JPH05285582A - 外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法 - Google Patents

外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法

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JPH05285582A
JPH05285582A JP8410792A JP8410792A JPH05285582A JP H05285582 A JPH05285582 A JP H05285582A JP 8410792 A JP8410792 A JP 8410792A JP 8410792 A JP8410792 A JP 8410792A JP H05285582 A JPH05285582 A JP H05285582A
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forming
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豪 石原
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昌夫 三上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外周に形状変化部を持つ金属製リングの製造
方法に係り、少ない対数の成形ロールを使用して、品質
の高い金属リング体を低労力及び低コストで効率良く製
造する。 【構成】 金属製リング状素材を対をなす成形ロールで
圧延することによって、外周に形状変化部を持つ金属リ
ング体を製造する技術であり、両成形ロール間に間隙を
空けた状態で圧延を行ない、金属製リング状素材の外周
面に初期環状窪部を形成して、初期環状窪部に軸方向外
方及び半径両方向の圧縮力を付与することによって所望
形状まで成形を行なう。形状変化の激しい部分を成形に
よって付与し、機械加工仕上によって完成リング体とす
ること、各成形が冷間圧延によってなされること、硬質
材料に適用されること等の手段が必要に応じて付加され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外周に形状変化部を持
つ金属リング体の製造方法に係り、特に金属リング状素
材を二つの成形ロールの間に送り込んで、圧延によって
成形する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービン機関に使用される金属リン
グの製造方法の例として、特公昭62−2889号公報
に記載された技術がある。該金属リングの製造方法は、 複数対のロールダイスを利用する冷間圧延によってニ
ッケル又はコバルト基の金属リングを製造するものであ
り、 はじめの圧延段階で材料を主に軸方向に増大させ、 後の数対のロールダイスによる圧延で主にリング径を
増大させるものである。 そして、第4図と第5図に方法の概念が示されている
ように、上側ダイスと下側ダイスとが、圧延リングの断
面を完全に包囲した状態で圧延を行なうようにしてい
る。 (1) これらの技術によって、圧延した金属リング
は、その後の機械加工や熱間加工を全く必要とせずに狭
い公差に製造でき、±0.002インチの公差限界が達
成される。 (2) 初期段階で圧延の一部を熱間で行ない、圧延作
業の早期に軸方向の形を迅速に決めることが有効であ
る。 等の特徴があるとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる金属製
リングの製造方法について検討すると、ガスタービン機
関用金属リングに使用されるAMS5754材の圧延を
行なう場合には、所望の寸法精度(公差)を得るため
に、例えば17対以上のロールダイスが必要になり、ロ
ールダイスの製造費の増大、ロールダイスの交換労力、
冷間圧延工程の長期化、少量生産時の製造コストの上昇
等の点で改良すべき多くの課題が残されていることが判
明した。
【0004】本発明は、これらの課題に鑑みてなされた
もので、以下の目的を達成するものである。 (1)外周に顕著な形状変化部を持つ金属製リングを効
率良く製造すること。 (2)成形ロールの対数を2ないし3程度に著しく減少
させ、成形ロールの製造及び取り扱いに関連する労力及
びコストを低減すること。 (3)金属リング体の品質を向上させること。
【0005】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
各手段を提案している。請求項1に係る外周に形状変化
部を持つ金属リング体の製造方法は、内径が所望寸法よ
り小さく軸方向断面積が所望断面積よりも大きい金属製
リング状素材を外周成形ロールと内周成形ロールとの間
に送り込んで、両成形ロールの軸方向端部間に間隙を空
けた状態でリング体を圧延することによって外周に形状
変化部を持つ金属リング体を製造する方法であって、金
属製リング状素材の外周面に半径方向の厚さを部分的に
減少させた初期環状窪部を形成し、初期環状窪部に半径
両方向の圧縮力を付与して軸方向寸法を増大させること
によって所望形状より内径が小さく外径及び軸方向寸法
が大きくなるまでの成形を行なうようにしている。請求
項2に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造
方法は、内径外径及び軸方向寸法の一つが所望寸法に近
くなるまで成形を行なう手段を、請求項1に係る金属リ
ング体の製造方法に付加するようにしている。請求項3
に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法
は、リング体の成形工程後に、機械加工によって所望形
状まで仕上げる工程が付加される手段を、請求項1また
は請求項2に係る金属リング体の製造方法に付加するよ
うにしている。請求項4に係る外周に形状変化部を持つ
金属リング体の製造方法は、内周部の形状変化の発生を
抑制しながら外周部に形状変化部を付与する手段を、請
求項1、請求項2または請求項3に係る金属リング体の
製造方法に付加するようにしている。請求項5に係る外
周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法は、リン
グ体の成形工程後に、軸方向の途中でリング体を分割す
る工程が付加される手段を、請求項1、請求項2、請求
項3または請求項4に係る金属リング体の製造方法に付
加するようにしている。請求項6に係る外周に形状変化
部を持つ金属リング体の製造方法は、初期環状窪部が軸
方向の中央部に形成される手段を、請求項1、請求項
2、請求項3、請求項4または請求項5に係る金属リン
グ体の製造方法に付加するようにしている。請求項7に
係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法
は、成形工程によって形成される金属リング体が、軸方
向に対称形状である手段を、請求項1、請求項2、請求
項3、請求項4、請求項5または請求項6に係る金属リ
ング体の製造方法に付加するようにしている。請求項8
に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法
は、金属製リング状素材の軸方向移動を拘束した状態
で、初期環状窪部を形成する手段を、請求項1、請求項
2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請
求項7に係る金属リング体の製造方法に付加するように
している。請求項9に係る外周に形状変化部を持つ金属
リング体の製造方法は、外周成形ロールの環状凸部を、
リング体の初期環状窪部に係合させて、リング体の軸方
向のずれを抑制する手段を、請求項1、請求項2、請求
項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または
請求項8に係る金属リング体の製造方法に付加するよう
にしている。請求項10に係る外周に形状変化部を持つ
金属リング体の製造方法は、中期成形工程以後におい
て、リング体の内周側の軸方向移動を自由にした状態
で、内周面の成形を行なう手段を、請求項1、請求項
2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項
7、請求項8または請求項9に係る金属リング体の製造
方法に付加するようにしている。請求項11に係る外周
に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法は、リング
体の内周面と内周成形ロールとの接触箇所によって、リ
ング体の軸方向移動を拘束した状態で、内周面の成形を
行なう手段を、請求項1、請求項2、請求項3、請求項
4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項
9または請求項10に係る金属リング体の製造方法に付
加するようにしている。請求項12に係る外周に形状変
化部を持つ金属リング体の製造方法は、内周面に軸方向
端部の直径を大きくしたテーパー面が形成される手段
を、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項
5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項
10または請求項11に係る金属リング体の製造方法に
付加するようにしている。請求項13に係る外周に形状
変化部を持つ金属リング体の製造方法は、内周面に軸方
向端部の直径を小さくしたテーパー面が形成される手段
を、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項
5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項
10または請求項11に係る金属リング体の製造方法に
付加するようにしている。請求項14に係る外周に形状
変化部を持つ金属リング体の製造方法は、圧縮成形が冷
間圧延によってなされる手段を、請求項1、請求項2、
請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、
請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項
12または請求項13に係る金属リング体の製造方法に
付加するようにしている。請求項15に係る外周に形状
変化部を持つ金属リング体の製造方法は、中期成形工程
以後における内周成形ロールが兼用される手段を、請求
項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求
項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請
求項11、請求項12、請求項13または請求項14に
係る金属リング体の製造方法に付加するようにしてい
る。請求項16に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法は、金属リング体がガスタービンの燃焼
器用構成材等の硬質材である手段を、請求項1、請求項
2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項
7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請
求項12、請求項13、請求項14または請求項15に
係る金属リング体の製造方法に付加するようにしてい
る。請求項17に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法は、成形途中に中間焼鈍工程を付加する
手段を、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請
求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請
求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求
項14、請求項15または請求項16に係る金属リング
体の製造方法に付加するようにしている。請求項18に
係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法
は、形状変化部を、軸方向両端部近傍に形成する手段
を、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項
5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項
10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項1
4、請求項15、請求項16または請求項17に係る金
属リング体の製造方法に付加するようにしている。請求
項19に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製
造方法は、形状変化部を、初期環状窪部の形成位置近傍
に形成する手段を、請求項1、請求項2、請求項3、請
求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請
求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項
13、請求項14、請求項15、請求項16または請求
項17に係る金属リング体の製造方法に付加するように
している。請求項20に係る外周に形状変化部を持つ金
属リング体の製造方法は、成形工程の終期にリング体の
直径寸法の検出を行なう工程を、請求項1、請求項2、
請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、
請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項
12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項1
6、請求項17、請求項18または請求項19に係る金
属リング体の製造方法に付加するようにしている。
【0006】
【作用】請求項1に係る製造方法では、リング体を圧延
すると、両成形ロールに間隙が形成されていることによ
って、圧縮量の増大にしたがって軸方向の寸法が増加
し、かつ、内径が大きくなることによって軸方向断面積
が小さくなる。金属製リング状素材の外周面に最初に初
期環状窪部を形成して圧縮を続行すると、その初期環状
窪部で分割された金属材料が、軸方向両側に分配され
る。初期環状窪部に、軸方向への圧縮力と半径両方向と
の圧縮力とが付与されると、分配された材料が半径両方
向の圧縮によって軸方向にさらに分配され、外周に形状
変化部を持つリング体が成形される。請求項2に係る製
造方法であると、請求項1による作用に加えて、成形の
限度が内径外径及び軸方向寸法の一つによって管理さ
れ、所望形状及び所望寸法から外れている箇所にあって
は、成形以外の方法による加工が行なわれる。請求項3
に係る製造方法であると、請求項1にまたは請求項2に
よる作用に加えて、機械加工による削り代を残した状態
までの成形を行なうことによって、成形寸法の融通性が
生じて成形性が高められ、成形後に機械加工を付加する
ことによって不要部分が除去されるとともに、仕上げ請
度が高められる。請求項4に係る製造方法であると、請
求項1、請求項2または請求項3による作用に加えて、
成形時に内周部の形状変化の発生が抑制されることによ
り、圧縮によって生じる塑性変形分の金属材料が外周部
の形状変化部及び軸両端方向へ移行し易くなる。請求項
5に係る製造方法であると、請求項1、請求項2、請求
項3または請求項4による作用に加えて、成形工程の初
期に形成された初期環状窪部の部分等から切り分けるこ
とによって、一連の成形工程で二つの金属リング体が得
られる。請求項6に係る製造方法であると、請求項1、
請求項2、請求項3、請求項4または請求項5による作
用に加えて、初期環状窪部が軸方向の中央部に形成され
ることによって、リング体が成形中に軸方向にずれる現
象の発生が抑制され、金属材料が軸方向にほぼ等分に分
配される。請求項7に係る製造方法であると、請求項
1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請
求項6による作用に加えて、一度の成形工程によって同
一形状の二つの金属リング体が成形され、この場合、成
形工程中の軸方向への材料分配が円滑になり、かつ、圧
縮力が軸方向中心の両側に均等配分される。請求項8に
係る製造方法であると、請求項1、請求項2、請求項
3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7によ
る作用に加えて、金属製リング状素材の所望の位置に、
初期環状窪部が形成され、この初期環状窪部の位置がそ
の後の環状窪部形成の基準となる。請求項9に係る製造
方法であると、請求項1、請求項2、請求項3、請求項
4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8によ
る作用に加えて、外周成形ロールによって成形された初
期環状窪部に、その後の外周成形ロールの環状凸部の先
端が係合することによって、リング体に軸方向のずれを
生じさせることなく成形が継続されて、初期環状窪部の
深さの増大及び幅の拡大が図られる。請求項10に係る
製造方法であると、請求項1、請求項2、請求項3、請
求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8また
は請求項9による作用に加えて、中期成形工程以後の成
形工程において半径方向の圧縮によって生じる材料の移
行が、内周面の近傍において円滑に行なわれ、内周面の
成形を容易にする。請求項11に係る製造方法である
と、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項
5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9または請
求項10による作用に加えて、リング体の内周面に内周
成形ロールの接触面が係合状態となることによって、リ
ング体の軸方向移動が抑制され、リング体全体が軸方向
にずれる現象の発生を抑制する。請求項12に係る製造
方法であると、請求項1、請求項2、請求項3、請求項
4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項
9、請求項10または請求項11による作用に加えて、
内周に端部の直径の大きなテーパー面を形成することに
より、金属材料が半径方向外方に移動し易くなり、端部
近傍における外周面の形状変化部の成形性が向上する。
請求項13に係る製造方法であると、請求項1、請求項
2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項
7、請求項8、請求項9、請求項10または請求項11
による作用に加えて、内周に端部の直径の小さなテーパ
ー面を形成することにより、軸方向中央部近傍における
金属材料が半径方向外方に移動し易くなり、軸方向中央
部近傍における外周面の形状変化部の成形性が向上す
る。請求項14に係る製造方法であると、請求項1、請
求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請
求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項1
1、請求項12または請求項13による作用に加えて、
圧縮成形による全成形工程が冷間圧延によってなされる
ことにより、金属組織の変態が抑制され、均質な金属リ
ングが成形される。請求項15に係る製造方法である
と、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項
5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項
10、請求項11、請求項12、請求項13または請求
項14による作用に加えて、内周成形ロールの兼用によ
って全体の成形ロールの数の減少が図られる。請求項1
6に係る製造方法であると、請求項1、請求項2、請求
項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求
項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項1
2、請求項13、請求項14または請求項15による作
用に加えて、燃焼器用構成材等の硬質材への適用性が高
められる。請求項17に係る製造方法であると、請求項
1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項
6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求
項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項
15または請求項16による作用に加えて、成形によっ
て組織が硬化した場合に、燃鈍によって変態を生じない
程度の圧延前の組織に戻される。この中間燃鈍によって
金属組織の硬化部分の解消が行なわれ、かつ、硬化部分
の消滅によって以後の成形加工が容易になる。請求項1
8に係る製造方法であると、請求項1、請求項2、請求
項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求
項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項1
2、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16
または請求項17による作用に加えて、軸方向中央近傍
への環状窪部の形成とその拡大とによって、軸方向端部
への材料の分配が行なわれる。請求項19に係る製造方
法であると、請求項1、請求項2、請求項3、請求項
4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項
9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項1
3、請求項14、請求項15、請求項16または請求項
17による作用に加えて、軸方向中央近傍における環状
窪部の形成時に、その両側に移動した金属材料を利用し
て、その後の工程で形状変化部が形成され、環状窪部の
形成位置近傍の成形性が向上する。請求項20に係る製
造方法であると、請求項1、請求項2、請求項3、請求
項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求
項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項1
3、請求項14、請求項15、請求項16、請求項1
7、請求項18または請求項19による作用に加えて、
リング体の成形限度が直径の検出によって管理される。
【0007】
【実施例】図1ないし図6は、本発明に係る外周に形状
変化部を持つ金属リング体の製造方法の製造工程の第1
実施例を示すものである。これらの各図において、符号
1は金属製リング状素材(リング体)、2は初期成形体
(リング体)、3は中間成形体(リング体)、4は終期
成形体(リング体)、5は完成リング体、11は外周用
粗成形ロール(外周成形ロール)、12は外周用中間成
形ロール(外周成形ロール)、13は外周用仕上成形ロ
ール(外周成形ロール)、21は内周用粗成形ロール
(内周成形ロール)、22は内周用中間成形ロール(内
周成形ロール)、23は内周用仕上成形ロール(内周成
形ロール)である。
【0008】〔金属製リング状素材〕金属性リング状素
材1は、例えば、前述したAM5754材からなり、図
1に示すように、外径381mm、内径355mm、軸
方向寸法48mmの軸方向の断面形状が長方形をなすも
のが適用される。そして、金属製リング状素材1は、図
6に実線及び破線で示す終期成形体4及び完成リング体
5と比較して、内径が小さく軸方向の断面積が大きく設
定される。
【0009】〔製造工程の概要〕外周に形状変化部を持
つ金属リング体(終期成形体4または完成リング体5)
の製造工程は、金属製リング状素材1を、図2に示す一
対の成形ロール(外周粗成形ロール11及び内周用粗成
形ロール21)の間に送り込んで圧縮することによって
圧延作業を進行させる初期成形工程と、初期成形工程で
得られた初期成形体(リング体)2を、図3に示す一対
の成形ロール(外周用中間成形ロール12及び内周用中
間成形ロール22)の間に送り込んで圧縮する中期成形
工程と、中期成形工程で得られた中間成形体(リング
体)3を、図4及び図5に示す外周用仕上成形ロール1
3と内周用仕上成形ロール23とで圧縮する終期成形工
程と、終期成形工程で得られた終期成形体4の余肉部分
を除去する機械加工仕上工程とに大別され、図1ないし
図6に示すように、圧延による成形と機械仕上とが実施
される。
【0010】そして、各成形ロールによる成形工程にあ
っては、第1実施例における被成形体が硬質の例えばA
M5754材であるために、金属組織の変態を発生させ
ないように、冷間圧延によって実施され、かつ、成形加
工の途中に複数回の中間焼鈍工程が挿入され、金属組織
の硬化部分の解消を行なって以後の成形性の向上が図ら
れる。
【0011】〔方法の実施に適用される成形ロール〕外
周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法を実施す
る場合には、例えば図2ないし図4に示す3対の成形ロ
ールが適用される。
【0012】前記外周用粗成形ロール(外周成形ロー
ル)11にあっては、図2に示すように、その軸方向の
中央に位置する環状凸部11aと、その軸方向両側の成
形キャビテイ11bと、環状凸部11aの両側に位置す
るテーパー面11cとが形成されており、環状凸部11
aは、軸方向に対して平行状態の円筒面を持つように設
定されている。
【0013】前記外周用中間成形ロール(外周成形ロー
ル)12にあっても、図3に示すように、その軸方向の
中央に位置する環状凸部12aと、軸方向両側の成形キ
ャビテイ12bとが配され、そして、環状凸部12aが
2段の山形状とされるとともに、成形キャビテイ12b
に、外周成形部12cと縁部成形部12dとが配され
る。
【0014】前記外周用仕上成形ロール(外周成形ロー
ル)13にあっても、図4に示すように、その軸方向の
中央に位置する環状凸部13aと、軸方向両側の成形キ
ャビテイ13bと、外周成形部13cと縁部成形部13
dとが配され、環状凸部13aの幅寸法(軸方向の寸
法)は、外周用中間成形ロール12の環状凸部12aよ
りも大きくなるように設定される。
【0015】前記内周用粗成形ロール(内周成形ロー
ル)21にあっては、図2に示すように、底部が平坦な
支持溝21aが形成されている。
【0016】前記内周用中間成形ロール(内周成形ロー
ル)22にあっては、図3に示すように、軸方向に対称
をなしかつ中央部を凹ませた状態(半径を小さくした状
態)のテーパー状成形面22aが形成される。
【0017】前記内周用仕上成形ロール(内周成形ロー
ル)23にあっても、図4に示すように、軸方向に対称
をなしかつ中央部を凹ませたテーパー状成形面23aが
形成されるが、図3に示した内周用中間成形ロール22
と同一形状とする、つまり、兼用することができる。
【0018】〔初期成形工程〕初期成形工程では、図2
に示すように、金属製リング状素材1を外周用粗成形ロ
ール11と内周用粗成形ロール21との間に送り込んだ
状態で成形が行なわれる。例えば、50回ないし500
回の圧延、望ましくは300回程度の圧延の繰り返しに
よって、図3に示す初期成形体2が得られる。
【0019】図2に示すように、金属製リング状素材1
の内周部を内周用粗成形ロール21の支持溝21aに係
合させた状態で、金属製リング状素材1の外周面と外周
粗成形用ロール11の環状凸部11aとの接触圧力を高
めると、図2に鎖線で示す初期環状窪部2aが形成され
る。この場合にあって、金属製リング状素材1の軸方向
のずれが支持溝21aによって抑制されるため、金属製
リング状素材1の外周面の所望の位置、つまり、図2例
では中央に初期環状窪部2aが形成される。
【0020】そして、初期環状窪部2aの形成が進行す
ると、接触圧力の高い部分に塑性変形が生じ、支持溝2
1aの底面が円筒面状であるために、主として外周用粗
成形ロール11の環状凸部11aとの接触面と直交する
方向に金属材料が移行して分配される。かつ、両成形ロ
ール11.21の間に間隙が形成されて、金属製リング
状素材1の軸方向の伸び変形が許容されていることによ
って、圧縮成形の進行とともに、金属製リング状素材1
の軸方向寸法と内径とが増大し、かつ、軸方向断面積が
徐々に減少する傾向を示す。
【0021】このように、金属製リング状素材1の外周
部への初期環状窪部2aの形成を続行すると、軸方向両
側に等量の材料分配がなされるとともに、初期成形工程
によって形成される初期成形体2にあっては、図3に示
すように、初期環状窪部2aの両側でかつ外周部近傍に
多くの材料分配(金属材料の移行)が行なわれる。
【0022】〔中期成形工程〕中期成形工程では、図3
に示すように、初期成形工程で得られた初期成形体2
を、外周用中間成形ロール12と内周用中間成形ロール
22との間に送り込んだ状態で成形が行なわれる。例え
ば、50回ないし500回の圧延、望ましくは300回
程度の圧延の繰り返しによって、図4に示す中間成形体
3が得られる。
【0023】図3に示すように、初期成形体2の内周部
を内周用中間成形ロール22のテーパー状成形面22a
で支持するとともに、初期成形体2の初期環状窪部2a
に、外周用中間成形ロール12の環状凸部12aを係合
させた状態で、外周用中間成形ロール12及び内周用中
間成形ロール22による初期成形体2の成形を進行させ
ると、環状凸部12aと初期環状窪部2aとの接触部分
やテーパー状成形面22aと初期成形体2の内周部との
接触部分等の接触圧力が高い箇所に塑性変形が生じて、
成形されるリング体が、軸方向の断面形状が湾曲した状
態に導かれる。
【0024】初期環状窪部2aに環状凸部12aを係合
させた状態で成形工程を実施すると、初期成形体2の軸
方向の移動が妨げられるため、内周部がテーパー状成形
面22aに接触してテーパー面を形成する場合にあって
も、ずれの発生が抑制され、軸方向への材料分配が円滑
にかつ均等に行なわれる。
【0025】中期成形工程におけるリング体の成形中に
あっても、外周用中間成形ロール12と内周用中間成形
ロール22との間に間隙が形成されるため、環状凸部1
2aによって初期環状窪部2aを徐々に大きくして図4
に示す中期環状窪部3aとした場合には、金属材料が半
径方向の圧縮によって軸方向に分配される。
【0026】中期成形工程において、リング体の外周部
の成形は、環状凸部12aによって、中期環状窪部3a
が形成され、外周成形部12c及び縁部成形部12dに
よって、形状変化の激しい部分である厚肉状の形成変化
部3b・3cが形成される。そして、リング体の内周部
の成形は、テーパー状成形面22aによって、テーパー
面3dが形成される。したがって、成形の進行ととも
に、金属材料が内周から外周へかつ中央から軸方向端部
へと移行する。
【0027】これらの中期成形工程にあって、リング体
の外周部では、外周用中間成形ロール12の環状凸部1
2aを初期環状窪部2aに係合させた状態で圧縮成形
し、その成形の進行にしたがって外周成形部12bによ
る圧縮成形を付加すると、初期環状窪部2aを軸方向に
広げかつ深くして、初期環状窪部2aの両側に材料を等
量ずつ分配する作用が生じる。
【0028】そして、リング体の内周部では、内周用中
間成形ロール22のテーパー状成形面22aによって、
初期成形体2の内周部にテーパー面3dを付与する場合
に、初期成形体2の内周部がテーパー状成形面22aに
支持されて、内周部における形状変化の程度が抑制され
るために、外周部の材料分配が相対的に多くなる傾向を
示す。
【0029】〔終期成形工程〕終期成形工程では、図4
に示すように、中期成形工程で得られた中間成形体(リ
ング体)3を、外周用仕上成形ロール13と内周用仕上
成形用ロール23との間に送り込んだ状態で成形が行な
われる。例えば、50回ないし500回の圧延、望まし
くは300回程度の圧延の繰り返しによって、図4に示
す中間成形体3が得られる。
【0030】外周用仕上成形ロール13の環状凸部13
aを中間成形体3の中期環状窪部3aに係合させ、か
つ、内周用仕上成形ロール23のテーパー状成形面23
aと、中間成形体3の両テーパー面3dとを係合させた
状態で成形工程を実施すると、中間成形体3の軸方向の
移動が抑制されるため、以後の成形精度が向上する。
【0031】終期成形工程におけるリング体の内周部の
成形は、図3及び図4例の成形ロール22・23では、
テーパー状成形面22a・23aが同一形状であるとし
ているため、内周部の形状変化が抑制されて、主とし
て、外周部の成形が行なわれる。
【0032】外周用仕上成形ロール13の環状凸部13
aによって、中間成形体3の中期環状窪部3aをさらに
軸方向に広げた状態の終期環状窪部4aの形成と、外周
成形部13cによる半径外方向に突出した状態の形状変
化部4cと、その外方に位置する薄肉状の形状変化部4
dとの形成が行なわれる。
【0033】終期成形工程における成形の限度は、図6
に寸法を併記して示すように、所望形状でかつ所望寸法
となるまで続行されるが、図5に示すように、両成形ロ
ール13・23の間に間隙Gが残される状態として、半
径方向の圧縮によって生じる塑性変形分を軸方向に逃が
して、材料分配を円滑化するように配慮される。
【0034】終期成形工程の途中において、リング体の
各部の寸法(特に内径)の計測を適宜行なって、所望寸
法に近付いたら成形を停止する方法が有効である。詳し
くは、各部の寸法が、次の機械加工仕上工程における削
り代を考慮して、終期成形体4の内径が若干小さく、外
径が若干大きく、軸方向寸法が若干大きくなるととも
に、これらの一つが近似寸法になるように管理する。
【0035】図3ないし図5例では、終期成形工程時
に、リング体の内周部の新たな成形がほとんど行なわれ
ないため、半径方向の圧縮によって形状変化部4b・4
cを形成するための金属材料の移行と、終期環状窪部4
aの部分を必要寸法近傍まで薄くする軸方向への材料移
行とを良好にする成形が円滑に実施される。
【0036】〔機械加工仕上工程〕図6において、実線
と破線とで示すように、終期成形体4は、切削、研磨等
の機械加工によって、余肉部分が除去される。終期成形
体4は、図6に実線で示す形状まで一連の成形工程によ
って成形されるが、図6の実線と破線との差で表わされ
る余肉部分(削り代)を残している。したがって、X−
Y線で二つのリング体に切り離した状態で機械加工する
か、あるいは、機械加工によって余肉部分を切削、研磨
しながら二つのリング体に切り離すか等によって、完成
リング体5が得られる。
【0037】完成リング体5を成形する限度となる余肉
部は、機械加工による削り代を小さくするように設定さ
れているが、加工精度や製造効率を高めるために、例え
ば30〜60%、望ましくは40%程度に設定される。
【0038】そして、図1ないし図6で示した一連の成
形工程及び機械加工仕上工程によって、当初の1個の金
属製リング状素材1から、同型の2個の完成リング体5
を製造する場合であると、初期成形工程における初期環
状窪部2aを軸方向中央の正確な位置に形成することが
必要であり、以後の材料分配に影響を及ぼして、機械加
工時の余肉量を左右する。
【0039】〔第2実施例〕図7は、2対の成形ロール
を使用して、外周に形状変化部を持つ金属リング体を製
造する第2実施例の工程を示している。
【0040】この製造工程では、(a)ないし(g)に
示すように成形を進行させるものであるが、(c)に示
す外周用粗成形ロール11及び内周用粗成形ロール2
1、(f)に示す外周用仕上成形ロール13及び内周用
仕上成形ロール23が使用され、中間成形ロールに相当
する部分が仕上成形ロール13.23で兼用される。
【0041】これら(a)ないし(g)に示すリング体
の成形工程においても、対をなす成形ロールに間隙が残
されるようにして、成形中におけるリング体の軸方向の
伸びを許容しながら、図2ないし図6例に準じて実施さ
れる。
【0042】また、図7(g)に示すように、終期成形
体4は、中心寄りに厚肉の形状変化部4bが残されてお
り、軸方向端部には大きな伸びを付与することによって
薄肉状の形状変化部4cが形成される。
【0043】〔他の実施態様〕本発明にあっては、次の
実施態様を採用することができる。 リング体の内周面に軸方向端部の直径を小さくしたテ
ーパー面を形成すること。 リング体に円筒状内周面を形成すること。 前記項にあって、軸方向端部または中央部等の任
意位置における外周面に、形状変化部を形成すること。 形状変化部が厚肉状または形状変化の激しい部分であ
り、かつ、その数が任意であること。
【0044】
【発明の効果】請求項1に係る外周に形状変化部を持つ
金属リング体の製造方法によれば、以下のような効果を
奏する。 (1) リング体を、外周成形ロールと内周成形ロール
との間に送り込んで、両成形ロールの軸方向端部間に間
隙を空けた状態で圧延することによって、半径方向の圧
縮によって生じる軸方向への金属材料の移行を円滑にし
て、形状変化部の成形精度を向上させることができる。 (2) 金属製リング状素材の外周面に初期環状窪部を
形成することによって、金属材料を軸方向両側に所望量
ずつ分配して、以後の成形を円滑に実施することができ
る。 (3) 上記によって、成形ロールの対数を少なくし
て、製造時の労力及び製造コストを著しく低減すること
ができる。請求項2に係る外周に形状変化部を持つ金属
リング体の製造方法によれば、成形ロールによる成形の
限度が、内径外径及び軸方向寸法の一つによって管理さ
れ、寸法の一つが管理範囲から外れることによる不良品
の発生を防止するとともに、その後の加工性を高めるこ
とができる等の効果を奏する。請求項3に係る外周に形
状変化部を持つ金属リング体の製造方法によれば、以下
のような効果を奏する。 (1) 成形工程後のリング体を機械加工によって仕上
げることによって、圧延による成形時の精度が不十分な
ものである場合にも、精度の高いリング体を製造するこ
とができる。 (2) 圧延による成形と機械加工とを組み合わせるこ
とによって、両者の短所を補い合い、両者の長所を活か
して所望のリング体を、従来技術例と比較して短い時間
で製造することができる。請求項4に係る外周に形状変
化部を持つ金属リング体の製造方法によれば、以下のよ
うな効果を奏する。 (1) 内周部の形状変化の発生を抑制しながら外周部
に形状変化部を付与することによって、成形時の圧縮に
よって生じる金属材料の移行を外周部に集中させ、外周
部の成形を円滑に行なうことができる。 (2)成形時における内周部の形状変化を小さくするこ
とによって、成形の進行状況の把握を容易に行なうこと
ができる。請求項5に係る外周に形状変化部を持つ金属
リング体の製造方法によれば、終期成形体を二分割する
ことによって、二つのリング体が簡単に得られ、製造効
率を向上させることができる等の効果を奏する。請求項
6に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方
法によれば、以下のような効果を奏する。 (1) 初期環状窪部を軸方向中央部に形成することに
よって、内周部の形状に左右されることなく、リング体
の軸方向のずれ発生を防止することができる。 (2) 初期環状窪部形成後における軸方向への金属材
料の分配を等分とすることができる。請求項7に係る外
周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法によれ
ば、以下のような効果を奏する。 (1) 金属リング体が、軸方向に対称形状であること
により、一度の成形工程によって同一形状の二つのリン
グ体または軸方向に対称のリング体を得ることができ
る。 (2) 中央の環状窪部から軸方向両端に向かう金属材
料の分配を均等にして、形状変化部の形成を円滑に実施
することができる。請求項8に係る外周に形状変化部を
持つ金属リング体の製造方法によれば、金属製リング状
素材の軸方向移動を拘束した状態で初期環状窪部を形成
することにより、軸方向の所望の位置に、初期環状窪部
を正確に形成して、この初期環状窪部を基準として以後
の成形工程を高い精度で実施することができる。請求項
9に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方
法によれば、以下のような効果を奏する。 (1) 初期環状窪部に、外周成形ロールの先端を係合
させることによって、初期成形体の軸方向ずれの発生を
防止しながら、初期環状窪部の寸法精度を以後の成形工
程に引き継いで、高い精度の成形を実施することができ
る。 (2) 外周部で軸方向ずれの発生を防止することによ
り、外周部の成形作業性を高めて、形状の任意性を付与
することができる。請求項10に係る外周に形状変化部
を持つ金属リング体の製造方法によれば、以下のような
効果を奏する。 (1) リング体の内周部の軸方向移動を自由にした状
態で内周部の成形を行なうと、半径方向の圧縮によって
生じる金属材料の移行が、内周面の近傍において円滑に
行なわれ、外周部の成形性を高めることができる。 (2) 上記により、軸方向の形状変化の大きなリング
体の成形性を向上させることができる。請求項11に係
る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法によ
れば、リング体の内周部と内周成形ロールとの接触箇所
によって、リング体の軸方向移動を拘束しながら外周部
の成形が行なわれ、外周部の所望の位置に高い精度の成
形を行なうことができる等の効果を奏する。請求項12
に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法
によれば、以下のような効果を奏する。 (1) リング体の内周部に形成されるテーパー面が、
軸方向端部の直径を大きくしたものであると、内周成形
ロールとの係合によってリング体の軸方向移動が抑制さ
れ、外周部の成形精度を高めることができる。 (2) 上記により、内周部の形状を単純化して端部近
傍における半径外方向への金属材料の移行を容易にし、
外周部の形状変化部の成形性を向上させることができ
る。請求項13に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法によれば、以下のような効果を奏する。 (1) リング体の内周部に形成されるテーパー面が、
軸方向端部の直径を小さくしたものであると、内周成形
ロールとの係合によってリング体の軸方向移動が抑制さ
れ、外周部の成形精度を高めることができる。 (2) 上記により、軸方向中央部近傍における半径外
方向への金属材料の移行を容易にし、中央部近傍に位置
する形状変化部の成形性を向上させることができる。請
求項14に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の
製造方法によれば、圧縮成形が冷間圧延によってなされ
ることにより、金属組織の変態を抑制して、均質な金属
リングを成形することができる等の効果を奏する。請求
項15に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製
造方法によれば、中期成形工程以後の内周用成形ロール
の兼用によって、使用する成形ロール数を減少させるこ
とができる等の効果を奏する。請求項16に係る外周に
形状変化部を持つ金属リング体の製造方法によれば、以
下のような効果を奏する。 (1) ガスタービンの燃焼器用構成材等の硬質材に対
しての適用性が高めることができる。 (2) 上記により、製造方法の適用範囲を拡大するこ
とができる。請求項17に係る外周に形状変化部を持つ
金属リング体の製造方法によれば、成形途中にリング体
が中間焼鈍されることにより、成形によって組織が硬化
した場合にあっても、圧延前の組織に戻して金属組織の
硬化部分の解消が行なわれ、次の成形加工性を高めるこ
とができる等の効果を奏する。請求項18に係る外周に
形状変化部を持つ金属リング体の製造方法によれば、環
状窪部を拡大することによって、金属材料を軸方向端部
に移行させ、成形性を向上させることができる。請求項
19に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造
方法によれば、環状窪部の形成時に、その両側に金属材
料が移動するため、環状窪部の形成位置近傍における形
状変化部の成形性を向上させることができる。請求項2
0に係る外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方
法によれば、リング体の成形限度を直径寸法の検出によ
って管理することによって、余肉部の発生を抑制し、終
期成形体の後工程における余肉部の除去作業性を高める
ことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法の第1実施例に適用される金属製リング
状素材の一部を省略した正断面図である。
【図2】本発明に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法の第1実施例における初期成形工程の実
施状況を示す一部を省略した正断面図である。
【図3】本発明に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法の第1実施例における中期成形工程の実
施状況を示す一部を省略した正断面図である。
【図4】本発明に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法の第1実施例における終期成形工程の実
施状況を示す一部を省略した正断面図である。
【図5】図4の工程後の終期成形体を示す一部を省略し
た正断面図である。
【図6】図5の工程後における終期成形体及び完成リン
グ体を示す一部を省略した正断面図である。
【図7】本発明に係る外周に形状変化部を持つ金属リン
グ体の製造方法の第2実施例における各工程の実施状況
を示す一部を省略した正断面図である。
【符号の説明】
1 金属製リング状素材(リング体) 2 初期成形体(リング体) 2a 初期環状窪部 3 中間成形体(リング体) 3a 中期環状窪部 3b・3c形状変化部 3d テーパー面 4 終期成形体(リング体) 4a 終期環状窪部 4b・4c形状変化部 4d テーパー面 5 完成リング体 11 外周用粗成形ロール(外周成形ロール) 11a 環状凸部 11b 成形キャビテイ 11c テーパー面 12 外周用中間成形ロール(外周成形ロール) 12a 環状凸部 12b 成形キャビテイ 12c 外周成形部 12d 縁部成形部 13 外周用仕上成形ロール(外周成形ロール) 13a 環状凸部 13b 成形キャビテイ 13c 外周成形部 13d 縁部成形部 21 内周用粗成形ロール(内周成形ロール) 21a 支持溝 22 内周用中間成形ロール(内周成形ロール) 22a テーパー状成形面 23 内周用仕上成形ロール(内周成形ロール) 23a テーパー状成形面

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内径が所望寸法より小さく軸方向断面積
    が所望断面積よりも大きい金属製リング状素材を外周成
    形ロールと内周成形ロールとの間に送り込んで、両成形
    ロールの軸方向端部間に間隙を空けた状態でリング体を
    圧延することによって外周に形状変化部を持つ金属リン
    グ体を製造する方法であって、金属製リング状素材の外
    周面に半径方向の厚さを部分的に減少させた初期環状窪
    部を形成し、初期環状窪部に半径両方向の圧縮力を付与
    して軸方向寸法を増大させることによって所望形状より
    内径が小さく外径及び軸方向寸法が大きくなるまでの成
    形を行なうことを特徴とする外周に形状変化部を持つ金
    属リング体の製造方法。
  2. 【請求項2】 内径外径及び軸方向寸法の一つが所望寸
    法に近くなるまで成形を行なうことを特徴とする請求項
    1記載の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 リング体の成形工程後に、機械加工によ
    って所望形状まで仕上げる工程が付加されることを特徴
    とする請求項1または2記載の外周に形状変化部を持つ
    金属リング体の製造方法。
  4. 【請求項4】 内周部の形状変化の発生を抑制しながら
    外周部に形状変化部を付与することを特徴とする請求項
    1、2または3記載の外周に形状変化部を持つ金属リン
    グ体の製造方法。
  5. 【請求項5】 リング体の成形工程後に、軸方向の途中
    でリング体を分割する工程が付加されることを特徴とす
    る請求項1、2、3または4記載の外周に形状変化部を
    持つ金属リング体の製造方法。
  6. 【請求項6】 初期環状窪部が軸方向の中央部に形成さ
    れることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記
    載の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法。
  7. 【請求項7】 成形工程によって形成される金属リング
    体が、軸方向に対称形状であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または6記載の外周に形状変化部を
    持つ金属リング体の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属製リング状素材の軸方向移動を拘束
    した状態で、初期環状窪部を形成することを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5、6または7記載の外周に形
    状変化部を持つ金属リング体の製造方法。
  9. 【請求項9】 外周成形ロールの環状凸部を、リング体
    の初期環状窪部に係合させて、リング体の軸方向のずれ
    を抑制することを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7または8記載の外周に形状変化部を持つ金属
    リング体の製造方法。
  10. 【請求項10】 中期成形工程以後において、リング体
    の内周側の軸方向移動を自由にした状態で、内周面の成
    形を行なうことを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8または9記載の外周に形状変化部を持つ
    金属リング体の製造方法。
  11. 【請求項11】 リング体の内周面と内周成形ロールと
    の接触箇所によって、リング体の軸方向移動を拘束した
    状態で、内周面の成形を行なうことを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の
    外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法。
  12. 【請求項12】 内周面に軸方向端部の直径を大きくし
    たテーパー面が形成されることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載
    の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法。
  13. 【請求項13】 内周面に軸方向端部の直径を小さくし
    たテーパー面が形成されることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載
    の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方法。
  14. 【請求項14】 圧縮成形が冷間圧延によってなされる
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12または13記載の外周に形状
    変化部を持つ金属リング体の製造方法。
  15. 【請求項15】 中期成形工程以後における内周成形ロ
    ールが兼用されることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12、13また
    は14記載の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 金属リング体がガスタービンの燃焼器
    用構成材等の硬質材であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
    13、14または15記載の外周に形状変化部を持つ金
    属リング体の製造方法。
  17. 【請求項17】 成形途中に中間焼鈍工程を付加するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13、14、15または1
    6記載の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 形状変化部を、軸方向両端部近傍に形
    成することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
    5、16または17記載の外周に形状変化部を持つ金属
    リング体の製造方法。
  19. 【請求項19】 形状変化部を、初期環状窪部の形成位
    置近傍に形成することを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
    4、15、16または17記載の外周に形状変化部を持
    つ金属リング体の製造方法。
  20. 【請求項20】 成形工程の終期にリング体の直径寸法
    の検出を行なう工程が付加されることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、
    12、13、14、15、16、17、18または19
    記載の外周に形状変化部を持つ金属リング体の製造方
    法。
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