JPH0656585A - ダイヤモンド膜の被覆方法 - Google Patents

ダイヤモンド膜の被覆方法

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JPH0656585A
JPH0656585A JP6391392A JP6391392A JPH0656585A JP H0656585 A JPH0656585 A JP H0656585A JP 6391392 A JP6391392 A JP 6391392A JP 6391392 A JP6391392 A JP 6391392A JP H0656585 A JPH0656585 A JP H0656585A
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和明 栗原
Motonobu Kawarada
元信 河原田
Kenichi Sasaki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板へのダイヤモンド膜の被覆方法に関し、
基板上へ密着力の高いダイヤモンド被覆を適用する方法
を実用化することを目的とする。 【構成】 ダイヤモンド膜を成長させる基板上に空隙率
が5〜30%の溶射膜を中間層とするか、更にこの溶射膜
に傷付け処理を行うか、或いは溶射膜を多層構造をとっ
て形成し、この中間層上にダイヤモンド膜を気相成長さ
せることによりダイヤモンド膜の被覆方法を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被処理基板へのダイヤモ
ンド膜の被覆方法に関し、更に詳しくは高い密着力で被
処理基板上に気相合成ダイヤモンド膜を被覆する方法に
関する。ダイヤモンドは炭素(C)の同素体であり、所
謂ダイヤモンド構造を示し、ビッカース硬度は10,000kg
/mm2と大きく、また熱伝導度は2000W/mK と他の材料に
較べて格段に優れており、またバルクを伝播する音速は
18,000m/sと他の材料に較べて格段に速いなどの特徴を
もっている。
【0002】そのため、この性質を利用して各種の用途
が検討されている。例えば、硬度が高いのを利用してド
リルの刃やバイトへの使用や耐摩耗性コーティングとし
ての利用が検討されている。
【0003】また、熱伝導度の高いのを利用して半導体
素子のヒートシンク(Heat-sink) の構成材としての利用
が考えられており、また音速が速いことを利用してスピ
ーカーの振動板などへの実用化が進められている。
【0004】
【従来の技術】ダイヤモンド膜の合成法としては高圧合
成法と低圧合成法があることは周知の通りである。高圧
合成法は大型の単結晶を育成するのに適した方法である
が、高温高圧を要するために装置が大掛かりとなり、ま
た成長速度が著しく遅く、そのためにコストが高くなる
と云う問題があり、デバイス形成には向かない。
【0005】これに対し、低圧合成法には熱フィラメン
ト法、燃焼炎法、マイクロ波プラズマ気相成長法(略し
てマイクロ波プラズマCVD法)、DCプラズマジェッ
トCVD法など各種の方法があり、何れも被処理基板上
に微結晶の形でダイヤモンド膜を成長させることができ
る。
【0006】ここで、マイクロ波プラズマCVD法はマ
グネトロンなどより発生するマイクロ波(μ波)を導波
管によりプラズマ発生室に導き、メタン(CH4) など炭化
水素よりなるソースガスを分解してプラズマ化させ、こ
れを加熱されている被処理基板上に導くことにより炭素
ラジカルがダイヤモンドとなって微結晶を成長させる方
法である。
【0007】また、DCプラズマジェットCVD法は陽
極と陰極の間から水素(H2)と炭化水素、例えば CH4
の混合ガスを反応室に供給すると共に、排気系を動作し
て反応室内を低真空に保持した状態で陽極陰極間にアー
ク放電を生じさせ、混合ガスを分解させてプラズマ化さ
せると、炭素プラズマを含むプラズマジェットは被処理
基板に衝突し、微結晶からなるダイヤモンド膜を成長さ
せる方法である。
【0008】前述の如く、プラズマCVD法により被処
理基板上にダイヤモンド膜を成長させることができる
が、プラズマCVD法には被処理基板との密着性が良く
ないと云う問題がある。
【0009】被処理基板上にCVD法により成長させた
ダイヤモンド膜の基板との密着力を向上させる方法とし
て、 炭化物層などの中間層を設ける、 下地面を凹凸にしアンカー効果を利用する、 などの方法が試みられている。
【0010】すなわち、上記の方法ではタングステン
・カーバイド(WC)やモリブデン・カーバイト(MoC) な
どダイヤモンドとの化学親和力が強い炭化物よりなる中
間層を設けて密着力の向上を図っているが良い結果は得
られていない。
【0011】また、の方法では従来のCVD法は核発
生密度と成膜速度が低く、そのために下地面の凹凸を埋
めて充分なアンカー効果を発揮するほどの厚さにまでダ
イヤモンド膜を成長させることが困難であり、実用化に
は至っていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記した通り、CVD
法により被処理基板上にダイヤモンド膜をかなりの成長
速度で成長させることはできるが、成長したダイヤモン
ド膜と基板との密着力が弱く、その改良法が種々試みら
れているが未だ成功するに至っていない。
【0013】従って、本発明はプラズマCVD法により
基板上にダイヤモンド膜を成長させるにあたり、成長し
たダイヤモンド膜と基板との密着力を向上させることを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、ダイヤ
モンド膜を成長させる被処理基板上に空隙率が5〜30%
の溶射膜を中間層として形成し、該中間層にダイヤモン
ド膜を気相成長させることを特徴とするダイヤモンド膜
の被覆方法が提供される。
【0015】本発明に従えば、被処理基板上に低融点材
料と高融点材料の混合粉末を溶射して高融点の溶射材を
溶射膜表面に粒子状に分散させることにより、その表面
に凹凸を設け、その上にダイヤモンド膜を気相成長させ
ることを特徴とするダイヤモンド膜の被覆方法が提供さ
れる。
【0016】本発明に従えば、ダイヤモンド膜を成長さ
せる被処理基板の表面をブラスト処理し、そのブラスト
処理面にダイヤモンド膜を気相合成させることを特徴と
するダイヤモンド膜の被覆方法が提供される。
【0017】
【作用】本発明の第一の態様は図1に示すように基板1
の上に細かな凹凸のある溶射膜2を薄く形成し、この上
にCVD法によりダイヤモンド膜3を成長させるもので
ある。
【0018】ここで、通常の溶射では平坦な膜が得られ
るが、本発明は空隙率が5〜30%の細かい凹凸のある溶
射膜を用いるもので、この溶射膜の凹部の中にもダイヤ
モンドを核発生させ、成長させてアンカー効果によりダ
イヤモンド膜を強固に結合させるものである。
【0019】ここで、実験の結果によれば、空隙率が5
%より少ないと表面の凹凸が少なすぎて良好なアンカー
効果を得ることができず、また30%を越すと溶射膜自体
の強度が低下してしまうので好ましくない。
【0020】次に、溶射膜2を形成する溶射材としては
基板1と同じ材料を用いると、基板1と溶射膜2との密
着がよく理想的であるが、基板1が鉄(Fe)、ニッケル
(Ni) 、コバルト (Co) 、クローム (Cr) など炭素
(C)を固溶してダイヤモンドが成長しにくい材料から
なる場合には、溶射材としてタングステン(W)、モリ
ブデン(Mo) などの材料を用いれば密着性よくダイヤモ
ンドを成長させることができる。その他の溶射材の例と
してはCu,Ti,Nb,Al2O3 ,ZrO2をあげることができ
る。
【0021】また、基板としてダイヤモンドと熱膨張係
数の大きく異なる材料を用いる場合には溶射層の構成材
料として中間の熱膨張係数をもつ材料を用いて溶射層を
構成すれば熱応力を緩和することができる。また、この
場合に溶射膜を一層でなく複数層の構成とすれば更に熱
応力の影響を緩和することができる。なお、アンカー効
果を高めるためには溶射膜表面でのダイヤモンドの核発
生密度を向上することが必要であって、溶射膜の表面に
傷付け処理を行った後にダイヤモンドのCVD成長を行
うことが好ましい。
【0022】前述の如く、本発明の第二の態様では基板
表面に、凹凸のある層を溶射により形成し、その上にダ
イヤモンド膜を成長させることにより、この溶射中間層
の凹部の中にもダイヤモンドを核発生、成長させ、アン
カー効果によりダイヤモンド膜を下地基板と強固に結合
させんとするものであり、具体的には溶射粉末を低融点
の材料と高融点の材料との混合物とし、高融点材料粉末
が粒子状に溶射膜中および表面に存在するようにするこ
とで、溶射膜の表面の凹凸を強調し、高いアンカー効果
が得られるようにしたものである。
【0023】図2は本発明の第二の態様によるダイヤモ
ンド被覆膜の断面の構造を示すもので、図において、4
は下地基板、5は溶射膜、6は高融点溶射材粒子、7は
低融点溶射材、8はダイヤモンド膜を示す。
【0024】本発明の第二の態様では、溶射膜5表面の
凹部にダイヤモンドが入り込むことにより、アンカー効
果でダイヤモンド膜は強固に下地基板と接着される。こ
こで重要なのは溶射膜の内部組織および表面の構造であ
る。通常溶射では、プラズマの高温で溶融した溶射粉末
が液滴となって基板表面に衝突し、そこで液滴が偏平し
広がって膜が形成される。偏平率が高い程、緻密な膜と
なり表面平滑度は高い。偏平率が低いと膜はポーラスと
なり表面の凹凸が大きくなる。従って、アンカー効果を
高めるため溶射膜表面の凹凸を大きくしようとすると、
膜はポーラスとなり強度が低下するおそれがある。
【0025】本発明はこのような問題点を解決し、緻密
で表面の凹凸が大きい溶射膜を形成するようにしたもの
である。具体的には高融点の粉末6と低融点の粉末7と
を同時に溶射し、高融点材6を粒子状に低融点材7の溶
射膜に分散させることで、緻密な溶射膜を得るとともに
高融点材粒子6が表面に出っ張った凹凸の大きい状態を
得るようにしたものであ。
【0026】更に溶射膜形成後、表面の低融点材だけま
たは、高融点材だけをエッチングにより除去すると、表
面の凹凸はさらに大きくなり都合が良い。
【0027】溶射材はダイヤモンド合成時の温度 (600
℃以上) で安定であれば、原則としてどのようなもので
も構わないが、炭素を固溶しやすい金属 (Fe,Ni,Co,
Cr等) はあまり好ましくない。好ましい溶射材を融点の
低い順に例示すれば、Al,Cu,Si,Nb,Ti,Mo,W,Si
O2,Al2O3 ,ZrO2,SiC ,WC,Mo2C等である。
【0028】溶射粉末は、図3の(A) に示すように、低
融点材粉末7と高融点材粉末6がまざったものでなくと
も良く、むしろ、図3の(B) に示すように、高融点材粉
末6が低融点材7中に分散してできている粉末や、図3
の(C) に示すように、低融点材粒子7と高融点材粒子6
とが均一に凝集して二次粒子となっている粉末の方が、
粉末供給の点で好ましい。溶射材は低融点と高融点の2
種類だけでなく、融点の異なる3種類又はそれ以上の材
料を用いることもできる。更に低融点溶射材7は基板4
と同じ材料であると、基板4と溶射膜5との間の密着性
が一層高く、本発明の目的に対して都合が良い。
【0029】通常の溶射と同じように、基板4の表面を
ブラスト処理することによって、基板4と溶射膜5との
密着性を更に上げることができる。
【0030】基板がダイヤモンドが成長しにくいような
材料(例えば、炭素を固溶しやすいFe,Ni,Co,Cr等)
の場合には、溶射材として他の材料を選択すれば、この
ようなダイヤモンドが形成しにくい基板の上にも、密着
性良くダイヤモンドを成長させることができる。更に基
板が熱膨張係数がダイヤモンドと大きく異なる材料の場
合、溶射層をダイヤモンドと基板材料との間の熱膨張係
数を持つようにすることで、熱応力を緩和させることが
できる。なお、溶射層は一層だけでなく、組成や材料の
異なる多層構造でも構わない。
【0031】アンカー効果を高めるためには溶射膜表面
でのダイヤモンドの核発生密度を高くすることが重要で
あるので、ダイヤモンドを製膜する前に、溶射膜表面に
傷付け処理することが好ましい。
【0032】前述の如く、本発明の第三の態様では基板
表面をブラスト処理した後にダイヤモンド膜を成長させ
ることで、ダイヤモンド膜を基板と強固に結合させよう
とするものである。
【0033】本発明においてブラスト処理とは、通常、
溶射の前処理として溶射膜と基板との密着性を高めるた
めに行われる表面処理方法でダイヤモンド粉末、窒化物
粉末、炭化物粉末、炭窒素化物粉末及びこれらの混合物
を主材料とした粉末、特に、炭化ケイ素(SiC) やタング
ステンカーバイド (WC) などの研磨材を高速で基板表面
にぶつけ、その表面に細かい凹凸を形成し、アンカー効
果で溶射膜と基板との密着性を高めるものである。本発
明はこのブラスト処理をダイヤモンド膜被覆に応用し、
アンカー効果により高い密着力を得ようとするものであ
る。また、ブラスト処理により基板表面に導入された傷
や欠陥はダイヤモンドの核発生サイトとなるためダイヤ
モンドの核発生密度を高めて、やはり密着性を向上させ
る効果になる。
【0034】アンカー効果を高めるためには基材表面に
均一に高い密度でダイヤモンドの核を発生させることが
重要であるのでダイヤモンドを製膜する前に、核発生密
度を高めるための表面処理を更に行ってもかまわない。
このような表面処理は、例えば、ダイヤモンド粉末を分
散させた液中に基板を浸漬して超音波処理などを施すこ
とにより、基板表面上に微細な傷をつけることができ
る。
【0035】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に詳細に説
明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するも
のでないことはいうまでもない。
【0036】実施例1 本発明では基板として、20mm角で厚さが5mmのタングス
テン板を用いた。そして、平均粒径が50μm のタングス
テンを用い、溶射ガスとしてアルゴンを用い、出力10kW
の条件でプラズマ溶射を行い、厚さが約50μm で空隙率
が20%の溶射膜を形成した。
【0037】次に、この基板を平均粒径2μm のダイヤ
モンド粒子を分散させたアルコールに浸漬し、15分間に
亙って超音波振動を加えて基板上の溶射膜を傷付け処理
した。次に、この基板を本発明者らが開発したDCプラ
ズマジェットCVD装置(特開昭64-33096号公報参照)
に装着し、CVD成長を行って基板上の溶射膜表面に厚
さ50μm のダイヤモンド膜を形成した。
【0038】この試料についてダイヤモンド膜の密着強
度を測定したところ、約 100kg/cm2以上でダイヤモンド
膜の表面に付けた治具が剥がれてしまい、正しい値を得
ることができなかった。
【0039】一方、溶射膜の形成及び超音波傷付け処理
を行わなかった以外は実施例1と同様にして、上記タン
グステン板に直接DCプラズマジェットCVD法により
ダイヤモンド膜を形成した。得られたダイヤモンド膜の
密着力は 1.0kg/cm2以下であり、本発明方法によりダイ
ヤモンド膜の密着力が大幅に向上していることが判っ
た。
【0040】実施例2 本例では、基板として20mm角で厚さが5mmのインコネル
(Ni-16Cr-8Fe) を用いた。そして、溶射材として平均
粒径が5μm のモリブデンを用い、溶射ガスとしてアル
ゴンを用い、出力10kWの条件でプラズマ溶射を行い、基
板上に厚さが約50μm で空隙率が15%の溶射膜を形成し
た。
【0041】以下、実施例1と同様にしてダイヤモンド
粒子による超音波傷付け処理を施し、その表面に厚さが
50μm のダイヤモンド膜を形成した。この試料について
ダイヤモンド膜の密着強度を測定したところ、100kg/cm
2 以上であった。一方、溶射膜の形成及び超音波傷付け
処理を行わなかった以外は実施例2と同様にしてインコ
ネルに直接ダイヤモンド膜を形成しようとした場合には
成膜することができなかった。
【0042】実施例3 基板として20mm角で厚さが5mmの窒化アルミニウム(Al
N) を用いた。次に、この基板上にプラズマ溶射法を用
いてアルミナ50μm, Cu 30μm, Ti 50μm からなる三層
の溶射膜を形成した。なお、Ti膜の空隙率は10%であっ
た。
【0043】以下、実施例1と同様にしてダイヤモンド
粒子による超音波傷付け処理を施し、その表面に厚さが
50μm のダイヤモンド膜を形成し、この試料についてダ
イヤモンド膜の密着強度を測定したところ、100kg/cm2
以上であった。一方、溶射膜の形成及び超音波傷付け処
理を行わなかった以外は実施例3と同様にして、AlN 基
板に直接ダイヤモンド膜を形成した場合の密着力は 1.0
kg/cm2以下であった。
【0044】実施例4 基板として20mm角、厚さ5mmのCu板を用い、その表面を
タングステンカーバイド(WC)粒子を用いてブラスト処
理し、その上に厚さ約50μm の溶射膜をプラズマ溶射に
て形成した。溶射粉末としては、図3(B) のように、平
均粒径5μm のモリブデン(Mo)粒子が銅(Cu)中に分
散している平均粒径50μm の粉末を用い、Moの体積比は
50%であった。溶射条件は大気中で溶射ガスとしてアル
ゴンを用い、出力10kWであった。次にCu用のエッチング
液(硝酸水溶液)を用いて、溶射膜表面のCuのみを約2
μm エッチングし、Mo粒子が表面に出るようにして、表
面の凹凸を更に大きくした。これを平均粒径2μm のダ
イヤモンド粒子を分散させたアルコール中に浸し、室温
で15分間、超音波振動を加え、傷付け処理した。得られ
た基板を、本発明者らの開発したDCプラズマジェット
CVD装置(特開昭64-33096号公報参照) に装着し、表
面に厚さ約 100μm のダイヤモンド膜を被覆した。ダイ
ヤモンド膜の被覆条件は水素50リットル/min、メタン1
リットル/min、圧力50Torr、放電出力6kW、合成時間1
hrとした。上で得られた試料についてダイヤモンド膜の
密着強度を測定したところ、約 200kg/cm2以上で、ダイ
ヤモンド膜の表面につけた治具がはがれてしまい、正し
い値を得ることができなかった。
【0045】一方、プラズマ溶射膜の溶射並びにそれに
続くエッチング及び超音波傷付け処理を行わなかった以
外は実施例4と同様にしてCu板に直接ダイヤモンド膜を
被覆させた試料は、製膜後、試料を室温に下げる間に剥
離してしまい密着強度を測定することさえできなかっ
た。
【0046】実施例5 基板として、20mm角、厚さ5mmのインコネル(Ni-16Cr-
8Fe) 、溶射材として平均粒径5μm のWC粒子 80vol%
と平均粒径1μm のCo粒子 20vol%を造粒した平均粒径
50μm の、図3(C) に示したような粉末を用い、実施例
4と同様にして、溶射層50μm 形成後、表面のCoをエッ
チングしてダイヤモンド膜を 100μm 形成したところ、
密着力が 200kg/cm2以上のダイヤモンド膜が得られた。
【0047】一方、プラズマ溶射並びにこれに続くエッ
チング及び超音波傷付け処理を行わなかった以外は実施
例5と同様にして、インコネルに直接ダイヤモンド製膜
を試みたところダイヤモンドは製膜できなかった。
【0048】実施例6 下地基板として20mm角、厚さ5mmのモリブデン(Mo) 板
を用い、その表面を炭化ケイ素(SiC) 粒子を用いてブラ
スト処理した。ブラスト条件は、粒度 100メッシュ、ブ
ラスト圧力3kg/cm2、時間は10分とした。このようにし
て得られたブラスト処理基板を平均粒径2μm のダイヤ
モンド粒子を分散させたアルコール中に浸し、15分間、
超音波振動を加え、さらに傷付け処理をした。次に、得
られた基板を本発明者らが先に開発したDCプラズマジ
ェットCVD装置(特開昭64-33096号公報)に装着し、
基板表面に厚さ約 100μm のダイヤモンド膜を被覆し
た。
【0049】この試料についてダイヤモンド膜の密着強
度を測定したところ、約 200kg/cm2以上で、ダイヤモン
ド膜の表面に付けた治具が剥がれてしまい、正しい値を
得ることができなかった。
【0050】一方、ブラスト処理及び超音波傷付け処理
をしなかった以外は、実施例6と同様にして、モリブデ
ン(Mo)板に直接ダイヤモンド膜を被覆させた。得られ
た試料は、製膜後、試料を室温に下げる間に剥離してし
まい、密着強度を測定することさえできなかった。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
により、基板とダイヤモンド膜との間の密着強度が 100
kg/cm2以上のダイヤモンド被膜を得ることができ、例え
ば本発明を適用してダイヤモンドを被覆した工具や治具
は従来のものに較べ数倍から数10倍の長寿命化が期待で
きることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したダイヤモンド膜の断面構造を
示す模式図である。
【図2】本発明の第二の態様を適用したダイヤモンド膜
の断面構造を示す模式図である。
【図3】本発明の第二の態様で用いる溶射粉末の状態を
模式的に示す図面である。
【図4】本発明の第三の態様を適用したダイヤモンド膜
の断面構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1…基板 2…溶射膜 3…ダイヤモンド膜 4…基板 5…溶射膜 6…高融点溶射材(粒子) 7…低融点溶射材(粒子) 8…ダイヤモンド膜 9…基板 10…ブラスト処理面 11…ダイヤモンド膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド膜を成長させる被処理基板
    上に空隙率が5〜30%の溶射膜を中間層として形成し、
    該中間層上にダイヤモンド膜を気相成長させることを特
    徴とするダイヤモンド膜の被覆方法。
  2. 【請求項2】 前記記載の溶射膜に傷付け処理を施して
    ダイヤモンド膜を気相成長させる請求項1記載のダイヤ
    モンド膜の被覆方法。
  3. 【請求項3】 前記記載の溶射膜が多層構造をとって構
    成されている請求項1記載のダイヤモンド膜の被覆方
    法。
  4. 【請求項4】 被処理基板上に低融点材料と高融点材料
    の混合粉末を溶射して高融点の溶射材を溶射膜表面に粒
    子状に分散させることにより、その表面に凹凸を設け、
    その上にダイヤモンド膜を気相成長させることを特徴と
    するダイヤモンド膜の被覆方法。
  5. 【請求項5】 前記溶射膜形成の前に、基板表面をブラ
    スト処理して溶射膜の密着性をあげる請求項1又は4記
    載のダイヤモンド膜の被覆方法。
  6. 【請求項6】 前記溶射膜の形成後、表面の低融点材の
    みもしくは高融点材のみをエッチングにより除去し、表
    面の凹凸をさらに大きくする請求項4記載のダイヤモン
    ド膜の被覆方法。
  7. 【請求項7】 前記溶射膜の形成後、その表面を傷付け
    処理してダイヤモンドの核発生密度を上げた後にダイヤ
    モンド膜を気相成長させる請求項4又は5に記載のダイ
    ヤモンド膜の被覆方法。
  8. 【請求項8】 ダイヤモンド膜を成長させる被処理基板
    の表面をブラスト処理し、そのブラスト処理面にダイヤ
    モンド膜を気相合成させることを特徴とするダイヤモン
    ド膜の被覆方法。
  9. 【請求項9】 前記ブラスト処理に使用するブラスト粉
    末が、ダイヤモンド、炭化物、窒化物、炭窒素化物及び
    これらの混合物を主材料とした粉末である請求項8記載
    のダイヤモンド膜の被覆方法。
  10. 【請求項10】 前記被処理基板をダイヤモンド粉末を分
    散させた液体中に浸して振動を与え、被処理基板表面に
    微細な傷をつけた後、ダイヤモンドの気相成長を行う請
    求項8又は9に記載のダイヤモンド膜の被覆方法。
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JP2697751B2 (ja) 1998-01-14

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