JPH0529847U - 自動車用フロアマツト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用時には一体物として取り扱え、廃棄時に
は高分子シート部分とカーペット部分とに容易に分離す
ることができる自動車用フロアマットを提供すること。 【構成】 高分子シートの上にカーペットを積層してな
る自動車用フロアマットにおいて、高分子シートとカー
ペットとがスナップなどの係合治具により分離可能に結
合されていることを特徴とする自動車用フロアマット。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はポリ塩化ビニル樹脂シートなどの高分子シートの上にカーペットを積 層してなる自動車用フロアマットに関する。

【０００２】

【従来の技術】

初期の自動車用フロアマットには、自動車フロアの汚れ防止や遮音のために、 ＳＢＲ（スチレン−ブタジエン共重合体ゴム）や軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの 高分子シートが用いられていた。しかし、近年、自動車内装の高級化に合せて自 動車用フロアマットにもタフトやループパイル構造を持つ高級感のあるカーペッ トが表面材として要求されるようになり、自動車用フロアマットは高分子シート とカーペットとの２層構造のものが主流となってきている。

【０００３】 従来、この２層構造の自動車用フロアマットとしては、高分子シートとカーペ ットとを接着剤で結合したもの（特開昭５５−１９６１５号、実開平１−７２４ ２３号）や、高分子シートを溶融押し出しし、冷却固化させる前にカーペットと 積層して結合したもの（特開昭５９−１９６２１６号）などが知られており、い ずれも使用中に高分子シートとカーペットとの間にはく離などが生じたりしない ように、強固に結合一体化させることを課題としていた。

【０００４】 しかしながら、最近の環境の保全という視点から自動車用フロアマットの廃棄 や再利用を考えると、これら従来の自動車用フロアマットには大きな問題がある ことがわかった。例えば、これらの自動車用フロアマットを焼却処理しようとす ると、高分子シートには主として軟質ポリ塩化ビニル樹脂が使用されているため 、塩素ガスなどの有害ガスがでるという問題があった。この問題は、軟質ポリ塩 化ビニル樹脂からなる高分子シートとカーペットとを分離し、カーペットはその まま焼却し、高分子シートは特定の廃棄処理を施すか、または再利用することで 解決できるが、高分子シートとカーペットとは非常に強固に結合されているため 、これを分離することは容易ではなく、最終的に自動車用フロアマットを廃棄す ることになる自動車の持主や、ゴミの回収業者に、分離廃棄を期待することは困 難であった。同様に、高分子シートやカーペットを再利用しようとするときも、 これらが容易に分離できる必要があるが、従来の自動車用フロアマットではこの 分離は容易ではなかった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記の従来技術の欠点を解消すべくなされたものであり、高分子シー トの上にカーペットを積層してなる自動車用フロアマットにおいて、使用時には 一体物として取り扱え、廃棄時には高分子シート部分とカーペット部分とに容易 に分離することができる自動車用フロアマットを提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を解決するための手段として、高分子シートの上にカーペ ットを積層してなる自動車用フロアマットにおいて、該高分子シートと該カーペ ットとが係合治具により分離可能に結合されていることを特徴とする自動車用フ ロアマットを提供する。

【０００７】 また本考案は、上記課題を解決するための別の手段として、高分子シートの上 にカーペットを積層してなる自動車用フロアマットにおいて、該高分子シートと 該カーペットとが、両者の接合面に部分的に付与された接着剤により分離可能に 結合されていることを特徴とする自動車用フロアマットを提供する。

【０００８】 以下、図面を用いて本考案を更に詳細に説明する。本考案の自動車用フロアマ ットはＳＢＲ、軟質ポリ塩化ビニル樹脂などのゴムまたは樹脂からなる高分子シ ート１の上に、ニードルパンチカーペット、タフテッドカーペット、パイルカー ペットなどのカーペット２を積層し、係合治具や接着剤により廃棄時には分離可 能なように結合した構造からなる。なお、カーペットにはカーペットの耐久性を 高めるために樹脂によるバッキングが施されていることが望ましい。

【０００９】 図１〜５は係合治具により高分子シート１とカーペット２とが結合された例が 示されている。この係合治具としては、例えば図１〜３に示すスナップや、図４ 〜５に示す面ファスナーの他、プラスチックファスナー、凹凸をはめ合わせるこ とにより結合できる治具など、結合と分離が可能な治具が使用される。また、こ の他、高分子シートの表面に所定の凸部を形成しておき、これをはめ込めるよう な凹部を持つ係合治具を、カーペット裏面の高分子シートの凸部と対応する位置 に設けても良い。

【００１０】 係合治具にスナップを用いる本考案の第１実施例においては、例えば図１〜３ に示されるように、高分子シート１に雄型スナップ３１を取付け、これと対向す る位置のカーペット２裏面に雌型スナップ３２を取付け、雄型スナップ３１を雌 型スナップ３２にはめ込むことにより、高分子シート１とカーペット２とを結合 して自動車用フロアマットが作製される。一方、この自動車用フロアマットを廃 棄する時には、このスナップをはずすことにより、高分子シート１とカーペット ２とは分離できるので各々別々に廃棄処理することができる。

【００１１】 スナップの配置はとくに限定されないが、例えば図２に示すように高分子シー ト及びカーペットの接合面の全面に適宜の間隔で配置すれば、カーペットの浮き や波打ちが生じにくいので良い。なお、他の結合手段と併用する場合には、マッ トの周囲のみにスナップを配置してもよい。

【００１２】 係合治具に面ファスナーを用いる本考案の第２実施例においては、例えば図４ 〜５に示すように、高分子シート１に鉤状係合用パイルを持つ雄側面ファスナー ４１を取付け、これと対向する位置のカーペット２の裏面にループ状パイルを持 つ雌側面ファスナー４２を取付け、雄雌の面ファスナーを押しつけ合って、雄側 の鉤状係合用パイルを雌側のループパイルに引掛けることにより、高分子シート １とカーペット２とを結合して自動車用フロアマットが作製される。廃棄する場 合には、この面ファスナー４をはずして高分子シート１とカーペット２に分離す れば良い。なお、ここでは面ファスナー４として、鉤状パイルとループ状パイル のものを例に挙げたが、他の形状のパイルを利用した面ファスナーであってもよ い。また面ファスナーはマジックテープ、ベルベットファスナーなどの名称でも 呼ばれている係合治具である。面ファスナーは押しつけると結合力が増すため、 自動車用フロアマットの使用時に、踵などでマットをずらすような力が働いても 、高分子シートとカーペットがずれにくいので良い。

【００１３】 上記面ファスナー４の配置はとくに限定されないが、例えば図４に示されるよ うに、高分子シート１及びカーペット２の接合面の全面に配置すれば、両者の結 合力が強くなる上に高分子シートとカーペットの間に不用なすきまが生じない。 ただし、場合によっては、面ファスナーの複数の小片を所望の配置で取付けても よく、また他の結合手段と併用する場合には、面ファスナーを適宜の範囲に部分 的に配するのが良い。

【００１４】 図６〜７は、高分子シート１と該カーペット２とが、両者の接合面に部分的に 付与された接着剤５により分離可能に結合された自動車用フロアマットであり、 とくに接着剤が線状に平行に複数付与された本考案の第３実施例を示している。 この場合、高分子シートとカーペットとは部分的に付与された接着剤によって、 使用時には一体物として取り扱え、使用後は高分子シートとカーペットとを分離 する方向に強い力を加えて、この接着部分を破壊することによって分離廃棄でき る。なお、接着剤の塗布形状はとくに限定されず、上記の平行線状の他、平行の 点線状、格子状、点状、点の集合した島が所定間隔で配された形状、模様状など 種々の形状が取り得る。

【００１５】 この接着剤５としては、高分子シート１とカーペット２とを接着できるもので あれば、どのような接着剤でも使用できるが、例えばクロロプレン系、ニトリル ゴム系、ＳＢＲ系、天然ゴム系などのゴム系の溶剤型接着剤、ポリウレタン系の 溶剤型接着剤、またはアクリル樹脂系のエマルジョン型接着剤などが好適に使用 できる。接着剤の種類や量は、高分子シートとカーペットの種類、接着剤の接着 強度、接着剤を付与する面積や塗布形状によって適宜選択される。なお、その際 の選択基準は、高分子シートとカーペットとを分離する際に、接着部分を破壊す るのに必要な力が標準的な人の力の範囲にあり、かつ、カーペットの使用時にカ ーペット表面から加わる足の力によって高分子シートとカーペットとが容易にず れを起こさないことにある。この要件を満たすように、接着剤の種類や量、接着 剤の塗布形状や面積が設計される。

【００１６】 なお、上述した高分子シートとカーペットとの結合手段は、各々単独で用いて もよいし、組合せて用いても良い。また、本考案の自動車用フロアマットにおい ては、上述した結合手段に加えて、使用時に、自動車用フロアマットの周囲縁部 で高分子シートとカーペットとがはく離を生じるのを防ぐために、オーバーロッ クミシンなどにより縁部を縫製してもよい。この様な縫製処理をした場合には、 自動車用フロアマットの使用後、糸を切断した後に、高分子シートとカーペット とを分離すれば良い。

【００１７】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案の自動車用フロアマットはスナップ、面ファスナ ーなどの係合治具により高分子シートとカーペットとが結合されているので、使 用中は一体物として取り扱え、使用後は係合治具をはずすことにより高分子シー トとカーペットとに分離することができる。このため、自動車用フロアマット使 用後は、例えばカーペットは単独で焼却処理できるので塩素ガスなどの有害ガス が多量に発生することはなく、安全に焼却処理ができ、一方、高分子シートは再 利用に供することができる。

【００１８】 また、本考案の自動車用フロアマットの別の例においては、高分子シートとカ ーペットとが、両者の接合面に接着剤を部分的に付与することで結合されている ので、使用中は一体物として取り扱え、使用後はこの部分的な接着部を破壊する ことにより、容易に高分子シートとカーペットに分離して、各々廃棄、再生処理 ができる。

【００１９】 更には、本考案の自動車用フロアマットにおいては、上記結合手段に加えて、 周囲をオーバーロックミシンなどにより縫製することで、使用時におけるマット の一体性を高め、長期間にわたってトラブルなく使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】高分子シートとカーペットの一部を分離した状
態の本考案の第１実施例の自動車用フロアマットの斜視
図

【図２】本考案の第１実施例の高分子シートの平面図

【図３】高分子シートとカーペットとを分離した状態の
本考案の第１実施例の自動車用フロアマットの部分拡大
断面図

【図４】本考案の第２実施例の高分子シートの平面図

【図５】高分子シートとカーペットとを分離した状態の
本考案の第２実施例の自動車用フロアマットの部分拡大
断面図

【図６】本考案の第３実施例の高分子シートの平面図

【図７】本考案の第３実施例の自動車用フロアマットの
部分拡大断面図

【符号の説明】

１ 高分子シート ２ カーペット ３１ 雄型スナップ ３２ 雌型スナッブ ４ 面ファスナー ４１ 雄側面ファスナー ４２ 雌側面ファスナー ５ 接着剤

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】高分子シートの上にカーペットを積層して
   なる自動車用フロアマットにおいて、該高分子シートと
   該カーペットとが係合治具により分離可能に結合されて
   いることを特徴とする自動車用フロアマット。
2. 【請求項２】高分子シートの上にカーペットを積層して
   なる自動車用フロアマットにおいて、該高分子シートと
   該カーペットとが、両者の接合面に部分的に付与された
   接着剤により分離可能に結合されていることを特徴とす
   る自動車用フロアマット。