JPH06134904A - 繊維強化熱可塑性樹脂シート - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂シート

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JPH06134904A
JPH06134904A JP29137992A JP29137992A JPH06134904A JP H06134904 A JPH06134904 A JP H06134904A JP 29137992 A JP29137992 A JP 29137992A JP 29137992 A JP29137992 A JP 29137992A JP H06134904 A JPH06134904 A JP H06134904A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
fiber
resin
sheet
reinforcing
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JP29137992A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ishii
正裕 石居
Masaki Ito
正喜 伊藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 破壊強度の大きい繊維強化熱可塑性樹脂シー
トを得る。 【構成】 繊維強化熱可塑性樹脂シートSは、熱可塑性
樹脂Aに強化繊維が一方向にそろえられた状態で配され
ている繊維強化樹脂層の両面に熱可塑性樹脂Bに強化繊
維が長さ方向にランダムな状態で配されている繊維強化
樹脂層が積層された3層構造で、熱可塑性樹脂Aの曲げ
弾性率が205kg/mm2 以上のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強靭なプレート材料、
各種製品を得るためのプレス成形用材料であるいわゆる
スタンパブルシートにおいて一方向に高耐荷重強度を要
求される成形部品をスタンピング成形するのに好適な繊
維強化熱可塑性樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】一方向にそろえられた状態で配されてい
る強化繊維層とその間に存するランダムな状態で配され
ている強化繊維層よりなる補強材に熱可塑性樹脂が含浸
されてなる繊維強化熱可塑性樹脂シートは知られている
(特開昭64−81826号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の上記繊維強化熱
可塑性樹脂シートは、強化繊維に溶融熱可塑性樹脂を加
圧含浸せしめて製造するものであるため、全体に低粘度
樹脂が使用されている。したがって、このようなシート
で成形された成形品は、荷重を受けた際、シートの強度
の大部分を負担すべき一方向にそろえられた強化繊維に
対する熱可塑性樹脂の保持が有効に働かず、そのため強
化繊維の座屈が低歪の内に起こるので、耐荷重性能に問
題があった。
【0004】本発明の目的は、一方向にひきそろえられ
た状態で配されている強化繊維が充分に補強効果を発揮
する繊維強化熱可塑性樹脂シートを提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1による繊維強化
熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂(A)に強化繊維
が一方向にそろえられた状態で配されている繊維強化樹
脂層(あ)と、熱可塑性樹脂(B)に強化繊維が長さ方
向にランダムな状態で配されている繊維強化樹脂層
(い)とが厚み方向に積層されてなり、熱可塑性樹脂
(A)の曲げ弾性率が205kg/mm2 以上であることを
特徴とするものである。
【0006】請求項2の発明による繊維強化熱可塑性樹
脂シートは、ポリオレフィン系樹脂(C)に強化繊維が
一方向にそろえられた状態で配されている繊維強化樹脂
層(う)と、ポリオレフィン系樹脂(D)に強化繊維が
長さ方向にランダムな状態で配されている繊維強化樹脂
層(え)とが厚み方向に積層されてなり、ポリオレフィ
ン系樹脂(C)の曲げ弾性率が205kg/mm2 以上であ
り、かつポリオレフィン系樹脂(D)の曲げ弾性率が2
05kg/mm2 未満であることを特徴とするものである。
【0007】強化繊維としては、使用せられる熱可塑性
樹脂の溶融温度において熱的に安定な繊維が用いられ
る。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チ
タン・炭素繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維、アラミ
ド繊維、液晶ポリマー繊維、ポリエステル繊維、ポリア
ミド繊維等の有機繊維をあげることができるが、強化効
果とコストとの兼ね合いの点から無機繊維を用いる方が
好ましい。
【0008】一方向にそろえられた状態で配される強化
繊維と、長さ方向にランダムな状態で配される強化繊維
は、同種であっても異種であってもよく、またその含有
割合も必要とする機械的強度及び成形品の形状等により
適宜決定される。
【0009】長さ方向のランダムな状態で配される強化
繊維の長さは、一般に5〜500mmであり、好ましくは
5〜100mmである。5mm未満であると繊維の補強効果
が充分ではない。強化繊維は一般に長い程補強効果が大
きくなるので長さの上限は特に限定されないが、500
mmを超えると均質なシートを得るのが困難となる。
【0010】熱可塑性樹脂に対する強化繊維の含有割合
は、繊維熱可塑性樹脂シートの必要とする物性により適
宜決定せられるが、一方向にそろえられた状態で配され
る強化繊維では10〜80重量%(繊維強化樹脂層
(あ)中)が、長さ方向ランダムな状態で配される強化
繊維では5〜70重量%(繊維強化樹脂層(い)中)が
好ましい。前者が10重量%未満、後者が5重量%未満
であると、シートの機械的強度が充分でなく、前者が8
0重量%を超え、後者が70重量%を超えると、熱可塑
性樹脂の流動性が悪くなり、熱可塑性樹脂が均質に強化
繊維に含浸したシートを得にくい。なお、一方向にそろ
えられた状態で配される強化繊維は、シートの長さ全体
にわたり連続しているのが一般的であるが、この強化繊
維の総含有量がシート全体の5〜40重量%の場合は、
必ずしもシートの長さ全体にわたり連続していなくても
よく、非連続の状態であってもよい。
【0011】熱可塑性樹脂としては、加熱により溶融軟
化するポリオレフィン系樹脂が好ましく、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロ
ック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイ
ン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリ
プロピレン、シラン変性ポリエチレン等が使用される。
また、これらのポリオレフィン系樹脂を混合して使用し
てもよい。その他、剛性の高い樹脂、例えば、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスル
ホン、ポリエーテルエーテルケトン等が用いられる。
【0012】また、前記の樹脂を主成分とする共重合体
やグラフト樹脂や変性樹脂、例えば、エチレン−塩化ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレ
タン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体、マレイン酸変性ポリエチレ
ン、アクリル酸変性ポリプロピレン等も用いられる。そ
して、前記熱可塑性樹脂には、安定剤、滑剤、加工助
剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、紫外線吸収剤、着色剤の
ような添加剤が配合されてもよい。
【0013】請求項1及び請求項2の発明において、熱
可塑性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(C)の曲
げ弾性率をそれぞれ205kg/mm2 以上に限定したの
は、205kg/mm2 未満であると、一方向にそろえられ
た状態で配されている強化繊維の座屈を樹脂が有効に防
止することができないからである。前記値の曲げ弾性率
を有するポリオレフィン系樹脂としては、高結晶ポリプ
ロピレンをあげることができる。すなわち、結晶化度が
60.5%を超えるポリプロピレン(この場合の比重は
一般に0.90以上)が好適に用いられる。通常のポリ
オレフィン系樹脂では結晶硬度が低かったりまた結晶化
度が低く、前記値の曲げ弾性率を有しない。
【0014】また、請求項2の発明において、ポリオレ
フィン系樹脂(C)(D)がともに高弾性率の樹脂であ
ると、衝撃負荷に対して脆く、耐衝撃性に劣るので、ポ
リオレフィン系樹脂(D)の曲げ弾性率は205kg/mm
2 未満とする。205kg/mm 2 以上であると、強化繊維
が長さ方向のランダムな状態で配されている熱可塑性樹
脂層に荷重が加わった際、樹脂の歪に対する追従性が悪
いため、樹脂と強化繊維の界面剥離や、凝集破壊を起こ
すからである。
【0015】この傾向はポリオレフィン系以外の樹脂に
ついても同様であるので、請求項1の発明においても熱
可塑性樹脂(B)の曲げ弾性率は205kg/mm2 以下が
好ましい。
【0016】
【作用】請求項1の発明による繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートは、熱可塑性樹脂(A)に強化繊維が一方向にそろ
えられた状態で配されている繊維強化樹脂層(あ)と、
熱可塑性樹脂(B)に強化繊維が長さ方向にランダムな
状態で配されている繊維強化樹脂層(い)とが厚み方向
に積層されてなり、熱可塑性樹脂(A)の曲げ弾性率が
205kg/mm2 以上であるから、このシートで成形せら
れた成形品に荷重が加わった際、一方向にそろえられた
状態で配されている強化繊維が熱可塑性樹脂によって確
実に保持され、強化繊維の座屈の発生を防止する。
【0017】請求項2の発明による繊維強化熱可塑性樹
脂シートは、請求項1の発明における熱可塑性樹脂
(A)(B)がポリオレフィン系樹脂(C)(D)であ
り、かつポリオレフィン系樹脂(D)の曲げ弾性率が2
05kg/mm2 未満であるから、上記作用に加えて、強化
繊維が長さ方向のランダムな状態で配されている熱可塑
性樹脂層に荷重が加わった際、樹脂の歪に対する追従性
がよいため、樹脂と強化繊維の界面剥離や、凝集破壊を
起こさない。
【0018】
【実施例】まず、請求項1の発明の実施例につき説明す
る。
【0019】実施例1 この実施例は、図1に示されているもので、図示の繊維
強化熱可塑性樹脂シート(S)は、熱可塑性樹脂(A)
に強化繊維(F3)が一方向にそろえられた状態で配されて
いる繊維強化樹脂層(あ)の両面に熱可塑性樹脂(B)
に強化繊維(f5)が長さ方向にランダムな状態で配されて
いる繊維強化樹脂層(い)が厚み方向に積層されてなる
ものである。
【0020】熱可塑性樹脂(A)としては、重合度54
0の塩化ビニル樹脂100重量部に熱安定剤としてブチ
ル錫マレエート3重量部及びグリシジルメタクリレート
(GMA)共重合体5重量部を配合したもの(曲げ弾性
率280kg/mm2 )が用いられ、熱可塑性樹脂(B)と
しては、重合度540の塩化ビニル樹脂100重量部に
ブチル錫マレエート3重量部、グリシジルメタクリレー
ト共重合体5重量部及びアクリルゴム5重量部を配合し
たもの(曲げ弾性率195kg/mm2 )が用いられ、強化
繊維(F3)(f5)にはガラス繊維が用いられている。
【0021】図1の繊維強化熱可塑性樹脂シートは、図
2に示す製造装置で製造される。以下の説明において、
前とは図2の右方向をいうものとする。
【0022】図2に示すシート製造装置は、上位、中位
及び下位の3つの流動床装置(1) と、各流動床装置(1)
の後方に配された巻き戻しロール(2) と、各流動床装置
(1)の前方に配されかつ相互の間隙を調節しうるように
なされた上下一対のスクレーパー(3) と、上位の流動床
装置(1) のスクレーパー(3) の斜め下方及び下位の流動
床装置(1) のスクレーパー(3) の前方にそれぞれ配され
た引き取りロール(4)と、各引き取りロール(4) と対を
なすようにその上に配されたピンチ・ロール(5) と、各
引き取りロール(4) の前にこれと対峙せしめられたロー
タリー・カッター(6) と、所定間隔をおいて対向せしめ
られた上下無端ベルト(7)(8)と、両無端ベルト(7)(8)の
対向移送部(7a)(8a)に対して後側から順次配置された長
さ1500mmの熱風循環式加熱炉(9) 及び冷却ブロア(1
0)とを備えている。
【0023】そして、下無端ベルト(8) の後部が上無端
ベルト(7) より後方に突出せしめられ、その移送部(8a)
の後方延長部分が上位及び中位のロータリー・カッター
(6)の下方に位置せしめられ、両無端ベルト(7)(8)の間
隙への送り込み部(8b)となされている。
【0024】流動床装置(1) の槽底は多孔板(11)で形成
せられており、気体供給路から送られてきた空気や窒素
などの気体(G) が多孔板(11)の下方からこれの多数の孔
を通って上方に噴出せしめられる。その結果、流動床装
置(1) の槽内に満たされた粉体状熱可塑性樹脂は噴出気
体(G) によって流動化状態となり中位の流動床装置(1)
には熱可塑性樹脂(A)の流動床(a) が、上位及び下位
の流動床装置(1) には熱可塑性樹脂(B)の流動床(b)
がそれぞれ形成される。中位の巻き戻しロール(2) には
強化繊維束(F1)が、上位及び下位の巻き戻しロール(2)
には強化繊維束(f1)がそれぞれ巻回されている。なお、
強化繊維束(F1)(f1)は、便宜上1つのみ図示したが、実
際には多数並列状に用いる。
【0025】各流動床装置(1) の槽内及びその前後壁上
端には、繊維束(F1)(f1)を案内するためのガイド・バー
(12)が設けられている。中位の強化繊維束(F1)は流動床
(a)中を通過せしめられることにより、樹脂付着繊維(F
2)となるが、これを連続して上下無端ベルト(7)(8)の間
隙に導くための第1ガイド・ロール(13)がスクレーパー
(3) の前方に、第2ガイド・ロール(14)が送り込み部(8
b)の上方にそれぞれ設けられている。上位及び下位の強
化繊維束(f1)も流動床(b) 中を通過せしめられることに
より、樹脂付着繊維(f2)となるが、両樹脂付着繊維(f2)
をロータリー・カッター(6) に導くためのガイド・ロー
ラ(15)がそれぞれスクレーパー(3) の前方に設けられて
いる。
【0026】両無端ベルト(7)(8)は、モーター(図示
略)で上下各複数のプーリー(16)(17)のうち上下各1つ
を駆動することにより、連続して同方向へほぼ同速度で
移動するようになされている。また上無端ベルト(7) の
移送部(7a)の後部は、後上向きに傾斜せしめられてお
り、上下移送部(7a)(8a)の間隙が後方に向かって広がっ
ている。上下無端ベルト(7)(8)には、幅600mm、厚み
1mmのガラス繊維強化テフロンベルトを用いた。
【0027】加熱炉(9) 内には、複数対の上下ガイド・
ロール(18)が、また上下冷却ブロア(10)の近くには複数
対の上下ガイド・ロール(19)がそれぞれ配設されてお
り、上下のガイド・ロール(18)(19)の間隙は、それぞれ
調整可能となされている。
【0028】つぎに、上記装置を用い、繊維強化熱可塑
性樹脂シートを製造する方法について説明する。
【0029】各巻き戻しロール(2) からロービング状ガ
ラス繊維束よりなる強化繊維束(F1)(f1)(モノフィラメ
ントの直径14μm、1100g/km)を、引き取り
ロール(4) とピンチ・ロール(5) により巻き戻し、何れ
も塩化ビニル樹脂よりなる粉体状熱可塑性樹脂(A)の
流動床(a) 中、及び粉体状熱可塑性樹脂(B)の流動床
(b) 中を通過させる。流動床(a)(b)中で、強化繊維束(F
1)(f1)はモノフィラメント単位に分離、開繊され、モノ
フィラメント間に粉体状熱可塑性樹脂が侵入するととも
にこれがモノフィラメントに付着する。
【0030】樹脂付着強化繊維(F2)(f2)を、上下一対の
スクレーパー(3) 間を通過させ、スクレーパー(3) によ
り過剰の粉体状熱可塑性樹脂を除去し、粉体状熱可塑性
樹脂と強化繊維の割合を調整する。すなわち、熱可塑性
樹脂(A)と強化繊維(F1)の重量割合が1:1で、熱可
塑性樹脂(B)と強化繊維(f1)の重量割合が65:35
となるように上下のスクレーパー(3) の間隙を調節し
た。
【0031】そして、中位の連続樹脂付着繊維(F2)を、
上下無端ベルト(7)(8)の幅いっぱいのシート状になるよ
うに広げるとともに、その間隙へ連続的に送り込み、他
方、上位及び下位の樹脂付着繊維(f2)をロータリー・カ
ッター(6) によりそれぞれ25mmに切断し、上位の切断
樹脂付着繊維(f3)を広げられた中位の連続樹脂付着繊維
(F2)の幅全体に1580g/m2 となるように落下させ
て集積するとともに、下位の切断樹脂付着繊維(f3)を上
下無端ベルト(7)(8)の間隙への送り込み部(8b)の幅全体
に1580g/m2 となるように落下させて集積し、両
者を中位の連続樹脂付着繊維(F2)の移動とともに上下無
端ベルト(7)(8)の間隙へ連続的に送り込む。
【0032】中位の連続樹脂付着繊維(F2)を介して上位
及び下位の切断樹脂付着繊維集積物(f4)を580mm/分
で移動する両無端ベルト(7)(8)で挾みながら、両無端ベ
ルト(7)(8)の間の最小間隙を上下ガイド・ロール(18)に
より3.9mmに調節し、三者を厚み方向に加圧して約2
10℃の熱風が循環している加熱炉(9) 中を通過させ、
引き続いて、ガイド・ロール(19)により上下の無端ベル
ト(7)(8)の間隙を3.8mmに調節して加圧しながら、冷
却ブロア(10)により冷却する。
【0033】このようにして、図1に示すような連続強
化繊維(F3)が一方向にそろえられた状態で配されている
1.9mm厚の繊維強化樹脂層(あ)の両面に長さ25mm
の強化繊維(f5)が方向のランダムな状態で配されている
各0.95mm厚の繊維強化樹脂層(い)が積層され、幅
600mm、厚み3.8mmの繊維強化熱可塑性樹脂シート
(S)を得た。
【0034】得られたシートを3枚重ねてプレス成形
し、図3に示す厚さ4.5mmの逆U形成形品(M)を得
た。シートを金型に載置する際は、成形品(M)の長手
方向と一方向に揃えられた繊維とが平行になるようにし
た。
【0035】実施例2 実施例1と同様の装置を用いて、以下の繊維強化熱可塑
性樹脂シートを製造した。
【0036】熱可塑性樹脂(A)としては、重合度54
0の塩化ビニル樹脂100重量部にブチル錫マレエート
3重量部及びグリシジルメタクリレート共重合体5重量
部、さらにジオクチルフタレート5重量部を配合したも
の(曲げ弾性率270kg/mm 2 )を用いた。
【0037】強化繊維束(F1)としては、ロービング状ガ
ラス繊維束(モノフィラメントの直径23μm、440
0g/km)を用い、熱可塑性樹脂(A)と強化繊維の重
量割合を1:1とした。
【0038】熱可塑性樹脂(B)としては、酢酸ビニル
−塩化ビニル共重合体100重量部にブチル錫マレエー
ト3重量部及びグリシジルメタクリレート共重合体5重
量部を配合したもの(曲げ弾性率185kg/mm2 )を用
いた。
【0039】強化繊維束(f1)としては、ロービング状ガ
ラス繊維束(モノフィラメントの直径23μm、440
0g/km)を50mmとして用い、熱可塑性樹脂(B)と
強化繊維の重量割合を6.5:3.5とした。
【0040】真中の繊維強化熱可塑性樹脂層(あ)の厚
みを1.9mm、その両面の繊維強化熱可塑性樹脂層
(い)の厚みを各0.95mm、3層よりなるシート全体
の厚みを3.8mmとした。
【0041】つぎに請求項2の発明の実施例につき説明
する。
【0042】実施例3 この実施例は、図1に示されている繊維強化熱可塑性樹
脂シート(S)と同一形態であり、実施例1における熱
可塑性樹脂(A)(B)がポリオレフィン系樹脂(C)
(D)に、繊維強化樹脂層(あ)(い)が繊維強化樹脂
層(う)(え)と代わっただけのものである。すなわ
ち、この実施例の繊維強化熱可塑性樹脂シートは、ポリ
オレフィン系樹脂(C)に強化繊維が一方向にそろえら
れた状態で配されている繊維強化樹脂層(う)と、ポリ
オレフィン系樹脂(D)に強化繊維が長さ方向にランダ
ムな状態で配されている繊維強化樹脂層(え)とが厚み
方向に積層されてなり、ポリオレフィン系樹脂(C)に
は曲げ弾性率が263kg/mm 2 、比重0.91の高結晶
ポリプロピレンが、ポリオレフィン系樹脂(D)には曲
げ弾性率が115kg/mm2 の高密度ポリエチレンが用い
られている。
【0043】この実施例の繊維強化熱可塑性樹脂シート
も実施例1のシートと同じ装置を用いて製造された。
【0044】強化繊維束(F1)としては、ロービング状ガ
ラス繊維束(モノフィラメントの直径14μm、110
0g/km)を用い、ポリオレフィン系樹脂(C)と強化
繊維の重量割合を1:1とした。
【0045】強化繊維束(f1)としてロービング状ガラス
繊維束(モノフィラメントの直径14μm、1100g
/km)を用い、樹脂を付着させた後にロータリーカッタ
ーにて25mmの長さに切断して用いた。また、ポリオレ
フィン系樹脂(D)と強化繊維の重量割合を6.5:
3.5とした。
【0046】真中の繊維強化熱可塑性樹脂層(う)の厚
みを1.9mm、その両面の繊維強化熱可塑性樹脂層
(え)の厚みを各0.95mm、3層よりなるシート全体
の厚みを3.8mmとした。
【0047】更に実施例1と同様にしてプレス成形品
(M)を得た。
【0048】実施例4 実施例1と同様の装置を用いて、以下の繊維強化熱可塑
性樹脂シートを製造した。
【0049】ポリオレフィン系樹脂(C)としては、高
結晶ポリプロピレン(曲げ弾性率218kg/mm2 、比重
0.91)を用いた。
【0050】強化繊維束(F1)としては、ロービング状ガ
ラス繊維束(モノフィラメントの直径14μm、110
0g/km)を用い、ポリオレフィン系樹脂(C)と強化
繊維の重量割合を1:1とした。
【0051】ポリオレフィン系樹脂(C)としては、マ
レイン酸グラフトポリプロピレン(曲げ弾性率103kg
/mm2 )を用いた。
【0052】強化繊維束(f1)としては、ロービング状ガ
ラス繊維束(モノフィラメントの直径23μm、440
00g/km)を樹脂を付着させた後にロータリーカッタ
ーにて50mmの長さに切断して用いた。ポリオレフィン
系樹脂(D)と強化繊維の重量割合を6:4とした。
【0053】真中の繊維強化熱可塑性樹脂層(う)の厚
みを1.9mm、その両面の繊維強化熱可塑性樹脂層
(え)の厚みを各0.95mm、3層よりなるシート全体
の厚みを3.8mmとした。
【0054】比較例1 熱可塑性樹脂(A)に高密度ポリエチレン(曲げ弾性率
115kg/mm2 )、熱可塑性樹脂(B)にホモポリプロ
ピレン(曲げ弾性率210kg/mm2 )を用いた(但しG
MAや熱安定剤等は加えず)以外は実施例1と同様の繊
維強化熱可塑性樹脂シートとした。
【0055】更に、実施例1と同様にしてプレス成形品
(M)を得た。
【0056】比較例2 熱可塑性樹脂(A)に酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体
(曲げ弾性率185kg/mm2 )、熱可塑性樹脂(B)に
塩化ビニル樹脂(曲げ弾性率270kg/mm2 )を用いた
以外は実施例2と同様の繊維強化熱可塑性樹脂シートと
した。
【0057】比較例3 ポリオレフィン系樹脂(C)にエチレン−プロピレン共
重合体(曲げ弾性率165kg/mm2 )、ポリオレフィン
系樹脂(D)にエチレン−プロピレンブロック共重合体
(曲げ弾性率169kg/mm2 )を用いた以外は実施例3
と同様の繊維強化熱可塑性樹脂シートとした。
【0058】更に実施例1と同様にしてプレス成形品
(M)を得た。
【0059】比較例4 ポリオレフィン系樹脂(C)に高密度ポリエチレン(曲
げ弾性率115kg/mm 2 )、ポリオレフィン系樹脂
(D)に高結晶ポリプロピレン(曲げ弾性率263kg/
mm2 )を用いた以外は実施例3と同様の繊維強化熱可塑
性樹脂シートとした。
【0060】比較例5 ポリオレフィン系樹脂(C)(D)にともに高結晶ポリ
プロピレン(曲げ弾性率218kg/mm2 )を用いた以外
は実施例4と同様の繊維強化熱可塑性樹脂シートとし
た。
【0061】実施例1〜4及び比較例1〜5の各シート
を、その一方向にそろえられた強化繊維と平行な辺をも
つ幅20mm×長さ150mmの試験片を5個切り出すとと
もに、実施例1、3及び比較例1、3の逆U形成形品の
頂壁のランダムな位置より幅20mm×長さ150mmの試
験片を逆U形成形品の長手方向と平行に5個切り出し、
JIS K7203に準拠し、支点間距離120mmで3
点曲げ試験を行なって曲げ弾性率(kg/mm2 )を測定し
た結果を表1に、またシャルピー衝撃値(kg・cm/c
m2 )を表2に示した。
【0062】
【表1】
【表2】
【0063】
【発明の効果】請求項1の発明の繊維強化熱可塑性樹脂
シートによれば、このシートで成形せられた成形品に荷
重が加わった際、一方向にそろえられた状態で配されて
いる強化繊維が熱可塑性樹脂によって確実に保持され、
強化繊維の座屈の発生を防止するから、成形品の破壊強
度が向上する。
【0064】請求項2の発明による繊維強化熱可塑性樹
脂シートは、さらに、強化繊維が長さ方向にランダムな
状態で配されている熱可塑性樹脂層に荷重が加わった
際、樹脂の歪に対する追従性がよいため、樹脂と強化繊
維の界面剥離や凝集破壊を起こさないから、一層成形品
の破壊強度が大きくなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートの一部を
切り欠いた部分平面図である。
【図2】図1のシートを製造する装置の側面図で、流動
床装置は断面で示されている。
【図3】本発明のシートを用いて成形せられた成形品の
斜視図である。
【符号の説明】 (A)(B):熱可塑性樹脂 (C)(D):ポリオレフィン系樹脂 (あ)(い)(う)(え):繊維強化樹脂層 (F3):一方向にそろえられた状態で配されている強化繊
維 (f5):長さ方向のランダムな状態で配されている強化繊
維 (S):繊維強化熱可塑性樹脂シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)に強化繊維が一方向
    にそろえられた状態で配されている繊維強化樹脂層
    (あ)と、熱可塑性樹脂(B)に強化繊維が長さ方向に
    ランダムな状態で配されている繊維強化樹脂層(い)と
    が厚み方向に積層されてなり、熱可塑性樹脂(A)の曲
    げ弾性率が205kg/mm2 以上であることを特徴とする
    繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン系樹脂(C)に強化繊維
    が一方向にそろえられた状態で配されている繊維強化樹
    脂層(う)と、ポリオレフィン系樹脂(D)に強化繊維
    が長さ方向にランダムな状態で配されている繊維強化樹
    脂層(え)とが厚み方向に積層されてなり、ポリオレフ
    ィン系樹脂(C)の曲げ弾性率が205kg/mm2 以上で
    あり、かつポリオレフィン系樹脂(D)の曲げ弾性率が
    205kg/mm2 未満であることを特徴とする繊維強化熱
    可塑性樹脂シート。
JP29137992A 1992-10-29 1992-10-29 繊維強化熱可塑性樹脂シート Pending JPH06134904A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0908643A3 (en) * 1997-10-08 2000-12-20 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Energy absorbing member
JP2013533137A (ja) * 2010-06-11 2013-08-22 ティコナ・エルエルシー 中実で線状の形材から形成された構造部材

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EP0908643A3 (en) * 1997-10-08 2000-12-20 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Energy absorbing member
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