JPH0530236Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［技術分野］ 本考案は、イオン化式煙感知器に関するもので
ある。

［背景技術］ 従来よりイオン化式という形式の煙感知器が提
供されており、米国再発行特許第30323号等に開
示されている。この煙感知器は基本的に次の構成
を有している。すなわち、外部電極の内側にチヤ
ンバを有し、このチヤンバ内に放射線源を有した
内部電極と、放射線源からの放射線が透過できる
少なくとも１個の透孔を有した中間電極とを備え
ているものである。しかるに、チヤンバ内では放
射線により空気がイオン化されており、煙粒子が
外部電極内に導入されると、空気に含まれている
イオンが煙粒子に吸収され、また空気のイオン化
を妨害することになる。これにより、煙が存在し
ない場合に比較してイオン電流が減少することに
なる。内部電極と外部電極との間に電圧を印加し
ておくと、中間電極の電位はイオン電流の変化に
伴なつて大きく変化することになるから、これを
検出すれば煙が検出できるのである。

ところで、従来提供されているこの種の煙感知
器は、第７図に示すように、電極基台２５に突設
された保持壁２５ｉに囲まれた部分に内部電極２
２が配設され、また保持壁２５ｉの先端面に中間
電極２４が保持された形状となつている。このよ
うな形状では保持壁２５ｉの外側の部位Ｄが煙の
検出にはほとんど寄与していないから、この部分
の空間が無駄となり、結局は小型化に対する障害
となつている。

［考案の目的］ 本考案は上述の点に鑑みて為されたものであつ
て、その目的とするところは、上述したような無
駄な空間を削除して小型化ができるようにしたイ
オン化式煙感知器を提供することにある。

［考案の開示］ （構成） 本考案に係るイオン化式煙感知器は、放射線源
を有する内部電極と、内部電極の外側を囲む形に
配設され煙を内部に導入する導入孔を有した外部
電極と、内部電極と外部電極との間に配設され放
射線源からの放射線が透過できる少なくとも１つ
の透孔を有した中間電極とを有していて、外部電
極内でイオン化された気体に煙が接触したときの
イオン電流の変化を検出して煙を検出するように
したイオン化式煙感知器において、内部電極と外
部電極と中間電極とは電極基台の一面側に配設さ
れ、内部電極および中間電極は板状に形成されて
いて、中間電極は電極基台に当接する形で配設さ
れ、電極基台には中間電極が当接している面から
凹没する形で形成されその周壁が反対側面に突出
する収納凹所と、中間電極が当接している面から
中間電極の外周を全周に亙つて囲む円筒状に立設
された隔壁とが形成され、収納凹所の底部に内部
電極が納装され、電極基台における隔壁よりも外
周側で外部電極が電極基台に固定されて成るもの
であり、電極基台をこのような形状とすることに
より、内部電極を収納した部分の周囲の空間を有
効利用できるようにしまた、電極基台において中
間電極と外部電極との取付部位の間に隔壁を形成
しているので、中間電極と外部電極との間の沿面
距離を大きくとることができ、その結果、高湿度
の使用環境であつても外部電極と中間電極との間
の絶縁を確保することができ、外部電極と中間電
極との間の短絡による失報や誤報を防止すること
ができるのである。

（実施例 １） まず本実施例の全体構成を説明する。第２図に
示すように、ケース１０は、上面が閉塞された有
底円筒状のボデイ１１と、このボデイ１１の下面
に被嵌される保護カバー１２とで筒状に形成され
る。さらに、保護カバー１２は、ボデイ１１に接
着または熱着により結合される円筒状の防風カバ
ー１３と、防風カバー１３の側周面を覆う防虫網
１４と、防風カバー１３の下端面を閉塞するキヤ
ツプ１５とで構成される。ボデイ１１、防風カバ
ー１３、キヤツプ１５はともに合成樹脂成形品に
より形成されている。ボデイ１１には上端部の周
部に一対の取付片１１ｂが延設されている。防風
カバー１３は、周面に略全周に亘つて導入孔１３
ａが形成されており、防虫網１４はこの導入孔１
３ａを全面に亘つて覆うように配設されている。
ここに、防虫網１４は板金をパンチングもしくは
エツチングすることにより、小さな虫が導入孔１
３ａを通してケース１０内に入ることがない程度
の網目状に形成されている。また、防風カバー１
３の適所には上下に貫通する透孔１３ｂが形成さ
れており、この透孔１３ｂの一端はケース１０の
外面に臨んで開放されている。

ケース１０内には、イオン化式の煙センサが内
蔵されている。この煙センサは、放射線源２１を
保持した内部電極２２と、内部電極２２を覆う形
に配設された外部電極２３と、放射線源２１から
放射された放射線を透過させるような透孔２４ａ
が少なくとも１つは形成されている中間電極２４
とを具備しており、内部電極２２、外部電極２
３、中間電極２４は、合成樹脂等の絶縁材料より
なる電極基台２５に装着されている。内部電極２
２は、板金により形成された基板部２２ａと、板
金により形成され基板部２２ａに被嵌された形で
結合されるカバー部２２ｂとからなり、基板部２
２ａとカバー部２２ｂとの間に放射線源２１を挟
持するようになつている。基板部２２ａには端子
片２２ｃが設けられている。カバー部２２ｂには
放射線源２１からの放射線を透過させるための透
過窓孔２２ｄが形成されている。一方、外部電極
２３は、下面が閉塞された有底筒状に板金により
形成されるとともに上端縁にフランジ２３ａが形
成された形状となつており、側周面には略全周に
亘つて導入孔２３ｂが形成されている。フランジ
２３ａの外周の適所には上方に向かつて複数のク
リツプ片２３ｃが突設され、また、フランジ２３
ａの別の部位には端子片２３ｄが切り起こされて
いる。さらに、フランジ２３ａの一所には切欠２
３ｅが形成されており、この切欠２３ｅは防風カ
バー１３の透孔１３ｂに対応するように形成され
ている。中間電極２４は板金により円盤状に形成
され、内部電極２２に対応して放射線を透過させ
る透孔２４ａが中央部に形成されており、また、
端子片２４ｂが切り起こしにより形成されてい
る。

ところで、電極基台２５は円盤状に形成されて
おり、その下面中央部には円筒状の隔壁２５ａが
立設されていて、この隔壁２５ａに囲まれる部分
に中間電極２４が収納されるようになつている。
また、隔壁２５ａに囲まれた部分の中央部には上
方に凹没した収納凹所２５ｂが形成されており、
この収納凹所２５ｂ内には内部電極２２が収納さ
れるようになつている。収納凹所２５ｂは電極基
台２５における上面側に突出する形で形成されて
おり、したがつて、収納凹所２５ｂを囲む部分は
空気のイオン化を行なうイオン室の外側となるの
であり、この部分に検知回路の部品等を配置する
ことができるのである。すなわち、従来のような
無駄な空間を排除した分だけ実装密度を高めるこ
とができ、小型化が図れるのである。しかるに、
収納凹部２５ｂの底面、隔壁２５ａの内側、隔壁
２５ａの外側の適所には電極基台２５を上下に貫
通するように端子挿通孔２５ｃが形成されてお
り、内部電極２２、中間電極２４、外部電極２３
の各端子片２２ｃ，２４ｂ，２３ｄがそれぞれ挿
通されるようになつている。第１図に示すよう
に、隔壁２５ａの外周面は階段状に形成されて各
段にそれぞれ周方向の全周に走る溝２５ｇが形成
されており、また収納凹所２５ｂの底面には全周
に走る複数条の溝２５ｈが形成されている。した
がつて、電極基台２５の表面に沿つては内部電極
２２と中間電極２４、中間電極２４と外部電極２
３との沿面距離が大きく取れるのである。また、
電極基台２５の下面には複数本のピン２５ｆが突
設されており、このピン２５ｆを外部電極２３と
中間電極２４とにそれぞれ形成されたピン孔２３
ｆ，２４ｃに挿通するとともに加熱してつぶすこ
とにより、外部電極２３と中間電極２４とが電極
基台２５に固定されるようになつている。電極基
台２５の周部の適所には切欠２５ｄが形成されて
おり、この切欠２５ｄは、外部電極２３の切欠２
３ｅおよび防風カバー１３の透孔１３ｅに対応す
るように形成されている。さらに、電極基台２５
の上面には複数本の脚２５ｅが突設されている。

このようにして電極基台２５上に装着された内
部電極２２からの放射線により外部電極２３と中
間電極２４および内部電極２２との間の空気がイ
オン化されるのであり、導入孔１３ａ，２３ｂを
通して外部電極２３内に煙が導入されると、イオ
ン化された空気に煙が接触することでイオン電流
が変化し、その結果、中間電極２４の電位が変化
して煙の存在が検出できるのである。

イオン電流の変化は、プリント基板２６上に実
装された検出回路により検出される。このプリン
ト基板２６は、板金により形成され上面が閉塞さ
れた有底円筒状のシールドケース２７内に収納さ
れる。プリント基板２６の周部には動作状態を確
認するための発光ダイオード２６ａが実装されて
おり、この発光ダイオード２６ａが、切欠２３
ｅ，２５ｄに合致し、透孔１３ｂ内に挿入されて
外部に露出するようになつている。したがつて、
発光ダイオード２６ａの点滅状態により、センサ
が正常に動作しているかどうかが確認できるので
ある。プリント基板２６に実装された検出回路に
は、内部電極２２、外部電極２３、中間電極２４
の各端子片２２ｃ，２３ｄ，２４ｂが接続されて
半田固定される。また、プリント基板２６と電極
基台２５との間は、電極基台２５に突設された脚
２５ｅにより離間するようになつている。プリン
ト基板２５の裏面とシールドケース２７の底面と
の間の絶縁は、両者間に絶縁シートを介装する
か、あるいはプリント基板２５をシールドケース
２７で底面から浮かすように保持することで行な
つている。シールドケース２７の周壁の適所には
外部電極２３に形成されたクリツプ片２３ｃに係
合するクリツプ孔２７ｂが形成されており、した
がつて、クリツプ片２３ｃとクリツプ孔２７ｂと
を嵌合させることにより、電極部および回路部が
外部電極２３とシールドケース２７とに囲まれる
ことになり、全体としてユニツト化されることに
なるのである。すなわち、このようにしてユニツ
ト化された部材をケース１０内に納装するだけ
で、煙センサを構成することができるのであり、
組立作業がきわめて容易になるのである。プリン
ト基板２６の上面には外部回路に接続するための
リード線２６ｂが突設されており、リード線２６
ｂをシールドケース２７の底面に配設された貫通
コンデンサ２７ａに挿通して半田付けするように
なつている。一方、ケース１０を構成するボデイ
１１には、シールドケース２７に設けた貫通コン
デンサ２７ａに対応する位置で筒状の端子ピン１
１ａがインサート成形されており、この端子ピン
１１ａ内に上記リード線２６ｂを挿通し、端子ピ
ン１１ａの先端部にリード線２６を半田あるいは
スピン加工により接続するようになつている。

以上のようにして形成されたセンサユニツトＡ
は、第３図に示すように天井等に固定されるベー
スＢにカバーＣとともに装着された形で使用され
るのである。すなわち、ベースＢは中央部にセン
サユニツトＡの上端部が挿入可能な開口４１を有
しており、この開口４１の開口縁には一対の耳孔
４１ａが形成されており、また開口４１の内周縁
には周方向に走る嵌合溝４１ｂが形成されてい
る。嵌合溝４１ｂの端部は耳孔４１ａにおいて開
放されている。また、ベースＢ内には端子ピン１
１ａに接続される電極（図示せず）が設けられて
いる。しかるに、耳孔４１ａに取付片１１ｂを挿
入してから、嵌合溝４１ａに沿つてセンサユニツ
トＡを回転させると、取付片１１ｂが嵌合溝４１
ａに嵌合してセンサユニツトＡがベースＢに取り
付けられるのである。また、カバーＣは、上端部
内周面に爪（図示せず）を有しており、この爪が
ベースＢの周部に形成された引掛孔４１ｃに係合
することによりカバーＣがベースＢに装着される
ようになつているのである。カバーＣにもセンサ
ユニツトＡが挿入される開口４２ａが形成されて
いるのはもちろんのことである。このようにし
て、ベースＢにセンサユニツトＡとカバーＣとを
別々に取り付けることになるから、センサユニツ
トＡとカバーＣとのデザインの選択の幅が広がる
という利点を有する。また、カバーＣ内に各種機
能ユニツトを納装しておけば、センサユニツトＡ
に対していろいろな機能を付加できることになる
のである。

（実施例 ２） 上記実施例では、収納凹所２５ｂの底面に溝２
５ｈを形成していたが、本実施例では、第４図に
示すように、隔壁２５ａの外周面にのみ溝２５ｇ
を形成するようにしている。

（実施例 ３） 本実施例では、第５図に示すように、隔壁２５
ａを設けずに電極基板２５の上面側に突出するリ
ング状の突条を形成し、この突条内に溝２５ｇを
形成するようにしたものである。この構成によつ
ても沿面距離が大きくとれるものである。

（実施例 ４） 本実施例では、第６図に示すように、隔壁２５
ｇや溝２５ｇ，２５ｈは設けずに、単に収納凹所
２５ｂを電極基台２５の表面から凹没させて電極
基台２５の上面側に突出させるようにしたもので
ある。したがつて、沿面距離については実施例１
ないし実施例３に比較して小さくなるが、収納凹
所２５を囲む周壁の外側を有効利用できる点は上
記各実施例と同様である。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、放射線源を有する内部
電極と、内部電極の外側を囲む形に配設され煙を
内部に導入する導入孔を有した外部電極と、内部
電極と外部電極との間に配設され放射線源からの
放射線が透過できる少なくとも１つの透孔を有し
た中間電極とを有していて、外部電極内でイオン
化された気体に煙が接触したときのイオン電流の
変化を検出して煙を検出するようにしたイオン化
式煙感知器において、内部電極と外部電極と中間
電極とは電極基台の一面側に配設され、内部電極
および中間電極は板状に形成されていて、中間電
極は電極基台に当接する形で配設され、電極基台
には中間電極が当接している面から凹没する形で
形成されその周壁が反対側面に突出する収納凹所
と、中間電極が当接している面から中間電極の外
周を全周に亙つて囲む円筒状に立設された隔壁と
が形成され、収納凹所の底部に内部電極が納装さ
れ、電極基台における隔壁よりも外周側で外部電
極が電極基台に固定されて成るものであり、電極
基台を中間電極が当接している面から凹没する形
で収納凹所を形成して、収納凹所の周壁を反対側
面に突出するように形成し、内部電極を収納凹所
の底部に納装するので、内部電極を収納した部分
の周囲の空間であつて、従来構成で煙の感知にあ
まり寄与していなかつた部分を煙検知用の空間で
はなく、他の部材を収納できる空間とすることが
できるのであり、その結果、検知回路等の収納ス
ペースが広がつて、全体として小型化につながる
という利点を有するのである。また、電極基台に
おいて中間電極と外部電極との取付部位の間に隔
壁を形成し、隔壁に囲まれた部位の底面に板状の
中間電極を当接させ、外部電極を隔壁の外側で電
極基台に固定しているので、中間電極と外部電極
との間の沿面距離を十分に大きくとることがで
き、その結果、高湿度の使用環境であつても外部
電極と中間電極との間の絶縁を確保することがで
きることになり、外部電極と中間電極との間の短
絡による失報や誤報を防止することができるとい
う利点を有するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂはそれぞれ本考案の実施例１を示
す平面図と断面図、第２図は同上の分解斜視図、
第３図は同上の使用形態を示す分解斜視図、第４
図は本考案の他の実施例を示す概略断面図、第５
図は従来例を示す概略断面図である。 ２１……放射線源、２２……内部電極、２３…
…外部電極、２４……中間電極、２５……電極基
台、２５ａ……隔壁、２５ｂ……収納凹所であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 放射線源を有する内部電極と、内部電極の外側
   を囲む形に配設され煙を内部に導入する導入孔を
   有した外部電極と、内部電極と外部電極との間に
   配設され放射線源からの放射線が透過できる少な
   くとも１つの透孔を有した中間電極とを有してい
   て、外部電極内でイオン化された気体に煙が接触
   したときのイオン電流の変化を検出して煙を検出
   するようにしたイオン化式煙感知器において、内
   部電極と外部電極と中間電極とは電極基台の一面
   側に配設され、内部電極および中間電極は板状に
   形成されていて、中間電極は電極基台に当接する
   形で配設され、電極基台には中間電極が当接して
   いる面から凹没する形で形成されその周壁が反対
   側面に突出する収納凹所と、中間電極が当接して
   いる面から中間電極の外周を全周に亙つて囲む円
   筒状に立設された隔壁とが形成され、収納凹所の
   底部に内部電極が納装され、電極基台における隔
   壁よりも外周側で外部電極が電極基台に固定され
   て成るイオン化式煙感知器。