JP2000169221A - 誘電体磁器およびその製法 - Google Patents

誘電体磁器およびその製法

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JP2000169221A JP10339357A JP33935798A JP2000169221A JP 2000169221 A JP2000169221 A JP 2000169221A JP 10339357 A JP10339357 A JP 10339357A JP 33935798 A JP33935798 A JP 33935798A JP 2000169221 A JP2000169221 A JP 2000169221A
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大輔 福田
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明宏 金内
Takao Nukushina
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1150℃以下の温度で焼成でき、Agを主成
分とする内部電極と同時焼成可能であり、2000より
高い比誘電率を有するとともに、温度特性を向上でき、
IR加速寿命を向上できる誘電体磁器およびその製法を
提供する。 【解決手段】金属元素として少なくともBaとTiを含
有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子
と、金属元素として少なくともSi、Zn、Bi、Ti
およびLiとを含有する粒界相からなり、粒界相のBi
が、BiとTiを含有する複合酸化物からなる結晶粒子
として存在するとともに、Si、ZnおよびLiがガラ
スとして存在するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体磁器およびそ
の製法に関し、特に車載用で好適に使用される積層セラ
ミックコンデンサの誘電体磁器およびその製法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】従来、積層セラミックコンデンサは、表面
に内部電極用ペーストが塗布されたグリーンシートを複
数枚積層するとともに、各シートの内部電極を交互に並
列に一対の端子電極に接続し、これを焼結一体化するこ
とにより形成されている。このような積層セラミックコ
ンデンサは近年のエレクトロニクスの発展に伴い電子部
品の小型化が急速に進行し、広範な電子回路に使用され
るようになってきている。
【0003】特にX7R特性と呼ばれるコンデンサは、
−55〜125℃まで容量変化率が±15%以内と平坦
な特性を有している。この特性を有する誘電体材料はB
aTiO3 を主成分とし、内部電極材料としては、パラ
ジウムと銀の合金または、Niが用いられ、1200〜
1350℃で同時焼成されていた。
【0004】近年、自動車の各種制御のコンピュータ化
に伴い、ECU(エンジンコントロールユニット)等が
使用され、制御の高度化、小型軽量化のため、ECU
は、エンジンルーム内の設置が有効である。エンジンル
ーム内は、寒冷地における冬期の始動時には−20℃以
下、エンジン始動後は、夏期では+130℃と非常に高
温になる。しかしながら、従来のX7R特性の積層セラ
ミックコンデンサでは、125℃を越えると容量が急激
に低下し、150℃では容量変化率は−40%と低くな
り、高温側に対応できない。
【0005】また、150℃まで温度特性が平坦な誘電
体磁器組成物として、特開平7−37428号公報、特
開平8−295559号公報に開示されるようなものが
知られている。例えば、特開平7−37428号公報に
開示された誘電体磁器組成物では、Pbで一部置換した
BaTiO3 と、ZnO、Bi2 3 、MeO2 (Me
はTi、Zr、Sn)、Nb2 5 、RE2 3 (RE
は希土類元素)からなる主成分と、SiO2 を主成分と
するガラスから構成されている。
【0006】このような誘電体磁器組成物では、116
0℃以下の低温で焼成でき、−55℃〜150℃までの
広い温度範囲で平坦な温度特性を有するものである。
【0007】この公報に開示された磁器は、例えば、B
aTiO3 、TiO2 、ZnO、Bi2 3 、Nb2
5 、Re2 3 粉末を所定の組成比となるように混合し
た後、仮焼粉砕し、該仮焼物に対して、BaO−SrO
−CaO−Li2 O−SiO2 系からなるガラス成分を
添加し、これを焼成して作製していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された誘電体磁器では、比誘電率が最大でも2
000程度であり、いずれも、比誘電率が小さいという
問題があった。
【0009】本発明は、1150℃以下の低温で、Ag
を主成分とする内部電極と同時に焼成でき、比誘電率ε
rが2000よりも高く、温度特性が良好で、IR加速
寿命が長い積層セラミックコンデンサ用として適した誘
電体磁器およびその製法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電体磁器は、
金属元素として少なくともBaとTiを含有するペロブ
スカイト型複合酸化物からな主結晶粒子と、金属元素と
して少なくともSi、Zn、Bi、TiおよびLiを含
有する粒界相とからなる誘電体磁器であって、粒界相の
Biが、BiとTiを含有する複合酸化物からなる結晶
粒子として存在するとともに、Si、ZnおよびLiが
ガラスとして存在するものである。
【0011】ここで、粒界相のBiは、BiとTiを含
有する複合酸化物からなる結晶粒子としてのみ存在する
ことが望ましい。
【0012】また、金属元素としてBa、TiおよびB
iを含有し、これらの金属元素酸化物のモル比による組
成式を(100−a)BaTiO3 ・aBi2 Ti2
7 と表した時、前記aが1.5≦a≦5.0を満足する
主成分と、該主成分100モル部に対して、モル比によ
る組成式bSiO2 ・(1−b)ZnO・cLi2
(0.3≦b≦0.7、0<c≦0.2で表わされる組
成物を1〜12モル部、NbをNb2 5 換算で0.7
〜1.9モル部、希土類元素をRE2 3 換算(REは
希土類元素)で0.1〜0.6モル部、アルカリ土類金
属をアルカリ土類金属酸化物換算で4.0モル部以下含
有するものである。
【0013】また、本発明の誘電体磁器の製法は、Ba
TiO3 粉末と、Bi2 Ti2 7粉末と、モル比によ
る組成式、bSiO2 ・(1−b)ZnO・cLi2
(0.3≦b≦0.7、0<c≦0.2)で表わされる
ガラス粉末とを混合し、焼成する方法である。
【0014】
【作用】本発明の誘電体磁器は、1150℃以下の比較
的低温で、Ag、Pdを含有する内部電極と同時焼成で
きるとともに、比誘電率が2000よりも高く、かつ高
温側における静電容量の温度変化を小さくでき、IR加
速寿命が長く、特に車載用のコンデンサの誘電体磁器と
して好適な特性を示す。
【0015】即ち、上記公報に開示された誘電体磁器組
成物では、BiをBi2 3 粉末として添加しているた
め、作製した誘電体磁器では、BaTiO3 結晶粒子の
粒界にBi2 3 粒子として存在しており、このため、
比誘電率が最大でも2000程度と小さかったが、本発
明では、主結晶粒子間のBiが、Bi2 3 よりも高誘
電率を示し、キュリー温度が高いBiとTiを含有する
複合酸化物からなる結晶粒子として存在するため、比誘
電率を2000よりも高くできるのである。
【0016】また、誘電体層の主結晶粒子間の粒界相に
Si、Zn、Liを含有し、これら成分の分散性が向上
するため、焼結性が良く、1150℃以下の比較的低温
で焼成でき、Ag、Pdを含有する内部電極と同時焼成
できる。特に、Liが粒界相に存在することにより焼結
性が向上し、Si、Zn、Liをガラス状態で添加する
ことで、誘電体磁器に均一に前記ガラスが存在すること
になり、IR加速寿命が向上する。
【0017】本発明の誘電体磁器では、粒界相のBi
は、BiとTiを含有する複合酸化物、特にBi2 Ti
2 7 からなる結晶粒子としてのみ存在することによ
り、さらに比誘電率および温度特性を向上できる。
【0018】そして、本発明の誘電体磁器は、モル比に
よる組成式を(100−a)・BaTiO3 ・aBi2
Ti2 7 と表した時、前記aが1.5≦a≦5.0を
満足する主成分と、該主成分100モル部に対して、b
SiO2 ・(1−b)ZnO・cLi2 O(0.3≦b
≦0.7、0<c≦0.2)で表わされる組成物を1〜
12モル部、NbをNb2 5 換算で0.7〜1.9モ
ル部、希土類元素をRE2 3 換算(REは希土類元
素)で0.1〜0.6モル部、アルカリ土類金属をアル
カリ土類金属酸化物換算で4.0モル部以下含有するこ
とにより、1150℃以下の低温で焼成できるととも
に、比誘電率を2000よりも高くでき、IR加速寿命
が長くなり、高温側における静電容量の温度変化を小さ
くでき、EIA規格のX8R(+25℃における静電容
量を基準としたとき、−55℃〜+150℃の広い範囲
にわたり静電容量の温度変化率が±15%以内)を満足
できる。
【0019】また、BaTiO3 粉末と、Bi2 Ti2
7 粉末と、モル比による組成式、bSiO2 ・(1−
b)ZnO・cLi2 O(0.3≦b≦0.7、0<c
≦0.2)で表わされるガラス粉末とを混合し、焼成す
るので、粒界相中にBiがBi2 Ti2 7 としてのみ
存在する磁器が容易に得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体磁器は、金属元素
として少なくともBaとTiを含有するペロブスカイト
型複合酸化物からなる主結晶粒子と、金属元素として少
なくともSi、Zn、Bi、TiおよびLiを含有する
粒界相からなる誘電体磁器であって、粒界相のBiが、
BiとTiを含有する複合酸化物となる結晶粒子として
存在するとともに、Si、ZnおよびLiがガラスとし
て存在するものである。
【0021】ここで、結晶粒子間の粒界相のBiが、室
温での比誘電率が4000以上であり、キュリー温度が
300℃以上の、BiとTiを含有する複合酸化物から
なる結晶粒子として存在することにより、誘電体層の比
誘電率を2000よりも高くできるとともに、高温側の
温度特性を向上できるのである。
【0022】粒界相のBiは、BiとTiを含有する複
合酸化物、特にBi2 Ti2 7 からなる結晶粒子とし
てのみ存在することにより、言い換えれば、粒界相のB
iがBi2 3 からなる結晶粒子として存在しないこと
により、さらに比誘電率および温度特性を向上できる。
BiとTiを含有する複合酸化物からなる結晶粒子とし
てのみ存在するとは、X線回折測定において、BiとT
iを含有する複合酸化物のピークのみが存在し、Bi2
3 のピークが存在しないことをいう。
【0023】さらに、Si、ZnおよびLiがガラスと
して存在することにより、1150℃以下の低温で焼成
できるとともに、IR加速寿命を向上することができ
る。
【0024】本発明の誘電体磁器は金属元素酸化物のモ
ル比による組成式を(100−a)BaTiO3 ・aB
2 Ti2 7 と表した時、前記aが1.5≦a≦5.
0を満足するものを主成分とする。
【0025】上記組成式において、Biのチタン酸塩の
モル比aを1.5≦a≦5.0としたのは、モル比aが
1.5未満の場合は焼結性が低下したり、温度特性、す
なわち、−55〜150℃における容量変化率の最小値
が−15%より低くなり、モル比aが5.0を越える場
合には比誘電率が低下したり、誘電損失が3.0%以上
となるからである。とりわけ誘電体磁器の比誘電率と温
度特性の観点からは2.3≦a≦4.5、特には3.1
〜4.5が望ましい。本発明では、Liが粒界相に存在
することにより4<a≦5の範囲においても優れた特性
を示す。
【0026】そして、上記主成分100モル部に対し
て、bSiO2 ・(1−b)ZnO・cLi2 O(0.
3≦b≦0.7、0<c≦0.2)で表わされる組成物
を1〜12モル部、NbをNb2 5 換算で0.7〜
1.9モル部、希土類元素をRE2 3 換算(REは希
土類元素)で0.1〜0.6モル部、アルカリ土類金属
をアルカリ土類金属酸化物換算で4.0モル部以下含有
してなるものである。
【0027】ここで、NbをNb2 5 換算で0.7〜
1.9モル部含有したのは、0.7モル部未満では誘電
損失が3.0%以上、温度特性、すなわち、−55〜1
50℃における容量変化率の最小値が−15%より低く
なり、1.9モル部を越える場合には比誘電率が小さく
なり、焼結性が悪くなるからである。とりわけ誘電体磁
器の比誘電率と誘電損失の観点から0.9〜1.4モル
部が好ましい。
【0028】さらに、希土類元素をRE2 3 換算(R
Eは希土類元素)で0.1〜0.6モル部含有したの
は、0.1モル部未満では焼結性が悪くなり、0.6モ
ル部を越える場合には比誘電率が小さくなり、焼結性が
悪くなるからである。比誘電率の観点から0.25〜
0.4モル部が好ましい。希土類元素としては、Sc、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等があるが、
このうち、Y、La、Ce、Nd、Sm、Dy、Ho、
Er、Tbが望ましく、さらにはTbが望ましい。
【0029】さらに、アルカリ土類金属をアルカリ土類
金属酸化物換算で4.0モル部以下含有したのは、アル
カリ土類金属を含有しない場合でも、比誘電率が200
0以上の特性を得られるが、アルカリ土類金属を含有す
ることによりさらに高い比誘電率が得られるからであ
る。一方、4.0モル部を越えると、−55〜150℃
において容量変化率の最小値が−15%より低くなり、
好ましくない。とりわけ比誘電率と温度特性の観点から
1.2〜2.8モル部が好ましい。アルカリ土類金属と
しては、Be、Mg、Ca、Ba、Srがある。
【0030】また、組成式にして、bSiO2 ・(1−
b)ZnO・cLi2 O(0.3≦b≦0.7、0<c
≦0.2)で表わされる組成物を1〜12モル部含有し
たのは、1モル部未満では焼結性が悪くなり、12モル
部を越える場合では比誘電率が低くなるからである。と
りわけ比誘電率の観点から3.2〜7モル部が好まし
い。また、ガラス状態で添加したのは、分散性が良くな
り、IR加速寿命が向上するためである。特に粒界相に
Liを含有することにより焼結性が向上し、さらにIR
加速寿命が向上する。
【0031】ここで、bを0.3≦b≦0.7としたの
は、bが0.3より小さい場合、0.7より大きい場合
には比誘電率が低下するからである。bは0.4≦b≦
0.6であることが望ましい。
【0032】さらに、Li2 O量を示すcを0<c≦
0.2としたのは、Li2 Oを含有しない場合には焼結
性が低下し、その結果比誘電率が低下したり、誘電損失
が低下するからであり、0.2より大きくなると容量変
化率が悪化するからである。cは0.02≦c≦0.2
であることが望ましい。
【0033】本発明の誘電体磁器は、積層セラミックコ
ンデンサの誘電体層として好適に用いられ、内部電極と
して、Agを含む合金が使用され、電極の形成状態、導
通抵抗がより低いという点からAgを70重量%以上含
有する組成の内部電極を用いることが好ましい。
【0034】本発明の誘電体磁器は、Agを70重量%
以上含有する内部電極層を用いることで、電極の形成状
態が良好で、導通抵抗をより低くできる。内部電極層と
誘電体層の同時焼成において焼成温度は、1150℃以
下、特に1000〜1150℃が望ましい。
【0035】本発明の誘電体磁器は、例えば、BaTi
3 からなる主結晶粒子と、該主結晶粒子間に形成され
た粒界相とから構成され、粒界相には、Si、Zn、L
iと、所望によりアルカリ土類金属とからなるガラス相
と、Bi2 Ti2 7 からなる結晶粒子が存在する。
尚、Si、Zn、Liは、ガラス粉末として添加した場
合はガラス相となるが、僅かではあるが結晶質となる場
合もある。
【0036】このように粒界相中にBiのチタン酸塩を
析出せしめるためには、例えば、予めBi2 3 粉末
と、TiO2 粉末を用いてBi2 Ti2 7 結晶質粉末
を生成し、このBi2 Ti2 7 粉末をBaTiO3
末に添加し、焼成することにより可能となる。BiをB
2 Ti2 7 結晶粉末として添加することにより、X
線回折測定において、Bi2 Ti2 7 のピークが現
れ、Bi2 3 のピークが現れない。
【0037】本発明の誘電体磁器を用いた積層セラミッ
クコンデンサの製法は、具体的には、BaTiO3 粉末
に、上記したBi2 Ti2 7 粉末と、ガラス粉末、所
望により希土類元素酸化物粉末、Nb2 5 粉末、アル
カリ土類金属酸化物粉末を添加し、ドクターブレード法
によりフィルム状シートを作製する。このフィルム状シ
ートの上面に、Pd含有率が40重量%以下、特に30
重量%以下のAg−Pd合金からなる内部電極ペースト
をスクリーン印刷等により印刷した後、内部電極ペース
トが塗布されたフィルム状シートを複数積層、熱圧着、
プレス、カットし、脱バインダー処理後、大気中100
0〜1150℃で0.5〜2時間程度焼成を行い、端子
電極の焼き付け、メッキ後、積層セラミックコンデンサ
が得られる。
【0038】また、本発明の誘電体磁器には、Fe、A
l等の原料中の不可避不純物が混入したり、粉砕ボール
のボール成分、例えばZrO2 等が混入する場合があ
る。また、本発明の誘電体磁器にはMnを含有しても良
い。本発明の誘電体磁器の平均結晶粒径は、薄層化、高
容量の点から、0.3〜1.0μmである。
【0039】
【実施例】先ず、純度99%以上のBi2 3 、TiO
2 の各原料粉末を秤量し、該原料粉末に媒体として純水
を加えて24時間、ZrO2 ボールを用いたボールミル
にて混合した後、該混合物を乾燥し、次いで、該乾燥物
を900℃の温度で大気中1時間仮焼し、Bi2 Ti2
7 結晶粉末を作製した。
【0040】出発材料としてSiO2 、ZnO、Li2
Oを用い、モル比による組成式をbSiO2 ・(1−
b)ZnO・cLi2 Oとした時、b、cが表1となる
ように秤量し、らいかい器で1時間混合後、アルミナる
つぼ中で、1400℃で溶解する。できた融液を水中に
投入して急冷したものを粉砕してガラス粉末を得る。
【0041】得られたBi2 Ti2 7 粉末、ガラス粉
末、BaTiO3 粉末、Nb2 5粉末、希土類元素酸
化物粉末、アルカリ土類金属酸化物粉末を表1に示す割
合となるように秤量し、分散剤、分散媒とともに24時
間ボールミルにて混合し、原料スラリーを調整した。
【0042】このスラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分攪拌後、ドクターブレード法により45μm
のフィルム状シートに成形した。このフィルム状シート
を33層積層し、熱圧着後切断して試料を得た。この試
料を大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バイン
ダー処理し、引き続いて表2に示す温度で大気中、2時
間焼成し、直径10mm、厚さ1mmの試料を得た。こ
の試料の両面にIn−Ga電極を塗布し、評価試料を作
製した。
【0043】上記スラリーに有機バインダー、可塑剤を
加え、十分攪拌後ドクターブレード法によりフィルム状
シートに成形した。このフィルム状シートに、内部電極
用に調整したAg−Pdペースト(Ag70重量%、P
d30重量%)をスクリーン印刷法等により印刷した
後、ダミー層を加えて積層し、熱圧着後、切断した。こ
れを大気中、300℃の温度で4時間加熱して脱バイン
ダー処理し、引き続いて表2に示す温度で大気中で2時
間焼成した。
【0044】この磁器のタンブリング後、端子電極用に
調整したAgペーストを端面に塗布、700℃、大気中
で焼き付け、メッキを行い、端子電極とし、磁器の寸法
3.2mm×1.6mm、有効電極面積2.2mm×
1.1mm、誘電体厚み25μm×10層の積層コンデ
ンサを作製した。
【0045】次にこれらの評価試料を、LCRメーター
4284Aを用いて、周波数1.0kHz、入力信号レ
ベル1.0Vrmsにて静電容量、誘電損失を測定し
た。静電容量から比誘電率を算出した。
【0046】さらに、25℃の時の静電容量(C)を基
準として、−55〜150℃の範囲において容量変化率
の最小値を示した。尚、本願の組成系では、150℃で
容量変化率が最小値となるので、150℃における容量
変化率を示した。さらに、150℃、16V/μmの電
界下でIR加速寿命試験を行った。
【0047】また、本発明者等は、得られた誘電体磁器
についてX線回折測定を行い、Biがどのような結晶と
して存在しているかを確認した。これらの結果を表2に
記載した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1、表2によれば、BaTiO3 主結晶
相と、Bi2 Ti2 7 結晶相と、Si、ZnおよびL
iのガラスを有する本発明の試料では、1150℃以下
の低温で焼成できるとともに、比誘電率εrを2020
以上であることが判る。
【0051】また、本発明の組成式を満足する試料で
は、1150℃以下の低温で焼成できるとともに、比誘
電率εrが2020以上、測定周波数1kHzでの誘電
損失が3.0%以下、EIA規格のX8R(+25℃に
おける静電容量を基準としたとき、−55℃〜+150
℃の広い温度範囲にわたって静電容量の温度変化率が±
15%以内)、IR加速寿命が170時間以上を満足し
ていた。図1に、試料No.6の静電容量の容量変化率
を記載した。
【0052】一方、比較例の試料No.1は、Bi2 Ti
2 7 粉末を添加しない場合であり、この場合には、焼
成温度が1270℃であり、Agを主成分とする導体を
使用できないことが判る。
【0053】また、試料No.47は、Si、Zn、L
iを1000℃で仮焼して形成した結晶質粉末を用い
た。この試料はX8R特性を満たす等改善の効果が見ら
れるが、IR加速寿命は101時間であり、ガラス状態
にて添加した試料No.6と比較して、IR加速寿命が
短いことが判る。
【0054】また、BiをBi2 3 粉末として添加し
た従来の誘電体磁器(試料No.48)では、Biの結
晶としてBi2 3 結晶のみ析出しており、比誘電率が
1720、誘電損失も2.42%であり、本発明の試料
No.6と比較すると特性が低いことが判る。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の誘電体磁器
およびその製法は、1150℃以下の温度で焼成できる
とともに、Agを主成分とする内部電極と同時焼成可能
であり、2000よりも高い比誘電率を有するととも
に、温度特性を向上でき、IR加速寿命を向上でき、特
に本発明の組成式を満足する場合にはX8R特性を満足
することが可能になり、特に車載用途において、小型か
つ高性能なコンデンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料No.6の容量変化率を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G031 AA01 AA06 AA11 AA26 AA30 AA35 BA09 CA03 CA05 5E001 AA02 AE02 AE03 AE04 AE05 AJ02 5G303 AA01 AB06 AB20 CA01 CB03 CB05 CB35 DA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素として少なくともBaとTiを含
    有するペロブスカイト型複合酸化物からなる主結晶粒子
    と、金属元素として少なくともSi、Zn、Bi、Ti
    およびLiとを含有する粒界相とからなる誘電体磁器で
    あって、粒界相のBiが、BiとTiを含有する複合酸
    化物からなる結晶粒子として存在するとともに、Si、
    ZnおよびLiがガラスとして存在することを特徴とす
    る誘電体磁器。
  2. 【請求項2】粒界相のBiは、BiとTiを含有する複
    合酸化物からなる結晶粒子としてのみ存在することを特
    徴とする請求項1記載の誘電体磁器。
  3. 【請求項3】金属元素としてBa、TiおよびBiを含
    有し、これらの金属元素酸化物のモル比による組成式を (100−a)BaTiO3 ・aBi2 Ti2 7 と表した時、前記aが 1.5≦a≦5.0 を満足する主成分と、該主成分100モル部に対して、 モル比による組成式:bSiO2 ・(1−b)ZnO・
    cLi2 O(0.3≦b≦0.7、0<c≦0.2)で
    表わされる組成物を1〜12モル部、NbをNb2 5
    換算で0.7〜1.9モル部、希土類元素をRE2 3
    換算(REは希土類元素)で0.1〜0.6モル部、ア
    ルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化物換算で4.0
    モル部以下含有することを特徴とする請求項1または2
    記載の誘電体磁器。
  4. 【請求項4】BaTiO3 粉末と、Bi2 Ti2 7
    末と、モル比による組成式、bSiO2 ・(1−b)Z
    nO・cLi2 O(0.3≦b≦0.7、0<c≦0.
    2)で表わされるガラス粉末とを混合し、焼成すること
    を特徴とする誘電体磁器の製法。
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