JPH05302002A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体の水性分散液 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体の水性分散液

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JPH05302002A
JPH05302002A JP4136311A JP13631192A JPH05302002A JP H05302002 A JPH05302002 A JP H05302002A JP 4136311 A JP4136311 A JP 4136311A JP 13631192 A JP13631192 A JP 13631192A JP H05302002 A JPH05302002 A JP H05302002A
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ethylene
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Akemasa Aoyama
明正 青山
Toshio Tsuboi
俊雄 坪井
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
Satoshi Hirofuji
俐 廣藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 EVOHを分散質とし、エチレン含量10〜
70モル%、けん化度80モル%以上のエチレン−ビニ
ルエステル系共重合体けん化物成分(A)とイオン性基
を含有する成分(B)とがブロック状あるいはグラフト
状に結合された共重合体を分散安定剤とするEVOHの
水性分散液。 【効果】 粒子径の小さい、しかも貯蔵あるいは使用時
の安定性に優れた高固形分濃度の水性分散液が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−ビニルアル
コール系共重合体の水性分散液に関し、特に小粒子径で
分散安定性に優れた水性乳化分散液に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステル共重合体、特
にエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化したエチレン
−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと略記する)
は、酸素等のガスバリヤー性や耐油・耐薬品性に優れて
いるため、包装材料素材や、プラスチック成形物、金属
表面、紙、木材等の保護被覆用材料として注目されてい
る。
【0003】特に内容物の酸化防止あるいは香りの保持
が必要とされる食品包装用のフイルム、シート、積層
物、中空容器等においては高度のガスバリヤー性が要求
されている。また軟質塩化ビニルからなる塩ビ壁紙、塩
ビレザー、シート等では可塑剤のブリードを防止する被
覆材が要求されている。そこでガスバリヤー性、保香
性、および耐油・耐薬品性に優れたEVOHを外層ある
いは中間層に設けることによってこれらの要求性能を高
度に満たすことが広く実施されている。
【0004】一般にEVOH層を形成する方法として
は、溶融押出あるいは射出成形による方法やEVOHフ
イルムをラミネートする方法等が広く実施されている。
一方EVOHの溶液や水性乳化分散液を塗布し乾燥する
方法が提案されている。この方法は比較的膜厚の薄い皮
膜が形成できること、中空容器等の複雑な形状のものに
も容易に皮膜形成できることなどから注目される。
【0005】しかしながらEVOH溶液を塗布する方法
では基本的に高い濃度の溶液が粘度の関係から使用困難
なこと、溶媒がジメチルスルホキシド等の有機溶媒や多
量のアルコールを含んだ水との混合溶媒のため、皮膜形
成過程において有機溶媒の揮散による作業環境の悪化お
よび有機溶媒の回収のための装置が必要になるなど経済
的にも不利等の問題がある。これに対しEVOH水性乳
化分散液を塗布する方法は溶媒が水系で、上記の作業環
境や経済性の点から有利と考えられ期待される。
【0006】EVOHの水性乳化分散液としては通常の
EVOHを通常の界面活性剤あるいは通常の高分子保護
コロイド、例えばポリエチレンオキシド、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビ
ニルアルコール等の共存下乳化分散させたものが特開昭
54−101844、特開昭56−61430等で知ら
れている。しかしながら本発明者らの検討によると、こ
れら公知の方法で得られた水性乳化分散液は分散安定性
が不十分で塗布用として実用が困難である。
【0007】また特開昭54−101844にはアクリ
ル酸や無水マレイン酸などのカルボン酸基含有モノマー
をエチレンおよび酢酸ビニルと三元共重合し、けん化し
て得た、いわゆるランダムに共重合されたカルボキシル
アニオン基含有のEVOHを通常の界面活性剤を乳化分
散安定剤として乳化分散されることが示されている。
【0008】しかしながら、このいわゆるランダムなカ
ルボキシルアニオン性EVOHではイオン性基成分がラ
ンダムに含有されているため、その含量を多くしないと
乳化分散安定性が十分に達成できず、またEVOHの構
造の乱れが大となりガスバリヤー性能が大巾に低下し形
成皮膜のバリヤー性が低くなるなどの欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、貯蔵あるい
は使用時の安定性が著しく改善された分散安定性の優れ
たEVOH系水性分散液、とくに水性乳化分散液を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、EVOHを
分散質とし、イオン性基を含有する成分がブロック状あ
るいはグラフト状に結合された特定のイオン性EVOH
系ブロックあるいはグラフト共重合体を分散安定剤とす
ることによって達成される。
【0011】
【発明のより詳細な説明】本発明の最大の特徴はEVO
H系分散液の貯蔵あるいは使用時の安定性が著しく改善
され分散安定性に優れることにある。元々粒子径の小さ
いものがえられる上に、分散安定性が優れ貯蔵あるいは
使用時の粒子の凝集による粒子径の顕著な増大がほとん
どないため、粒子径の小さいことも大きな特徴である。
この特徴により本発明のEVOH系水性分散液は造膜性
が良好でより薄い皮膜が塗布でき、乾燥した皮膜がバリ
ヤー性に優れる。使用される分散安定剤自体もイオン性
基成分がブロックあるいはグラフト状にEVOH成分と
結合されているため、EVOH成分の結晶性があまり乱
されないでバリヤー性に優れることが高バリヤー性に寄
与しているものと考えられる。
【0012】本発明で使用される分散安定剤はイオン性
基を含有する成分(B)がブロック状あるいはグラフト
状にエチレン含量が10〜70モル%、けん化度が80
モル%以上のエチレン−ビニルエステル系共重合体けん
化物と結合されたエチレン−ビニルアルコール系ブロッ
クあるいはグラフト共重合体(以下イオン性EVOHと
略記する)を包含するもので、その製造方法等に制限は
ない。
【0013】イオン性基は水中で解離しイオン性を示す
基、すなわちアニオン性基、カチオン性基、両性基を包
含する。アニオン性基としてはスルホン酸、スルホン酸
塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩、燐酸、燐酸塩、カ
ルボン酸、カルボン酸塩等の基が挙げられ、またこれら
の酸および塩基が同時に含まれていても良い。分散安定
化効果が優れている点でスルホン酸あるいはカルボン酸
または該塩基が好ましく、特にスルホン酸または該塩基
が望ましい。
【0014】カチオン性基としてはアミン塩、第4級ア
ンモニウム塩、フォスホニウム塩、スルホニウム塩等の
基が挙げられる。特に第4級アンモニウム塩が分散安定
化効果が大きく好ましい。両性基としてはアミノカルボ
ン酸塩(ベタイン型)、アミノスルホン酸塩(スルホベ
タイン型)、アミノ硫酸エステル塩(サルフェートベタ
イン型)等が挙げられる。
【0015】イオン性基を含有する成分(B)の含量は
分散安定化効果のある範囲内で適宜選択されるが、分散
安定化効果の点から該イオン性EVOH中のEVOH成
分(A)単位に対し0.05〜50モル%が望ましい。
さらに好ましくは0.1〜30モル%、殊に0.2〜1
5モル%、さらには0.2〜10モル%が望ましい。
0.1モル%未満では分散安定化効果が小さく、50モ
ル%を越えるものは分散液からの皮膜の耐水性が不良に
なり好ましくない。イオン性基を含有する成分中のイオ
ン性基含有単位の含量は高いほうが分散安定化効果の点
からは好ましいが、分散安定化効果を大幅に損なわない
範囲でイオン性基を含まない他の単位を含むことは差し
支えない。
【0016】イオン性EVOHのEVOH成分(A)の
組成はエチレン含量が10〜70モル%、けん化度80
モル%(本発明で言うけん化度はビニルエステル単位の
けん化度を示す)以上である必要がある。エチレン含量
の好適な範囲は12モル%以上、さらに好ましくは15
モル%以上、さらには20モル%以上である。また上限
については好適には65モル%以下、さらに好適には6
0モル%以下である。粒子分散させる主体ポリマーであ
るEVOHのエチレン含量およびけん化度に近い物が粒
子分散安定化効果の点で望ましいからである。より好ま
しくはほぼ同一のエチレン含量およびけん化度が望まし
い。重合度は特に制限はないが分散安定化効果の点から
20以上が望ましい。
【0017】イオン性EVOHの構造に関してはいわゆ
るブロックあるいはグラフト共重合体であれば特に制約
はなく、以下に模式的に示したジブロック体、トリブロ
ツク体あるいはそれ以上のマルチブロック体、またEV
OH成分(A)にイオン性成分(B)がグラフトされた
グラフト体あるいはイオン性成分(B)にEVOH成分
(A)がグラフトされたグラフト体等が挙げられる。ま
たいわゆる星形のものでも良い。
【0018】(a) イオン性EVOHブロック体
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】(b)イオン性EVOHグラフト体 oEVOH成分(A)にイオン性成分(B)がグラフト
されたもの。
【0023】
【化4】 oイオン性成分(B)にEVOH成分(A)がグラフト
されたもの。
【0024】
【化5】
【0025】イオン性EVOHの製造方法に制約はない
がその例を示すと次のようなものが挙げられる。
【0026】(イ)イオン性EVOHブロック体 (i)末端にチオール基を有するイオン性基含有ポリマ
ーの存在下に、エチレン−ビニルエステル特に酢酸ビニ
ルをラジカル共重合することにより、イオン性基を有す
るポリマーとエチレン−ビニルエステルコポリマーとの
ブロツク共重合体を得、次いでビニルエステル単位をけ
ん化してビニルアルコール単位にすることにより、イオ
ン性基を有するポリマーとEVOHとがSを介して結合
したブロック共重合体を得ることができる。
【0027】末端にチオール基を有するイオン性基含有
ポリマーはチオ酢酸のごときチオカルボン酸存在下にイ
オン性基含有のビニルモノマーを重合して末端にチオエ
ステル基を有するイオン性基含有ポリマーを合成し、つ
いでその末端チオエステル基を分解してチオール基に変
換することにより合成できる。またイオン性基を含有す
る成分を縮合した末端が水酸基の縮合系のポリマーを用
い、その末端水酸基を硫化水素でチオール化することに
より得た末端がチオールのイオン性基含有の縮合系のポ
リマー等も使用可能である。
【0028】(ii)逆にチオ酢酸のごときチオカルボン
酸存在下にエチレンとビニルエステルをラジカル共重合
し、次いでけん化することにより得られる末端にチオー
ル基を有するEVOH共存下に、イオン性基を含有する
ビニルモノマーをラジカル重合することにより、イオン
性基を有するポリマーとEVOHとがSを介して結合し
たブロック共重合体を得ることができる。
【0029】(iii)ポリパーオキシド例えばポリフタ
ロパーオキシドを重合開始剤に用いてエチレン−ビニル
エステルをラジカル共重合する。次いで得られたパーオ
キシド基を分子内に含有するエチレン−ビニルエステル
共重合体をポリマー開始剤としてイオン性ビニルモノマ
ーと接触させて加熱ラジカル重合することによりエチレ
ン−ビニルエステルコポリマーとイオン性ポリマーとの
ブロック共重合体が得られる。この共重合体を常法によ
りビニルエステル単位をけん化しビニルアルコール単位
に変換することによりイオン性EVOHブロック体を得
ることができる。
【0030】(iv)有機ジスルフィド特にテトラエチル
チウラムジスルフィドを開始剤または連鎖移動剤として
イオン性ビニルモノマーを重合し、末端にR2NC(S)
S−基{Rは炭素数1〜20の炭化水素基(たとえばア
ルキル基)を示す。}を有するイオン性基含有ビニルポ
リマーを合成する。次にこのポリマーを重合開始剤とし
て光照射重合によりエチレンとビニルエステルとを共重
合することによりイオン性ポリマーとエチレン−ビニル
エステルとのブロック共重合体が得られる。このブロッ
ク共重合体を常法によりけん化しビニルエステル単位を
ビニルアルコール単位に変換することによりイオン性E
VOHブロック体を得ることができる。
【0031】(ロ)イオン性EVOHグラフト体 (a)EVOHに通常の方法、すなわち放射線あるいは
紫外線照射法による方法や過酸化物を共存させる方法等
によりイオン性基を含有するビニルモノマーを重合する
ことにより、EVOHにイオン性基を有するポリマーが
グラフトされたイオン性EVOHグラフト体が得られ
る。
【0032】(b)EVOHを含むマクロモノマーとイ
オン性基を有するビニルモノマーとをラジカル共重合す
る方法、あるいはエチレン−ビニルエステル共重合体を
含むマクロモノマーとイオン性基含有ビニルモノマーと
をラジカル共重合し、次いでけん化してビニルエステル
単位をビニルアルコールに変換する方法により、イオン
性ポリマーにEVOHがグラフトしたイオン性EVOH
グラフト体が得られる。
【0033】このような種々の方法によりイオン性EV
OHは製造できるがブロックあるいはグラフトタイプの
イオン性EVOHの生成効率(ブロックあるいはグラフ
ト効率)は理論的には100%ではなく、各々のホモポ
リマーであるイオン性ポリマーとEVOHが副生する。
【0034】その効率は高い方が好ましいが、副生する
ホモポリマーを厳密に分別区別することが通常困難な事
が多く、またEVOHは主体ポリマーとして利用可能で
あり、イオン性ポリマーもあまり多量でなければ必ずし
もそのホモポリマーを除去することは必要ではないの
で、ホモポリマーが含まれた物をそのまま分散安定剤と
して使用することができる。
【0035】従って、本発明のイオン性EVOHはその
製造時に副生しているイオン性成分とEVOHのホモポ
リマーをも包含したブロックあるいはグラフト反応生成
物全体を包含するもので、本発明で言うイオン性基成分
の含量はEVOH単位に対するホモポリマーをも包含し
た見掛けのブロックあるいはグラフト成分のモル%を意
味するものである。
【0036】しかしながらホモポリマー殊にイオン性成
分のホモポリマーの含量は少ない方が好ましく、必要に
応じて除去することは差し支えない。その観点から効率
の高い好ましい製法は(i)、(ii)、(b)が挙げら
れる。
【0037】イオン性成分を形成するビニルモノマーと
してはイオン性官能基あるいはイオン性に変換可能な基
を有するラジカル単独あるいは共重合可能なものが使用
できる。その例を次に例示する。
【0038】oアニオン性成分を形成するモノマー 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウムのごときアクリルアミド系スルホン酸塩モノマ
ー、スチレンスルホン酸カリウムのごときスチレン系ス
ルホン酸塩モノマー、アリルスルホン酸ナトリウムのご
ときアリル系スルホン酸塩モノマー、またビニルスルホ
ン酸ナトリウムのごときビニルスルホン酸塩モノマー、
さらにはこれらの酸モノマー等が挙げられる。又これら
のスルホン酸のエステルも重合後エステルをその塩ある
いはその酸に変換することにより使用可能である。
【0039】カルボン酸アニオンモノマーとしてはアク
リル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、
フマル酸などのモノ、ジ、ポリカルボン酸系ビニルモノ
マーやそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられ
る。またこれらのエステル類も重合後エステル基を塩基
に変換することができ、使用可能である。
【0040】oカチオン性成分を形成するモノマー アミノプロピルアクリルアミドあるいはメタクリルアミ
ドのごときアミノ基含有(メタ)アクリルアミド系モノ
マー、アミノエチルアクリレートあるいはメタクリレー
トのごときアミノ基含有(メタ)アクリレートあるいは
その塩が重合性も良好で好ましい。特ににその第4級塩
がポリマーの着色も少なく好ましい。例えばアクリルア
ミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドやジエチ
ルメタクロイルエチルトリエチルアンモニウムブロミド
等である。
【0041】これらのモノマーは単独で使用することも
また併用することも可能である。また他のイオン性基を
含有しないモノマーとの共重合も可能である。
【0042】主体ポリマーであるEVOHはエチレンと
酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香
酸ビニル、三フッ化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の
ビニルエステル、特に酢酸ビニルとを共重合し、次いで
けん化することにより得られるエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体で、エチレン含量が15〜65モル%、ビ
ニルエステル単位のけん化度が90モル%以上のもので
ある必要がある。15モル%未満では水性分散液の安定
性が不良となり、また65モル%を越えるものはポリマ
ーのガスバリヤー性能が不良となり不適当である。
【0043】水性分散液の安定性とガスバリヤー性能の
点からはエチレン含量は20〜50モル%が好ましい。
またけん化度は90モル%未満になるとポリマーのガス
バリヤー性が不十分になるので90モル%以上のものを
使用する必要がある。けん化度は高い方がバリヤー性能
が高く、望ましくは95モル%以上さらには97モル%
以上が好ましい。
【0044】分散質のEVOHの重合度は用途に応じて
選択されるが、極端に低いものは生成皮膜の強度が低く
好ましくないので通常500以上好ましくは700以上
のものが使用される。重合度の高いものほど水性分散液
として塗布使用することは有利であり、通常5000程
度のものまで使用できる。また必要に応じてエチレンお
よびビニルエステル以外の共重合可能なモノマーを5モ
ル%以下共重合していてもよい。
【0045】イオン性EVOHの使用量はイオン性成分
の種類、量およびグラフトあるいはブロックの効率等を
勘案して適宜選択されるが、分散質のEVOH100重
量部に対し1〜200重量部、好ましくは3〜100さ
らに好ましくは5〜50重量部が望ましい。量が少ない
と乳化分散安定性が不良となり、多すぎると形成皮膜の
湿潤時のガスバリヤー性が悪くなり不適当である。
【0046】イオン性EVOHを分散安定剤として分散
質であるEVOHを分散、とくに乳化分散させる方法に
は制限はなく、公知の方法が使用可能である。
【0047】例えば分散質であるEVOHの溶液を分散
安定剤であるイオン性EVOHの共存下にEVOHの非
溶媒である水と撹拌下に接触させてEVOH粒子を3μ
m以下、好ましくは2μm以下、最適には1μm以下の
微粒子として析出させ、次いで溶媒を除去することによ
り水性分散液を得ることができる。
【0048】水性分散液の固形分濃度は、製造条件およ
び用途等により適宜決められるが、高濃度でしかも安定
な分散液の得られることが本発明の特徴である。固形分
濃度としては好ましくは10重量%以上、さらに好まし
くは15重量%以上、最適には20重量%以上である。
固形分濃度の上限には特に制限はないが、あまり高濃度
になりすぎると水性分散液の放置安定性がやや不良にな
る場合があるので、通常60重量%以下が好ましく、さ
らに好ましくは50重量%以下、最適には40重量%以
下である。
【0049】溶媒としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶媒はアルコール−水系の混合溶媒、例えば水−メ
チルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、水
−イソプロピルアルコール等である。
【0050】イオン性EVOHは分散質であるEVOH
の溶液中、あるいは非溶媒の水中、あるいはその両方に
共存させることができるが、好ましくはEVOHの溶液
中に共存させるのが望ましい。
【0051】溶媒中の有機溶媒は蒸発法、抽出法あるい
は透析法等の適宜な方法で除去することができる。除去
の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼合いで小
割合の有機溶媒を残存させることは可能である。
【0052】また別の方法として、高温では溶解するが
低温にすると不溶になる溶媒に分散質であるEVOHを
加熱溶解した後、その溶液をイオン性EVOHの存在下
に冷却することにより、微粒子を析出乳化分散させる方
法も採用できる。しかる後その溶媒を水と置換すること
により水性分散液とすることができる。
【0053】高温で溶解し低温では析出する溶媒として
は先に示した溶媒のうちアルコール類の単独あるいは水
との混合溶媒等が使用できる。
【0054】さらに別の方法として、イオン性EVOH
を共存させたEVOHの溶液を非溶媒と接触させるかあ
るいは冷却することにより析出乳化分散させた粒子を濾
別し、その粒子をイオン性EVOHの共存下に水中に分
散させる方法も可能である。
【0055】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、分散質のEVOHと分散安定剤のイオン性EV
OHを、これらの共通溶媒、例えば水−アルコ−ルの混
合溶媒に撹拌下、温度50〜75℃で溶解して溶液と
し、次いで冷却(温度−10〜30℃)し、EVOH粒
子を析出して分散化(エマルジョン化)し、次に減圧下
(温度10〜30℃、圧力10〜150mmHg)にア
ルコールを除去し、さらに水を所望量除去することによ
って、所望の固形分濃度の水性分散液を得る方法があげ
られる。
【0056】本発明の水性分散液には粘度を低下させる
目的で水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどのアルカリ
金属化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、酢酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウムなどのア
ルカリ土類金属化合物、その他の電解質を0.01〜
0.5重量%(対ポリマー)配合してもよい、配合は、
分散質のEVOHを微粒子化する前でも後でもよい。
【0057】本発明の方法で得られた水性分散液は優れ
たガスバリヤー性の皮膜を形成する塗布材料として有用
であるが、その優れた力学的性能や化学的性能を生かし
て、他の用途例えば粉霧乾燥して微粒子粉末にしたり、
また塗料や接着剤のバインダーやビヒクルなど広範囲に
利用できる。
【0058】本発明の水性分散液には必要に応じて本発
明の目的達成を妨げない範囲でイオン性EVOHの他に
通常の界面活性剤や保護コロイドを添加することは可能
である。また他の樹脂の水性分散液、光あるいは熱等に
対する安定剤、顔料、滑剤、防黴剤あるいは造膜助剤な
どを添加することもできる。
【0059】以上に説明したように、本発明によれば貯
蔵あるいは使用時の安定性に優れた高固形分濃度の水性
分散液が得られ、かつ水性であるため環境の汚染等の問
題もない利点があり、塗布乾燥により優れたガスバリヤ
ー性、保香性および耐油・耐薬品性を示す薄い皮膜を形
成できる有用な塗布剤として各種基材表面に塗布でき
る。ここで基材としてはとくに熱可塑性樹脂{ポリオレ
フィン(ポリエチレン、ポリピロピレンなど)、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコール、酢酸ビニル樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重
合体など)など}からなる各種成形品(フィルム、シー
ト、カップ、ボトルなど)が好適なものとしてあげら
れ、また繊維集合体(紙、不織布、織布、ファイブラス
ケーシングなど)、無機物(セメントなど)、金属、ポ
リ塩化ビニル樹脂壁紙、写真印画紙などもあげられる。
【0060】また本発明の水性分散液を基材表面に塗布
する方法としては、キャスティングヘッドからの吐出、
ロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフ
コート、カーテンフローコート、スプレー、浸漬、刷毛
塗りなど任意の手段が例示される。このように塗布され
た基材を乾燥・熱処理する手法としては乾熱処理法、た
とえば赤外線照射法、熱風乾燥法などが例示される。こ
れらの赤外線照射、熱風乾燥などはそれぞれ単独で使用
してもよいし、また併用することもできる。また乾燥・
熱処理の温度は30〜180℃であることが好ましく、
下限値については50℃以上が好ましく、最適には80
℃以上である。また乾燥・熱処理の時間は5秒〜10分
が好ましく、さらに好適には1〜5分である。乾燥・熱
処理中は条件、たとえば温度を増減させること、例えば
最初は低温で処理し、徐々に温度を上昇させることなど
は自由である。このように乾燥・熱処理を施すことによ
りガスバリヤー性の優れた皮膜が基材表面に形成され
る。また本発明の水性分散液を塗布、乾燥・熱処理した
あとの皮膜の厚さは0.5〜15μmであることが好ま
しく、さらに好適には1〜10μm、最適には2〜6μ
mである。
【0061】次にイオン性EVOHグラフトおよびブロ
ック体の合成例を示す。特に指定しないかぎり部は重量
部を示す。
【0062】1.カルボキシルアニオン性EVOHグラ
フト体 エチレンと酢酸ビニルを共重合し、さらにけん化してえ
たエチレン含量33モル%、けん化度99.6モル%、
重合度1000のEVOH20部と水40部およびメチ
ルアルコール40部を撹拌機、還流冷却器、温度計付き
の反応容器に入れ、窒素ガスで置換後80℃の水浴によ
り加熱してEVOHを溶解した。
【0063】次いで、窒素置換したアクリル酸モノマー
2部と重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2部を
加え、窒素雰囲気下80℃で5時間加熱グラフト重合し
た。未反応のアクリル酸モノマーを臭素法による二重結
合定量法により分析した結果アクリル酸の重合率は98
%であった。
【0064】得られたアクリル酸グラフトEVOH溶液
に10%水酸化ナトリウムの水/メチルアルコール=5
0/50(重量比)混合溶媒の溶液11.1部(アクリ
ル酸に対し等モルの水酸化ナトリウム)を添加中和し、
見掛けアクリル酸ナトリウムがEVOHに対し5.3モ
ル%グラフトしたアニオン性EVOHグラフト体を20
%濃度で含む溶液を得た。
【0065】2.スルホン酸アニオン性EVOHグラフ
ト体 エチレンと酢酸ビニルを共重合し、さらにけん化してえ
たエチレン含量44モル%、けん化度99.6モル%、
重合度900のEVOH20部と水32部、エチルアル
コール48部を撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応
器に入れ窒素置換後、70℃の水浴中で加熱溶解した。
【0066】次いで窒素置換したスチレンスルホン酸カ
リウム3部と重合開始剤として硝酸セリウムアンモニウ
ム1.5部を加え、窒素雰囲気下70℃で6時間加熱グ
ラフト重合した。未反応のスチレンスルホン酸カリウム
モノマーを臭素法による二重結合定量により分析したと
ころ重合率は95%であった。すなわちスチレンスルホ
ン酸カリウムが見掛けEVOHに対し2.5モル%グラ
フトしたアニオン性EVOHグラフト体が得られた。
【0067】3.カルボキシルアニオン性EVOHグラ
フト体 アミノエタンチオールのアミノ基をジ−tert.ブチ
ルジカーボネートで保護したtert.ブトキシカルボ
ニルアミノエタンチオールを連鎖移動剤としてエチレン
と酢酸ビニルをラジカル共重合し、得られた共重合体に
ギ酸を反応させてアミノギ酸塩に変換した後メタクリル
酸クロリドと反応することにより得たエチレン−含量5
0モル%、重合度50のエチレン−酢酸ビニル共重合体
のメタクリルアミド型のマクロモノマー{平均構造式C
2=C(CH3)CONHCH2CH2S(−CH2CH2−)
25(−CH2C(OCOCH3)H−)25}3000部、メタ
クリル酸520部およびメチルアルコール8000部と
を重合反応器に入れ窒素置換後65℃に昇温し、重合開
始剤のアゾビスイソブチロニトリル12部を添加して
3.5時間重合した。重合終了後の未反応モノマーをガ
スクロ法で分析し重合率を求めたところメタクリル酸の
重合率はほぼ100%であった。
【0068】重合後の溶液に水酸化ナトリウムの10%
メチルアルコール溶液を3500部加え、60℃で1時
間加熱した。析出したポリマーをメチルアルコールでよ
く洗浄した後乾燥し、粉末ポリマー3050部を得た。
このポリマーを核磁気共鳴スペクトル分析したところメ
タクリル酸ナトリウム成分含量がEVOHに対し12モ
ル%で、 EVOHのけん化度は98モル%の、メタク
リル酸ナトリウムポリマーにEVOHがグラフトしたタ
イプのアニオン性EVOHグラフト体であった。
【0069】4.カルボキシルアニオン性EVOHブロ
ック体 チオ酢酸を連鎖移動剤としてエチレンと酢酸ビニルを共
重合し、さらにけん化することにより合成された、末端
にチオール基を有するエチレン含量25モル%、けん化
度99.5モル%、重合度155のEVOH100部を
メチルアルコール/水=50/50の混合溶媒400部
に溶解した。この溶液をアクリル酸20部、過硫酸カリ
ウム0.5部とメチルアルコール/水=50/50の混
合溶媒180部中に、窒素雰囲気下65℃で2時間かけ
て連続的に滴下し重合した。滴下終了後さらに1時間加
熱を続け重合を追い込んだ。
【0070】反応終了後の未反応アクリル酸を臭素法に
よる二重結合分析により求めたところ、ほとんど認めら
れずほぼ100%重合していた。この溶液に10%の水
酸化ナトリウムのメチルアルコール/水=50/50の
溶液61部を添加してアクリル酸成分を中和した。こう
して得られたアクリル酸ナトリウムがEVOHに対し1
1モル%ブロック共重合されたイオン性EVOHブロッ
ク体溶液(濃度21.7%)が得られた。
【0071】5.スルホン酸アニオン性EVOHブロッ
ク体 前記4のアクリル酸の代わりに2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムを用いる以外は
4と同様にして2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウムの量を変更することにより、E
VOHに対し0.3、5、10、30、50モル%ブロ
ック共重合されたイオン性EVOHブロック体を合成し
た。
【0072】6.カルボキシルアニオン性EVOHブロ
ック体 チオ酢酸の存在下にアクリル酸メチルを重合することに
より末端にチオエステル基を有するアクリル酸メチルポ
リマーを合成し、次いでその末端チオエステル基をアン
モニアで分解することにより、末端にチオール基を有す
る重合度60のアクリル酸メチルポリマーを合成した。
【0073】このポリマー存在下にテトラヒドロフラン
溶媒中でエチレンとピバリン酸ビニルをラジカル共重合
することによりアクリル酸メチルポリマーとエチレン−
ピバリン酸ビニルコポリマーのブロック共重合体を合成
し、次いで水酸化カリウムを触媒としてけん化すること
によりエチレン含量35モル%、けん化度97モル%、
重合度200のEVOHに、重合度60のアクリル酸カ
リウム−アクリル酸メチルコポリマー(アクリル酸カリ
ウム含量80モル%)がSを介してブロック共重合され
たアニオン性EVOHブロック体が合成された。
【0074】7.カチオン性EVOHブロック体 前記5の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸ナトリウムに代えてカチオン性のビニルモノマー
のアクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウ
ムクロリドまたはメタクロイルオキシトリメチルアンモ
ニウムクロリドを用いて同様にラジカル重合することに
よりEVOHにSを介して各々のカチオン性ポリマーが
ブロック共重合したカチオン性EVOHブロック体を合
成した。
【0075】以下に実施例により具体的に本発明を説明
するが、実施例のみに限定されるものではない。また実
施例中の部は特に指定しないかぎり、重量部を示す。
【0076】[実施例1]合成例1に従い合成された、
エチレン含量33モル%、けん化度99.6モル%、重
合度1000のEVOHに対し、アクリル酸ナトリウム
が5.3モル%グラフトされたアニオン性EVOHグラ
フト体を20%含有する水/メチルアルコール=50/
50(重量比を示す、以下も同じ)の混合溶媒溶液50
部を、エチレン含量33モル%、けん化度99.6モル
%、重合度1000の通常のEVOH20部とメチルア
ルコール90部および水90部に添加混合し65℃で加
熱溶解した。
【0077】この溶液を撹拌下に室温まで冷却したとこ
ろ、安定に乳化分散し均一な乳化分散液がえられた。平
均粒子径は0.6μmであった。次いでこの乳化分散液
を撹拌下に減圧蒸発させメチルアルコールを留去した。
メチルアルコール留去過程でも粒子の凝集はほとんどみ
られず安定で、平均粒子径が0.6μm、固形分濃度2
5%の水性乳化分散液をえた。また放置安定性も良好
で、40℃で30日の放置試験でも凝集はほとんど認め
られなかった。
【0078】一方比較のために、アクリル酸ナトリウム
をグラフトしたアニオン性EVOHグラフト体を用いな
いで通常のEVOHのみで乳化分散した場合、また上記
アニオン性EVOHグラフト体に代えて通常のノニオン
界面活性剤のノニルフェニルエーテルのエチレンオキシ
ド付加物、アニオン界面活性剤のドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、あるいは高分子保護コロイドとして
けん化度80モル%、重合度600の部分けん化ポリビ
ニルアルコールを乳化分散安定剤として使用し実施例1
と同じ条件で乳化分散を試みたが、いずれの場合も加熱
溶解した溶液を撹拌下に冷却し粒子が析出する段階で凝
集ブロッキング化してしまい、安定な乳化分散液が得ら
れなかった。
【0079】このように本発明のアニオン性EVOHグ
ラフト体が主体ポリマーの通常のEVOHの乳化分散安
定化に格別の効果を有し安定な水性乳化分散液がえられ
ることがわかる。そして、この水性乳化分散体を二軸延
伸ポリプロピレンフイルムのプライマー処理面に塗布し
て110℃で乾燥し、えられた形成皮膜の酸素バリヤー
性を測定したところ酸素透過量が3cc/m2・24h
r・atm(膜厚5μm、20℃、0%RH)で、食品
包装材としてすぐれた性能を示した。
【0080】[実施例2]合成例2に従い合成された、
エチレン含量44モル%、けん化度99.6モル%、重
合度900のEVOHに対し、スチレンスルホン酸カリ
ウムが2.5モル%グラフトしたアニオン性EVOHグ
ラフト体の水/エチルアルコール=40/60混合溶媒
溶液(濃度21%)30部を、濃度10%のエチレン含
量44モル%、けん化度99.6モル%、重合度900
のEVOHの水/エチルアルコール=40/60混合溶
媒の溶液175部と混合し、撹拌下に70℃に加熱し
た。
【0081】次いで該溶液を撹拌下に室温まで冷却した
ところ、平均粒子径0.8μmの安定な乳化分散液を得
た。この乳化分散液を25℃で減圧蒸発させてエチルア
ルコールを留去することにより、固形分濃度26%、平
均粒子径0.8μmの安定な水性乳化分散液を得た。
【0082】[実施例3]合成例3に従い合成された、
エチレン含量50モル%、けん化度98モル%、重合度
50のEVOHが12モル%のメタクリル酸ナトリウム
ポリマーにグラフトしたタイプのアニオン性EVOHグ
ラフト体150部に、水1900部を加え溶解した溶液
を調製した。この溶液中に高速撹拌機を浸漬し5000
rpmで撹拌しながらエチレン含量48モル%、けん化
度99.4モル%、重合度800のEVOHをイソプロ
ピルアルコール/水=70/30の混合溶媒に溶解した
濃度15%の溶液5000部を滴下したところ均一に乳
化し安定な分散液を得られた。平均粒子径は0.7μm
であった。
【0083】次いでこの乳化分散液を20℃で減圧蒸発
させイソプロピルアルコールを蒸発留去し固形分濃度2
3%の水性乳化分散液を得た。この水性乳化分散液の平
均粒子径は0.7μmで減圧蒸発処理による粒子の肥大
化はほとんどなく、安定な水性乳化分散液が得られた。
【0084】[実施例4]合成例4に従い合成された、
エチレン含量25モル%、けん化度99.5モル%、重
合度155のEVOHに対し、アクリル酸ナトリウムが
11モル%ブロック共重合されたアニオン性EVOHブ
ロック体の水/メチルアルコール=50/50混合溶媒
溶液280部を、エチレン含量25モル%、けん化度9
9.5モル%、重合度1500の通常のEVOH100
0部およびメチルアルコール/水=50/50の混合溶
媒6800部と混合し70℃で加熱溶解した。
【0085】その後撹拌下に室温まで冷却すると粒子が
析出乳化分散した。平均粒子径は0.8μmであった。
この分散液を減圧蒸発させることによりメチルアルコー
ルを蒸発留去し安定な水性乳化分散液を得た。固形分濃
度は25%で平均粒子径は0.8μmであった。この水
性乳化分散液は40℃で30日放置しても沈降も粒子の
肥大化もほとんど認められず安定性が良好であった。
【0086】[実施例5〜9]合成例5に従い合成され
た、エチレン含量25モル%、けん化度99.5モル
%、重合度155のEVOHに対し、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムが0.
3、5、10、30、50モル%ブロック共重合された
アニオン性EVOHブロック体を乳化分散安定剤とし
て、実施例4と同様の方法で乳化分散およびメチルアル
コールの留去を実施し、安定な水性分散液を得た。下記
の表1に乳化分散時の条件と水性乳化分散液の性状を示
した。
【0087】
【表1】
【0088】[実施例10]実施例5のアニオン性EV
OHブロツク体に代えて、合成例5に準じて合成された
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウムのブロック含量が0.1モル%のアニオン性E
VOHブロック体を用いる以外は実施例5と同一条件で
乳化分散、メチルアルコールの留去を実施した。凝集が
若干認められたが、固形分濃度20%、平均粒子径1.
9μmの水性乳化分散体が得られた。
【0089】[実施例11]合成例6に従い合成された
エチレン−ピバリン酸ビニル共重合体けん化物の、エチ
レン含量35モル%、けん化度97モル%、重合度20
0のEVOHに重合度60のアクリル酸カリウム−アク
リル酸メチルコポリマー(アクリル酸カリウム含量80
モル%で、アクリル酸カリウムのブロック含量はEVO
Hに対し4.8モル%)がブロック共重合されたアニオ
ン性EVOHブロック体3.3部と、エチレン−ピバリ
ン酸ビニルを共重合、けん化したエチレン含量30モル
%、けん化度99モル%、重合度1000のEVOH1
00部とを水/メチルアルコール=50/50の混合溶
媒800部に70℃で加熱溶解した。次いで撹拌下に室
温まで冷却することにより乳化分散液を得た。乳化分散
液を減圧蒸発させてメチルアルコールを留去することに
より固形分濃度22%、平均粒子径0.8μmの水性乳
化分散液を得た。
【0090】[実施例12]合成例7に従い合成され
た、Sを介して、エチレン含量25モル%、けん化度9
9.5モル%、重合度155のEVOHに対して、アク
リルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロ
リドが11モル%ブロック共重合されたカチオン性EV
OHブロック体を乳化分散安定剤として、エチレンと酢
酸ビニルを共重合、けん化することにより得られたエチ
レン含量30モル%、けん化度99.6モル%、重合度
1020の通常のEVOHに対して15部/100部の
割合で用い、水/メチルアルコール=50/50の混合
溶媒に固形分濃度が10%になるように70℃で加熱溶
解した。
【0091】次いでこの溶液を撹拌下に室温まで冷却し
たところ安定な乳化分散液を得た。この分散液を室温で
減圧蒸発して、メチルアルコールを留去することによ
り、固形分濃度21%、平均粒子径1.1μmの安定な
水性分散液を得た。
【0092】[実施例13]実施例12のアクリルアミ
ドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの代
わりにメタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウ
ムクロリドをもちいて、EVOHに対して11モル%ブ
ロック共重合されたカチオン性EVOHブロック体を用
いる以外は、実施例と同一条件で乳化分散し、メチルア
ルコールを留去することにより、固形分濃度23%、平
均粒子径1.2μmの安定な水性乳化分散液を得た。
【0093】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のイオン
性EVOHグラフト体あるいはブロック体を分散安定剤
とすることにより、粒子径の小さい貯蔵あるいは使用時
の安定性に優れた高固形分濃度の水性分散液が得られ、
かつ水性であるため環境汚染等の問題もない利点があ
り、塗布乾燥により優れたガスバリヤー性、保香性およ
び耐油・耐薬品性を示す薄い皮膜を形成できる有用な塗
布剤等として利用できる、工業的価値の高いものであ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 3/03 CEX 9268−4F C08L 29/04 51/00 LKP 7142−4J 51/06 LLM 7142−4J C09D 129/04 PEU 6904−4J C09J 129/04 JCE 6904−4J (72)発明者 佐藤 寿昭 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内 (72)発明者 廣藤 俐 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含量15〜65モル%のエチレ
    ン−ビニルアルコール系共重合体を分散質とし、エチレ
    ン含量10〜70モル%、けん化度80モル%以上のエ
    チレン−ビニルエステル系共重合体けん化物成分(A)
    とイオン性基を含有する成分(B)とがブロック状ある
    いはグラフト状に結合された共重合体を分散安定剤とす
    る水性分散液の製法。
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