JPH07331371A - 高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム基複合材料 - Google Patents

高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム基複合材料

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JPH07331371A
JPH07331371A JP27940892A JP27940892A JPH07331371A JP H07331371 A JPH07331371 A JP H07331371A JP 27940892 A JP27940892 A JP 27940892A JP 27940892 A JP27940892 A JP 27940892A JP H07331371 A JPH07331371 A JP H07331371A
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aluminum
alloy
resistance
aluminum alloy
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JP27940892A
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Kunihiko Imahashi
邦彦 今橋
Hirohisa Miura
宏久 三浦
Yasuhiro Yamada
泰弘 山田
Hirobumi Michioka
博文 道岡
Jun Kusui
潤 楠井
Akimori Tanaka
昭衛 田中
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Toyo Aluminum KK
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyo Aluminum KK
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】安定して高温強度を発揮し、かつ優れた摺動特
性を有するとともに、特に耐摩耗性、耐フレッチング性
が向上した製品を製造する。 【構成・作用】重量%で、Ni:5.7〜20%、S
i:6〜25%を含有し、少なくともFe:0.6〜8
%及びCu:0.6〜5%の1種を含み、さらに少なく
ともB単体:0.05〜10%及びグラファイト粉末:
0.1〜10%の1種を含み、残部Alからなるマトリ
ックスと、このマトリックス中に合計:0.5〜10%
分散された少なくとも窒化物粒子、硼化物粒子、酸化物
粒子及び炭化物粒子の1種とからなるもの。Al−Ni
−Si−Fe(Cu)−B(Gr)系合金をマトリック
スとし、窒化物粒子等を分散させれば、耐摩耗性、耐フ
レッチング性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コネクティングロッ
ド、スプリングリテーナ、バルブリフタ、ピストン、イ
ンテークバルブ等の自動車、航空機等のエンジン部品に
適用して有用な、高温強度とともに摺動特性に優れる高
耐熱・高耐摩耗性アルミニウム基複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金は、軽量で加工性に優
れているので、古くから航空機あるいは自動車の構造用
材料として用いられている。従来の耐熱アルミニウム合
金としては、Niを5重量%(以下、単に%という。)
以上含むAl−Ni系合金(軽金属学会主催、Al合金
の粉末冶金技術シンポジウム(昭和62年3月9日開
催)予稿集第58頁、第70頁)、Al−Fe−Si系
合金(雑誌「アルトピア」1989年11月号第17〜
27頁、アルミニウム合金の粉末冶金)、7.7〜15
%のNiと、15〜25%のSiとを含み、Si結晶粒
の大きさを15μm以下としたAl−Ni−Si系合金
粉末からなる「耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金粉
末」を焼結させた合金(特公平2−56401号公報)
が知られている。
【0003】また、アルミニウム合金は、鋼と比較し
て、アルミニウム合金又は鋼と摺動した場合、非常に焼
付きを生じやすい。このため、かかる摺動特性を改善す
べく、アルミニウム合金粉末とグラファイト粉末との混
合粉末を焼結させた焼結アルミニウム合金が提案されて
いる(特開昭55−97447号公報、特公平1−18
983号公報、特開平1−132736号公報、特開平
1−246341号公報)。また、アルミニウム合金中
にボロン(B)を0.4〜5.5%含有させた鋳造アル
ミニウム合金(特開昭54−88819号公報)、アル
ミニウム合金中にBを0.5〜10%含有させた鋳造ア
ルミニウム合金(特開昭63−247334号公報)も
提案されている。なお、アルミニウム合金中にBを0.
05%程度、Tiとともに添加し、微細化した鋳造アル
ミニウム合金も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車の低燃費
化のため、自動車用エンジンには軽量化が求められてい
る。また、自動車用エンジンには高出力化が要求されて
いる。このため、コネクティングロッド等のエンジン部
品には、アルミニウム合金であって、かつ常温での引張
強度が500MPa以上、200℃で引張強度が250
MPa以上、更に鋼部品と摺動した場合に焼付かず、フ
レッチング疲労現象を起こさない特性が要求されてい
る。
【0005】ここに、焼付き現象とは、機械摺動部材の
摺動特性を示す現象であって、高荷重下で摺動を繰り返
した場合、相手部品に一部が凝着し、相互の摩擦係数が
急激に上昇し、固着する現象である。また、フレッチン
グ疲労現象とは、やはり機械摺動部材の摺動特性を示す
現象であって、油潤滑下であっても、高荷重下で摺動を
繰り返した場合、相手部品に一部が凝着し、この部位を
起点として疲労破壊する現象である。
【0006】かかる観点からは、上記Al−Ni系合
金、Al−Fe−Si系合金及びAl−Ni−Si系合
金では、高温強度が十分でなく、また安定して高温強度
に優れる製品を製造できない。また、これらのアルミニ
ウム合金では、無潤滑下で鋼部品と摺動した場合の耐焼
付き荷重が4〜8MPaであり、この合金でコネクティ
ングロッドを製作した場合には106 回程度の繰返しで
フレッチング疲労現象を生じてしまう。
【0007】また、上記特開昭55−97447号公報
等記載の焼結アルミニウム合金では、グラファイト粉末
を添加することにより、強度が大幅に低下し、得られる
常温での引張強度が83〜450MPa程度である。さ
らに、上記特開昭54−88819号公報等記載の鋳造
アルミニウム合金では、B単体としては存在していない
と考えられ、十分な摺動特性を発揮していない。すなわ
ち、鋳造法では、Alマトリックス中に固溶するB量が
低く、常温ではほとんど溶解せず、また溶湯中にせっか
く溶解されたBが徐冷されればほとんどAlB12等の硼
素化合物に変化し、これにより十分な摺動特性が発揮し
えないと考えられる。
【0008】したがって、従来のアルミニウム合金を近
年の自動車等のエンジン部品に適用することはできな
い。そこで、本出願人は、特願平4−96520号にお
いて、安定して高温強度を発揮し、かつ優れた摺動特性
を有する製品を製造できる耐熱アルミニウム合金を提案
した。この耐熱アルミニウム合金は、重量%で、Ni:
5.7〜20%、Si:6〜25%を含有し、少なくと
もFe:0.6〜8%及びCu:0.6〜5%の1種を
含み、さらに少なくともB単体:0.05〜10%及び
グラファイト粉末:0.1〜10%の1種を含み、残部
Alからなるものである。
【0009】しかしながら、上記提案の耐熱アルミニウ
ム合金よりも、さらに耐摩耗性、耐フレッチング性の向
上した材料が要望されるに至っている。本発明は、上記
実情に鑑みてなされたものであって、安定して高温強度
を発揮し、かつ優れた摺動特性を有するとともに、特に
耐摩耗性、耐フレッチング性が向上した製品を製造でき
る高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム基複合材料を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高Ni及び
高Siのアルミニウム合金にFe及びCuの少なくとも
1種を配合することにより優れた耐熱アルミニウム合金
が得られることを知り、かかる合金について研究を進め
た。そして、Ni及びFeを含む高Siの耐熱アルミニ
ウム合金粉末に摺動特性に優れるグラファイト粉末を混
合、押出し加工することにより、強度と摺動特性に優れ
る耐熱アルミニウム合金が得られるのではないかという
予測に基づき、開発を進めた。また、急冷凝固(アトマ
イズ)法において、溶解温度を高めにし、多量のBを溶
解させた後、急速冷却することにより、溶解限度以上の
Bを含む合金粉末が得られるのではないかとの予測に基
づき、開発を進めた。さらに、こうして得られるマトリ
ックス中に窒化物粉末、硼化物粉末、酸化物粉末、炭化
物粉末を分散させることにより、さらに耐摩耗性、耐フ
レッチング性を向上できることを知り、本発明の高耐熱
・高耐摩耗性アルミニウム基複合材料を発明したもので
ある。
【0011】本発明の高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム
基複合材料は、重量%で、Ni:5.7〜20%、S
i:6〜25%を含有し、少なくともFe:0.6〜8
%及びCu:0.6〜5%の1種を含み、さらに少なく
ともB単体:0.05〜10%及びグラファイト粉末:
0.1〜10%の1種を含み、残部Alからなるマトリ
ックスと、該マトリックス中に合計:0.5〜10%分
散された少なくとも窒化物粉末、硼化物粉末、酸化物粉
末及び炭化物粉末の1種と、からなり、粉末冶金法によ
り製造されることを特徴とするものである。
【0012】本発明の高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム
基複合材料は、先の提案のマトリックス中に少なくとも
窒化物粉末、硼化物粉末、酸化物粉末及び炭化物粉末の
1種を合計:0.5〜10%分散させ、粉末冶金法によ
り合金材とすることで製造することができる。すなわ
ち、マトリックスは、先の提案のように、重量%で、N
i:5.7〜20%、Si:6〜25%を含有し、少な
くともFe:0.6〜8%及びCu:0.6〜5%の1
種を含み、さらに少なくともB単体:0.05〜10%
及びグラファイト粉末:0.1〜10%の1種を含み、
残部Alからなる。このマトリックスは、先の提案の耐
熱アルミニウム合金粉末(重量%で、Ni:5.7〜2
0%、Si:6〜25%を含有し、少なくともFe:
0.6〜8%及びCu:0.6〜5%の1種を含み、さ
らにB単体:0.05〜2%を含み、残部Alからな
る)に少なくともB単体及びグラファイト粉末を所望に
より後添加することで得られる。このマトリックスを構
成する粉末中に少なくとも窒化物粉末、硼化物粉末、酸
化物粉末及び炭化物粉末の1種を混合し、分散させてケ
ースに入れ、この状態で冷間予備成形、押出鍛造する。
【0013】窒化物粉末としては、AlN、TiN、Z
rN、BN等の粉末を採用することができる。硼化物粉
末としては、TiB2 、NiB、MgB2 等の粉末を採
用することができる。酸化物粉末としては、Al
2 3 、SiO2 等の粉末を採用することができる。炭
化物粉末としては、SiC等の粉末を採用することがで
きる。
【0014】本発明の高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム
基複合材料を構成する元素の配合割合及び作用を以下に
説明する。 〔Ni:5.7〜20%〕Niは、Alとともに、Ni
Al3 、NiAl、Ni3 Al、等の金属間化合物をつ
くる。これら金属間化合物は高温でも安定であり、合金
の耐摩耗性と高温強度とに寄与する。特にNiAl3
属間化合物は、他のNiAl金属間化合物、Ni3 Al
金属間化合物等と比較して、硬さもより低く、靱性によ
り富む。
【0015】Niを5.7%以上添加することにより、
得られる合金中にNiAl3 金属間化合物の析出が見ら
れるが、Niが10%未満の添加では、高温強度が効果
的に向上しない。逆に、Niが40%以下の添加であれ
ば、得られる合金はNiAl3 金属間化合物を作るが、
Niを20%を超えて添加すると、合金が脆くなり、常
温での伸び値が極めて小さくなる。このため、Niを2
0%を超えて添加すると、製品の高温強度及び耐摩耗性
は優れるものの、切削性などが著しく劣り、実用上の利
用が困難となる。
【0016】よって、Ni:5.7〜20%である。好
ましくはNi:10〜20%である。 〔Si:6〜25%〕Al中に微細なSiを分散させた
合金は、高温強度、耐摩耗性に優れることは、A390
合金等で知られている。
【0017】鋳造法により製品を製造した場合には、S
iを11.3%以上含むアルミニウム合金には粗大Si
初晶が晶出し、かかる合金は摺動部の相手材を攻撃した
り、また被削性が著しく悪くなるとともに、合金自体の
伸びが著しく低下し、生産技術面(例えば、部品加工時
のクラック等)で実用的でなく、また部品として使用時
に割れが生じたりして好ましくない。しかし、急冷凝固
粉末冶金法によりアルミニウム合金を製造する場合に
は、Siを25%まで配合しても微細Siの晶出したア
ルミニウム合金が得られる。Siを25%を超えて配合
すると、急冷凝固法で耐熱アルミニウム合金粉末を製造
した場合でも、製品に粗大Siが晶出して好ましくな
い。
【0018】逆に、Siが6%未満の配合では、得られ
るアルミニウム合金の高温強度及び耐摩耗性が不十分で
ある。 〔Fe:0.6〜8.0%〕一般にはFeの添加は好ま
しくなく、含まれていても0.5%以下であることが望
ましいとされるが、発明者らの実験結果では、Feを配
合することにより、得られるアルミニウム合金の常温強
度及び高温強度が向上することが判明した。Feが0.
6%未満の配合では、アルミニウム合金の常温強度及び
高温強度向上の効果が少なく、Feを8%を超えて配合
すると、アルミニウム合金が脆くなる。但し、Feと後
述するCuとは、少なくとも1種が含有される。 〔Cu:0.6〜5.0%〕Cuは、耐熱アルミニウム
合金に時効硬化を付与し、Alマトリックスを強化す
る。Cuが0.6%以上の配合でアルミニウム合金の常
温強度向上の効果があり、Cuを5%を超えて配合する
と、粗大な晶出物が生成し、アルミニウム合金の300
℃での高温強度を低下させる。但し、Cuと上述のFe
とは、少なくとも1種が含有される。 〔B単体:合金中には0.05〜10%、粉末中には
0.05〜2%〕B単体の量とともに摺動特性は向上す
る傾向にある。合金中及び粉末中でB単体:0.05%
未満では摺動特性向上の効果が少ない。
【0019】急冷凝固法では、溶解温度を高めにし、多
量のBを溶解させた後、急速冷却すれば、溶解限度以上
のBを含む合金粉末が得られる。但し、Zr等の他の元
素が同時に含有されていれば、急冷凝固法により合金粉
末を製造する場合でも、Bが硼化合物になりやすい。な
お、合金中でBが単体で存在するか否かはTEM(透過
型電子顕微鏡)などにより確認できる。
【0020】ここで、アルミニウム溶湯中に溶解するB
量は730℃で0.22%、1100℃で1.7%であ
る。このため、急冷凝固法により、先の提案の耐熱アル
ミニウム合金粉末を得るためには、1100℃以上のア
ルミニウム溶湯を必要とするので、実用上粉末中のB量
は2%以下である。こうして得られたアルミニウム合金
粉末が少なくともB単体及びグラファイト粉末とともに
本発明のマトリックスとなる。
【0021】また、アルミニウム合金粉末に後からB粉
末を添加し、押出しにより先の提案の耐熱アルミニウム
合金を製作する場合には、溶解温度の制約はないので、
多量に添加することが可能であるが、合金中に10%を
超えるB粉末を添加すると、合金の強度と靱性とを低下
させるので、合金中のB量は10%以下である。 〔グラファイト粉末:合金中に0.1〜10%〕アルミ
ニウム合金粉末に後からグラファイト粉末を添加する
と、グラファイト粉末量の増加とともに摺動特性は向上
する傾向にあるが、グラファイト粉末量の増加により強
度が低下する。合金中で0.1%未満の含有量では摺動
特性向上の効果が少なく、10%を超えた含有量では強
度低下を招く。
【0022】よって、グラファイト粉末:合金中に0.
1〜10%である。好ましくはグラファイト粉末:合金
中に0.1〜5%である。 〔少なくとも窒化物粉末、硼化物粉末、酸化物粉末及び
炭化物粉末の1種:合計:0.5〜10%〕これら窒化
物粉末、硼化物粉末、酸化物粉末及び炭化物粉末は、耐
摩耗性、耐フレッチング性を向上させる。合計で0.5
未満であれば、耐摩耗性、耐フレッチング性向上の効果
が少なく、合計で10%を超えれば、引張強度、伸びな
どの特性が著しく低下する。
【0023】
〔製造法〕
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】Al−15Si−15Ni−1Fe−3C
u(比較例1)、Al−8Si−3Ni−5Fe−2.
8Cu(比較例2)、Al−15Si−15Ni−3C
u、Al−15Si−15Ni−1Fe−1Cuからな
る組成の溶湯をアトマイズ法により粉末化した後、10
0メッシュの篩いにより分級し、耐熱アルミニウム合金
粉末を得た。
【0027】これら耐熱アルミニウム合金粉末に、表
1、2に示すように、B粉末、グラファイト(Gr)粉
末、AlN粉末、TiB2 粉末、SiC粉末、Al2
3 粉末を添加し、これらをらいかい機により混合するこ
とにより混合粉末を得た。各混合粉末を純Alの底付き
チューブに装填して真空条件下、面圧3ton/cm2
で冷間予備成形し、φ30×L80のプリフォーム体を
製作した。これらプリフォーム体を450℃で30分間
加熱し、比較的大きな押出比「10」で熱間押出加工を
行い、直径10mmの棒状の比較例1〜11及び実施例
1〜6の引張試験用アルミニウム基複合材料を得た。
【0028】また、各混合粉末を金型に充填して450
℃、面圧3ton/cm2 で真空ホットプレスし、得ら
れた成形体から40×40(mm)の比較例1〜11及
び実施例1〜6の摺動試験用アルミニウム基複合材料を
切り出した。なお、上記製造法において、B粉末として
は高純度科学研究所(株)製の−325メッシュ(D50
=5μm)の粒径のものを用いた。
【0029】また、Gr粉末としては、比較例8、9で
は日本黒鉛(株)製のACP粉末(D50=10μm、フ
レーク状)、比較例10では同ACB−150(D50
25μm、粒状)、比較例11では同J−ACP(D50
=3μm、フレーク状)、実施例3では日本黒鉛製(D
50=6μm、粒状)を用いた。さらに、AlN粉末とし
ては東洋アルミニウム(株)製(D50=7.3μm)を
用い、TiB2 粉末としては出光石油化学製(D50
2.3μm)を用い、SiC粉末としてはイビデン製
(D50=2.6μm)を用い、Al2 3 粉末としては
昭和電工製(D50=0.5μm)を用いた。 〔評価1〕上記製造法で得た各引張試験用アルミニウム
基複合材料における引張強度(TS)及び伸び値(δ)
の強度特性を表1、2に併せて示す。
【0030】表1、2より、実施例1〜6のアルミニウ
ム基複合材料は、いづれも常温(RT)における引張強
度が500MPaを超え、200℃における引張強度が
250MPaを超え、比較例1〜11のアルミニウム基
複合材料と比べて遜色無く、優れていることがわかる。 〔評価2〕上記製造法で得た各摺動試験用アルミニウム
基複合材料を用い、フレッチング試験を行った。この試
験は、摺動試験用アルミニウム基複合材料を鋼(窒化処
理したJIS430ステンレス)製の平板により、10
0℃、面圧1.2MPaの荷重、5Hzの速さで10分
間繰返し叩き、摺動試験用アルミニウム基複合材料上の
凝着発生面積率(%)を観察するものである。結果を図
1に示す。
【0031】図1より、実施例1、2のアルミニウム基
複合材料ではアルミ凝着発生面積率が0であり、これら
の優れていることがわかる。 〔評価3〕上記各摺動試験用アルミニウム基複合材料と
同様に、10×15.7(mm)の平板状アルミニウム
基複合材料を得た。これら平板状アルミニウム基複合材
料を用い、油潤滑下での摩擦摩耗試験を行った。この試
験は、相手材としてSUJ2製のリングを使用し、荷重
15kgf、回転数160rpmで15分間の摩耗試験
をLFW摩擦試験機により実施し、その時の摩耗量(m
3 /kg・mm)を測定したものである。結果を図2
に示す。
【0032】図2より、実施例1〜5のアルミニウム基
複合材料では比摩耗量が比較例のいずれよりも少なく、
これらの優れていることがわる。したがって、評価1〜
3より、実施例1〜6のアルミニウム基複合材料は、軽
量であるとともに、安定して高温強度を発揮し、かつ優
れた摺動特性を有するとともに、さらに耐摩耗性、耐フ
レッチング性が向上した製品を製造できることがわか
る。 〔評価4〕実施例1のアルミニウム基複合材料における
〔評価3〕後の相手材表面のSEM写真を図3、同EP
MA写真を図4に示す。また、実施例3のアルミニウム
基複合材料における〔評価3〕後の相手材表面のSEM
写真を図5、同EPMA写真を図6に示す。さらに、比
較例3のアルミニウム基複合材料における〔評価3〕後
の相手材表面のSEM写真を図7、同EPMA写真を図
8に示す。
【0033】図3〜8より、実施例1、3のアルミニウ
ム基複合材料ではAlが相手材に凝着していないのに対
し、比較例3のアルミニウム基複合材料ではAlが相手
材に凝着しており、実施例1、3のアルミニウム基複合
材料が耐摩耗性、耐フレッチング性に優れていることが
わかる。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の耐熱アル
ミニウム基複合材料は、所定量のNi、Si、Fe、C
uを含有し、かつB単体又はグラファイト粉末を含有
し、さらに窒化物粉末、硼化物粉末、酸化物粉末及び炭
化物粉末の1種を含有するため、安定して高温強度を発
揮し、かつ優れた摺動特性を発揮するとともに、特に耐
摩耗性、耐フレッチング性が向上している。
【0035】したがって、本発明の耐熱アルミニウム基
複合材料で例えば自動車等のエンジン部品を製造して
も、そのアルミニウム基複合材料は、軽量であるととも
に、安定した高温強度、優れた摺動特性を発揮し、特に
優れた耐摩耗性、耐フレッチング性を発揮することがで
きるため、近年の軽量化及び高出力化の要請に確実に答
えることができるエンジン部品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】評価2において実施例と比較例とのアルミニウ
ム凝着発生面積率を示すグラフである。
【図2】評価3において実施例と比較例との比摩耗量を
示すグラフである。
【図3】評価4において実施例1の耐熱アルミニウム基
複合材料における〔評価3〕後の相手材表面の金属組織
を示す800倍のSEM写真である。
【図4】評価4において実施例1の耐熱アルミニウム基
複合材料における〔評価3〕後の相手材表面の金属組織
を示す800倍のEPMA写真である。
【図5】評価4において実施例3の耐熱アルミニウム基
複合材料における〔評価3〕後の相手材表面の金属組織
を示す800倍のSEM写真である。
【図6】評価4において実施例3の耐熱アルミニウム基
複合材料における〔評価3〕後の相手材表面の金属組織
を示す800倍のEPMA写真である。
【図7】評価4において比較例3の耐熱アルミニウム基
複合材料における〔評価3〕後の相手材表面の金属組織
を示す800倍のSEM写真である。
【図8】評価4において比較例3の耐熱アルミニウム基
複合材料における〔評価3〕後の相手材表面の金属組織
を示す800倍のEPMA写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 宏久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山田 泰弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 道岡 博文 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 楠井 潤 大阪市中央区久太郎町三丁目6番8号 東 洋アルミニウム株式会社内 (72)発明者 田中 昭衛 大阪市中央区久太郎町三丁目6番8号 東 洋アルミニウム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Ni:5.7〜20%、Si:
    6〜25%を含有し、少なくともFe:0.6〜8%及
    びCu:0.6〜5%の1種を含み、さらに少なくとも
    B単体:0.05〜10%及びグラファイト粉末:0.
    1〜10%の1種を含み、残部Alからなるマトリック
    スと、 該マトリックス中に合計:0.5〜10%分散された少
    なくとも窒化物粉末、硼化物粉末、酸化物粉末及び炭化
    物粉末の1種と、 からなり、粉末冶金法により製造されることを特徴とす
    る高耐熱・高耐摩耗性アルミニウム基複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2509817C1 (ru) * 2012-12-05 2014-03-20 Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Чувашский государственный университет имени И.Н. Ульянова" Порошковый композиционный материал
CN111515404A (zh) * 2020-05-15 2020-08-11 富耐克超硬材料股份有限公司 一种cBN/Al复合材料的制备方法

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