JPH05278166A - 厚塗り塗装感を有する化粧シート及び該化粧シートの製造方法 - Google Patents

厚塗り塗装感を有する化粧シート及び該化粧シートの製造方法

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JPH05278166A
JPH05278166A JP10614492A JP10614492A JPH05278166A JP H05278166 A JPH05278166 A JP H05278166A JP 10614492 A JP10614492 A JP 10614492A JP 10614492 A JP10614492 A JP 10614492A JP H05278166 A JPH05278166 A JP H05278166A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬化型樹脂による厚さ15μ以上の耐ブロ
ッキング性に優れたトップコート層を具備し、しかも、
歪みやカール等の発生の無い厚塗り塗装感を有する化粧
シート、及び、該化粧シートを的確に得る方法。 【構成】 化粧シート基材の表面層をなす熱可塑性樹
脂層4の上に、ウレタンアクリレートプレポリマーとシ
リコンアクリレート以外の単官能モノマーとの混合物に
対して、(メタ)アクリロキシプロピル基を具備するシ
リコンアクリレートのモノマーまたはプレポリマーの少
量を添加したコーティング剤による塗工層を設け、該塗
工層を電離放射線で硬化させてトップコート層6を形成
した化粧シート1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、家具,壁面,
床面等の表面に、装飾あるいは表面保護の目的で貼着さ
れる化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】建材や家具等の基材の表面に装飾あるい
は表面保護の目的で化粧シートが貼着される。特に表面
物性において優れた特性を奏する化粧シートとして、硬
化型樹脂によるトップコート層を有するものが汎用され
ている。この化粧シートにおける硬化型樹脂によるトッ
プコート層は、化粧シート基材の表面に例えばポリウレ
タンやアミノアルキッド等の硬化型樹脂を2以上の官能
基を有する多官能性モノマー中に混合させたコーティン
グ剤による塗工層を形成した後、これを所定の手段で硬
化させることによって得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の硬化
型樹脂によるトップコート層の形成に利用されているコ
ーティング剤は、該コーティング剤中の樹脂の架橋反応
点が極めて大きく、化粧シート基材上で形成される塗工
層の厚さが例えば15μ以上になると、塗工層の上層部
と下層部とにおける硬化反応が均一でなくなるため、硬
化工程中に塗工層に収縮が発生し、この収縮時の剪断応
力が塗工層と化粧シートとの界面に集中するようにな
り、化粧シートに歪みやカール等が発生するだけでな
く、トップコート層と化粧シート基材との間の接着強度
が十分ではなくなり、さらには、化粧シートの曲げ加工
等の加工適性の低下等の問題がある。このため、従来の
硬化型樹脂によるトップコート層を有する化粧シートの
トップコート層は、せいぜい厚さ1〜5μ程度に形成さ
れるのが普通であり、厚塗り塗装感による高品質感を得
ることができない。
【0004】さらに、従来の硬化型樹脂によるトップコ
ート層を有する化粧シートは、トップコート層の硬度が
非常に高いことにより、ラッピング加工,真空成形加工
等における曲げ加工やVカット加工等によって亀裂が発
生し易いという欠点をも有する。
【0005】また、熱硬化型樹脂によるトップコート層
は、樹脂の硬化完了に長時間かかるため、巻き取りシー
トにブロッキングや置き跡が発生し、品質の高い化粧シ
ートを得ることができない。
【0006】したがって、硬化型樹脂による厚さ15μ
以上の所謂厚塗りのトップコート層は、家具等に組み立
てられた後に、また、施工された壁面等に対して直接刷
毛塗りやスプレー塗装による塗工層を形成し、これを硬
化させることによって形成されているため、生産性が著
しく悪く、しかも、垂直面では塗料(コーティング剤)
の垂れ下がりにより均一なトップコート層が得られない
等の難点を有している。
【0007】これに対して、電離放射線硬化型樹脂をモ
ノマー中に混合させたコーティング剤を利用することに
より、厚さ15μ以上のトップコート層を形成すること
を試みたが、得られる化粧シートに柔軟性を具備させる
ために、電離放射線硬化型樹脂を単官能性のモノマーに
混合させたコーティング剤を利用する関係から、トップ
コート層の耐ブロッキング性が悪いという別の面での欠
点を有することが判明した。
【0008】なお、トップコート層におけるブロッキン
グの発生は、塗工層中の電離放射線硬化型樹脂が完全な
三次元架橋によって硬化されていないためであり、電離
放射線硬化型樹脂を単官能性のモノマーに混合させたコ
ーティング剤を利用していることに要因している。
【0009】そして、化粧シートにおけるトップコート
層の耐ブロッキング性の問題は、例えば、化粧シートを
合板に貼着する工程での作業性を悪化させる原因とな
る。すなわち、化粧シートと合板との接着は、化粧シー
トと合板とを仮接着させた後に、化粧シートが仮接着さ
れている2枚の合板同士を化粧シート面同士が接当する
ようにして重ね合わせ、これに1kgf/cm2 〜5k
gf/cm2 程度の荷重を掛けるプレス成形を行ない、
しかる後に、化粧シート面同士の間で剥離させる工程で
行なっているが、前述のように、トップコート層の耐ブ
ロッキング性が悪い化粧シートを利用すると、プレス成
形後の剥離工程が円滑で無く、作業性を悪化させる。
【0010】これに対して本発明は、電離放射線硬化型
樹脂による耐ブロッキング性に優れた厚さ15μ以上の
トップコート層を有しており、しかも、該トップコート
層の存在によって、化粧シートに歪みやカール等が発生
するようなことがなく、かつ、トップコート層と化粧シ
ート基材との間の接着強度が十分であり、また、曲げ加
工等の加工適性の低下等の問題のない厚塗り塗装感を有
する化粧シート、及び、該化粧シートが容易、かつ、確
実に得られる方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本第1〜第3の各発明の
化粧シートは、化粧シート基材の表面層をなしている熱
可塑性樹脂層の上に厚さ15μ以上の艶消し調のトップ
コート層を有するもので、該トップコート層における組
成に特徴を存する。また、本第4〜第6の発明の厚塗り
塗装感を有する化粧シートの製造方法は、該化粧シート
におけるトップコート層の成形方法に特徴を有する。
【0012】すなわち、本第1の発明の厚塗り塗装感を
有する化粧シートは、熱可塑性樹脂層からなる表面層を
具備する化粧シート基材と、該化粧シート基材の表面層
をなす熱可塑性樹脂層面に形成されている厚さ15μ以
上のトップコート層とを有するもので、前記トップコー
ト層が、重量平均分子量1000〜10000の重合性
不飽和結合を有するウレタンアクリレートプレポリマー
とシリコンアクリレート以外の単官能モノマーとが、6
0〜40重量%:40〜60重量%の割合で混合されて
いる混合物100重量部に、ジメチルポリシロキサンの
分子鎖の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な
(メタ)アクリロキシプロピル基を具備する重量平均分
子量100〜10000のシリコンアクリレートのモノ
マーまたはプレポリマー1〜5重量部を添加したコーテ
ィング剤による塗工層の電離放射線硬化層からなるもの
である。
【0013】本第2の発明は、前記本第1の発明の化粧
シートの構成において、トップコート層のコーティング
剤中に、無機質微粉末及び/又は有機質微粉末からなる
艶消し剤が混合されている厚塗り塗装感を有する化粧シ
ートからなる。
【0014】本第3の発明は、前記本第1の発明あるい
は第2の発明の化粧シートの構成において、熱可塑性樹
脂層からなる表面層を具備する化粧シート基材が、化粧
シート基材の表面層に凹部を有するもので、しかも、該
凹部内に着色インキ層が充填されている厚塗り塗装感を
有する化粧シートからなる。
【0015】本第4の発明の厚塗り塗装感を有する化粧
シートの製造方法は、熱可塑性樹脂層からなる表面層を
具備する化粧シート基材の表面層の上に、重量平均分子
量1000〜10000の重合性不飽和結合を有するウ
レタンアクリレートプレポリマーとシリコンアクリレー
ト以外の単官能モノマーとが、60〜40重量%:40
〜60重量%の割合で混合されている混合物100重量
部に、ジメチルポリシロキサンの分子鎖の少なくとも一
方の末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロキシプ
ロピル基を具備する重量平均分子量100〜10000
のシリコンアクリレートのモノマーまたはプレポリマー
1〜5重量部を添加したコーティング剤による塗工層を
形成する工程と、該塗工層を電離放射線によって硬化さ
せて厚さ15μ以上のトップコート層を形成する工程と
により、厚塗り塗装感を有する化粧シートを得るもので
ある。
【0016】本第5の発明の厚塗り塗装感を有する化粧
シートの製造方法は、前記本第4の発明の構成におい
て、トップコート層形成用のコーティング剤として、無
機質微粉末及び/又は有機質微粉末からなる艶消し剤が
混合されているコーティング剤を利用することにより、
厚塗り塗装感を有する化粧シートを得るものである。
【0017】本第6の発明の厚塗り塗装感を有する化粧
シートの製造方法は、表面に凹部が形成されている熱可
塑性樹脂層からなる表面層を具備する化粧シート基材の
表面にワイピング処理を施すことにより、化粧シート基
材の表面層に形成されている凹部内に着色インキ層を充
填する工程と、該化粧シート基材の表面層の上に、重量
平均分子量1000〜10000の重合性不飽和結合を
有するウレタンアクリレートプレポリマーとシリコンア
クリレート以外の単官能モノマーとが、60〜40重量
%:40〜60重量%の割合で混合されている混合物1
00重量部に、ジメチルポリシロキサンの分子鎖の少な
くとも一方の末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリ
ロキシプロピル基を具備する重量平均分子量100〜1
0000のシリコンアクリレートのモノマーまたはプレ
ポリマー1〜5重量部を添加したコーティング剤による
塗工層を形成する工程と、該塗工層を電離放射線によっ
て硬化させることにより、厚さ15μ以上のトップコー
ト層を形成する工程とにより、厚塗り塗装感を有する化
粧シートを得るものである。
【0018】前記構成による本各発明の厚塗り塗装感を
有する化粧シート及び該化粧シートの製造方法におい
て、化粧シート基材には、例えば、ポリエチレン,ポリ
プロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポ
リビニルアルコール,ポリエチレンテレフタレート,ポ
リカーボネート,ナイロン,ポリスチレン,エチレン・
酢酸ビニル共重合体,エチレン・ビニルアルコール共重
合体,アイオノマー樹脂,ABS樹脂等によるプラスチ
ックシートを利用し得るが、化粧シート基材の表面に形
成される硬化型のトップコート層との間の密接特性の点
から、化粧シート基材の表面樹脂層が、塩化ビニル系樹
脂,アクリルポリオール樹脂またはアクリルポリオール
樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂との混合樹
脂で形成されてことが好ましい。また、該表面樹脂層
が、ポリビニルアルコール,エチレン−酢酸ビニル共重
合体,エチレン−ビニルアルコール共重合体,その他一
般に活性な水酸基またはカルボキシル基を分子中に有す
る熱可塑性樹脂層からなるものの場合には、化粧シート
基材の表面樹脂層の上に形成されるトップコート層との
間に良好な密着性が得られる。なお、これらの表面樹脂
層は、該表面樹脂層の単一層でも化粧シート基材として
利用し得ることは勿論である。
【0019】化粧シート基材には、例えば、木目,石
目,天然皮革の表面柄,布目,抽象柄等を表現する印刷
が付されているものが利用されるのが普通であり、ま
た、前述の表面樹脂層が、例えば、別製の樹脂シート,
紙,不織布等による裏打ち材に積層されている積層シー
ト等も利用し得る。
【0020】表面層に凹部を有する化粧シート基材とし
ては、エンボスによる凹部、例えば、木目の導管に模し
た凹部をはじめ、スタット,トラバーチン等の石目、皮
革の絞り、布目等に類似する形状をなす凹部を、前述の
印刷模様と組み合わせて賦形させたものが好適である。
なお、化粧シート基材の表面層における凹部は、前述の
印刷面に対して凹部を直接形成させたものであっても、
あるいは、印刷が付されている熱可塑性樹脂層の印刷面
に対して別製の熱可塑性樹脂シートを熱接着によって積
層すると共に、積層された熱可塑性樹脂シートの表面に
エンボスによる賦形を行なうことによって得られる所謂
ダブリングエンボスによる積層シート方式で形成させた
ものであっても良く、特に、表面に印刷が付されている
ポリ塩化ビニルシートに対して別製のポリ塩化ビニルフ
ィルムをダブリングエンボスすることによって得られる
積層シートが化粧シート基材として最も好ましい。
【0021】化粧シート基材の表面における凹部内に着
色塗料を充填させるためのワイピング処理は、凹部が賦
形されている熱可塑性樹脂層の樹脂と同一の系統の樹脂
をベヒクルとする塗料で行なうのが好適である。
【0022】化粧シートにおけるトップコート層は、無
色透明または着色透明層として形成される。トップコー
ト層形成用のコーティング剤中に無機質微粉末及び/又
は有機質微粉末からなる艶消し剤を含有しない場合に
は、光沢を有するトップコート層が形成され、また、先
の艶消し剤を含有する場合には、艶消し調のトップコー
ト層が形成される。
【0023】トップコート層形成用のコーティング剤に
は、重量平均分子量1000〜10000の重合性不飽
和結合を有するウレタンアクリレートプレポリマーとシ
リコンアクリレート以外の単官能モノマーとが、60〜
40重量%:40〜60重量%の割合で混合されている
混合物100重量部に、ジメチルポリシロキサンの分子
鎖の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な(メ
タ)アクリロキシプロピル基を具備する重量平均分子量
100〜10000のシリコンアクリレートのモノマー
またはプレポリマー1〜5重量部を添加したコーティン
グ剤が利用される。なお、ウレタンアクリレートプレポ
リマーとしては、1分子中に2個以上の重合性不飽和結
合を有するものが利用され、不飽和結合としては、例え
ば、アリロイル基,メタアリロイル基等のエチレン性不
飽和結合が使用し得る。
【0024】ウレタンアクリレートプレポリマーと少な
くとも一方の末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリ
ロキシプロピル基を具備するシリコンアクリレートのモ
ノマーまたはプレポリマーを混合させるシリコンアクリ
レート以外の単官能モノマーには、例えば、ラウリルア
クリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート,1,6−ヘキサンジオー
ルモノアクリレート,ジシクロペンタジエンアクリレー
ト等が利用される。
【0025】重量平均分子量1000〜10000の重
合性不飽和結合を有するウレタンアクリレートプレポリ
マーとシリコンアクリレート以外の単官能モノマーとの
混合物中に混合されるシリコンアクリレートのモノマー
またはプレポリマー、すなわち、ジメチルポリシロキサ
ンの分子鎖の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能
な(メタ)アクリロキシプロピル基を具備する重量平均
分子量100〜10000のシリコンアクリレートのモ
ノマーまたはプレポリマーは、ジメチルポリシロキサン
の分子鎖の一方の末端にラジカル重合可能な(メタ)ア
クリロキシプロピル基を具備する単官能化合物、ジメチ
ルポリシロキサンの分子鎖の両末端にラジカル重合可能
な(メタ)アクリロキシプロピル基を具備する二官能化
合物、あるいは、ジメチルポリシロキサンの分子鎖の両
末端及び側鎖にラジカル重合可能な(メタ)アクリロキ
シプロピル基を具備する三官能以上の化合物のいずれで
あっても良いが、得られる化粧シートの加工適性や柔軟
性の点から、特に単官能化合物が好適である。
【0026】トップコート層形成用のコーティング剤中
のウレタンアクリレートプレポリマーとシリコンアクリ
レート以外の単官能モノマーとジメチルポリシロキサン
の分子鎖の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な
(メタ)アクリロキシプロピル基を具備する重量平均分
子量100〜10000のシリコンアクリレートのモノ
マーまたはプレポリマーとの混合割合は、ウレタンアク
リレートプレポリマー及びシリコンアクリレート以外の
単官能モノマーの合計100重量部に対して、シリコン
アクリレートのモノマーとプレポリマーとの合計が1〜
5重量部の割合で使用される。なお、ウレタンアクリレ
ートプレポリマー及びシリコンアクリレート以外のモノ
マーの合計100重量部に対して、シリコンアクリレー
トのモノマーとプレポリマーとの合計量が1重量部未満
の場合には、ブロッキング防止の効果が十分ではない。
【0027】また、ウレタンアクリレートプレポリマー
及びシリコンアクリレート以外のモノマーの合計100
重量部に対して、シリコンアクリレートのモノマーとプ
レポリマーとの合計量が5重量部を超えるようになる
と、コーティング剤中でのシリコンアクリレートの相溶
性が悪くなり、しかも、シリコンアクリレートのモノマ
ーとプレポリマーとによるブロッキング防止効果の点か
らは、5重量部を超えて混合してもその効果の上昇は無
く、経済的に無意味である。
【0028】さらに、トップコート層形成用のコーティ
ング剤においては、重量平均分子量1000〜1000
0の重合性不飽和結合を有するウレタンアクリレートプ
レポリマーとシリコンアクリレート以外の単官能モノマ
ーとが、60〜40重量%:40〜60重量%の割合で
混合されている。
【0029】このトップコート層形成用のコーティング
剤中に、無機質微粉末及び/又は有機質微粉末からなる
艶消し剤が添加される場合には、粒径0.1〜10μ程
度の無機質微粉末及び/又は有機質微粉末、例えば、炭
酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸マグネシウム,シリ
カ,アルミナ,ガラスバルーン等による無機質微粉末
や、ポリエチレン,ポリウレタン,ポリカーボネート,
フェノール系樹脂,メラミン樹脂等による有機質微粉末
が利用される。艶消し剤として利用する無機質微粉末及
び/又は有機質微粉末の粒径が0.1μ未満になると、
艶消しの機能が果たされなくなり、また、10μを超え
るものになると、形成されるトップコート層にざらつき
が出てくるために表面化粧材としての用途に相応しく無
くなる。なお、トップコート層形成用のコーティング剤
中における無機質微粉末及び/又は有機質微粉末からな
る艶消し剤の量は、コーティング剤用組成物中の0.1
〜50重量%程度が好適である。艶消し剤の量がコーテ
ィング剤用組成物中の0.1重量%未満になると、得ら
れるトップコート層に顕著な艶消し調が表現し得なくな
り、また、50重量%を超えると、化粧シートをVカッ
ト加工や折り曲げ加工等に付したときに、トップコート
層に亀裂や白化等が発生する等の加工適性の悪化が生ず
る。
【0030】トップコート層の形成に利用される先の組
成によるコーティング剤は、例えば、ロールコート,カ
ーテンフローコート,ワイヤーバーコート,リバースコ
ート,グラビアコート,グラビアリバースコート,エア
ナイフコート,キスコート,ブレードコート,スムーズ
コート,コンマコート等によって化粧基材の表面に適用
され、しかる後に、形成された塗工層に電離放射線が照
射され、硬化塗工層が得られる。
【0031】トップコート層の形成に利用されるコーテ
ィング剤は、前記した通り、重量平均分子量1000〜
10000の重合性不飽和結合を有するウレタンアクリ
レートプレポリマーとシリコンアクリレート以外の単官
能モノマーとが、60〜40重量%:40〜60重量%
の割合で混合されている混合物100重量部に、ジメチ
ルポリシロキサンの分子鎖の少なくとも一方の末端にラ
ジカル重合可能な(メタ)アクリロキシプロピル基を具
備する重量平均分子量100〜10000のシリコンア
クリレートのモノマーまたはプレポリマー1〜5重量部
を添加させたものであり、例えば、得られるトップコー
ト層を有する化粧シートに対して、ラッピング加工性や
真空成形性等の曲面加工適性よりも、高度の表面硬度を
優先させる場合には、コーティング剤中に2官能アクリ
ル系モノマーを添加剤として混合しても良く、また、コ
ーティング剤中には、ウレタンアクリレートプレポリマ
ーやシリコンアクリレートのモノマーまたはプレポリマ
ー等を希釈,分散させるための他の有機溶剤を添加して
も良い。
【0032】なお、ウレタンアクリレートプレポリマー
の重量平均分子量が1000未満であったり、あるい
は、10000を超えるような場合には、厚さ15μ以
上のトップコート層を有する化粧シートで、しかも、歪
みやカール等の発生の無いものを得ることが容易でなく
なる。
【0033】トップコート層となる塗工層の硬化は、例
えば、超高圧水銀灯,高圧水銀灯,低圧水銀灯,カーボ
ンアーク,ブラックライトランプ,メタルハライドラン
プ等による光源の紫外線照射によるか、あるいは、コッ
クロフトワルトン型,ハンデグラフ型,共振変圧器型,
絶縁コア変圧器型,直線型,ダイナミトロン型,高周波
型等の各種の電子線加速器による100〜1000Ke
V、好ましくは、100〜300KeVのエネルギーの
電子線の照射によってなされる。
【0034】なお、トップコート層形成用のコーティン
グ剤が紫外線の照射によって硬化される場合には、該コ
ーティング剤中に、例えば、アセトフェノン類,ベンゾ
フェノン類,ミヒラーベンゾイルベンゾエート,α・ア
ミロキシムエステル,テトラメチルメウラムモノサルフ
ァイド,チオキサントン類等による光重合開始剤と、必
要に応じて添加される光増感剤、例えば、n−ブチルア
ミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルホスフィン
等による光増感剤とが混合されることは勿論である。
【0035】
【実施例】以下、本発明の厚塗り塗装感を有する化粧シ
ート及び該化粧シートの製造方法の具体的な構成を実施
例に基づいて説明する。
【0036】実施例1 [図1]において、セピア色に着色されている厚さ0.
1mmのポリ塩化ビニルシート2の表面に、塩化ビニル
樹脂をベヒクルとする3色のインキのグラビア印刷によ
って、オーク材の木目模様に類似する印刷層3,3・・・・
を形成した後、このポリ塩化ビニルシート2の印刷層
3,3・・・・面と、別製の厚さ0.1mmのクリアポリ塩化
ビニルシート4とを、温度・・・・150℃,線圧・・・・1
t,速度・・・・15m/min.によるダブリングエンボ
スによって積層すると同時に、クリアポリ塩化ビニルシ
ート4の表面に木目の導管に相当する凹部を賦形した。
なお、前記ダブリングエンボスには、オーク材の板の表
面から電鋳法によって導管模様を写し取った高さ70〜
80μの凸部を有する電鋳エンボス版を利用した。
【0037】次いで、エンボスによる凹部が表面に賦形
されている前記積層シートに対して、塩化ビニル樹脂を
ベヒクルとする黒色系統のワイピング用インキをロール
コート法によって塗工した後、ドクターブレードで凹部
以外の部分に付着しているワイピング用インキを除去
し、積層シートの表面に形成されている凹部内に着色イ
ンキを充填,固化させることにより、着色インキ層5,
5・・・・を形成し、さらに、先の積層シートのワイピング
処理面に対して、下記の組成(A)によるコーティング
剤を斜線版によるグラビアリバースコート法によって塗
工し、厚さ25μの塗工層を形成した。
【0038】 組成(A) (1) ウレタンアクリレートプレポリマー(重量平均分子量:4500)・・・・・・・・・・・・ 53.0重量部 (2) ジメチルポリシロキサンの分子鎖の一方の末端にラジカル重合可能な(メ タ)アクリロキシプロピル基を具備するシリコンアクリレートのモノマー(重量 平均分子量:200〜300)・・・・・・・・・・・・・・2.0重量部 (3) 2−エチルヘキシルアクリレート・・・・・・・・・・・・15.0重量部 (4) 1−ビニル−2−ピロリドン・・・・・・・・15.0重量部 (5) 光重合開始剤(2,2−ジエトキシアセトフェノン)・・・・・・1.0重量部 (6) 艶消し剤(シリカ)・・・・・・・・・・・・・・・・9.0重量部
【0039】しかる後に、80W/cmの4灯の高圧水
銀灯による紫外線の照射を、コンベア速度30m/mi
n.で行なうことにより、符号6で表示される厚さ20
μの電離放射線硬化型樹脂によるマット調のトップコー
ト層を有する本発明の目的製品である厚塗り塗装感を有
する化粧シート1を得た。
【0040】
【発明の作用,効果】本発明の厚塗り塗装感を有する化
粧シートは、化粧シート基材の表面層をなす熱可塑性樹
脂層の上に、厚さ15μ以上のトップコート層を有する
もので、前記トップコート層が、重量平均分子量100
0〜10000の重合性不飽和結合を有するウレタンア
クリレートプレポリマーとシリコンアクリレート以外の
単官能モノマーとが、60〜40重量%:40〜60重
量%の割合で混合されている混合物100重量部に、ジ
メチルポリシロキサンの分子鎖の少なくとも一方の末端
にラジカル重合可能な(メタ)アクリロキシプロピル基
を具備する重量平均分子量100〜10000のシリコ
ンアクリレートのモノマーまたはプレポリマー1〜5重
量部を添加したコーティング剤による塗工層の電離放射
線硬化層からなる。
【0041】したがって、前記硬化型樹脂によるトップ
コート層の形成に利用されるコーティング剤は、該コー
ティング剤中の樹脂の架橋反応点が従来の硬化型樹脂を
利用したコーティング剤によるものと比較して十分に抑
えられているために、該コーティング剤による電離放射
線硬化型樹脂のトップコート層は、その厚さが15μ以
上になっても、硬化工程中において塗工層の上層部と下
層部とでの硬化反応が不均一になるようなことがない。
このため、通常の場合の15μ以上の厚さのトップコー
ト層を有する化粧シートの場合に発生する歪みやカール
等の発生がなく、また、トップコート層と化粧シート基
材との間に優れた接着強度が得られ、しかも、トップコ
ート層に十分な可撓性が備えられることから、折り曲げ
加工適性に優れた文字通りの厚塗り塗装感を有する化粧
シートとなる。
【0042】また、本発明の厚塗り塗装感を有する化粧
シートにおいては、トップコート層形成用のコーティン
グ剤中に含有されているジメチルポリシロキサンの分子
鎖の少なくとも一方の末端にラジカル重合可能な(メ
タ)アクリロキシプロピル基を具備するシリコンアクリ
レートのモノマーまたはプレポリマーの作用により、ト
ップコート層に優れた耐ブロッキング性が具備される。
【0043】さらに、トップコート層形成用のコーティ
ング剤中に無機質微粉末及び/又は有機質微粉末からな
る艶消し剤が含有されている場合には、この艶消し剤の
作用により、艶消し調のトップコート層になる。また、
この艶消し調のトップコート層を有する化粧シートの場
合には、汚れや傷跡等が目立たない等の効果が得られ
る。
【0044】本発明の厚塗り塗装感を有する化粧シート
の製造方法によれば、前述の諸種の特性を具備する化粧
シートが的確に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の厚塗り塗装感を有する化粧シートの1
実施例品を模型的に示す切断端面図である。
【符号の説明】
1 厚塗り塗装感を有する化粧シート 2 第1の熱可塑性樹脂シート 3 第1の熱可塑性樹脂シートに付されている印刷層 4 化粧シート基材の表面層たる第2の熱可塑性樹脂シ
ート 5 ワイピング処理により凹部内に充填されている着色
インキ層 6 電離放射線硬化型樹脂によるトップコート層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂層からなる表面層を具備
    する化粧シート基材と、該化粧シート基材の表面層をな
    す熱可塑性樹脂層の上に形成されている厚さ15μ以上
    のトップコート層とを有する厚塗り塗装感を有する化粧
    シートにおいて、前記トップコート層が、重量平均分子
    量1000〜10000の重合性不飽和結合を有するウ
    レタンアクリレートプレポリマーとシリコンアクリレー
    ト以外の単官能モノマーとが、60〜40重量%:40
    〜60重量%の割合で混合されている混合物100重量
    部に、ジメチルポリシロキサンの分子鎖の少なくとも一
    方の末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロキシプ
    ロピル基を具備する重量平均分子量100〜10000
    のシリコンアクリレートのモノマーまたはプレポリマー
    1〜5重量部を添加したコーティング剤による塗工層の
    電離放射線硬化層からなることを特徴とする厚塗り塗装
    感を有する化粧シート。
  2. 【請求項2】 コーティング剤中に、無機質微粉末及
    び/又は有機質微粉末からなる艶消し剤が混合されてい
    る請求項1記載の厚塗り塗装感を有する化粧シート。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂層からなる表面層を具備
    する化粧シート基材が、化粧シート基材の表面層に凹部
    を有し、しかも、該凹部内に着色インキ層が充填されて
    いる請求項1または請求項2記載の厚塗り塗装感を有す
    る化粧シート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂層からなる表面層を具備
    する化粧シート基材の表面層の上に、重量平均分子量1
    000〜10000の重合性不飽和結合を有するウレタ
    ンアクリレートプレポリマーとシリコンアクリレート以
    外の単官能モノマーとが、60〜40重量%:40〜6
    0重量%の割合で混合されている混合物100重量部
    に、ジメチルポリシロキサンの分子鎖の少なくとも一方
    の末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロキシプロ
    ピル基を具備する重量平均分子量100〜10000の
    シリコンアクリレートのモノマーまたはプレポリマー1
    〜5重量部を添加したコーティング剤による塗工層を形
    成する工程と、該塗工層を電離放射線によって硬化させ
    ることにより、厚さ15μ以上のトップコート層を形成
    する工程とからなることを特徴とする厚塗り塗装感を有
    する化粧シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 無機質微粉末及び/又は有機質微粉末
    からなる艶消し剤が混合されているコーティング剤を利
    用する請求項4記載の厚塗り塗装感を有する化粧シート
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 表面に凹部が形成されている熱可塑性
    樹脂層からなる表面層を具備する化粧シート基材の表面
    にワイピング処理を施すことにより、化粧シート基材の
    表面層に形成されている凹部内に着色インキ層を充填す
    る工程と、該化粧シート基材の表面層の上に、重量平均
    分子量1000〜10000の重合性不飽和結合を有す
    るウレタンアクリレートプレポリマーとシリコンアクリ
    レート以外の単官能モノマーとが、60〜40重量%:
    40〜60重量%の割合で混合されている混合物100
    重量部に、ジメチルポリシロキサンの分子鎖の少なくと
    も一方の末端にラジカル重合可能な(メタ)アクリロキ
    シプロピル基を具備する重量平均分子量100〜100
    00のシリコンアクリレートのモノマーまたはプレポリ
    マー1〜5重量部を添加したコーティング剤を塗工する
    工程と、該コーティング剤を電離放射線によって硬化さ
    せることにより、厚さ15μ以上のトップコート層を形
    成する工程とからなることを特徴とする厚塗り塗装感を
    有する化粧シートの製造方法。
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