JPH0531018B2 - - Google Patents

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JPH0531018B2
JPH0531018B2 JP62087166A JP8716687A JPH0531018B2 JP H0531018 B2 JPH0531018 B2 JP H0531018B2 JP 62087166 A JP62087166 A JP 62087166A JP 8716687 A JP8716687 A JP 8716687A JP H0531018 B2 JPH0531018 B2 JP H0531018B2
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JP
Japan
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pulley
belt
weight
internal combustion
gear ratio
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JP62087166A
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Kyoshi Kimura
Yasushi Oori
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0531018B2 publication Critical patent/JPH0531018B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、内燃機関を搭載した自動二輪車等の
車両に用いられるVベルト伝動式自動変速機に関
するものである。
従来技術 従来のVベルト伝動式自動変速機においては、
第1図に図示されるように、駆動軸01にVプー
リの固定フエイス02とランププレート04とが
一体に嵌着され、Vプーリのドライブ可動フエイ
ス03は軸方向に移動しうるが周方向には駆動軸
01と一体となつて回転しうるように同駆動軸0
1に嵌装され、同ドライブ可動フエイス03とラ
ンププレート04間にウエイトローラ05が介装
され、従動スリーブ06にVプーリのドリブン固
定フエイス07が一体に嵌着されるとともに、V
プーリのドリブン可動フエイス08が軸方向に移
動しうるが周方向にはドリブンスリーブ06と一
体となつて回転しうるように同ドリブンスリーブ
06に嵌装され、同ドリブン可動フエイス08は
コイルスプリング09のばね力でドリブン固定フ
エイス07に接近するように付勢され、前記駆動
側Vプーリのフエイス02,03と従動側Vプー
リのフエイス07,08との間にVベルト010
が架渡されている。
また前記自動変速機においては、ウエイトロー
ラ05が接するドライブ可動フエイス03とラン
ププレート04の相対する面は、母線が直線状の
円錐面に形成されており、駆動軸01が停止また
は低速回転している状態では、ウエイトローラ0
5は最も駆動軸01の中心寄りに位置して、ドラ
イブ可動フエイス03は固定フエイス02より離
れ、Vベルト010の駆動側彎曲半径が小さく、
かつ従動側彎曲半径が大きく、従つて変速比が最
大となり、駆動軸01の回転速度が増加するにつ
れて、ウエイトローラ05は暫時駆動軸01の中
心より離れて、ドライブ可動フエイス03はドラ
イブ固定フエイス02に接近し、Vベルト010
の駆動側彎曲半径が大きくなるとともに従動側彎
曲半径が大きくなり、変速比が小さくなるように
なつている。
解決しようとする課題 内燃機関は、車両に搭載される直流電動機の特
性と異なり、アイドリングないし低速回転域にお
いては発生するトルクは中速度回転域のトルクに
比べて小さく、回転速度の増加に伴なつて漸次増
大するので、内燃機関が低速度で回転してVベル
ト伝動式自動変速機が大変速比に設定された状態
では、Vベルトに対するVプーリの側圧をそれ程
増大させなくても、動力の伝達はなされる。
ところが、車両を加速しまたは大きな走行空気
抵抗に打勝つべく、中速度ないし高速度回転域に
内燃機関を運転させた場合には、内燃機関の発生
するトルクは増大するために、Vベルトに充分な
側圧を与えて、Vベルト・Vプーリ間のスリツプ
の発生を抑制する必要が生じ、従つて駆動側Vプ
ーリとVベルト間の側圧に影響のあるVベルト張
力を付与する被動側プーリのスプリングは、内燃
機関の発生する最大トルクに合わせて設定される
べきである。
反面、Vベルト伝動式自動変速機の変速は、こ
のスプリングのばね力と、ウエイトに働く遠心力
による軸方向力との関係で行なわれるため、ばね
力に見合つた軸方向力を発生することが必要とな
る。
このウエイトに働く遠心力による軸方向力を第
1図に図示のVベルト伝動式自動変速機について
説明すると、ドライブ可動フエイス03の軸方向
力Fは、第2図から明らかなように F=KmrN2/(tanα+tanβ) ……(1) ただしmはウエイトローラ05の質量 Nは駆動軸回転数 Kは比例常数 となる。
(1)式から明らかなように、軸方向力Fは、ウエ
イトの質量mと回転中心からのウエイトの半径位
置rと、ウエイトが接する接触面の傾斜角α,β
とに関係するが、ウエイトの質量を大きくする
と、駆動プーリ全体の重量が増大して好ましくな
い。
そして第1図に図示のVベルト伝動式自動変速
機ではウエイトが接する接触面の傾斜角α,βが
一定になつているため、傾斜面03a,04aの
傾斜角α,βのいずれか一方または両方を小さく
すると、例えばαのみ小さくした場合、第3図に
図示されるように、ドライブ可動フエイス03を
ドライブ固定フエイス02に△×だけ接近させる
ために必要とするウエイトローラ05の半径方向
移動距離が△rだけ長くなつて、自動変速機全体
の重量増加と大型化が避けられなかつた。
また前記目動変速機を借えた車両における車速
と内燃機関の回転数との関係を示した第11図を
参照して、前記した現象を別な角度から説明する
と、内燃機関が停止している状態では、コイルス
プリングのばね力によりドリブン可動フエイス0
8がドリブン固定フエイス07に押付けられ、ド
リブンプーリに巻付けられるVベルト010の巻
付け半径が最大となるとともに、ドライブプーリ
に巻付けられるVベルト010の巻付け半径が最
小となるようにドライブ可動フエイス03はドラ
イブ固定フエイス02より最も離れ、ウエイトロ
ーラ05はドライブ可動フエイス03の中心部外
周面03aと傾斜面03bとトランププレート0
4の傾斜面04aとに挟持され、その結果、変速
比は最大に設定されている。
次に内燃機関が始動すると、ドリブン固定フエ
イス07とドリブン可動フエイス08とは、内燃
機関の回転数Nが増加するに伴つて最大変速比で
回転するものの、内燃機関回転数NがN1以下の
状態では、遠心クラツチシユー011とクラツチ
アウター012とは離れて、クラツチ遮断状態と
なつているので、ドリブンシヤフト013は停止
状態のままであり、スクータ型自動二輪車は静止
している。
そして内燃機関の回転数Nが増加してN1に達
すると(第11図0点)、遠心クラツチシチユー
011とクラツチアウター012との接触が開始
して、半クラツチ状態でドリブンシヤフト013
が回転を始め、スクータ型自動二輪車は発進し、
(第11図W部)、加速走行する。
また遠心クラツチシチユー011とクラツチア
ウター012とよりなるクラツチが完全に接続さ
れると(第11図X部)、ウエイトローラ05が
ドライブ可動フエイス中心外周面03aに接した
まま、最大変速比にて内燃機関回転数Nの増加に
伴い車速が増大する。
さらに内燃機関回転数NがN2に達すると(第
11図Y部)、コイルスプリング09のばね力に
よつて張力を加えられたVベルト010によるド
ライブ可動フエイス03に働く軸方向力を、ウエ
イトローラ05に働く遠心力による軸方向力が上
回り、ウエイトローラ05は傾斜面03bに沿つ
て外方へ移動し、内燃機関回転数Nが略一定のま
ま変速比が自動的に減少して車速が増大する。
最後にウエイトローラ05がドライブ可動フエ
イス03の外側円筒部内周面03cに当接すれば
(第11図Z部)、Vベルト010の巻付け半径が
固定されて、最小の変速比に設定され、この最小
変速比にて内燃機関回転数Nの増加に伴い車速が
さらに増大する。
そして最大変速比は、ウエイトローラ05がド
ライブ可動フエイス中心部外周面03aに接した
機関停止時における駆動側プーリと被動側プーリ
とに巻付けられるVベルト010の巻付け半径の
比で決まり、また最小変速比は、ウエイトローラ
05がドライブ可動フエイス外側円筒部内周面0
3cに接した機関高速回転時における駆動プーリ
と被動側プーリとに巻付けられるVベルト010
の巻付け半径の比で決まり、ドライブ可動フエイ
ス03およびランププレート04の傾斜角や、ウ
エイトローラ05の重量や、コイルスプリング0
9のばね力には影響されない。
しかしウエイトローラ05がドライブ可動プー
リ03の傾斜面03bとランププレート04の傾
斜面04aとに接しながらこれらの傾斜面03
b,04b上を移動する変速比変化領域Yでは、
ウエイトローラ05が重く、または傾斜面03
b,04aの傾斜角が小さく、あるいはコイルス
プリング09のばね力が小さい場合、Y1の線に
沿つて変速するが、これらと逆の場合には、Y2
の線に沿つて変速する。
Y1の線に沿つて変速する自動変速機では、内
燃機関を高速に回転させる領域X1が狭いため、
燃費が良好であるが、車体重量が増大した場合
や、坂を登りあるいは悪路を走行する場合、車輪
を回転させるためのトルクが増大し、プーリ0
2,03,07,08とVベルト010との間に
滑りが生じて、円滑な走行ができないことがあ
る。
またY2の線に沿つて変速する自動変速機では、
プーリ02,03,07,08とVベルト010
との摩擦力が大きくて、動力を車輪に確実に伝達
することができるが、その反面、最大変速比で、
内燃機関を高速回転させなければならない領域
X2が広くなつて、燃費が悪く、かつドライバー
のアクセル操作に左右されない変速比が変化する
領域Yが広くなり、車速をドライバーの意志に従
つて増減することが困難であつた。
従つて、自動変速機を設計するに当たつて、こ
の2つの相反する特性の調和を図るため、やむな
く両方の領域Y1、Y2の中間に設定せざるを得な
かつた。
このように前記した従来のVベルト伝動式自動
変換機においては、被動側プーリのスプリングの
ばね力とウエイト質量とウエイトが接する円錐状
の接触面の傾斜角α,βのみを適当な値に設定す
るだけでは、内燃機関の特性と車両走行に要求さ
れる特性に適合するような変速特性のVベルト伝
達式自動変速機を得ることができなかつた。
課題を解決するための手段および作用 本発明はこのような難点を克服した車両用Vベ
ルト伝動式自動変速機の改良に係り、内燃機関の
クランクシヤフト端部に取付けられた駆動側Vプ
ーリと、V型断面を有するVベルトにより駆動側
Vプーリの動力を伝えられる被動側Vプーリとを
備えるとともに、該駆動側Vプーリのプーリ対向
面の間隔が内燃機関の低回転時に広く、また、高
回転時に狭く作動する遠心ウエイトを該駆動側V
プーリ自体に設け、さらに該プーリ対向面の間隔
を該Vベルトを介して広げる方向へ常時付勢する
スプリング部材を該被駆動側Vプーリに設けてな
り、低速状態で駆動側Vプーリの巻掛け半径が小
さくて変速比が大きく高速状態で駆動側Vプーリ
の巻掛け半径が大きくて変速比が小さくなるVベ
ルト伝動式自動変速機において、前記被動側Vプ
ーリのスプリングのばね力に打勝つように該ウエ
イトの遠心力により前記駆動側両プーリフエイト
側面間の間隔を狭める方向に作用する前記ウエイ
トとの前記駆動側プーリの接触面の駆動側プーリ
の回転中心線と直交する面に対する傾斜角を、内
燃機関の中速度回転域にて位置したウエイトと接
触する個所を境にして、前記駆動側プーリの回転
中心線より離れるにつれて段階的または連続的に
増大させ、前記接触面を該駆動側プーリ回転中心
線に向つて急角度に弯曲した形状に形成して、中
速度回転域における変速比を一時的に保持する変
速比保持手段を構成したこと特徴とするものであ
る。
本発明は前記したように構成されているので、
内燃機関が低速度回転域で回転する状態では、前
記ウエイトに働く遠心力が小さく、それに伴なつ
て、前記駆動側Vプーリの両プーリフエイス側面
間の間隔を広げようとする前記スプリングのばね
力が小さい結果、Vベルトに対するVプーリの側
圧が小さくても内燃機関の発生トルクが小さいの
で、動力は確実に伝達される。
また本発明において、車両が漸次加速されて内
燃機関の回転速度が中速度回転域に達すると、ウ
エイトの遠心力はそれ程増大しなくても、該ウエ
イトが接する前記接触面の傾斜角が小さいため、
ウエイトが中心より離れる方向へ容易に移動して
変速比が低下するとともに、Vベルトに対するV
プーリの側圧が増大し、Vベルト−Vプーリ間の
スリツプを起こすことなく、内燃機関で発生する
大きなトルクを移動側Vプーリに確実に伝達する
ことができる。
さらに本発明では、内燃機関の回転速度が中速
度回転域から高速度回転域に移行する際に、前記
接触面の傾斜角が増大する方へ変化する個所に前
記ウエイトが位置して前記スプリングのばね力に
打勝つに足る軸方向分力を発生しえないため、内
燃機関の回転速度が少しばかり増加しても、前記
ウエイトが接する接触面の接触位置が変わらず、
速度比がそのまま一定に保持されるので、内燃機
間の中速度回転域から高速度回転域にさしかかる
回転域における大きなトルクをも確実に伝達する
ことができる。
さらにまた本発明において、内燃機関の回転速
度が高速度回転域に達すると、ウエイトの遠心力
は回転速度の二乗に比例して増大し、著しく大き
な値となるため、前記接触面の傾斜角が大きな部
分に沿つて前記ウエイトが移動でき、変速比が低
下し、車両は高速走行が可能となる。
このように本発明では、前記駆動側Vプーリの
両プーリフエイス側面間の間隔調整に寄与する接
触面の傾斜角を中速度回転域に対応したウエイト
位置にて増大させたため、ウエイトや駆動側Vプ
ーリを大型化することなく、中速度回転域で大き
なトルクを確実に伝達することができるととも
に、低速度回転域から中速度回転域に至る回転域
のみならず高速度回転域でも変速比を広範囲に亘
つて変化させて、内燃機関の出力特性に合わせて
車両を適切に走行させることができる。
実施例 以下第4図ないし第10図に図示された本発明
の一実施例について説明する。
1はスクータ型自動二輪車で、同自動二輪車1
の後部で、スイング式パワーユニツト2の前部は
リンク1aを介してフレーム1bに上下へ揺動自
在に枢支され、後部は緩衝器1cを介してフレー
ム1bに枢支されている。
またパワーユニツト2では、エンジン3と伝動
ケース4が一体的に構成され、後車輪27を駆動
する。同エンジン3のクランクシヤフト5は同伝
動ケース4内の前部に突出されている。
さらにクランクシヤフト5には、ランププレー
ト6が一体に嵌着されるとともに、ドライブフエ
イスカラー7およびドライブ固定フエイス8がナ
ツト9の締付けにより同シヤフト5に一体に嵌着
されている。
さらにまた前記ドライブフエイスカラー7に、
オイル溜め10を有するスライドカラー11を介
してドライブ可動フエイス12が軸方向へ摺動自
在に嵌合され、同スライドカラー11の両端にオ
イルシール13が付設され、ドライブ可動フエイ
ス12の半径方向リブ12bにランププレート6
の切欠き部6bが軸方向へ移動自在に係合されて
おり、同ドライブ可動フエイス12はクランクシ
ヤフト5に対して軸方向には移動しうる周方向に
はランププレート6を介して同クランプシヤフト
5と一体となつて回転しうるようになつている。
しかして前記ドライブ可動フエイス12のVベ
ルト接触面と反対側の面には、第9図および第1
0図に図示されるように、可動フエイス12の回
転中心から放射方向に指向したウエイトローラガ
イド溝12cが周方向に亘り複数本(第9図では
6本)形成され、該ウエイトローラガイド溝12
cの溝底面12aは可動フエイス12の回転中心
から離れるにつれてエンジン3に接近する方へ傾
斜しており、前記ウエイトローラガイド溝12c
にウエイトローラガイド14が遊嵌された状態
で、可動フエイス傾斜面12aとランププレート
傾斜面6aとに挟持されるようにてついる。
そして前記ドライブ可動フエイス12の傾斜面
12aは、第7図に図示されるように、回転中心
寄りと外周寄りとでその傾斜角α1,α2が異なり、
α1>α2となるように、α1の傾斜面12a1とα2の傾
斜面12a2とに形成されている。
なお傾斜面12a1,12a2との境界隅部12a3
は第8図に示されるようにローラ14の有効半径
より大きな曲率半径Rの曲面に形成されている。
また伝動ケース4の後部に回転自在に枢支され
たドリブンシヤフト15にボス16が回転自在に
嵌合され、同ボス16にドリブン固定フエイス1
7が一体に嵌合されている。
さらにボス16にドリブンカム18が遊嵌さ
れ、同ドリブンカム18にドリブン可動フエイス
19が一体に嵌着され、前記ドリブンカム18に
設けられたカム溝18aを貫通してボス16にピ
ン20が嵌着されており、ドリブンカム18およ
びドリブン可動フエイス19はカム溝18aに案
内されてボス16に対して相対的に軸方向と周方
向へ移動されるようになつている。
さらにまたボス16にクラツチインナープレー
ト22がナツト29により一体に嵌着され、ドリ
ブン可動フエイス19とクラツチインナープレー
ト22とに圧縮コイルスプリング21が介装さ
れ、同クラツチインナープレート22に遠心クラ
ツチシユー23が揺動自在に枢着され、同遠心ク
ラツチシユー23を囲繞するように形成されたク
ラツチアウター24はナツト30によりドリブン
シヤフト15に一体に嵌着されている。
またドリブンシヤフト15は減速ギヤ装置25
を介して後車軸26に連結され、同後車軸26に
高車輪27が一体に取付けられている。
第4図ないし第10図に図示の実施例は前記し
たように構成されているので、エンジン3が停止
している状態では、圧縮コイルスプリング21の
ばね力によりドリブン可動フエイス19がドリブ
ン固定フエイス17に押付けられ、ドリブンプー
リに巻付けられるVベルト28の巻付け半径が最
大となるとともに、ドライブプーリに巻付けられ
るVベルト28の巻付け半径が最小となるように
ドリブン可動フエイス12はドライブ固定フエイ
ス8より最も離れ、ウエイトローラ14はドライ
ブ可動フエイス12の中心部外周面12cと傾斜
面12aとランププレート傾斜面6aとに挟持さ
れ、その結果、変速比は最大となつている。
次にエンジン3が始動し、その回転数Nが増加
し、N1を経てN2に達する迄は、第11図に図示
した従来のものの動作状態W,Xと同様な動作を
第12図のA,Bに示すように行なう。
そしてエンジン3の回転数Nが増加するに伴い
ウエイトローラ14に働く遠心力mrN2が増加し
て、前記(1)式における可動フエイスにドライブ可
動フエイス8に接近させようとする軸方向力Fが
増大するが、エンジン回転数NがN2未満では、
ウエイトローラ14の遠心力による軸方向力F
は、圧縮コイルスプリング21のばね力でもつて
Vベルト28に与えている張力によりドライブ可
動フエイス12をドライブ固定フエイス8より離
そうとする力Tよりも小さいので、ドライブ可動
フエイス12はドライブ固定フエイスへ接近する
ことができずに最大変速比に設定されている。
しかしエンジン回転数NがN2に達すると、ウ
エイトローラ14の遠心力による軸方向力Fが圧
縮コイルスプリング21のばね力で付与されてい
るVベルト28の張力による力Tよりも大きくな
り、この力Tに打勝つてウエイトローラ14は小
さな傾斜角α1の可動フエイス傾斜面12a1上をプ
ーリ回転中心線より離れる方向に移動することが
でき、ドライブ可動フエイス12はドライブ固定
フエイス8に接近することができるので、ドライ
ブプーリに巻付けられるVベルト28の巻付け半
径が増加するとともにドリブンプーリに巻付けら
れるVベルト28の巻付け半径が減少し、第12
図のC領域に示されるように、変速比は減少し
て、第1段階の自動変速が行なわれる。
さらにウエイトローラ14が可動フエイス傾斜
面12a1上を移動してその境界隅部12a3に達す
ると、ウエイトローラ14が大きな傾斜角α2の可
動フエイス傾斜面12a2に接するが、エンジン回
転数NがN2の状態では、前記(1)式に示されたウ
エイトローラ14の遠心力による軸方向力Fが、
圧縮コイルスプリング21のばね力で付与されて
いるVベルト28の張力による力Tよりも大きく
ないので、ウエイトローラ14その境界隅部12
a3より大きな傾斜角α2の可動フエイス傾斜面a2
をプーリ回転中心線より離れる方向に移動するこ
とができず、第12図のD領域に示されるような
中間変速比に自動変速機は保持される。
そしてエンジン回転数Nが増加してN3に達す
ると、傾斜角αを大きな傾斜角α2に設定した前記
(1)式に示されるウエイトローラ14の遠心力によ
る軸方向力Fが、圧縮コイルスプリング21のば
ね力で付与されているVベルト28の張力による
力Tよりも大きくなり、この力Tに打勝つてウエ
イトローラ14は大きな傾斜角α2の可動フエイス
傾斜面12a2上をプーリ回転中心線より離れる方
向に移動することができ、第12図のE領域に示
されるように、変速比は減少して、第2段階の自
動変速が行なわれる。
この傾斜角α2の大きな可動フエイス傾斜面12
a2上にウエイトローラ14が接した状態では、こ
の大きな傾斜角α2により、ウエイトローラ14の
半径方向の移動距離△rが比較的小さくても、ド
ライブ可動フエイス12の軸方向移動距離×が大
きくなる。従つてドライブ可動フエイス12の半
径が小さくても、変速比の変化の程度を大きくす
ることができる。
最後にウエイトローラ14が可動フエイス12
の円筒部内周面12dに接した状態では、自動変
速機は最小変速比に設定され、第12図の下領域
に示されるように、エンジン回転数Nの増減に対
し最小変速比にて車速Vが増減することができ
る。
しかして、α1の傾斜面12a1に沿つてウエイト
ローラ14が移動し、変速比が変化して車速が増
減する自動変速領域Cのエンジン回転数N2と、
α2の傾斜面12a2に沿つてウエイトローラ14が
移動し変速比が変化して車速が増減する自動変速
領域Eのエンジン回転数N3とにおける軸方向力
F2,F3は、 F2=K・mrN2 2/(tanα1+tanβ) F3=K・mrN3 2/(tanα2+tanβ) となり、α1=25゜、α2=60゜、β=30゜とすると、 F2=K・0.981mrN2 2 F3=k・0.433mrN3 2 となるので、N3/N2は、 N3/N2=√0.9810.433≒1.505 となる。
このように、前記実施例においては、自動変速
領域を第12図に図示するようにC,Eに分けた
ため、エンジン3を高速に回転させる領域X1
狭くすることができて、燃費を向上させることが
できるとともに、車体重量増大、登坂走行、悪路
走行による走行抵抗増大時にても、プーリフエイ
ス8,12,17,19とVベルト28との滑り
を抑制して、エンジン3の動力を車輪に確実に伝
達することができるとともに、Vベルト28の摩
耗と動力伝達効率の低下とを阻止することができ
る。
また両自動変速領域C,Eの間に変速比の一定
の中間変速比で動力伝達を行なうことができるた
め、ドライバーの意思に応じた車速で自動二輪車
の運転を行なうことができる。
このように前記実施例においては、停止時また
は極低速時を除いて、ドライブプーリに巻付けら
れるVベルト28の巻付け半径をできるだけ大き
くしたため、同Vベルト28の曲げ変形による動
力損失を低下させることができるとともに、Vベ
ルト28の寿命を延長することができる。
また前記実施例では、ドライブ可動フエイス傾
斜面12aの傾斜角αを2段に変えたが、これを
3段以上に変えてもよく、またドライブ可動フエ
イス傾斜面12aの傾斜角を中心より外側に向つ
て漸次増大させるように、ドライブ可動フエイス
傾斜面12aを変曲形成させもよい。
さらに前記実施例では、ドライブ可動フエイス
傾斜面12aの傾斜角αのみを2段以上に変えた
が、ランププレート傾斜面6aの傾斜角βのみを
2段以上に変えあるいは両方の傾斜面12a,6
aを変えてもよい。
発明の効果 前記したように本発明においては、第12図に
図示されるように最大変速比で内燃機関の動力を
車輪に伝達する領域Bが狭いため、内燃機関を要
求されるトルク以上に高速に回転させる必要がな
く、その結果燃費が良好である。
また内燃機関の回転数がそれ程大きくなくかつ
車速がそれ程高速でない状態で変速比が変化した
後、車速の増大に伴つて走行抵抗が大きな領域に
挿入することなく、中間変速領域Cに移行できる
ため、プーリとVベルトとの間の滑りを起こさず
に内燃機関の動力が車輪に伝達され、動力損失と
Vベルトの摩耗を避けることができる。
さらに内燃機関の駆動トルクが高くなつている
一定巾の回転領域で、自動変速動作を行なわな
い、変速比不要の中間変速比領域Dにおいては、
内燃機関の回転数の増減に対応して車速を比例的
に増減させることができるため、ドライバーの意
思に従つて車速を調整することができる。
さらにまた内燃機関の回転数が高く、大きなト
ルクを伝達できる領域Eにおいて自動的に変速比
が変化して車速が増減するため、高速走行に伴う
大きな走行抵抗にも充分に打勝つてVベルトとプ
ーリ間の滑りを伴なうことなく確実に走行するこ
とができる。
このように本発明においては、前記駆動側プー
リを大型化することなく、比較的低速度で変速比
を大きく変えることができて、所要の変速特性を
得ることができるとともに、Vベルトの曲げ変形
抵抗を最小限にして動力損失をできるだけ減少さ
せることができ、しかもVベルトの耐久性を著し
く向上させることができる。従つて、小型軽量で
あるにも拘らず大きな動力を効率良く伝達させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来のVベルト伝達式自動変速機の縦
断平面図、第2図は同変速機におけるウエイトロ
ーラに働く遠心力と可動フエイスに働く軸方向力
との関係を図示した説明図、第3図は同変速機に
おいて可動フエイスの傾斜角を変えた場合の可動
フエイスの大きさの変化を図解した説明図、第4
図は本発明に係るVベルト伝達式自動変速機の一
実施例を備えたスクータ型自動二輪車の要部側面
図、第5図は同実施例を図示した縦断平面図、第
6図はその要部欠截平面図、第7図は第5図の要
部拡大縦断平面図、第8図は前記実施例の要部拡
大縦断平面図、第9図はドライブ可動フエイスを
エンジン側から見た側面図、第10図は第9図の
X−X線に沿つて截断した断面図、第11図およ
び第12図は従来および本発明のVベルト伝動式
自動変速機の特性をそれぞれ示した説明図であ
る。 1……スクータ型自動二輪車、2……パワーユ
ニツト、3……二サイクルガソリンエンジン、4
……伝動ケース、5……クランクシヤフト、6…
…ランププレート、7……ドラメブフエイスカラ
ー、8……ドライブ固定フエイス、9……ナツ
ト、10……オイル溜め、11……スライドカラ
ー、12……ドライブ可動フエイス、13……オ
イルシール、14……ウエイトローラ、15……
ドリブンシヤフト、16……ボス、17……ドリ
ブン固定フエイス、18……ドリブンカム、19
……ドリブン可動フエイス、20……ピン、21
……圧縮コイルスプリング、22……クラツチイ
ンナープレート、23……遠心クラツチシユー、
24……クラツチアウター、25……減速ギヤ装
置、26……後車軸、27……後車輪、28……
Vベルト。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 内燃機関のクランクシヤフト端部に取付けら
    れた駆動側Vプーリと、V型断面を有するVベル
    トにより駆動側Vプーリの動力を伝えられる被動
    側Vプーリとを備えるとともに、該駆動側Vプー
    リのプーリ対向面の間隔が内燃機関の低回転時に
    広く、また、高回転時に狭く作動する遠心ウエイ
    トを該被駆動側Vプーリ自体に設け、さらに該プ
    ーリ対向面の間隔を該Vベルトを介して広げる方
    向へ常時付勢するスプリング部材を該被駆動側V
    プーリに設けてなり、低速状態で駆動側Vプーリ
    の巻掛け半径が小さくて変速比が大きく高速状態
    で駆動側Vプーリの巻掛け半径が大きくて変速比
    が小さくなるVベルト伝動式自動変速機におい
    て、前記被動側Vプーリのスプリングのばね力に
    打勝つように該ウエイトの遠心力により前記駆動
    側両プーリフエイス側面間の間隔を狭める方向に
    作用する前記ウエイトとの前記駆動側プーリの接
    触面の駆動側プーリの回転中心線と直交する面に
    対する傾斜角を、内燃機関の中速度回転域にて位
    置したウエイトと接触する個所を境にして、前記
    駆動側プーリの回転中心線より離れるにつれて段
    階的または連続的に増大させ、前記接触面を該駆
    動側プーリ回転中心線に向つて急角度に弯曲した
    形状に形成して、中速度回転域における変速比を
    一時的に保持する変速比保持手段を構成したこと
    を特徴とする車両用Vベルト伝動式自動変速機。
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