JPH05270982A - ダイヤモンド膜の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド膜の製造方法

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JPH05270982A
JPH05270982A JP7143592A JP7143592A JPH05270982A JP H05270982 A JPH05270982 A JP H05270982A JP 7143592 A JP7143592 A JP 7143592A JP 7143592 A JP7143592 A JP 7143592A JP H05270982 A JPH05270982 A JP H05270982A
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diamond
substrate
gas
diamond film
treatment
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JP7143592A
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Satoshi Katsumata
聡 勝又
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、グラファイトやダイヤモ
ンド状炭素等の非ダイヤモンド成分のない高品質のダイ
ヤモンドを密着性良く合成する方法を提供することを目
的とする。 【構成】 この発明のダイヤモンド膜の製造方法は、負
の電圧を印加した基板に熱フィラメントCVD処理を
し、次いで、基板に正の電圧を印加しつつ電子衝撃CV
D法を用いて基板表面にダイヤモンド膜を形成すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はダイヤモンド膜の合成
法に関し、さらに詳しく言うと、基板上にグラファイト
やDLC(ダイヤモンド状炭素質)等の不要な不純物の
少ない、高品質で、しかも品質の一定したダイヤモンド
膜を効率よく形成することができ、密着性に優れた高性
能のダイヤモンド被覆部材(たとえば、切削工具、研磨
工具等のダイヤモンド工具類や耐摩耗性部材等)や高特
性のダイヤモンド半導体素子等の電子・電気材料などの
製造、あるいは、高品質のダイヤモンドの製造など各種
のダイヤモンド利用素材もしくはダイヤモンド利用製品
の製造分野に好適なダイヤモンドの合成法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】ダイヤモ
ンドは、硬度、耐摩耗性が高いので、切削や研磨などの
工具用等として多用されている。また、電気的性質にお
いても優れた特性を有することから半導体デバイスの素
材等としても有望視されている。このような用途に工業
的に対応するには、高価な天然のダイヤモンドに依存せ
ずに合成ダイヤモンドを利用する必要があり、そのた
め、高品質のダイヤモンドを一定の品質を維持しながら
量産化する技術の開発が強く要求されている。
【0003】このように、近年においては、合成ダイヤ
モンドを利用する傾向が増加してきており、これに合わ
せてダイヤモンドの合成法の開発および改善はますます
重要となってきている。特に、ダイヤモンドを各種の基
板上にCVD法等の気相合成法によって薄膜として形成
させる技術の研究が盛んに行われており、この気相合成
法によって得たダイヤモンド被覆部材を切削工具、研磨
工具、摺動部材等として、あるいは、半導体デバイス等
として実用化するための技術開発が進められている。こ
の気相合成法によると製造コストの低減及び量産化が期
待できる。
【0004】しかしながら、気相合成法によって得られ
るダイヤモンド膜には、通常、グラファイトやDLC
(ダイヤモンド状炭素質)といったダイヤモンド以外の
炭素質成分が含まれていることが多く、そのために、品
質が低下したり、一定にならないなどの問題点がある。
また、基材の表面とダイヤモンド被膜とは、一般に密着
性が悪い。それ故に、この密着性を向上させるために様
々な提案がなされている。一方、生産性を向上させるに
はダイヤモンド膜の形成を容易にするための工夫を要す
る。従来法では、下記に示すように、これらの点を十分
に解決するにいたっていない。
【0005】基板上に気相合成法によりダイヤモンド膜
を形成するにあたっては、基板にそのままではダイヤモ
ンド膜を密着性良く形成することができないので、機械
的な方法、たとえば、ダイヤモンド砥粒などを用いて傷
付け処理をする、あるいは有機溶媒例えばアセトン中に
ダイヤモンド砥粒を懸濁する懸濁液に基板を浸漬しつつ
超音波を照射するなどの所謂傷付け処理をし、基板上に
ダイヤモンド初期核の成長点を生成させ、ダイヤモンド
膜を形成するのが一般的である。ところが、このような
傷付け処理をする方法は、基板を一旦前記懸濁液中に浸
漬し、その後洗浄、乾燥といった機械的処理を繰り返さ
なければならないので、ダイヤモンド膜の工業的製造と
いう観点からは不利なプロセスであり、しかもダイヤモ
ンドの生成効率がなお不十分であるなどの理由によっ
て、工業的な生産法としては不満足であり、また、得ら
れる製品も一定の品質を維持し難いという問題がある。
【0006】これを改良する方法として、基板に負のバ
イアス電圧を印加し、高濃度のメタンを含むメタンと水
素の混合ガスを用いてプラズマ処理し、高密度にダイヤ
モンド核を生成させる方法が提案されている[App
l.Phys.Lett.,58(10),1036−
1038(1991)]。しかしながら、この従来法で
は、ダイヤモンドの合成条件が最適でないため、結合力
の弱い炭素すなわちグラッシーカーボン等が析出するの
でダイヤモンドの結晶性が低く、しかも基板に対する密
着性が悪い。また、水素プラズマを基板の表面に接触さ
せる前処理方法も知られていはいるが、この前処理だけ
では十分なダイヤモンド初期核の形成を期待することが
できない。
【0007】この発明は、前記事情を改善するためにな
されたものである。この発明の目的は、各種の基板の面
上にグラファイトやDLC(ダイヤモンド状炭素質)等
の不純物の少ない高品質のダイヤモンド膜を、高いダイ
ヤモンド初期核の発生密度をもって形成し、基板に対す
る密着性の高いダイヤモンド膜を容易に量産することが
できるなどの利点を有する、ダイヤモンドの合成法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、負の電圧を印加した基板に
熱フィラメントCVD処理をし、次いで、基板に正の電
圧を印加しつつ電子衝撃CVD法を用いて基板表面にダ
イヤモンド膜を形成することを特徴とするダイヤモンド
膜の製造方法であり、請求項2に記載の発明は、前記熱
フィラメントCVD処理の後に水素プラズマ処理を行
い、この熱フィラメントCVD処理と水素プラズマ処理
とを交互に少なくとも2回以上繰り返す前記請求項1に
記載のダイヤモンド膜の製造方法である。
【0009】この発明においては、基本的には、(1)
負の電圧を印加した基板に熱フィラメントCVD処理を
する工程と(2)基板に正の電圧を印加しつつ電子衝撃
CVD法によりダイヤモンド膜を合成する工程とを有す
る。以下に各工程について説明する。
【0010】(1)負の電圧を印加した基板に熱フィラ
メントCVD処理をする工程 この発明の方法において使用される基板は、基板に負の
電圧を印加するのであるからこの基板が陰極になり得る
ような導電性材料である限り特に制限がない。また、こ
の基板は、室温において絶縁性であったとしても、処理
温度において導電性を有していれば良い。
【0011】具体的には、たとえば、シリコン、ゲルマ
ミウム、ガリウム、アルミニウム、銅、クロム、コバル
ト、アンチモン、タングステン、モリブデン、チタン、
金、白金、イリジウム、テルル、セレン、ホウ素等の単
体金属もしくは合金類を使用することができ、目的とす
るデバイス等の製品の構成等に応じて適宜に選択するこ
とができる。
【0012】たとえば、この発明の方法によって得られ
たダイヤモンド膜付き基板を半導体材料として使用する
場合には、基板材料として、シリコン、ゲルマニウム、
炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガリウム・ヒ素などを例示す
ることができる。また、この発明の方法によって得られ
たダイヤモンド膜付き基板を切削工具として使用するの
であれば、窒化ケイ素系セラミックス、アルミナ系セラ
ミックス、炭化タングステン系セラミックス、炭化ケイ
素系セラミックス、サーメット等を挙げることができ
る。
【0013】この工程では、熱フィラメントCVD処理
として、負の電圧を印加した基板に相対向して配置され
た加熱体に、炭素含有化合物を少なくとも含有する原料
ガスを接触させてこの原料ガスを励起し、この励起ガス
を基板に接触させる工程を挙げることができる。
【0014】ここで、負の電圧を印加した基板に相対向
して配置された加熱体としては、原料ガスを十分に熱分
解することのできる限り特に制限がないのであるが、次
の工程である電子衝撃CVD法を用いてダイヤモンド膜
を合成することを考慮すると、加熱体としては熱電子放
射体であることが望ましい。というのは、図1に示すよ
うに、基板1に相対向した熱電子放射体2と、この基板
1に正または負の電圧を印加する電源3と、前記原料ガ
スおよびダイヤモンド合成に必要な炭素源ガスを導入す
るガス導入手段4と、反応系を所定の減圧にすることの
できる減圧手段5とを備えたCVD装置を用いて、熱フ
ィラメントCVD処理とダイヤモンド合成処理とを連続
的に行うことができるようになり、工業的製造法として
極めて有利なプロセスになるからである。なお、図1に
おいて、SW1 は第一のスイッチであり、SW2 は第二
のスイッチであり、6で示すのは前記熱電子放射体2を
通電により加熱するための電源である。
【0015】この熱電子放射体としては、例えばタング
ステンフィラメント、トリウム含有タングステンフィラ
メント等を挙げることができる。この熱電子放射体の温
度としては、少なくとも励起状態の炭化水素を生成させ
るに必要な温度であれば良く、通常1,000℃以上、
好ましくは2,000℃以上であって2,800℃まで
の適宜の温度を挙げることができる。熱電子放射体の温
度をこのような温度にまで上昇させるために、通常、こ
の熱電子放射体に所定の電流が通電される。
【0016】前記原料ガスとしては、少なくとも炭素含
有化合物を単独で、あるいは炭素含有化合物と水素、窒
素、酸素および稀ガスからなる群から選択される少なく
とも一種のガスとを含む混合ガスであれば、一般的なダ
イヤモンド合成用ガスとして常用されるもの、あるいは
使用可能なものを使用することができる。
【0017】前記炭素含有化合物としては、各種炭化水
素類(具体的には、たとえば、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類、エチ
レン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン類、
ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン等のシクロアルカン類など多種多様
の炭化水素類)、含酸素炭化水素類(具体的には、たと
えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレ
ングリコール、ベンジルアルコール等のアルコ−ル類、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ア
セトフェノン等のケトン類、酢酸、プロピオン酸等のカ
ルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン等のエーテル類など多種多様の酸素含
有炭化水素類)、CO、CO2 など様々な炭素含有化合
物を挙げることができる。なお、これらの中でも、特に
好ましいものとして、たとえば、メタン、メタノール、
アセトン、COなどを例示することができる。なお、こ
れらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合する
などして併用してもよい。
【0018】前記炭素含有化合物と水素との混合ガスを
使用する場合、その混合ガスとしては、炭化水素類と水
素との混合ガス、特に炭素数が1〜4であるアルカン類
と水素との混合ガス、さらにはメタンと水素との混合ガ
スが好ましい。前記炭素含有化合物と水素との混合ガス
を使用する場合、混合ガス全体に対する炭素含有化合物
は0.05〜99容量%、好ましくは0.1〜80容量
%の割合になっているのが望ましい。混合ガス中の炭素
含有化合物の割合が前記範囲にあると、ダイヤモンド初
期核の発生密度を著しく増大させることができて好まし
い。
【0019】この熱フィラメントCVD処理を行うに際
しては、たとえば、基板を取り巻く環境内の圧力を10
-3〜103 Torrの範囲、好ましくは0.1〜760
Torr、基板温度を室温〜1,200℃の範囲、好ま
しくは室温〜1,100℃の範囲に選定することによっ
て好適に行うことができる。特に、基板を前記温度範囲
に加熱することにより、励起ガスが基板に接触するとき
に黒鉛の生成を抑制し、最終的には不純物のないダイヤ
モンド膜を形成することができるようになる。
【0020】前記基板に印加する負の電圧としては、た
とえば、直流電圧が−500〜−5Vの範囲、好ましく
は−400〜−20Vの範囲になるようにする。この発
明の方法においては、前記熱フィラメントCVD処理を
行ってから、次に電子衝撃CVD法を利用して基板表面
にダイヤモンド膜を合成しても良いのであるが、前記熱
フィラメントCVD処理の後に水素プラズマ処理を行
い、この熱フィラメントCVD処理と水素プラズマ処理
とを交互に少なくとも1回、好ましくは2回以上繰り返
してから、電子衝撃CVD法を利用してダイヤモンド膜
を合成するのが好ましい。
【0021】このように水素プラズマ処理とを組み合わ
せるときには、熱フィラメントCVD処理をする時間
は、1回当たり、通常1秒〜30分である。一方、水素
プラズマ処理に使用される水素ガスとしては特に限定は
ないのであるが、通常、高純度に精製した水素ガスが使
用される。又、前述した熱フィラメントCVD処理にお
いて水素ガスが使用されるときには、その水素ガスを引
き続き使用することもできる。
【0022】水素ガスをプラズマ化する前記水素プラズ
マ処理の手法としては、特に制限はなく、一般的なダイ
ヤモンドあるいはダイヤモンド膜の気相合成法に利用さ
れるプラズマ化法など各種の方法によるプラズマ処理法
が適用可能である。具体的には、たとえば、マイクロ波
プラズマ法、高周波プラズマ法、熱フィラメント法、E
CR法等、あるいこれらの組み合わせ法などを挙げるこ
とができる。これらの中でも、特に、マイクロ波プラズ
マ法によるプラズマ処理法等が好適に採用される。この
水素プラズマ処理の反応条件としては、前記熱フィラメ
ントCVD処理における条件とほぼ同様である。水素プ
ラズマ処理をする時間は、一回の処理当たり、通常1秒
〜30分である。
【0023】この発明の方法においては、前述した熱フ
ィラメントCVD処理と水素プラズマ処理とを交互に繰
り返す好適な態様として、例えば、処理系に水素ガスを
継続して流通させておき、炭素含有化合物のガス、ある
いは炭素含有化合物と水素などの混合ガスを一定流量で
処理系に一定時間毎に断続して流通させると共に炭素含
有化合物のガスあるいは炭素含有化合物と水素などの混
合ガスを流通させるのに同期して処理系内の基板に負バ
イアスを印加することを挙げることができる。この態様
においては、炭素含有化合物と水素との混合ガスを用い
る場合、混合ガス中の炭素含有化合物ガスの流通をON
/OFFし、基板に対する負バイアス電圧のON/OF
Fを制御するだけで良いので、操作が簡便である。
【0024】以上のようにして、基板に熱フィラメント
CVD処理、あるいは熱フィラメントCVD処理と水素
プラズマ処理とを施すことによって、基板にダイヤモン
ド初期核を高密度に効率よく生成させることができ、こ
れによって、ダイヤモンド膜の実質的な生成速度を著し
く向上させることができる。
【0025】(2)基板に正の電圧を印加しつつ電子衝
撃CVD法によりダイヤモンド膜を合成する工程 この発明では、基材表面につき上記した熱フィラメント
CVD処理、あるいは熱フィラメントCVD処理と水素
プラズマ処理とを交互に少なくとも1回繰り返してか
ら、正の電圧を印加した基材表面に電子衝撃CVD法に
より炭素源ガスを用いてダイヤモンドを形成する。
【0026】この発明の方法においては、基板に印加す
る正の電圧としては、通常5〜500Vの範囲、好まし
くは10〜500Vの範囲から適宜に選択される。この
発明の方法においては、図1にその原理を示すCVD装
置を使用するのであれば、前述した熱フィラメントCV
D処理の後に引き続いて、基板に印加する電圧を負から
正に切り替えることにより、図1に示す熱フィラメント
CVD装置から基板をあらためて取り出してダイヤモン
ド合成装置に基板を装填する必要がなく、電子衝撃CV
D法によって、ダイヤモンド膜を形成することができる
ので、極めて便利である。
【0027】この発明の方法における電子衝撃CVD法
は、通常の電子衝撃CVD法を適用することができる。
具体的には、例えば、図1に示すCVD装置において、
基板に正の電圧を印加し、この基板と熱電子放射体との
間に炭素源ガスを導入し、熱電子放射体を加熱すること
により発生する電子と前記炭素源ガスとの相互作用によ
りこの炭素源ガスを効率良く活性化してプラズマ状態に
し、このプラズマ状態の炭素源ガスを基板に接触させる
ことにより基板上にダイヤモンド膜を形成することがで
きる。
【0028】この場合、正の電圧を印加した基板と熱電
子放射体との間における電子電流密度は通常、0.5〜
100mA/cm2 である。このような電子電流密度の
範囲で熱電子を基板表面に衝撃させると、熱電子により
励起されプラズマ状態になった炭素源ガスが基板に接触
するのと相俟って、ダイヤモンド初期核の発生密度を高
めることができ、密着性の高いダイヤモンド膜を高速で
形成することができる。
【0029】上記炭素源ガスとしては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン、アレン等のジオレフィン系炭化水
素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳
香族炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコ
ール類;このほかの含酸素炭化水素;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類;このほかの含窒素
炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭素、過酸化炭素;さら
に、単体ではないが、ガソリン等の消防法危険物第4
類、第1類、ケロシン、テレピン油、しょうのう油等の
第2石油類、重油等の第3石油類、ギヤー油、シリンダ
ー油等の第4石油類も使用することができる。また前記
各種の化合物を混合して使用することもできる。
【0030】これらの中でも、好ましいのはメタン、エ
タン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタノー
ル、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベンゾフ
ェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に
メタンおよび一酸化炭素が好ましい。
【0031】なお、これらは一種単独で用いても良く、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。また、こ
れらは水素等の活性ガスやヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、キセノン、窒素等の不活性ガスと混合して用いても
良い。
【0032】ダイヤモンドの薄膜の形成条件としては、
特に制限はなく、前記の気相合成法に通常用いられる反
応条件を適用することができる。例えば、反応圧力とし
ては、通常、10-6〜103 Torrが好ましく、特に
1〜800Torrの範囲内であるのが好ましい。
【0033】反応圧力が10-6Torrよりも低い場合
には、ダイヤモンドの薄膜の形成速度が遅くなることが
ある。また、103 Torrより高い場合には、103
Torrの時に得られる効果に比べて、それ以上の効果
がない。前記基材の表面温度としては、前記炭素源ガス
の活性化手段等により異なるので、一概に規定すること
はできないが、通常、室温〜1,200℃、好ましく
は、450〜1,100℃の範囲内にするのがよい。
【0034】この温度が室温よりも低い場合には、結晶
性のダイヤモンド薄膜の形成が不十分になることがあ
る。また、温度が1,200℃を超える場合において
は、形成されたダイヤモンドのエッチングが優先し、ダ
イヤモンドが生成しないこともある。反応時間として
は、特に限定はなく、ダイヤモンドの薄膜が所望の厚み
となるように、ダイヤモンドの薄膜の形成速度に応じて
適宜に設定するのが好ましい。
【0035】形成させる前記ダイヤモンド膜の膜厚は、
使用目的等に応じて適宜適当な膜厚にすればよく、この
意味で特に制限はないが、通常は、0.2〜100μm
の範囲に選定するのがよい。この膜厚が、あまり薄すぎ
ると、ダイヤモンド膜による被覆効果が十分に得られな
いことがあり、一方、あまり厚すぎると、使用条件によ
っては、ダイヤモンド膜の剥離等の離脱が生じることが
ある。以上のようにしてダイヤモンドを形成することに
よって、基材とダイヤモンドとの密着性を著しく向上さ
せることができ、高性能のダイヤモンド被覆部材を得る
ことができる。
【0036】また、この発明の方法によると、各種の基
板上に高純度のダイヤモンド(すなわち、高品質のダイ
ヤモンド膜)を効率よく形成させることができる。ま
た、この方法によると、品質のばらつきもなく、品質の
一定した高品質のダイヤモンドもしくはダイヤモンド被
覆部材等のダイヤモンド利用製品が得られる。さらに、
この方法は、ダイヤモンドもしくはその製品の量産化が
極めて容易であるなどの利点も有しており、ダイヤモン
ドおよび各種のダイヤモンド利用製品の製造として、工
業的に著しく有利な方法である。
【0037】
【実施例】以下、この発明の実施例およびその比較例に
よってこの発明をより具体的に説明するが、この発明は
これらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)図1に示すように、基板1に相対向した熱
電子放射体2と、この基板1に正または負の電圧を印加
する電源3と、前記原料ガスおよびダイヤモンド合成に
必要な炭素源ガスを導入するガス導入手段4と、反応系
を所定の減圧にすることのできる減圧手段5とを、基本
的に備えたCVD装置を使用した。この実施例の場合、
熱電子放射体2は0.5mmφのタングステンフィラメ
ントであり、減圧手段5としては、ターボ分子ポンプと
ロータリーポンプとで構成されている。
【0038】基板としての鏡面研磨されたシリコンウエ
ハを前記CVD装置内に装填し、初めは10-6Torr
以下に真空排気した。CVD装置内に、原料ガスとし
て、メタンガス20SCCMと、水素ガス50SCCM
とを導入し、20Torrにした。次いで、この熱フィ
ラメントCVD処理を2分間かけて行った。
【0039】その後に、前記のCVD装置から基板を取
り出さずに、基板に印加する電圧を+100Vに変更
し、メタンガスの流量を1SCCMに、また水素ガスの
流量を90SCCMに変更し、電子衝撃CVD処理を2
時間かけて行うことにより基板の表面にダイヤモンド膜
を形成した。なお、この電子衝撃CVD処理において
は、タングステンフィラメントから基板に流れる電子電
流密度は10mA/cm2であった。
【0040】上記のようにしてダイヤモンドの合成を行
った結果、基板上に約1.9μmのダイヤモンド膜が形
成されていることをラマンスペクトル測定およびSEM
による観察等によって確認した。すなわち、SEMによ
る観察によってダイヤモンドである自形の明確な微結晶
の緻密な集合体が認められ、明確なダイヤモンド膜が形
成されていることを確認した。一方、ラマンスペクトル
測定により、電界処理を行った部分に成長した結晶部位
の測定を行ったところ1,333cm-1のピークが観察
され該結晶がダイヤモンドであることを確認することが
できた。
【0041】(比較例1)前記実施例1において、基板
に負の電圧を印加して行う熱フィラメントCVD処理を
行わなかった外は、前記実施例1と同様に実施した。そ
の結果、基板には、ほとんど何も形成されなかった。S
EMによる観察ではところどころにダイヤモンドと考え
られる粒子が点在するだけであった。
【0042】(実施例2)前記実施例1において、熱フ
ィラメント処理を行った後に、メタンガスの供給を停止
し水素を100SCCMの流量で供給することにより水
素プラズマ処理を3分間行い、その後に電子衝撃CVD
処理を実施することの外は前記実施例1と同様に実施し
た。
【0043】上記のようにしてダイヤモンドの合成を行
った結果、基板上に約1.7μmのダイヤモンド膜が形
成されていることをラマンスペクトル測定およびSEM
による観察等によって確認した。すなわち、SEMによ
る観察によって、ダイヤモンドである自形の明確な、前
記実施例1におけるよりも結晶性の良好なダイヤモンド
膜が形成されていることを確認した。一方、ラマンスペ
クトル測定により、電界処理を行った部分に成長した結
晶部位の測定を行ったところ1,333cm-1のピーク
が観察され該結晶がダイヤモンドであることを確認する
ことができた。
【0044】
【発明の効果】この発明によると、同一のCVD装置を
使用して、ダイヤモンド初期核を形成させる前処理工程
とダイヤモンドを合成する工程とを連続して実行するこ
とができ、高密度のダイヤモンド初期核を形成すること
ができ、不純物のない高純度のダイヤモンド膜を密着性
良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の方法を実施する一例としての
CVD装置を示す概略説明図である。
【符号の簡単な説明】
1 基板 2 熱電子放射体 3 電源 4 ガス導入手段 5 減圧手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負の電圧を印加した基板に熱フィラメン
    トCVD処理をし、次いで、基板に正の電圧を印加しつ
    つ電子衝撃CVD法を用いて基板表面にダイヤモンド膜
    を形成することを特徴とするダイヤモンド膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記熱フィラメントCVD処理の後に水
    素プラズマ処理を行い、この熱フィラメントCVD処理
    と水素プラズマ処理とを交互に少なくとも2回以上繰り
    返す前記請求項1に記載のダイヤモンド膜の製造方法。
JP7143592A 1992-03-27 1992-03-27 ダイヤモンド膜の製造方法 Withdrawn JPH05270982A (ja)

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