JP3595146B2 - 誘電体磁器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体磁器に関するものであり、誘電率の温度変化率が小さい積層セラミックコンデンサ等に用いられるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体磁器に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に、コンデンサなどに使用される誘電体材料には、高い比誘電率が要求されることは勿論のこと、誘電損失が小さく、比誘電率の温度特性が良好であり、直流電圧に対する誘電特性の依存性が小さい等の種々の要求を満足させる必要がある。
【0003】
一方、近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、コンデンサ等の電子部品の小型化、大容量化の要求が高まってきている。この様な要求に応えるために、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共に、小型化を図る必要が生じている。誘電体層を薄層化するためには誘電体層を構成する結晶粒子の粒径を小さくする必要があるが、公知の誘電体材料であるチタン酸バリウム(BaTiO3 )系材料では、粒径を小さくすると比誘電率が低下するので層数を増やすことで大容量化が図られている。
【0004】
温度特性が良好な誘電体磁器としてはジルコニアなどを添加したコア−シェル構造を有するチタン酸バリウム系材料が知られており、添加物による粒成長抑制効果により結晶の平均粒経が1μm以下で、−25℃〜85℃の範囲で±10%以内の小さな温度変化率を示す、温度特性のよい誘電体磁器が作製されている。しかしながら、これらの材料では比誘電率が約3000と小さく、薄層化の為の結晶粒子の微粒化により、比誘電率がさらに低下する。
【0005】
一方、2種以上の金属からなる複合ペロブスカイト酸化物であるPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 (以下、PMNと記載することもある)は室温で10000を超える大きな比誘電率を有するため、コンデンサ材料として有用であることが知られている。この材料は通常の焼成では1000℃以上の温度で焼成した場合に緻密となる材料で、比誘電率の高い材料を作製することができる。
【0006】
ペロブスカイト複合酸化物を用いた比誘電率の温度変化率の小さい材料としては、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 −Pb(Mg1/2 W1/2 )O3 にWO3 を過剰に添加したり(特開平5−290625号公報)、鉛系複合化合物の化学量論組成に対してPb化合物やMgなどの金属化合物を過剰に添加する(特開平5−238821号公報)ことにより、コア−シェル構造を形成する方法があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 系誘電体磁器は、比誘電率の温度特性が悪い(比誘電率の温度変化率が−25〜85℃の範囲で数10%)という問題点があった。さらに、薄層化のため結晶粒子の微粒子化によっても比誘電率の低下は小さいが、比誘電率の温度特性が悪くなるという問題があった。
【0008】
そして、比誘電率を向上させるために、PMNにPbTiO3 (以下、PTと記載することもある)を固溶させた誘電体磁器も知られているが、この材料も、通常の焼成方法で作製したものでは比誘電率は高いが、PMNにPTが完全に固溶しているので、比誘電率の温度特性が悪いという問題があった。
【0009】
また、特開平5−290625号公報や特開平5−238821号公報では、比誘電率の温度特性を改善するために鉛系複合ペロブスカイト化合物にWなどの化合物を過剰添加し、コア−シェル構造を形成する方法が報告されているが、この場合には比誘電率が低下するために、高い比誘電率を得るためには粒径を大きくする必要があり、誘電体層の薄層化が困難であった。
【0010】
近年においては、温度特性が良好な積層コンデンサをさらに小型化、大容量化することが望まれており、このため、比誘電率がコア−シェル構造を有するチタン酸バリウムの比誘電率より大きく、誘電体磁器の結晶粒子を0.2〜1μmに微粒子化してもそれほど比誘電率が低下することなく、比誘電率の温度特性がコア−シェル構造を有するチタン酸バリウムと同様に良好な誘電体磁器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体磁器は、金属元素として少なくともPb、Ni、NbおよびTiを含有する平均粒径0.2〜1.0μmのペロブスカイト型結晶粒子からなる誘電体磁器であって、前記ペロブスカイト型結晶粒子がコア部とその周囲を取り囲むシェル部とからなり、前記金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在するものである。
【0012】
ここで、コア部およびシェル部がPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 とPbTiO3 との固溶体からなることが望ましい。また、このような誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、yが0.10〜0.30であることが望ましい。
【0013】
また、コア部がPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 の固溶体、シェル部がPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 とPbTiO3 との固溶体からなることが望ましい。このような誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30であることが望ましい。Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 はPNNと記載することもある。
【0014】
【作用】
従来の焼成法によるPMN−PT系の誘電体材料においては、一般に磁器密度を高めるため、焼成温度は1000℃以上が必要であり、焼成時にペロブスカイト型結晶粒子の粒成長が見られるため、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径は少なくとも1μmより大きくなる。このため、誘電体磁器厚みが5μm以下の薄層化は困難であった。
【0015】
本発明の誘電体磁器では、ペロブスカイト型結晶粒子の平均結晶粒径を0.2〜1.0μmと小さくすることができ、これにより、誘電体磁器を厚み5μm以下に薄層化することができ、積層コンデンサを作製した場合には、静電容量を向上できると共に、小型化が可能となる。
【0016】
また、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.2〜1.0μmと小さいが、磁器密度が高いため、ポア等による見掛け上の比誘電率の低下が抑えられ、材料そのものの特性が得られ、比誘電率が比較的高くなる。また、粒子サイズが小さくなることにより体積に対する表面積の占める割合が大きくなり、応力が作用することにより、比誘電率が多少小さくなるが、比誘電率の温度変化率は小さくなり、比誘電率の温度特性は良好となる。
【0017】
そして、本発明の誘電体磁器では、ペロブスカイト型結晶粒子がコア部とその周囲を取り囲むシェル部からなり、金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在し、PNN−PT粒子にPTが不完全に固溶したコア−シェル構造や、PMN−PNN粒子にPTが不完全に固溶したコア−シェル構造を形成するため、比誘電率の温度特性のカーブは、PT濃度の異なる2種類のPNN−PTによるカーブを重ね合せたものや、PMN−PNNによるカーブとPMN−PNN−PTのカーブを重ね合せたものとなり、高い比誘電率を保ったまま、上記微粒子化と相まって従来の焼成法によるPMN−PTより比誘電率の温度特性が飛躍的に向上できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体磁器は、金属元素として少なくともPb、Ni、NbおよびTiを含有する平均粒径0.2〜1.0μmのペロブスカイト型結晶粒子からなる誘電体磁器であって、図1(a)に示すように、ペロブスカイト型結晶粒子1がコア部2とその周囲を取り囲むシェル部3からなり、金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在するものである。尚、図1(a)は磁器の模式図、図1(b)は、図1(a)のペロブスカイト型結晶粒子1の模式図である。
【0019】
形態1
誘電体磁器の一形態としては、例えば、磁器全体の組成が、磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、yが0.10〜0.30のものがある。
【0020】
この形態の誘電体磁器はペロブスカイト型結晶粒子がいわゆるコア−シェル構造を有するものであり、完全に固溶したPNN−PTにさらにPTが不完全に固溶したコア−シェル構造を有している必要がある。即ち、シェル部3におけるPT濃度がコア部2よりも高いのである。シェル部3におけるPNN−PTとPTの固溶状態は、粒子ごとに異なる場合が多い。
【0021】
この形態の誘電体磁器では、コア部2もシェル部3も主にPNNとPTの固溶体からなり、その他の元素が微量固溶する場合もある。金属元素Tiは、コア部2に比較してシェル部3に密に存在する。
【0022】
本発明の誘電体磁器では、PNNとPTが完全固溶した粒子が存在する場合がある。完全固溶した粒子は特に微粒子の場合が多い。
【0023】
本発明の誘電体磁器は、機械的強度および信頼性向上のためには相対密度が95%以上、特には97%以上であることが望ましい。
【0024】
また、本発明の誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、y が0.10〜0.30であることが望ましい。これは、xが0.10よりも少ない場合にはコア部の構成相による温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、xが0.16よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、また、yが0.10よりも少ない場合にはシェル部の構成相による温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、yが0.30よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、いずれの場合も比誘電率の温度特性の向上効果が小さいからである。
【0025】
本発明の誘電体磁器を製造するには、例えば、平均粒径が0.1〜0.3μmのPT粉末と、平均粒径が0.2〜0.5μmのPNN粉末もしくはPbO粉末とNiNb2 O6 粉末を先ず熱処理により完全固溶させ、粉砕を行い平均粒径が0.2〜0.5μmのPNN−PT固溶体粉を作製し、さらに、平均粒径が0.1〜0.3μmのPT粉末を再度添加し、ホットプレス焼成、熱間静水圧焼成(HIP)等の圧力下で焼成を行う。このとき、本発明の誘電体磁器を作製するためには、固溶のための熱処理条件を温度800〜900℃、保持時間を1〜3時間とし、加圧焼成の条件を温度700〜900℃、圧力50MPa以上、保持時間を0.5時間以上とし、コア−シェル粒子数の増加という点から10時間以内とする必要がある。
【0026】
固溶の為の熱処理温度が800℃よりも低い場合や保持時間が1時間よりも短い場合には完全に固溶が進まず、PNN−PT固溶体による温度特性のピークが低くなるからである。また、熱処理温度900℃よりも高い場合や保持時間が3時間より長い場合にはパイロクロア相が出現し、温度特性のピークが低くなると共に、粒成長が起こるため、後の粉砕行程の効率が低下するためである。
【0027】
加圧焼成の温度が700℃よりも低い場合や、焼成時間が0.5時間より短い場合、また圧力が50MPaよりも低い場合には焼結不足となり、高い比誘電率の材料が得られないからである。また、焼成温度が900℃よりも高い場合や、焼成時間が長い場合はPNN−PT固溶体と後から添加したPTの固溶が進みすぎ、比誘電率の温度特性が悪くなるからである。
【0028】
形態2
本発明の誘電体磁器の他の形態としては、磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30のものがある。
【0029】
この形態の誘電体磁器も、図1に示したようにペロブスカイト型結晶粒子がいわゆるコア−シェル構造を有するものであり、完全に固溶したPMN−PNNにPTが不完全に固溶した(Tiが主としてシェル部に存在する)コア−シェル構造を有している必要がある。即ち、シェル部におけるPT濃度がコア部よりも高いのである。シェル部におけるPMN−PNNとPTの固溶状態は、粒子ごとに異なる場合が多い。
【0030】
コア部は主にPMNとPNNの固溶体からなり、Tiやその他の元素が微量固溶する場合もある。シェル部はPMNとPNNとPTの固溶体からなるもので、他の元素が微量固溶する場合もある。金属元素Tiは、コア部には殆ど存在せず、シェル部に密に存在する。
【0031】
本発明の誘電体磁器では、PMNとPNNとPTが完全固溶した粒子が存在する場合がある。完全固溶した粒子は特に微粒子の場合が多い。
【0032】
本発明の誘電体磁器は、機械的強度および信頼性向上のためには相対密度が95%以上、特には97%以上であることが望ましい。
【0033】
また、本発明の誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30であることが望ましい。これは、aが0.05よりも少ない場合にはPMN−PNNによる温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、aが0.45よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、また、bが0.10よりも少ない場合にはPMN−PNN−PTによる温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、bが0.30よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、いずれの場合も比誘電率の温度特性の向上効果が小さいからである。
【0034】
本発明の誘電体磁器を製造するには、例えば、平均粒径が0.2〜0.5μmのPMN粉末と、PNN粉末もしくはPbO粉末とNiNb2 O6 粉末を先ず熱処理により完全固溶させ、粉砕を行い平均粒径が0.2〜0.5μmのPMN−PNN固溶体粉を作製し、さらに、平均粒径が0.1〜0.3μmのPT粉末と共にホットプレス焼成、熱間静水圧焼成(HIP)等の圧力下で焼成を行う。このとき、本発明の誘電体磁器を作製するためには、固溶のための熱処理条件を温度800〜900℃、保持時間を1時間から3時間とし、加圧焼成の条件を温度700〜900℃、圧力50MPa以上、保持時間を0.5時間以上とし、コアシェル粒子数の増加という点から10時間以内とする必要がある。
【0035】
固溶の為の熱処理温度が800℃よりも低い場合や保持時間が1時間よりも短い場合には完全には固溶が進まず、PMN−PNN固溶体による温度特性のピークが低くなるからである。また、熱処理温度900℃よりも高い場合や保持時間が3時間より長い場合にはパイロクロア相が出現し、温度特性のピークが低くなると共に、粒成長が起こるため、後の粉砕行程の効率が低下するためである。
【0036】
加圧焼成の温度が700℃よりも低い場合や、焼成時間が0.5時間より短い場合、また圧力が50MPaよりも低い場合には焼結不足となり、高い比誘電率の材料が得られないからである。また、焼成温度が900℃よりも高い場合や、焼成時間が長い場合はPMN−PNN固溶体とPTの固溶が進みすぎ、比誘電率の温度特性が悪くなるからである。
【0037】
【実施例】
実施例1
市販のPbO粉末(粒径0.2μm)と市販のNiNb2 O6 粉末(粒径0.15μm)と市販のPT粉末(粒径0.1μm)をモル比による組成式(1−x)PNN−xPTにおいてxが表1に示す値となるように混合し、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合を行った。
【0038】
この混合粉をアルミナるつぼ中に入れ、アルミナ板で蓋をし表1に示す温度、時間で熱処理を行いPNNとPTの完全固溶体粉を作製した。
得られた完全固溶体粉をアルミナ乳鉢で粗粉砕した後、モル比による組成式(1−y)((1−x)PNN−xPT)−yPTにおいてyが表1に示す値となるように市販のPT(粒径0.1μm)を再度加え、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合粉砕を行った。
【0039】
この混合粉を圧力980MPaでプレス成形し、厚み約2mm、直径約10mmの円板状成形体を得た。次にこの成形体を、大気中において、表1に示す温度、圧力、時間でホットプレス処理した。このようにして得られた焼結体を試料とした。
【0040】
磁器密度をアルキメデス法により測定し、相対密度で表わした。平均粒径および密度を表2に示した。また、得られた焼結体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、結晶形状は略球状であった。また、インターセプト法で平均結晶粒径を求めた。
【0041】
また、各試料についてX線回折測定(XRD)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイト型酸化物のピークが確認された。また、本発明の試料ではXRDスペクトルの高角度側ではピークが広がりを持っており、格子定数が極わずか異なる多種の結晶からのピークが重なっていることがわかった。表1の試料No.3、9およびPMNのX線回折測定結果を図2に示した。
【0042】
透過電子顕微鏡(TEM)およびTEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により、結晶粒子が、コア部、シェル部がTi濃度の異なるPNN−PT固溶体からなるコア−シェル構造を有しているか確認し、その結果を表2に記載した。さらに、この観察から、コア部よりもシェル部のPT濃度が高く(Tiが多く存在し)、コア部、シェル部ともにPT濃度は粒子ごとにばらついており、粒径が0.05μm以下の粒子では粒子全体がPNN−PT固溶体であることがわかった。明視野像にドメインが見られることから、シェル部は通常の強誘電体であり、電子回折像に超格子ピークが観察されることから、コア部はリラクサー強誘電体であることがわかった。ただし、全体のPT濃度が低い材料ではシェル部もリラクサー強誘電体になる場合もある。
【0043】
さらに、誘電特性の評価は、上記試料の上下面にIn−Gaペーストを塗布して電極とし、各種誘電特性の測定を行った。測定はLCRメーターによって行い、測定周波数f=1kHz、印加電圧1Vrms とした。室温での比誘電率、さらに−55℃から150℃までの温度範囲での比誘電率の変化率を測定した。
【0044】
比誘電率の温度変化率TCC(%)は、T℃の比誘電率をKT とし、25℃の比誘電率をK25とした時、(KT −K25)×100/K25で求めた。25℃における比誘電率および−25℃と85℃での比誘電率の温度変化率を表2に記載し、試料No.3の比誘電率の温度変化率(%)を図3に記載した。図3にPMNの結果も示した。PMNでは比誘電率は高いが温度特性が悪いことがわかる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表1、表2および図1乃至図3より判るように、一定の条件下におけるホットプレス処理により作製した本発明の試料は、磁器密度が95%以上で、かつ、結晶の平均粒径が0.2〜1.0μmである。さらに、比誘電率3500以上の高誘電率を有し、また、−25℃から85℃までの温度範囲での比誘電率の温度変化率は、+10%未満、かつ、−20%未満であるのに対して、比較例では比誘電率は9500程度と非常に高誘電率であるものの、−25℃と85℃の比誘電率の温度変化率はそれぞれ−61.2%、−41.8%であり、大きいことが判る。しかも、この組成物では、−25℃〜85℃の変化率の最大値が+40%程度、最小値が−70%程度と大きかった。
【0048】
実施例2
市販のPMN粉末(粒径0.2μm)と市販のPbO粉末(粒径0.2μm)と市販のNiNb2 O6 粉末(粒径0.15μm)をモル比による組成式(1−a)PMN−aPNNにおいてaが表3に示す値となるように混合し、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合を行った。
【0049】
この混合粉をアルミナるつぼ中に入れ、アルミナ板で蓋をし表3に示す温度、時間で熱処理を行いPMNとPNNの完全固溶体粉を作製した。
【0050】
得られた完全固溶体粉をアルミナ乳鉢で粗粉砕した後、モル比による組成式(1−b)((1−a)PMN−aPNN)−bPTにおいてbが表3に示す値となるように市販のPT(粒径0.1μm)を加え、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合粉砕を行った。
【0051】
この混合粉を圧力980MPaでプレス成形し、厚み約2mm、直径約10mmの円板状成形体を得た。次にこの成形体を、大気中において、表3に示す温度、圧力、時間でホットプレス処理した。このようにして得られた焼結体を試料とした。
【0052】
磁器密度をアルキメデス法により測定し、相対密度で表わした。平均粒径および密度を表4に示した。また、得られた焼結体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、結晶形状は略球状であった。また、インターセプト法で平均結晶粒径を求めた。
【0053】
また、各試料についてX線回折測定(XRD)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイト型酸化物のピークが確認された。また、本発明の試料ではXRDスペクトルの高角度側ではピークが広がりを持っており、格子定数が極わずか異なる多種の結晶からのピークが重なっていることがわかった。表3の試料No.11、18およびPMNのX線回折測定結果を図4に示した。
【0054】
透過電子顕微鏡(TEM)およびTEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により、結晶粒子が、コア部がPMN−PNN固溶体、シェル部がPMN−PNN−PT固溶体からなるコア−シェル構造を有しているか確認し、その結果を表4に記載した。さらに、この観察から、シェル部のPT濃度は粒子ごとにばらついており、粒径が0.05μm以下の粒子では粒子全体がPMN−PNN−PT固溶体であることがわかった。電子回折像に超格子ピークが観察されることから、コア部、シェル部ともにリラクサー強誘電体であることがわかった。ただし、全体のPT濃度が高い材料ではシェル部は強誘電体ドメインを有する通常の強誘電体になる場合もある。
【0055】
さらに、誘電特性の評価は、上記試料の上下面にIn−Gaペーストを塗布して電極とし、各種誘電特性の測定を行った。測定はLCRメーターによって行い、測定周波数f=1kHz、印加電圧1Vrms とした。室温での比誘電率、さらに−55℃から150℃までの温度範囲での比誘電率の変化率を測定した。
【0056】
比誘電率の温度変化率TCC(%)は、T℃の比誘電率をKT とし、25℃の比誘電率をK25とした時、(KT −K25)×100/K25で求めた。25℃における比誘電率および−25℃と85℃での比誘電率の温度変化率を表4に記載し、試料No.11の比誘電率の温度変化率(%)を図5に記載した。図5にはPMNの結果も示した。PMNは高比誘電率だが温度特性が悪いことがわかる。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
表3、表4および図4乃至図5より判るように、一定の条件下におけるホットプレス処理により作製した本発明の試料は、磁器密度が95%以上で、かつ、結晶の平均粒径が0.2〜1.0μmである。さらに、比誘電率3500以上の高誘電率を有し、また、−25℃から85℃までの温度範囲での比誘電率の温度変化率は、+15%未満、かつ、−25%未満であるのに対して、比較例では比誘電率は13000程度と非常に高誘電率であるものの、−25℃および85℃での温度範囲での比誘電率の温度変化率はそれぞれ−80.3%、−62.8%であり、しかも−25℃〜85℃での温度変化率の最大値は+60%程度、最小値は−80%程度と大きかった。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の誘電体磁器は、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.2〜1.0μmと小さいにもかかわらず、比誘電率が高く、コア−シェル構造を有するために温度特性が優れており、積層セラミックコンデンサ等の電子部品に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の誘電体磁器の模式図、(b)はペロブスカイト型結晶粒子の模式図である。
【図2】試料No.3、9、PMNのX線回折チャート図である。
【図3】試料No.3、PMNの比誘電率の温度特性を示す図である。
【図4】試料No.11、18、PMNのX線回折チャート図である。
【図5】試料No.11、PMNの比誘電率の温度特性を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ペロブスカイト型結晶粒子
2・・・コア部
3・・・シェル部
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体磁器に関するものであり、誘電率の温度変化率が小さい積層セラミックコンデンサ等に用いられるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体磁器に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に、コンデンサなどに使用される誘電体材料には、高い比誘電率が要求されることは勿論のこと、誘電損失が小さく、比誘電率の温度特性が良好であり、直流電圧に対する誘電特性の依存性が小さい等の種々の要求を満足させる必要がある。
【0003】
一方、近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、コンデンサ等の電子部品の小型化、大容量化の要求が高まってきている。この様な要求に応えるために、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共に、小型化を図る必要が生じている。誘電体層を薄層化するためには誘電体層を構成する結晶粒子の粒径を小さくする必要があるが、公知の誘電体材料であるチタン酸バリウム(BaTiO3 )系材料では、粒径を小さくすると比誘電率が低下するので層数を増やすことで大容量化が図られている。
【0004】
温度特性が良好な誘電体磁器としてはジルコニアなどを添加したコア−シェル構造を有するチタン酸バリウム系材料が知られており、添加物による粒成長抑制効果により結晶の平均粒経が1μm以下で、−25℃〜85℃の範囲で±10%以内の小さな温度変化率を示す、温度特性のよい誘電体磁器が作製されている。しかしながら、これらの材料では比誘電率が約3000と小さく、薄層化の為の結晶粒子の微粒化により、比誘電率がさらに低下する。
【0005】
一方、2種以上の金属からなる複合ペロブスカイト酸化物であるPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 (以下、PMNと記載することもある)は室温で10000を超える大きな比誘電率を有するため、コンデンサ材料として有用であることが知られている。この材料は通常の焼成では1000℃以上の温度で焼成した場合に緻密となる材料で、比誘電率の高い材料を作製することができる。
【0006】
ペロブスカイト複合酸化物を用いた比誘電率の温度変化率の小さい材料としては、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3 −Pb(Mg1/2 W1/2 )O3 にWO3 を過剰に添加したり(特開平5−290625号公報)、鉛系複合化合物の化学量論組成に対してPb化合物やMgなどの金属化合物を過剰に添加する(特開平5−238821号公報)ことにより、コア−シェル構造を形成する方法があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 系誘電体磁器は、比誘電率の温度特性が悪い(比誘電率の温度変化率が−25〜85℃の範囲で数10%)という問題点があった。さらに、薄層化のため結晶粒子の微粒子化によっても比誘電率の低下は小さいが、比誘電率の温度特性が悪くなるという問題があった。
【0008】
そして、比誘電率を向上させるために、PMNにPbTiO3 (以下、PTと記載することもある)を固溶させた誘電体磁器も知られているが、この材料も、通常の焼成方法で作製したものでは比誘電率は高いが、PMNにPTが完全に固溶しているので、比誘電率の温度特性が悪いという問題があった。
【0009】
また、特開平5−290625号公報や特開平5−238821号公報では、比誘電率の温度特性を改善するために鉛系複合ペロブスカイト化合物にWなどの化合物を過剰添加し、コア−シェル構造を形成する方法が報告されているが、この場合には比誘電率が低下するために、高い比誘電率を得るためには粒径を大きくする必要があり、誘電体層の薄層化が困難であった。
【0010】
近年においては、温度特性が良好な積層コンデンサをさらに小型化、大容量化することが望まれており、このため、比誘電率がコア−シェル構造を有するチタン酸バリウムの比誘電率より大きく、誘電体磁器の結晶粒子を0.2〜1μmに微粒子化してもそれほど比誘電率が低下することなく、比誘電率の温度特性がコア−シェル構造を有するチタン酸バリウムと同様に良好な誘電体磁器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体磁器は、金属元素として少なくともPb、Ni、NbおよびTiを含有する平均粒径0.2〜1.0μmのペロブスカイト型結晶粒子からなる誘電体磁器であって、前記ペロブスカイト型結晶粒子がコア部とその周囲を取り囲むシェル部とからなり、前記金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在するものである。
【0012】
ここで、コア部およびシェル部がPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 とPbTiO3 との固溶体からなることが望ましい。また、このような誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、yが0.10〜0.30であることが望ましい。
【0013】
また、コア部がPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 の固溶体、シェル部がPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 とPbTiO3 との固溶体からなることが望ましい。このような誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30であることが望ましい。Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 はPNNと記載することもある。
【0014】
【作用】
従来の焼成法によるPMN−PT系の誘電体材料においては、一般に磁器密度を高めるため、焼成温度は1000℃以上が必要であり、焼成時にペロブスカイト型結晶粒子の粒成長が見られるため、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径は少なくとも1μmより大きくなる。このため、誘電体磁器厚みが5μm以下の薄層化は困難であった。
【0015】
本発明の誘電体磁器では、ペロブスカイト型結晶粒子の平均結晶粒径を0.2〜1.0μmと小さくすることができ、これにより、誘電体磁器を厚み5μm以下に薄層化することができ、積層コンデンサを作製した場合には、静電容量を向上できると共に、小型化が可能となる。
【0016】
また、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.2〜1.0μmと小さいが、磁器密度が高いため、ポア等による見掛け上の比誘電率の低下が抑えられ、材料そのものの特性が得られ、比誘電率が比較的高くなる。また、粒子サイズが小さくなることにより体積に対する表面積の占める割合が大きくなり、応力が作用することにより、比誘電率が多少小さくなるが、比誘電率の温度変化率は小さくなり、比誘電率の温度特性は良好となる。
【0017】
そして、本発明の誘電体磁器では、ペロブスカイト型結晶粒子がコア部とその周囲を取り囲むシェル部からなり、金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在し、PNN−PT粒子にPTが不完全に固溶したコア−シェル構造や、PMN−PNN粒子にPTが不完全に固溶したコア−シェル構造を形成するため、比誘電率の温度特性のカーブは、PT濃度の異なる2種類のPNN−PTによるカーブを重ね合せたものや、PMN−PNNによるカーブとPMN−PNN−PTのカーブを重ね合せたものとなり、高い比誘電率を保ったまま、上記微粒子化と相まって従来の焼成法によるPMN−PTより比誘電率の温度特性が飛躍的に向上できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体磁器は、金属元素として少なくともPb、Ni、NbおよびTiを含有する平均粒径0.2〜1.0μmのペロブスカイト型結晶粒子からなる誘電体磁器であって、図1(a)に示すように、ペロブスカイト型結晶粒子1がコア部2とその周囲を取り囲むシェル部3からなり、金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在するものである。尚、図1(a)は磁器の模式図、図1(b)は、図1(a)のペロブスカイト型結晶粒子1の模式図である。
【0019】
形態1
誘電体磁器の一形態としては、例えば、磁器全体の組成が、磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、yが0.10〜0.30のものがある。
【0020】
この形態の誘電体磁器はペロブスカイト型結晶粒子がいわゆるコア−シェル構造を有するものであり、完全に固溶したPNN−PTにさらにPTが不完全に固溶したコア−シェル構造を有している必要がある。即ち、シェル部3におけるPT濃度がコア部2よりも高いのである。シェル部3におけるPNN−PTとPTの固溶状態は、粒子ごとに異なる場合が多い。
【0021】
この形態の誘電体磁器では、コア部2もシェル部3も主にPNNとPTの固溶体からなり、その他の元素が微量固溶する場合もある。金属元素Tiは、コア部2に比較してシェル部3に密に存在する。
【0022】
本発明の誘電体磁器では、PNNとPTが完全固溶した粒子が存在する場合がある。完全固溶した粒子は特に微粒子の場合が多い。
【0023】
本発明の誘電体磁器は、機械的強度および信頼性向上のためには相対密度が95%以上、特には97%以上であることが望ましい。
【0024】
また、本発明の誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、y が0.10〜0.30であることが望ましい。これは、xが0.10よりも少ない場合にはコア部の構成相による温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、xが0.16よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、また、yが0.10よりも少ない場合にはシェル部の構成相による温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、yが0.30よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、いずれの場合も比誘電率の温度特性の向上効果が小さいからである。
【0025】
本発明の誘電体磁器を製造するには、例えば、平均粒径が0.1〜0.3μmのPT粉末と、平均粒径が0.2〜0.5μmのPNN粉末もしくはPbO粉末とNiNb2 O6 粉末を先ず熱処理により完全固溶させ、粉砕を行い平均粒径が0.2〜0.5μmのPNN−PT固溶体粉を作製し、さらに、平均粒径が0.1〜0.3μmのPT粉末を再度添加し、ホットプレス焼成、熱間静水圧焼成(HIP)等の圧力下で焼成を行う。このとき、本発明の誘電体磁器を作製するためには、固溶のための熱処理条件を温度800〜900℃、保持時間を1〜3時間とし、加圧焼成の条件を温度700〜900℃、圧力50MPa以上、保持時間を0.5時間以上とし、コア−シェル粒子数の増加という点から10時間以内とする必要がある。
【0026】
固溶の為の熱処理温度が800℃よりも低い場合や保持時間が1時間よりも短い場合には完全に固溶が進まず、PNN−PT固溶体による温度特性のピークが低くなるからである。また、熱処理温度900℃よりも高い場合や保持時間が3時間より長い場合にはパイロクロア相が出現し、温度特性のピークが低くなると共に、粒成長が起こるため、後の粉砕行程の効率が低下するためである。
【0027】
加圧焼成の温度が700℃よりも低い場合や、焼成時間が0.5時間より短い場合、また圧力が50MPaよりも低い場合には焼結不足となり、高い比誘電率の材料が得られないからである。また、焼成温度が900℃よりも高い場合や、焼成時間が長い場合はPNN−PT固溶体と後から添加したPTの固溶が進みすぎ、比誘電率の温度特性が悪くなるからである。
【0028】
形態2
本発明の誘電体磁器の他の形態としては、磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30のものがある。
【0029】
この形態の誘電体磁器も、図1に示したようにペロブスカイト型結晶粒子がいわゆるコア−シェル構造を有するものであり、完全に固溶したPMN−PNNにPTが不完全に固溶した(Tiが主としてシェル部に存在する)コア−シェル構造を有している必要がある。即ち、シェル部におけるPT濃度がコア部よりも高いのである。シェル部におけるPMN−PNNとPTの固溶状態は、粒子ごとに異なる場合が多い。
【0030】
コア部は主にPMNとPNNの固溶体からなり、Tiやその他の元素が微量固溶する場合もある。シェル部はPMNとPNNとPTの固溶体からなるもので、他の元素が微量固溶する場合もある。金属元素Tiは、コア部には殆ど存在せず、シェル部に密に存在する。
【0031】
本発明の誘電体磁器では、PMNとPNNとPTが完全固溶した粒子が存在する場合がある。完全固溶した粒子は特に微粒子の場合が多い。
【0032】
本発明の誘電体磁器は、機械的強度および信頼性向上のためには相対密度が95%以上、特には97%以上であることが望ましい。
【0033】
また、本発明の誘電体磁器は、磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30であることが望ましい。これは、aが0.05よりも少ない場合にはPMN−PNNによる温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、aが0.45よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、また、bが0.10よりも少ない場合にはPMN−PNN−PTによる温度特性カーブのピークが低温側に移動しすぎ、bが0.30よりも多い場合には高温側に移動しすぎるためであり、いずれの場合も比誘電率の温度特性の向上効果が小さいからである。
【0034】
本発明の誘電体磁器を製造するには、例えば、平均粒径が0.2〜0.5μmのPMN粉末と、PNN粉末もしくはPbO粉末とNiNb2 O6 粉末を先ず熱処理により完全固溶させ、粉砕を行い平均粒径が0.2〜0.5μmのPMN−PNN固溶体粉を作製し、さらに、平均粒径が0.1〜0.3μmのPT粉末と共にホットプレス焼成、熱間静水圧焼成(HIP)等の圧力下で焼成を行う。このとき、本発明の誘電体磁器を作製するためには、固溶のための熱処理条件を温度800〜900℃、保持時間を1時間から3時間とし、加圧焼成の条件を温度700〜900℃、圧力50MPa以上、保持時間を0.5時間以上とし、コアシェル粒子数の増加という点から10時間以内とする必要がある。
【0035】
固溶の為の熱処理温度が800℃よりも低い場合や保持時間が1時間よりも短い場合には完全には固溶が進まず、PMN−PNN固溶体による温度特性のピークが低くなるからである。また、熱処理温度900℃よりも高い場合や保持時間が3時間より長い場合にはパイロクロア相が出現し、温度特性のピークが低くなると共に、粒成長が起こるため、後の粉砕行程の効率が低下するためである。
【0036】
加圧焼成の温度が700℃よりも低い場合や、焼成時間が0.5時間より短い場合、また圧力が50MPaよりも低い場合には焼結不足となり、高い比誘電率の材料が得られないからである。また、焼成温度が900℃よりも高い場合や、焼成時間が長い場合はPMN−PNN固溶体とPTの固溶が進みすぎ、比誘電率の温度特性が悪くなるからである。
【0037】
【実施例】
実施例1
市販のPbO粉末(粒径0.2μm)と市販のNiNb2 O6 粉末(粒径0.15μm)と市販のPT粉末(粒径0.1μm)をモル比による組成式(1−x)PNN−xPTにおいてxが表1に示す値となるように混合し、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合を行った。
【0038】
この混合粉をアルミナるつぼ中に入れ、アルミナ板で蓋をし表1に示す温度、時間で熱処理を行いPNNとPTの完全固溶体粉を作製した。
得られた完全固溶体粉をアルミナ乳鉢で粗粉砕した後、モル比による組成式(1−y)((1−x)PNN−xPT)−yPTにおいてyが表1に示す値となるように市販のPT(粒径0.1μm)を再度加え、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合粉砕を行った。
【0039】
この混合粉を圧力980MPaでプレス成形し、厚み約2mm、直径約10mmの円板状成形体を得た。次にこの成形体を、大気中において、表1に示す温度、圧力、時間でホットプレス処理した。このようにして得られた焼結体を試料とした。
【0040】
磁器密度をアルキメデス法により測定し、相対密度で表わした。平均粒径および密度を表2に示した。また、得られた焼結体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、結晶形状は略球状であった。また、インターセプト法で平均結晶粒径を求めた。
【0041】
また、各試料についてX線回折測定(XRD)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイト型酸化物のピークが確認された。また、本発明の試料ではXRDスペクトルの高角度側ではピークが広がりを持っており、格子定数が極わずか異なる多種の結晶からのピークが重なっていることがわかった。表1の試料No.3、9およびPMNのX線回折測定結果を図2に示した。
【0042】
透過電子顕微鏡(TEM)およびTEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により、結晶粒子が、コア部、シェル部がTi濃度の異なるPNN−PT固溶体からなるコア−シェル構造を有しているか確認し、その結果を表2に記載した。さらに、この観察から、コア部よりもシェル部のPT濃度が高く(Tiが多く存在し)、コア部、シェル部ともにPT濃度は粒子ごとにばらついており、粒径が0.05μm以下の粒子では粒子全体がPNN−PT固溶体であることがわかった。明視野像にドメインが見られることから、シェル部は通常の強誘電体であり、電子回折像に超格子ピークが観察されることから、コア部はリラクサー強誘電体であることがわかった。ただし、全体のPT濃度が低い材料ではシェル部もリラクサー強誘電体になる場合もある。
【0043】
さらに、誘電特性の評価は、上記試料の上下面にIn−Gaペーストを塗布して電極とし、各種誘電特性の測定を行った。測定はLCRメーターによって行い、測定周波数f=1kHz、印加電圧1Vrms とした。室温での比誘電率、さらに−55℃から150℃までの温度範囲での比誘電率の変化率を測定した。
【0044】
比誘電率の温度変化率TCC(%)は、T℃の比誘電率をKT とし、25℃の比誘電率をK25とした時、(KT −K25)×100/K25で求めた。25℃における比誘電率および−25℃と85℃での比誘電率の温度変化率を表2に記載し、試料No.3の比誘電率の温度変化率(%)を図3に記載した。図3にPMNの結果も示した。PMNでは比誘電率は高いが温度特性が悪いことがわかる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表1、表2および図1乃至図3より判るように、一定の条件下におけるホットプレス処理により作製した本発明の試料は、磁器密度が95%以上で、かつ、結晶の平均粒径が0.2〜1.0μmである。さらに、比誘電率3500以上の高誘電率を有し、また、−25℃から85℃までの温度範囲での比誘電率の温度変化率は、+10%未満、かつ、−20%未満であるのに対して、比較例では比誘電率は9500程度と非常に高誘電率であるものの、−25℃と85℃の比誘電率の温度変化率はそれぞれ−61.2%、−41.8%であり、大きいことが判る。しかも、この組成物では、−25℃〜85℃の変化率の最大値が+40%程度、最小値が−70%程度と大きかった。
【0048】
実施例2
市販のPMN粉末(粒径0.2μm)と市販のPbO粉末(粒径0.2μm)と市販のNiNb2 O6 粉末(粒径0.15μm)をモル比による組成式(1−a)PMN−aPNNにおいてaが表3に示す値となるように混合し、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合を行った。
【0049】
この混合粉をアルミナるつぼ中に入れ、アルミナ板で蓋をし表3に示す温度、時間で熱処理を行いPMNとPNNの完全固溶体粉を作製した。
【0050】
得られた完全固溶体粉をアルミナ乳鉢で粗粉砕した後、モル比による組成式(1−b)((1−a)PMN−aPNN)−bPTにおいてbが表3に示す値となるように市販のPT(粒径0.1μm)を加え、ZrO2 ボールを用いたボールミルで混合粉砕を行った。
【0051】
この混合粉を圧力980MPaでプレス成形し、厚み約2mm、直径約10mmの円板状成形体を得た。次にこの成形体を、大気中において、表3に示す温度、圧力、時間でホットプレス処理した。このようにして得られた焼結体を試料とした。
【0052】
磁器密度をアルキメデス法により測定し、相対密度で表わした。平均粒径および密度を表4に示した。また、得られた焼結体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、結晶形状は略球状であった。また、インターセプト法で平均結晶粒径を求めた。
【0053】
また、各試料についてX線回折測定(XRD)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイト型酸化物のピークが確認された。また、本発明の試料ではXRDスペクトルの高角度側ではピークが広がりを持っており、格子定数が極わずか異なる多種の結晶からのピークが重なっていることがわかった。表3の試料No.11、18およびPMNのX線回折測定結果を図4に示した。
【0054】
透過電子顕微鏡(TEM)およびTEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により、結晶粒子が、コア部がPMN−PNN固溶体、シェル部がPMN−PNN−PT固溶体からなるコア−シェル構造を有しているか確認し、その結果を表4に記載した。さらに、この観察から、シェル部のPT濃度は粒子ごとにばらついており、粒径が0.05μm以下の粒子では粒子全体がPMN−PNN−PT固溶体であることがわかった。電子回折像に超格子ピークが観察されることから、コア部、シェル部ともにリラクサー強誘電体であることがわかった。ただし、全体のPT濃度が高い材料ではシェル部は強誘電体ドメインを有する通常の強誘電体になる場合もある。
【0055】
さらに、誘電特性の評価は、上記試料の上下面にIn−Gaペーストを塗布して電極とし、各種誘電特性の測定を行った。測定はLCRメーターによって行い、測定周波数f=1kHz、印加電圧1Vrms とした。室温での比誘電率、さらに−55℃から150℃までの温度範囲での比誘電率の変化率を測定した。
【0056】
比誘電率の温度変化率TCC(%)は、T℃の比誘電率をKT とし、25℃の比誘電率をK25とした時、(KT −K25)×100/K25で求めた。25℃における比誘電率および−25℃と85℃での比誘電率の温度変化率を表4に記載し、試料No.11の比誘電率の温度変化率(%)を図5に記載した。図5にはPMNの結果も示した。PMNは高比誘電率だが温度特性が悪いことがわかる。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
表3、表4および図4乃至図5より判るように、一定の条件下におけるホットプレス処理により作製した本発明の試料は、磁器密度が95%以上で、かつ、結晶の平均粒径が0.2〜1.0μmである。さらに、比誘電率3500以上の高誘電率を有し、また、−25℃から85℃までの温度範囲での比誘電率の温度変化率は、+15%未満、かつ、−25%未満であるのに対して、比較例では比誘電率は13000程度と非常に高誘電率であるものの、−25℃および85℃での温度範囲での比誘電率の温度変化率はそれぞれ−80.3%、−62.8%であり、しかも−25℃〜85℃での温度変化率の最大値は+60%程度、最小値は−80%程度と大きかった。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の誘電体磁器は、ペロブスカイト型結晶粒子の平均粒径が0.2〜1.0μmと小さいにもかかわらず、比誘電率が高く、コア−シェル構造を有するために温度特性が優れており、積層セラミックコンデンサ等の電子部品に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の誘電体磁器の模式図、(b)はペロブスカイト型結晶粒子の模式図である。
【図2】試料No.3、9、PMNのX線回折チャート図である。
【図3】試料No.3、PMNの比誘電率の温度特性を示す図である。
【図4】試料No.11、18、PMNのX線回折チャート図である。
【図5】試料No.11、PMNの比誘電率の温度特性を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ペロブスカイト型結晶粒子
2・・・コア部
3・・・シェル部
Claims (5)
- 金属元素として少なくともPb、Ni、NbおよびTiを含有する平均粒径0.2〜1.0μmのペロブスカイト型結晶粒子からなる誘電体磁器であって、前記ペロブスカイト型結晶粒子がコア部とその周囲を取り囲むシェル部とからなり、前記金属元素としてのTiがコア部よりもシェル部に多く存在することを特徴とする誘電体磁器。
- コア部およびシェル部がPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 とPbTiO3 との固溶体からなることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器。
- コア部がPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 の固溶体、シェル部がPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 とPbTiO3 との固溶体からなることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器。
- 磁器全体のモル比による組成式を(1−y)〔(1−x)Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ・xPbTiO3 〕・yPbTiO3 と表わしたとき、xが0.10〜0.16、yが0.10〜0.30であることを特徴とする請求項1または2記載の誘電体磁器。
- 磁器全体のモル比による組成式を(1−b)〔(1−a)Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ・aPb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 〕・bPbTiO3 と表わしたとき、aが0.05〜0.45、bが0.10〜0.30であることを特徴とする請求項1または3記載の誘電体磁器。
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