッシュ3×3/cm間、重さ4
0g/m2 のものを用いた。
【0037】第1及び第2シート(ア)(イ)よりそれ
ぞれ425×425mmの正方形のシートを前者1枚、後
者2枚ずつ切り出し、それぞれ遠赤外線により120℃
と200℃に加熱したのち、第2シート(イ)、第1シ
ート(ア)及び第2シート(イ)の順に3枚重ね、60
0×600mmの正方形平板の金型の中央部に載置して加
圧面圧10 kgf/cm2 でプレス成形し、図3に示すよう
に、熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維(F3)が一方向に
そろえられた状態で配されている繊維強化樹脂層(あ)
と、熱可塑性樹脂(B)に長さ25mmの強化繊維(f5)が
長さ方向のランダムな状態で配されている繊維強化樹脂
層(い)とが積層一体化されてなり、繊維強化樹脂層
(あ)にネット状補強材(N)が内蔵されている厚み
1.5mmの繊維強化樹脂シート(S)を得た。
【0038】実施例2 下記以外は実施例1と同様にして実施例1と同じ構造の
繊維強化樹脂シートを得た。
【0039】熱可塑性樹脂(A)(B)としては、重合
度600の塩化ビニル樹脂100重量部にブチル錫マレ
エート3重量部、グリシジルメタクリレート共重合体5
重量部及びジオクチルフタレート5重量部を配合したも
のを用いた。
【0040】熱可塑性樹脂(A)と強化繊維束(F1)の重
量割合を4:6とし、強化繊維束(f1)としては、ロービ
ング状ガラス繊維束(モノフィラメントの直径23μ
m、4400g/km)を用い、熱可塑性樹脂(B)と強
化繊維束(f1)の重量割合を7:3とした。
【0041】実施例3 下記以外は実施例1と同様にして実施例1と同じ構造の
繊維強化樹脂シートを得た。
【0042】熱可塑性樹脂(A)(B)としては、ポリ
ブチレンテレフタレートを用いた。強化繊維束(F1)とし
ては、直径7μmのモノフィラメント6000本が集束
されてなるロービング状ポリアクリロニトリル系炭素繊
維束を用い、熱可塑性樹脂(A)と強化繊維束(F1)の重
量割合を6:4とし、強化繊維束(f1)としては、実施例
1と同じものを用い、熱可塑性樹脂(B)と強化繊維束
(f1)の重量割合を3:1とし、切断長を50mmとした。
【0043】ネット状補強材(N)としては、ガラス繊
維で、厚み0.26mm、メッシュ2×2/cm間、重さ8
5g/m2 のものを用いた。
【0044】第2シート(イ)の厚みを1.5mmとし、
プレス成形後の繊維強化樹脂シートの厚みを2mmとし
た。
【0045】実施例4 下記以外は実施例1と同様にして実施例1と同じ構造の
繊維強化樹脂シートを得た。
【0046】熱可塑性樹脂(A)(B)としては、ナイ
ロン66を用いた。
【0047】強化繊維束(F1)としては、直径7μmのモ
ノフィラメント6000本が集束されてなるロービング
状ポリアクリロニトリル系炭素繊維束を用い、熱可塑性
樹脂(A)と強化繊維束(F1)の重量割合を1:1とし、
強化繊維束(f1)としては、ロービング状ガラス繊維束
(モノフィラメントの直径23μm、4400g/km)
を用い、熱可塑性樹脂(B)と強化繊維束(f1)の重量割
合を3:1とした。
【0048】ネット状補強材(N)としては、ガラス繊
維で、厚み0.17mm、メッシュ4×4/cm間、重さ5
5g/m2 のものを用いた。
【0049】第2シート(イ)の厚みを3mmとし、プレ
ス成形後の繊維強化樹脂シートの厚みを2mmとした。
【0050】実施例5 下記以外は実施例1と同様にして実施例1と同じ構造の
繊維強化樹脂シートを得た。
【0051】熱可塑性樹脂(A)(B)としては、重合
度400の塩化ビニル樹脂100重量部にブチル錫マレ
エート3重量部及びグリシジルメタクリレート共重合体
5重量部を配合したものを用いた。
【0052】また強化繊維束(F1)としては、ロービング
状ガラス繊維束(モノフィラメントの直径14μm、1
100g/km)を用い、熱可塑性樹脂(A)と強化繊維
束(F1)の重量割合を4:6とし、強化繊維束(f1)として
は、実施例1と同じものを用い、熱可塑性樹脂(B)と
強化繊維束(f1)の重量割合を7:3とし、切断長を1
2.5mmとした。
【0053】ネット状補強材としては、ガラス繊維で、
厚み0.1mm、メッシュ2×2/cm間、重さ29g/m
2 のものを用いた。
【0054】第2シート(イ)の厚みを3mmとし、プレ
ス成形後の繊維強化樹脂シートの厚みを2mmとした。
【0055】比較例1〜5 比較例1〜5は、実施例1〜5のネット状補強材(N)
をそれぞれ除いたものに相当するが、厚みは前者及び後
者とも同一である。
【0056】実施例1〜5及び比較例1〜5においてそ
れぞれ得られた繊維強化樹脂シートにつき、図4に示す
位置(I)〜(V)より幅20mm×長さ150mmの試験
片を、長さ方向を矢印(y)で示す方向にそろえられた
強化繊維の方向と平行にして5個切り出し、JIS K
7203に準拠し、支点間距離120mmで3点曲げ試験
を行なって曲げ弾性率(kg/mm2 )を測定した結果を表
1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】最後に請求項2の発明の実施例を示す。
【0059】実施例6及び比較例6 実施例1及び比較例1のシートを逆U形に成形し、図5
に示すような成形品(M)を得た。
【0060】実施例7及び比較例7 下記以外は実施例1と同様にして実施例1と同じ構造の
繊維強化樹脂シートを得た。
【0061】熱可塑性樹脂(A)(B)としては、重合
度800の塩化ビニル樹脂100重量部にブチル錫マレ
エート3重量部及びグリシジルメタクリレート共重合体
5重量部及びジオクチルフタレート5重量部を配合した
ものを用いた。(F1)としては、ロービング状ガラス繊維
束(モノフィラメントの直径23μm、4400g /k
m)を用い、熱可塑性樹脂(A)と強化繊維束の重量割
合が1:1とし、強化繊維束(F1)としては、ロービング
状ガラス繊維束(モノフィラメントの直径14μm、1
100g /km)を用い、熱可塑性樹脂(B)と強化繊維
束の重量割合を3:1とし、切断長を25mmとした。
【0062】加熱温度を第1シート(ア)では130
℃、第2シート(イ)では220℃とし、加圧面圧を2
0kg/cm2 とした。
【0063】得られた繊維強化樹脂シートを逆U形に成
形し、成形品(M)を得た。なお、シートを金型に載置
する際、成形すべき成形品の長手方向と、一方向にそろ
えられた繊維とが平行になるようにする。
【0064】上記実施例7において、ネット状補強材を
除いたものを比較例7とした。
【0065】実施例8 下記以外は実施例1と同様にして実施例1と同じ構造の
繊維強化樹脂シートを得た。
【0066】加熱温度を第1及び第2シート(ア)
(イ)ともに210℃とし、加圧面圧を30kg/cm2
した。
【0067】得られた繊維強化樹脂シートを逆U形に成
形し、成形品(M)を得た。
【0068】実施例6〜8並びに比較例6及び7の成形
品における頂壁のランダムな位置より幅20mm×長さ1
50mmの試験片を逆U形の成形品の長手方向と平行に、
5個切り出し、JIS K7203に準拠し、支点間距
離120mmで3点曲げ試験を行なって曲げ弾性率(kg/
mm2 )を測定した結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】請求項1の発明の繊維強化樹脂シートの
製造法によれば、得られたシートには連続強化繊維が一
方向にのびている繊維強化樹脂層が存在しているので、
一方向に機械的強度が要求される成形品を成形するのに
適し、また同シートには長さ5mm以上の強化繊維が長さ
方向のランダムな状態で配された繊維強化樹脂層があわ
せて存在しているので、シート全体の強度が向上し、成
形用シートとして優れている。
【0071】また成形における加熱時に、繊維強化樹脂
層中の一方向にそろえられた状態で配されている連続強
化繊維がむやみに流動することがないから、得られたシ
ートを用いて成形すると、望む方向に十分かつ均等に強
化された物性のばらつきがない成形品をうることができ
る。
【0072】請求項2の発明の繊維強化樹脂成形品の製
造法によれば、得られた成形品には連続強化繊維が一方
向にのびている繊維強化樹脂層が存在しているので、一
方向に機械的強度が要求される成形品を製造するのに適
し、また同成形品には長さ5mm以上の強化繊維が長さ方
向のランダムな状態で配された繊維強化樹脂層があわせ
て存在しているので、成形品全体の強度が向上する。
【0073】また成形における加熱時に、繊維強化樹脂
層中の一方向にそろえられた状態で配されている連続強
化繊維がむやみに流動することがないから、望む方向に
十分かつ均等に強化された物性のばらつきがない成形品
をうることができる。
【0074】また請求項1及び請求項2の発明によれ
ば、第1及び第2の熱可塑性樹脂に連続強化繊維が一方
向にそろえられた状態で配されるとともにネット状補強
材が内蔵されている第1シートと、熱可塑性樹脂に長さ
5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダムな状態で配さ
れている第2シートをそれぞれ連続的にうることができ
るから、生産性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び請求項2の発明において、第1シ
ートの製造状態を示す側面図である。
【図2】請求項1及び請求項2の発明において、第2シ
ートの製造状態を示す側面図である。
【図3】上部繊維強化樹脂層(い)、中間繊維強化樹脂
層(あ)及び下部繊維強化樹脂層(い)を順次切欠いた
繊維強化樹脂シートの一部平面図である。
【図4】繊維強化樹脂シートよりの試験片の切り出し説
明図である。
【図5】成形品の斜視図である。
【符号の説明】
(A)(B) 熱可塑性樹脂 (ア) 第1シート (イ) 第2シート (F3) 連続強化繊維 (f5) 強化繊維 (N) ネット状補強材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維が一
    方向にそろえられた状態で配されるとともにネット状補
    強材が内蔵されている第1シート(ア)と、熱可塑性樹
    脂(B)に長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダ
    ムな状態で配されている第2シート(イ)とを用意し、
    少なくとも1枚の第1シート(ア)と少なくとも1枚の
    第2シート(イ)とを交互に重ねかつ重ねる前後いずれ
    かに熱可塑性樹脂(A)(B)のうち少なくとも熱可塑
    性樹脂(B)を加熱溶融せしめ、その後重ねられた第1
    及び第2シート(ア)(イ)を加圧して一体化すること
    を特徴とする繊維強化樹脂シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂(A)に連続強化繊維が一
    方向にそろえられた状態で配されるとともにネット状補
    強材が内蔵されている第1シート(ア)と、熱可塑性樹
    脂(B)に長さ5mm以上の強化繊維が長さ方向のランダ
    ムな状態で配されている第2シート(イ)とを用意し、
    少なくとも1枚の第1シート(ア)と少なくとも1枚の
    第2シート(イ)とを交互に重ねかつ重ねる前後いずれ
    かに熱可塑性樹脂(A)(B)のうち少なくとも熱可塑
    性樹脂(B)を加熱溶融せしめ、その後重ねられた第1
    および第2シート(ア)(イ)を加圧して一体化し、つ
    ぎに所要形状に成形することを特徴とする繊維強化樹脂
    成形品の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10264153A (ja) * 1997-03-21 1998-10-06 Basf Ag 扁平複合材料
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US10919210B2 (en) 2013-07-12 2021-02-16 Brose Fahrzeugteile Gmbh & Co. Kg, Hallstadt Organo-sheet for motor vehicles

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