JPH05287426A - 耐熱アルミニウム合金及び耐熱アルミニウム合金粉末 - Google Patents

耐熱アルミニウム合金及び耐熱アルミニウム合金粉末

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JPH05287426A
JPH05287426A JP9652092A JP9652092A JPH05287426A JP H05287426 A JPH05287426 A JP H05287426A JP 9652092 A JP9652092 A JP 9652092A JP 9652092 A JP9652092 A JP 9652092A JP H05287426 A JPH05287426 A JP H05287426A
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aluminum alloy
powder
alloy
resistant aluminum
heat
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JP9652092A
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Hirohisa Miura
宏久 三浦
Kunihiko Imahashi
邦彦 今橋
Hirobumi Michioka
博文 道岡
Jun Kusui
潤 楠井
Akimori Tanaka
昭衛 田中
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Toyo Aluminum KK
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyo Aluminum KK
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】安定して高温強度を発揮し、かつ優れた摺動特
性を有する製品を製造する。 【構成・作用】重量%で、Ni:5.7〜20%、S
i:6〜25%を含有し、少なくともFe:0.6〜8
%及びCu:0.6〜5%の1種を含み、残部Alから
なり、さらに少なくともB単体:0.05〜10%及び
グラファイト粉末:0.1〜10%の1種を含む合金。
アトマイズ法により得た耐熱アルミニウム合金粉末を使
用し、少なくともB単体及びグラファイト粉末の1種と
ともに焼結法で合金とすれば、常温での引張強度が50
0MPa以上で、かつ200℃での引張強度が250M
Pa以上となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コネクティングロッド
等の自動車、航空機等のエンジン部品に適用して有用
な、高温強度とともに摺動特性に優れる耐熱アルミニウ
ム合金及び耐熱アルミニウム合金粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金は、軽量で加工性に優
れているので、古くから航空機あるいは自動車の構造用
材料として用いられている。従来の耐熱アルミニウム合
金としては、Niを5重量%(以下、単に%という。)
以上含むAl−Ni系合金(軽金属学会主催、Al合金
の粉末冶金技術シンポジウム(昭和62年3月9日開
催)予稿集第58頁、第70頁)、Al−Fe−Si系
合金(雑誌「アルトピア」1989年11月号第17〜
27頁、アルミニウム合金の粉末冶金)、7.7〜15
%のNiと、15〜25%のSiとを含み、Si結晶粒
の大きさを15μm以下としたAl−Ni−Si系合金
粉末からなる「耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金粉
末」を焼結させた合金(特公平2−56401号公報)
が知られている。
【0003】また、アルミニウム合金は、鋼と比較し
て、アルミニウム合金又は鋼と摺動した場合、非常に焼
付きを生じやすい。このため、かかる摺動特性を改善す
べく、アルミニウム合金粉末とグラファイト粉末との混
合粉末を焼結させた焼結アルミニウム合金が提案されて
いる(特開昭55−97447号公報、特公平1−18
983号公報、特開平1−132736号公報、特開平
1−246341号公報)。また、アルミニウム合金中
にボロン(B)を0.4〜5.5%含有させた鋳造アル
ミニウム合金(特開昭54−88819号公報)、アル
ミニウム合金中にBを0.5〜10%含有させた鋳造ア
ルミニウム合金(特開昭63−247334号公報)も
提案されている。なお、アルミニウム合金中にBを0.
05%程度、Tiとともに添加し、微細化した鋳造アル
ミニウム合金も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車の低燃費
化のため、自動車用エンジンには軽量化が求められてい
る。また、自動車用エンジンには高出力化が要求されて
いる。このため、コネクティングロッド等のエンジン部
品には、アルミニウム合金であって、かつ常温での引張
強度が500MPa以上、200℃で引張強度が250
MPa以上、更に鋼部品と摺動した場合に焼付かず、フ
レッチング疲労現象を起こさない特性が要求されてい
る。
【0005】ここに、焼付き現象とは、機械摺動部材の
摺動特性を示す現象であって、高荷重下で摺動を繰り返
した場合、相手部品に一部が凝着し、相互の摩擦係数が
急激に上昇し、固着する現象である。また、フレッチン
グ疲労現象とは、やはり機械摺動部材の摺動特性を示す
現象であって、油潤滑下であっても、高荷重下で摺動を
繰り返した場合、相手部品に一部が凝着し、この部位を
起点として疲労破壊する現象である。
【0006】かかる観点からは、上記Al−Ni系合
金、Al−Fe−Si系合金及びAl−Ni−Si系合
金では、高温強度が十分でなく、また安定して高温強度
に優れる製品を製造できない。また、これらのアルミニ
ウム合金では、無潤滑下で鋼部品と摺動した場合の耐焼
付き荷重が4〜8MPaであり、この合金でコネクティ
ングロッドを製作し場合には106 回程度の繰返しでフ
レッチング疲労現象を生じてしまう。
【0007】また、上記特開昭55−97447号公報
等記載の焼結アルミニウム合金では、グラファイト粉末
を添加することにより、強度が大幅に低下し、得られる
常温での引張強度が83〜450MPa程度である。さ
らに、上記特開昭54−88819号公報等記載の鋳造
アルミニウム合金では、B単体としては存在していない
と考えられ、十分な摺動特性を発揮していない。すなわ
ち、鋳造法では、Alマトリックス中に固溶するB量が
低く、常温ではほとんど溶解せず、また溶湯中にせっか
く溶解されたBが徐冷されればほとんどAlB12等の硼
素化合物に変化し、これにより十分な摺動特性が発揮し
えないと考えられる。
【0008】したがって、従来のアルミニウム合金を近
年の自動車等のエンジン部品に適用することはできな
い。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであっ
て、安定して高温強度を発揮し、かつ優れた摺動特性を
有する製品を製造できる耐熱アルミニウム合金及び耐熱
アルミニウム合金粉末を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高Ni及び
高Siのアルミニウム合金にFe及びCuの少なくとも
1種を配合することにより優れた耐熱アルミニウム合金
が得られることを知り、かかる合金について研究を進め
た。そして、Ni及びFeを含む高Siの耐熱アルミニ
ウム合金粉末に摺動特性に優れるグラファイト粉末を混
合、押出し加工することにより、強度と摺動特性に優れ
る耐熱アルミニウム合金が得られるのではないかという
予測に基づき、開発を進めた。また、急冷凝固(アトマ
イズ)法において、溶解温度を高めにし、多量のBを溶
解させた後、急速冷却することにより、溶解限度以上の
Bを含む合金粉末が得られるのではないかとの予測に基
づき、開発を進めた。こうして、本発明の耐熱アルミニ
ウム合金及び耐熱アルミニウム合金粉末を発明したもの
である。
【0010】本発明の耐熱アルミニウム合金は、重量%
で、Ni:5.7〜20%、Si:6〜25%を含有
し、少なくともFe:0.6〜8%及びCu:0.6〜
5%の1種を含み、残部Alからなる耐熱アルミニウム
合金であって、さらに少なくともB単体:0.05〜1
0%及びグラファイト粉末:0.1〜10%の1種を含
み、かつ常温での引張強度が500MPa以上で、かつ
200℃での引張強度が250MPa以上であることを
特徴とするものである。
【0011】本発明の耐熱アルミニウム合金粉末は、重
量%で、Ni:5.7〜20%、Si:6〜25%を含
有し、少なくともFe:0.6〜8%及びCu:0.6
〜5%の1種を含み、残部Alからなる耐熱アルミニウ
ム合金粉末であって、さらに少なくともB単体:0.0
5〜2%を含み、アトマイズ法により製造されることを
特徴とするものである。
【0012】本発明の耐熱アルミニウム合金は本発明の
耐熱アルミニウム合金粉末を使用し、少なくともB単体
及びグラファイト粉末の1種とともに焼結法により合金
材とすることで製造することができる。すなわち、本発
明の耐熱アルミニウム合金粉末を少なくともB単体及び
グラファイト粉末の1種とともにケースに入れ、この状
態で冷間予備成形、押出鍛造することにより得られる。
また、本発明の耐熱アルミニウム合金粉末は一定組成の
合金原料を溶解、噴霧して製造することができる。
【0013】本発明の耐熱アルミニウム合金及び耐熱ア
ルミニウム合金粉末を構成する元素の配合割合及び作用
を以下に説明する。 〔Ni:5.7〜20%〕Niは、Alとともに、Ni
Al3 、NiAl、Ni3 Al、等の金属間化合物をつ
くる。これら金属間化合物は高温でも安定であり、合金
の耐摩耗性と高温強度とに寄与する。特にNiAl3
属間化合物は、他のNiAl金属間化合物、Ni3
l、金属間化合物等と比較して、硬さもより低く、靱性
により富む。
【0014】Niを5.7%以上添加することにより、
得られる合金中にNiAl3 金属間化合物の析出が見ら
れるが、Niが10%未満の添加では、高温強度が効果
的に向上しない。逆に、Niが40%以下の添加であれ
ば、得られる合金はNiAl3 金属間化合物を作るが、
Niを20%を超えて添加すると、合金が脆くなり、常
温での伸び値が極めて小さくなる。このため、Niを2
0%を超えて添加すると、製品の高温強度及び耐摩耗性
は優れるものの、切削性などが著しく劣り、実用上の利
用が困難となる。
【0015】よって、Ni:5.7〜20%である。好
ましくはNi:10〜20%である。 〔Si:6〜25%〕Al中に微細なSiを分散させた
合金は、高温強度、耐摩耗性に優れることは、A390
合金等で知られている。
【0016】鋳造法により製品を製造した場合には、S
iを11.3%以上含むアルミニウム合金には粗大Si
初晶が晶出し、かかる合金は摺動部の相手材を攻撃した
り、また被削性が著しく悪くなるとともに、合金自体の
伸びが著しく低下し、生産技術面(例えば、部品加工時
のクラック等)で実用的でなく、また部品として使用時
に割れが生じたりして好ましくない。しかし、急冷凝固
粉末冶金法によりアルミニウム合金を製造する場合に
は、Siを25%まで配合しても微細Siの晶出したア
ルミニウム合金が得られる。Siを25%を超えて配合
すると、急冷凝固法で耐熱アルミニウム合金粉末を製造
した場合でも、製品に粗大Siが晶出して好ましくな
い。
【0017】逆に、Siが6%未満の配合では、得られ
るアルミニウム合金の高温強度及び耐摩耗性が不十分で
ある。 〔Fe:0.6〜8.0%〕一般にはFeの添加は好ま
しくなく、含まれていても0.5%以下であることが望
ましいとされるが、発明者らの実験結果では、Feを配
合することにより、得られるアルミニウム合金の常温強
度及び高温強度が向上することが判明した。Feが0.
6%未満の配合では、アルミニウム合金の常温強度及び
高温強度向上の効果が少なく、Feを8%を超えて配合
すると、アルミニウム合金が脆くなる。但し、Feと後
述するCuとは、少なくとも1種が含有される。 〔Cu:0.6〜5.0%〕Cuは、耐熱アルミニウム
合金に時効硬化を付与し、Alマトリックスを強化す
る。Cuが0.6%以上の配合でアルミニウム合金の常
温強度向上の効果があり、Cuを5%を超えて配合する
と、粗大な晶出物が生成し、アルミニウム合金の300
℃での高温強度を低下させる。但し、Cuと上述のFe
とは、少なくとも1種が含有される。 〔B単体:合金中には0.05〜10%、粉末中には
0.05〜2%〕B単体量とともに摺動特性は向上する
傾向にある。合金中及び粉末中でB単体:0.05%未
満では摺動特性向上の効果が少ない。
【0018】急冷凝固法では、溶解温度を高めにし、多
量のBを溶解させた後、急速冷却すれば、溶解限度以上
のBを含む合金粉末が得られる。但し、Zr等の他の元
素が同時に含有されていれば、急冷凝固法により合金粉
末を製造する場合でも、Bが硼化合物になりやすい。な
お、合金中でBが単体で存在するか否かはTEM(透過
型電子顕微鏡)などにより確認できる。
【0019】ここで、アルミニウム溶湯中に溶解するB
量は730℃で0.22%、1100℃で1.7%であ
る。このため、急冷凝固法により、本発明の耐熱アルミ
ニウム合金粉末を得るためには、1100℃以上のアル
ミニウム溶湯を必要とするので、実用上粉末中のB量は
2%以下である。こうして得られたアルミニウム合金粉
末を焼結法により合金とする。
【0020】また、アルミニウム合金粉末に後からB粉
末を添加し、押出しにより耐熱アルミニウム合金を製作
する場合には、溶解温度の制約はないので、多量に添加
することが可能であるが、合金中に10%を超えるB粉
末を添加すると、合金の強度と靱性とを低下させるの
で、合金中のB量は10%以下である。 〔グラファイト粉末:合金中に0.1〜10%〕アルミ
ニウム合金粉末に後からグラファイト粉末を添加する
と、グラファイト粉末量の増加とともに摺動特性は向上
する傾向にあるが、グラファイト粉末量の増加により強
度が低下する。合金中で0.1%未満の含有量では摺動
特性向上の効果が少なく、10%を超えた含有量では強
度低下を招く。
【0021】よって、グラファイト粉末:合金中に0.
1〜10%である。好ましくはグラファイト粉末:合金
中に0.1〜5%である。
【0022】
〔製造法1〕
【0023】
【表1】
【0024】表1に示す組成の溶湯をアトマイズ法によ
り粉末化した後、100メッシュの篩いにより分級し、
比較例1、2及び実施例1〜4の耐熱アルミニウム合金
粉末を得た。なお、実施例1〜4は、比較例1、2の組
成を基本とし、これらにBを含有させたものである。こ
れら耐熱アルミニウム合金粉末を純Alの底付きチュー
ブに装填して真空条件下、面圧3ton/cm2 で冷間
予備成形し、φ30×L80のプリフォーム体を製作し
た。これらプリフォーム体を450℃で30分間加熱
し、比較的大きな押出比「10」で熱間押出加工を行
い、直径10mmの棒状の比較例1、2及び実施例1〜
4の引張試験用アルミニウム合金を得た。
【0025】また、各耐熱アルミニウム合金粉末を金型
に充填して450℃、面圧3ton/cm2 で真空ホッ
トプレスし、得られた成形体から40×40(mm)の
比較例1、2及び実施例1〜4の摺動試験用アルミニウ
ム合金を切り出した。 〔製造法2〕上記表1に示す比較例1、2の組成の耐熱
アルミニウム合金粉末を製造法1と同様に用意し、これ
ら耐熱アルミニウム合金粉末にB粉末又はグラファイト
(Gr)粉末を添加し、これらをらいかい機により混合
することにより、B:1%、5%、10%を含む混合粉
末と、Gr:2%、5%を含む混合粉末とを得た。
【0026】これら混合粉末を製造法1と同様に実施例
5〜13の引張試験用アルミニウム合金及び摺動試験用
アルミニウム合金とした。各引張試験用アルミニウム合
金及び摺動試験用アルミニウム合金の組成を表2に示す
(なお、実施例13はGrが実施例9と異なり、他の構
成は実施例9と同一である。)。
【0027】
【表2】
【0028】なお、上記製造法1、2において、B粉末
としては高純度科学研究所(株)製の−325メッシュ
(D50=5μm)の粒径のものを用いた。また、Gr粉
末としては、実施例9、10では日本黒鉛(株)製のA
CP粉末(D50=10μm、フレーク状)、実施例13
では同J−ACP(D50=3μm、フレーク状)、実施
例11、12では同ACB−150(D50=25μm、
粒状)を用いた。 〔評価1〕上記製造法1で得た各引張試験用アルミニウ
ム合金における引張強度(TS)及び伸び値(δ)の強
度特性を表1に併せて示す。また、上記製造法2で得た
各引張試験用アルミニウム合金における引張強度及び伸
び値の強度特性を表2に併せて示す。
【0029】表1、2より、実施例1〜12のアルミニ
ウム合金は、いづれも常温(RT)における引張強度が
500MPaを超え、200℃における引張強度が25
0MPaを超え、B、Grを含まない比較例1、2のア
ルミニウム合金と比べて遜色無く、優れていることがわ
かる。このうち、実施例11のアルミニウム合金では、
常温における引張強度が600MPaを超え、特に優れ
ていることがわかる。
【0030】また、製造法1で得たアルミニウム合金
(実施例1〜4)と、製造法2で得たアルミニウム合金
(実施例5〜12)とでは、常温強度、200℃強度と
もに大差が認められないことがわかる。 〔評価2〕上記製造法1、2で得た各摺動試験用アルミ
ニウム合金を用い、フレッチング試験を行った。この試
験は、摺動試験用アルミニウム合金を鋼(窒化処理した
JIS430ステンレス)製の平板により、100℃、
面圧1.2MPaの荷重、5Hzの速さで10分間繰返
し叩き、摺動試験用アルミニウム合金上の凝着発生面積
率(%)を観察するものである。結果を図1に示す。
【0031】図1より、Gr:5%を含むアルミニウム
合金(実施例10、12)では、Grを含まないアルミ
ニウム合金(比較例1、2)と比較して、凝着発生面積
が半分以下に減少していることがわかる。また、製造法
1で得たB:1%のアルミニウム合金(実施例3)及び
製造法2で得たB:5%のアルミニウム合金(実施例
6)は、全く凝着が発生しておらず、特に優れているこ
とがわかる。
【0032】さらに、製造法1で得たアルミニウム合金
(実施例1〜3)の凝着発生面積率から、アトマイズ法
で製造した場合には、B量とともに凝着面積が直線的に
減少する関係にあることがわかる。 〔評価3〕上記各摺動試験用アルミニウム合金と同様
に、製造法1、2により10×15.7(mm)の平板
状アルミニウム合金を得た。これら平板状アルミニウム
合金を用い、油潤滑下での摩擦摩耗試験を行った。この
試験は、相手材としてSUJ2製のリングを使用し、荷
重15kgf、回転数160rpmで15分間の摩耗試
験をLFW摩擦試験機により実施し、その時の摩耗量
(mm3 /kg・mm)を測定したものである。結果を
図2に示す。
【0033】図2より、Grを含むアルミニウム合金
(実施例9、10、13)は、Grを含まないアルミニ
ウム合金(比較例1)と比較して、摩耗量が約1/3に
減少していることがわかる。しかし、実施例9、10、
13の平板状アルミニウム合金をみると、Gr量が2%
と5%とでは、摩耗量に大差ないことがわかる。また、
実施例1、3、5、6、7の平板状アルミニウム合金を
みると、B量とともに摩耗量が減少し、特にB:10%
の平板状アルミニウム合金(実施例7)では、Bを含ま
ない平板状アルミニウム合金(比較例1)と比較して、
摩耗量が約1/300以下と大幅に減少していることが
わかる。
【0034】したがって、評価1〜3より、実施例1〜
13の耐熱アルミニウム合金は、軽量であるとともに、
安定して高温強度を発揮し、かつ優れた摺動特性を有す
る製品を製造できることがわかる。なお、B量が同じで
あれば、製造法1で得た平板状アルミニウム合金の方が
製造法2で得た平板状アルミニウム合金よりも評価2、
3で優れているのは、製造法2で得た場合のBの粒径
(D50 )が5μmであるのに対して、製造法1で得た
場合のBの粒径が1μm以下と微細であることによると
思われる。 「試験2」上記実施例9〜13のアルミニウム合金で
は、結晶質のカーボン(C)であるGrを採用したが、
非晶質のC(グラシーカーボン)を採用した場合の耐磨
耗性を調査した。
【0035】JIS2014+15Si組成の合金粉末
を試験1の製造法1と同様に製造し、これらの合金粉末
とC(グラシーカーボン):5重量%とを用いて試験1
の製造法2と同様にアルミニウム合金とした。このアル
ミニウム合金の耐磨耗性を評価3と同様評価したとこ
ろ、その磨耗量は7.5×10-7であり、非晶質のC
(グラシーカーボン)を採用した場合には、耐磨耗性は
ほとんど改善されないことが確認された。 「試験3」Gr粉末の純度、粒径、形状の相違により、
常温における引張強度、耐力、伸び値が影響を受けるか
否かの確認試験を行った。
【0036】Gr粉末としては、上記日本黒鉛(株)製
のACP粉末(D50=10μm、フレーク状)、同製C
PB粉末(D50=10μm、フレーク状)、上記同製J
−ACP粉末(D50=3μm、フレーク状)、同製J−
HOP粉末(D50=3μm、土状)、上記同製ACB−
150粉末(D50=20μm、粒状)、同製HOP粉末
(D50=2〜3μm、土状)、同製J−EP粉末(D50
=3μm、薄片状)を用いた。
【0037】試験1の製造法1と同様にAl−8Si−
5Fe−3Ni−1Mo−0.7Zr−2.8Cu−
1.3Mgの組成のアルミニウム合金粉末を製造した。
そして、このアルミニウム合金粉末に2%のGrを混合
して試験1の製造法2と同様に試験品1〜6のアルミニ
ウム合金とした。これらのアルミニウム合金の引張強
度、耐力、伸び値を表3に示す。
【0038】
【表3】 注)TS:引張強度(MPa)、YS:耐力(MP
a)、δ:伸び値(%)、 *:チャック部で破断 表3より、Gr粉末の純度、粒径、形状の相違により、
引張強度、耐力、伸び値はさほど影響をうけないことが
確認できる。
【0039】また、グラファイト粉末の純度、粒径、形
状の相違により、フレッチング疲労現象、耐摩耗性も確
認したところ、これらにも大差を生じないことが確認で
きた。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の耐熱アル
ミニウム合金は、所定量のNi、Si、Fe、Cuを含
有し、かつB単体又はグラファイト粉末を含有するた
め、安定して高温強度を発揮し、かつ優れた摺動特性を
発揮する。したがって、本発明の耐熱アルミニウム合金
で例えば自動車等のエンジン部品を製造しても、そのア
ルミニウム合金は、軽量であるとともに、安定した高温
強度、優れた摺動特性を発揮することができるため、近
年の軽量化及び高出力化の要請に確実に答えることがで
きるエンジン部品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験1における評価2において実施例と比較例
とのアルミニウム凝着発生面積率を示すグラフである。
【図2】試験1における評価3において実施例と比較例
との比摩耗量を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今橋 邦彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 道岡 博文 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 楠井 潤 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内 (72)発明者 田中 昭衛 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Ni:5.7〜20%、Si:
    6〜25%を含有し、少なくともFe:0.6〜8%及
    びCu:0.6〜5%の1種を含み、残部Alからなる
    耐熱アルミニウム合金であって、 さらに少なくともB単体:0.05〜10%及びグラフ
    ァイト粉末:0.1〜10%の1種を含み、かつ常温で
    の引張強度が500MPa以上で、かつ200℃での引
    張強度が250MPa以上であることを特徴とする耐熱
    アルミニウム合金。
  2. 【請求項2】重量%で、Ni:5.7〜20%、Si:
    6〜25%を含有し、少なくともFe:0.6〜8%及
    びCu:0.6〜5%の1種を含み、残部Alからなる
    耐熱アルミニウム合金粉末であって、 さらに少なくともB単体:0.05〜2%を含み、アト
    マイズ法により製造されることを特徴とする耐熱アルミ
    ニウム合金粉末。
JP9652092A 1992-04-16 1992-04-16 耐熱アルミニウム合金及び耐熱アルミニウム合金粉末 Pending JPH05287426A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5478418A (en) * 1993-04-30 1995-12-26 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Aluminum alloy powder for sliding members and aluminum alloy therefor
JPH0949042A (ja) * 1995-08-09 1997-02-18 Zexel Corp 耐摩耗性複合材料
US10388842B2 (en) 2014-11-27 2019-08-20 Hyundai Motor Company Thermoelectric generator system of engine

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