JP4284978B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、摩擦力やトラクションオイルのせん断力などを利用してトルクを伝達する無段変速機の制御装置に関し、特に無段変速機のトルク容量に関係する挟圧力を制御するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速機あるいはトラクション式(トロイダル型)無段変速機などの変速機は、噛み合いに依らないでトルクを伝達するから、その伝達トルク(もしくはトルク容量)を超えてトルクが作用することにより、過剰な滑りが生じることがある。そのような過剰な滑りが生じると、動力の伝達効率が低下したり、あるいは耐久性が損なわれたりし、特に無段変速機では、ベルトなどの伝動部材やトルク伝達面の摩耗などが大きくなることが考えられる。
【0003】
このような滑りを未然に防止するためには、ベルトやパワーローラなどの伝動部材を、プーリーあるいはディスクなどの入出力部材によって挟み付ける挟圧力を増大させて無段変速機のトルク容量を大きくすればよい。しかしながら、挟圧力が高いほど動力の伝達効率が低下し、また無段変速機の耐久性が低下する。したがって無段変速機における挟圧力は、想定される走行状態で滑りが生じない程度に設定するのが通常であるが、車両の走行状態は極めて多様であり、しかも挟圧力は可及的に低くすることが好ましいから、予め設定した一定の挟圧力で確実に滑りを防止することができない場合がある。
【0004】
そこで、従来、特許文献1に記載された発明では、無段変速機での滑りが検出された場合に、挟圧力を、滑りが生じた際の挟圧力より高く設定し、その後、滑りが検出されない場合に、挟圧力を次第に低下させるように制御している。具体的には、滑り回数積算カウンターを減算し、そのカウント値が負の値になることにより、一定値ずつ挟圧力を低下させている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−330119号公報(段落番号0003〜0053)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって上記の公報に記載された発明によれば、無段変速機の滑りが検出された場合に挟圧力が増大させられるので、その滑りの原因となった走行状態もしくはトルクの作用状態が再度生じても、挟圧力が維持されている限り、無段変速機の滑りが生じることはない。しかしながら、挟圧力は滑りが検出されないことにより次第に低下させられるから、滑りの検出されない期間が長くなると、挟圧力が充分に低下し、ついには、前回の滑りが生じた際の挟圧力にほぼ等しい圧力にまで低下してしまう。その結果、前記の滑りが生じた際の走行状態あるいはトルクの作用状態と同様な状態が生じると、無段変速機に滑りが発生してしまう。
【0007】
その場合、滑りが検出されることにより、再度、挟圧力を増大させることになるが、その後に滑りの検出されない期間が続くと、挟圧力が元の圧力に低下させられる。すなわち、上記従来の制御装置では、無段変速機での滑りと、その後の挟圧力の増大ならびに低下の制御が繰り返し生じる可能性があった。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、滑りや挟圧力の増大・低下の制御が繰り返すことを防止することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、滑りが検出された後に一旦増大させた挟圧力を低下させるにあたり、その低下させる挟圧力の下限値を、前回の滑り検出時の挟圧力より高い圧力に制限したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、入力部材と出力部材との間でのトルクの伝達を媒介する伝動部材と前記入力部材および出力部材とを接触させるように作用する挟圧力を、前記入力部材もしくは出力部材と前記伝動部材との相対的な滑りが検出された場合に所定の増加量増大させ、かつ所定の期間に亘って前記滑りが検出されない場合に、前記増大させた挟圧力を低下させる無段変速機の制御装置において、前記低下させる挟圧力の下限値を、前記滑りが検出された時点の挟圧力より高い圧力に設定する挟圧力低下制限手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0010】
したがって請求項1の発明では、無段変速機における滑りが検出されると、挟圧力が増大させられ、その後に、経過時間もしくは走行距離などによって定められている所定期間に亘って滑りが検出されない場合には、挟圧力が低下させられる。滑りが検出されない期間が継続することに伴って、挟圧力の低下度合いが大きくなるが、前回滑りが検出された時点における挟圧力以下に低下させられることはない。そのため、前記滑りが検出された際のトルクの作用状態と同等の状態が生じても、無段変速機に滑りが生じない。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、検出された前記滑りの回数に応じて、前記下限値、および前記所定の期間の長さ、ならびに前記滑りが検出された後の経過時間毎もしくは走行距離毎の前記挟圧力の低下率の少なくともいずれか一つ変更する制御量設定手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項2の発明では、検出された滑りの回数が多い場合には、挟圧力の下限値が大きく設定され、あるいは所定の期間の長さが長く設定され、もしくは挟圧力を徐々に低下させる場合には経過時間毎もしくは走行距離毎の挟圧力の低下率が抑制される。すなわち、滑りが相対的に生じやすい状態では、挟圧力が相対的に高い状態に維持する時間が長くなり、その結果、滑りが繰り返し生じることが防止される。
【0013】
さらに、請求項3の発明は、上記の請求項1または請求項2の構成において、前記所定期間において、初回に前記滑りがあるときには前記挟圧力の下限値を設定せず、再度前記滑りがあるときには前記挟圧力の下限値を設定する順次挟圧力下限値設定手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
【0014】
したがって請求項3の発明では、請求項1または2の発明と同様の作用が生じるうえに、滑り回数が所定値以上であると判断された場合には、油圧アップ量の下限量が、滑りが発生したときよりも大きく設定される。すなわち、滑りを散発的に発生させる場合には、挟圧力のレベルが高くなるのが防止され、車両の走行状態での燃費を向上させる。
【0015】
そして、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成において、前記滑りに伴って増大させた前記挟圧力の増加量を滑りが検出されないことによって次第に低下させ、前記挟圧力の増加量に基づいて所定の保持期間を変更する期間変更手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
【0016】
したがって請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の作用が生じるうえに、油圧アップ量が小さくなるに従い、滑りの発生の可能性が高くなるため、挟圧力の増加量を低減させるための保持期間が変更される。すなわち、滑りが繰り返し生じることが防止されるとともに、挟圧力の増加量を低減させるための判断をより適切に行わせることが可能となる。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成において、前記増加量が低減されるときに、前記挟圧力の上限値を設定する挟圧力上限値設定手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
【0018】
したがって請求項5の発明では、請求項1ないし4のいずれかの発明と同様の作用が生じるうえに、挟圧力低下制御が禁止されない場合には、低下した挟圧力および油圧アップ量が通常の挟圧力で上限ガードされ、所定の指令圧力が設定される。すなわち、動力の伝達効率が低下しないため車両の走行状態での燃費の悪化が防止される。
【0019】
さらに、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの構成において、前記挟圧力の下限値が所定値以上のときに、前記増加量を低減する制御を禁止する増加量低減制御禁止手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
【0020】
したがって請求項6の発明では、請求項1ないし5のいずれかの発明と同様の作用が生じるうえに、低下した挟圧力は、通常の挟圧力との差が小さく、車両の走行状態での燃費効果が小であり、また、狭圧力が滑り時より高く設定されるため、再度の滑りを防止することができる。
【0021】
そして、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの構成において、前記滑りが検出された場合に増大させた前記挟圧力を低下させる際の前記無段変速機の制御装置が搭載された車両に予め設定されている複数の運転領域毎に前記挟圧力の下限値を設定する挟圧力下限値設定手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
【0022】
したがって請求項7の発明では、請求項1ないし6のいずれかの発明と同様の作用が生じるうえに、車両のその他の走行状態での燃費効果の低下を防止することができる。
【0023】
また、請求項8の発明は、請求項7の構成において、前記滑りが検知された前記運転領域でのみ前記挟圧力の下限値を設定する滑り検知下限値設定手段を更に備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
【0024】
したがって請求項8の発明では、請求項7の発明と同様の作用が生じるうえに、滑りが検出されていない状態では、挟圧力の下限値が設定されないため、挟圧力のレベルが下げられ、車両の燃費が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機およびその制御系統について説明すると、図9は、車両に搭載されているベルト式無段変速機1を模式的に示しており、この無段変速機1は、前後進切換機構2を介して動力源3に連結されている。
【0026】
その動力源3は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成され、要は、走行のための動力を発生する駆動部材である。なお、以下の説明では、動力源3をエンジン3と記す。また、前後進切換機構2は、エンジン3の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。
【0027】
図9に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ4と同心円上にリングギヤ5が配置され、これらのサンギヤ4とリングギヤ5との間に、サンギヤ4に噛合したピニオンギヤ6とそのピニオンギヤ6およびリングギヤ5に噛合した他のピニオンギヤ7とが配置され、これらのピニオンギヤ6,7がキャリヤ8によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ4とキャリヤ8と)を一体的に連結する前進用クラッチ9が設けられ、またリングギヤ5を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ10が設けられている。
【0028】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ11と従動プーリ12とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ13,14によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ11,12の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ11,12に巻掛けたベルト15の巻掛け半径(プーリ11,12の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ11が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ8に連結されている。
【0029】
なお、従動プーリ12における油圧アクチュエータ14には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(例えば、ライン圧あるいはその補正した油圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって従動プーリ12における各シーブがベルト15を挟み付けることにより、ベルト15に張力が付与され、各プーリ11,12とベルト15との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。言い換えれば、挟圧力に応じたトルク容量が設定される。これに対して駆動プーリ11における油圧アクチュエータ13には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
【0030】
より具体的に説明すると、エンジントルクやエンジン回転数あるいは変速比に基づいて挟圧力が決定され、その挟圧力を達成するように従動プーリ12側の推力すなわち可動シーブを軸線方向に押圧する油圧が設定される。一方、駆動プーリ11側のアクチュエータ13に供給する圧油は、無段変速機1の入力回転数が目標回転数となるようにフィードバック制御されている。したがって従動プーリ12の推力が変更されると、それにバランスして入力回転数(すなわち変速比)を維持するために、駆動プーリ11の推力が変更される。
【0031】
無段変速機1の出力部材である従動プーリ12に発進クラッチ16が連結され、この発進クラッチ16を介して従動プーリ12がギヤ対17およびディファレンシャル18に連結され、さらにそのディファレンシャル18が左右の駆動輪19に連結されている。この発進クラッチ16は、無段変速機1と駆動輪19とを選択的に連結および遮断するためのものであって、一例として油圧によってトルク容量が連続的に変化させられる摩擦式のクラッチが採用されている。
【0032】
上記の無段変速機1およびエンジン3を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、エンジン3の回転数を検出して信号を出力するエンジン回転数センサー20、駆動プーリ11の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー21、従動プーリ12の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー22、駆動輪の回転数を検出して信号を出力する車輪回転数センサー23が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0033】
上記の前進用クラッチ9および後進用ブレーキ10の係合・解放の制御、および前記ベルト15の挟圧力の制御、ならびに発進クラッチ16の係合・解放を含むトルク容量の制御、さらには変速比の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)24が設けられている。この電子制御装置24は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定などの制御を実行するように構成されている。
【0034】
ここで、変速機用電子制御装置24に入力されているデータあるいは信号の例を示すと、無段変速機1の入力回転数(駆動プーリ11の回転数)Ninの信号、無段変速機1の出力回転数(従動プーリ12の回転数)No の信号が入力されている。また、上記の無段変速機1は、パーキングレンジやリバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジなどの走行ポジションをシフト装置25によって選択するように構成されており、そのシフト装置25によって選択されたポジションの信号が、変速機用電子制御装置24に入力されている。
【0035】
また、エンジン3を制御するエンジン用電子制御装置26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。さらに、車輪のロックを回避するアンチロックブレーキシステムのための電子制御装置(ABS−ECU)27からは、ブレーキ信号、ABS作動信号、車輪回転速度信号などが入力されている。
【0036】
上記の無段変速機1におけるベルト15の挟圧力(すなわちベルト15の張力)は、従動プーリ12側の油圧アクチュエータ14に供給する油圧を制御することにより設定される。その挟圧力は、滑りが生じない範囲で可及的に低圧に設定され、その制御は、例えばアクセル開度もしくはスロットル開度や車速などの走行状態ごとの挟圧力マップを用意し、そのマップから読み出された挟圧力を設定することによりおこなわれる。
【0037】
上述した無段変速機1を対象とするこの発明に係る制御装置は、予め用意したマップに基づいて挟圧力を設定して走行している状態で、無段変速機1に滑りが生じた場合、挟圧力マップを変更して昇圧するとともに、その後に滑りが生じない場合には、挟圧力を低下させ、かつその下限値を前回の滑りの際の挟圧力より高い圧力に設定するように構成されている。図1はその制御例を示している。
【0038】
図1において、先ず、ベルト15の滑りが生じたか否かが判断される(ステップS1)。そのベルト15の滑りは、無段変速機1の入力回転数や出力回転数の変化の状態、あるいはその入出力回転数から求まる変速比、もしくはその変速比の変化の状態などに基づいて従来知られている方法で検出することができる。ベルト15の滑りが検出されることによりステップS1で肯定的に判断された場合には、滑りカウンターC2がインクリメントされる(ステップS2)。これと同時にトリップカウンターC1がゼロリセットされる(ステップS2−1)。
【0039】
ベルト15の滑りはそのまま放置することはできないので、滑りを抑制もしくは収束させるための対応制御が実施される(ステップS3)。この対応制御は、具体的には、エンジン3の出力トルクを(無段変速機1の入力トルク)を低下させる制御や挟圧力を一時的に増大させる制御などである。
【0040】
ついで、挟圧力マップが変更される(ステップS4)。その変更後のマップは、滑りが検出された時点の条件に応じて予め設定されているマップであり、その条件とは、例えば変速比γおよび入力トルクなどであって、要は、車両の走行状態もしくは無段変速機1の駆動状態である。また、変更されたマップによる挟圧力Wは、滑りが検出される直前の挟圧力W0 に、予め定めた圧力ΔW1 を加えた圧力に設定される。
【0041】
また、滑りの回数すなわち上記の滑りカウンターC2のカウント値に基づいて、各種の制御データ(制御量)が変更される(ステップS5)。この制御データは、例えば挟圧力を低下させる場合の下限値(制限値)、挟圧力を低下させるための滑りが生じない期間(例えばトリップ数あるいは経過時間)、挟圧力の単位時間当たりの低下量(時間的な低下率)などである。
【0042】
その一例を図2にまとめて示してあり、滑りが1回検出された場合(C2=1)は、挟圧力の制限量がΔW3 に設定され、また所定期間を決定するトリップ数が所定値Nに設定され、さらにそのトリップ数の間ごとに滑りが検出されないことにより挟圧力を低下させる量(低下量)がΔW2 に設定される。ここで、制限量とは、ベルト15の滑りが検出されない通常状態で設定されていた挟圧力Wに負荷される圧力である。また、滑りが2回検出された場合(C2=2)は、制限量およびトリップ数がそれぞれ2倍とされる。また、低下量は、トリップ数が2倍になったことにより、半減(ΔW2 /2)される。そして、滑りが3回以上検出された場合(C2=3〜)は、滑りの検出に伴って増大させた挟圧力(W0 +ΔW1 )に維持するために、制限量がΔW1 に設定され、またトリップ数による挟圧力の低下を禁止するために、トリップ数が設定されず、したがってメンテナンスなどの際に低下させる場合の低下量がΔW1 に設定される。
【0043】
つぎに、所定トリップ(所定の期間)が経過したか否かが判断される(ステップS6)。すなわちここで説明している制御装置は、エンジン3を始動する毎にインクリメントされるトリップカウンターC1を備えており、そのカウント値が予め定めた判断基準値あるいは図2に示すトリップ数を超えたか否かが判断される。このステップS6で肯定的に判断された場合には、所定の期間に亘って滑りが検出されなかったことになり、したがってその場合には、仮の挟圧力W3として、所定量低下させた挟圧力(W−ΔW2 )が設定される(ステップS7)。その低下量は、上述したステップS5で設定された量であり、具体的には図2に示す量である。したがって仮の挟圧力W3は、(W−ΔW2 )もしくは(W−ΔW2 /2)である。これと同時にトリップカウンターC1がゼロリセットされる(ステップS8)。
【0044】
さらに、ステップS7で求められた仮の挟圧力W3が、滑りが検出されていない当初の挟圧力W0 に所定の制限量ΔW3 を加えた圧力以下か否かが判断される(ステップS9)。このステップS9は、滑りが所定期間に亘って検出されないことによって挟圧力を低下させる際の下限値を規制するためのステップであり、したがって仮の挟圧力W3と比較される値は、滑りカウンターC2の値に応じて設定される図2の制限量を当初の挟圧力W0 に加えた値である。したがってその値は、(W+ΔW3 )もしくは(W+2・ΔW3 )あるいは(W+ΔW1 )である。
【0045】
滑りが検出されないことによりステップS1で否定的に判断された場合には、上記のステップS6に進んで所定トリップが経過したか否かが判断され、所定トリップが経過していることによりこのステップS6で肯定的に判断された場合には、ステップS7で挟圧力が所定量低下させられる。すなわち、滑りが検出されない状態が継続すると、挟圧力が次第に低下させられるので、ステップS9では、次第に低下させられる挟圧力が所定の下限値に到ったか否かを判断することになる。
【0046】
したがってステップS9で肯定的に判断された場合には、演算で求められる仮の挟圧力が下限値以下になることになるので、挟圧力Wがその下限値(一例として、W0 +ΔW3 )に制限される。(ステップS10)。これとは反対に、演算で求められた仮の挟圧力が所定の下限値より大きいことによりステップS9で否定的に判断された場合には、挟圧力Wがその下限値W3に設定される(ステップS11)。
【0047】
上記の制御を実行した場合の挟圧力Wの変化の一例を模式的に示すと、図3のとおりである。すなわち所定の時点t1 に滑りが検出されると、挟圧力Wが当初のマップ値W0 に所定値ΔW1 を加えた値となるように挟圧力マップが変更される。その後、所定トリップの間、滑りが検出されないと、挟圧力が所定量ΔW2 低下させられ、これが所定トリップ毎に繰り返される。そして、当初の挟圧力W0 に制限量ΔW3 を加えた値まで低下すると、これを下限値としてそれ以下には挟圧力が低下させられなくなる。
【0048】
その状態で再度滑りが検出されると、当初の挟圧力W0 に所定値ΔW1 を加えた挟圧力に昇圧される。これは、2回目の滑りの検出であるから、図2に示す例では、低下量がΔW2 /2とされ、時間的な低下率が減少させられる。その状態で滑りが検出されない時間が続くと、挟圧力Wが次第に低下し、その値が、当初の挟圧力W0 に、2回の滑りの検出に伴って設定される制限量(2・ΔW3 )を加えた値に到達すると、これを下限値としてそれ以下に挟圧力が低下させられなくなる。したがって滑りが生じないことにより、挟圧力が低下させられるとしても、直前の滑りの際に設定されていた挟圧力までは低下させられず、それより高い挟圧力に設定されるので、無段変速機1に作用するトルクの状態が、直前の滑り発生の際と同様になったとしても、無段変速機1での滑りを防止もしくは抑制することができる。そのため、再度、挟圧力を高くしたり、その後に低下させたりする制御を繰り返すことが回避される。
【0049】
なお、上述した制御では、挟圧力の上限について述べていないが、無段変速機1の滑りを防止する点での挟圧力の上限はないので、耐久性や動力の伝達効率などの観点から適宜に上限値を設定することが好ましい。
【0050】
つぎに、挟圧力の低下による制御(以下、単に挟圧力低下制御と記す)の実施中にベルト15の滑りが発生したときの油圧アップ量の推移を他の制御例として図4および図5に示す。
【0051】
図4において、先ず、ベルト15の滑りが発生したか否かが判定される(ステップS21)。そのベルト15の滑りは、無段変速機1の入力回転数や出力回転数とを使用して算出される相関係数が閾値以下、変速速度が所定値以上、ベルト周速とシーブ回転速度との偏差が所定値以上であって、検出可能であれば、どのような方法で検出してもよい。ここで、相関係数k(i)は、ベルト式無段変速機1における入力回転速度と出力回転速度とに基づいて求められる係数である。この相関係数k(i)を一般式で示せば、次式のとおりであり、その詳細は、例えば、特願2001−302181号の願書に添付された明細書に記載されている。
【0052】
【式1】
【0053】
つぎに、今回のベルト15の滑り時の油圧アップ量が前回のベルト15の滑り時の油圧アップ量と同一であるか否かが判断される(ステップS22)。
【0054】
すなわち、以前にベルト15の滑りがあり、ステップS25による下限油圧アップ量が変更されていない場合には、今回のベルト15の滑り時の油圧アップ量が前回のベルト15の滑り時の油圧アップ量と同一となる。
【0055】
このステップS22で今回のベルト15の滑り時の油圧アップ量が前回の油圧アップ量と同一であると判断された場合には、ベルト15の滑り回数がインクリメントされる(ステップS23)。
【0056】
ついで、ベルト15の滑り回数が所定値以上か否かが判断される(ステップS24)。このステップS24でベルト15の滑り回数が所定値以上であると判断された場合には、油圧アップ量の下限量が、ベルト15の滑りが発生したときよりも大きく設定される(ステップS25)。このステップS25では、以降、狭圧力がベルト15の滑り時より高く設定されるため、再度のベルト15の滑りが防止される。
【0057】
また、このステップS25では、ベルト15の滑り時の車両の走行状態、例えば入力トルク、変速比γ、入力回転数Nin、油温等の変数(パラメータ)が予め記憶されており、その走行領域のみ油圧アップ量の下限値が設定され、ベルト15の滑りが発生し易い発生領域とが構成され、走行領域にのみ油圧アップ量の下限値が設定され、発生領域のみ油圧アップ量が設定されることにより、車両のその他の走行状態での燃費効果の低下を防止することができる。
【0058】
本来は、入力トルク、変速比γ等により、必要な挟圧力が算出されるため、ある走行領域のみベルト15の滑りが発生し易いということはない。しかし、このステップS25を実行することとすれば、ベルト15とシーブとの間の摩擦係数μが、車両のある走行条件で低下している可能性があり、このような走行条件のもとでの挟圧力制御を適正化することができる。
【0059】
ステップS22で否定的に判断された場合には、ステップS34へ進み、ベルト15の滑りがステップS32の油圧アップ量の減少中に発生したか否かが判断される。油圧アップ量の減少中にベルト15の滑りが発生した場合には、ステップS35へ進み、現在の油圧アップ量が下限油圧アップ量に設定される。
【0060】
つぎに、ステップS25で上記設定された油圧アップ量の下限値が所定値以上か否かが判断される(ステップS26)。このステップS26で油圧アップ量の下限値が所定値以上の場合には、その挟圧力低下制御が禁止される(ステップS27)。
【0061】
このステップS27で上記油圧アップ量の下限値が所定値以上の場合の挟圧力は通常の挟圧力との差が小さく、車両の走行状態での燃費効果が小であり、また、挟圧力の低下によるベルト15の滑りが防止される。
【0062】
ついで、ステップS22での判定に用いるベルト15の滑りの発生時の油圧アップ量が記憶される(ステップS28)。そして、ベルト15の滑り発生時の油圧アップ量に所定の油圧アップ量が加算される(ステップS29)。このステップS29で、以前にベルト15の滑りが発生し、油圧アップ量が減少途中に、再度ベルト滑りが発生した時には、そのときの油圧アップ量に所定量を加算する。
【0063】
他方、ステップS21でベルト15の滑りが発生しなかった場合には、車両の走行時間、車両の走行距離、トリップ数等もしくは、それらの組合せ、例えば、トリップ数が所定値以上で、かつ車両の走行距離が所定値以上などの組合せにより、判定期間が設定される(ステップS30)。また、このステップS30では、油圧アップ量が小さくなるに従って、ベルト15の滑りが発生する可能性が高くなるため、上記判定期間が長く設定される。
【0064】
ついで、ステップS30で設定された期間、ベルト15の滑りが発生したか否かが判断される(ステップS31)。このステップS31で肯定的に判断された場合には、ステップS36に進む。
【0065】
このステップS31でその設定された期間、ベルト15の滑りがない場合には、油圧アップ量が減少される(ステップS32)。つぎに、ステップS25で設定された下限ガード値で油圧アップ量が下限ガードされる(ステップS33)。
【0066】
図5は、図4に示すフローチャートに続いて、車両の所定の走行条件下で通常の挟圧力より低下した挟圧力が設定可能な制御を示すフローチャートである。
【0067】
先ず、挟圧力の低下条件が成立するか否か判断される(ステップS36)。このステップS36で肯定的に判断された場合には、挟圧力の低下が禁止されるか否かが判断される(ステップS37)。このステップS36で否定的に判断された場合には、ステップS37からステップS38までが無視され、ステップS39に進んで通常の挟圧力および油圧アップ量が予め指令された挟圧力の設定に変更され、この制御ルーチンを終了する。
【0068】
このステップS37で挟圧力低下制御が禁止されない場合には、低下した挟圧力および油圧アップ量が通常の挟圧力で上限ガードされ、ステップS38で所定の指令圧力が設定され、この制御ルーチンを終了する。
【0069】
つぎに、挟圧力低下制御の実施中にベルト15の滑りが発生したときの油圧アップ量の推移について、以下、図6を用いて説明する。
【0070】
図6は、初回にベルト15の滑りが発生し、所定期間ごとに油圧アップ量が減少していく状態を示している。図6に示すように、油圧アップ量は、時刻t1の時点でベルト15の滑りが発生し、所定期間(図6では時刻t2〜t5で示される。)ごとに減少し、最終的には時刻t6の時点で油圧アップ量が0となり、ベルト15が滑るときの挟圧力と同等になる。
【0071】
図7は、図6に示す油圧アップ量が0になった後再度ベルト15の滑りが発生したときに油圧アップ量が所定の油圧アップ量の下限値まで減少していく状態を示している。図7に示すように、油圧アップ量は、時刻t7の時点でベルト15の滑りが発生し、その後ベルト15の滑りが発生しないため、時刻t8からt10までの間で示す所定期間ごとに減少するが、ベルト15の滑りの発生があったときより高い挟圧力とするように油圧アップ量の下限値が設定される。
【0072】
図8は、ベルト15の滑りが発生し、所定の時間ごとに油圧アップ量が減少している途中で再度ベルト15の滑りが発生し、所定期間ごとに油圧アップ量が減少していく状態を示している。図8に示すように、時刻t12および時刻t15の時点でベルト15の滑りが発生し、時刻t13および時刻t14の時点で油圧アップ量が減少するが、時刻t15の時点でベルト15の滑りが発生した分油圧アップ量が加算される。
【0073】
図8に示すように、油圧アップ量は、時刻t15から時刻t17までの間に示す細線aのようになるが、通常の挟圧力で上限ガードされて時刻t15から時刻t17までの間に示す太線bのように設定され、最終的には、時刻t20の時点での油圧アップ量は、時刻t15の時点でベルト15の滑りが発生したときと同じ量に設定される。
【0074】
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS9およびステップS10の機能的手段が、この発明の挟圧力低下制限手段に相当し、また図1に示すステップS5の機能的手段が、この発明の制御量設定手段に相当する。また、図4に示すステップS29の機能的手段が、この発明の順次挟圧力下限値設定手段に相当する。さらに、図4に示すステップS32の機能的手段が、この発明の時間変更手段に相当する。そして、図5に示すステップS36の機能的手段が、この発明の挟圧力上限値設定手段に相当する。そして、図4に示すステップS26,S27の機能的手段が、この発明の増加量低減制御禁止手段に相当する。また、図4に示すステップS24の機能的手段が、この発明の挟圧力下限値設定手段に相当する。さらに、図4に示すステップS22,S24,S25の機能的手段が、この発明の滑り検知下限値設定手段に相当する。
【0075】
なお、上記の具体例では、図4に示す駆動系統に組み込んだ無段変速機1の挟圧力を制御する例について説明したが、この発明で対象とする無段変速機は、ベルト式以外にトラクション式のものであってもよく、また図4に示す駆動系統以外の駆動系統に用いられる無段変速機を対象とする制御装置に適用することができる。さらに上記の具体例では、挟圧力を低下させる場合、ステップ的に低下させるように構成したが、この発明では、連続的に挟圧力を低下させるように構成してもよい。要は、挟圧力の時間的な低下率を、滑りの検出回数に応じて変更するように構成されていればよい。さらに、車両に搭載した無段変速機を対象とする場合、車両は時間の経過に伴って走行距離が増大するので、挟圧力の低下率は、時間毎の低下率に替えて走行距離毎の低下率としてもよい。そして、上記の具体例では、所定期間をトリップ数で決めた期間としたが、これは、要は、時間もしくは時間に関連する値(例えば走行距離)などであってもよく、その所定期間は、ゼロあるいはゼロより大きい値であればよい。また、上記の具体例では運転領域には、挟圧力の下限値が設定されているが、その挟圧力の下限値以外に車速、油圧、スロットル開度、アクセル開度が設定されていてもよい。さらに、油圧アップ量は、ベルト15の滑りが発生したときの挟圧力により、通常の挟圧力と低下した挟圧力とに分けてもよいし、油圧アップレベルとして設定して、油圧アップレベルと所定の油圧とを乗じたものとして設定してもよいし、油圧アップレベルに応じて油圧アップ量を設定してもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、無段変速機における滑りが検出されると、挟圧力が増大させられ、その後に、経過時間もしくは走行距離などによって定められている所定の期間に亘って滑りが検出されない場合には、挟圧力が低下させられるので、滑りが検出されない期間が継続することに伴って、挟圧力の低下度合いが大きくなるが、前回滑りが検出された時点における挟圧力以下に低下させられることはない。そのため、前記滑りが検出された際のトルクの作用状態と同等の状態が生じても、無段変速機の滑りを防止することができ、また挟圧力を繰り返し増大させ、かつ低下させる制御を回避することができる。
【0077】
また、請求項2の発明によれば、検出された滑りの回数が多い場合には、挟圧力の下限値が大きく設定され、あるいは所定の期間の長さが長く設定され、もしくは挟圧力を徐々に低下させる場合には経過時間毎もしくは走行距離毎の挟圧力の低下率が抑制されるので、滑りが相対的に生じやすい状態では、挟圧力が相対的に高い状態に維持する時間が長くなり、その結果、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができる。
【0078】
さらに、請求項3の発明によれば、所定期間において、初回に滑りがあるときには挟圧力の下限値が設定されず、再度滑りがあるときには挟圧力の下限値が設定される滑り回数が所定値以上であると判断された場合には、油圧アップ量の下限量が、滑りが発生したときよりも大きく設定されるので、滑りを散発的に発生させる場合に挟圧力のレベルが高くなるのを防止することができ、車両の走行状態での燃費が向上し、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができる。
【0079】
そして、請求項4の発明によれば、滑りに伴って増大させた挟圧力の増加量を滑りが検出されないことによって次第に低下させ、この挟圧力の増加量に基づいて所定の保持期間が変更されるので、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができ、挟圧力の増加量を低減させるための判断をより適切に行わせることができる。
【0080】
また、請求項5の発明によれば、増加量が低減されるときに、挟圧力の上限値が設定されるので、伝達効率が低下しないため車両の走行状態での燃費の悪化を防止することができ、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができる。
【0081】
さらに、請求項6の発明によれば、挟圧力の下限値が所定値以上のときに、増加量が低減されるので、通常の挟圧力との差が小さくなり、車両の走行状態での燃費効果の低下を防止し、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができる。
【0082】
そして、請求項7の発明によれば、滑りが検出された場合に増大させた挟圧力を低下させる際の無段変速機の制御装置が搭載された車両に予め設定されている複数の運転領域毎に挟圧力の下限値が設定されるので、車両のその他の走行状態での燃費効果の低下を防止し、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができる。
【0083】
また、請求項8の発明によれば、滑りが検知された運転領域でのみ挟圧力の下限値が設定されるので、挟圧力のレベルが下げられることにより、車両の走行状態での燃費が向上し、滑りが繰り返し生じることを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図2】 滑りの検出回数に基づいて設定される制御データの一例を示す図表である。
【図3】 図1に示す制御を実行した場合の挟圧力の変化を模式的に示すタイムチャートである。
【図4】 この発明の制御装置による制御の他の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図5】 図4のフローチャートに続くフローチャートである。
【図6】 図4および図5のフローチャートに対応するタイムチャートである。
【図7】 図4および図5のフローチャートに対応するタイムチャートである。
【図8】 図4および図5のフローチャートに対応するタイムチャートである。
【図9】 この発明で対象とする無段変速機を含む駆動機構を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 3…エンジン(動力源)、 11…駆動プーリ、 12…従動プーリ、 13,14…アクチュエータ、 15…ベルト、 24…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)。
Claims (8)
- 入力部材と出力部材との間でのトルクの伝達を媒介する伝動部材と前記入力部材および出力部材とを接触させるように作用する挟圧力を、前記入力部材もしくは出力部材と前記伝動部材との相対的な滑りが検出された場合に所定の増加量増大させ、かつ所定の期間に亘って前記滑りが検出されない場合に、前記増大させた挟圧力を低下させる無段変速機の制御装置において、
前記低下させる挟圧力の下限値を、前記滑りが検出された時点の挟圧力より高い圧力に設定する挟圧力低下制限手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 検出された前記滑りの回数に応じて、前記下限値、および前記所定の期間の長さ、ならびに前記滑りが検出された後の経過時間毎もしくは走行距離毎の前記挟圧力の低下率の少なくともいずれか一つを変更する制御量設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
- 前記所定期間において、初回に前記滑りがあるときには前記挟圧力の下限値を設定せず、再度前記滑りがあるときには前記挟圧力の下限値を設定する順次挟圧力下限値設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機の制御装置。
- 前記滑りに伴って増大させた前記挟圧力の増加量を滑りが検出されないことによって次第に低下させ、前記挟圧力の増加量に基づいて所定の保持期間を変更する期間変更手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
- 前記増加量が低減されるときに、前記挟圧力の上限値を設定する挟圧力上限値設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
- 前記挟圧力の下限値が所定値以上のときに、前記増加量を低減する制御を禁止する増加量低減制御禁止手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
- 前記滑りが検出された場合に増大させた前記挟圧力を低下させる際の前記無段変速機の制御装置が搭載された車両に予め設定されている複数の運転領域毎に前記挟圧力の下限値を設定する挟圧力下限値設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無段変速機の制御装置。
- 前記滑りが検知された前記運転領域でのみ前記挟圧力の下限値を設定する滑り検知下限値設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項7に記載の無段変速機の制御装置。
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