JPH05283848A - フレキシブルプリント配線板 - Google Patents

フレキシブルプリント配線板

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JPH05283848A
JPH05283848A JP12249392A JP12249392A JPH05283848A JP H05283848 A JPH05283848 A JP H05283848A JP 12249392 A JP12249392 A JP 12249392A JP 12249392 A JP12249392 A JP 12249392A JP H05283848 A JPH05283848 A JP H05283848A
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JP
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vapor deposition
vapor
layer
deposited
wiring board
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JP12249392A
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English (en)
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Masayuki Yamashita
正行 山下
Shinzo Kitahara
新造 北原
Kazuo Okabe
和男 岡部
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Toyo Metallizing Co Ltd
Original Assignee
Toyo Metallizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 層間の密着力、耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性
および電気特性が優れ、高信頼性で、かつ安価なフレキ
シブルプリント配線板を提供する。 【構成】 プラスチックフィルムの片面または両面に、
ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタン、ジ
ルコニウム、モリブデンまたはタングステンの蒸着層と
該蒸着層上に積層した蒸着された粒子径が0.007〜
0.850μmの範囲の集合体からなる電子ビーム加熱
蒸着銅層とからなり所望の回路を形成した積層体、およ
び回路を形成しない絶縁性の有機物からなるマスク層を
積層してフレキシブルプリント配線板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は層間の密着力、耐熱性、
耐薬品性、耐屈曲性、電気特性に優れ、信頼性が高く、
かつ安価なフレキシブルプリント配線板とその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来フレキシブルプリント配線用基板と
して、プラスチックフィルムに銅箔、アルミニウム箔を
接着剤で貼合せたものがあるが、このものは使用する接
着剤に起因して、高温下、高温多湿下での密着力、繰返
し屈曲性の低下、不純物イオン汚染による電気特性、耐
薬品性の低下などの欠点がある。具体的には、前記貼合
せにはNBR系、アクリルゴム系、ポリアミド系などの
可橈性の接着剤が多く使用されるが、これらの接着剤は
耐熱性が不充分である。また、耐熱性の優れたシリコー
ン系接着剤などは屈曲により銅が剥離して亀裂が生じる
欠点がある。
【0003】前記の欠点を改善するため、プラスチック
フィルム上に真空蒸着、スパッタリング、イオンプレー
ティング、銅めっきなどの方法で金属層を形成させた積
層体を用いたフレキシブルプリント配線用基板が提案さ
れている。
【0004】例えば特公昭57−33718号公報で
は、絶縁基板上にニッケル、コバルト、ジルコニウム、
パラジウムの1種を物理的な蒸着法により蒸着させ、そ
の上に銅を蒸着させたプリント回路基板が提案されてい
る。そして、この方法は耐酸化性、耐薬品性、エッチン
グ性が良好で固有抵抗が50μΩ−cm以下の前記金属
の1種と、銅とを絶縁基板上に付着エネルギーの高い物
理的蒸着法で積層している。しかし、この発明で用いる
通常の真空蒸着では蒸着させるニッケルなどの金属を安
定状態で蒸発できず、低密着力である。さらに、イオン
プレーティングを採用する場合は付着エネルギーが高い
分だけフィルムに与える損傷が大きく、1μm以上の蒸
着層を形成する場合は絶縁基板内からの脱ガス、脱水に
より逆に密着力が低下するなどの欠点がある。
【0005】また、特公平2−55943号公報ではポ
リイミドフィルム上に、金属クロム蒸着層、銅蒸着層、
銅めっき層を順次積層したキャリアが提案されている。
このような構成のキャリアによって後工程の錫または金
めっき中に生じるアンダーカットを改善せんとするもの
である。しかしながら、このようなキャリアを用いた場
合でも銅蒸着フィルムが電気めっき工程に入るまでに銅
蒸着層が酸化されること、銅蒸着層やポリイミドフィル
ムにめっき液が浸透することに起因して密着力が低下
し、さらには耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性が低下するこ
と、などの欠点がある。また、無電解または電気めっき
によって電着させ導体となる銅めっき層は、異物、しみ
などがあることや平面性に欠けるため、レジストを塗布
した際の精度が低下し信頼性の高い配線を作成すること
が困難である。
【0006】以上のようなフレキシブルプリント配線用
基板に回路を形成するには、いわゆるサブトラクティブ
法が用いられている。しかしながら、この方法は工程数
が多いことや、特にエッチングで除去した銅廃液処理等
からコスト高となる欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の実情に
鑑みて発明されたもので、その目的は前記従来技術の問
題点を解決して、層間の密着力を高くし耐熱性、耐薬品
性、耐屈曲性および電気特性が優れ、高信頼性で、かつ
安価なフレキシブルプリント配線板を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は、プラスチッ
クフィルムの片面または両面に、ニッケル、コバルト、
クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、モリブデ
ンおよびタングステンからなる群から選択した1種以上
の蒸着層と該蒸着層上に積層した蒸着された粒子径が
0.007〜0.850μmの範囲の集合体からなる電
子ビーム加熱蒸着銅層とからなり所望の回路を形成した
積層体、および回路を形成しない絶縁性の有機物からな
るマスク層を積層したフレキシブルプリント配線板によ
って、達成することができる。
【0009】前記フレキシブルプリント配線板は、プラ
スチックフィルムの片面または両面に絶縁性の有機物か
らなるマスク層を回路としない部分に形成した後、ニッ
ケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタン、ジルコ
ニウム、モリブデンおよびタングステンからなる群から
選択した1種以上の金属からなる蒸着層を蒸着法で、該
蒸着層上に蒸着された粒子径が0.007〜0.850
μmの範囲の銅からなる銅層を電子ビーム加熱蒸着法で
回路とする部分に蒸着積層することによって製造するこ
とができる。
【0010】なお、本発明の効果をより向上させるため
には、前記のフレキシブルプリント配線板において、蒸
着層と電子ビーム加熱蒸着銅層との間に、電子ビーム加
熱蒸着銅層の粒子径より小さい粒子の集合体からなる蒸
着銅層を設けたものがより好適である。
【0011】前記配線板を構成するプラスチックフィル
ムの具体例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β
−ビス(2−クロルフェノキシエタン−4,4′−ジカ
ルボキシレート)などのポリエステル、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケ
トン、芳香族ポリアミド、ポリアリレート、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリパラ
ジン酸、ポリオキサジアゾールおよびこれらのハロゲン
基あるいはメチル基置換体などからなるフィルムがある
が、機械的安定性や強度の点でポリイミドフィルムが最
も好ましい。また、電気的特性、価格を考慮するとポリ
エチレンテレフタレートフィルムも好ましい。
【0012】プラスチックフィルムの厚さは、6〜12
5μmの範囲のものが好ましく、25〜100μmの範
囲のものがより好ましい。
【0013】本発明の目的を達成するためには、蒸着操
作の前にプラスチックフィルムに表面処理を施すか、あ
るいは表面処理を施したプラスチックフィルムを使用す
ることが好ましい。このようなプラスチックフィルムの
表面処理は、洗浄性はもちろんプラスチックフィルムと
蒸着する金属との密着性を高めるために施すものである
が、そのレベルは表面処理後のフィルムの表面張力を5
8dyne/cm以上とするのが好ましい。表面張力が
58dyne/cm未満のフィルムは洗浄度、蒸着する
金属との密着性が不十分となり好ましくない。ポリイミ
ドフィルムでは、さらに後述する評価方法で測定した水
の接触角度が45度未満のものがより好ましい。なお、
表面処理前のプラスチックフィルムの表面張力はフィル
ムの種類、製法などで異なり、たとえばポリエチレンテ
レフタレートフィルムは36〜44dyne/cm程
度、ポリイミドフィルムは52dyne/cm程度であ
る。
【0014】前記フィルムの表面処理の具体的な手段に
は、ブラスト、ヘアライン、エンボス加工などの機械的
処理、コロナ放電、プラズマ、火炎処理などの物理化学
的処理、溶剤、酸、アルカリ、薬液処理などの化学的処
理などがあるが、真空下で蒸着と連続化が可能なグロー
放電プラズマ処理が好ましい。また、コロナ放電などの
他の処理と併用することもさらに好ましい。
【0015】なお、前記機械的処理の場合、被処理部分
である表面の凹部分(5〜20μmの最大開孔幅を有す
るもの)の存在量は、フィルム幅1000μm中に3個
以上が好ましく、5個以上がより好ましい。
【0016】表面処理後のフィルムを、さらに加熱や真
空加熱処理してフィルム中の水分やガス分を除去するこ
とも好ましく、また、プラスチックフィルムの所定部位
に常法でスルホール穴あけ加工を行なったものに表面処
理をした場合、スルホール部位の密着がさらに向上する
ためより好ましい。
【0017】図1、図2は本発明になるフレキシブルプ
リント配線板の好適例の断面図を示す。
【0018】図1はプラスチックフィルム1上の非回路
部分に絶縁性の有機物からなるマスク層2を積層し、回
路部分にニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チ
タン、ジルコニウム、モリブデン、タングステンの群か
ら選択した1種以上の蒸着層3(第1蒸着層)および電
子ビーム加熱蒸着銅層5を積層したフレキシブルプリン
ト配線板である。
【0019】図2はプラスチックフィルム1上の非回路
部分に絶縁性の有機物からなるマスク層2を積層し、回
路部分にニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チ
タン、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンか
らなる群から選択した1種以上の蒸着層3(第1蒸着
層)、蒸着銅層4(第2蒸着層)および電子ビーム加熱
蒸着銅層5(第3蒸着層)を積層したフレキシブルプリ
ント配線板である。
【0020】プラスチックフィルムの片面または両面の
非回路部分に設ける絶縁性の有機物からなるマスク層2
を構成するものとしては、プラスチックフィルムにマス
クを安定して保持しうること、蒸着物質を付着させない
こと、配線間の絶縁抵抗を保持しうることなどが重要な
特性である。この観点から流動パラフィン系、シリコー
ン系、フッ素系の有機化合物もしくはこれらの混合物か
らなる膜厚100オングストローム〜10μm、好まし
くは100オングストローム〜5μmのマスク層とする
のがよい。
【0021】マスク層を形成する方法としては常圧下の
コーティング法、真空蒸着法のいづれでもよく、例えば
真空蒸着法で用いられる前記絶縁性の有機物としては、
25℃に於ける誘電率が3.0以下のものが絶縁抵抗の
点で好ましく、2.0以下のものがより好ましい。ま
た、マスク層形成の点で100〜300℃の温度範囲で
の蒸気圧が0.1〜0.001トールの範囲のものが好
ましい。さらに、蒸着粒子の付着を防ぐ点で表面張力が
15〜50dyne/cmの範囲のものが好ましく、2
0〜30dyne/cmのものがより好ましい。
【0022】プラスチックフィルムの片面または両面に
積層する第1蒸着層である蒸着層3を構成する金属とし
ては、プラスチックフィルムと他の導体層(蒸着層)金
属との密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬
品性や耐熱性が良いことなどが重要な特性である。この
ため、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタ
ン、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンから
なる群から選択した1種以上の金属が好適である。さら
に、前記の特性と蒸着の加工性とを両立することができ
る点で、クロム、クロム合金、クロム系セラミックがよ
り好適である。クロム合金としては、マンガン、ニッケ
ル、コバルト、ケイ素、チタン、バナジウム、カーボ
ン、モリブデン、タングステンを含有する合金が、クロ
ム系セラミクとしてはCrが、それぞれ好適であ
る。
【0023】これらの理由は明確ではないが、プラスチ
ックフィルム側からのガス、水分のバリヤー性がより高
く、それらの悪影響を防止することができるためと考え
られる。
【0024】前記した蒸着層3は、プラスチックフィル
ムの片面または両面に前記の金属の群から選択した1種
以上を、好適にはスパッタリング法、イオンプレーティ
ング法で蒸着させて蒸着層3を形成する。この場合、加
工の安定性、プロセスの簡素化、蒸着層の均一性を良好
にし、カールの発生を少なくするスバッタ法がより好適
である。
【0025】蒸着層3の蒸着膜厚は10〜500オング
ストロームの範囲が好ましく、10〜300オングスト
ロームの範囲がより好ましい。前記蒸着膜厚が10オン
グストローム未満ではプラスチックフィルムなどとの密
着力が不足し、耐薬品性、耐熱性が不充分となるため好
ましくない。一方、蒸着膜厚が500オングストローム
を越えると蒸着プラスチックフィルム自体にカールが発
生し好ましくない。
【0026】前記蒸着層3(第1蒸着層)上には図1で
示すように直接蒸着された粒子径が0.007〜0.8
50μmの範囲の集合体からなる電子ビーム加熱蒸着銅
層5(第3蒸着層)を設けることができるが、密着力を
高めるために図2で示すように電子ビーム加熱蒸着銅層
5を、蒸着された粒子径が電子ビーム加熱蒸着銅層の粒
子径より小さい粒子の集合体からなる蒸着銅層4(第2
蒸着層)を介して蒸着層3上に設けることが好ましい。
蒸着銅層を構成する集合体の粒子径が電子ビーム加熱蒸
着銅層の粒子径より大きいと、柔軟性、伸長性および密
着力が低下するので好ましくない。前記第2蒸着層によ
って密着力が向上するメカニズムは必ずしも明かではな
いが、第1蒸着層と蒸着層の構造を合わせ、第3蒸着層
と金属種を合わせることにより層間密着力が高められ、
ひいては積層体の密着力が向上するものと考えられる。
【0027】蒸着金属層3上に設ける蒸着銅層4は好ま
しくはスパッタリング法、イオンプレーティング法で銅
を蒸着して形成するが、その蒸着膜厚は100オングス
トローム〜1μmの範囲が好適で、1500〜5000
オングストロームの範囲がより好適である。蒸着膜厚が
100オングストローム未満では第1蒸着層と第3蒸着
層との密着力が不足し、1μmを越えるとコストが上昇
するので好ましくない。
【0028】蒸着層3または蒸着銅層4上には電子ビー
ム加熱蒸着法を適用して銅の蒸着層を形成するが、蒸着
された粒子径が0.007〜0.850μmの範囲の集
合体からなる銅の蒸着層を形成する必要があり、0.0
1〜0.570μmのものがより好ましい。前記粒子径
が0.007μm未満のものや、0.850μmを越え
るものでは柔軟性、伸長性および密着力が低下し、好ま
しくない。
【0029】なお、電子ビーム加熱蒸着法は蒸発源での
単位面積当たりの蒸発量が多く安定した加工が可能にな
る。このため、形成された電子ビーム加熱蒸着銅層5は
ピンホールが少なく、層の均質性が良好で、カールが少
ないなど優れたものとなる。また、電子ビーム加熱蒸着
銅層5の蒸着膜厚は1〜18μmの範囲が好適で、3〜
12μmの範囲がより好適である。蒸着膜厚が1μm未
満では配線を形成した場合の各種の性能が低下し、18
μmを越えるとコストが上昇するので好ましくない。
【0030】本発明になる多層蒸着膜で回路を形成した
配線板は伸長性があり、柔軟性に富んだフレキシブルプ
リント配線板とすることができ、より高信頼性の配線回
路を形成することができる。このような効果が発現する
メカニズムは必ずしも明確ではないが、多層蒸着膜が緻
密で均一な蒸着膜を形成していること、異物などのない
良好な膜質であること、などに起因していると考えられ
る。すなわち、図3は電子ビーム加熱蒸着銅層の横断面
を示すが、その表面凹凸は小さくその高さhは1/10
0μm以下で均一表面を形成している。これに対し、図
4で示す電解銅の横断面ではその表面凹凸は大きく高さ
h′は数μmでかつ不均一である。
【0031】本発明になるフレキシブルプリント配線板
の効果をより高めるためには、スパッタリング蒸着時の
温度をポリイミドフィルムを用いる場合は120〜28
0℃とするのが好適で、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを用いる場合は120〜160℃とするのが好適
である。このとき、冷却ロールを加熱することや蒸着直
前での加熱用ヒーターで加熱することで行なうことがで
きる。
【0032】前記多層の金属蒸着膜を形成するときの真
空槽の真空度は予め5×10−5トール以下、より好ま
しくは5×10−6トール以下の高真空に保持した後に
蒸着加工をすることが好適である。また、スパッタリン
グ法などではガス圧5×10−3トール以下、より好ま
しくは5×10−4トール以下の真空に保持しつつ蒸着
膜を成膜する。たとえば、スパッタリング蒸着時に使用
するガス種はアルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウム
などの稀ガスの他に窒素、水素、酸素も採用できるが、
アルゴン、窒素が安価で好適である。
【0033】各金属の蒸着速度は生産性やフィルムへの
熱的なダメージを少なくする観点から、0.5〜20m
/分の範囲が好適で、1.0〜10m/分の範囲がさら
に好適である。蒸着速度が0.5m/分未満では生産性
が低下し、またフィルムが蒸発時の輻射熱の影響をうけ
やすく好ましくない。一方、20m/分をこえると形成
される蒸着膜が不均一となり好ましくない。
【0034】本発明になるフレキシブルプリント配線板
の製造法の一例を図5に基づいて説明する。図5は長尺
プラスチックフィルム系を備えた蒸着装置の概略図であ
り、真空槽内に巻出し軸16、円筒状の冷却ドラム1
7、巻き取り軸18からなる走行系が設置され、巻出し
軸16、巻き取り軸18を納めた上槽19と複数の蒸発
源20、21、22、23、24を納めた下槽25を有
する。そして、隔壁およびマスク26で分離されてお
り、排気口27、28よりそれぞれ真空排気される。
【0035】図5の蒸着装置おいて、ポリイミドフィル
ム29を巻出し軸16より一定の巻出し張力を付与しつ
つ、0.5〜20m/分の速度で繰り出し、ローラー3
0−aを介した後にアルゴンガスのグロー放電プラズマ
処理装置31において処理する。該プラズマ処理装置で
の処理条件は、0.001〜1トールのアルゴンガス圧
で、50〜500MHzの高周波によって高電圧を印可
した電極と接地電極の電極対をもつ内部電極方式を採用
する。
【0036】次いで、ローラー30−b、cを介して絶
縁性マスク層の印刷を行なう。すなわち、0.01〜
0.001トールの範囲の真空下で100〜300℃の
温度範囲のマスク剤蒸発源32を蒸発させ、印刷ロール
33の凸部分に付着させた後にフィルム29上に印刷し
て絶縁性マスク層を形成する。
【0037】金属の蒸着は下槽25内圧力を予め5×1
−5トール以下に排気した後にアルゴンガスを導入
し、ガス圧5×10−3トール以下で行う。第1蒸着層
はクロムターゲットを蒸発源20として10〜500オ
ングストロームの厚みに形成した後、第2蒸着層は銅タ
ーゲットを蒸発源21として100オングストローム〜
1μmの厚みになるようマグネトロンスパッタ方式で形
成する。なお、第1蒸着層では所望のガスを微量にコン
トロールできるノズル34を使用して導入することもで
きる。続いて、ローラー30−d、30−eを介して第
3蒸着層は銅インゴットを蒸発源22、23、24とし
て1〜18μmの厚みに電子ビーム加熱蒸着を行なって
形成する。次いで、ローラー30−f、g、hを介して
一定の張力によって多層蒸着膜をもつ加工フィルム35
を巻き取る。この加工フィルム35は広幅、長尺ロール
の本発明になるフレキシブルプリント配線板である。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。実施例中の各特性値は次の方法に従って測定した。 (1)プラスチックフィルムの表面張力 JIS K6766−1977(ポリエチレンおよびポ
リプロピレンフィルムのぬれ試験方法)に準じ、表面張
力56dyne/cm以下はホルムアミド/エチレング
リコールモノエチルエーテル混合溶液を標準液として表
面張力値を求めた。また、表面張力57〜73dyne
/cmの範囲は水(72.8dyne/cm)/エチレ
ングリコール(47.7dyne/cm)の混合液を標
準液として表面張力値を求めた。 (2)接触角 協和界面科学(株)製FACE接触角計を用い、液滴法
によって求めた。 (3)蒸着粒子径 走査型電子顕微鏡を用いて5万部の蒸着面の蒸着粒子径
を測定した。なお、粒子形状が非対称の場合は大きい径
を測定した。 (4)蒸着膜厚 触針式表面粗さ計を用いて評価した。なお、試料は蒸着
前に溶剤で除去可能なインクを一部分に塗布して蒸着さ
せ、次いで蒸着後に塗布部分の蒸着膜インクを除去した
ものを用いた。 (5)誘電率 ASTM D149に準じる方法により評価した。 (6)引きはがし強度 JIS C6481(180度ピール)に準じて行ない
密着強度を求めた。 (7)抵抗率 所要電流と得られた電圧値から抵抗を算出し、これに膜
厚を乗じて求めた。 (8)ハンダ耐熱性 280℃のハンダ浴に10秒間接触させ、ふくれ、はが
れ、変色などの外観の変化を評価した。 (9)繰返し屈曲試験 MIT−01(JIS P8115)に準じて測定およ
び評価を行なった。 (10)耐薬品性 JIS C5016に準じて、2H−Hc1、2N−N
aOH、IPA、トリクロールエタンの4種の薬品を用
いて外観上の変化の評価を行なった。 (11)配線の信頼性 導体幅300μm、導体間隔300μmで、導体長さ5
0mmのパターンを実体顕微鏡で観察し、1万本当りの
欠点数を評価した。
【0039】実施例1 厚さ50μmのポリイミドフィルム“カプトン”の表面
にグロー放電プラズマ処理をアルゴンガス圧0.02ト
ール、高周波電源を用いて、処理速度0.6m/分にて
実施した。なお、処理されたフィルムの表面張力は70
dyne/cm以上で、接触角は35度であった。次い
で、導体幅、導体間隙がそれぞれ300μmの配線回路
を形成するように、ゴム製のロールを用い絶縁性マスク
剤である東レシリコーン社製SH704を2×10−4
トール以下、蒸発温度180℃で厚さ500オングスト
ロームに印刷し、絶縁性マスク層を形成した。
【0040】さらに、予め糟内を5×10−6トールに
排気した後にアルゴンガス圧2×10−4トールにて、
DCマグネトロンスパッタ方法を適用してクロムを20
0オングストロームの厚みに蒸着し、該クロム蒸着層上
に銅を2000オングストロームの厚さに蒸着した。さ
らに、前記スパッタ銅層上に銅を2回電子ビーム加熱に
よる蒸着を行なって、蒸着された粒子径が0.02〜
0.35μmの範囲の集合体からなり厚さが8μmの電
子ビーム加熱蒸着銅層を形成し、本発明のフレキシブル
プリント配線板を得た。
【0041】実施例2 実施例1と同一条件でポリイミドフィルム上に絶縁性マ
スク層を形成するとともに、200オングストローム厚
さのクロム蒸着層の上に、実施例1と同一条件で銅を2
回電子ビーム加熱による蒸着を行ない実施例1と同じ特
性を有する厚さ8μmの電子ビーム加熱蒸着層を形成
し、本発明のフレキシブルプリント配線板を得た。
【0042】比較例1 実施例1と同一条件でポリイミドフィルム上に絶縁性マ
スク層を形成するとともに、実施例1と同一条件で銅を
2回電子ビーム加熱による蒸着を行ない厚さ8μmの電
子ビーム加熱蒸着のみを形成し、本発明の範囲外である
フレキシブルプリント配線板を得た。
【0043】比較例2 実施例1と同一条件でポリイミドフィルム上に200オ
ングストロームのクロム蒸着層と2000オングストロ
ームの銅蒸着層を形成した後、直ちに硫酸銅浴を用い電
流密度2A/dmの条件で電解めっきを行なって、銅
層を8μmの厚さに電着した。これにより湿式工程を用
いたフレキシブルプリント配線用基板を得た。次いで、
電解めっき銅層上に導体幅300μm、導体間隙300
μmの配線を形成するため、スクリーン印刷法でレジス
トを印刷した。そして銅層、クロム層を塩化第2鉄と過
マンガン酸系の薬品によりエッチング処理を行なって配
線回路を形成し、本発明の範囲外であるフレキシブルプ
リント配線板を得た。なお、実施例2のクロム蒸着層上
にはどのような条件を用いても銅めっきを施すことがで
きなかった。
【0044】実施例1、実施例2、比較例1、比較例2
で得た各配線板の各特性値を表1に示した。この表1の
値から明らかなように、本発明の要件を満足する実施例
1、2は従来法や本発明の範囲外のものである比較例に
比べ密着強度、耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性および電気
特性に優れるとともに、配線における欠点数も著しく少
なく、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板である
ことがわかる。なお、実施例1のようにクロム蒸着層と
電子ビーム加熱蒸着銅層との間にスパッタによる蒸着銅
層を設けることで、より優れた効果が発現することもわ
かる。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明のフレキシブルプリント配線板は
層間密着力が高く、耐熱性、耐屈曲性、耐薬品性などに
優れるとともに、電気特性や導体の配線形成精度が優れ
ており信頼性の高いフレキシブルプリント配線板であ
る。
【0047】本発明のフレキシブルプリント配線板の製
造方法は電気めっきなどを用いていないため無公害であ
り、また通常の配線形成に用いられるスクリーン、写真
印刷、エッチング工程などを大幅に省プロセス化したこ
とで省エネルギー化、低コスト化できの面で極めて大き
い効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルプリント配線板の一例を
示す断面図。
【図2】本発明のフレキシブルプリント配線板の別の一
例を示す断面図。
【図3】電子ビーム加熱蒸着銅層の横断面図。
【図4】電解銅の横断面図。
【図5】蒸着装置の概略図。
【符号の説明】
1 プラスチックフィルム、 2 マスク層、 3
第1蒸着層、4 第2蒸着層、 5 第
3蒸着層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムの片面または両面
    に、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタ
    ン、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンから
    なる群から選択した1種以上の蒸着層と該蒸着層上に積
    層した蒸着された粒子径が0.007〜0.850μm
    の範囲の集合体からなる電子ビーム加熱蒸着銅層とから
    なり所望の回路を形成した積層体、および回路を形成し
    ない絶縁性の有機物からなるマスク層を積層したことを
    特徴とするフレキシブルプリント配線板。
  2. 【請求項2】 回路を形成した積層体が蒸着層、電子ビ
    ーム加熱蒸着銅層の粒子径より小さい粒子の集合体から
    なる蒸着銅層および電子ビーム加熱蒸着銅層を順次積層
    したものである請求項1記載のフレキシブルプリント配
    線板。
  3. 【請求項3】 プラスチックフィルムがスルホール穴あ
    け加工をしたものである請求項1または請求項2記載の
    フレキシブルプリント配線板。
  4. 【請求項4】 プラスチックフィルムが、45度未満の
    水の接触角度を有するポリイミドフィルムである請求項
    1、請求項2または請求項3記載のフレキシブルプリン
    ト配線板。
  5. 【請求項5】 プラスチックフィルムの片面または両面
    に絶縁性の有機物からなるマスク層を回路としない部分
    に形成した後、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウ
    ム、チタン、ジルコニウム、モリブデンおよびタングス
    テンからなる群から選択した1種以上の金属からなる蒸
    着層を蒸着法で、該蒸着層上に蒸着された粒子径が0.
    007〜0.850μmの範囲の銅からなる銅層を電子
    ビーム加熱蒸着法で回路とする部分に蒸着積層すること
    を特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
  6. 【請求項6】 蒸着層と電子ビーム加熱蒸着銅層との間
    に、蒸着法で電子ビーム加熱蒸着銅層の粒子径より小さ
    い粒子の集合体からなる銅層を蒸着するとともに、これ
    らを回路とする部分に積層することを特徴とする請求項
    5記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006016473A1 (ja) * 2004-08-10 2006-02-16 Nippon Mining & Metals Co., Ltd. フレキシブル銅基板用バリア膜及びバリア膜形成用スパッタリングターゲット
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