JP2005331079A - ベルト式無段変速機およびその制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐久性を損なうことなく、急減速もしくは急停止時などにおける変速比の増大を迅速におこなう。
【解決手段】 無段変速機が動力源の出力側に連結され、伝達トルク容量を変化させることのできる動力伝達機構がその無段変速機の出力側に配置されたベルト式無段変速機の制御装置において、無段変速機を搭載した車両の停止に到る急減速状態を検出する急減速検出手段(ステップS1)と、車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、動力伝達機構の伝達トルク容量を低下させる伝達トルク低下手段(ステップS2)と、車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、ベルトおよびプーリの回転速度を一時的に増大させる急変速促進手段(ステップS3)とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 無段変速機が動力源の出力側に連結され、伝達トルク容量を変化させることのできる動力伝達機構がその無段変速機の出力側に配置されたベルト式無段変速機の制御装置において、無段変速機を搭載した車両の停止に到る急減速状態を検出する急減速検出手段(ステップS1)と、車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、動力伝達機構の伝達トルク容量を低下させる伝達トルク低下手段(ステップS2)と、車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、ベルトおよびプーリの回転速度を一時的に増大させる急変速促進手段(ステップS3)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、ベルトを巻き掛けたプーリの溝幅を変更することによって駆動側と従動側のプーリに対するベルトの巻き掛け半径を変化させ、変速をおこなうベルト式無段変速機およびその制御装置に関するものである。
車両に搭載されている無段変速機の一例として、溝幅を変更できる駆動プーリと従動プーリとにベルトを巻き掛け、それぞれのプーリに対するベルトの巻き掛け半径をプーリの溝幅を変更することによって変化させて変速をおこなうベルト式の無段変速機が知られている。従来、この種の無段変速機では、各プーリを固定シーブと可動シーブとによって構成し、可動シーブを油圧室に給排する圧油によって移動させるように構成されている。また、ベルト式無段変速機ではベルトと各プーリとの接触圧を確保する必要があるので、ベルトをプーリによって強く挟み付けており、そのために、例えば従動側のプーリにおける油圧室に、伝達するべきトルクに基づいた油圧を作用させている。さらに、最近では、ベルトとプーリとの間に潤滑油を積極的には供給せずにベルトとプーリとの間でトルクの伝達をおこなう乾式の無段変速機が開発されており、この種のいわゆる乾式ベルト式無段変速機では、ベルト張力を確保するとともに、プーリに対するベルトの巻き掛け長さを長くするために、ベルトテンショナを設けることもおこなわれている。
ベルトテンショナを備えているベルト式無段変速機の例が特許文献1および特許文献2に記載されている。これらの特許文献1および特許文献2に記載された無段変速機は、ベルトが巻き掛けられた一対のプーリの中間の位置に、ベルトを内側に押圧するテンションローラを配置し、そのテンションローラを回動アームの先端部に保持させるとともに、その回動アームの先端側に形成した歯にアシストモータに取り付けたギヤを噛み合わせ、そのアシストモータのトルクによって回動アームの先端側の部分すなわちテンションローラをベルト側に押圧するように構成されている。
そして、急減速時に変速比を低速側(ロー側)に戻すために、テンションローラによるベルト押圧力すなわちベルト張力を低下させるように構成されている。したがって、変速比をロー側に変化させるべく一方のプーリの溝幅を増大させた場合、ベルトとプーリとの間の滑りが生じて、ベルトのプーリに対する巻き掛け半径が急速に変化し、いわゆるロー戻りの性能が向上する、とされている。
なお、ベルト式無段変速機の出力側に発進クラッチを配置した車両用動力伝達装置が特許文献3に記載されている。この特許文献3に記載された発明では、無段変速機の変速比がローになっており、かつ発進クラッチを解放した後にエンジンを停止するように構成されている。
特開2001−330099号公報
特開2003−120798号公報
特開2001−18686号公報
ベルト式無段変速機は、ベルトとプーリとの間の摩擦力を利用してトルクを伝達するように構成されているから、ベルトとプーリとは基本的には滑りを生じない。したがって変速比を変更するためにプーリに対するベルトの巻き掛け半径を変更する場合、ベルトがプーリの表面を滑るのではなく、プーリおよびベルトが回転していることにより、ベルトの各部分がプーリに新たに巻掛かる際に、先行する部分とは半径方向に異なる位置に順次ずれて巻掛かることにより、ベルトの巻き掛け半径が次第に変化する。すなわち、車両の走行に必要なトルクを伝達できる定常的な状態では、無段変速機を回転させつつ変速比を変化させることになる。これは、乾式のベルト式無段変速機およびいわゆる湿式のベルト式無段変速機のいずれでも同様である。
一方、車両が発進する場合には大きい駆動力が要求されるので、無段変速機の変速比は発進時に最大とすることが望ましい。しかしながら、無段変速機の変速比は無段変速機が回転している状態で変更できるので、車両が停止する直前に最大変速比とする必要があるが、急減速や急停止する場合などには、変速が間に合わずに、発進時の変速比を最大(すなわちロー)に設定できない場合がある。
そこで上記の特許文献1あるいは特許文献2に記載されている発明では、ベルトテンショナを制御してベルト張力を低下させてベルトの滑りもしくはそれに近い状態を設定することにより、変速比がロー側に変化することを促進するようにしている。しかしながら、ベルト張力を低下させることは、無段変速機の伝達トルク容量を低下させることであるから、急減速の後に加速操作された場合には、無段変速機の伝達トルク容量に対して入力トルクが大きくなることにより、無段変速機に滑りが生じ、その結果、再加速の応答性が低下するなどの可能性がある。また、変速比を増大させるためのプーリの溝幅を狭くする圧力が大きいことにより、ベルトがプーリに対して滑ることがあり、その結果、ベルトあるいはプーリの摩耗が進行して無段変速機の耐久性が低下するなどの可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、急減速や急停止などの急速に変速比を増大させる際に、ベルトの滑りを生じさせることなく変速をおこなうことのできるベルト式無段変速機およびその制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動トルクの変化を抑制しつつ無段変速機の回転数を増大させて変速比を低速側に変化させるように構成したことを特徴とするものである。すなわち請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられた溝幅を変化させることにより変速比を変更する無段変速機が動力源の出力側に連結され、伝達トルク容量を変化させることのできる動力伝達機構がその無段変速機の出力側に配置されたベルト式無段変速機の制御装置において、前記無段変速機を搭載した車両の停止に到る急減速状態を検出する急減速検出手段と、前記車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、前記動力伝達機構の伝達トルク容量を低下させる伝達トルク低下手段と、前記車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、前記ベルトおよびプーリの回転速度を一時的に増大させる急変速促進手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、一対の前記プーリの間のベルトをローラによって押圧することによってベルトを撓ませて張力を調整するベルト張力調整機構を更に備え、前記急変速促進手段が、前記ローラを回転させる手段を含むことを特徴とする制御装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記動力伝達機構が、少なくとも二つの係合機構の係合・解放状態の切り換えによって前進状態と後進状態とに切り換えられる前後進切換機構を含み、前記伝達トルク低下手段が、前記少なくとも二つの係合機構の伝達トルク容量を共に低下させた状態に設定する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
そして、請求項4の発明は、溝幅を変化させることのできる一対のプーリにベルトが巻き掛けられるとともに、これらのプーリの間のベルトをローラによって押圧することによってベルトの張力を調整する張力調整機構が設けられたベルト式無段変速機において、前記ローラを自転させてベルトを走行させる電動機が設けられていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、車両が停止に到る程度の急減速の状態になると、停止後の発進に備えて変速比を最大にするよう無段変速機の変速制御が実行され、その際に無段変速機の出力側に連結されている動力伝達機構の伝達トルク容量が低下させられ、併せてベルトおよびプーリの回転速度を一時的に増大させる制御が実行される。その結果、車速が低下していても無段変速機の回転数が維持もしくは増大させられ、その状態で最大変速比に向けた変速制御が実行されるので、変速比を急速に増大させることができる。また、無段変速機が回転しても、その出力側の動力伝達機構の伝達トルク容量が低下しているので、車両の出力軸トルクもしくは駆動トルクが大きくなるなどの事態を未然に防止もしくは抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、ベルト張力を調整するためにベルトに押し付けられているローラを回転させることにより、ベルトおよびプーリを回転させることができ、その結果、動力源の出力をゼロにし、あるいは動力源をアイドリング状態とした急減速時であっても、ベルトおよびプーリを必要十分な速度で回転させることができ、その結果、変速比を発進に備えた低速側の変速比に急速に変化させることができる。
さらに、請求項3の発明では、無段変速機の出力側に設けられている前後進切換機構の係合機構を解放側に制御することにより、無段変速機からの出力トルクが駆動輪に伝達しないようにし、あるいは駆動輪に伝達されるトルクを低減できるので、変速比を増大させる制御に伴う駆動力の変化を防止もしくは抑制することができる。
そして、請求項4の発明では、ベルトを走行させるための電動機を備えているので、無段変速機自体でベルトおよびプーリを回転させて変速比を変化させることができ、したがって停止に到る急減速の際にも変速比を迅速に最大変速比側に変化させることができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。図2は、この発明の一例を模式的に示しており、内燃機関(エンジン)1を走行用の動力源とする車両に搭載された乾式ベルト式無段変速機2を示している。
その無段変速機2は、駆動軸3と同一軸線上に配置された駆動プーリ4と、従動軸5と同一軸線上に配置された従動プーリ6と、これらに巻き掛けられたベルト7とを有している。その駆動プーリ4は、互いに接近・離隔する固定シーブ8と可動シーブ9とから構成され、これらのシーブ8,9の間に、ベルト7を巻き掛けるいわゆるV溝が形成されるようになっている。その固定シーブ8は駆動軸3に一体化され、これに対して可動シーブ9は駆動軸3と一体に回転するものの駆動軸3の軸線上を前後動するように構成されている。
そして、その可動シーブ9の背面側には、可動シーブ9を前後動させるための油圧アクチュエータ10が設けられている。この油圧アクチュエータ10は、駆動軸3と一体に回転するシリンダ11と、その内部に配置されたピストン12とを有し、そのピストン12と一体のロッド13が駆動軸3の外周側に嵌合されるとともに、前記可動シーブ9に一体化されている。したがってピストン12の背面側に給排される油圧によってピストン12が前後動することにより、可動シーブ9が前後動し、駆動プーリ4の溝幅が変化するようになっている。
一方、従動プーリ6は、上記の駆動プーリ4と同様な構成であって、従動軸5に一体化された固定シーブ14と、従動軸5と一体回転するものの従動軸5の軸線上を前後動する可動シーブ15とから構成されている。駆動プーリ4と従動プーリ6との溝幅の変更に伴うベルト7の軸線方向での位置の変化を可及的に少なくするために、駆動プーリ4における可動シーブ9の外周側に従動プーリ6における固定シーブ14が配置され、したがって駆動プーリ4における固定シーブ8の外周側に従動プーリ6における可動シーブ15が配置されている。
そして、その固定シーブ14の背面側には、可動シーブ15を前後動させるための油圧アクチュエータ16が設けられている。したがってこの従動プーリ6側の油圧アクチュエータ16は、駆動プーリ4側の油圧アクチュエータ10の外周側に配置されている。従動プーリ6側の油圧アクチュエータ16は、駆動プーリ4側の油圧アクチュエータ10と同様に、ピストン17を内蔵したシリンダ18を有しており、そのシリンダ18が固定シーブ14を設けてある従動軸5と一体化されている。また、この従動軸5は中空軸であって、その内部にはピストン17と一体のロッド19が軸線方向に移動可能に挿入されている。このロッド19の従動軸5の端部から突出した先端部に可動シーブ15が連結されている。したがってピストン17の背面側に給排される油圧によってピストン17が前後動することにより、可動シーブ15が前後動し、従動プーリ6の溝幅が変化するようになっている。
駆動軸3は油圧アクチュエータ10を貫通し油圧アクチュエータ10を挟んで駆動プーリ4とは反対側に延びている。そして、この駆動軸3がダンパー20を介してエンジン1に連結されている。また一方、従動プーリ6と一体化されている油圧アクチュエータ16のシリンダ18が、前後進切換機構21を介して出力軸22に連結されている。
図2に示す例では、前後進切換機構21はダブルピニオン型遊星歯車機構によって構成されており、この遊星歯車機構はシリンダ18の背面側すなわち油圧アクチュエータ16を挟んで従動プーリ6とは反対側に、従動軸5と同一軸線上に配置されている。
前後進切換機構21を図3にスケルトン図で示してあり、外歯歯車であるサンギヤ23と、サンギヤ23に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ24と、これらサンギヤ23とリングギヤ24との間に配置されていて、サンギヤ23に噛み合っているピニオンギヤとそのピニオンギヤおよびリングギヤ24に噛み合っている他のピニオンギヤと、これらのピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持しているキャリヤ25とを有している。そのサンギヤ23と一体のサンギヤ軸26が従動プーリ6側の油圧アクチュエータ16におけるシリンダ18に一体回転するように連結されている。
また、キャリヤ25を油圧アクチュエータ16のシリンダ18(すなわち従動軸5)に選択的に連結するクラッチ27と、リングギヤ24を選択的に固定するブレーキ28とが設けられている。これらクラッチ27およびブレーキ28は、係合することによりトルクを伝達し、かつ解放することによりトルクの伝達を遮断する係合装置であって、一例として摩擦力によってトルクを伝達する摩擦係合装置である。したがって摩擦係合装置を使用した場合には、伝達トルク容量を連続的に変化させることができる。そして、上記のキャリヤ25が出力要素となっており、このキャリヤ25に出力軸22が連結されている。さらにその出力軸22がギヤ対29を介してデファレンシャル(終減速機)30に連結されている。
したがって、図3に示す前後進切換機構21では、クラッチ27を係合させかつブレーキ28を解放することにより、サンギヤ23とキャリヤ25とが連結されるので、その全体が一体回転する。これはいわゆる直結状態であって、従動軸5のトルクがそのまま出力軸22に伝達され、前進状態が設定される。これに対してブレーキ28を係合させかつクラッチ27を解放させることにより、サンギヤ23に従動軸5のトルクが伝達され、かつリングギヤ24が固定されるので、キャリヤ25が従動軸5(サンギヤ23)とは反対方向に回転する。このキャリヤ25から出力軸22にトルクが伝達されるので、後進状態となる。
そして、これらのクラッチ27およびブレーキ28の伝達トルク容量を解放状態のゼロの状態と完全係合状態との間で連続的に変化させることできるので、例えば前進走行もしくは後進走行する場合に、クラッチ27あるいはブレーキ28のトルク容量を次第に増大させることにより、駆動力が滑らかに増大していわゆる半クラッチを利用した発進をおこなうことができる。したがってクラッチ27およびブレーキ28を発進クラッチとして機能させることができる。あるいはクラッチ27もしくはブレーキ28を滑りを伴う係合状態とすることにより、いわゆるクリープトルクを発生させることができる。
上記の無段変速機2はベルト7とプーリ4,6との間に基本的には潤滑油を介在させないいわゆる乾式の無段変速機であり、したがってプーリ4,6が収容されている箇所と油圧アクチュエータ10,16が収容された箇所とが、ケーシング31の内面側に一体的に形成した隔壁32によって液密状態に区画されている。さらに、ベルト7の張力を調整するためのテンショナ(ベルト張力調整機構)33が設けられている。これを図4に模式的に示してある。
テンショナ33は、モータ34によって自転させられるローラ35を備えており、そのローラ35は各プーリ4,6の間に張られているベルト7の中間部を押圧するように構成されている。その押圧方向は、ベルト7がプーリ4,6に巻き掛かる長さを長くするためには内側であることが好ましいが、張力を付与するためのみであれば外側でもよい。また、ローラ35をベルト7に押し付けるための機構は、特には図示しないが、従来知られているものを適宜に採用することができる。例えばスプリングと油圧アクチュエータとを併用した機構やローラ35を取り付けたアームをモータで回動させる機構などを採用することができる。
なお、図2において符号36は油圧ポンプであって、この油圧ポンプ36はケーシング31内部に設けられ、チェーンなどの巻き掛け伝動機構37を介して駆動軸3に連結されている。したがって、エンジン1の動力によって油圧ポンプ36を駆動して油圧を発生させるようになっている。
したがってベルト式無段変速機2を含む上記の駆動装置では、駆動軸3をエンジン1によって回転させることにより無段変速機2が回転してベルト7が走行することに加え、テンショナ33のローラ35をモータ34によって回転させることによりベルト7を走行させることができる。この発明に係る制御装置(ECU)38は、このような機能を利用して、車両の停止に到る急減速の際に変速比が最大となるようベルト7のプーリ4,6に対する巻き掛け状態を変化させるように構成されている。
図1はその制御装置38によって実行される制御の一例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、例えば前進走行状態での減速時に所定時間毎に繰り返し実行される。先ず、急減速状態か否かが判断される(ステップS1)。この判断は、例えばブレーキ踏力が所定値以上であること、あるいは減速度が所定値以上であることなどによって判断することができる。またこの判断は、再加速に備えて変速比を大きくする必要があるか否かの判定のためのものであるから、停止に到る急減速状態を判断することが好ましく、したがって車速が所定値以下に低下していることをも判断成立の条件としてもよい。
このステップS1で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンする。これとは反対に肯定的に判断された場合には、前記クラッチ27の伝達トルク容量を低下させる(ステップS2)。これは、クラッチ27を解放側に制御することであり、滑りを伴う半係合状態あるいは完全解放状態にクラッチ27が制御される。また、これと同時に前記モータ34を駆動してローラ35を介してベルト7を走行させる(ステップS3)。急減速状態であることによりエンジン1がアイドリング状態になっており、無段変速機2は変速比を増大させるようにダウンシフト制御されつつ回転しているが、アイドリング状態のエンジン1で駆動される無段変速機2の回転速度では、変速比が増大するいわゆるベルト戻りが遅いので、無段変速機2の回転速度(ベルト7の走行速度)をモータ34によって補助し、エンジン1による回転速度より速くする。その結果、無段変速機2の全体としての回転速度が増大して、変速比が急速に低速側に変化する。すなわち、ベルト戻りを促進することができる。
なお、その場合、モータ34のトルクによってエンジン1を回転させることにもなるので、モータ34による回転速度は、エンジン1の回転数が違和感を生じさせることにならない程度とする。また、クラッチ27が解放され、あるいは伝達トルク容量が低下させられているので、モータ34を駆動することによる駆動力の変化が違和感となることはない。
上記のように制御している状態で変速比が所定値以上に増大したか否かが判断される(ステップS4)。これは、モータ34の駆動を継続するか否かを判定するためのものであり、したがって最大変速比に近いしきい値もしくは最大変速比を上記の所定値として設定することができる。このステップS4で否定的に判断された場合には、従前の制御状態を維持するために一旦このルーチンを抜ける。これとは反対に、変速比が充分に増大したことによってステップS4で肯定的に判断された場合には、モータ34を停止させる(ステップS5)。
したがってこの発明に係る制御装置38によれば、急減速もしくは急停止などの際に変速比を迅速に増大させる場合、無段変速機2を積極的に回転させて変速を進行させるので、停止後の再発進時、あるいは減速後の再加速の際には変速比が必要十分に大きくなっているので、車両全体としての駆動力が大きくなって発進加速性あるいは再加速性が良好になる。また、急減速時あるいは急停止時などに変速比を増大させる場合、ベルト7とプーリ4,6との間に滑りを生じさせることがないので、無段変速機2の耐久性が良好になる。さらに、ベルト7を強制的に駆動することに伴うトルクが、出力軸22に可及的に現れないようにクラッチ27を制御するので、駆動力の変化などによる違和感を防止することができる。
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、ステップS1の機能的手段が、この発明の急減速検出手段に相当し、またステップS2の機能的手段が、この発明の伝達トルク低下手段に相当し、さらに前記モータ34およびステップS3の機能的手段が、この発明の急変速促進手段に相当する。
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、上述した機能を奏するための他の構成を採用することができる。例えば、停止に到る程度の急減速の際に変速を促進するためにベルトおよびプーリを回転させるための手段は、上記のモータに替えて、動力源の回転数を一時的に増大させる手段であってもよい。これは、内燃機関を動力源とする場合には、アイドルアップ制御を実行する手段であってよい。これらの手段が、この発明の変速促進手段に相当する。また、この発明の動力源は、内燃機関に限定されないのであって、電動機や電動機と内燃機関とを組み合わせた構成など、適宜の動力源を採用できる。さらに、無段変速機の出力側に配置される動力伝達機構は、上述した前後進切換機構に替えて、トルクコンバータや電磁クラッチあるいはパウダークラッチなどの要は伝達トルク容量の可変な伝動機構を採用することができる。
1…エンジン、 2…無段変速機、 4…駆動プーリ、 6…従動プーリ、 7…ベルト、 27…クラッチ、 33…テンショナ(ベルト張力調整機構)、 34…モータ、 35…ローラ、 38…制御装置(ECU)。
Claims (4)
- ベルトが巻き掛けられたプーリの溝幅を変化させることにより変速比を変更する無段変速機が動力源の出力側に連結され、伝達トルク容量を変化させることのできる動力伝達機構がその無段変速機の出力側に配置されたベルト式無段変速機の制御装置において、
前記無段変速機を搭載した車両の停止に到る急減速状態を検出する急減速検出手段と、
前記車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、前記動力伝達機構の伝達トルク容量を低下させる伝達トルク低下手段と、
前記車両の停止に到る急減速状態が前記急減速検出手段によって検出された場合に、前記ベルトおよびプーリの回転速度を一時的に増大させる急変速促進手段と
を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。 - 一対の前記プーリの間のベルトをローラによって押圧することによってベルトを撓ませて張力を調整するベルト張力調整機構を更に備え、
前記急変速促進手段が、前記ローラを回転させる手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の制御装置。 - 前記動力伝達機構が、少なくとも二つの係合機構の係合・解放状態の切り換えによって前進状態と後進状態とに切り換えられる前後進切換機構を含み、
前記伝達トルク低下手段が、前記少なくとも二つの係合機構の伝達トルク容量を共に低下させた状態に設定する手段を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機の制御装置。 - 溝幅を変化させることのできる一対のプーリにベルトが巻き掛けられるとともに、これらのプーリの間のベルトをローラによって押圧することによってベルトの張力を調整する張力調整機構が設けられたベルト式無段変速機において、
前記ローラを自転させてベルトを走行させる電動機が設けられていることを特徴とするベルト式無段変速機。
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