JPH05290625A - 誘電体磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物及びその製造方法

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JPH05290625A
JPH05290625A JP12144792A JP12144792A JPH05290625A JP H05290625 A JPH05290625 A JP H05290625A JP 12144792 A JP12144792 A JP 12144792A JP 12144792 A JP12144792 A JP 12144792A JP H05290625 A JPH05290625 A JP H05290625A
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lead
dielectric
perovskite
dielectric ceramic
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JP12144792A
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Fumio Uchikoba
文男 内木場
Kentaro Sawamura
建太郎 沢村
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Original Assignee
TDK Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/018Dielectrics
    • H01G4/06Solid dielectrics
    • H01G4/08Inorganic dielectrics
    • H01G4/12Ceramic dielectrics

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉛複合ペロブスカイト系誘電体材料の誘電率
を著しく低下させることのなく、温度による誘電率の変
化を著しく小さく抑える。 【構成】 鉛複合ペロブスカイト系誘電体磁器組成物で
あって、Pb(Mg1 /3Nb2/3 )O3 −PbTiO3
−Pb(Mg1/2 1/2 )O3 において、以下の組成点
A=(50,30,20)、B=(40,40,2
0)、C=(30,40,30)、D=(30,30,
40)、E=(40,20,40)、F=(50,2
0,30)、で表される範囲内の主組成に、添加物とし
てWO3 を主組成に対して1〜10重量部添加して、ペ
ロブスカイト結晶粒内にWとNbのコア−シェル構造を
形成させた組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層セラミックコンデン
サなどに用いる誘電体磁器組成物に関し、特に誘電率が
大きく、温度依存性が少なく、低温焼成が可能で、粒径
の細かい誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサに用いられる
誘電体として、従来チタン酸バリウム系誘電体が用いら
れてきた。この誘電体は添加物等と組み合わせることに
よってJISのF特性相当(温度範囲−25〜+85℃
で容量偏差+30,−80%以内)で誘電率15000
程度、X7R特性相当(温度範囲−55〜+125℃で
容量偏差が±15%以内)で誘電率5000程度を有す
る等の優れた特性を示し、セラミックコンデンサの誘電
体としてひろく用いられてきている。
【0003】一方、近年、素子としての小型化高容量の
要求にもとずき積層セラミックコンデンサの一層あたり
の誘電体厚みが数ミクロン程度にまで薄層化が進んでき
た。
【0004】チタン酸バリウム系素材の場合印加される
電界が強いほど誘電率が低下する特徴を合わせ持ち、素
子の小型高容量化の要求が高まるにつれて対応がむずか
しくなってきている。
【0005】チタン酸バリウム系素材のほかに鉛系複合
ペロブスカイト系素材が高誘電率系素材として知られて
いる。この材料はJISのF特性相当で誘電率2500
0程度を示し興味ある材料として実用化の検討がひろく
行われてきている。但しこの材料は、機械的強度がとれ
ない、鉛の揮発等が問題となり焼成が難しい、めっき液
によって絶縁劣化をおこしやすいなど問題点の多い材料
でもある。
【0006】しかしながら、高誘電率を有すること、ま
た、一般に1000℃から1200℃程度で焼成できる
ことなどの利点があげられ、積層セラミックコンデンサ
の内部電極を従来のパラジウム100%からパラジウム
−銀合金、銀100%で置き換えることができるため、
高誘電率で内部電極を多く必要とする1μF以上の比較
的高容量の素子で実用化されてきた。
【0007】また、一般に鉛系複合ペロブスカイト系素
材はバイアス電界による誘電率の減少が小さくチタン酸
バリウム系素材に比べて約半分程度である。上述したよ
うな小型高容量化への要求に対応する材料としても鉛系
複合ペロブスカイト系材料が注目されてきている。
【0008】チタン酸バリウムは逐次相転移を示し、−
10℃付近と+120℃付近で相転移が起き、これに対
応して誘電率のピークもこの温度付近で2回極大値を持
つ。
【0009】これに適当に添加物、また、コアシェル構
造等の組成不均一構造を組み合わせることによって、X
7R特性、B特性(温度範囲−25〜+85℃で容量偏
差が±10%以内)などの温度依存性の少ない材料で誘
電率5000程度の特性を示している。
【0010】一方、鉛系複合ペロブスカイト系材料の場
合、一般に逐次相転移を示さず、誘電率のピークも1回
の極大値を示すだけである為、チタン酸バリウム系素材
と違って、X7R特性、B特性で高誘電率の特性を示す
のは困難と考えられていた。
【0011】尚、コアシェル構造については、日本セラ
ミックス協会1991年会講演予講集2C34,pp2
66、日本電子工業会新機能複合電子材料研究会平成3
年度第4回研究会資料2に報告があるがX7RまたはB
特性を満たすほどの温度特性の平坦化は行われてなく、
また、誘電率についての記載も見られない。
【0012】このような状況から鉛系複合ペロブスカイ
ト系誘電体についてこの材料の利点と、誘電率の温度特
性が平坦で誘電率の大きいことを合わせ持つ磁器組成物
が求められている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】Pb(Mg1 /3Nb
2/3 )O3 −PbTiO3 −Pb(Mg1/2 1/2 )O
3鉛系複合ペロブスカイト系素材を用い温度変化率の少
ない誘電体磁器組成物を得ようとする場合、一般に誘電
率が2000〜3000程度まで減少するという問題が
あった。
【0014】本発明はPb(Mg1 /3Nb2/3 )O3
PbTiO3 −Pb(Mg1/2 1/ 2 )O3 鉛系複合ペ
ロブスカイト系素材を用いて誘電率を著しくそこなうこ
とのなく、温度変化率の少ない、合わせて鉛系複合ペロ
ブスカイト系素材の利点を持つ誘電体磁器組成物を提供
することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、マグネ
シウムニオブ酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムタングス
テン酸鉛からなる組成物〔Pb(Mg1 /3Nb2/3 )O
3 ,PbTiO3 ,Pb(Mg1/2 1/2 )O3 〕にお
いて、以下の組成点A=(50,30,20)、B=
(40,40,20)、C=(30,40,30)、D
=(30,30,40)、E=(40,20,40)、
F=(50,20,30)、で表される六角形の内部ま
たは線上の範囲の主組成に、添加物としてWO3 を主組
成に対して1〜10重量部添加したことを特徴とする誘
電体磁器組成物である。
【0016】また、好ましくは、前記誘電体磁器組成物
の結晶粒径が0.5μm以上、10μm以下である誘電
体磁器組成物である。
【0017】また本発明は、誘電体磁器組成物の製造方
法において、材料成分がマグネシウムニオブ酸鉛、チタ
ン酸鉛、マグネシウムタングステン酸鉛からなる組成物
〔Pb(Mg1 /3Nb2/3 )O3 ,PbTiO3 ,Pb
(Mg1/2 1/2 )O3 〕において、以下の組成点A=
(50,30,20)、B=(40,40,20)、C
=(30,40,30)、D=(30,30,40)、
E=(40,20,40)、F=(50,20,3
0)、で表される六角形の内部または線上の範囲の主組
成に、添加物としてWO3 を主組成に対して1〜10重
量部添加した組成からなり、当該材料成分を、所望の組
合せで混合、粉砕、成形、および焼成する各工程を含
み、且つ、前記焼成工程を1100℃〜1200℃の温
度範囲で行うことを特徴とする誘電体磁器組成物の製造
方法である。
【0018】また、前記材料成分のうち複合ペロブスカ
イトのBサイト成分(Mg,Nb,Ti,W)の一種以
上の元素を含む材料成分を、混合し、熱処理して、複合
酸化物を予め生成し、その後他の材料成分を加えて所望
の最終組成とすることを特徴とする誘電体磁器組成物の
製造方法である。
【0019】更に本発明は、鉛系複合ペロブスカイトを
主成分とする磁器組成物において、ペロブスカイト結晶
粒内の芯部と側部との間に構成元素WとNbの不均一分
布(コア−シェル構造)を伴う誘電体磁器組成物であ
る。
【0020】更に本発明は、鉛系複合ペロブスカイトを
主成分とする磁器組成物において、ペロブスカイト結晶
粒内の芯部と側部との間に構成元素の不均一分布があ
り、最大濃度と最小濃度の差が最大濃度の20%以上で
ある誘電体磁器組成物である。
【0021】また好ましくは、前記ペロブスカイト結晶
粒の結晶粒径が0.5μm以上、10μm以下である鉛
系複合ペロブスカイトを主成分とする誘電体磁器組成物
である。
【0022】
【作用】鉛系複合ペロブスカイトを主成分とする誘電体
磁器組成物において、ペロブスカイト結晶粒内の芯部と
側部との間に元素分布の不均一構造(コア−シェル構
造)を形成させることにより、誘電率を著しく低下させ
ることなく、誘電率の温度特性を平坦化させることがで
きる。
【0023】また、結晶粒径成長を抑制することにより
絶縁抵抗の劣化を防止しうる。
【0024】
【発明の具体的構成】
【0025】
【組成】本発明は、鉛系複合ペロブスカイトを主成分と
する誘電体磁器組成物において、誘電率を著しく低下さ
せることなく、誘電率の温度特性を平坦化させることを
特徴とする。
【0026】本発明で用いる誘電体磁器組成物の主組成
としては下記のものが使用できる。
【0027】即ち、マグネシウムニオブ酸鉛、チタン酸
鉛、マグネシウムタングステン酸鉛からなる組成物〔P
b(Mg1 /3Nb2/3 )O3 −PbTiO3 −Pb(M
1/21/2 )O3 〕において、以下の組成点A=(5
0,30,20)、B=(40,40,20)、C=
(30,40,30)、D=(30,30,40)、E
=(40,20,40)、F=(50,20,30)、
で表される六角形の内部または線上の範囲を主組成とす
るもの(図1に表示の範囲)である。
【0028】Pb(Mg1 /3Nb2/3 )O3 −PbTi
3 −Pb(Mg1/2 1/2 )O3の組成系の場合は、
上記組成範囲外であると温度依存性が著しく損なわれた
り、また、誘電率が著しく減少したりするためである。
【0029】また、より好ましい組成範囲としては、
(40,30,30)、(43,27,30)、(4
0,27,33)であらわされる三角系の内部の範囲で
ある。
【0030】また、本発明においては、上記の主組成に
対しWO3 を過剰に添加することを特徴とする。このW
3 の過剰添加により誘電体磁器組成物中に元素分布の
不均一な構造(コア−シェル構造)を実現すると考えら
れる。
【0031】WO3 の添加量は、前記の主組成に対し1
〜10重量部の範囲とする。WO3の添加量が1重量部
未満だと温度特性の平坦化が不十分となり、また、10
%をこえると誘電率の著しい減少を招くためである。ま
た、より好ましいWO3 の添加量は2〜5重量部の範囲
である。
【0032】
【微細組織】本発明は、誘電体磁器組成物の微細構造に
特徴を有する。チタン酸バリウム系磁器組成物では、コ
ア−シェル構造によって誘電率の温度特性の平坦化が実
現されていることが知られているが、本発明の複合ペロ
ブスカイト誘電体磁器組成物についてもこの構造が実現
されていることがわかった。
【0033】前述の先行技術文献にもTiがMg,N
b、Wと分離することの指摘がなされかたが、これらで
はX7RまたはB特性を満たす程の温度特性の平坦化は
生じていなかった。
【0034】他方、本発明の磁器組成物においては、N
bとWの間にも強い分離の傾向が認められ、ペロブスカ
イト結晶粒内の芯部と側部との間に構成元素WとNbの
不均一分布が生じ、実質的にコア−シェル構造が形成さ
れていることがわかった。
【0035】更にこの場合に、誘電率を極度に損ねるこ
とのなく、誘電率の温度特性の平坦化がなされることを
発見した。このコアシェル状の濃淡は、後述の実施例よ
り、温度特性の平坦化が行われる場合に限って確認さ
れ、チタン酸バリウムの場合と同様にコア−シェル構造
の実現によって、誘電率温度特性の平坦化が行われたも
のと解釈できる。
【0036】ここで、ペロブスカイト結晶粒内の芯部と
側部との間に構成元素不均一分布は、最大濃度と最小濃
度の差で表したとき最大濃度の20%以上であることが
好ましい。上記のような濃度変化が認められる場合に、
特に温度特性の改善がみられた。また、より好ましくは
40%以上、更に好ましくは50%以上の不均一分布が
あることが望ましい。尚、ここでの濃度分析は、EPM
Aによる元素分布状態の解析により調べることができ
る。
【0037】
【結晶粒径】また、本発明の誘電体磁器組成物において
は、その結晶粒径が0.5μm〜10μmの範囲である
ことが好ましく、0.8μm〜5μmの範囲がより好ま
しい。
【0038】結晶粒成長は一般的に絶縁抵抗の劣化をと
もない誘電体磁器組成物として好ましくなく、また、積
層セラミックコンデンサに応用する場合、薄層化の障害
となる為である。他方、結晶粒径が小さすぎる場合には
誘電率の減少が生じる為である。
【0039】本発明の組成において、WO3 の添加は粒
成長を抑制する効果もあり、前記のコア−シェル構造の
生成と同時に結晶粒径を10μm以下に抑えることがで
きる。
【0040】
【製造方法】本発明の誘電体磁器組成物は次のような工
程を経て得られる。すなわち、酸化物等の形で出発原料
を前記の組成範囲内の所望の組成に秤量し、ボールミル
等で混合・粉砕した後、乾燥し、必要により溶媒やバイ
ンダ成分を加えた上で印刷法、ドクターブレード法、プ
レス法等により所望の形に成形し、焼成を行う。
【0041】この場合の焼成温度は、通常1100℃〜
1200℃、より好ましくは1130℃から1180℃
の温度範囲で行う。この焼成温度より低い場合には温度
特性の平坦化が進まず、また、この温度より高い場合に
は磁器組成物の溶融が始まり好ましくない為である。
【0042】また上記の製造方法において、出発原料を
生調合し最終組成を合成することもできるが、より好ま
しくは、複合ペロブスカイトのBサイト成分(Mg,N
b,Ti,W)となるものの少なくとも1種を含んだ出
発原料を先に熱処理し、複合酸化物の形に合成してお
き、これに残りの原料(PbO等)を加えて最終組成物
を合成することが望ましい。
【0043】これは、Bサイト成分の熱処理を先に行わ
ないで、生調合で磁器組成物を作成した場合でも、温度
特性の平坦化は図られるが、この場合には誘電率の減少
が見られることがあるためである。
【0044】この誘電率の低下の原因は、Bサイト成分
中のNbやMgの作用によるものと考えられる。生調合
で行う場合には、組成中のNbとPbが反応して誘電率
の低いPb3 Nb4 13等のニオブ酸鉛を生成したり、
混合・粉砕時に比重の軽いMgが均一分散されずに誘電
率の低下を招くものと考えられる。
【0045】故に先に合成すべき複合化合物としては、
少なくともNbを含むニオブ化合物、より好ましくはN
bとMgを含む複合化合物であることが好ましい。尚、
ここでの複合酸化物はBサイト成分の全てを含む必要は
必ずしもなく、その一部の成分を含むものでも良い。
【0046】上記の複合酸化物の生成は、構成成分の
内、Bサイト成分(Pb以外の成分)の少なくとも1種
を含む出発原料を、所定量秤量し混合、粉砕を経て熱処
理を加えることにより行うことができる。この熱処理の
温度は、通常500°C〜1200°C、好ましくは8
00°C近傍の温度範囲で行う。
【0047】
【実施例】出発原料にPbO、MgO、Nb2 5 、T
iO、WO3 を用いた。各々の酸化物についてPbO、
過剰のWO3 に対応する分をのぞいた分(Bサイト相当
分)を秤量の後、ジルコニアボールとともに24時間純
水中で粉砕混合を行った。
【0048】乾燥の後1000℃、2時間の熱処理を施
し中間組成物を得た。中間組成物を再度ジルコニアボー
ルとともに24時間純水中で粉砕混合を行い乾燥を経て
粉体とした。得られた粉体に所定量のPbOと過剰分の
WO3 を秤量、添加し同様にジルコニアボールとともに
24時間純水中で粉砕混合を行った。乾燥後800℃2
時間の条件で仮焼し、同様の粉砕、乾燥を経て目的の組
成の粉体を得た。
【0049】この粉体にPVAを添加しプレス成形を施
し、後記の表1〜表3に記載した焼成温度にて焼結させ
磁器組成物を得た。得られた磁器組成物に600℃で銀
電極を焼き 付け試料とした。試料は円盤状で電極直径
は8.5mm、電極間距離は0.7mm〜1.5mm
で、誘電特性の評価はインピーダンスアナライザ、絶縁
抵抗は超絶縁抵抗計、粒径評価は走査型顕微鏡を用いた
破断面の観察によってそれぞれ行った。比誘電率の温度
変化率は20℃の誘電率からの偏差(%)で示した。
【0050】後記の表1〜表3より明らかなように、発
明範囲外の組成では誘電率の温度特性が著しく劣ること
がわかる。また、WO3 を添加しない場合には温度特性
が劣るほかに粒径が大きくなり、また、絶縁抵抗が低下
する。WO3 を15%添加した場合には誘電率の著しい
低下が起こる。これらよりWO3 の添加量は1ないし1
0%、好ましくは2ないし5%であることがわかる。
【0051】焼成温度については温度が高ければ高いほ
ど温度特性の平坦化の傾向があるが1200℃で一部の
組成に溶融の兆候が見られる。このことを考慮すると焼
成温度は1100℃ないし1200℃が好ましいと思わ
れる。
【0052】図2および図3に示す写真は、組成比(4
3、27、30)にWO3 をそれぞれ5%、2%添加し
1150℃で焼成した場合の組成像であるが、コアシェ
ル状に濃淡が現れている。このコアシェル状の濃淡は温
度特性の平坦化が行われる場合に限って確認され、チタ
ン酸バリウムの場合と同様にコアシェル構造の実現によ
って温度特性の平坦化が行われたと解釈できる。
【0053】図4および図5にこれら試料についてEP
MAによって定量分析を行った結果を示す。図4は、組
成比(43,27,30)にWO3 を5%添加し115
0℃で焼成したものであり、図5は、同じ主組成にWO
3 を2%添加し1150℃で焼成したものである。
【0054】各々の場合コア−シェル状にW,Nb,T
iで濃度分布のあることがわかった。言い替えればNb
とTiが集まり、Wがこれらと分離する事になる。
【0055】また、試料によってコア部とシェル部で構
成元素比が逆転することも観察された。即ち、WO3
5%添加の図4の例では、ペロブスカイト結晶粒の中心
部でWの濃度が高くなり、Ti,Nbの濃度が減少して
いる。他方、WO3 =2%添加の図5の例では、逆に結
晶粒の中心部でTi,Nbの濃度が高くなり、Wの濃度
が減少している。
【0056】図に示した組成物の場合、Wについてコア
部とシェル部で20ないし50%以上の濃度変化が認め
られた。また、著しく温度特性の改善の見られない試料
については濃度の変化は有意差が認められるほどには観
測されなかった。したがって、著しく温度特性の改善さ
れるためには構成元素の間でコア部とシェル部で20%
以上、好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以
上の不均一分布があることが望ましい。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば誘電率を著しく低下させ
ることのなく、温度による誘電率の変化を著しく小さく
抑えることができる。また、鉛系複合ペロブスカイト系
材料の特徴である低温焼成により安価な内部電極を使用
することができ、バイアス電界によっても誘電率の低下
の少ない積層セラミックコンデンサの誘電体として優れ
た磁器組成物を得ることができる。
【0061】
【図面の簡単な説明】 図1は、本発明の主組成を示す3元組成図。図2は、本
発明のペロブスカイト結晶粒のコア−シェル構造をしめ
す走査顕微鏡写真(WO3 =5%添加組成)。図3は、
本発明のペロブスカイト結晶粒のコア−シェル構造をし
めす走査顕微鏡写真(WO3 =3%添加組成)。図4
は、本発明のコア−シェル構造部元素分布状態を示すの
EPMAグラフ(WO3 =5%添加組成)。図5は、本
発明のコア−シェル構造部元素分布状態を示すのEPM
Aグラフ(WO3 =3%添加組成)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01G 4/12 415

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウムニオブ酸鉛、チタン酸鉛、マ
    グネシウムタングステン酸鉛からなる組成物〔Pb(M
    1 /3Nb2/3 )O3 ,PbTiO3 ,Pb(Mg1/2
    1/2 )O3 〕において、以下の組成点A=(50,3
    0,20)、B=(40,40,20)、C=(30,
    40,30)、D=(30,30,40)、E=(4
    0,20,40)、F=(50,20,30)、で表さ
    れる六角形の内部または線上の範囲の主組成に、添加物
    としてWO3 を主組成に対して1〜10重量部添加した
    ことを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】前記誘電体磁器組成物の結晶粒径が0.5
    μm以上、10μm以下である請求項1に記載の誘電体
    磁器組成物。
  3. 【請求項3】誘電体磁器組成物の製造方法において、材
    料成分がマグネシウムニオブ酸鉛、チタン酸鉛、マグネ
    シウムタングステン酸鉛からなる組成物〔Pb(Mg
    1 /3Nb2/3 )O3 ,PbTiO3 ,Pb(Mg1/2
    1/2 )O3 〕において、以下の組成点A=(50,3
    0,20)、B=(40,40,20)、C=(30,
    40,30)、D=(30,30,40)、E=(4
    0,20,40)、F=(50,20,30)、で表さ
    れる六角形の内部または線上の範囲の主組成に、添加物
    としてWO3 を主組成に対して1〜10重量部添加した
    組成からなり、当該材料成分を、所望の組合せで混合、
    粉砕、成形、および焼成する各工程を含み、且つ、前記
    焼成工程を1100℃〜1200℃の温度範囲で行うこ
    とを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】前記材料成分のうち複合ペロブスカイトの
    Bサイト成分(Mg,Nb,Ti,W)の一種以上の元
    素を含む材料成分を、混合し、熱処理して、複合酸化物
    を予め生成し、その後他の材料成分を加えて所望の最終
    組成とすることを特徴とする請求項3に記載の誘電体磁
    器組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】鉛系複合ペロブスカイトを主成分とする磁
    器組成物において、ペロブスカイト結晶粒内の芯部と側
    部との間に構成元素WとNbの不均一分布を伴う誘電体
    磁器組成物。
  6. 【請求項6】鉛系複合ペロブスカイトを主成分とする磁
    器組成物において、ペロブスカイト結晶粒内の芯部と側
    部との間に構成元素の不均一分布があり、最大濃度と最
    小濃度の差が最大濃度の20%以上である誘電体磁器組
    成物。
  7. 【請求項7】前記ペロブスカイト結晶粒の結晶粒径が
    0.5μm以上、10μm以下である請求項5または請
    求項6に記載の誘電体磁器組成物。
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