JPH0531290Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はスプリングクラツチブレーキに使用さ
れるクラツチスプリングに関するものである。

従来の技術 第７図乃至第１０図は在来の上記クラツチスプ
リングのフツク部固定構造を例示するものであつ
て、第７図及び第８図に示すクラツチスプリング
のフツク部固定構造に於いては、クラツチスプリ
ング１のフツク部１′をループ状に形成してこれ
を鍔付筒体の固定治具２に巻装し、かつ、フツク
部１′の付根部をカラー３でカシメ拘持して該付
根部にカラー３をロウ付けし、更に、フツク部
１′の端末を約90°折曲している。一方、第９図及
び第１０図に示すクラツチスプリングのフツク部
固定構造に於いては、クラツチスプリング１のフ
ツク部１′を図示するように２枚の金属板４，５
間に挟装して一方の金属板４の係止舌片４′，
４′を他方の金属板５の係止切欠き５′，５′にカ
シメ係止している。

考案が解決しようとする問題点 ところで、上記第７図及び第８図の在来例に於
いては、クラツチスプリング１のフツク部１′の
付根部にカラー３をロウ付けさせる為、スプリン
グ素材が熱で組織変化してフツク部１′の機械的
強度を低下させ、クラツチ作動時にフツク部１′
が固定治具２より外れたり、また、クラツチスプ
リング１が所定位置に対して回転する等の不都合
が発生する。また、上記第９図及び第１０図の在
来例に於いては、２枚の金属板４，５の形状が複
雑でその製作に労力と時間を要する上、カシメ工
程も必要となるので、高コストになると云つた欠
点がある。尚、クラツチスプリング１のフツク部
１′をダイキヤストで固定する手段もあるが、こ
れもスプリング素材が熱で組織変化してフツク部
１′の機械的強度を低下させる欠点がある。

そこで、本考案の目的は、素材の機械的強度を
低下させることなく、しかも、低コストであるク
ラツチスプリングのフツク部固定構造を提供する
ことである。

問題点を解決するための手段 本考案は斯かる目的を達成する為、コイル部の
一端から直線状に延びる腕部の端部を上記コイル
部と同方向に複数巻きされたその端末を上記腕部
に対して約45°折曲したフツク部を形成したクラ
ツチスプリングと、中央部に貫通穴を有する断面
コ字状の環形に形成され、その上記クラツチスプ
リングのフツク部内径より若干大きい外径を有す
る内側環状鍔と上記クラツチスプリングのフツク
部外径より大きい内径を有する外側環状鍔との間
に上記クラツチスプリングのフツク部を嵌挿し得
る環状溝を形成すると共に、上記外側環状鍔の一
部に切欠端面を有する切欠きを形成した固定治具
とからなり、上記クラツチスプリングのフツク部
を上記固定治具の内側環状鍔に圧入して上記環状
溝に嵌挿すると共に上記クラツチスプリングの腕
部及びフツク部の端末を上記固定治具の切欠きに
嵌挿させたと云う技術的手段を講じている。

作 用 クラツチ作動時、クラツチスプリングの巻締め
方向に力が働き、フツク部に大きな力が作用する
が、その力は腕部及びフツク部の端末が切欠きの
切欠端面に当接して受けられる。

実施例 以下本考案の具体的実施例を第１図乃至第６図
に基づき説明する。

同図に於いて、１０はクラツチスプリング、２
０は固定治具である。

クラツチスプリング１０は例えばばね鋼等の線
材からなり、第３図及び第４図に示すように、コ
イル部１１と、このコイル部部１１の一端から直
線状に延びる腕部１２と、この腕部１２の端部に
形成されたコイル部１１と同方向に複数巻き、例
えば２重巻きされてその端末１３′を腕部１２に
対して約45°折曲したフツク部１３とで構成され
ている。

固定治具２０は第５図及び第６図に示すよう
に、中央部に貫通穴２１を有する断面コ字状の環
形に形成され、クラツチスプリング１０のフツク
部１３の内径より若干大きい外径を有する内側環
状鍔２２とクラツチスプリング１０のフツク部１
３の外径より大きい内径を有する外側環状鍔２３
との間にクラツチスプリング１０のフツク部１３
を嵌挿し得る環状溝２４を配設すると共に、外側
環状鍔２３の一部に切欠端面２５′を有する切欠
き２５を形成している。

上記構成のクラツチスプリング１０のフツク部
１３の固定治具２０への取付けは、第１図及び第
２図に示すように、フツク部１３を内側環状鍔２
２に圧入して環状溝２４に嵌挿し、同時に腕部１
２及びフツク部１３の端末１３′を切欠き２５に
嵌挿して行う。

而して、クラツチ作動時、クラツチスプリング
１０の巻締め方向に力が働き、フツク部１３に大
きな力が作用するが、その力は腕部１２及びフツ
ク部１３の端末１３′が切欠き２５の切欠端面２
５′に当接して受けられるので、フツク部１３が
固定治具２０より外れることもなく、また、クラ
ツチスプリング１０も回転しない。

考案の効果 本考案によれば、スプリング素材にロウ付け或
いはダイキヤスト処理を施工することなくフツク
部を固定することができるので、素材の機械的強
度を低下させることがなくなり、フツク部の固定
治具より外れ及びクラツチスプリングの回転等の
不具合を防止することができる。また、従来のカ
シメ工程を省い固定治具の環状溝にフツク部を嵌
挿するだけでフツク部の固定ができるので製作コ
ストが安価にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の具体的実施例を示
す要部正面図及び側面図、第３図及び第４図は本
考案に適用されるクラツチスプリングの正面図及
び側面図、第５図及び第６図は本考案に適用され
る固定治具の正面図及び側面図である。 第７図及び第８図は在来のクラツチスプリング
のフツク固定構造を例示する要部正面図及びＡ−
Ａ線断面図、第９図及び第１０図は多の在来例を
示す要部正面図及びＢ−Ｂ線断面図である。 １０……クラツチスプリング、１１……コイル
部、１２……腕部、１３……フツク部、１３′…
…フツク部の端末、２０……固定治具、２１……
貫通穴、２２……内側環状鍔、２３……外側環状
鍔、２４……環状溝、２５……切欠き、２５′…
…切欠端面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 コイル部の一端から直線状に延びる腕部の端部
   を上記コイル部と同方向に複数巻きされてその端
   末を上記腕部に対して約45°折曲したフツク部を
   形成したクラツチスプリングと、 中央部に貫通穴を有する断面コ字状の環形に形
   成され、その上記クラツチスプリングのフツク部
   内径より若干大きい外径を有する内側環状鍔と上
   記クラツチスプリングのフツク部外径より大きい
   内径を有する外側環状鍔との間に上記クラツチス
   プリングのフツク部を嵌挿し得る環状溝を形成す
   ると共に、上記外側環状鍔の一部に切欠端面を有
   する切欠きを形成した固定治具とからなり、 上記クラツチスプリングのフツク部を上記固定
   治具の内側環状鍔に圧入して上記環状溝に嵌挿す
   ると共に上記クラツチスプリングの腕部及びフツ
   ク部の端末を上記固定治具の切欠きに嵌挿させた
   ことを特徴とするクラツチスプリングのフツク部
   固定構造。