JPH05272457A - マイクロポンプおよびその製造方法 - Google Patents

マイクロポンプおよびその製造方法

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JPH05272457A
JPH05272457A JP5012925A JP1292593A JPH05272457A JP H05272457 A JPH05272457 A JP H05272457A JP 5012925 A JP5012925 A JP 5012925A JP 1292593 A JP1292593 A JP 1292593A JP H05272457 A JPH05272457 A JP H05272457A
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JP
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piston
substrate
electrode
cylinder
movable electrode
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Application number
JP5012925A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Komatsu
清 小松
Takeshi Kudo
剛 工藤
Takamoto Kitamura
隆始 北村
Akira Tsukamoto
亮 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04BPOSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS
    • F04B19/00Machines or pumps having pertinent characteristics not provided for in, or of interest apart from, groups F04B1/00 - F04B17/00
    • F04B19/006Micropumps

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マイクロマシンの作業および流体駆動源とし
て用いることのできる断面積が5mm以下の極小さな
マイクロポンプおよびその製造方法と提供することであ
る。 【構成】 櫛歯状固定電極,流体室、該流体室内に形成
されたピストン、該ピストンと一体に形成された櫛歯状
可動電極、該ピストンと該ピストンと該櫛歯状可動電極
に接地電位を与える導電性フィルムおよび逆流防止弁よ
りなり、駆動源が一体化していることを特徴とするマイ
クロポンプおよびその製造方法により上記諸目的は達成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロポンプおよび
その製造方法に関する。詳しく述べると、マイクロマシ
ンの作業モジュール本体や、モジュールの機能として持
ち合わせる種々のアクチュエータ、センサ等の機械的運
動を可能にするための駆動源となるマイクロポンプある
いは、微少量の流体の制御をするマイクロポンプおよび
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医用やその他の産業分野等で用い
るマイクロマシンの研究開発が盛んに行われている。マ
イクロマシンは、機能的には、作業モジュール本体およ
びそれに付属している物を挟んだり持ち上げたり、ま
た、各種のセンサー等を取り付け移動する等、通常、産
業分野で用いられている色々な機能を持つ機器類と同じ
であるが、その大きさは、全体で0.1〜10mm程度
と極小さいものであり、現状の各種機器等を単に小さく
しただけでは成り立たないものである。
【0003】この様なマイクロマシンが実用的に働くた
めには、信頼性の高い駆動源が不可欠であり、多くの方
式の提案がなされている。これらは、マイクロマシンの
作業モジュール本体や、モジュールの機能として持ち合
わせる種々のアクチュエータ、センサ等の機械的運動を
可能にするもので、また、作業内容によっては作業箇所
にガスや水、薬液等を送流しなければならないし、作業
環境で本体もしくは作業ユニットをしっかりと固定する
ことも考えなければならない。
【0004】この駆動源を考える際に、広く産業分野に
視点を向けると、ジャッキやリフト等流体を用いたもの
が非常に多い。これは、比較的簡単な構造で、大きな力
を得ることが可能で、耐久性、信頼性等も高いからであ
る。特に速さはさほど求められないが、確実で大きな駆
動力を必要とする場合には、流体の圧力を利用した方法
が有効である。このように流体の利用をマイクロマシン
の駆動源として考えた場合、流体を吐出させたり、吸引
したりするポンプが必要となる。
【0005】従来、マイクロポンプとしてその動作が確
認されているものとしては、「集積化化学分析システム
用マイクロポンプの試作」(電子情報通信学会論文誌
CVol.J17-C No.12 pp.1705 〜1711 1982 年12月)に開
示されているものがある。このマイクロポンプ101
は、半導体素子の製造に用いられている微細加工技術に
より製造され、その構造は、図11に示すように、二つ
の逆流防止弁102aおよび102bを形成したシリコ
ン基板103aと、圧力室104、可動ダイヤフラム1
05およびメサ106を形成したシリコン基板103b
を張合わせたポンプ本体と、このポンプ本体のメサ10
6上に固定された積層型ピエゾアクチュエータ107
(2mm×3mm×9mm)からなり、該アクチュエー
タ107に電圧信号108を印加し、発生する力でメサ
106を押し、ダイヤフラム105を変形させる。この
時、逆流防止弁102aは閉じ、102bが開いて、イ
ンレット109より流体が流入し、アウトレット110
より吐出することにより送液を行うものである。
【0006】上述の従来のマイクロポンプの動作原理
は、一般産業用のポンプの一種である容積変化型のダイ
ヤフラムポンプであり、その大きさが10mm×10m
m×8mm程度のもので、マイクロマシンに適応する大
きさとして求められている断面積が1〜5mm、全体
として1mm×2mm×4mm程度のものが実現してい
るとはいい難い。
【0007】これは、一般産業用のポンプの動作原理を
そのままマイクロポンプに適応した場合に、機構部の微
小化に伴って相対的に大きくなる流体の粘性抵抗、摺動
部の摩擦抵抗の増大等の問題が生ずるため、また、十分
に小型でかつダイアフラムの駆動(変形)に必要な力を
発生する適当な駆動源がないためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、マイクロマシンの作業および流体駆動源として用い
ることのできる全体として1mm×2mm×4mm程度
の極小さなマイクロポンプおよびその製造方法を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、固定電極
となるシリンダ、該シリンダ内に形成された可動電極と
なるピストン、該ピストンを支持する導電性サポートお
よび逆流防止弁よりなり、駆動源が一体化していること
を特徴とするマイクロポンプにより達成される。
【0010】また、上記諸目的は、流体を押圧するピス
トン、該ピストンと一体形成された可動電極、該ピスト
ンを収めるシリンダ、該ピストン並びに該可動電極を接
地する導電性フィルムおよび逆流防止弁からなり、駆動
源が一体化しかつピストンの両端面で流体を押圧するこ
とを特徴とするマイクロポンプにより達成される。
【0011】さらに、上記諸目的は、基板中に固定電極
となるシリンダ、該シリンダ内に可動電極となるピスト
ンおよび該ピストンを支持する導電性サポートを形成す
る工程と、他の基板に逆流防止弁を形成する工程と、前
記固定電極となるシリンダ、該シリンダ内に可動電極と
なるピストンおよび該ピストンを支持する導電性サポー
トを形成した基板と逆流防止弁を形成した基板を積層す
る工程よりなることを特徴とするマイクロポンプの製造
方法により達成される。
【0012】また、上記諸目的は、基板中に流体を押圧
するピストン、該ピストンと一体形成された可動電極、
該ピストンを収めるシリンダおよび該ピストンを接地す
る導電性フィルムを形成する工程と、他の基板に逆流防
止弁を形成する工程と、前記ピストン、可動電極、シリ
ンダおよび前記導電性フィルムを形成した基板と逆流防
止弁を形成した基板を積層する工程からなることを特徴
とする前記項に記載のマイクロポンプの製造方法により
達成される。
【0013】また、本発明で用いられる基板は、例えば
ガラス基板や半導体基板、好ましくはシリコン基板であ
る。
【0014】
【作用】本発明のマイクロポンプは、基本的には、リニ
アアクチュエータを用いた容量変化型ポンプであり、往
復運動するピストンがシリンダ内の容積を変えて送流を
行い、逆流防止弁が流体の流れ方向を制限し、一定方向
への吸引と吐出を行うものである。
【0015】通常、この種のポンプでは、シリンダ部
と、動力源に連結してシリンダ内を運動させ圧縮比を得
るピストンよりなるが、本発明においては、このピスト
ンを可動電極とし、シリンダを固定電極とすることによ
り、この可動電極および固定電極に交流を印加すること
により静電引力によって可動電極であるピストンを動か
すものである。
【0016】これによって、本発明のマイクロポンプ
は、ポンプの駆動源とポンプ本体とが一体化しているた
め、ポンプ本体の駆動源を別に必要とすることなく、極
小さなポンプを得ることが可能となり、また、ポンプ自
身が駆動源を兼ねてポンプのピストンを直接動かすこと
で、駆動力の伝達損失を抑えることができ、より小さな
駆動力により動作させることが可能となる。
【0017】つぎに、本発明のマイクロポンプの構成な
らびに動作原理について説明する。
【0018】本発明のマイクロポンプは、図1および図
2に示すように、半導体基板1および2、半導体基板2
に形成された逆流防止弁3aおよび3b、ピストン電極
4、ピストン電極4を支持しかつ電力を供給する導電性
サポート5よりなり、半導体基板1にはシリンダ固定電
極となる拡散層領域6が形成されている。
【0019】図3および図4に示すマイクロポンプの実
施例では、図4に示すようにシリコン基板12の一部、
すなわち、ピストン14と一体になった可動電極19お
よび固定電極16を覆う部分を30〜80μm、例えば
約50μmの深さで凹形に形成することで、ピストンの
移動により空間17,18内が陰圧あるいは陽圧になる
ことを防止している。
【0020】また、可動電極19の櫛歯の数は11本
(図3では作図の簡単のため4本のみ描いてある)設け
た。可動電極19と固定電極16の間隔20は0.2〜
2μm、例えば約1μmで形成し、外部から導電性サポ
ート15につながる拡散端子21と固定電極16の間に
ピーク電圧100Vの方形波電圧を印加してマイクロポ
ンプを駆動した。
【0021】導電性サポート15は図3に示すように、
ピストン14の移動により1〜10μm、例えば約5μ
mたわんだときに静電引力と釣り合う大きさの弾性力が
得られるよう、長さ720〜900μm、例えば約85
0μm、高さ30〜80μm、例えば約50μm、厚さ
7〜20μm、例えば約10μmで形成してある。本実
施例ではピストン14と可動電極19をつなぐ部分の幅
を細くし、導電性サポート15の十分な長さを確保でき
るようにした。
【0022】また、本実施例のマイクロポンプでは、逆
流防止弁13a,13bの順方向コンダクタンスに比べ
てピストン14とシリンダ22との間のコンダクタンス
を十分小さくするため、シール部の長さKをピストンの
ストロークよりも大きくしてある。このコンダクタンス
の違いにより、ピストンの移動で流体室23の容積が変
化すると逆流防止弁13a,13bから流体を吐出ある
いは吸引することができる。
【0023】本実施例のマイクロポンプの大きさは、1
×2×2mmであり、完成したマイクロポンプの吐出
圧力は4gf/cm、流量は0.1μリットル/mi
nである。
【0024】また、図5および図6は本発明のマイクロ
ポンプのさらに他の実施態様を示すもので、半導体基板
31および32、半導体基板32に形成された逆止弁3
3a,33b,33cおよび33d,ピストン34,ピ
ストン34に電圧を印加する導電性フィルム35よりな
り、半導体基板31には櫛歯状の固定電極となる拡散層
領域36aおよび拡散層領域36bが形成されている。
なお、可動電極39a,39bとピストン34は一体に
形成されており、可動電極39a,39bは固定電極と
相嵌するように櫛歯状に形成されている。
【0025】また、図5および図6に示すマイクロポン
プは、ピストン34が前進および後退のどちらの動作の
時にも送液される構造になっている。ここで、導電性フ
ィルム35、ピストン34および可動電極39a,39
bは常に接地電位である。可動電極39bと拡散層領域
36bとの間に電圧が印加されている時は拡散層領域3
6aは接地電位にあり、可動電極39bと拡散層領域3
6bとの間に生じる静電引力によって可動電極と一体に
形成されたピストン34が拡散層領域36b側に引き付
けられる。このとき、吸引側逆止弁33bより流体が作
動室38aに流入する一方、流体室38bから吐出側逆
止弁33cを通って吐出される。次の期間に拡散層領域
36aと可動電極39aとの間に電圧が印加され、拡散
層領域36bは接地される。このとき可動電極39aは
拡散層領域36aの側に引き寄せられる。このため、作
動室38a内の流体が吐出側逆止弁33aから吐出さ
れ、作動室38bには吸引側逆止弁33dを通して流体
が流れ込む。この動作を繰り返すことによって、ポンプ
として働くものである。なお、この構造のポンプは図1
および図2に示すポンプと異なり、ピストンの駆動に導
電性サポートの弾性力は用いていない。このため、導電
性フィルムはピストンの動きを妨げないよう十分柔軟に
作製されている。
【0026】このような構造にすることにより、ピスト
ンが前進および後退どちらの動作にあるときも送流作用
が働くため、図1および図2のマイクロポンプに比べて
脈流を小さくする効果がある。
【0027】また、図5および図6に示すマイクロポン
プにおいても、静電引力を効率よく発生させるため、可
動電極39a,39bは拡散層領域36a,36bと組
手状に相嵌させ、さらに組手の長さLはピストンのスト
ロークよりも長い方がより好ましい。
【0028】ここで、ピストン電極9,19,39の櫛
歯の数をnとすると、ピストン電極と固定電極である拡
散層領域6,16,36との間の静電容量Cは、つぎの
数式1で表わされる。
【0029】
【数1】
【0030】両極間に電圧Vを印加したときに蓄えられ
る静電エネルギーUは、つぎの数式2のとおりである。
【0031】
【数2】
【0032】このため、静電引力の大きさFは、下記の
数式3で表わされる。
【0033】
【数3】
【0034】すなわち、櫛歯の数n、ピストン電極の厚
さhおよび印加電圧を適当に設定することにより必要な
静電引力を得ることができる。
【0035】一方、導電性サポート5,15は、ピスト
ン電極9,19が変位vだけ移動したとき、同じくvだ
けたわむ。導電性サポートは2本あるから、導電性サポ
ートの弾性力Wは、つぎの数式4のごとくなるようにす
ればよい。
【0036】
【数4】
【0037】ところで、弾性力Wは、変位をvとして、
つぎの数式5のとおり表わされる。
【0038】
【数5】
【0039】上記の数式で表わされるから、導電性サポ
ートの材質、長さおよび断面積を適当に選ぶことにより
必要とする弾性力を得ることができる。
【0040】本発明のマイクロポンプの大きさは、断面
積で1〜5mm、全体で幅1〜4mm、長さ(ピスト
ンの移動方向)2〜4mm、高さ(厚み)0.5〜1m
m程度のものであり、流体の流量は、0.1〜1マイク
ロリットル/min程度である。また、ピストン4,1
4,34のストロークは、1〜10μm程度、好ましく
は、1〜5μm程度である。これは、導電性サポート
5,15または導電性フィルム35の材質によっても異
なるが、ストロークが長すぎるとサポート5,15また
はフィルム35に破断が生じるためである。
【0041】本発明のマイクロポンプの動作は、基板
1,11のシリンダ固定電極である拡散層領域6,16
とピストン電極9,19との間に交流電圧を印加するこ
とにより、ピストン電極9,19が拡散層6,16の側
に静電引力により引っ張られ吸引側逆流防止弁3b,1
3bより流体が作動室内に流入する。そして、印加した
交流電圧を切ることにより、ピストン4,14が移動し
たことにより変形した(伸びた)導電性サポート5,1
5が元に戻ろうとする力により、ピストン4,14が移
動し、作動室内の流体をピストンが吐出側逆流防止弁3
a,13aより流出させる。この動作を繰り返すことに
よって、ポンプとして働くものである。
【0042】また、図5〜図6に示す本発明のマイクロ
ポンプの動作は、基板31のシリンダ固定電極である拡
散層領域36aとピストン電極34との間に交流電圧を
印加することにより、ピストン電極39aが拡散層領域
36aの側に静電引力により引っ張られると、吸引側逆
流防止弁33dより流体が作動室38b内に流入すると
共に、作動室38a内の流体が吐出側逆流防止弁33a
から流出されるものである。
【0043】次に、拡散層領域36aを接地電位とし、
拡散層領域36bとピストン電極39bとの間に交流電
圧を印加することにより、ピストン電極39bが拡散層
領域36bの側に静電引力により引っ張られると、吸引
側逆止弁33bより流体が作動室38a内に流入すると
共に、作動室38b内の流体が吐出側逆流防止弁33c
から流出されるものである。
【0044】本発明のマイクロポンプは、通常の半導体
素子の製造工程で用いられている微細加工技術を一部応
用することにより製造することができる。
【0045】例えば、図1および図2に示すマイクロポ
ンプは、まず、ピストン部分を形成する。図7Aに示す
ように、基板51上にマスク材を全面に形成する。この
マスク材は、以後の工程で、基板51にピストン可動領
域を形成するために用いるもので、例えば、シリコン酸
化膜、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜52とシリ
コン窒化膜53を積層したもの等である。このマスク材
の上にホトレジスト54によりパターンニングを行い、
マスク材を図7Bに示すように、エッチングする。 次
に、図7Bに示すように、例えば、反応性イオンエッチ
ング(RIE)やウエットエッチング等、好ましくは、
寸法精度の点からRIEにより、基板51をエッチング
する。エッチングする深さは、5〜100μm程度、好
ましくは30〜80μm程度である。
【0046】次に、図7Dに示すように、例えば、CV
D法等によりシリコン酸化膜55を厚さ0.1〜1μm
程度成膜し、次で、このシリコン酸化膜上にポリシリコ
ン56を、例えば、CVD法等により5〜100μm程
度成膜する。ポリシリコンの膜厚は基板51のエッチン
グ深さに応じて決定する。ここで、シリコン酸化膜55
は、この上にピストンとなるポリシリコンを形成するた
めでのもので、後に基板とポリシリコンの間のシリコン
酸化膜55も除去する必要があるため、その厚みはあま
り薄すぎると完全に除去することが出来ず不都合であ
る。また、ポリシリコンの厚みは、基板の堀込みよりわ
ずかに薄い程度、例えば、基板の堀込みに対して1〜3
μm程度薄くするのが好ましい。
【0047】次に、ホトリソグラフィー工程でレジスト
塗布、パターンニングを行い、図7Eに示すように、ポ
リシリコンを好ましくはRIEによりエッチングしてピ
ストンを形成する。そして、ピストンを覆うように、ホ
トリソグラフィーにより、レジスト57塗布、パターン
ニングを行う。この時、基板に形成したピストン可動部
分の堀込みの側面にある酸化膜が露出するようにレジス
ト57をパターンニングし、基板51の側面のシリコン
酸化膜をCDE等の等方性エッチングにより除去し堀込
み側面のシリコンを露出させる。これは、以後に形成す
るピストンを支持する導電性サポートの端を基板と固着
させ、かつ充分に可動することを可能にするためであ
る。
【0048】次に、図7Fに示すように、シリコン基板
上のマスク材52,53を選択的に除去し、シリコン基
板の性質に応じて基板上およびピストンに砒素、リンま
たはボロン等を熱拡散することにより電極となる部分の
拡散層59を形成する。
【0049】次に、図7Gに示すように導電性サポート
58を形成する。これは、例えばニッケル,銅等の金属
を蒸着法またはスパッタリング法により厚さ0.1〜1
μm成膜し、ホトリソグラフィーによりパターンニング
を行なう。いったん、レジストを除去した後、ピストン
と同程度の厚さになるようにレジストを塗布し、先に形
成した導電性サポートパターンが露出するようレジスト
をパターンニングする。この後、レジストで形成したパ
ターンを型枠として用い、先に形成した導電性サポート
のパータンを下地としてニッケルあるいは銅等の金属を
メッキ成長させることにより導電性サポートが形成され
る。
【0050】次に、図7Hに示すように基板全体をフッ
化水素酸水溶液、好ましくは高濃度のフッ酸に浸漬して
マスク材52,53を除去し表面を平坦化すると共に、
ピストンと基板間のシリコン酸化膜25を除去する。こ
れによって、ピストンが可動するようになり、ピストン
の形成を終了する。
【0051】図5および図6に示すマイクロポンプは、
ピストン部と櫛歯状電極を同時に一体形成する。図8A
〜8Gは、図5の6−6線に沿った断面を、また図9A
〜9Cは図5の9−9線に沿った断面を表わす。
【0052】図8Aに示すように、シリコン基板31上
にマスク材を全面に形成する。このマスク材は、以後の
工程で基板31にピストンおよび櫛歯状電極の可動領域
を形成するために用いるもので、例えば、シリコン酸化
膜、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜42とシリコ
ン窒化膜43を積層したもの等である。このマスク材の
上にホトレジスト44によりパターンニングを行ない、
マスク材を図8Bに示すようにエッチングする。
【0053】次に、図8Cに示すように、例えば、反応
性イオンエッチング(RIE)やウェットエッチング
等、好ましくは寸法精度の点からRIEにより、基板3
1ををエッチングする。エッチングする深さは、5〜1
00μm程度、好ましくは30〜80μm程度である。
【0054】次に、図8Dに示すように、例えばCVD
法等によりシリコン酸化膜45を厚さ0.1〜1μm程
度成膜し、次いでこのシリコン酸化膜上にポリシリコン
46を、例えばCVD法等により5〜100μm程度成
膜する。ここで、ポリシリコンの成膜時に不純物を導入
し、ポリシリコンに導電性を付与させておく。ポリシリ
コンの膜厚は基板31のエッチング深さに応じて決定す
る。シリコン酸化膜45は、この上にピストンおよび可
動電極となるポリシリコンを形成するためのもので、後
に基板とポリシリコンの間のシリコン酸化膜45も除去
する必要があるため、その厚さはあまり薄すぎると完全
に除去することが出来ず不都合である。また、ポリシリ
コンの厚さは、基板の堀込みよりわずかに薄い程度、例
えば、基板の堀込みに対して1〜3μm程度薄くするの
が好ましい。
【0055】次に、図8Eに示すように、ホトリソグラ
フィー工程でレジスト47を塗布し、パターンニングを
行い、ポリシリコンを好ましくはRIEによりエッチン
グしてピストンおよび可動電極を形成する。
【0056】さらに、図8Fに示すように、ピストンと
可動電極をつなぐ部分だけが露出するようにレジスト4
8を塗布し、パターンニングを行ない、好ましくはRI
Eによりポリシリコンを、例えば15〜40μmだけエ
ッチングする。
【0057】次に、図8Gに示すように、基板に形成し
たピストン可動部分を堀込み側面にある酸化膜が露出す
るようにレジスト49をパターンニングし、この側面の
シリコン酸化膜をCDE等の等方性エッチングにより除
去し、堀込み側面のシリコンを露出させる。これは、以
後に形成するピストンを支持する導電性サポートの端を
基板と固着させ、かつ十分に可動することを可能にする
ためである。
【0058】次に、図9Aに示すように、シリコン基板
31上のマスク材42,43を選択的に除去し、シリコ
ン基板31の性質(n型、p型)に応じて基板上に砒
素、リンまたはボロン等を熱拡散することにより電極と
なる部分の拡散層41を形成する。
【0059】次に、図9Bに示すように導電性フィルム
35を形成する。これは、例えばニッケル,銅等の金属
を蒸着法またはスパッタリング法により厚さ0.1〜1
μm成膜し、ホトリソグラフィーによりパターンニング
を行なう。いったん、レジストを除去した後、ピストン
と同程度以上の厚さになるようにレジストを塗布し、先
に形成した導電性フィルムパターンが露出するようにレ
ジストをパターンニングする。この後、レジストで形成
したパターンを型枠として用い、先に形成した導電性フ
ィルムのパターンを下地としてニッケルあるいは銅等の
金属をメッキ成長させることにより導電性フィルム35
が形成される。
【0060】次に、図9Cに示すように、基板全体をフ
ッ化水素水溶液、好ましくは高濃度のフッ酸に浸漬し
て、マスク材42,43を除去し表面を平坦化すると共
に、ピストン、可動電極46と基板31との間のシリコ
ン酸化膜45を除去する。これによってピストンおよび
可動電極が可動するようになり、ピストンおよび可動電
極の形成を終了する。
【0061】次に、別の基板を用いて逆流防止弁の作製
する。
【0062】まず、図10Aに示すように、両面をミラ
ーポリッシュ仕上げした厚さ100〜400μm、好ま
しくは100〜200μmの基板41の両面にシリコン
酸化膜42を成膜し、以後の工程で弁を形成する部分お
よび弁の腕を基板に固定する部分のシリコン酸化膜をホ
トリソグラフィーによりパターンニングして除去する。
ここで、基板の厚さは、薄いほうが以下に説明する貫通
孔を形成するのに適しているが、工程中で破損しやすく
なるため適度な厚さが必要である。
【0063】次に、図10Bに示すように、PSG膜6
1等を成膜する。このPSG膜61は、弁の下部の段差
を出すためのもので厚さは約0.1〜1μm程度であ
る。弁の腕を基板に固定する部分のPSG膜61をホト
リソグラフィーによりパターンニングして除去する。
【0064】次に、図10Cに示すように、ポリシリコ
ン膜62をCVD法等により厚さ4〜18μm程度成膜
して、ホトリソグラフィーによりパターンニングし、R
IEまたはCDEエッチングして、弁体と弁の固定部分
を形成する。
【0065】次に、図10Dに示すように、ポリシリコ
ン膜63をCVD法等により厚さ2〜4μm程度成膜し
て、ホトリソグラフィーによりパターンニングし、RI
EまたはCDEエッチングして、弁の腕の部分を形成す
る。
【0066】次に、図10Eに示すように、流路形成の
ために、表面(上述の弁部分の形成をした面)および裏
面にシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜を形成しマス
ク材64とする。そして、裏面の流路となる部分のシリ
コン酸化膜42およびシリコン窒化膜64を除去して、
異方性エッチングを行って、貫通孔を開ける。この異方
性エッチングは、RIE等のドライエッチングでもよい
が、好ましくは、35重量%程度の水酸化カリウム溶液
を用いて、ウェットエッチングするのがよい。これは、
水酸化カリウム溶液を用い、基板が(100)単結晶シ
リコンの場合には図に示すような適度な斜め形状のロー
ト状の流路が形成されるためである。
【0067】最後に、図10Fに示すように、高濃度の
フッ酸に基板全体を浸漬して、シリコン酸化膜42、P
SG膜61およびシリコン酸化膜と窒化膜64をすべて
除去し、逆流防止弁の形成工程を終了する。なお、図5
および図6に示すマイクロポンプは、同様の弁を片面に
2個ずつ形成してなるものである。
【0068】以上の逆流防止弁を作製する工程は、従来
技術(例えば、電子情報通信学会誌C.Vol J17
−C,No12,pp1705〜17711,1982
年12月)と同様である。
【0069】上述のようにしてピストンと弁を形成した
それぞれの基板を図1〜図6のように積層して張り合わ
せてマイクロポンプを完成する。この張り合わせは、例
えば、基板1,11,31の下面に低融点ガラスをスパ
ッタ成膜し、基板1,11,31および基板2,12,
32を積層して位置合わせした後、150〜170℃に
加熱した状態で100V程度の直流電圧を印加して陽極
接合することで行うことができる。
【0070】ここで、基板1,11,31および2,1
2,32は、半導体素子等を製造するための微細加工技
術により加工することが可能な材料であればよく、例え
ば、シリコン基板、ガリウム−砒素基板等で、加工性や
経済性等から一般の半導体素子に用いられているシリコ
ン基板が好ましい。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのもの
で、本発明がこれに限定されるものではない。
【0072】ピストン部分の形成 まず、図7Aに示すように、n型シリコン基板51上の
全面に熱酸化法でシリコン酸化膜52を0.1μm形成
し、その上に積層となるようにシリコン窒化膜53を
0.25μmLPCVD装置により形成する。この上に
ホトレジスト54を塗布し、パターンニングを行いシリ
コン酸化膜52およびシリコン窒化膜53を図7Bに示
すように、エッチングする。
【0073】次に、図7Cに示すように、RIEによ
り、シリコン基板51をエッチングする。エッチングす
る深さは、55μm程度である。
【0074】次に、図7Dに示すように、LPCVDに
よりシリコン酸化膜55を厚さ0.8μm程度成膜し、
次で、このシリコン酸化膜55上にポリシリコン56
を、常圧CVDにより55μm程度成膜する。
【0075】次に、図7Eに示すように、ホトリソグラ
フィー工程で、レジストを塗布し、パターンニングを行
ない、ポリシリコンをRIEによりエッチングしてピス
トンを形成する。そして、ピストンを覆うように、ホト
リソグラフィーにより、レジスト57を塗布し、パター
ンニングを行い、CDEにより基板51の堀込み側面の
シリコン酸化膜を除去しシリコンを露出させる。
【0076】次に、図7Fに示すように、シリコン基板
上のマスク材52,53を選択的に除去し、基板上およ
びピストンにボロンを熱拡散することにより電極となる
部分の拡散層59を形成する。
【0077】次に、図7Gに示すように導電性サポート
58を形成する。これの形成には、まず銅をスパッタリ
ング法により厚さ0.1〜1μm成膜し、フォトリソグ
ラフフィーによりパターンニングを行なう。いったん、
レジストを除去した後、60μmの厚さになるようにレ
ジストを塗布し、先に形成した導電性サポートパターン
が露出するようレジストをパターンニングする。この
後、レジストで形成したパターンを型枠として用い、先
に形成した導電性サポートのパターンを下地として銅を
55μmメッキ成長させることにより導電性サポートが
形成される。
【0078】次に、図7Hに示すように基板全体をフッ
化水素酸水溶液、好ましくは高濃度のフッ酸に浸漬して
マスク材52,53を除去し表面を平坦化すると共に、
ピストンと基板間のシリコン酸化膜55を除去する。こ
れによって、ピストンが可動するようになり、ピストン
の形成を終了する。
【0079】また、本発明のもう一つの実施例によれ
ば、まず図8Aに示すようにn型シリコン基板31上の
全面に熱酸化法でシリコン酸化膜42を0.1μm形成
し、その上に積層となるようにシリコン窒化膜43を
0.25μmLPCVDにより成膜する。この上にホト
レジスト44を塗布し、パターンニングを行ないシリコ
ン酸化膜42およびシリコン窒化膜43を図8Bに示す
ようにエッチングする。
【0080】次に、図8Cに示すように、RIEにより
シリコン基板31をエッチングする。エッチングする深
さは55μm程度である。
【0081】次に、図8Dに示すように、LPCVDに
よりシリコン酸化膜45を厚さ0.8μm程度成膜し、
次いで、このシリコン酸化膜上にリンを導入して導電性
を付与したポリシリコン46を、常圧CVDにより55
μm程度成膜する。
【0082】次に、図8Eに示すように、ホトリソグラ
フィー工程でレジスト47を塗布し、パターンニングを
行い、ポリシリコンをRIEによりエッチングしてピス
トンおよび可動電極を形成する。
【0083】さらに、図8Fに示すように、ピストンと
可動電極をつなぐ部分だけが露出するようにレジスト4
8を塗布し、パターンニングを行い、RIEによりポリ
シリコンを30μmエッチングする。
【0084】次に、図8Gに示すように、ピストンおよ
び可動電極を覆うようにホトリソグラフィーによりレジ
スト49を塗布し、パターンニングを行い、CDEによ
り堀込み側面のシリコン酸化膜を除去しシリコを露出さ
せる。
【0085】なお、これ以降の実施例の説明で、図9A
〜9Cは、図5において9−9に沿った断面を表わす。
【0086】次に、図9Aに示すように、シリコン基板
上のマスク材42,43を選択的に除去し、基板上にリ
ンを熱拡散することにより電極となる部分の拡散層41
を形成する。
【0087】次に、図9Bに示すように導電性フィルム
35を形成する。この作製には、まず銅をスパッタリン
グ法により厚さ0.1μm成膜し、フォトリソグラフィ
ーによりパターンニングを行なう。なお、この導電性フ
ィルムは弾性力を低減するために、図5に示すように波
形にパターンニングしてある。いったん、レジストを除
去した後、レジストを60μm塗布し、先に形成した導
電性フィルムのパターンが露出するようレジストをパタ
ーンニングする。その後、レジストで形成したパターン
を型枠として用い、先に形成した導電性フィルムのパタ
ーンを下地として銅を50μm成長させることにより導
電性フィルムを形成する。
【0088】次に、図9Cに示すように基板全体を高濃
度のフッ酸に浸漬してマスク材42,43を除去し表面
を平坦化すると共に、ピストン、可動電極とシリコン基
板間のシリコン酸化膜45を除去する。これによってピ
ストンと可動電極が可動するようになり、ピストンと可
動電極の形成を終了する。
【0089】逆流防止弁の作製。
【0090】まず、別のシリコン基板を用いて図10A
に示すように、両面をミラーポリッシュ仕上げした厚さ
200μmのシリコン基板31の両面に熱酸化法で0.
5μm厚さのシリコン酸化膜42を成膜し、以後の工程
で弁体を形成する部分および弁の腕をシリコン基板に固
定する部分のシリコン酸化膜をホトリソグラフィーによ
りパターンニング、RIEにより除去する。
【0091】次に、図10Bに示すように、常圧CVD
法でPSG膜61を0.8μm程度成膜する。弁の腕を
シリコン基板に固定する部分のPSG膜61をホトリソ
グラフィーによりパターンニングして除去する。
【0092】次に、図10Cに示すように、ポリシリコ
ン膜62を常圧CVDにより厚さ6μm程度成膜して、
ホトリソグラフィーによりパターンニングし、RIEに
より、弁体と弁の固定部分を形成する。
【0093】次に、図10Dに示すように、ポリシリコ
ン膜63を常圧CVD法により厚さ2μm程度成膜し
て、ホトリソグラフィーによりパターンニングし、RI
Eにより、弁の腕の部分を形成する。
【0094】次に、図10Eに示すように、表面(上述
の弁部分の形成をした面)および裏面にLPCVD法で
シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜64を形成しマス
ク材とする。そして、裏面の流路となる部分のシリコン
酸化膜およびシリコン窒化膜64を除去して、35重量
%程度の水酸化カリウム溶液を用いて、ウェットエッチ
ングして、流路となる貫通孔を開ける。なお、図5およ
び図6に示すマイクロポンプでは、同様の弁を片面に2
個ずづ形成する。
【0095】さらに、ここまでの工程を他の一方の面に
行い、シリコン基盤の両面に、ポリシリコンによる弁を
形成する。
【0096】最後に、図10Fに示すように、高濃度の
フッ酸にシリコン基板全体を浸漬して、シリコン酸化膜
42、PSG膜61およびシリコン窒化膜64をすべて
除去し、逆流防止弁の形成工程を終了する。
【0097】マイクロポンプの形成 上述のようにしてピストンと弁を形成したそれぞれのシ
リコン基板を図2、図4および図6のように、積層して
張り合わせてマイクロポンプを完成するが、この張り合
わせは、フリットガラス板、(例えば岩城ガラス製結晶
化ガラス7576)をターゲットとして用い、RFスパ
ッタによってシリコン基板31の下面にガラス膜を2〜
3μm堆積する。スパッタリングは、O雰囲気(8×
10−3Torr)で行い、堆積ガラス中の酸素不足を
補うようにした。また、弁を形成した部分はレジストで
カバーし、ガラス膜が形成されないようにしてある。次
に、2枚のシリコン基板1,11,31および2,1
2,32を赤外線カメラにより片側から基板を透視して
両基板のパターンを見ながら位置合わせをして重ね合わ
せる。両基板を150〜170℃に加熱し、片側の基板
に100V程度の直流電圧を印加して張り合わせた。
【0098】以上により図3〜図6に示す構造のマイク
ロポンプが完成する。
【0099】図3〜4に示すマイクロポンプの実施例で
は、図4に示すようにシリコン基板12の一部、すなわ
ち可動電極19および拡散層領域からなる固定電極16
を覆う部分を、約50μmの深さで凹形に形成すること
により可動電極の移動によって固定電極と可動電極の間
の空間が陰圧あるいは陽圧となることを防止している。
【0100】また、図5〜6に示すマイクロポンプの実
施例では、図6に示すようにシリコン基板32の一部、
すなわち、可動電極39a,39bおよび拡散層領域か
らなる固定電極36a,36bを覆う部分を、約50μ
mの深さで凹形に形成することにより、可動電極の移動
によって固定電極と可動電極の間の空間が陰圧あるいは
陽圧になることを防止している。
【0101】可動電極39a,39bの櫛歯の数は、そ
れぞれ11本(図5では作図の簡単のために4本のみ描
いてある)設けられている。固定電極と可動電極の間隔
40は1μmで形成し、導電性フィルム35につながる
拡散端子41と拡散層領域36a,36bとの間に、交
互に外部から100Vの電圧を印加してマイクロポンプ
を駆動した。
【0102】本実施例では、導電性フィルム35は、ピ
ストン34および可動電極39a,39bを常に接地電
位とするために設けられている。このため、導電性フィ
ルム35はピストン34の働きを妨げないよう波形にし
て十分な柔軟性を持たせてある。
【0103】また、本実施例のマイクロポンプでは、逆
流防止弁33a,33b,33c,33dの順方向コン
ダクタンスに比べて、ピストン34とシリンダ34aと
の間のコンダクタンスを十分小さくするため、シール部
の長さKおよびMをピストンのストロークよりも大きく
してある。このコンダクタンスの違いにより、ピストン
の移動で流体室38a、38bの容積が変化すると逆流
防止弁33a,33b,33c,33dから流体を吐出
あるいは吸引することができる。
【0104】以上により1×2×4mmのマイクロポ
ンプが完成する。完成したマイクロポンプの吐出圧力は
4gf/cm、流量は0.18μリットル/minで
ある。
【0105】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のマイクロポ
ンプは、駆動源を一体化したことにより、周辺機構を簡
略化することができるため、全体を小型に作製すること
ができる。さらに、図5および図6に示すマイクロポン
プでは、送液の脈動を減らすことが可能である。これに
よりマイクログリッパ等の作業ユニット1個1個に専用
のポンプを設ける分散方式にできるため、流体伝送系を
最短にし、伝送損失も減らせ、配管の繁雑さから解放さ
れ、また、必要最小限の小さな動作能力のポンプにより
マイクロマシンを動かすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のマイクロポンプの原理を説明
する平面図である。
【図2】 図2は、図1の2−2線に沿う断面図であ
る。
【図3】 図3は、本発明のマイクロポンプの他の実施
態様を示す平面図である。
【図4】 図4は、図3の4−4線に沿う断面図であ
る。
【図5】 図5は、本発明のマイクロポンプのさらに他
の実施態様を示す平面図である。
【図6】 図6は、図5の6−6線に沿う断面図であ
る。
【図7】 図7は、本発明のマイクロポンプのピストン
部分の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】 図8は、本発明のマイクロポンプのピストン
部分の他の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】 図9は、本発明のマイクロポンプの導電性フ
ィルムの形成方法を説明するための工程図である。
【図10】 図10は、本発明のマイクロポンプの弁部
分の製造方法を説明するための工程図である。
【図11】 図11は、従来のマイクロポンプの断面図
である。
【符号の説明】
1,2,11,12,31,32…半導体基板、3a,
3b,13a,13b,33a,33b,33c,33
d…逆流防止弁、4,14,34…ピストン電極、5,
15,35…導電性サポート、6,16,36…拡散層
領域、42,55…シリコン酸化膜、53…シリコン窒
化膜、56,57…ホトレジスト、56…ポリシリコ
ン、59…ニッケルまたは銅、61…PSG膜、62,
63…ポリシリコン膜、64…シリコン酸化膜およびシ
リコン窒化膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 亮 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定電極となるシリンダ、該シリンダ内
    に形成された可動電極となるピストン、該ピストンを支
    持する導電性サポートおよび逆流防止弁よりなり、駆動
    源が一体化していることを特徴とするマイクロポンプ。
  2. 【請求項2】 流体を押圧するピストン、該ピストンと
    一体形成された可動電極、該ピストンを収めるシリン
    ダ、該ピストン並びに該可動電極を接地する導電性フィ
    ルムおよび逆流防止弁からなり、駆動源が一体化しかつ
    ピストンの両端面で流体を押圧することを特徴とするマ
    イクロポンプ。
  3. 【請求項3】 基板中に固定電極となるシリンダ、該シ
    リンダ内に可動電極となるピストンおよび該ピストンを
    支持する導電性サポートを形成する工程と、他の基板に
    逆流防止弁を形成する工程と、前記固定電極となるシリ
    ンダ、該シリンダ内に可動電極となるピストンおよび該
    ピストンを支持する導電性サポートを形成した基板と逆
    流防止弁を形成した基板を積層する工程よりなることを
    特徴とするマイクロポンプの製造方法。
  4. 【請求項4】 基板中に流体を押圧するピストン、該ピ
    ストンと一体形成された可動電極、該ピストンを収める
    シリンダおよび該ピストンを接地する導電性フィルムを
    形成する工程と、他の基板に逆流防止弁を形成する工程
    と、前記ピストン、可動電極、シリンダおよび前記導電
    性フィルムを形成した基板と逆流防止弁を形成した基板
    を積層する工程からなることを特徴とする請求項3に記
    載のマイクロポンプの製造方法。
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