JPH05271941A - ダイヤモンドの合成方法 - Google Patents

ダイヤモンドの合成方法

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JPH05271941A
JPH05271941A JP6526792A JP6526792A JPH05271941A JP H05271941 A JPH05271941 A JP H05271941A JP 6526792 A JP6526792 A JP 6526792A JP 6526792 A JP6526792 A JP 6526792A JP H05271941 A JPH05271941 A JP H05271941A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、グラファイトやダイヤモ
ンド状炭素等の非ダイヤモンド成分のない高品質のダイ
ヤモンドを密着性良く合成する方法を提供することを目
的とする。 【構成】 この発明は、基板に負のバイアス電圧を印加
しつつ、炭素含有化合物のプラズマまたは炭素含有化合
物と水素との混合ガスのプラズマで基板を処理する工程
と、水素ガスのプラズマで基板を処理する工程とを交互
に少なくとも2回繰り返してから、基板上に気相法によ
りダイヤモンドを形成させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンドの合成法に
関し、さらに詳しく言うと、基板上にグラファイトやD
LC(ダイヤモンド状炭素質)等の不要な不純物の少な
い、高品質で、しかも品質の一定したダイヤモンド膜を
効率よく形成することができ、密着性に優れた高性能の
ダイヤモンド被覆部材(たとえば、切削工具、研磨工具
等のダイヤモンド工具類や耐摩耗性部材等)や高特性の
ダイヤモンド半導体素子等の電子・電気材料などの製
造、あるいは、高品質のダイヤモンド自体の製造など各
種のダイヤモンド利用素材もしくは製品の製造分野に好
適なダイヤモンドの合成法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】ダイヤモ
ンドは、硬度、耐摩耗性が高いので、切削や研磨などの
工具用等として多用されている。また、電気的性質にお
いても優れた特性を有することから半導体デバイスの素
材等としても有望視されている。このような用途に工業
的に対応するには、高価な天然のダイヤモンドに依存せ
ずに合成ダイヤモンドを利用する必要があり、そのた
め、高品質のダイヤモンドを一定の品質を維持しながら
量産化する技術の開発が強く要求されている。
【0003】このように、近年においては、合成ダイヤ
モンドを利用する傾向が増加してきており、これに合わ
せてダイヤモンドの合成法の開発および改善はますます
重要となってきている。特に、ダイヤモンドを各種の基
板上にCVD法等の気相合成法によって薄膜として形成
させる技術の研究が盛ん行われており、この気相合成法
によって得たダイヤモンド被覆部材を切削工具、研磨工
具、摺動部材等として、あるいは、半導体デバイス等と
して実用化するための技術開発が進められている。この
気相合成法によると製造コストの低減及び量産化が期待
できる。
【0004】しかしながら、気相合成法によって得られ
るダイヤモンド膜には、通常、グラファイトやDLC
(ダイヤモンド状炭素質)といったダイヤモンド以外の
炭素質成分が含まれていることが多く、そのため、品質
が低下したり、一定にならないなどの問題点がある。ま
た、基材の表面とダイヤモンド被膜とは、一般に密着性
が悪い。それ故に、この密着性を向上させるために様々
な提案がなされている。一方、生産性を向上させるには
ダイヤモンド膜の形成を容易にするための工夫を要す
る。従来法では、下記に示すように、これらの点を十分
に解決するにいたっていない。
【0005】基板上に気相合成法によりダイヤモンド膜
を形成するにあたっては、基板にそのままではダイヤモ
ンド膜を密着性良く形成することができないので、機械
的な方法、たとえば、ダイヤモンド砥粒などを用いてラ
ッピング処理をする、あるいは有機溶媒例えばアセトン
中で超音波処理をするなどの所謂傷付け処理をし、基板
上にダイヤモンド初期核を生成させ、これを成長点とし
てダイヤモンド膜を形成するのが一般的である。ところ
が、このような表面傷付け処理にたよる方法は、ダイヤ
モンドの生成効率がなお不十分であるなどの理由によっ
て、工業的な生産法としては不満足であり、また、得ら
れる製品も一定の品質を維持し難いという問題がある。
【0006】これを改良する方法として、基板に負のバ
イアス電圧を印加し、高濃度のメタンを含むメタンと水
素の混合ガスを用いてプラズマ処理し、高密度にダイヤ
モンド核を生成させる方法が提案されている[App
l.Phys.Lett.,58(10),1036−
1038(1991)]。しかしながら、この従来法で
は、ダイヤモンドの合成条件が最適でないため、結合力
の弱い炭素すなわちグラッシーカーボン等が析出するの
でダイヤモンドの結晶性が低く、しかも基板に対する密
着性が悪い。
【0007】また、水素プラズマを基板の表面に接触さ
せる前処理方法も知られていはいるが、この前処理だけ
では十分なダイヤモンド初期核の形成を期待することが
できない。
【0008】この発明は、前記事情を改善するためにな
されたものである。この発明の目的は、各種の基板の面
上にグラファイトやDLC(ダイヤモンド状炭素質)等
の不要な不純物の少ない高品質のダイヤモンドを、高い
ダイヤモンド初期核発生密度をもって形成し、基板に対
する密着性の高いダイヤモンドを容易に量産することが
できるなどの利点を有する、ダイヤモンドの合成法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
のこの発明は、基板に負のバイアス電圧を印加しつつ、
炭素含有化合物のプラズマまたは炭素含有化合物と水素
との混合ガスのプラズマで基板を処理する工程と、水素
ガスのプラズマで基板を処理する工程とを交互に少なく
とも2回繰り返してから、基板上に気相法によりダイヤ
モンドを形成させることを特徴とするダイヤモンドの合
成法である。
【0010】この発明の方法において、前記基板の材質
としては、特に制限はなく、公知の気相合成法によるダ
イヤモンド膜の形成用に常用されるもの(たとえば、各
種の金属、合金、超硬合金類、半導体類、セラミック
ス、ガラスなど)、各種のものを適宜に選択して使用す
ることができる。具体例をいくつか示すと、たとえば、
WC−Co系等のWC系超硬合金、TiN、Si34
等の窒化物系セラミックス、SiC、TiC等の炭化物
系セラミックス、アルミナ類、ガラスなどの酸化物類、
シリコン等の半金属や半導体類など多種多様のものを挙
げることができる。
【0011】この発明の方法においては、ダイヤモンド
あるいはダイヤモンド膜の本合成を行う前に、前記基板
に特定の前処理、すなわち、基板に負のバイアス電圧を
印加しつつ、炭素含有化合物のプラズマまたは炭素含有
化合物と水素との混合ガスのプラズマで基板を処理する
工程(以下、この処理を負バイアス印加プラズマ処理と
略称することがある。)と、水素ガスのプラズマで基板
を処理する工程(以下、この処理を水素プラズマ処理と
略称することがある。)とを交互に少なくとも2回行う
ことを要する。
【0012】この負バイアス印加プラズマ処理に使用す
るガスとしては、少なくとも炭素含有化合物を単独で、
あるいは炭素含有化合物と水素とを含む混合ガスであれ
ば、一般的なダイヤモンド合成用ガスとして常用される
もの、あるいは使用可能なものを使用することができ
る。
【0013】該炭素含有化合物としては、各種炭化水素
類(具体的には、たとえば、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類、エチ
レン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン類、
ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン等のシクロアルカン類など多種多様
の炭化水素類)、含酸素炭化水素類(具体的には、たと
えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレ
ングリコール、ベンジルアルコール等のアルコ−ル類、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ア
セトフェノン等のケトン類、酢酸、プロピオン酸等のカ
ルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類など多種多様の酸素含
有炭化水素類)、CO、CO2 など様々な炭素含有化合
物を挙げることができる。なお、これらの中でも、特に
好ましいものとして、たとえば、メタン、メタノール、
アセトン、COなどを例示することができる。なお、こ
れらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合する
などして併用してもよい。
【0014】前記炭素含有化合物と水素との混合ガスを
使用する場合、混合ガス全体に対する炭素含有化合物は
0.05〜99容量%、好ましくは0.1〜80容量%
の割合になっているのが望ましい。混合ガス中の炭素含
有化合物の割合が前記範囲にあると、ダイヤモンド初期
核の発生密度を著しく増大させることができて好まし
い。
【0015】前記炭素含有化合物または、炭素含有化合
物と水素との混合ガスをプラズマ化する前記プラズマ処
理の手法としては、特に制限はなく、一般的なダイヤモ
ンドあるいはダイヤモンド膜の気相合成法に利用される
プラズマ法など各種の方法によるプラズマ処理法が適用
可能である。具体的には、たとえば、マイクロ波プラズ
マ法、高周波プラズマ法、熱フィラメント法、ECR法
等、あるいこれらの組み合わせ法などを挙げることがで
きる。これらの中でも、特に、マイクロ波プラズマ法に
よるプラズマ処理法等が好適に採用される。
【0016】このプラズマ処理の反応条件としては、従
来通りの条件によって行うことができ、具体的には、た
とえば、反応系の圧力を10-3〜103 Torrの範
囲、好ましくは0.1〜760Torr、基板温度を室
温〜1,100℃の範囲、好ましくは室温〜1,000
℃の範囲に選定することによって好適に行うことができ
る。
【0017】前記基板に印加する負のバイアス電圧とし
ては、たとえば、DCバイアスが−500〜−5Vの範
囲、好ましくは−400〜−20Vの範囲になるように
する。また、バイアス電圧が−500〜−5Vの範囲に
なるように、RF単独またはRF+DCバイアスを印加
する方式なども好適に採用される。負バイアス印加プラ
ズマ処理をする時間は、一回の処理当たり、通常1秒〜
30分である。
【0018】一方、水素プラズマ処理に使用される水素
ガスとしては特に限定はないのであるが、通常高純度に
精製した水素ガスが使用される。又、前述した負バイア
ス印加プラズマ処理において水素ガスが使用されるとき
には、その水素ガスを引き続き使用することもできる。
【0019】水素ガスをプラズマ化する前記プラズマ処
理の手法としては、特に制限はなく、一般的なダイヤモ
ンドあるいはダイヤモンド膜の気相合成法に利用される
プラズマ化法など各種の方法によるプラズマ処理法が適
用可能である。具体的には、たとえば、マイクロ波プラ
ズマ法、高周波プラズマ法、熱フィラメント法、ECR
法等、あるいこれらの組み合わせ法などを挙げることが
できる。これらの中でも、特に、マイクロ波プラズマ法
によるプラズマ処理法等が好適に採用される。
【0020】この水素プラズマ処理の反応条件として
は、負バイアス印加プラズマ処理における条件とほぼ同
様である。水素プラズマ処理をする時間は、一回の処理
当たり、通常1秒〜30分である。
【0021】この発明においては、前述した負バイアス
印加プラズマ処理と水素プラズマ処理とを交互に少なく
とも2回繰り返す。この二種のプラズマ処理を交互に繰
り返す好適な態様として、例えば、図1に示すように、
反応系に水素ガスを継続して流通させておき、炭素含有
化合物を一定流量で反応系に一定時間毎に断続して流通
させると共に炭素含有化合物を流通させるのに同期して
反応系内の基板に負バイアスを印加することを挙げるこ
とができる。この態様においては、炭素含有化合物の流
通をON/OFFし、基板に対する負バイアス電圧のO
N/OFFを制御するだけで良いので、操作が簡便であ
る。
【0022】この発明においては、前述した負バイアス
印加プラズマ処理と水素プラズマ処理とを交互に少なく
とも2回繰り返すと、ダイヤモンド初期核の発生密度が
高くなり、不純物の少ない、したがって結晶性の良好な
ダイヤモンドを、基板に対する密着性良く製造すること
ができる。その理由は未だ明確ではないが、この発明者
らにおいては、以下のように推定している。すなわち、
基板を負バイアス印加プラズマ処理すると、基板の表面
には、基板を構成する材質の炭化物が形成されると共
に、グラッシーカーボンが形成される。このグラッシー
カーボンはsp2軌道を有するカーボンとsp3 軌道を
有するカーボンとの混合物であり、これ自体はダイヤモ
ンドに対する不純物であり、その生成は望ましいもので
はない。このようなグラッシーカーボンの残留する状態
のままダイヤモンドを気相合成してもダイヤモンドの結
晶性および密着性は低い。ところが、この負バイアス印
加プラズマ処理の後に水素プラズマ処理を行うと、基板
表面に存在するグラッシーカーボン中のsp2 軌道を有
するカーボンが選択的に水素プラズマによりエッチング
され、sp3 軌道を有するカーボンが相対的に多くな
る。そこで、負バイアス印加プラズマ処理と水素プラズ
マ処理とを交互に少なくとも2回繰り返すと、sp3
道を有するカーボンが基板表面に蓄積され、このカーボ
ンがダイヤモンド初期核の発生点になり、ダイヤモンド
の発生が容易になると共にダイヤモンド初期核の発生密
度が増大するものと思われるのである。
【0023】以上のようにして、基板にプラズマ処理を
施すことによって、基板にダイヤモンド初期核を高密度
に効率よく生成させることができ、これによって、ダイ
ヤモンド膜の実質的な生成速度を著しく向上させること
ができる。
【0024】この発明では、基材表面につき上記した負
バイアス印加プラズマ処理と水素プラズマ処理とを交互
に少なくとも2回繰り返してから、基材表面に気相合成
法により炭素源ガスを用いてダイヤモンドを形成する。
【0025】上記炭素源ガスとしては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン、アレン等のジオレフィン系炭化水
素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳
香族炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコ
ール類;このほかの含酸素炭化水素;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類;このほかの含窒素
炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭素、過酸化炭素;さら
に、単体ではないが、ガソリン等の消防法危険物第4
類、第1類、ケロシン、テレピン油、しょうのう油等の
第2石油類、重油等の第3石油類、ギヤー油、シリンダ
ー油等の第4石油類も使用することができる。また前記
各種の化合物を混合して使用することもできる。
【0026】これらの中でも、好ましいのはメタン、エ
タン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタノー
ル、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベンゾフ
ェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に
一酸化炭素が好ましい。
【0027】なお、これらは一種単独で用いても良く、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。また、こ
れらは水素等の活性ガスやヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、キセノン、窒素等の不活性ガスと混合して用いても
良い。
【0028】前記ダイヤモンドの薄膜の形成には、公知
の方法、例えば、CVD法、PVD法、PCVD法、あ
るいはこれらを組み合わせた方法等、各種のダイヤモン
ド薄膜気相合成法を使用することができ、これらの中で
も、通常、EACVD法を含めた各種の熱フィラメント
法、熱プラズマ法を含めた各種の直流プラズマCVD
法、熱プラズマ法を含めたマイクロ波プラズマCVD法
等を好適に使用することができる。
【0029】ダイヤモンドの薄膜の形成条件としては、
特に制限はなく、前記の気相合成法に通常用いられる反
応条件を適用することができる。例えば、反応圧力とし
ては、通常、10-6〜103 Torrが好ましく、特に
1〜800Torrの範囲内であるのが好ましい。
【0030】反応圧力が10-6Torrよりも低い場合
には、ダイヤモンドの薄膜の形成速度が遅くなることが
ある。また、103 Torrより高い場合には、103
Torrの時に得られる効果に比べて、それ以上の効果
がない。前記基材の表面温度としては、前記炭素源ガス
の活性化手段等により異なるので、一概に規定すること
はできないが、通常、300〜1,000℃、好ましく
は、450〜950℃の範囲内にするのがよい。
【0031】この温度が300℃よりも低い場合には、
結晶性のダイヤモンド薄膜の形成が不十分になることが
ある。また、温度が1,000℃を超える場合において
は、形成されたダイヤモンドの薄膜のエッチングが生じ
易くなる。反応時間としては、特に限定はなく、ダイヤ
モンドの薄膜が所望の厚みとなるように、ダイヤモンド
の薄膜の形成速度に応じて適宜に設定するのが好まし
い。
【0032】形成させる前記ダイヤモンド膜の膜厚は、
使用目的等に応じて適宜適当な膜厚にすればよく、この
意味で特に制限はないが、通常は、0.2〜100μm
の範囲に選定するのがよい。この膜厚が、あまり薄すぎ
ると、ダイヤモンド膜による被覆効果が十分に得られな
いことがあり、一方、あまり厚すぎると、使用条件によ
っては、ダイヤモンド膜の剥離等の離脱が生じることが
ある。なお、切削工具等の過酷な条件で使用する場合に
は、通常、この厚みを、0.5〜50μmの範囲に選定
するのが好適である。
【0033】以上のように前記各種の基材を前記負バイ
アス印加プラズマ処理と水素プラズマ処理とを交互に少
なくとも2回繰り返した後、ダイヤモンドを形成するこ
とによって、基材とダイヤモンドとの密着性を著しく向
上させることができ、高性能のダイヤモンド被覆部材を
得ることができる。
【0034】また、この発明の方法によると、各種の基
板上に高純度のダイヤモンド(すなわち、高品質のダイ
ヤモンド膜)を効率よく形成させることができる。ま
た、この方法によると、品質のばらつきもなく、品質の
一定した高品質のダイヤモンドもしくはダイヤモンド被
覆部材等のダイヤモンド利用製品が得られる。さらに、
この方法は、ダイヤモンドもしくはその製品の量産化が
極めて容易であるなどの利点も有しており、ダイヤモン
ドおよび各種のダイヤモンド利用製品の製造として、工
業的に著しく有利な方法である。
【0035】
【実施例】以下、この発明の実施例およびその比較例に
よってこの発明をより具体的に説明するが、この発明は
これらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)基板としてシリコンウエハを用い、基板温
度を920℃とするとともに、この基板に直流の−10
0ボルトの電圧を印加し、処理用ガスとしてメタンガス
20sccmと水素ガス50sccmとの混合ガスを反
応器内に導入し、反応器内圧を15Torrにして、出
力350Wのマイクロ波を5分間照射することにより負
バイアス印加プラズマ処理を行った。
【0036】その後、メタンガスの流通を停止し、水素
ガスの流量を300sccmにし、反応器内の圧力を3
0Torrにして、出力350Wのマイクロ波を5分間
照射することにより、水素プラズマ処理を行った。この
ときの基板温度は880℃であった。上記負バイアス印
加プラズマ処理と水素プラズマ処理とを交互に2回繰り
返した。
【0037】このように処理してダイヤモンドの初期核
を生成させた基板を支持台上に載置し、該基板を有する
反応器内に原料ガスとしてメタンガス1.5sccmと
水素290sccmとの混合ガスを導入し、内圧を30
Torrに、基板温度を880℃にして、パワー350
Wで周波数2.45GHzのマイクロ波を導入し、プラ
ズマCVD法によるダイヤモンドの合成反応を10分間
行なった。合成反応終了後に、基板表面をSEM観察す
ることにより、ダイヤモンド初期核の数を計数した。結
果を表1に示した。
【0038】また、上述したダイヤモンド合成を10分
間以上かけて行うことにより、基板上に約2μmの膜厚
のダイヤモンド膜を形成した。このダイヤモンド膜表面
に荷重をかけて擦ることによりダイヤモンド膜の密着性
を評価した(スクラッチ試験)。ダイヤモンド膜が剥離
したときの臨界荷重を表1に示した。なお、得られたダ
イヤモンドのラマン分析の結果、ダイヤモンドに起因す
る1,333cm-1に強いピークが見られた。半値幅は
10cm-1であり、高純度のダイヤモンドであることが
確認された。
【0039】(実施例2〜3、比較例1〜2)負バイア
ス印加プラズマ処理の1回当たりの時間および水素プラ
ズマ処理の1回の当たりの時間を表1に示す時間にし、
この負バイアス印加プラズマ処理および水素プラズマ処
理を繰り返す回数を表1に示す回数にした外は、前記実
施例と同様に実施した。ダイヤモンド初期核の発生密度
およびダイヤモンドの密着性の評価を表1に示す。
【0040】(実施例4)処理用ガスの導入方法とし
て、図1に示すように、水素ガス200sccmを連続
的に流通しておき、ここにメタンガス80sccmを1
0秒間おきに断続的に50回繰り返して導入する方法で
行った。この間、メタンガスの導入に同期して、基板に
負のバイアス電圧(−100V)を印加した。又、この
場合の反応器内圧は平均圧力20Torrにし、基板温
度を920℃にした。その後のダイヤモンドの合成反応
は、前記実施例1と同様にした。これら処理条件及び評
価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】この発明によると、基板に負バイアス印
加プラズマ処理と水素プラズマ処理とを交互に少なくと
も2回繰り返すという特定の前処理を施し基板上にダイ
ヤモンド初期核生成を高密度に生成させた後、該基板上
に気相法によってダイヤモンド(ダイヤモンド膜)を形
成させるという特定の手法を用いているので、各種の基
板の面上にグラファイトやDLC(ダイヤモンド状炭素
質)等の不要な不純物(非ダイヤモンド成分)の少ない
高品質のダイヤモンド膜(つまり高純度の結晶性のよい
ダイヤモンド)を効率よくしかも密着性よく形成させる
ことができ、高性能のダイヤモンド被覆部材もしくは品
質のばらつきの少ない高品質のダイヤモンドを容易に量
産することができるなどの利点を有する実用上著しく有
利なダイヤモンドの合成法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、負バイアス印加プラズマ処理と水素プ
ラズマ処理とを交互に繰り返す処理手順を示す説明図で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に負のバイアス電圧を印加しつつ、
    炭素含有化合物のプラズマまたは炭素含有化合物と水素
    との混合ガスのプラズマで基板を処理する工程と、水素
    ガスのプラズマで基板を処理する工程とを交互に少なく
    とも2回繰り返してから、基板上に気相法によりダイヤ
    モンドを形成させることを特徴とするダイヤモンドの合
    成法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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