JPH05278099A - 黒色系ポリエステル中空成形体、ならびに、黒色系ポリエステル中空成形体用マスターバッチおよび着色ペレット - Google Patents

黒色系ポリエステル中空成形体、ならびに、黒色系ポリエステル中空成形体用マスターバッチおよび着色ペレット

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JPH05278099A
JPH05278099A JP7802192A JP7802192A JPH05278099A JP H05278099 A JPH05278099 A JP H05278099A JP 7802192 A JP7802192 A JP 7802192A JP 7802192 A JP7802192 A JP 7802192A JP H05278099 A JPH05278099 A JP H05278099A
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Naohiko Mushiaki
尚彦 虫明
Noriyasu Tamura
典靖 田村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 黒色ないし黒色をベースとするグークグリー
ン色等の色調を有し、かつ、艶のあるポリエステル中空
成形体を顔料無添加の透明無着色ポリエステル中空成形
体と同じかまたはほぼ同程度のライン速度(または生産
性)で確実に得る。 【構成】 揮発分(VM)とBET法で測定された比表
面積(SN2 )との比が、次式(1)で表される関係を
満足するようなカーボンブラックを用いて熱可塑性ポリ
エステル樹脂を黒色系に着色する。 VM/SN2 ≧0.09 …(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カーボンブラックに
より黒色系に着色されており、光沢を有するポリエステ
ル中空成形体、ならびに、該中空成形体を製造するのに
用いるマスターバッチおよび着色ペレットに関する。
【0002】
【従来の技術】繰り返し単位の主体がエチレンテレフタ
レートで構成されている熱可塑性ポリエステル樹脂によ
る二軸延伸ブロー成形体は、機械的性質が優れているこ
と、水分やガスの遮断性が良いこと、耐薬品性、保香性
および衛生性に優れていること、更には、透明性および
表面光沢性が高いことなどの諸物性を具備していること
により、液体調味料、清涼飲料、アルコール飲料等の食
品、医薬品、化粧品等の各種包装容器として、近年広範
囲の分野において利用されている。
【0003】これらポリエステル中空成形体は、ポリエ
チレンテレフタレートの中空予備成形体、すなわちパリ
ソンを二軸延伸ブロー成形することにより作られてい
る。通常、パリソンは予め大量生産されて保管されてお
り、各種包装容器の需要動向に合わせて二軸延伸ブロー
成形体が作られている。このため、季節などによっては
中空成形体の製造ラインの速度を上げ下げしている。
【0004】ポリエステル中空成形体は、通常、無着色
透明な状態で商品化されているが、食品、医薬品、化粧
品等の用途によっては遮光性や装飾性(意匠性)などの
性能を付与するため、顔料や染料により着色されること
が多くなっている。特に、黒色系に着色するためには、
配合量が少なくて着色効果があり、かつ、内容物への溶
出がなく、紫外線吸収性能が良いという点で顔料を採用
する必要があり、カーボンブラックの採用が検討され
た。
【0005】上記ポリエチレンテレフタレートは本来結
晶化する性質があり、その中にカーボンブラックのよう
な結晶核となる物質を添加すると、成形条件によっては
結晶化が起きて白化し艶のない成形体が生成したりブロ
ー成形不可能な状態になったりする。そこで、カーボン
ブラックで着色されたポリエチレンテレフタレートを用
いて光沢のある中空成形体を成形するためには、注意深
く成形条件を選ばなければならない。たとえば、溶融樹
脂の冷却固化に用いる金型温度をできるだけ下げて急冷
したり、パリソンを再加熱してブローする時に充分な時
間で加熱したりする等により結晶化を防いでいる。ある
いは、特公昭63−26139号公報にみられる茶瓶色
や特公平3−76652号公報にみられる白色瓶等によ
れば、いずれも着色剤として使用している顔料がポリエ
チレンテレフタレートの結晶化速度を促進する核剤とし
て作用するため種々の工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】清涼飲料やアルコール
飲料等の大量生産飲料の容器に用いるポリエステル中空
成形体は、短時間で成形され、整然とした形状および容
量を持っていて、光沢を有することが要求される。カー
ボンブラックにより着色されたポリエステル中空成形体
を作る二軸延伸ブロー成形を着色剤等が無添加の透明無
着色ポリエステル中空成形体と同じかまたはほぼ同程度
の速度で行うと、カーボンブラックを含んでいるポリエ
ステル樹脂に白化が起こり光沢のない成形体が生成す
る。
【0007】ブロー成形の時間を大幅に延長すれば光沢
を有する成形体を得ることができる。しかし、大量生産
飲料の容器にはコストの低減のため高生産性が要求され
ているため、均一な形状のポリエステル中空成形体を工
業的規模により大量生産するためには、成形サイクルの
遅延は許されず、むしろ短縮することが要求されてい
る。
【0008】顔料無添加の透明無着色ポリエステル中空
成形体と同じかまたはほぼ同程度に成形サイクルを速め
ると、カーボンブラックで着色されたポリエステル中空
成形体は、成形条件の変更では白化防止や光沢の保持が
困難で実用化できない場合が度々生じていた。この発明
は、黒色ないし黒色をベースとするグークグリーン色な
どの黒色系色調を有し、かつ、艶のあるポリエステル中
空成形体を提供することを課題とする。この発明は、ま
た、そのような黒色系ポリエステル中空成形体を製造す
るのに用いるマスターバッチと着色ペレットを提供する
ことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、黒色系に着
色された熱可塑性ポリエステル中空成形体を得るため
に、黒色顔料の代表である数多くのカーボンブラックに
ついて鋭意研究を重ねた結果、後述する特定の物理化学
特性を有するカーボンブラックを使用することにより前
記目的に適合した黒色系ポリエステル中空成形体が得ら
れることを見出し、この発明を完成した。
【0010】この発明は、カーボンブラックにより黒色
系に着色されている、繰り返し単位の主体がエチレンテ
レフタレートで構成されているポリエチレンテレフタレ
ートである熱可塑性ポリエステル樹脂からなり、前記カ
ーボンブラックの揮発分(VM)とBET法で測定され
た比表面積(SN2 )との比が、次式(1)で表される
関係を満足する黒色系ポリエステル中空成形体を提供す
る。
【0011】 VM/SN2 ≧0.09 …(1) この発明は、上記この発明の黒色系ポリエステル中空成
形体を製造するためのマスターバッチであって、高濃度
に含有されているカーボンブラックにより黒色系に着色
されている、繰り返し単位の主体がエチレンテレフタレ
ートで構成されているポリエチレンテレフタレートであ
る熱可塑性ポリエステル樹脂からなり、前記カーボンブ
ラックの揮発分(VM)とBET法で測定された比表面
積(SN 2 )との比が、上式(1)で表される関係を満
足する黒色系ポリエステル中空成形体用マスターバッチ
を提供する。
【0012】この発明は、また、上記この発明の黒色系
ポリエステル中空成形体を製造するための着色ペレット
であって、カーボンブラックにより黒色系に着色されて
いる、繰り返し単位の主体がエチレンテレフタレートで
構成されているポリエチレンテレフタレートである熱可
塑性ポリエステル樹脂からなり、前記カーボンブラック
の揮発分(VM)とBET法で測定された比表面積(S
2 )との比が、上式(1)で表される関係を満足する
黒色系ポリエステル中空成形体用着色ペレットを提供す
る。
【0013】この発明で黒色系に着色するために用いる
カーボンブラックは、その揮発分と比表面積との比(V
M/SN2 )が0.09以上でなければならず、0.1
以上であることが好ましい。上記比VM/SN2 が0.
09未満だと、艶のない中空成形体が生成したり、ブロ
ー金型のキャビティーどおりの賦形ができなかったりす
る。カーボンブラックは、上式(1)の関係を満足する
ものであれば、製造方法には制限はない。
【0014】カーボンブラックの揮発分は、カーボンブ
ラック粒子表面の官能基の量の指標であり、製造炉内で
粒子生成直後の酸化性雰囲気あるいは二次的な空気酸化
などによってカーボンブラック粒子表面に形成された官
能基、主としてカルボキシル基およびヒドロキノン基な
どである。カーボンブラックの比表面積は、BET法で
測定された数値である。BET法は、カーボンブラック
表面に物理吸着した窒素ガスの分子が多分子層吸着を起
こしていると仮定して、吸着ガスと蒸気圧と吸着量の関
係をBETの式に基づいて単分子層吸着容量を求め、次
式(2)によって比表面積を計算するものである。な
お、Vmは、窒素ガスの相対圧力(P/P0 :Pは窒素
ガスの平衡圧、P0 は飽和蒸気圧である)を0.05〜
0.35の間の1点において測定した単分子層吸着容量
である。
【0015】 〔式中、Vm:単分子層吸着容量(単位:cm3 ) 4.35:窒素分子の断面積(Å2 /個) 6×1023:アボガドロ数(個/モル) 22414:標準状態における窒素ガス1モルの体積
(単位:cm3 )である。〕なお、この明細書で「カーボ
ンブラックにより黒色系に着色されている」とは、「カ
ーボンブラックにより黒色ないしは黒色をベースとする
有彩色味を帯びた暗色に着色されている」ことを意味す
る。この発明の中空成形体では、上記特定のカーボンブ
ラックは、黒色系に着色するために、通常、熱可塑性ポ
リエステル樹脂100重量部(以下、「重量部」を単に
「部」と言う。)に対して、0.2〜0.001部の割
合で配合される。カーボンブラックの割合がこの範囲を
上回ると隠蔽性のため内容物が見えなくなり結晶化が進
むおそれがあり、下回ると黒色ないしは黒色をベースと
する有彩色味を帯びた暗色に着色されない。
【0016】この発明に用いられる熱可塑性ポリエステ
ル樹脂は、繰り返し単位の主体がエチレンテレフタレー
トで構成されているポリエチレンテレフタレートであ
り、通常、酸成分の80モル%以上、好ましくは90モ
ル%以上がテレフタル酸で、グリコール成分の80モル
%以上、好ましくは90モル%以上がエチレングリコー
ルで、残部の他の酸成分としては、イソフタル酸、ジフ
ェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレン
1,4−または2,6−ジカルボン酸、デカン1,10
−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘキサヒド
ロフタル酸等が、また残部の他のグリコール成分として
は、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,
6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシジフェニル)プ
ロパン等が使用されているエチレンテレフタレート樹
脂、共重合成分としてp−オキシ安息香酸やp−オキシ
エトキシ安息香酸等が共重合されているエチレンテレフ
タレート樹脂、あるいは、ポリエチレンテレフタレート
と共重合ポリエステルとのブレンド樹脂でエチレンテレ
フタレートの繰り返し単位が80モル%以上を占めるよ
うな樹脂等が使用される。
【0017】この発明では、黒色顔料である上記特定の
カーボンブラック以外に、黒色をベースとする有彩色味
を帯びた暗色に着色するための顔料を配合することがで
きる。このような顔料は、たとえば、フタロシアニン・
ブルー、アンスラキノン・イエロー、キナクリドン・レ
ッド、酸化チタン、酸化鉄、群青等であり、上記特定の
カーボンブラック100部に対して500〜10部の割
合で配合されうる。この範囲を下回ると添加効果がない
おそれがあり、この範囲を上回ると折角上記特定のカー
ボンブラックを選んで結晶化への影響を抑えたのにこれ
ら顔料の影響で結晶化が進み、光沢の有る賦形性の良い
中空成形体が得られないおそれがある。
【0018】また、この発明の中空成形体の原料中に、
熱可塑性ポリエステル樹脂製中空成形体に通常使用され
る成分、たとえば、酸化防止剤、分散剤(ポリエステル
の結晶化速度をほとんど変えずに顔料の分散性を向上さ
せるという点からは、ステアリン酸マグネシウムおよび
アルキレンビス脂肪酸アミドから選ばれる少なくとも1
種が好ましい。)、紫外線吸収剤、滑剤等を適宜配合す
ることはもちろん可能である。この発明では、溶出のお
それがある染料は使用しないのが好ましいが、油溶性染
料は配合量に注意すれば結晶化が進みにくいので使用で
きる。キノフタロン系イエロー、ペリノン系レッド、ア
ンスラキノン系ブルーなどの油溶性染料を通常、熱可塑
性ポリエステル樹脂100部に対して0.2部以下の割
合で配合される。0.2部を上回ると中空成形体の内容
物へ溶出する場合がある。
【0019】この発明の中空成形体は、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂を利用して成形されている二軸延伸ブロー成
形体であり、最も一般的には、射出成形または押出成形
によって予め作られた、開口部を有する有底または無底
の円筒体からなる中空予備成形体(以下、「パリソン」
と言う。)を、延伸適温に調温し、延伸ブロー成形用金
型内で延伸ロッドによる軸方向の延伸と圧縮気体による
円周方向の延伸とを同時または逐次行うことからなる成
形方法(いわゆるコールドパリソン法)で得られる。
【0020】この発明の中空成形体を作るためのパリソ
ンは、一般に、マスターバッチまたは着色ペレットから
作られるが、他の方法により作られてもよい。マスター
バッチは、上記特定のカーボンブラックおよびその他必
要に応じて配合される成分を熱可塑性ポリエステル樹脂
の一部と混合し、溶融混練して得られ、カーボンブラッ
クなどを高濃度で含有するものである。マスターバッチ
を熱可塑性ポリエステル樹脂で所望濃度まで混合希釈
し、中空成形機で成形してパリソンが作られる。着色ペ
レットは、熱可塑性ポリエステル樹脂、上記特定のカー
ボンブラック、その他必要に応じて配合される成分を上
記中空成形体と同じ割合で通常の混合機で混合した後、
溶融混練し、成形して作られる。該着色ペレットを射出
成形または押出成形することによってパリソンが作られ
る。
【0021】この発明の中空成形体を作るのに用いるマ
スターバッチは、通常、これに配合されている熱可塑性
ポリエステル樹脂と同じもので所望の濃度、たとえば、
上記特定のカーボンブラックが上記中空成形体における
含有量となる濃度に希釈される。この希釈倍率は、適宜
設定することができる。
【0022】
【作用】熱可塑性ポリエステル樹脂が揮発分(VM)
の、BET法で測定された比表面積(SN2 )に対する
比が0.09以上であるカーボンブラックにより黒色系
に着色されていると、顔料無添加の透明無着色ポリエス
テル中空成形体と同じかまたはほぼ同程度に成形ライン
の速度(または生産性)を上げても結晶化しにくくな
り、白化を起こさず、賦形性の良い二軸延伸ブロー成形
体を確実に形成する。
【0023】
【実施例】上記のような特定の物理化学特性を有するカ
ーボンブラックのみが工業的規模により成形困難性に伴
う形状不良品を産出するようなことがなく、円滑に成形
しうるという特質を持ち合わせていることを確認するた
め、二軸延伸ブロー成形工程での結晶化温度に与える影
響を実施例および比較例で表示する。ただし、この発明
は下記実施例に限定されない。
【0024】(実施例1)150℃で4時間真空乾燥し
た、固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレート1
00部、上記式(1)で示される値が0.14のカーボ
ンブラック0.05部およびエチレンビスステアリン酸
アマイド0.05部をヘンシェルミキサーを用いて常温
で1分間混合後、直径40mmの単軸押出機で樹脂温度2
80℃になるように設定して溶融混練した後、着色ペレ
ットを製造した。
【0025】この着色ペレットを用いて除湿装置付熱風
乾燥機にて150℃で6時間攪拌乾燥後、射出成形機を
使用し、平均肉厚3.5mm、重量35gの有底円筒状の
パリソンを成形した。このパリソンは、ポリエチレンテ
レフタレートの結晶化に基づく白化は認められず、光沢
のある黒色を呈していた。
【0026】二軸延伸ブロー成形機(コーポプラスト
(Corpoplast)社(ドイツ)製)を用いて該パリソンを
延伸温度90〜120℃に加熱した後、金型内で二軸延
伸ブロー成形し、胴部平均肉厚0.35mm、容量1リッ
トルの二軸延伸ブローボトル(中空成形体)を得た。得
られた中空成形体は、均一に黒色に着色され、表面光沢
に優れた外観を有していた。
【0027】(実施例2)カーボンブラックを式(1)
で示される値が0.09であるものに変えたこと以外は
実施例1と同様にして、着色ペレット、パリソンおよび
中空成形体を作った。 (実施例3)カーボンブラックを式(1)で示される値
が0.12であるものに変えたこと以外は実施例1と同
様にして、着色ペレット、パリソンおよび中空成形体を
作った。
【0028】(実施例4)除湿装置付熱風乾燥機にて1
60℃で5時間乾燥した、固有粘度0.85のポリエチ
レンテレフタレート100部、上記式(1)で示される
値が0.11のカーボンブラック0.2部、アンスラキ
ノン系黄色有機顔料(ピグメント・イエロー(pigment
yellow)147)0.5部およびステアリン酸マグネシ
ウム0.3部をヘンシェルミキサーで2分間混合した
後、90mm径スクリューの押出機にて樹脂温度が285
℃になるよう設定し、溶融混練後、マスターバッチを製
造した。
【0029】次に、このマスターバッチ10部と実施例
1で用いた固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレ
ート90部とをタンブラーで10分間混合し、除湿装置
付熱風乾燥機にて160℃で5時間乾燥した後、実施例
1と同様にしてパリソンを成形した。該パリソンは、ポ
リエチレンテレフタレートの結晶化に基づく白化は認め
られず、光沢のある黒色を呈していた。
【0030】続いて、該パリソンも実施例1と同様にし
て二軸延伸ブロー中空成形体を得た。得られた中空成形
体は、均一にダークグリーン色に着色され、表面光沢に
優れた外観を有していた。 (比較例1)実施例1のように着色ペレット化したり、
実施例4のようなマスターバッチを作製せず、カーボン
ブラックや分散剤を全く添加しないで、実施例1と同様
にしてパリソンを成形し、続いて二軸延伸ブロー成形を
行い、無色透明な中空成形体を得た。
【0031】(比較例2〜5)上式(1)で表される特
性値が、0.068(比較例2)、0.026(比較例
3)、0.012(比較例4)、0.006(比較例
5)であるカーボンブラックを用いたこと以外は、実施
例1と全く同様にして、パリソンを成形し、該パリソン
を用いて二軸延伸ブロー成形を行った。
【0032】比較例2では、パリソンの外観は実施例1
と同様に光沢のある黒色を呈していたが、続いて該パリ
ソンを二軸延伸ブロー成形して得た中空成形体は全体的
に艶消したごとく全く光沢のないものであった。比較例
3〜5は、パリソンがやや白みを帯び、結晶化が進んで
いると考えられ、実施例1の条件では二軸延伸ブロー工
程でブロー金型のキャビティー通りの成形が出来なかっ
た。
【0033】実施例および比較例で使用したカーボンブ
ラックの揮発分および比表面積、VM/SN2 、パリソ
ンの結晶化温度、中空成形体の外観を表1に示した。カ
ーボンブラックの揮発分は、予め950±10℃に保持
された揮発分測定用電気炉(JIS−M−8812の4
に準ずる)で3〜5分間空焼きした内容積10mlの落と
し蓋付き白金ルツボに105±1℃で1時間乾燥した試
料を層の高さが蓋の線から約2mmの高さになる位置まで
入れ、正確に秤量した。前記電気炉で7分間加熱し、デ
シケーター内で室温まで冷却したのち秤量し、減量を試
料に対する百分率で表示した。
【0034】カーボンブラックの比表面積は、ASTM
−D3037−D法に従って求めた窒素吸着比表面積で
ある。105±1℃で1時間乾燥した試料を秤量してガ
ラス製サンプル管に投入した後、サンプル管を10-2To
rrまで減圧にした。このサンプル管をソープトマチック
に取り付けた。サンプル管を液体窒素につけた後、コッ
クを開き、ピストンで一定容量の窒素ガスを導入した。
吸着平衡になるまで待った後、その吸着平衡圧を読む。
この動作を平衡圧が0.35になるまで繰り返した。こ
の平衡圧から吸着量を求めてBET式に代入して、カー
ボンブラック表面に吸着された第1層目の窒素の容積
(Vm)を求め、上式(2)のとおり、窒素分子の断面
積4.35Å2 をかけることで窒素吸着比表面積を求め
た。
【0035】パリソンの結晶化温度は、パリソンから切
り出した試料片を用いてセイコー電子社製DSC220
型で測定した、昇温結晶化温度Tc1 と降温結晶化温度
Tc 2 を示した。測定条件はN2 雰囲気中で常温から2
90℃まで昇温速度20℃/分で昇温させ、290℃で
3分間保持後、常温まで降温速度10℃/分で降温させ
た。昇温結晶化温度Tc1 は顔料無添加の透明無着色ポ
リエステル中空成形体のパリソンの値が一番高く、降温
結晶化温度Tc2 は顔料無添加の透明無着色ポリエステ
ル中空成形体のパリソンの値が一番低い。顔料添加の着
色ポリエステル中空成形体は、そのパリソンの結晶化温
度Tc1 とTc2 の値が該透明無着色ポリエステル中空
成形体のパリソンの値に近いほど該透明無着色ポリエス
テル中空成形体の成形ラインの速度(または生産性)と
同じかまたはほぼ同じ速度の成形ラインで白化を起こさ
ずに作ることができる。その目安は、顔料無添加の透明
無着色の場合の値に対して、Tc1 が96%以上、Tc
2 が102%以下である。
【0036】中空成形体の外観は、中空成形体を肉眼観
察して、ブロー成形金型のキャビティーどおりに成形で
きている場合を賦形整然、キャビティーどおりに成形で
きていない場合を賦形不良と評価するとともに、中空成
形体が全体的に光沢を持っている場合を光沢良好、部分
的にまたは全体的に光沢がない場合を光沢不良と評価し
た。
【0037】ちなみに、光沢良好の実施例1〜3の黒色
中空成形体と光沢不良の比較例2の黒色中空成形体を村
上色彩技術研究所製グロスメーター(60度)GMX−
202型で60度鏡面光沢を測定したところ、実施例1
〜3の黒色中空成形体では88〜99%、比較例2のも
のでは55〜70%であった。
【0038】
【表1】
【0039】表1にみるように、上記特定の物性値を持
つカーボンブラックを使用すれば降温結晶化温度Tc2
を上げずに即ちパリソン(プリフォーム)の白化を防止
し、昇温結晶化温度Tc1 を下げずに即ちパリソン(プ
リフォーム)の再加熱を容易にし、黒色系ポリエステル
中空成形体が無着色なみの生産性で得られることがわか
る。比較例2〜5で作ったパリソンのTc1 およびTc
2 はいずれも、上記の比率を外れており、実施例のもの
に比べ、大幅に結晶化が進んでいた。
【0040】
【発明の効果】この発明によれば、顔料無添加の透明無
着色ポリエステル中空成形体と同じかまたはほぼ同程度
のライン速度(または生産性)で、白化を起こさず、賦
形性が良く、黒色系に着色された艶のあるポリエステル
中空成形体が確実に得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンブラックにより黒色系に着色さ
    れている、繰り返し単位の主体がエチレンテレフタレー
    トで構成されているポリエチレンテレフタレートである
    熱可塑性ポリエステル樹脂からなる中空予備成形体から
    の二軸延伸ブロー成形体であり、前記カーボンブラック
    の揮発分(VM)とBET法で測定された比表面積(S
    2 )との比が、次式(1)で表される関係を満足する
    黒色系ポリエステル中空成形体。 VM/SN2 ≧0.09 …(1)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の黒色系ポリエステル中空
    成形体を製造するためのマスターバッチであって、高濃
    度に含有されているカーボンブラックにより黒色系に着
    色されている、繰り返し単位の主体がエチレンテレフタ
    レートで構成されているポリエチレンテレフタレートで
    ある熱可塑性ポリエステル樹脂からなり、前記カーボン
    ブラックの揮発分(VM)とBET法で測定された比表
    面積(SN2 )との比が、次式(1)で表される関係を
    満足する黒色系ポリエステル中空成形体用マスターバッ
    チ。 VM/SN2 ≧0.09 …(1)
  3. 【請求項3】 請求項1記載の黒色系ポリエステル中空
    成形体を製造するための着色ペレットであって、カーボ
    ンブラックにより黒色系に着色されている、繰り返し単
    位の主体がエチレンテレフタレートで構成されているポ
    リエチレンテレフタレートである熱可塑性ポリエステル
    樹脂からなり、前記カーボンブラックの揮発分(VM)
    とBET法で測定された比表面積(SN2 )との比が、
    次式(1)で表される関係を満足する黒色系ポリエステ
    ル中空成形体用着色ペレット。 VM/SN2 ≧0.09 …(1)
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