JPH05279785A - 耐溶融塩腐食性に優れたボイラー用合金 - Google Patents

耐溶融塩腐食性に優れたボイラー用合金

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JPH05279785A
JPH05279785A JP8112292A JP8112292A JPH05279785A JP H05279785 A JPH05279785 A JP H05279785A JP 8112292 A JP8112292 A JP 8112292A JP 8112292 A JP8112292 A JP 8112292A JP H05279785 A JPH05279785 A JP H05279785A
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JP
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molten salt
corrosion resistance
salt corrosion
alloy
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JP8112292A
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Kozo Denpo
幸三 伝宝
Tetsuo Ishizuka
哲夫 石塚
Hiroyuki Ogawa
洋之 小川
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐溶融塩腐食性に優れたボイラー用合金、わ
けても溶融塩化物腐食に対する抵抗特性に優れた合金を
提供する。 【構成】 Co、Ni、Crをベースとして含有し、M
o、Wのうち1種または2種を含有し、加えてHfまた
はZrの1種または2種あるいはY、La、Ceのうち
1種または2種以上あるいはHfまたはZrの1種また
は2種およびY、La、Ceの1種または2種以上を含
有し、残部Fe、Alおよび不可避的不純物からなり、
Alを添加し合金表面に酸化皮膜を生成させ、かつ0.
5Co+Ni+1.5Cr≦50、0.4≦(Ni+C
r)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7なる条件を満足
することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優れたボイラー
用合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭焚きボイラーにお
いて使用される鋼管、特に溶融塩腐食に対する優れた抵
抗性を示す合金に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料燃焼ボイラー、流動床反応器、石炭
のガス化、液化装置等に代表される高温エネルギー装置
は最近のエネルギー事情を反映して石炭利用技術として
注目されている。例えば、燃料燃焼ボイラーにあって
は、従来は石油利用が主体であったが、今日では代替エ
ネルギー利用の必要性が認識された結果、石炭利用が増
大する傾向となっている。
【0003】しかし、かかる高温エネルギー装置にあっ
ても装置設計は石油利用の時の設計思想により行われて
おり、石炭利用となった時の問題点は十分には解決され
ていない。例えば、石炭火力ボイラーにおいても従来の
石油火力ボイラーと同様の材料構成にて製作されてい
る。ところが、石炭火力ボイラーにおいては石油火力ボ
イラーとは異なり、ボイラー内部で固形のアッシュ分が
クリンカとなって落下したり、溶融状態でフライアッシ
ュとして燃焼ガス流中に浮遊していたりするため、高温
溶融塩による著しい損傷を受ける。このような問題点は
当業者にもよく認識されているが、まだその解決策は明
らかではなく、材料的な対策も殆どなく、経験的な設計
上の対応、例えば流速の低減、プロテクターの取り付け
等の対策が行われているにすぎない。しかし、設計的な
対処をもってしても、流速を制限した場合にも予想以上
に流速の早い偏流部ができたり、またプロテクターを用
いた場合にもプロテクター自体の損傷が早く、実際上効
果のない場合が多くある。
【0004】また、材料の観点からボイラーチューブと
しては、SUS304鋼、同じく321、347、32
1、316鋼等の18−8系オーステナイト系ステンレ
ス鋼が、さらにはインコロイ800、SUS310等の
合金が用いられる。さらに一般の高温用部材としては、
各種の高温用オーステナイト系ステンレス鋼が用いられ
ているが、これらはいずれも溶融塩腐食に対する抵抗性
を考慮したものではなく、石油火力ボイラー等での経験
をもとに使用されているにすぎない。
【0005】すでに述べたように、溶融塩腐食を防止す
る材料的対策は殆どないのが現状であるが、材料的対策
があれば、逆に装置設計に余裕が生じ、装置の小型化、
熱効率の向上などの利益も期待できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、石炭火力ボイラーにみられるような溶融塩腐食
に対する優れた抵抗性を有する材料を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。(1)重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
れたボイラー用合金。
【0008】(2)重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、さらに Hf:0.2%以下、 Zr:0.2%以下 のうちの1種または2種を含有し、残りがFeと不可避
不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
れたボイラー用合金。
【0009】(3)重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、さらに Y:0.1%以下、 La:0.1%以下、 Ce:0.1%以下 のうちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不
可避不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
れたボイラー用合金。
【0010】(4)重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、さらに Hf:0.2%以下、 Zr:0.2%以下 のうちの1種または2種と Y:0.1%以下、 La:0.1%以下、 Ce:0.1%以下 のうちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不
可避不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
れたボイラー用合金。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【作用】最初に本発明において各成分範囲を前記の如く
限定した理由を述べる。Cは0.1%を越えると加工性
が劣化すること、および粒界腐食割れが発生しやすくな
ることから、その上限値を0.1%と定めた。Siは脱
酸成分として必要な成分であるが、その含有量が2.5
%を越えると熱間加工性が劣化するので、上限値を2.
5%と定めた。
【0013】MnはSiと同様に脱酸作用があるが、過
剰に添加すると脆化するので、その上限値を1.0%と
定めた。Pは不可避不純物であるが、その含有量が0.
03%を越えると粒界偏析が著しくなることから、上限
値を0.03%と定めた。Sは不可避不純物であるが、
その含有量が0.005%を越えると熱間加工性が著し
く劣化し、製造不能となるので、上限値を0.005%
と定めた。
【0014】Alは脱酸材としての効用は言うまでもな
いが、合金表面にAl23を生成させ、溶融塩による損
傷を低減させることができる。しかし、その添加量が
0.01%未満では合金表面にAl23皮膜が生成しな
いので、下限値を0.01%とする必要がある。一方、
0.03%を越えて添加すると加工性が劣化するので、
上限値を0.03%とした。
【0015】Co、Ni、Cr、Mo、W:これらの元
素は耐溶融塩腐食性および耐食性を改善するが、各元素
を単独で添加しただけでは、これらの効果は現れず、複
合添加によってのみ効果が発揮される。そこで、本発明
者らは実ボイラーの操業条件を想定し、600℃の高温
ボイラー環境で耐溶融塩腐食性に優れた材料を得るべく
研究を行った結果、(1)Co、NiおよびCr量が 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 の条件を満足し、かつ(2)Ni、Cr、Co、Mo、
W量が 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足する場合には、下記の添加量で最も効果的
に合金元素の有する特性を発揮することが明らかとなっ
た。
【0016】CoはNi、Cr、MoおよびWとの共存
で耐溶融塩腐食特性を向上させる元素であるが、600
℃での使用の場合には、その含有量が40%未満ではさ
ほど著しい効果はなく、所望の耐溶融塩腐食性を得るに
は他の合金元素量を増加させる必要があり、経済的に不
利であるから、下限値を40%と定めた。一方、その含
有量が55%を越えると、耐溶融塩腐食特性の向上効果
が低下することから、上限値を55%と定めた。
【0017】Niは耐食性を改善させる効果があるが、
10%未満ではその効果はなく、所望の耐食性を得るに
は他の合金元素量を増加させる必要があり、経済的でな
いことから、下限値を10%と定めた。一方、30%を
越えて添加しても効果の一段の向上は認められず、経済
性を考慮して、上限値を30%とした。CrはNi、M
o、Wとの共存で著しく耐食性を改善する元素である
が、7%未満の添加ではさほど著しい効果は得られず、
一方12%を越えて添加しても効果の一段の向上は認め
られないことから、その上限値を12%とした。
【0018】MoはCoとともに耐溶融塩腐食性を向上
させ、特に硬度の上昇から耐溶融塩腐食性を向上させる
作用がある。しかし2%未満では硬度が十分でなく、一
方4%を越えて添加しても硬度が上昇し過ぎて加工性が
劣化するので、その添加範囲を2〜4%とした。WもM
oと同様に硬度上昇によって耐溶融塩腐食性を改善する
が、8%を越えて添加しても効果の一段の向上はない
上、加工性が劣化するので、その上限値を8%とした。
【0019】Hfは微量の添加でも高温での強度を改善
することから、その上限値を0.2%と定めた。Zrは
脱酸元素として作用するが、その添加量が0.2%を越
えても一段の効果は認められないので、上限値を0.2
%と定めた。Y、LaおよびCeには熱間加工性をさら
に改善する効果があるので、厳しい条件で熱間加工が行
われる場合には必要に応じて添加されるが、どの元素も
0.1%を越えて添加しても効果の一段の向上は認めら
れず、むしろ劣化現象さえ現れるので、含有量をそれぞ
れ0.1%以下とした。
【0020】本発明者らはCo、Ni、Crを変化させ
た合金を溶製し、鋳造し、熱間圧延して板厚7mmの板
材とし、次いでこの板材に、温度1050℃に30分保
持後、水冷の熱処理を施した後、板材から圧延方向と直
角に、厚さ2mm、幅15mm、長さ20mmの試験片
を切り出し、この試験片を600℃に加熱した装置中に
保持し、NaCl−KClの混合溶融塩を塗布して50
0時間にわたって試験を行い、試験前後における腐食損
傷の程度を観察した。これらの結果を科学的に解析した
結果、Co、Ni、Crの間には前述の条件が存在する
ことが明らかになった。
【0021】
【実施例】表1〜3に示される成分組成の合金それぞれ
1tonを真空誘導加熱炉を用いて溶解し、ESR処理
で清浄化して、断面500mm×250mmのインゴッ
トに鋳造した後、熱間圧延して板厚7mmの板材とし、
次いでこの板材に、温度1050℃に30分保持後、水
冷の熱処理を施した後、板材から圧延方向と直角に、厚
さ2mm、幅15mm、長さ20mmの試験片を切り出
し、この試験片にNaCl−KClの混合塩を塗布して
600℃に加熱した装置中に保持し、500時間にわた
って試験を行い、試験前後における腐食の程度を測定し
た結果を表1〜3に示した。
【0022】表1〜3に示される結果から、比較合金材
は耐溶融塩腐食性が劣っているのに対して、本発明合金
1〜37はいずれの材料も窪みは発生しておらず、耐溶
融塩腐食性に優れた特性を有することが明らかである。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、高温粒子溶融塩腐食に
対する優れた抵抗性を有する合金が得られるので、近年
注目されている高温エネルギー装置の実用化および普及
に寄与するところ極めて大である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、残りがFeと不可避不純物
    からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
    れたボイラー用合金。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、さらに Hf:0.2%以下、 Zr:0.2%以下 のうちの1種または2種を含有し、残りがFeと不可避
    不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
    れたボイラー用合金。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、さらに Y:0.1%以下、 La:0.1%以下、 Ce:0.1%以下 のうちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不
    可避不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
    れたボイラー用合金。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C:0.1%以下、 Si:2.5%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.03%以下、 S:0.005%以下、 Al:0.01〜0.03%、 Co:40〜55%、 Cr:7〜12%、 Ni:10〜30% を含有し、 Mo:2〜4%、 W:8%以下 の1種または2種を含有し、さらに Hf:0.2%以下、 Zr:0.2%以下 のうちの1種または2種と Y:0.1%以下、 La:0.1%以下、 Ce:0.1%以下 のうちの1種または2種以上を含有し、残りがFeと不
    可避不純物からなる組成を有し、かつ 0.5Co+Ni+1.5Cr≦50 0.4≦(Ni+Cr)/(Co+Mo+1/2W)≦0.7 の条件を満足することを特徴とする耐溶融塩腐食性に優
    れたボイラー用合金。
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