JPH05315135A - Co/Ni人工格子膜、磁気抵抗素子、磁気ヘッド、磁気記録媒体およびCo/Ni人工格子膜の製造方法 - Google Patents

Co/Ni人工格子膜、磁気抵抗素子、磁気ヘッド、磁気記録媒体およびCo/Ni人工格子膜の製造方法

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JPH05315135A
JPH05315135A JP7537791A JP7537791A JPH05315135A JP H05315135 A JPH05315135 A JP H05315135A JP 7537791 A JP7537791 A JP 7537791A JP 7537791 A JP7537791 A JP 7537791A JP H05315135 A JPH05315135 A JP H05315135A
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lattice film
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JP7537791A
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Inventor
Noriaki Kazama
典昭 風間
Takeshi Masumoto
健 増本
Hiroyasu Fujimori
啓安 藤森
Noriyuki Kataoka
教行 潟岡
Kesayoshi Saitou
今朝美 齋藤
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices

Abstract

(57)【要約】 [目的] 種々の磁気的特性に優れた薄膜状のCo/N
i人工格子膜、このCo/Ni人工格子膜を利用した磁
気抵抗効果の優れた磁気抵抗素子および磁気ヘッドや磁
気記録媒体ならびに前記Co/Ni人工格子膜の製造方
法を提供する。 [構成] Co/Ni人工格子膜はCo層とNi層とが
交互に積層されている薄膜層部分を有することを特徴と
しており、磁気抵抗素子、磁気ヘッドおよび磁気記録媒
体はそれぞれ前記Co/Ni人工格子膜を構成要素と
し、Co/Ni人工格子膜の製造方法はイオン・ビーム
スパッタ法を利用してCo/Ni人工格子膜を製造する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCo/Ni人工格子膜、
磁気抵抗素子、磁気ヘッド、磁気記録媒体およびCo/
Ni人工格子膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、情報を磁気的に記録再生するよ
うにした情報処理装置においては、装置の小形化、高性
能化等を図ることが強く要請されている。
【0003】このような要請を満たすために、従来から
磁性材料や装置の構成各部について種々の提案がなされ
ている。
【0004】例えば、磁性材料として優れた特性を有す
るCo−Ni合金を薄膜化して、蒸着テープやハードデ
ィスク等の磁気記録媒体を製したり、磁気抵抗効果の優
れた磁気抵抗素子を製していた。
【0005】また、特開昭64−39012号公報にお
いては、薄いFe層とNi層とを基板上に交互に積層し
た薄膜状の磁性人工格子膜とこの磁性人工格子膜を用い
た磁気ヘッドが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記C
o−Ni合金は均一合金のみとして薄膜化した場合に
は、磁気抵抗効果や保磁力等を向上させるのに限度があ
り、今日においては薄膜化による特性向上を更に期待す
ることができなかった。
【0007】また、前記特開昭64−39012号公報
に記載されている磁性人工格子膜においては、積層され
ている各Fe層とNi層とは、それぞれ数10オングス
トローム以上の膜厚に形成されていて比較的厚く、ま
た、磁性人工格子膜全体の膜厚は6000オングストロ
ームであって厚い薄膜状に形成されていた。そのために
折角薄膜化を行なっていながら、その効果が十分に発揮
されていない薄膜構造を有するものであった。なぜなら
ば、今日の薄膜の膜厚としては2000オングストロー
ム以下のものが望まれている。
【0008】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、種々の磁気的特性に優れた薄膜状のCo/Ni
人工格子膜、このCo/Ni人工格子膜を利用した磁気
抵抗効果の優れた磁気抵抗素子および磁気ヘッドや磁気
記録媒体ならびに前記Co/Ni人工格子膜の製造方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明のCo/Ni人工格子膜は、Co層とNi層と
が交互に積層されている薄膜層部分を有することを特徴
とする。
【0010】また、本発明のCo/Ni人工格子膜は、
前記Ni層は(111)に配向している部分を有し、更
に前記Co層は(001)に配向している部分を有する
ことを特徴とし、また、Ni層の膜厚が2オングストロ
ームとされ、Co層の膜厚が2オングストロームの整数
倍とされていることを特徴としたり、Co層の膜厚が2
オングストロームとされ、Ni層の膜厚が2オングスト
ロームの整数倍とされていることを特徴とする。
【0011】また、本発明の磁気抵抗素子は、磁気抵抗
効果を発揮するCo層とNi層とが交互に積層されたC
o/Ni人工格子膜を有することを特徴とする。
【0012】また、本発明の磁気ヘッドは、Co層とN
i層とが交互に積層されたCo/Ni人工格子膜を磁性
層とすることを特徴とする。
【0013】また、本発明の磁気記録媒体は、Co層と
Ni層とが交互に積層されたCo/Ni人工格子膜を記
録層とすることを特徴とする。
【0014】また、Co層とNi層とが交互に積層され
ている薄膜層部分を有するCo/Ni人工格子膜を製造
する本発明のCo/Ni人工格子膜の製造方法におい
て、スパッタ室と正イオン発生源とを分離し、低温基板
上に高純度薄膜を形成可能なイオン・ビームスパッタ法
により前記Co/Ni人工格子膜を製することを特徴と
する。
【0015】
【作用】本発明のCo/Ni人工格子膜は、Co層とN
i層とが交互に積層されている薄膜層部分を有するため
に、薄膜であるとともに、磁気抵抗効果が大きく、しか
も、保磁力の大きさを調整することができ、各種の磁気
素材として広く利用することができる。
【0016】特に、前記Ni層が(111)に配向して
おり、Co層が(001)に配向しているCo/Ni人
工格子膜は,磁気抵抗効果が優れた薄膜構造となる。
【0017】また、Ni層の膜厚が2オングストローム
とされ、Co層の膜厚が2オングストロームの整数倍と
されているCo/Ni人工格子膜は、磁気抵抗効果が大
きく、保磁力も小さく抑えられたものとなる。 また、
Co層の膜厚が2オングストロームとされ、Ni層の膜
厚が2オングストロームの整数倍とされているCo/N
i人工格子膜は、保磁力が大きいものとなる。
【0018】また、本発明の磁気抵抗素子は、Co層と
Ni層とが交互に積層されたCo/Ni人工格子膜が磁
気抵抗効果を発揮し、しかも、薄膜であっても大きな磁
気抵抗効果を発揮する。
【0019】また、本発明の磁気ヘッドは、前記のCo
層とNi層とが交互に積層されたCo/Ni人工格子膜
を磁性層とするために、大きな磁気抵抗効果を発揮す
る。
【0020】また、本発明の磁気記録媒体は、Co層と
Ni層とが交互に積層されたCo/Ni人工格子膜を記
録層とするために、保磁力が大きく情報の記録に好適で
ある。
【0021】また、Co層とNi層とが交互に積層され
ている薄膜層部分を有するCo/Ni人工格子膜を製造
する本発明のCo/Ni人工格子膜の製造方法は、スパ
ッタ室と正イオン発生室とを分離し、低温基板上に高純
度薄膜を形成可能なイオン・ビームスパッタ法をもっ
て、前記Co/Ni人工格子膜を薄膜状に製することが
できる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1から図15につ
いて説明する。
【0023】先ず、本発明のCo/Ni人工格子膜を説
明する。
【0024】図1から図3はそれぞれ本発明のCo/N
i人工格子膜の実施例を示す。
【0025】これらの各実施例のCo/Ni人工格子膜
は、それぞれ基板1の上にCo層2とNi層3とを交互
に積層して形成されている。各実施例のCo層2とNi
層3との膜厚は、図1がCo層2およびNi層3をとも
に2オングストロームとし、図2が一方のCo層2を2
オングストロームとし、他方のNi層3を2オングスト
ロームの整数倍としており、図3が一方のNi層3を2
オングストロームとし、他方のCo層2を2オングスト
ロームの整数倍としている。各実施例ともCo層とNi
層との組成変調構造の存在の確認や、各種の磁気特性の
確認のために、Co/Ni人工格子膜部分の全体の膜厚
を2000オングストロームとされている。
【0026】前記各実施例のCo/Ni人工格子膜は、
それぞれイオン・ビームスパッタ法により製造されてい
る。
【0027】この製造方法を図4に示すイオン・ビーム
スパッタ装置により説明する。
【0028】このイオン・ビームスパッタ装置は低温基
板上に高純度の薄膜を形成できるものであり、真空チャ
ンバ11内を真空ポンプ等の真空源12により真空引き
しておき、真空チャンバ11内の中央部のスパッタ室1
3内に配設した基板14へ、左右の正イオン発生源1
9、19からその正イオンを利用してCoとNiとを交
互に飛翔させ、CoとNiとを基板14上に交互に積層
させるように形成されている。すなわち、真空チャンバ
11内の左右のスパッタ粒子発生室15,16には、そ
れぞれArイオンビームを円盤状のCoターゲット17
およびNiターゲット18に照射する正イオン発生源1
9,19が配設されており、各ターゲット17,18と
基板14との間にはスパッタ室13と各スパッタ粒子発
生室15,16とを分離するシャッタ20,21が開閉
自在に配設されている。各シャッタ20,21の近傍に
はその開閉状態を検知するモニタ22がそれぞれ設けら
れている。前記基板14は、各ターゲット17,18か
ら飛翔して来るCoビームとNiビームとが基板14に
対して垂直となるように、図4の実線位置から破線位置
まで首振り自在に形成されている。前記イオンビーム源
14には寿命が長く安定した動作が可能なホローカソー
ドが用いられている。
【0029】このように形成されているイオン・ビーム
スパッタ装置において、基板14、各ターゲット17,
18をそれぞれスパッタ室13、各スパッタ粒子発生室
15,16内に配設する。次に、真空チャンバ11内を
真空源12により所定の真空度に保持し、その後各正イ
オン発生源19を稼働させてArイオンを各ターゲット
17,18に照射させる。この時、最初は各シャッタ2
0,21は閉塞させておき、次に基板14上に積層する
膜のターゲットの方(例えば、Co層を積層する時には
ターゲット17)に基板14の正面を図4の実線に示す
ように対面させ、その後一方のシャッタ20のみを開放
させて、正イオン発生源19を所定時間稼働させArイ
オンをCoターゲット17に向けて照射させる。これに
よりCoターゲット17より開放されているシャッタ2
0越しにCoが基板14に向けて飛翔させられて基板1
4上に積層され、所定膜厚のCo層2が形成される。そ
の後シャッタ20を閉塞させてから基板14を回動させ
てその正面を他方のターゲット18に対面させ、その後
他方のシャッタ21のみを開放させて、正イオン発生源
19を所定時間稼働させArイオンをNiターゲット1
8に向けて照射させる。これによりNiターゲット18
よりNiが開放されているシャッタ21越しに基板14
に向けて飛翔させられて基板14上のCo層2の上に積
層され、所定膜厚のNi層3が形成される。以後、この
層形成動作を順に繰返すことによりCo層2とNi層3
とを交互に積層して、所定膜厚のCo/Ni人工格子膜
を製造する。
【0030】このように本発明の製造方法によれば、イ
オンビーム源19から照射されたArイオンがスパッタ
室13内に流入してCo層2およびNi層3に混入する
のを阻止することができるので、スパッタ室13内を高
真空に保持することができるとともに、CoおよびNi
の単原子層に相当する最小2オングストロームの膜厚の
純粋なCo層2およびNi層3を良好に形成することが
できる。
【0031】本実施例においては、図1から図3に示す
3種類の構造を有するCo/Ni人工格子膜を、それぞ
れ全体の膜厚が2000オングストロームとなるように
して製した。
【0032】図1から図3の各実施例の膜構造は、回転
陰極型強力X線(CuKα)による小角回折およびTE
M観察により決定した。
【0033】まず、CoとNiとが薄膜状にして積層さ
せ得るものであるか否かを、図5および図6に示すよう
に、Co層とNi層との膜厚(Co/Ni)をオングス
トローム単位で60/60,30/30,15/15,
7/7,3/3としたものを回折した効果を測定した。
図5、図6および図7に示すように、各膜厚の薄膜構造
に応じたCo層とNi層により組成変調構造が基板14
に対して垂直方向へ積層されていることがそれぞれ確認
された。すなわち前記各Co/Ni人工格子膜は、回折
線の強さのピークがそれぞれ基板14に対して垂直方向
より積層されていることを示す角度位置に存在してい
る。
【0034】これにより各図1,2,3に示された膜構
造のCo/Ni人工格子膜がそれぞれ製造されているこ
とが確認された。
【0035】次に、前記のようにして層構造が決定され
た本実施例のCo/Ni人工格子膜の磁気的特性を説明
する。磁気特性はVSM,B−Hループトレーサにより
測定した。まず、磁化の強さを説明する。
【0036】図8は一方のCo層2を2オングストロー
ムの一定の膜厚にしておいて、他方のNi層3の膜厚を
変化させた場合の飽和磁化の強さを示している。図9は
逆に、他方のNi層3の膜厚を2オングストロームと一
定にしておいて、一方のCo層2の膜厚を変化させた場
合の飽和磁化の強さを示している。
【0037】図8および図9より、Co−Ni合金より
Co/Ni人工格子膜のように組成変調化した方が飽和
磁化の強さは増大する。図8より、Coに対してNiを
増加させると、飽和磁化が減少して行く。図9より、N
iに対してCoを増加させると、飽和磁化が増大して行
く。
【0038】図10は図1から図3の各実施例に対する
印加磁界の強さと磁化の強さとの特性を示している。
【0039】図10より、Ni層3を2オングストロー
ムとしたままCo層2の膜厚を2オングストロームの整
数倍としたCo/Ni人工格子膜が、保磁力が低く、し
かも磁化され易い磁気特性を有している。これは保磁力
は膜厚の厚さに反比例するという一般的な性質を克服し
たものであり、薄膜でありながら軟磁性を発揮するもの
となる。
【0040】また、Co層2を2オングストロームとし
たままNi層3の膜厚を2オングストロームの2以上の
整数倍としたCo/Ni人工格子膜が、保磁力Hcが大
きいという磁気特性を有している。
【0041】この保磁力Hcついて更に説明すると、図
11に示すように、図4のイオン・ビームスパッタ装置
により、基板14上にCo層2とNi層3とを積層した
場合には、Ni層3の膜厚を2オングストロームと一定
に保持し、Co層2の膜厚を変化させた場合において
も、25エルステッド程度の保磁力Hcが発生するもの
であるが、そのCo/Ni人工格子膜を真空中におい
て、例えば30分間250度Cで加熱処理すると、前記
保磁力Hcが数エルステッド以下の無視できる程度まで
減少する。
【0042】また、保磁力Hcと関連する異方性磁界H
kは、図12に示すように、Co層2を2オングストロ
ームとしたままNi層3の膜厚を2オングストロームの
2以上の整数倍としたCo/Ni人工格子膜について膜
厚の増大とともに増大する傾向にあり、そのCo/Ni
人工格子膜は硬磁性体となる。
【0043】磁気抵抗効果は4端子法により測定し、図
13および図14に示した。
【0044】図13はCo層2の膜厚を2オングストロ
ームと一定にし、Ni層3の膜厚を2オングストローム
の整数倍とした場合の磁気抵抗効果と抵抗値とを示して
いる。図中、磁気抵抗効果の値を示す数値はCo/Ni
人工格子膜の全体の膜厚が2000オングストロームの
場合を示し、()内の数値は全体の膜厚が200オング
ストロームの場合を示している。
【0045】図13より、Co/Ni人工格子膜の全体
の膜厚が200オングストローム以下の場合には、Co
−Ni合金のバルクとほぼ同等またはそれ以上の磁気抵
抗効果を発揮することができる。
【0046】図14はNi層3の膜厚を2オングストロ
ームと一定にし、Co層2の膜厚を2オングストローム
の整数倍とした場合の磁気抵抗効果と抵抗値とを示して
いる。図中、磁気抵抗効果の値を示す数値はCo/Ni
人工格子膜の全体の膜厚が2000オングストロームの
場合を示し、()内の数値は全体の膜厚が200オング
ストロームの場合を示している。
【0047】図14より、Co/Ni人工格子膜の全体
の膜厚が300オングストローム以下の場合には、Co
−Ni合金のバルクとほぼ同等以上の磁気抵抗効果を発
揮することができる。更に、30分間250℃で加熱処
理するとFe−Ni合金より大きな磁気抵抗効果が得ら
れる。
【0048】次に、前記Co/Ni人工格子膜のCo層
2およびNi層3の配向を調べると、一方のCo層2は
六方晶的な(001)配向を有し、他方のNi層3は面
心立法晶的な(111)配向を有している。これを図1
5から図17により説明する。図15における回折線
は、下から上へ順に、単体のCo層hcp−Co、hc
p−Co(A)(ここでAは、図4においてCo層を基
板14上に形成中に、スパッタ室13内に設けた正イオ
ン源(図示せず)よりArイオンをCo層に照射した場
合を示している。以下同じ)、Ni層の単体のNi層f
cc−Ni、fcc−Ni(A)、Ni層とCo層との
膜厚(Ni/Co)をオングストローム単位で1000
/1000、500/500、250/250としたも
のを示す。図16における回折線は、下から上へ順に、
Ni層とCo層との膜厚(Ni/Co)をオングストロ
ーム単位で125/125、60/60、60/60、
30/30、15/15、15/15、7/7、3/
3、3/3としたものを示す。図中、RはCoおよびN
iの堆積速度=0.7(オングストローム/秒)を示す
(以下、同じ。)図17における回折線は、下から上へ
順に、Ni層とCo層との膜厚(Ni/Co)をオング
ストローム単位で2/4、4/2、2/2、2/2、2
/2、2/2とNi−Co合金、Ni−Co合金(A)
としたものを示す。図15に示すように、Co単体は
(001)配向の角度に最強回折線ピークが認められ、
Ni単体は(111)配向の角度に回折線ピークが認め
られ、更に、Ni層とCo層とを積層したCo/Ni人
工格子膜にも前記単体のものと同一角度位置に回折線ピ
ークが認められるので、Coは(001)配向であり、
Niは(111)配向であると認められる。
【0049】以上説明したように、本発明のCo/Ni
人工格子膜は、Co層2とNi層3とを最小の1原子厚
に相当する2オングストローム単位で形成されているの
で、磁気抵抗効果が薄膜でありながらCo−Ni合金の
バルクと同等の値となる。また、Ni層よりもCo層を
厚くすることにより保磁力を小さく抑えることができ、
逆にCo層よりもNi層を厚くすることにより保磁力を
大きくすることができる。
【0050】また、本発明のCo/Ni人工格子膜にお
いては、Co層2とNi層3との積層状態が膜の全厚さ
について均一に形成されている必要はなく、前記のよう
にX線を利用してCo層2とNi層3との積層状態が検
出可能な程度に形成されていれば、前記効果が発揮され
る。
【0051】また、本発明の磁気抵抗素子は、前記のC
o/Ni人工格子膜をもって形成されている。
【0052】前記Co/Ni人工格子膜は極めて良好な
磁気抵抗効果を発揮し、磁気抵抗素子として機能する。
特に、本発明の磁気抵抗素子は薄膜状に形成されている
ため、この磁気抵抗素子を利用した各種の装置の小型化
を図ることができる。
【0053】また、本発明の磁気ヘッドは、前記Co/
Ni人工格子膜を磁性層として形成されている。
【0054】この磁気ヘッドとしては、高い飽和磁束密
度を有し、かつ、保磁力が小さいことが要求される。そ
こで、本実施例の磁気ヘッドにおいては、前記要求を満
たすNi層3の膜厚を2オングストロームと一定にし、
Co層2の膜厚を2オングストロームの整数倍としたC
o/Ni人工格子膜を用いて形成されている。
【0055】また、この磁気ヘッドは薄膜状に形成され
ているために、図18に示すように、磁気ディスク31
に対してスライドする支持アーム33の先端に薄膜の磁
気ヘッド32を取付けて形成されており、この磁気ヘッ
ド32の上部コアおよび下部コア(共に図示せず)の磁
性材料として、前記Co/Ni人工格子膜を用いてい
る。
【0056】また、本発明の磁気記録媒体は、前記Co
/Ni人工格子膜を記録層として形成されている。
【0057】この磁気記録媒体としては、大きい保磁力
が有することが要求される。そこで、本実施例の磁気ヘ
ッドにおいては、前記要求を満たすCo層2の膜厚を2
オングストロームと一定にし、Ni層3の膜厚を2オン
グストロームの整数倍としたCo/Ni人工格子膜を、
磁気ディスクの基板上に積層することにより形成されて
いる。このCo/Ni人工格子膜は薄膜状に形成されて
いるために、磁気ディスクの高密度化を達成することが
でき、また、記録層の製造に要する材料が少量で済み、
省資源化を図ることができる。
【0058】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、必要に応じて変更することができる。
【0059】
【発明の効果】このように本発明は構成され作用するも
のであるから、磁気抵抗効果に優れており、保磁力を大
小に調節して形成することができる等の種々の磁気的特
性に優れた薄膜状のCo/Ni人工格子膜を得ることが
できる。また、このCo/Ni人工格子膜を利用して磁
気抵抗効果の優れた磁気抵抗素子および保磁力を小さく
抑えた磁気ヘッドや高密度記録の可能な磁気記録媒体を
得ることができ、しかも薄膜状の前記Co/Ni人工格
子膜を極めて精度良く簡単に製造することができる等の
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCo/Ni人工格子膜の1実施例を示
す断面図
【図2】本発明のCo/Ni人工格子膜の他の実施例を
示す断面図
【図3】本発明のCo/Ni人工格子膜の更に他の実施
例を示す断面図
【図4】イオン・ビームスパッタ装置の断面図
【図5】回転陰極型強力X線による小角回折による回折
線の強度特性図
【図6】回転陰極型強力X線による小角回折による回折
線の強度特性図
【図7】回転陰極型強力X線による小角回折による回折
線の強度特性図
【図8】磁化の強さとCo/Ni人工格子膜のCo層お
よびNi層の膜厚との関係を示す特性図
【図9】磁化の強さとCo/Ni人工格子膜のCo層お
よびNi層の膜厚との関係を示す特性図
【図10】Co/Ni人工格子膜のCo層およびNi層
の膜厚を変化させた時の磁化の強さと印加磁界との関係
を示す特性図
【図11】保磁力と熱処理前のCo/Ni人工格子膜の
Co層およびNi層の膜厚との関係を示す特性図
【図12】異方性磁界とCo/Ni人工格子膜のCo層
およびNi層の膜厚との関係を示す特性図
【図13】磁気抵抗効果および抵抗値とCo/Ni人工
格子膜のCo層およびNi層の膜厚との関係を示す特性
【図14】磁気抵抗効果および抵抗値とCo/Ni人工
格子膜のCo層およびNi層の膜厚との関係を示す特性
【図15】回転陰極型強力X線による小角回折による回
折線の強度特性図
【図16】回転陰極型強力X線による小角回折による回
折線の強度特性図
【図17】回転陰極型強力X線による小角回折による回
折線の強度特性図
【図18】磁気ディスク装置の要部の斜視図
【符号の説明】
1 基板 2 Co層 3 Ni層 11 真空チャンバ 13 スパッタ室 14 基板 15、16 スパッタ粒子発生室 19 正イオン発生源 20、21 シャッタ 32 磁気ディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤森 啓安 宮城県仙台市青葉区吉成2丁目10の3 (72)発明者 潟岡 教行 宮城県仙台市太白区向山1−4−7 第2 ハイネス向山212 (72)発明者 齋藤 今朝美 宮城県仙台市青葉区みやぎ台2丁目16の6

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co層とNi層とが交互に積層されてい
    る薄膜層部分を有することを特徴とするCo/Ni人工
    格子膜。
  2. 【請求項2】 Ni層は(111)に配向している部分
    を有し、Co層は(001)に配向している部分を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載のCo/Ni人工格
    子膜。
  3. 【請求項3】 Ni層の膜厚が2オングストロームとさ
    れ、Co層の膜厚が2オングストロームの整数倍とされ
    ていることを特徴とする請求項1に記載のCo/Ni人
    工格子膜。
  4. 【請求項4】 Co層の膜厚が2オングストロームとさ
    れ、Ni層の膜厚が2オングストロームの整数倍とされ
    ていることを特徴とする請求項1に記載のCo/Ni人
    工格子膜。
  5. 【請求項5】 磁気抵抗効果を発揮するCo層とNi層
    とが交互に積層されたCo/Ni人工格子膜を有するこ
    とを特徴とする磁気抵抗素子。
  6. 【請求項6】 Co層とNi層とが交互に積層されたC
    o/Ni人工格子膜を磁性層とすることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  7. 【請求項7】 Co層とNi層とが交互に積層されたC
    o/Ni人工格子膜を記録層とすることを特徴とする磁
    気記録媒体。
  8. 【請求項8】 Co層とNi層とが交互に積層されてい
    る薄膜層部分を有するCo/Ni人工格子膜を製造する
    Co/Ni人工格子膜の製造方法において、スパッタ室
    と正イオン発生源とを分離し、低温基板上に高純度薄膜
    を形成可能なイオン・ビームスパッタ法により前記Co
    /Ni人工格子膜を製することを特徴とするCo/Ni
    人工格子膜の製造方法。
JP7537791A 1991-04-08 1991-04-08 Co/Ni人工格子膜、磁気抵抗素子、磁気ヘッド、磁気記録媒体およびCo/Ni人工格子膜の製造方法 Withdrawn JPH05315135A (ja)

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