JP6478865B2 - 車両用変速装置の逆負荷防止機構 - Google Patents

車両用変速装置の逆負荷防止機構 Download PDF

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Description

本発明は、複数の変速段生成のため油圧作動のクラッチを備える車両用変速装置における逆負荷防止機構であって、とくにいわゆるエンジンブレーキによる急減速時に生じる逆負荷トルクに対して動力伝達経路の要素部品を保護する逆負荷防止機構に関する。
車両用の変速装置として、エンジンからホイールに至るパワートレーンに複数の摩擦多板式クラッチを備えて、クラッチの締結・解放の組み合わせにより複数の変速段を得る自動変速装置がある。
このような自動変速装置を搭載した車両において、急勾配の坂道を下り走行しているときに、何らかの危険回避のため、ブレーキペダルを踏む代わりにエンジンブレーキをかけて車両を急減速させた場合には、ホイール側からの急激な逆駆動力による過負荷トルク(逆負荷トルク)が動力伝達経路に入力することが予想される。
ホイール側へ駆動力を伝達中の車両推進状態で瞬間的に逆向きのトルク(逆負荷トルク)がかかると、動力伝達経路のクラッチを含む各要素部品はその設計値を超える負荷を受ける場合があるので、破損からの保護が必要となる。
単純な過大トルクへの対策としては、例えば実開平04−4531号公報に、前後進切り替え用のコーン式クラッチを有する舶用逆転機にトルクリミッタを備える技術が示されている。
ここでは、トルクリミッタの制限トルクを超えるトルクを遮断してコーン式クラッチの衝撃発生とコーン損傷が防止されるが、スプリングによる制限トルクを船舶推進に必要な最大トルクに設定している場合にはまだ円錐のクラッチ面同士が喰込み状に係合する瞬間の騒音発生が防止できないので、スプリングにより設定する制限トルクを低い値にするとともに、クラッチ係合後に油圧を加えて制限トルクの値を増大させるようにしている。
実開平04−4531号公報
しかしながら、実開平04−4531号公報の舶用逆転機においては、クラッチがコーン式であることからそれ自体で締結度合いの制御により過大なトルクを吸収あるいは遮断することが困難である。
このためクラッチへの過大なトルクを遮断するため当該クラッチとは別にトルクリミッタを設けており、しかもトルクリミッタは摩擦多板式でクラッチと同等レベルの大きなスペースを必要とする。
しかも、上記公報にはエンジンブレーキ相当状態での逆負荷トルクへの対応については示されておらず、車両用変速装置へそのまま適用することができない。
したがって本発明は、上述の問題に鑑み、エンジンブレーキにより車両を急減速させた場合に、ホイール側からの急激な逆駆動力による逆負荷トルクが動力伝達経路にかからないようにし、これをコンパクトな構成で実現する車両用変速装置の逆負荷防止機構を提供することを目的とする。
このため本発明は、ピストンにより摩擦プレートが押圧されて締結するクラッチを備える車両用変速装置において、
軸方向一端側の外周に上記摩擦プレートと噛み合うスプラインを備え、他端側の周方向に複数のカム歯を有する第1円筒部材と、
動力伝達経路の回転部材と一体で、第1円筒部材の内側に重なるとともに、外周に第1円筒部材のカム歯と係合するカム歯を有する第2円筒部材とを有し、
ピストンは、該ピストンを収容するシリンダとの間に油圧室を形成し、該油圧室を外部に連通する連通孔と、油圧室の加圧時に連通孔を閉じる逆止弁とを備え、
第1円筒部材のカム歯と第2円筒部材のカム歯は、互いの当接面として回転軸と平行な平行面と回転軸に対し角度をもった傾斜面とを備え、エンジン側からの駆動力による推進トルク入力時に平行面で当接する一方、ホイール側からの逆駆動力による逆負荷トルク入力時には傾斜面で当接して第1円筒部材が第2円筒部材に対して相対変位可能とし、
この相対変位を逆止弁に伝達して連通孔を開かせる連結手段を有する逆負荷防止機構とした。
本発明によれば、エンジンブレーキによる車両の急減速時に第1円筒部材が相対変位して連結手段を介して逆止弁を開き、連通孔から油圧を逃がしてピストンの油圧を制御し、クラッチの締結度合いを緩和させるから逆負荷トルクが遮断され、動力伝達経路の部材が破損から保護される。
実施の形態にかかるCVTのパワートレーンを示す図である。 CVTにおける副変速機構の具体的構成を示す図である。 ローブレーキの作動を示す拡大図である。 ピストンの弁室まわりの拡大図である。 外筒ハブ部を構成するアウタハブとインナハブを示す外観斜視図である。 アウタハブとインナハブのカム歯を展開して示す図である。 アウタハブとインナハブのカム作動を示す図である。 逆負荷トルク入力時のローブレーキの作動を示す拡大図である。
以下、本発明を、車両用変速装置として、2つのプーリ間に巻き掛けたVベルトにより一方のプーリの回転駆動力を他方のプーリに伝達するベルト式の主変速機構と、プラネタリギアなどからなる副変速機構とを有する無段変速装置(Continuously Variable Transmission:CVT)に適用した実施の形態について説明する。
図1は実施の形態にかかるCVTを含むパワートレーンを示す図である。
CVT2はトルクコンバータ3を含み、エンジン1の出力がCVT2のトルクコンバータ3および変速機構4を経て、駆動シャフト5を介してホイール6に伝達される。
変速機構4においては、トルクコンバータ3に連結する入力軸10が第1ギア11を備え、プライマリプーリ13の軸(プライマリ軸12)が第2ギア14を備えて、第1ギア11と第2ギア14の噛み合いによりトルクコンバータ3の出力がプライマリプーリ13、Vベルト15およびセカンダリプーリ17からなる主変速機構7に入り、主変速機構7の出力が副変速機構8を経てファイナルドライブ9に入る。
ファイナルドライブ9はカウンタギア19とデファレンシャル21に取り付けられてカウンタギア19に噛み合うファイナルギア20とからなり、ファイナルギア20の回転が、デファレンシャル21を経て駆動シャフト5に伝達される。
カウンタギア19の軸(カウンタ軸18)にはパーキングギア22が取り付けられている。
副変速機構8は、第1サンギア26と第2サンギア27からなる複合サンギア25を含み、第1、第2ピニオンギア28、29、キャリア30およびリングギア32からなるラビニオ式のプラネタリギア24を備えている。そして、このプラネタリギア24に関連させたクラッチとして、ローブレーキL/B、ハイクラッチH/CおよびリバースブレーキR/Bを備える。
副変速機構8は、第1サンギア26に主変速機構7のセカンダリ軸16を結合することで、当該第1サンギア26を入力側とし、ピニオンギア28、29を支持するキャリア30を出力側としてカウンタ軸18に結合している。そして、第2サンギア27はローブレーキL/Bを介して固定可能とされ、キャリア30はハイクラッチH/Cを介してリングギア32に結合可能とされている。さらに、リングギア32は、リバースブレーキR/Bを介して固定可能とされている。
ローブレーキL/B、ハイクラッチH/CおよびリバースブレーキR/Bはそれぞれに供給される油圧に応じて締結または解放され、これにより動力伝達経路が切り替えられて複数の変速段が成立する。
すなわち、ここではローブレーキL/Bのみを締結したとき前進1速となり、ハイクラッチH/Cのみを締結したときは前進2速となり、リバースブレーキR/Bのみを締結したとき後進段が得られる。
急勾配の坂道を前進2速で下り走行している状態からエンジンブレーキをかける場合、副変速機構8のハイクラッチH/Cを解放するとともに、ローブレーキL/Bを締結して前進1速に切り替えることになる。
図2はCVT2における副変速機構8の具体的構成を示す図である。
複合サンギア25は第1サンギア26の外周に第2サンギア27を相対回転可能に配置して構成されている。
第1サンギア26は歯26aを備えた軸状で、一端がトランスミッションケース40の第1隔壁40aにベアリング50を介して支持されたセカンダリプーリのセカンダリ軸16にスプライン結合し、他端がトランスミッションケース40の第2隔壁40bにベアリング51を介して支持されたカウンタ軸18の端部に相対回転可能に支持されている。
第2サンギア27は内筒34a、外筒ハブ部34c、および内筒34aと外筒ハブ部34cをつなぐディスク部34bからなり、ドラム状を呈している。内筒34aが当該内筒を貫通する第1サンギア26の軸上に支持され、外周面に歯27aを有して、当該歯27aが第1サンギア26の歯26aと軸方向に隣接している。
第2サンギア27の外筒ハブ部34cはローブレーキL/Bの摩擦プレート43と噛み合うスプライン35を有している。
なお、摩擦プレート43は締結するべき2つの部材の一方(外筒ハブ部34c)とスプライン35で係止するプレートと他方の部材(第1隔壁40a)とスプラインで係止するプレートを交互に重ねて構成され、「摩擦プレートと噛み合う」とは2つの部材の一方と係止する意である。他のクラッチの摩擦プレートについても同様である。
ローブレーキL/Bは第1隔壁40aに形成されたシリンダ部41に摩擦プレート43を押圧するための第1ピストン60を収容している。ローブレーキL/Bまわりの詳細については後述する。
第2サンギア27のディスク部34bと第1隔壁40aとの間には、シリンダ部41より内径側にスラストベアリング52が設けられ、第2サンギア27の軸方向変位を規制している。
キャリア30はピニオン軸31を有して、大径歯28aと小径歯28bを備える第1ピニオンギア28を支持しており、大径歯28aが第2サンギア27の歯27aと噛み合い、小径歯28bがリングギア32と噛み合っている。図示省略しているが、キャリア30はさらに第1ピニオンギア28の小径歯28bと第1サンギア26の歯26aとに噛み合う第2ピニオンギア29(図1参照)を支持している。
キャリア30はその内周部においてカウンタ軸18の端部外周とスプライン結合している。
トランスミッションケース40の第2隔壁40bのキャリア30側には、内周部がカウンタ軸18に支持されて外筒36aがリングギア32方向に延びるドラム36が配置され、第2ピストン47を収容するシリンダ37を形成している。
リングギア32は外筒36aに係止されたスナップリング39a、39bと外筒36aに形成されたスプライン38とにより軸方向および回転方向においてドラム36と一体になっている。
なお、ドラム36は第2隔壁40bとの間に配置されたスラストベアリング53とキャリア30との間に配置されたスラストベアリング54とにより軸方向位置が規定されている。
第2ピストン47はリングギア32と対向し、両者の間にキャリア30と噛み合うプレートと外筒36aのスプライン38と噛み合うプレートとからなる摩擦プレート44が配置され、第2ピストン47が軸方向に移動して摩擦プレート44を押圧することによりリングギア32とキャリア30間を締結するようになっており、これによりハイクラッチH/Cが形成されている。
また、ドラム36の径方向外方には第2隔壁40bに固定されてシリンダ48が設けられ、このシリンダ48に第3ピストン49が収容されている。
第3ピストン49とこれに対向する第1隔壁40aとの間にリバースブレーキR/Bの摩擦プレート45が配置される。摩擦プレート45は外筒36aのスプラインと噛み合うプレートと第1隔壁40aの周壁部に形成されたスプラインと噛み合うプレートとからなり、第3ピストン49が軸方向に移動して摩擦プレート45を押圧することにより、ドラム36とトランスミッションケース40間が締結され、この結果、リングギア32は固定となる。
つぎに、エンジンブレーキ時に締結されるローブレーキL/Bまわりの詳細について説明する。
図3はローブレーキL/Bまわりの拡大図であり、(a)は解放状態、(b)は締結状態を示す。
ローブレーキL/Bは、第1隔壁40aの周壁部に形成されたスプライン部42の一端に嵌め込まれたスナップリング55により軸方向移動を規制された摩擦プレート43を、シリンダ部41の第1ピストン60により押圧するようになっている。
第1隔壁40aの周壁部にはさらに摩擦プレート43よりシリンダ部41側にスナップリング56が嵌め込まれてスプリングリテーナ57が係止し、第1ピストン60とスプリングリテーナ57の間には周方向複数個所にリターンスプリング69が設けられている。
第1ピストン60はその本体部61からスプリングリテーナ57の孔58を貫通して摩擦プレート43に向かって延びる押圧部62を周方向複数個所に有し、これにより摩擦プレート43を押圧する。
シリンダ部41における第1ピストン60背部の油圧室Rに油圧が供給されることにより、押圧部62が進出して摩擦プレート43を押圧して締結状態となり、油圧が抜けるとリターンスプリング69により第1ピストン60が戻って解放状態となる。
第1ピストン60はボール66を収容する弁室63を有する。
図4は弁室63まわりをさらに拡大して示す図である。
弁室63は油圧室R側に開口し底部に円錐面64を有する。円錐面64中央からは所定の小径孔65が軸方向外方に向けて貫通している。ボール66は油圧室Rに油圧が供給されたとき円錐面64に着座して小径孔65を閉じ、逆止弁を構成している。
弁室63の油圧室R側開口にはボール66の抜け止め67を形成してある。
なお、弁室63とリターンスプリング69は周方向異なる位置に設定されるが、先の図2、図3および後掲の図8では便宜的に重ねて示している。
一方、スプリングリテーナ57には第1ピストン60の小径孔65内に延びるプッシュピン59が設けられている。ローブレーキL/Bの解放状態においてプッシュピン59の先端は小径孔65の弁室63側開口から離間している。
そして、油圧室Rに油圧が供給されて第1ピストン60の押圧部62が摩擦プレート43を押圧する締結状態では、とくに図3の(b)に示されるように、本体部61がスプリングリテーナ57に接近し、相対的にプッシュピン59の先端は弁室63の円錐面64に着座するボール66に対して直近の位置となる。
この状態からさらに第1ピストン60の本体部61とスプリングリテーナ57の相対位置が接近すると、プッシュピン59の先端がボール66に当接して押し、ボール66が着座状態から離れて、オイルがボール66と円錐面64間のすきまから小径孔65(図4参照)を経て外部へ流出する。これにより油圧室Rの油圧が低下するので、摩擦プレート43に対する押圧力が変化する。
また、図3の(a)に示すように、第2サンギア27の外筒ハブ部34cは2層構造を有し、ディスク部34bに連なるインナハブ70と、インナハブ70の外周に重なるとともにスライド可能なアウタハブ75とからなっている。
アウタハブ75の軸方向一側(スプリングリテーナ57に対向する側)の端面とスプリングリテーナ57との間にはスラストベアリング68が設けられている。
図5はアウタハブ75とインナハブ70を離間させて一部を示す外観斜視図である。
アウタハブ75は軸方向一側(スプリングリテーナ57寄り)の外周面に摩擦プレート43と噛み合う前述のスプライン35を有するとともに、他側をカム歯77としている。カム歯77は周方向に並び、後掲の図6に示す展開状態においてそれぞれ軸(回転軸CL)と平行な平行辺と軸に対して角度αをなした傾斜辺を有する基本三角形の鋸刃状をなしている。以下では板厚を辺幅とする平行辺の端面を平行面78と言い、同様に傾斜辺の端面を傾斜面79と言う。
インナハブ70は軸方向一側の外周にアウタハブ75が重なり、軸方向他側にアウタハブ75のカム歯77に対応するカム歯71が周方向に並んでいる。カム歯71はアウタハブ75が重なる外周面よりも径方向外方に突出して形成され、それぞれアウタハブ75のカム歯77の平行面78と対応する平行面72および傾斜面79と対応する傾斜面73を有している。
図6はカム歯の展開図で、(a)はアウタハブ75のカム歯77、(b)はインナハブ70のカム歯71を示し、(c)は(a)におけるA−A部断面図、(d)は(b)におけるB−B部断面図である。
カム歯71、77の平行面72、78は平坦路を前進通常走行時などエンジン1からの駆動力が入力してホイール6側へ伝達される車両推進状態で互いに圧接関係となる側に設定され、傾斜面73、79はホイール6からの逆駆動力が入力するときに互いに圧接関係となる側に設定されている。
図6の(c)に示すように、アウタハブ75の軸方向一側の端面76はフランジ状として、スプリングリテーナ57との間に配置されたスラストベアリング68との当接面積を大きくしている。
図7の(a)に示すように、通常時、インナハブ70とアウタハブ75とは互いのカム歯71、77が平行面72、78同志および傾斜面73、79同志を概念的に当接させた最接近位置で噛み合った状態で重なっている。この状態をアウタハブ75のインナハブ70に対する相対位置関係における初期位置とする。
エンジン1からの駆動力が矢示のように入力する通常時は、カム歯71、77の平行面72、78間でトルクの授受が行われるので、アウタハブ75とインナハブ70間に軸方向の力は作用せず、両者は初期位置を保持する。
一方、図7の(b)に示すように、ホイール6からの逆駆動力が入力したときには、カム歯71、77の傾斜面73、79間でトルクの授受が行われることになり、その角度成分によってアウタハブ75とインナハブ70は傾斜面73、79に沿った滑り方向に付勢される。
インナハブ70はディスク部34bに連なって軸方向位置が規制されているので、所定の逆負荷トルク下ではアウタハブ75が初期位置から破線矢示のようにスプリングリテーナ57側へ変位する。これにより、アウタハブ75はそのスプライン35が摩擦プレート43と噛み合ったまま軸方向にスライドする。
なお、カム歯71、77の傾斜面73、79の角度αは、遮断すべき逆負荷トルクの大きさに応じて設定される。
以上により、急勾配の坂道を下り走行しているときに減速のためエンジンブレーキを掛ける場合、圧力室Rに油圧を供給して第1ピストン60を作動させ、摩擦プレート43を押圧してローブレーキL/Bを締結して、第2サンギア27をトランスミッションケース40に固定することにより、変速段を前進1速へ切り替える。しかし、第2サンギア27はカム歯71、77を備えるインナハブ70とアウタハブ75との2層構造を有しているので、急減速に伴いホイール6側からの逆駆動力による所定以上のトルクが入力すると、アウタハブ75が初期位置からスプリングリテーナ57側へ変位して、その端面76がスラストベアリング68を介してスプリングリテーナ57を押すことになる。
ここで、摩擦プレート43押圧状態の第1ピストン60ではボール66が小径孔65を閉じているが、図3の(b)に示されたように、ボール66とスプリングリテーナ57のプッシュピン59とは直近の状態になっているので、図8に示すように、アウタハブ75がスプリングリテーナ57を押すことにより直ちにボール66が突かれて小径孔65(図4参照)が開き、オイルの流出を許して摩擦プレート43への押圧力を低下させる。
これにより、ローブレーキL/Bの締結度合いが緩み、摩擦プレート43および第2サンギア27からホイール6方向並びにエンジン1方向に順次噛み合い連結する動力伝達経路の回転部材に逆負荷トルクがかかるのが遮断される。
ローブレーキL/Bの締結度合いが緩み第2サンギア27にかかるトルクが減じると、アウタハブ75を変位させている傾斜面73、79に沿ったトルクの角度成分も小さくなるので、油圧室Rの油圧によりボール66がプッシュピン59(スプリングリテーナ57)を押し戻して小径孔65を閉じる。
さらにリターンスプリング69による付勢も加わって、アウタハブ75はその初期位置方向へ戻されるとともに、第1ピストン60も摩擦プレート43の押圧を強め、締結を強める。
エンジンブレーキ開始後、第2サンギア27への逆駆動力によるトルクが所定以下になるまで以上の過程が繰り返される。
第1ピストン60からのオイル流出特性は上記過程の繰り返しの間所定レベルの締結状態(摩擦プレート43押圧力)により前進1速の変速段が保持されることを条件とし、この条件が満たされるように第1ピストン60のボール66、小径孔65やプッシュピン59のサイズ等が決定される。
以上により、エンジンブレーキによる車両の急減速時にホイール6側からの逆駆動力により逆負荷トルクが入力した場合には、第2サンギア27におけるインナハブ70とアウタハブ75のカム歯71.77の傾斜面73、79に沿った相対変位によって第1ピストン60の油圧を制御し、ローブレーキL/Bの締結度合いを緩和させることにより逆負荷トルクが遮断される。
そして、減速完了後エンジン1側からの駆動力による車両推進状態に移ると、先の図3の(b)に示される状態に戻り、インナハブ70とアウタハブ75はカム歯71、77の平行面72、78でトルクを授受するので相対変位がなく、ローブレーキL/Bの締結状態に影響を与えず確実で安定した走行が得られる。
本実施の形態では、CVT2が車両用変速装置であり、その副変速機構8におけるローブレーキL/Bが発明におけるクラッチに該当し、シリンダ部41がシリンダに、第1ピストン60がピストンに、摩擦プレート43が摩擦プレートに、そして前進1速が低速段に該当する。
アウタハブ75が第1円筒部材に該当し、インナハブ70が第2円筒部材に該当する。
また、第2サンギア27が動力伝達経路の回転部材に該当し、小径孔65が連通孔に、プッシュピン59が連結手段に該当する。そして、弁室63の円錐面64に着座して小径孔65を閉じるボール66が逆止弁を構成している。
実施の形態は以上のように構成され、前進1速で第1ピストン60により摩擦プレート43が押圧されて締結するローブレーキL/Bと、摩擦プレート43と噛み合うスプライン35を備えるとともに周方向に複数のカム歯77を有するアウタハブ75と、第2サンギア27と一体でアウタハブ75の内側に重なるとともに外周にアウタハブ75のカム歯77と係合するカム歯71を有するインナハブ70とを有し、ピストン60は、シリンダ部41との間の油圧室Rを外部に連通する小径孔65と油圧室Rの加圧時に小径孔65を閉じるボール66とを備え、アウタハブ75のカム歯77とインナハブ70のカム歯71は、互いの当接面として回転軸と平行な平行面78、72と回転軸に対し角度αをもった傾斜面79、73とを備え、エンジン1側からの駆動力による推進トルク入力時に平行面78、72で当接する一方、ホイール6側からの逆駆動力による逆負荷トルク入力時には傾斜面79、73で当接して軸方向に相対変位可能とし、この相対変位をボール66に伝達して小径孔65を開かせるプッシュピン59を有するものとしたので、エンジンブレーキによる車両の急減速時にはアウタハブ75が変位してプッシュピン59を介してボール66を押すことにより、小径孔65を開いて第1ピストン60の油圧を制御し、ローブレーキL/Bの締結度合いを緩和させるから逆負荷トルクが遮断され、動力伝達経路の部材が破損から保護される。
(請求項1に対応する効果)
傾斜面の角度αの設定により遮断される逆負荷トルクの大きさを選択でき、動力伝達経路の特性に応じて適切な保護が可能となる。
(請求項2に対応する効果)
なお、実施の形態におけるプッシュピン59は、スプリングリテーナ57と一体で第1ピストン60の小径孔65内に延びているものとしたが、スプリングリテーナ57に孔を形成して該孔を貫通してアウタハブ75に直接当接する位置から小径孔65内まで延びるように配置してもよい。
また実施の形態では前進1速をエンジンブレーキを得る変速段としたが、多段の変速段の設定によって前進2速以下をエンジンブレーキとして選択可能な車両においては、前進2速を含む低速段で締結されるクラッチに実施の形態と同様のアウタハブとインナハブの2層構造を含む逆負荷トルク遮断構造を付設することができる。
1 エンジン
2 CVT
3 トルクコンバータ
4 変速機構
5 駆動シャフト
6 ホイール
7 主変速機構
8 副変速機構
9 ファイナルドライブ
10 入力軸
11 第1ギア
12 プライマリ軸
13 プライマリプーリ
14 第2ギア
15 Vベルト
16 セカンダリ軸
17 セカンダリプーリ
18 カウンタ軸
19 カウンタギア
20 ファイナルギア
21 デファレンシャル
22 パーキングギア
24 プラネタリギア
25 複合サンギア
26 第1サンギア
26a 歯
27 第2サンギア
27a 歯
28 第1ピニオンギア
28a 大径歯
28b 小径歯
29 第2ピニオンギア
30 キャリア
31 ピニオン軸
32 リングギア
34a 内筒
34b ディスク部
34c 外筒ハブ部
35 スプライン
36 ドラム
36a 外筒
37 シリンダ
38 スプライン
39a、39b スナップリング
40 トランスミッションケース
40a 第1隔壁
40b 第2隔壁
41 シリンダ部
42 スプライン部
43、44、45 摩擦プレート
47 第2ピストン
48 シリンダ
49 第3ピストン
50、51 ベアリング
52、53、54 スラストベアリング
55、56 スナップリング
57 スプリングリテーナ
58 孔
59 プッシュピン
60 第1ピストン
61 本体部
62 押圧部
63 弁室
64 円錐面
65 小径孔
66 ボール
67 抜け止め
68 スラストベアリング
69 リターンスプリング
70 インナハブ
71、77 カム歯
72、78 平行面
73、79 傾斜面
75 アウタハブ
76 端面
H/C ハイクラッチ
L/B ローブレーキ
R 油圧室
R/B リバースブレーキ

Claims (2)

  1. ピストンにより摩擦プレートが押圧されて締結するクラッチを備える車両用変速装置において、
    軸方向一端側の外周に前記摩擦プレートと噛み合うスプラインを備え、他端側の周方向に複数のカム歯を有する第1円筒部材と、
    動力伝達経路の回転部材と一体で、前記第1円筒部材の内側に重なるとともに、外周に前記第1円筒部材のカム歯と係合するカム歯を有する第2円筒部材とを有し、
    前記ピストンは、該ピストンを収容するシリンダとの間に油圧室を形成し、該油圧室を外部に連通する連通孔と、前記油圧室の加圧時に前記連通孔を閉じる逆止弁とを備え、
    前記第1円筒部材のカム歯と前記第2円筒部材のカム歯は、互いの当接面として回転軸と平行な平行面と回転軸に対し角度をもった傾斜面とを備え、エンジン側からの駆動力による推進トルク入力時に前記平行面で当接する一方、ホイール側からの逆駆動力による逆負荷トルク入力時には前記傾斜面で当接して前記第1円筒部材が前記第2円筒部材に対して相対変位可能とし、
    前記相対変位を前記逆止弁に伝達して前記連通孔を開かせる連結手段を有する
    ことを特徴とする車両用変速装置の逆負荷防止機構。
  2. 前記両カム歯の前記傾斜面の角度は、遮断すべき所定の逆負荷トルクに応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速装置の逆負荷防止機構。
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