JP2015001269A - 駆動側プーリー - Google Patents

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道雄 塚本
Michio Tsukamoto
道雄 塚本
隆也 稲岡
Takaya Inaoka
隆也 稲岡
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Abstract

【課題】クリープ現象を防止する為のベルトクラッチ機能を有しつつ、十分なエンジンブレーキ容量を確保する。
【解決手段】駆動軸又は固定シーブによって構成される軸線方向固定部材に軸線方向移動可能且つ相対回転可能に外挿されてV溝の底面を形成する筒部と、前記筒部における固定シーブに近接する側から延び、前記ベルトの第1側面に係合可能な狭圧面が設けられたフランジ部とを有する可動スリーブが備えられている。前記可動スリーブの前記軸線方向固定部材に対する軸線回り正転方向への相対回転に応じて、カム機構が前記可動スリーブを可動シーブへ向けて押動する。
【選択図】図2

Description

本発明は、駆動軸から従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置における駆動側プーリーに関する。
駆動軸に設けられた駆動側プーリーと従動軸に設けられた従動側プーリーと前記両プーリーに巻き回されたVベルトとを備え、前記駆動軸から前記従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置が提案されており、エンジンから駆動輪へ至る走行系伝動経路に介挿される走行変速装置として好適に利用されている。
詳しくは、前記駆動側プーリーは、前記駆動軸に対して軸線方向移動不能且つ軸線回り相対回転不能とされた固定シーブと、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた可動シーブと、前記可動シーブを前記固定シーブから離間する方向へ付勢する戻しバネと、フライウエイト機構とを備えている。
前記フライウエイト機構は、前記駆動軸の回転速度に応じて生じる遠心力を利用して、前記戻しバネの付勢力に抗して前記可動シーブを前記固定シーブに近接する方向へ押動するように構成されている。
ところで、前記ベルト式無段変速装置には、エンジンがアイドル回転状態の際には前記駆動軸から前記従動軸への動力伝達を遮断乃至は低減させてクリープ現象が発生することを有効に防止するベルトクラッチ機能が要求されると同時に、走行中においてはエンジンブレーキ機能が要求される。
この2つの要求を同時に満たす為に、例えば下記特許文献1には、駆動軸に対して軸線方向移動不能とされた固定シーブと、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能とされた可動シーブと、前記駆動軸及び前記固定シーブの間に介挿され、前記固定シーブから前記駆動軸への動力伝達のみを許容するワンウエイクラッチと、前記可動シーブを前記固定シーブから離間させる方向へ押動する戻しバネと、前記駆動軸の回転速度に応じた力で前記可動シーブを前記固定シーブに近接させる方向へ押動するフライウエイト機構と、前記フライウエイト機構と共働して前記可動シーブをベルトの一側面に押し当てる為の付勢力を発生する補助バネと、前記可動シーブが前記固定シーブの側へ所定距離移動した際に前記駆動軸及び前記固定シーブを軸線回り相対回転不能に連結させるかみ合い機構とを備えた駆動側プーリー(以下、第1従来構成という)が開示されている。
前記第1従来構成においては、エンジンアイドル回転時には前記フライウエイト機構及び前記補助バネによる前記可動シーブの押圧によってベルトが張った状態になるものの、前記かみ合い機構が非係合状態の為に前記駆動軸から前記固定シーブへは動力伝達が行われない。即ち、前記駆動軸から前記ベルトへの動力伝達が前記可動シーブを介してのみ行われることになり、前記駆動軸から従動軸へ伝達される回転動力のトルクが低減され、これにより、クリープ現象の発生を防止できるとされている。
一方、走行中において前記従動軸の回転数が前記駆動軸の回転数よりも高くなった場合には、前記従動軸からの回転動力が、前記ベルトから前記可動シーブを介して前記駆動軸に伝達されると共に、前記ベルトから前記固定シーブ及び前記ワンウエイクラッチを介しても前記駆動軸に伝達され、これにより、エンジンブレーキを有効に作用させ得るとされている。
しかしながら、前記第1従来構成においては、走行中にアクセルペダル等のエンジン出力操作部材の操作を解除した際に、十分なエンジンブレーキ作用を得ることができないという問題があった。
即ち、走行中にエンジン出力操作部材の操作を解除すると、前記ベルトは前記駆動側プーリーに対して径方向内方へ移動し、前記駆動側プーリーにおけるV溝の底面に接する状態となる。
この際、前記ベルトの一方側の側面(第1側面)に係合する前記固定シーブは軸線方向移動不能とされている。一方、前記ベルトの他方側の側面(第2側面)に係合する前記可動シーブには、エンジンアイドル回転時に前記フライウエイト機構が発生する力、及び、前記補助バネが発生する付勢力が前記固定シーブに近接する方向へ作用するものの、前記戻しバネが発生する付勢力が前記固定シーブから離間する方向へ作用する。
つまり、前記可動シーブは、前記フライウエイト機構が発生する力及び前記補助バネの付勢力の合力から前記戻しバネの付勢力を減じた力でしか、前記固定シーブ側へ押圧されていない。
即ち、前記第1従来構成においては、走行中にエンジン出力操作部材の操作解除を行った際には、主として、前記ベルトの内周面からV溝の底面へ至る経路でしか動力伝達されない。従って、前記ベルト及び前記両シーブ間に十分な摩擦力を得ることができず、その結果、前記ベルトが前記両シーブに対して滑り、十分なエンジンブレーキ作用を得ることができなかった。
又、前記2つの要求を同時に満たす為に、下記特許文献2には、駆動軸に軸線方向移動不能且つ軸線回り相対回転不能とされた固定シーブと、前記駆動軸に軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた可動シーブと、前記可動シーブを前記固定シーブから離間する方向へ付勢する戻しバネと、前記駆動軸の回転速度に応じて生じる遠心力を利用して前記戻しバネの付勢力に抗して前記可動シーブを前記固定シーブに近接する方向へ押動するフライウエイト機構とに加えて、前記両シーブに対して相対回転可能で且つ外周面がV溝の底面を形成するように駆動軸に外挿されたカラーと、前記カラーから前記駆動軸へのみ回転動力を伝達するように前記カラー及び前記駆動軸の間に介挿されたワンウエイクラッチとを備え、前記カラーには、前記ベルトがV溝の底面に位置した際に前記ベルトにおける前記固定シーブ側の第1側面にトルク伝達可能に接触する円錐面が設けられている駆動側プーリー(以下、第2従来構成という)が提案されている。
前記第2従来構成においては、エンジンアイドル回転時に、前記ベルトは、前記第1側面が前記カラーの前記円錐面に接触し且つ内周面が前記カラーの外周面に接触しつつ、第2側面が前記可動シーブに接触する。ここで、前記駆動軸から前記カラーへは前記ワンウエイクラッチによって動力伝達が遮断されている。従って、前記駆動軸から前記ベルトへの動力伝達は前記可動シーブを介してのみ行われることになり、従動軸に伝達される回転動力のトルクが低減され、これにより、クリープ現象の発生を防止できるとされている。
一方、走行中において前記従動軸の回転数が前記駆動軸の回転数よりも高くなった場合には、前記従動軸からの回転動力が、前記ベルトから前記可動シーブを介して前記駆動軸に伝達されると共に、前記ベルトから前記カラー及び前記ワンウエイクラッチを介して前記駆動軸に伝達され、これにより、エンジンブレーキを有効に作用させ得るとされている。
しかしながら、前記第2従来構成においても、前記第1従来構成と同様に、走行中にエンジン出力操作部材の操作解除を行った際には、十分なエンジンブレーキ作用を得ることができないという問題があった。
即ち、走行中にエンジン出力操作部材の操作を解除すると、前記ベルトは前記駆動側プーリーに対して径方向内方へ移動し、前記駆動側プーリーにおけるV溝の底面に接する状態となる。
この際、前記ベルトの第1側面に係合する前記カラーは軸線方向移動不能とされている。一方、前記ベルトの第2側面に係合する前記可動シーブには、エンジンアイドル回転時に前記フライウエイト機構が発生する力が前記固定シーブに近接する方向へ作用するものの、前記戻しバネが発生する付勢力が前記固定シーブから離間する方向へ作用する。
つまり、前記可動シーブは、エンジンアイドル回転時に前記フライウエイト機構が発生する力から前記戻しバネの付勢力を減じた力でしか、前記カラーの摩擦面へ向けて押圧されていない。
即ち、前記第2従来構成においては、前記第1従来構成と同様に、走行中にエンジン出力操作部材の操作解除を行った際には、主として、前記ベルトの内周面からV溝の底面へ至る経路でしか動力伝達されない。従って、前記ベルトと前記カラーとの間、及び、前記ベルトと前記可動シーブとの間に十分な摩擦力を得ることができず、その結果、前記ベルトが前記カラー及び前記可動シーブに対して滑り、十分なエンジンブレーキ作用を得ることができなかった。
特許第2620490号公報 特許第3524533号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、駆動軸から従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置における駆動側プーリーであって、エンジンアイドル回転時におけるベルトクラッチ作用を有しつつ、走行中にエンジン出力操作部材の操作解除を行った際には十分な容量のエンジンブレーキ作用容量を奏し得る駆動側プーリーの提供を、目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の第1態様は、駆動軸から従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置における駆動側プーリーであって、前記駆動軸に対して軸線方向移動不能且つ軸線回り相対回転不能とされた固定シーブと、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた可動シーブと、前記可動シーブを前記固定シーブから離間する方向へ付勢する戻しバネと、前記駆動軸の回転速度に応じた力で前記戻しバネの付勢力に抗して前記可動シーブを前記固定シーブに近接する方向へ押動するフライウエイト機構とを備え、前記固定シーブにはベルトの第1側面に係合可能な固定シーブ側係合面が設けられ、前記可動シーブには前記ベルトの第2側面に係合可能で且つ前記固定シーブ側係合面と共に前記ベルトが係入されるV溝を形成する可動シーブ側係合面が設けられている駆動側プーリーにおいて、前記駆動軸又は前記固定シーブによって構成される軸線方向固定部材に、軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された可動スリーブを備え、前記可動スリーブは、外周面が前記V溝の底面を形成するように前記軸線方向固定部材に外挿される筒部と、前記筒部における前記固定シーブに近接する側から径方向外方へ延びるフランジ部とを有し、前記フランジ部には、前記ベルトの内周面が前記筒部の外周面に係合している状態において前記ベルトの前記第1側面に係合可能な狭圧面が設けられ、前記駆動側プーリーには、前記可動スリーブの前記軸線方向固定部材に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記可動スリーブを前記可動シーブへ向けて押動するカム機構が設けられている駆動側プーリーを提供する。
好ましくは、前記カム機構は、前記軸線方向固定部材及び前記可動スリーブの一方に設けられた凸状部材と、前記凸状部材が係入されるように前記軸線方向固定部材及び前記可動スリーブの他方に設けられた螺旋溝とを有し得る。
好ましくは、前記筒部の外周面は、前記ベルトの内周面と直接係合する摩擦接触領域と、前記ベルトの内周面と軸受部材を介して係合する軸受領域とを有し得る。
好ましくは、前記種々の構成において、前記駆動側プーリーには、前記可動スリーブを前記固定シーブに向けて付勢する補助バネが備えられる。
前記種々の構成において、好ましくは、前記固定シーブにおける前記ベルトと対向する側面には、前記固定シーブ側係合面より径方向内方に、前記可動スリーブの前記フランジ部が係入可能な凹部が設けられる。
前記凹部は、前記フランジ部が前記凹部に係入された状態において、前記狭圧面及び前記固定シーブ側係合面が面一となるように構成される。
前記目的を達成する為に、本発明の第2態様は、駆動軸から従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置における駆動側プーリーであって、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能とされた基準シーブと、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた可動シーブと、前記可動シーブを前記基準シーブから離間する方向へ付勢する戻しバネと、前記駆動軸の回転速度に応じた力で前記戻しバネの付勢力に抗して前記可動シーブを前記基準シーブに近接する方向へ押動するフライウエイト機構とを備え、前記基準シーブにはベルトの第1側面に係合可能な基準シーブ側係合面が設けられ、前記可動シーブには前記ベルトの第2側面に係合可能で且つ前記基準シーブ側係合面と共に前記ベルトが係入されるV溝を形成する可動シーブ側係合面が設けられている駆動側プーリーにおいて、前記基準シーブは、前記駆動軸に軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された筒部と、前記筒部における前記可動シーブとは反対側の端部から径方向外方へ延び、前記基準シーブ側係合面が形成された径方向延在部とを有し、前記可動シーブは、前記筒部の外周面が前記V溝の底面を形成するように前記筒部に外挿されており、前記駆動側プーリーには、前記駆動軸の軸線回り正転方向への回転に応じて前記基準シーブを軸線回り正転方向へ回転させつつ前記基準シーブが前記駆動軸に対して軸線回り正転方向へ相対回転することを許容し、且つ、前記基準シーブの前記駆動軸に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記基準シーブを前記可動シーブへ向けて押動するカム機構が設けられている駆動側プーリーを提供する。
好ましくは、前記カム機構は、前記基準シーブから前記可動シーブへ向かう軸線方向第1方向を向くように前記駆動軸に設けられ、軸線回り正転方向へ行くに従って軸線方向第1方向の側に位置する駆動軸側傾斜面と、前記駆動軸側傾斜面における軸線回り正転方向とは反対側の端部から軸線方向第1方向へ延びるように前記駆動軸に設けられ、軸線回り正転方向を向く駆動軸側停止面と、前記駆動軸側傾斜面及び前記駆動軸側停止面とそれぞれ対向するように前記基準シーブに設けられた基準シーブ側傾斜面及び基準シーブ側停止面と、前記基準シーブ側傾斜面が前記駆動軸側傾斜面に係合するように前記基準シーブを軸線方向第2方向へ付勢する補助バネとを有し得る。
本発明の第1態様に係る駆動側プーリーにおいては、駆動軸又は固定シーブによって構成される軸線方向固定部材に軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された可動スリーブが、外周面がV溝の底面を形成するように前記軸線方向固定部材に外挿される筒部と前記筒部における前記固定シーブに近接する側から径方向外方へ延びるフランジ部とを有し、前記フランジ部には、ベルトの内周面が前記筒部の外周面に係合している状態において前記ベルトの第1側面に係合可能な狭圧面が設けられており、さらに、前記可動スリーブの前記軸線方向固定部材に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記可動スリーブを可動シーブへ向けて押動するカム機構が設けられているので、エンジンアイドル回転時においては駆動軸からベルトへの動力伝達を防止乃至は低減して意に反したクリープ現象を有効に防止しつつ、走行中にエンジン出力操作部材の操作解除を行った際には十分な容量のエンジンブレーキ作用を得ることができる。
本発明の第2態様に係る駆動側プーリーにおいては、基準シーブが、駆動軸に軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された筒部と前記筒部における可動シーブとは反対側の端部から径方向外方へ延び、基準シーブ側係合面が形成された径方向延在部とを有し、前記可動シーブは、前記筒部の外周面がV溝の底面を形成するように前記筒部に外挿されており、さらに、前記駆動軸の軸線回り正転方向への回転に応じて前記基準シーブを軸線回り正転方向へ回転させつつ前記基準シーブが前記駆動軸に対して軸線回り正転方向へ相対回転することを許容し、且つ、前記基準シーブの前記駆動軸に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記基準シーブを前記可動シーブへ向けて押動するカム機構が設けられているので、エンジンアイドル回転時においては駆動軸からベルトへの動力伝達を防止乃至は低減して意に反したクリープ現象を有効に防止しつつ、走行中にエンジン出力操作部材の操作解除を行った際には十分な容量のエンジンブレーキ作用を得ることができる。
図1は、本発明の第1実施の形態に係る駆動側プーリーを含むベルト式無段変速装置が適用された走行系伝動経路の伝動模式図である。 図2は、エンジンアイドル回転状態時における、前記第1実施の形態に係る駆動側プーリーの縦断面図である。 図3は、前記第1実施の形態に係る駆動側プーリーにおける可動スリーブの縦断面図である。 図4は、エンジンブレーキ作動状態時における、前記第1実施の形態に係る駆動側プーリーの部分縦断面図である。 図5は、エンジンアイドル回転状態時における、本発明の第2実施の形態に係る駆動側プーリーの縦断面図である。 図6(a)及び(b)は、図5におけるVI-VI線に沿った断面図であり、それぞれ、基準シーブ及び駆動軸の間に相対回転差が無い状態、及び、前記基準シーブが前記駆動軸に対して軸線回り正転方向へ相対回転している状態を示している。
実施の形態1
以下、本発明に係る駆動側プーリーの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態に係る駆動側プーリー100は、従動側プーリー20及びVベルト等のベルト40と共働してベルト式無段変速装置10を形成するものである。
前記ベルト式無段変速装置10は、例えば、エンジン等の駆動源50から駆動輪60へ至る車輌の走行系伝動経路に介挿される。
図1に前記ベルト式無段変速装置10が適用された走行系伝動経路の伝動模式図を示す。
図1に示すように、前記ベルト式無段変速装置10は、駆動源50に作動連結された駆動軸55と前記駆動輪60に作動連結された従動軸65との間で無段変速を行うものであり、前記駆動軸55に支持された前記駆動側プーリー100と、前記従動軸65に支持された前記従動側プーリー20と、前記駆動側プーリー100及び前記従動側プーリー20に巻き回された前記ベルト40とを備えている。
なお、図1に示す形態においては、前記従動軸65は、トランスミッション70を介して前記駆動輪60に作動連結されている。
前記従動側プーリー20は、図1に示すように、前記従動軸65に相対回転可能且つ軸線方向移動不能に支持された従動側固定シーブ21と、前記従動軸65に相対回転可能且つ軸線方向移動可能に支持された従動側可動シーブ22と、前記従動軸65に相対回転不能且つ軸線方向移動不能に支持されたスパイダー23と、前記従動側可動シーブ22を前記従動側固定シーブ21に近接させるシフトダウン方向へ付勢する付勢部材24とを備えている。
前記従動側固定シーブ21は、前記ベルト40の一方側の側面に係合する固定シーブ側係合面21aを有し、前記従動側可動シーブ22は、前記ベルト40の他方側の側面に係合する可動シーブ側係合面22aを有しており、前記両係合面21a、22aによって前記ベルト40が係入されるV溝が形成されている。
前記従動側プーリー20は、さらに、図1に示すように、前記スパイダー23及び前記従動側可動シーブ22の相対回転角度差に応じて前記従動側可動シーブ22を前記シフトダウン方向へ押動するメイントルクカム機構25と、前記従動側固定シーブ21及び前記従動側可動シーブ22の相対回転角度差に応じて前記従動側可動シーブ22を軸線方向に押動するサブトルクカム機構26とを備えている。
前記サブトルクカム機構26は、仕様に応じて、前記メインカム機構25が前記従動側可動シーブ22を押動する方向と同一方向(即ち、シフトダウン方向)又は反対方向(即ち、シフトアップ方向)の押動力を発生するように構成され得る。
図2に、前記駆動側プーリー100の縦断面図を示す。
図1及び図2に示すように、前記駆動側プーリー100は、人為操作等に基づき出力回転数が変化する前記駆動軸55の回転速度に応じて、前記ベルト40の巻き掛け半径を変化させるように構成されている。
即ち、前記駆動側プーリー100は、前記駆動軸55の回転速度が上昇すると前記ベルト40の巻き掛け半径を大きくし且つ前記駆動軸55の回転速度が低下すると前記ベルト40の巻き掛け半径を小さくするように構成されている。
具体的には、図1及び図2に示すように、前記駆動側プーリー100は、駆動側固定シーブ110と、駆動側可動シーブ130と、戻しバネ150と、フライウエイト機構160とを備えている。
前記駆動側固定シーブ110は、前記駆動軸55に対して軸線方向移動不能且つ軸線回り相対回転不能とされており、前記ベルト40の第1側面40aに係合可能な固定シーブ側係合面111を有している。
前記駆動側可動シーブ130は、前記駆動軸55に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされており、前記ベルト40の第2側面40bに係合可能な可動シーブ側係合面131を有している。
前記可動シーブ側係合面131は、前記固定シーブ側係合面111と共働して、前記ベルト40が係入されるV溝を形成している。
本実施の形態においては、前記駆動側可動シーブ130は、軸線方向移動可能に前記駆動軸55に外挿されており、スパイダー170を介して前記駆動軸55に対して軸線回り相対回転不能とされている。
即ち、図2に示すように、前記駆動側プーリー100は、さらに、前記駆動側可動シーブ130を基準にして前記駆動側固定シーブ110とは反対側に配置された前記スパイダ170ーと、前記スパイダー170を基準にして前記駆動側可動シーブ130とは反対側に配置されたベース部材180とを備えている。
前記スパイダー170は、ネジ連結等を介して、前記駆動軸55に対し軸線方向移動不能且つ軸線回り相対回転不能とされている。
前記ベース部材180は、連結部材185を介して前記駆動側可動シーブ130に連結されており、前記駆動側可動シーブ130と一体的に移動するようになっている。
前記連結部材185及び前記スパイダー170には、前記駆動側可動シーブ130が前記スパイダー170と共に軸線回りに回転するように両者を係合させる係合構造186が設けられており、これにより、前記可動スリーブ130が前記駆動軸55に対して軸線回り相対回転不能とされている。
前記戻しバネ150は、前記駆動側可動シーブ130を前記駆動側固定シーブ110から離間する方向へ付勢する。
図2に示すように、本実施の形態においては、前記戻しバネ150は、前記スパイダー170と前記ベース部材180との間に配置されており、前記ベース部材180及び前記連結部材185を介して前記駆動側可動シーブ130を前記駆動側固定シーブ110から離間する方向へ付勢している。
前記フライウエイト機構160は、前記駆動軸55の回転速度に応じた遠心力を発生し、前記戻しバネ150の付勢力に抗して前記遠心力によって前記駆動側可動シーブ130を前記駆動側固定シーブ110に近接する方向へ押動する。
本実施の形態においては、前記フライウエイト機構160は、前記駆動側可動シーブ130及び前記スパイダー170に設けられている。
詳しくは、図2に示すように、前記フライウエイト機構160は、前記駆動側可動シーブ130及び前記スパイダー170の一方(図示の形態においては前記駆動側可動シーブ130)に設けられたフライウエイト161と、前記駆動側可動シーブ130及び前記スパイダー170の他方(本実施の形態においては前記スパイダー170)に設けられた係合部材165とを有している。
前記フライウエイト161は、前記係合部材165に係合可能な係合面161aを有している。
前記フライウエイト161は、前記係合面161aが前記係合部材165に係合された状態で、前記駆動軸55から径方向外方に離間された位置で前記駆動軸55と直交する方向に沿った枢支軸162回り揺動可能とされている。
前記フライウエイト機構160においては、前記駆動軸55の軸線回りの回転速度が上昇するに従って前記フライウエイト161が遠心力によって前記駆動軸55の径方向外方へ前記枢支軸162回りに開き、これにより、前記駆動側可動シーブ130が前記戻しバネ150の付勢力に抗して前記駆動側固定シーブ110に近接する方向へ押動される。
図2に示すように、本実施の形態に係る前記駆動側プーリー100は、さらに、可動スリーブ200を備えている。
前記可動スリーブ200は、前記駆動軸55又は前記固定シーブ110によって構成される軸線方向固定部材に対して、軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿されている。
詳しくは、図2に示すように、前記可動スリーブ200は、外周面が前記V溝の底面を形成するように前記軸線方向固定部材に外挿される筒部210と、前記筒部210における前記固定シーブ110に近接する側から径方向外方へ延びるフランジ部220とを有している。
前記フランジ部220には、前記ベルト40の内周面が前記筒部210の外周面に係合している状態において前記ベルト40の前記第1側面40aに係合可能な狭圧面221が設けられている。
なお、本実施の形態においては、前記駆動側固定シーブ110は前記駆動軸55に一体形成されているが、これに代えて、前記駆動側固定シーブ110及び前記駆動軸55を別体とし、前記駆動側固定シーブ110を前記駆動軸55にネジ連結等によって固着させることも可能である。
この場合、前記駆動側固定シーブ110は前記駆動軸55に外挿状態で固着される筒状本体部と前記本体部から径方向外方へ延びて前記固定シーブ側係合面111を有する径方向延在部とを有するように構成され得る。斯かる構成においては、前記可動スリーブ200の前記筒部210は、前記駆動側固定シーブの前記筒状本体部に外挿され得る。
本実施の形態に係る前記駆動側プーリー100には、さらに、前記可動スリーブ200の前記軸線方向固定部材に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して、前記可動スリーブ200を前記可動シーブ130へ向けて押動するカム機構270が設けられている。
図3に、前記可動スリーブ200の縦断面図を示す。
前記カム機構270は、前記軸線方向固定部材(図示の形態においては前記駆動軸55)及び前記可動スリーブ200の筒部210の一方に設けられた凸状部材271と、前記凸状部材271が係入されるように前記軸線方向固定部材及び前記筒部210の他方に設けられた螺旋溝275とを有している。
図2及び図3に示すように、本実施の形態においては、前記凸状部材271は前記軸線方向固定部材に径方向外方へ突出するように設けられており、前記螺旋溝275は前記筒部210に設けられている。
斯かる構成を備えた前記駆動側プーリー100は、エンジンがアイドル回転状態の際に前記駆動軸55から前記従動軸65に回転動力が伝達されて前記駆動輪60が微速駆動されるクリープ現象の発生を有効に防止するベルトクラッチ作用を奏しつつ、走行中にエンジン出力操作部材への操作解除を行った際には十分な容量のエンジンブレーキ作用を奏することができる。
まず、前記駆動側プーリー100によるベルトクラッチ作用について説明する。
前記駆動側可動シーブ130は前記戻しバネ150によって前記駆動側固定シーブ110から離間する方向へ付勢されている。前記フライウエイト機構160は、前記エンジンがアイドル回転状態の際には、前記戻しバネ150の付勢力に抗して前記駆動側可動シーブ130を前記駆動側固定シーブ110へ向けて押動するような大きさの力を発生しないように設定されている。
従って、図2に示すエンジンアイドル回転状態時には、前記ベルト40の第1及び第2側面40a、40bは前記駆動側可動シーブ130及び前記駆動側固定シーブ110によって狭圧されず、前記両シーブ110、130から前記ベルト40の両側面40a、40bへは動力伝達が行われない。
さらに、前記ベルト40は径方向内方へ移動して、内周面が前記V溝の底面を形成する前記可動スリーブ200の前記筒部210に係合するものの、前記ベルト40の内周面を前記筒部210の外周面に積極的に押し付ける力は作用しない。従って、前記可動スリーブ200から前記ベルト40の内周面への動力伝達も防止乃至は低減される。
従って、エンジンアイドル回転時には、前記駆動軸55から前記ベルト40への動力伝達が実質的に行われず、エンジンアイドル回転時におけるクリープ現象の発生を防止するベルトクラッチ作用が有効に奏される。
なお、エンジン出力操作部材の操作に応じて前記エンジンの出力回転速度がアイドル回転速度から増速されて所定の発進速度に達すると、前記駆動軸55から前記従動軸65への動力伝達が開始され、その後、前記従動軸65に伝達される回転動力の速度は、前記エンジンの出力回転速度の上昇に伴って上昇する。
詳しく説明すると、前記エンジンの出力回転速度(即ち、前記駆動軸55の回転速度)が上昇するに従って、前記フライウエイト機構160が前記戻しバネ150の付勢力に抗して前記駆動側可動シーブ130を押動する力が増加し、前記駆動側可動シーブ130及び前記駆動側固定シーブ110による前記ベルト40の狭圧力が増加する。
ここで、前記フライウエイト機構160は、前記エンジンの出力回転速度が所定の発進速度に達した際に、前記両シーブ110、130の前記係合面111、131から前記ベルト40の第1及び第2側面40a、40bへの回転動力の伝達を可能とする大きさの押動力を発生するように構成されている。
前記エンジンの出力回転速度が発進速度からさらに増速されると、前記フライウエイト機構160が発生する押動力がさらに増加されて、前記駆動側可動シーブ130は前記駆動側固定シーブ110にさらに近接される。
前記駆動側可動シーブ130のこの動きに応じて、前記ベルト40は、前記V溝を形成する前記係合面111、131に沿って前記駆動側プーリー100の径方向外方へ移動する。
これにより、前記駆動側プーリー100の巻き掛け半径が増大し、これに応じて、前記従動側プーリー20の巻き掛け半径が縮小して、前記従動軸65に伝達される回転動力の回転速度が上昇する。
次に、前記駆動側プーリー100によるエンジンブレーキ作用について説明する。
前記エンジン出力操作部材を操作して前記エンジンの出力回転速度を発進速度から最高速度までの間の車輌走行可能速度範囲とすることで前記駆動軸55から前記従動軸65への動力伝達を行って車輌を走行させている際に、例えば、下り坂を走行する場合等の走行状態によっては、エンジンブレーキを作用させたい場合がある。
このような場合には、運転者は、前記エンジン出力操作部材の操作を解除して、前記駆動軸55の回転速度をエンジンアイドル回転速度に応じた速度(以下、アイドル対応速度という)に減速する。この際、前記従動軸65には前記駆動輪60から慣性力が伝達されている為、前記従動軸65が前記駆動軸55よりも高速回転する。
ここで、前記駆動軸55の回転速度がアイドル対応速度になると、前記フライウエイト機構160による前記駆動側可動シーブ130の押動力が小さくなり、前記駆動側可動シーブ130は前記戻しバネ150の付勢力によって前記駆動側固定シーブ110から離間される。
これにより、前記ベルト40は、前記駆動側プーリー100の径方向内方へ移動し、内周面が前記V溝の底面、即ち、前記可動スリーブ200の前記筒部210の外周面に係合する。
前記ベルト40は、前記駆動輪60から伝達される慣性力によって正転方向へ回動されている為、前記ベルト40の内周面が前記筒部210の外周面に係合すると、前記ベルト40から前記筒部210に正転方向の回転動力が伝達され、前記可動スリーブ200は前記軸線方向固定部材に対して軸線回り正転方向へ相対的に回転する。
ここで、前記駆動側プーリー100には、前述の通り、前記軸線方向固定部材(本実施の形態においては前記駆動軸55)及び前記可動スリーブ200の筒部の一方(本実施の形態においては前記軸線方向固定部材)に設けられた前記凸状部材271と前記軸線方向固定部材及び前記筒部210の他方(本実施の形態においては前記筒部210)に設けられた前記環状溝275とを含む前記カム機構270が設けられている。
従って、前記可動スリーブ200が前記軸線方向固定部材に対して軸線回り正転方向へ相対回転すると、前記カム機構270によって前記可動スリーブ200が軸線方向第1方向へ押動されて、前記狭圧面221が、前記ベルト40の対応する前記第1側面40aに押し付けられる。
その結果、図4に示すように、前記ベルト40は、前記狭圧面221及び前記可動シーブ側係合面131によって狭圧されることになり、前記ベルト40の第1側面40aと前記狭圧面221との間、及び、前記ベルト40の第2側面40bと前記可動シーブ側係合面131との間に、十分な摩擦力が現出される。
従って、前記従動軸65からの慣性力は、前記ベルト40の第1側面40aから前記狭圧面221を有する前記可動スリーブ200を介して前記駆動軸55に伝達されると共に、前記ベルト40の第2側面40aから前記可動シーブ側係合面131を有する前記駆動側可動シーブ130を介して前記駆動軸55へ伝達され、これにより、十分な容量のエンジンブレーキ作用が確保される。
図2及び図4に示すように、本実施の形態においては、前記筒部210の外周面は、前記ベルト40の内周面と直接係合する摩擦接触領域211と、前記ベルト40の内周面に軸受部材250を介して係合する軸受領域212とを有している。
斯かる構成によれば、十分な容量のエンジンブレーキ作用を確保しつつ、ベルトクラッチ作用をより確実に現出させることができる。
即ち、前述の通り、エンジンブレーキ作用を得る為には、前記ベルト40の内周面から前記可動スリーブ200の前記筒部210の外周面へは、前記可動スリーブ200を前記軸線方向固定部材に対して軸線回り正転方向へ相対回転させ得る程度の回転動力が伝達されれば、十分である。
一方、ベルトクラッチ作用をより確実に得る為には、前記可動スリーブ200から前記ベルト40の内周面へ伝達される回転動力を可及的に低減させることが好ましい。
従って、前記摩擦接触領域211を介して伝達される回転動力がエンジンブレーキ作用を奏する為に必要な動力以上となる限りにおいて、前記筒部210の外周面に前記軸受領域212を設けることによって、エンジンブレーキ作用を確保しつつ、ベルトクラッチ作用をより確実に現出させることができる。
さらに、本実施の形態においては、図2及び図4に示すように、前記駆動側プーリー100は、前記可動スリーブ200を前記軸線方向第1方向とは反対の軸線方向第2方向へ付勢する補助バネ280を備えている。
前記補助バネ280は、前記駆動軸55から前記従動軸65へ回転動力を伝達する通常状態において、前記可動スリーブ200を初期位置(図2にける前記可動スリーブ200の位置)へ移動させる為のアシスト部材として作用する。
即ち、本実施の形態におけるように、前記軸線方向固定部材(本実施の形態においては前記駆動軸55)及び前記可動スリーブ200の一方に設けられた前記凸状部材271と前記凸状部材271が係入されるように前記軸線方向固定部材及び前記可動スリーブ200の他方に設けられた前記環状溝275とを含む前記カム機構270を有する構成においては、前記従動軸65から前記ベルト40を介して伝達される慣性力によって前記可動スリーブ200が前記駆動軸55より先行回転する際には、前記可動スリーブ200は、前記カム機構270によるカム作用によって軸線方向第1方向(前記可動シーブ130に近接する方向)へ押動される一方で、前記駆動軸55から前記従動軸65へ前記ベルト40を介して駆動力が伝達される通常状態においては、前記可動スリーブ200は、前記駆動軸55が前記可動スリーブ200より先行回転する動きに基づく前記カム機構270によるカム作用によって軸線方向第2方向(前記固定シーブ110に近接する方向)側の前記初期位置へ押動される。
従って、前記補助バネ280を備えること無く、前記駆動軸55から前記従動軸65へ動力伝達を行う通常の動力伝達状態において、前記可動スリーブ200を初期位置に位置させることが可能であるが、前記補助バネ280を備えることにより前記可動スリーブ200を確実且つ迅速に初期位置へ移動させることができる。
通常状態において、前記可動スリーブ200を初期位置に位置させることによって、前記駆動側プーリー100を含むベルト式無段変速装置1の変速比が前記可動スリーブ200の存在によって影響を受けることを有効に防止することができる。
好ましくは、図2及び図4に示すように、前記固定シーブ110における前記ベルト40と対向する側面には、前記固定シーブ側係合面111より径方向内方に前記可動スリーブ200の前記フランジ部220が係入可能な凹部230を設けることができる。
前記凹部230は、前記フランジ部220が前記凹部230に係入された状態において前記狭圧面221及び前記固定シーブ側係合面111が面一となるように形成される。
斯かる構成によれば、前記可動スリーブ200の前記狭圧面221を、エンジンブレーキ作動時においては前記ベルト40の対応する側面(本実施の形態においては前記第1側面40a)から前記可動スリーブ200へ慣性力を摩擦伝達させる為の慣性力伝達面として作用させつつ、前記駆動軸55から前記従動軸65へ動力伝達を行う通常の動力伝達時においては前記固定シーブ側係合面111と共に、前記ベルト40の対応する前記第1側面40aへ前記駆動軸55からの駆動力を摩擦伝達させる為の駆動力伝達面としても作用させることができる。
なお、本実施の形態においては、図2及び図4に示すように、前記戻しバネ150は、前記スパイダー170及び前記ベース部材180の間に配置され、前記補助バネ280は、径方向に関し前記フライウエイト161より内方で且つ軸線方向に関し前記スパイダー170及び前記筒部210における前記フランジ部220とは反対側の端部の間に配置されている。
斯かる構成によれば、前記可動スリーブ200及び前記補助バネ280を備えた前記駆動側プーリー100のコンパクト化を図ることができる。
実施の形態2
以下、本発明に係る駆動側プーリーの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図5に、エンジンアイドル回転状態時における、本実施の形態に係る駆動側プーリー100Bの部分縦断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
図5に示すように、本実施の形態に係る駆動側プーリー100Bは、前記駆動軸55に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能とされた基準シーブ110Bと、前記駆動軸55に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた前記可動シーブ130と、前記可動シーブ130を前記基準シーブ110Bから離間する方向へ付勢する前記戻しバネ150と、前記駆動軸55の回転速度に応じた力で前記戻しバネ150の付勢力に抗して前記可動シーブ130を前記基準シーブ110Bに近接する方向へ押動する前記フライウエイト機構160とを備えている。
前記基準シーブ110Bには、前記ベルト40の第1側面40aに係合可能な基準シーブ側係合面111Bが設けられ、前記可動シーブ130には前記ベルト40の第2側面40bに係合可能で且つ前記基準シーブ側係合面111Bと共に前記ベルト40が係入されるV溝を形成する可動シーブ側係合面131が設けられている。
本実施の形態においては、前記基準シーブ110Bは、前記駆動軸55に軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された筒部115Bと、前記筒部115Bにおける前記可動シーブ130とは反対側の端部から径方向外方へ延び、前記基準シーブ側係合面111Bが形成された径方向延在部116Bとを有している。
前記可動シーブ130は、前記筒部115Bの外周面が前記V溝の底面を形成するように前記筒部115Bに外挿されている。
本実施の形態に係る前記駆動側プーリー100Bには、さらに、前記駆動軸55の軸線回り正転方向への回転に応じて前記基準シーブ110Bを軸線回り正転方向へ回転させつつ前記基準シーブ110Bが前記駆動軸55に対して軸線回り正転方向へ相対回転することを許容し、且つ、前記基準シーブ110Bの前記駆動軸55に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記基準シーブ110Bを前記可動シーブ130へ向けて押動するカム機構300が設けられている。
図6(a)及び(b)に、図5におけるVI-VI線に沿った断面図であって、それぞれ、前記基準シーブ110B及び前記駆動軸55の間に相対回転差が生じていない状態、及び、前記基準シーブ110Bが前記駆動軸55に対して軸線回り正転方向に相対回転している状態の断面図を示す。
図6(a)及び(b)に示すように、前記カム機構300は、前記駆動軸55に設けられた駆動軸側傾斜面310及び駆動軸側停止面315と、前記基準シーブ110Bに設けられた基準シーブ側傾斜面320及び基準シーブ側停止面325と、前記補助バネ280(図5参照)とを含んでいる。
図6(a)及び(b)に示すように、前記駆動軸側傾斜面310は、前記基準シーブ110Bから前記可動シーブ130へ向かう軸線方向第1方向を向き、且つ、軸線回り正転方向へ行くに従って軸線方向第1方向の側に位置するように傾斜されている。
前記駆動軸側停止面315は、前記駆動軸側傾斜面310における軸線回り正転方向とは反対側の端部から軸線方向第1方向へ延びており、軸線回り正転方向を向いている。
前記基準シーブ側傾斜面320及び前記基準シーブ側停止面325は、それぞれ、前記駆動軸側傾斜面310及び前記駆動軸側停止面315と対向するように前記基準シーブ110Bに設けられている。
図5に示すように、前記補助バネ280は、前記基準シーブ側傾斜面320が前記駆動軸側傾斜面310に係合するように前記基準シーブ110Bを軸線方向第2方向へ付勢している。
斯かる構成を備えた前記駆動側プーリー100Bにおいても、前記実施の形態1に係る駆動側プーリー100と同様に、ベルトクラッチ作用を奏しつつ、十分な容量のエンジンブレーキ作用を奏することができる。
即ち、エンジンアイドル回転時には、前記フライウエイト機構160は前記戻しバネ150の付勢力に抗して前記可動シーブ130を前記基準シーブ110Bへ向けて押動するような大きさの力を発生しない。
この状態では、前記ベルト40の第1及び第2側面40a、40bは前記基準シーブ110B及び前記可動シーブ130によって狭圧されず、前記両シーブ110B、130から前記ベルト40の両側面40a、40bへは動力伝達が行われない。
この際、前記ベルト40は径方向内方へ移動して、内周面が前記V溝の底面を形成する前記基準シーブ110Bの前記筒部115Bに係合するものの、前記ベルト40の内周面を前記筒部115Bの外周面に積極的に押し付ける力は作用しない。従って、前記基準シーブ110Bから前記ベルト40の内周面への動力伝達も防止乃至は低減される。
従って、エンジンアイドル回転時には、前記駆動軸55から前記ベルト40への動力伝達が行われず、エンジンアイドル回転時におけるクリープ現象の発生を有効に防止するベルトクラッチ作用が有効に奏される。
一方、車輌走行中に、前記エンジン出力操作部材の操作を解除して、前記駆動軸55の回転速度を前記従動軸65の回転速度よりも低速のアイドル対応速度とすると、前記フライウエイト機構160による押動力が小さくなって、前記可動シーブ130は前記戻しバネ150の付勢力によって前記基準シーブ110Bから離間される。
これにより、前記ベルト40は、前記駆動側プーリー100の径方向内方へ移動し、内周面が前記V溝の底面、即ち、前記基準シーブ110Bの前記筒部115Bの外周面に係合する。
前記ベルト40は、前記駆動輪60から伝達される慣性力によって正転方向へ回動されている為、前記ベルト40の内周面が前記筒部115Bの外周面に係合すると、前記ベルト40から前記筒部115Bに正転方向の回転動力が伝達され、前記基準シーブ110Bが前記駆動軸55に対して軸線回り正転方向へ相対的に回転する。
前記基準シーブ110Bの前記駆動軸55に対する相対回転に基づき前記カム機構300が前記基準シーブ110Bを前記可動シーブ130へ向けて押動し、これにより、前記ベルト40が前記基準シーブ110B及び前記可動シーブ130によって狭圧されて、前記ベルト40の第1側面40aと前記基準シーブ側係合面111Bとの間、及び、前記ベルト40の第2側面40bと前記可動シーブ側係合面131との間に、十分な摩擦力が現出される。
従って、前記従動軸65からの慣性力は、前記ベルト40の第1側面40aから前記基準シーブ110Bを介して前記駆動軸55に伝達されると共に、前記ベルト40の第2側面40aから前記可動シーブ130を介して前記駆動軸55へ伝達され、これにより、十分な容量のエンジンブレーキ作用が確保される。
10 ベルト式無段変速装置
40 ベルト
40a 第1側面
40b 第2側面
55 駆動軸
65 従動軸
100、100B 駆動側プーリー
110 駆動側固定シーブ
111 固定シーブ側係合面
110B 基準シーブ
111B 基準シーブ側係合面
115B 筒部
116B 径方向延在部
130 駆動側可動シーブ
131 可動シーブ側係合面
150 戻しバネ
160 フライウエイト機構
200 可動スリーブ
210 筒部
211 摩擦接触領域
212 212
220 フランジ部
221 狭圧面
230 凹部
250 軸受部材
270 カム機構
271 凸状部材
275 螺旋溝
280 補助バネ
300 カム機構
310 駆動軸側傾斜面
315 駆動軸側停止面
320 基準シーブ側傾斜面
325 基準シーブ側停止面

Claims (7)

  1. 駆動軸から従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置における駆動側プーリーであって、前記駆動軸に対して軸線方向移動不能且つ軸線回り相対回転不能とされた固定シーブと、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた可動シーブと、前記可動シーブを前記固定シーブから離間する方向へ付勢する戻しバネと、前記駆動軸の回転速度に応じた力で前記戻しバネの付勢力に抗して前記可動シーブを前記固定シーブに近接する方向へ押動するフライウエイト機構とを備え、前記固定シーブにはベルトの第1側面に係合可能な固定シーブ側係合面が設けられ、前記可動シーブには前記ベルトの第2側面に係合可能で且つ前記固定シーブ側係合面と共に前記ベルトが係入されるV溝を形成する可動シーブ側係合面が設けられている駆動側プーリーにおいて、
    前記駆動軸又は前記固定シーブによって構成される軸線方向固定部材に、軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された可動スリーブを備え、
    前記可動スリーブは、外周面が前記V溝の底面を形成するように前記軸線方向固定部材に外挿される筒部と、前記筒部における前記固定シーブに近接する側から径方向外方へ延びるフランジ部とを有し、
    前記フランジ部には、前記ベルトの内周面が前記筒部の外周面に係合している状態において前記ベルトの前記第1側面に係合可能な狭圧面が設けられ、
    前記駆動側プーリーには、前記可動スリーブの前記軸線方向固定部材に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記可動スリーブを前記可動シーブへ向けて押動するカム機構が設けられていることを特徴とする駆動側プーリー。
  2. 前記カム機構は、前記軸線方向固定部材及び前記可動スリーブの一方に設けられた凸状部材と、前記凸状部材が係入されるように前記軸線方向固定部材及び前記可動スリーブの他方に設けられた螺旋溝とを有していることを特徴とする請求項1に記載の駆動側プーリー。
  3. 前記筒部の外周面は、前記ベルトの内周面と直接係合する摩擦接触領域と、前記ベルトの内周面と軸受部材を介して係合する軸受領域とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動側プーリー。
  4. 前記可動スリーブを前記固定シーブに向けて付勢する補助バネを備えていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の駆動側プーリー。
  5. 前記固定シーブにおける前記ベルトと対向する側面には、前記固定シーブ側係合面より径方向内方に、前記可動スリーブの前記フランジ部が係入可能な凹部が設けられ、
    前記フランジ部が前記凹部に係入された状態において、前記狭圧面及び前記固定シーブ側係合面が面一とされていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の駆動側プーリー。
  6. 駆動軸から従動軸に、前記駆動軸の回転速度に応じて無段変速しつつ回転動力を伝達するベルト式無段変速装置における駆動側プーリーであって、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能とされた基準シーブと、前記駆動軸に対して軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転不能とされた可動シーブと、前記可動シーブを前記基準シーブから離間する方向へ付勢する戻しバネと、前記駆動軸の回転速度に応じた力で前記戻しバネの付勢力に抗して前記可動シーブを前記基準シーブに近接する方向へ押動するフライウエイト機構とを備え、前記基準シーブにはベルトの第1側面に係合可能な基準シーブ側係合面が設けられ、前記可動シーブには前記ベルトの第2側面に係合可能で且つ前記基準シーブ側係合面と共に前記ベルトが係入されるV溝を形成する可動シーブ側係合面が設けられている駆動側プーリーにおいて、
    前記基準シーブは、前記駆動軸に軸線方向移動可能且つ軸線回り相対回転可能に外挿された筒部と、前記筒部における前記可動シーブとは反対側の端部から径方向外方へ延び、前記基準シーブ側係合面が形成された径方向延在部とを有し、
    前記可動シーブは、前記筒部の外周面が前記V溝の底面を形成するように前記筒部に外挿されており、
    前記駆動側プーリーには、前記駆動軸の軸線回り正転方向への回転に応じて前記基準シーブを軸線回り正転方向へ回転させつつ前記基準シーブが前記駆動軸に対して軸線回り正転方向へ相対回転することを許容し、且つ、前記基準シーブの前記駆動軸に対する軸線回り正転方向への相対回転を利用して前記基準シーブを前記可動シーブへ向けて押動するカム機構が設けられていることを特徴とする駆動側プーリー。
  7. 前記カム機構は、前記基準シーブから前記可動シーブへ向かう軸線方向第1方向を向くように前記駆動軸に設けられ、軸線回り正転方向へ行くに従って軸線方向第1方向の側に位置する駆動軸側傾斜面と、前記駆動軸側傾斜面における軸線回り正転方向とは反対側の端部から軸線方向第1方向へ延びるように前記駆動軸に設けられ、軸線回り正転方向を向く駆動軸側停止面と、前記駆動軸側傾斜面及び前記駆動軸側停止面とそれぞれ対向するように前記基準シーブに設けられた基準シーブ側傾斜面及び基準シーブ側停止面と、前記基準シーブ側傾斜面が前記駆動軸側傾斜面に係合するように前記基準シーブを軸線方向第2方向へ付勢する補助バネとを有することを特徴とする請求項6に記載の駆動側プーリー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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