JP2978023B2 - 合成ダイヤモンドフィルムの製造方法 - Google Patents

合成ダイヤモンドフィルムの製造方法

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JP2978023B2 JP5027857A JP2785793A JP2978023B2 JP 2978023 B2 JP2978023 B2 JP 2978023B2 JP 5027857 A JP5027857 A JP 5027857A JP 2785793 A JP2785793 A JP 2785793A JP 2978023 B2 JP2978023 B2 JP 2978023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成ダイヤモンド、より
詳しくは、合成ダイヤモンドフィルムの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ダイヤ
モンドは窓材、種々用途の自立ドーム構造物、平面や非
平面構造物に使用するに好適な数多くの特性を有する。
これらの特性には高い硬度、特定の電磁波に対する優れ
た透過性がある。またダイヤモンドは、無比な熱伝導体
であり、熱に安定であり、電気絶縁体である。しかしな
がら、天然ダイヤモンドをかなりの大きさを要する用途
に使用するには著しく費用が高く、特定の形状に成形す
ることは困難である。
【0003】近年、種々の形状の表面に合成ダイヤモン
ドを堆積させ、工具の表面やデバイスの上にダイヤモン
ドフィルムや層を形成させるための多数の技術が開発さ
れている。これらの技術はいわゆる高圧高温(HPHT)法と
化学蒸着(CVD) 法を含む。CVD 法はプラズマ堆積法を含
み、例えば、アーク放電を使用して炭化水素と水素のプ
ラズマを形成する。得られたプラズマは集束用及び加速
用の磁石を使用して基材の方向に集束及び加速させるこ
とができる。
【0004】特定の用途に必要な形状を有するダイヤモ
ンドフィルムを得るためには、ダイヤモンドの堆積を適
切な形状に容易に形成させることができる基材を有する
ことが望ましい。グラファイトはこのような材料であ
り、例えば化学蒸着によってグラファイト基材の表面上
に合成ダイヤモンドフィルムを堆積させることが提案さ
れている。必要により、次にグラファイトを取り除き、
所望の形状の自立するダイヤモンドのフィルムまたは層
を残すことができる。熱膨張率がダイヤモンドフィルム
と比較的近いグラファイトを提供することは可能であ
り、この点においてグラファイトはダイヤモンドフィル
ムの堆積に好都合である。しかしながら、結晶学的不一
致及び堆積する炭素がグラファイトとなる傾向のため、
概してダイヤモンドフィルムはグラファイトの上に良好
に堆積しない。
【0005】従って、本発明はグラファイト基材の上に
合成ダイヤモンドフィルムを堆積するための改良方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用効果】本発明者ら
は、グラファイト基材の上の合成ダイヤモンドの堆積
は、金属の薄い中間層、特にはモリブデンまたはタング
ステンを提供することによって、大幅に改良できること
を見出した。従来技術において、これらの金属そのもの
が化学蒸着による合成ダイヤモンドの堆積に使用されて
いる。例えば、欧州特許出願公開第 0376694号明細書が
参考にできる。本発明においては、金属の薄い層が堆積
する合成ダイヤモンドの接着を容易にする。また、金属
は熱膨張率の面からダイヤモンドに良好に適合しないこ
とがよくあるため、金属の薄い層を使用する。
【0007】グラファイト基材は、好ましくは、例えば
最大気孔径が約10μm より小さい比較的微細な気孔を有
するであろう。金属層は連続し、気孔がなく、グラファ
イトの研磨した表面の気孔を封止すべきである。これら
の条件に加え、以降に堆積されるダイヤモンドとの熱応
力の不一致を最小限度にするために、金属層は出来るだ
け薄く、好ましくは5〜100 μm の範囲であるべきであ
る。最も好ましい厚さは、最大気孔径の約1〜2倍であ
る。所望により、堆積したダイヤモンドフィルムは、例
えばグラファイトを研削し、金属をエッチングして基材
と中間層から取り外すことができる。
【0008】本発明の更なる特徴と長所は、次の実施例
と添付の図面より容易に明らかになるであろう。
【0009】
【実施例】図1を参照して、本発明の実施態様に従って
合成ダイヤモンドフィルムを製造するために使用するこ
とができる工程の操作作業系統図を示す。ブロック110
はグラファイト基材の提供を示す。グラファイト基材
は、例えば最大気孔径が約10μm より小さい比較的微細
な気孔径を有することが好ましい。また、合成ダイヤモ
ンドとほぼ等しい熱膨張率を有するグラファイトを選択
することが好ましい。グラファイト基材は機械加工やそ
の他の方法で所望の形状とすることができる。ブロック
120 はダイヤモンドフィルムを堆積する基材の表面の研
磨と洗浄を示す。研磨は例えばラッピングによって行う
ことができ、好ましくは気孔径よりも滑らかに研磨すべ
きである。研磨した基材の表面は、次いで超音波洗浄器
を使用して洗浄することができる。次にブロック130 に
示したように、調製したグラファイトの表面に金属層を
適用する。金属層は連続し、気孔がなく、研磨したグラ
ファイトの表面の気孔を封止すべきである。これらの条
件に加え、以降に堆積されるダイヤモンドとの熱応力の
不一致を最小限度にするために、金属層は出来るだけ薄
く、好ましくは5〜100 μm の範囲であるべきである。
最も好ましい厚さは、最大気孔径の約1〜2倍である。
モリブデンとタングステンは金属層として好ましい金属
であり、これまでの検討ではモリブデンが最も好まし
い。金属はグラファイトと良好に接着し、品質の優れた
合成ダイヤモンドをその上に堆積させることができる。
金属層は、化学蒸着(CVD) や物理蒸着(PVD) のような、
あらゆる適切な手段で堆積させることができる。
【0010】ブロック160 は金属層の上のダイヤモンド
フィルムの堆積を示す。ダイヤモンドフィルムは、好ま
しくは化学蒸着(CVD) 法、例えば図5に記したプラズマ
ジェット堆積法を用いて堆積させる。所望により、次に
ダイヤモンドフィルムを、例えばグラファイトを研磨
し、金属をエッチングして (ブロック180)基材と金属中
間層から取り外すことができる。
【0011】図2はグラファイト基材10(板状を示した
が、あらゆる形状であってよい)、金属中間層30、及び
合成ダイヤモンド層50の構造を示す。本発明の方法の、
金属中間層を堆積することができる方法には種々の方法
がある。図3、4は化学蒸着(CVD) 法を示す。図3は石
英チューブ315 を用いた垂直フローCVD 反応器310 を示
す。石英チューブ315 の中でグラファイト基材320(調製
した表面321)を支持ロッド330 に装着し、支持ロッド33
0 は石英チューブ315の中心に固定する(固定手段は図
示せず)。RF誘導コイル350 は基材の位置で石英チュー
ブを囲む。操作において、例えば六フッ化モリブデン(M
oF6)と水素(H2)の反応ガスを石英チューブ315 に供給し
(供給源は図示せず)、RF誘導コイル350 によって加熱
した基材320 の表面321 上で反応させる。六フッ化金属
は水素によって還元され、金属が基材の表面上に堆積す
る。排ガスは真空ポンプ(図示せず)で排気する。
【0012】図4は金属中間層のこの他のCVD 堆積法を
示し、ベルジャー型反応器410 を使用する。ベルジャー
415 がベース板405 を覆う。絶縁用受け器412 をベース
板405 に乗せ、電気加熱素子のような加熱素子413 を取
り付ける(電圧印加手段は図示せず)。調製した表面42
1 を有する基材420 を加熱素子413 に乗せる。ガス注入
ライン470 を供給ガス源(図示せず)に接続する。供給
ガスは、例えばモリブデンやタングステンのカルボニル
でよい。堆積する金属がモリブデンのときは、Mo(CO)6
が使用される。ガスラインの出口は一般に基材の表面に
向ける。金属カルボニルは高温の基材の上で分解し、金
属層が堆積する。COのような排ガスは排ガスライン480
で真空ポンプ(図示せず)に排気する。
【0013】図5を参照して、本発明の態様の実施に使
用できる型式のプラズマジェット堆積装置200 の略図を
示す。装置200 は真空室211 に納められ、円筒形の陽極
291、ロッド状の陰極292 、及び注入した流体が陰極292
を通り過ぎるように陰極に隣接して装着したインジェ
クター295 を含んでなるアーク形成部分215 を含む。示
した装置において、注入する流体は水素とメタンの混合
物であってよい。陽極291 と陰極292 には、例えば直流
の電圧を電源(図示せず)より印加する。円筒形の磁石
217 はアーク形成部分で発生したプラズマを制御するた
めに使用する。磁石はプラズマが堆積領域60に到達する
までプラズマを狭いカラムに保持する。中を液体窒素が
循環できる冷却コイル234 を磁石の内側に配置し、集束
したプラズマを囲む。
【0014】操作において、水素とメタンの混合物をイ
ンジェクター295 に供給し、アーク形成部分の前方でプ
ラズマが生成し、堆積領域の方向に加速され集束する。
プラズマ形成領域の温度と圧力は、典型的にそれぞれお
よそ1500〜1700℃、100 〜700Torr の範囲であり、堆積
領域は典型的にそれぞれおよそ 800〜1100℃、10〜200T
orr の範囲である。従来技術において知られているよう
に、上記のプラズマより合成多結晶ダイヤモンドを形成
することができ、メタン中の炭素は選択的にダイヤモン
ドとして堆積し、形成するグラファイトはガス化を促進
する水素と結合して飛散する。
【0015】チャンバ−の底部分105Aには、その上に合
成ダイヤモンドを堆積させる金属層30を備えたグラファ
イト基材10を装着できるベース106 を配置する。ベース
は温度制御部を含むことができる。なお、この他の堆積
法も使用できることが理解されるであろう。例1 Union Carbide 社販売のグレードCSグラファイトの円板
の表面を機械加工し、直径約2インチの平らでほぼ円形
の表面を提供した。最大気孔径は約 100μm であった。
この表面を 400グリットのサンドペーパーを用いて研磨
し、次いで超音波で洗浄した。図3に示した型式の装置
をグラファイトの表面にモリブデンを堆積させるために
使用した。用いた条件を次に示す。
【0016】 圧力 : 25Torr 温度 : 900℃ MoF6流量 : 25Ncm3 H2流量 : 250Ncm3 堆積は25分間続けて行い、得られたモリブデン層は約80
μm の厚さであった。モリブデン層を有する基材を、次
いでメタンと水素の供給ガスを使用して合成ダイヤモン
ドを堆積させるために、図5に示した型式の装置に設置
した。ダイヤモンドの堆積は、得られるダイヤモンド層
が約 500μm の厚さとなるまで続けた。ダイヤモンドは
基材の表面に良好に接着して成長し、クラックは生じな
かった。次にダイヤモンドの表面を支持用ジグに固定
し、グラファイト基材を研磨して除いた。金属層は硝酸
とフッ化水素酸の溶液でエッチングして除去した。
【0017】例2 例1と同様なグレードCSグラファイトの円板の表面を例
1の記載と同じ方法で調製し、同様な表面の特性を得
た。図4に示した型式の装置をグラファイトの表面にモ
リブデンを堆積させるために使用した。用いた条件を次
に示す。 ベルジャー圧力 : 4Torr 基材温度 : 500℃ Mo(CO)6源温度 : 70℃ 堆積は30時間続けて行い、得られたモリブデン層は約15
μm の厚さであった。例1と同じ装置で例1と同様な堆
積条件を用い、約 500μm の厚さの合成ダイヤモンド層
を堆積させた。この例でもダイヤモンドは基材の表面に
接着して良好に成長し、クラックは生じなかった。次に
ダイヤモンドフィルムを例1と同様な方法で分離した。
【0018】例3 平らなグラファイト板(4インチ×4インチ×1/4 イン
チ)にタングステンのプラズマを照射し、次いで 400グ
リットのサンドペーパーで研磨した。タングステンの厚
さは約 0.003インチであった。合成ダイヤモンドを例1
と同じ装置を使用して堆積させた。ダイヤモンドは良好
に堆積して接着した。グラファイトとタグステンを例1
と同様にして取り除いた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施態様の工程の操作作業系統
図である。
【図2】本発明の実施態様によって得たグラファイト基
材、金属中間層、合成ダイヤモンド層の構造を示す。
【図3】本発明の方法の実施態様に用いるための金属層
の堆積に使用できる垂直フローCVD反応器の略図であ
る。
【図4】本発明の方法の実施態様に用いるための金属層
の堆積に使用できるベルジャー型 CVD反応器の略図であ
る。
【図5】本発明の方法の実施態様に使用するための合成
ダイヤモンドの CVD堆積に使用できるプラズマジェット
堆積装置の略図である。
【符号の説明】
10…グラファイト基材 30…金属中間層 50…合成ダイヤモンド層 110…グラファイト基材の提供 130…金属層の堆積 200…プラズマジェット堆積装置 310…垂直フローCVD 反応器 410…ベルジャー型反応器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−97697(JP,A) 特開 平1−138110(JP,A) 特開 平6−17251(JP,A) 特開 平4−119995(JP,A) 特開 昭63−195196(JP,A) 特開 平3−141110(JP,A) 特開 昭62−202897(JP,A) P.O Joffereau et al.,”Low−Pressure Diamond Growth on Refractory Metal s,”Inst.Chem.Techn ol.Inorg.Mater.,De c.1988,pp.186−194 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 28/00 - 35/00 CA(STN) EPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラファイト基材を提供し、 前記基材の表面の実質的に全ての気孔を覆うのに十分な
    厚さの金属層を前記表面上に堆積させ、そして前記金属
    層の上にアークジェットを用いて合成ダイヤモンド層を
    堆積させる、各工程を含むことを特徴とするダイヤモン
    ドフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属層がモリブデン及びタングステ
    ンからなる群より選択された金属を含む請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 前記金属層が5〜 100μm の範囲の厚さ
    を有する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 該前記金属層が5〜 100μm の範囲の厚
    さを有する請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記金属層が前記グラファイト基材の最
    大気孔径の1〜2倍の厚さを有する請求項1記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 前記金属層が前記グラファイト基材の最
    大気孔径の1〜2倍の厚さを有する請求項2記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤモンド層を化学蒸着によって
    堆積させる請求項1、2、4または6のいずれか1項記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 前記金属層を蒸着法によって堆積させる
    請求項1、2、4、6または7のいずれか1項記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記合成ダイヤモンド層から前記グラフ
    ァイト基材と前記金属層を除去する工程を更に含む請求
    項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】 グラファイト基材を提供し、前記基材
    の表面上にアークジェットを用いて合成ダイヤモンドフ
    ィルムを堆積させる各工程を含む合成ダイヤモンドの製
    造方法において、前記合成ダイヤモンド層を適用する前
    に、前記基材の表面の実質的に全ての気孔を覆うのに十
    分な厚さであって薄い金属層を、前記基材の表面上に堆
    積させることを特徴とする合成ダイヤモンドの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記金属層がモリブデン及びタングス
    テンからなる群より選択された金属を含む請求項10記
    載の方法。
  12. 【請求項12】 前記金属層が5〜 100μm の範囲の厚
    さを有する請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記金属層が5〜 100μm の範囲の厚
    さを有する請求項11記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記金属層が前記グラファイト基材の
    最大気孔径の1〜2倍の厚さを有する請求項10記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 前記金属層が前記グラファイト基材の
    最大気孔径の1〜2倍の厚さを有する請求項11記載の
    方法。
  16. 【請求項16】 前記ダイヤモンド層を化学蒸着によっ
    て堆積させる請求項10、11、13または15のいず
    れか1項記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記金属層を蒸着法によって堆積させ
    る請求項10、11、13、15または16のいずれか
    1項記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記合成ダイヤモンド層から前記グラ
    ファイト基材と前記金属層を除去する工程を更に含む請
    求項9〜17のいずれか1項記載の方法。
JP5027857A 1992-02-17 1993-02-17 合成ダイヤモンドフィルムの製造方法 Expired - Lifetime JP2978023B2 (ja)

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