JPH05209276A - ダイヤモンド被覆部材の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド被覆部材の製造方法

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JPH05209276A
JPH05209276A JP4163126A JP16312692A JPH05209276A JP H05209276 A JPH05209276 A JP H05209276A JP 4163126 A JP4163126 A JP 4163126A JP 16312692 A JP16312692 A JP 16312692A JP H05209276 A JPH05209276 A JP H05209276A
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JP
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silicon nitride
diamond thin
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Application number
JP4163126A
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English (en)
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Atsuhiko Masuda
敦彦 増田
Hiromi Mizuno
博美 水野
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材とダイヤモンド被膜との密着性の大きな
ダイイヤモンド被覆部材を提供すること。 【構成】 窒化ケイ素等の特定の窒化ケイ素系化合物、
炭化タングステン等の特定の金属化合物およびイットリ
ア等の焼結助剤を含有する基材を、あらかじめ5〜3,
000気圧の加圧窒素雰囲気中で、1,400〜1,8
00℃の温度で加熱処理し、次いで加熱処理した基材表
面にダイヤモンド類薄膜を形成することを主たる特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンド被覆部材の
製造方法に関し、さらに詳しく言うと、基材とこれを被
覆するダイヤモンド類膜との密着性に優れ、優れた耐久
性を発揮し、使用寿命が著しく改善されたダイヤモンド
被覆部材を製造する方法に関する。
【0002】本発明の方法によって製造されたダイヤモ
ンド被覆部材は、特に、切削工具、研磨工具等の超硬工
具部材(たとえば、バイト、ダイス、線引きダイス、カ
ッター、エンドミル、タップ、ゲージ、ドリル、掘削機
械、ボンディングツールのヘッド等)、耐摩耗性部材を
はじめ、ダイヤモンド膜の高い硬度や耐摩耗性等の特性
を生かした種々の製品もしくはその部材として好適に利
用することができる。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、切
削工具、研磨工具、ダイスなど高い硬度や耐摩耗性の要
求される工具類や耐摩耗部材には超硬合金、サーメッ
ト、セラミックス、焼結ダイヤモンド、単結晶ダイヤモ
ンドなどが用いられている。これらの中で、ダイヤモン
ドは、硬度、耐摩耗性などに著しく優れていることから
特に好まれている。
【0004】こうしたダイヤモンド工具には、従来、超
硬合金や高硬度の金属等からなる基材の表面に燒結ダイ
ヤモンドや単結晶ダイヤモンドをろう付け等により装着
したものが用いられてきた。しかし、この種のダイヤモ
ンド工具の場合、ダイヤモンド自体が高価であり、ま
た、ダイヤモンドの基材への装着など面倒な製造工程が
必要であることなどから、量産性が悪く、工業的ではな
いという問題がある。このほか、ダイヤモンドが基材か
ら脱落しやすいので耐久性が悪く、さらには、ダイヤモ
ンド面の面積を大きくすることは事実上の制限があるな
どの理由によって、その応用範囲が狭く限定されるなど
種々の欠点があった。
【0005】このような状況の中で、近年に至って、C
VD法やPVD法などの気相法ダイヤモンド合成技術を
用いて、超硬合金や高硬度の金属やセラミック等からな
る基材の表面にダイヤモンド類膜を析出形成させること
によって、各種のダイヤモンド被覆部材を製造する技術
が注目されてきた。この気相合成法によるダイヤモンド
被覆部材の場合、製造コストの低減および量産化が容易
であり、また、広い面積の基材面をダイヤモンド膜で均
一に被覆することができるので、切削工具、研磨工具等
の超硬工具のみならず各種の耐摩耗性部材、さらにはダ
イヤモンド半導体デバイス等の電子・電気機器分野にお
ける各種の素材などとして広範囲の用途が期待される。
【0006】このような種々の利点を現実のものとする
べく、ダイヤモンド被覆部材について、極めて多様な技
術が提案されてきた。
【0007】ところが、この種のダイヤモンド被覆部材
において、一般に、超硬合金等の基材とダイヤモンド類
薄膜との密着性が悪いという基本的な問題があり、この
ため、特に切削工具、研磨工具等の超硬工具類や耐摩耗
性部材として用いたときにダイヤモンド被膜が剥離した
り、あるいはダイヤモンド被膜の損傷を起こしやすく、
実用に際して十分な性能および耐久性が得られず、使用
寿命が短いという重大な問題が生じている。
【0008】そこで、従来の多くの技術においては、こ
の密着性の向上を図ることを主要な課題とし、たとえ
ば、基材の材質や組成の検討、基材とダイヤモンド類薄
膜との間に適当な中間層を設けるなど種々の工夫が行わ
れてきた。
【0009】それにもかかわらず、これら従来の技術に
よるダイヤモンド被覆部材のうちの多くのものは、密着
性の改善が不十分であり実用レベルに達していない。ま
た、最近、一部のものが工具や耐摩耗部材として市販さ
れるようになったが、これらの市販品においても、基材
とダイヤモンド類薄膜との密着性は、なお十分とは言い
難く、使用寿命が短いと言う問題点がある。
【0010】すなわち、ダイヤモンド被覆部材は、すで
に実用化の段階に入ってはいるものの、さらに長寿命化
を図るためにも、基材とダイヤモンド類薄膜との密着性
をさらに大きく向上させることが要望されているのであ
る。
【0011】このような要望に応えるべく、たとえば、
窒化ケイ素等の窒化ケイ素系セラミックスなどを基材と
して用い、これに気相合成法によりダイヤモンド類薄膜
を形成するに際して、その基材成分と炭素成分とからな
る中間層を形成することによって、基材とダイヤモンド
類薄膜との密着性を高めようとする技術が提案されてい
る(特開昭61−106494号公報など)。
【0012】しかしながら、中間層を用いる技術におい
ては、中間層は基材とダイヤモンド類薄膜の双方に対し
て密着性が高く、しかも、それ自体の強度も十分に高く
なければならないという厳しい要求を満たす必要がある
ので、その最適な材質の選定は極めて難しい。実際、上
記従来の方法で得たところの、中間層を備えたダイヤモ
ンド被覆部材は、実用に際しての耐久性や使用寿命が十
分とは言い難い。つまり、このような中間層を用いる場
合には、この場合に限らず一般的に、ダイヤモンド被覆
部材の機械的強度が密着性の向上を目的として選定され
た比較的弱い中間層の強度によって決まってしまうこと
になり、結局は実用上十分な耐久性や使用寿命が得られ
ないのである。
【0013】一方、基材とダイヤモンド類薄膜の密着性
の悪さがそれらの熱膨張係数の違いにあること、窒化ケ
イ素等のセラミックスがその組成や燒結条件等によって
熱膨張係数が変化しやすいことなどに注目して、熱膨張
係数を制御したセラミックス系の基材にダイヤモンド類
薄膜を形成する技術も提案されている(特開昭61−1
09628号公報など)。しかしながら、この場合、熱
膨張係数の制御に重点をおく必要があるため、基材の材
質や組成が極めて狭い範囲に限定されてしまい、たとえ
密着性を向上させることができたとしても、基材自体の
硬度と耐破壊靭性等の特性をも十分に満足させることが
困難であるという問題点がある。実際、この従来の方法
で得たダイヤモンド被覆部材は、ダイヤモンド工具や耐
摩耗性部材としての十分な耐久性や使用寿命が得られて
いない。
【0014】本発明は、前記事情を改善するためになさ
れたものである。本発明の目的は、十分に高い硬度およ
び耐破壊靭性を有するなど諸特性に優れた基材を用いた
上で、その基材とダイヤモンド類薄膜との密着性を十分
に改善し、切削工具等の超硬工具や耐摩耗性部材等とし
て使用した際にも十分な実用性能および耐久性を発揮し
て大幅な長寿命化を達成することができる、実用上著し
く優れたダイヤモンド被覆部材を製造する方法を提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基材として特定の窒
化ケイ素系化合物と特定の金属化合物とを用いて得られ
るところの、硬度、耐破壊靭性等の諸特性に優れた窒化
ケイ素系セラミックスを基材として用い、これに特定の
窒素圧範囲にある加圧窒素雰囲気中で特定の温度域にお
いて加熱処理を施した後に、該加熱処理した基材の面上
に気相法によりダイヤモンド類薄膜を形成することによ
って、基材とダイヤモンド類薄膜との密着性に著しく優
れ、上記のように基材自体の特性にも優れ、前記目的を
十分に満足する実用上著しく優れたダイヤモンド被覆部
材を製造することに成功した。すなわち、本発明の方法
によって得たダイヤモンド被覆部材を切削工具等の各種
の超硬工具や耐摩耗性部材等として使用に供したとこ
ろ、優れた実用性能および耐久性を発揮し、使用寿命が
大幅に改善されることを見出した。
【0016】本発明者らは、主としてこれらの知見に基
づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、窒化ケイ素、α−サイアロンおよびβ−サイアロン
よりなる群から選択される少なくとも一種と金属炭化
物、金属窒化物、金属炭窒化物および金属ホウ化物より
なる群から選択される少なくとも一種と焼結助剤とを含
有する基材を、予め5〜3,000気圧の加圧窒素雰囲
気中において、1,400〜1,800℃の温度で加熱
処理し、次いで、該加熱処理した基材の表面にダイヤモ
ンド類薄膜を形成することを特徴とするダイヤモンド被
覆部材の製造方法である。
【0017】本発明の方法においては、窒化ケイ素、α
−サイアロンおよびβ−サイアロン(以下においてこれ
らを窒化ケイ素系化合物と称することがある。)よりな
る群から選択される少なくとも一種と特定の金属化合物
を含有する各種の窒化ケイ素系化合物含有セラミックス
に対して、上記の特定の温度および窒素圧の条件で加熱
処理を施すことによって、該基材の表面性状を変化さ
せ、これによって基材とダイヤモンド類薄膜との密着性
を大幅に改善させる。本発明の方法における前記加圧窒
素雰囲気中での加熱処理により密着性を大きく改善する
ことのできる理由は必ずしも明確ではないが、この発明
者らは、以下のように考察している。
【0018】すなわち、前記窒化ケイ素および特定の金
属化合物を含有する基材に、前記特定の加圧窒素雰囲気
中での加熱処理を行うと、該基材の面においてSi3
4 と見られる窒化ケイ素の微結晶粒子が成長することが
観察される。この加熱処理により基材成分から成長した
窒化ケイ素の微結晶粒子は、基材の面に微視的レベルで
十分なラフネス(粗さ)を与え、これによってダイヤモ
ンド類薄膜に対する高いアンカー効果が発揮され、結果
として、基材とダイヤモンド類薄膜との高い密着性が実
現されるものと考えられる。前記基材がサイアロンを含
有する場合においても、前記特定の加圧窒素雰囲気中で
の加熱処理を行うと、サイアロンの微結晶粒子が基板上
に成長し、基材の表面に微視的レベルでの十分なラフネ
スが与えられ、これによってダイヤモンド類薄膜に対す
る高いアンカー効果が発揮される。その結果、窒化ケイ
素およびサイアロンのいずれにおいても、これらを含有
する基材は、ダイヤモンド類薄膜を高度に密着させる。
【0019】以下、本発明の方法について詳細に説明す
る。本発明において使用する基材は、窒化ケイ素、α−
サイアロンおよびβ−サイアロンよりなる群から選択さ
れる少なくとも一種を含有する。
【0020】前記窒化ケイ素は各種の形態もしくは各種
の組成のものであってもよいが、通常、形式的にSi3
4 で表されるものが好適に使用される。
【0021】前記β−サイアロンとしては、Si−Al
−O−N系の化合物群のうち、Si、Nに対してAl、
Oが置換型固溶したものを挙げることができ、α−サイ
アロンとしてはSi−Al−O−N系の化合物群のう
ち、前記置換型固溶および結晶格子間に種々の金属原子
が侵入固溶したものを挙げることができる。
【0022】前記窒化ケイ素、α−サイアロンおよびβ
−サイアロンはそのいずれか一種単独を用いることもで
きるし、またこれらの二種以上を併用することもでき
る。
【0023】前記窒化ケイ素、α−サイアロンおよびβ
−サイアロンのいずれか一種および二種以上を用いるに
しても、これら窒化ケイ素系化合物の基材中の含有割合
は、通常5〜95容量%、好ましくは9〜90容量%で
ある。
【0024】窒化ケイ素の含有割合が5容量%未満であ
ると、基材自体の靭性が不十分となったり、また、上記
の特定の条件で加熱処理を行ったとしてもダイヤモンド
類薄膜との密着性の改善のための所望の加熱処理効果が
十分に発揮できず、本発明の目的を十分に達成すること
ができない。なお、窒化ケイ素の割合が5容量%未満の
基材では、窒化ケイ素成分の濃度が低すぎるので、Si
34 微結晶粒子の成長が十分に起こらず、ダイヤモン
ド類薄膜の密着性を増進するためのアンカー効果の改善
が不十分になるものと理解することができる。
【0025】一方、窒化ケイ素の含有割合が95容量%
を超える基材を用いると、窒化ケイ素そのものの特性が
強くなり、他の適当な成分の添加による種々の好ましい
効果(たとえば、硬度の改善効果、熱膨張係数の制御な
ど)を十分に発揮させることが難しくなり、本発明の目
的を十分に達成することができないなお、前記基材にお
ける窒化ケイ素の含有割合の好ましい範囲は、上述のよ
うに一応例示したが、一般に、前記窒化ケイ素とともに
使用する他の成分の種類や組み合せ、基材に実際に施す
加熱処理条件等に応じて異なるので、他の成分等に応じ
て、基材における窒化ケイ素の含有割合の好ましい範囲
を、実験によって適宜に決定するのが良い。
【0026】基材が窒化ケイ素を含有せずにα−サイア
ロンまたはβ−サイアロンを含有するときには、このサ
イアロンの含有量は、窒化ケイ素の場合と同じく、5〜
95容量%である。そして、この含有量の範囲をはずれ
ると、前記窒化ケイ素の場合と同様になる。また、基材
が窒化ケイ素、α−サイアロンおよびβ−サイアロンか
ら選択されるいずれか二種以上であるときには、それら
の合計の含有割合が30〜95容量%である。
【0027】本発明の方法において使用する前記基材
は、前記特定の窒化ケイ素系化合物と共に、金属炭化
物、金属窒化物、金属炭窒化物および金属ホウ化物より
なる群から選択される金属化合物の少なくとも一種を含
有する。
【0028】ここで用いる金属化合物は、基材の硬度や
耐熱性、耐酸化性を保持するために必要な成分であり、
具体的には、金属炭化物としては炭化タングステン、炭
化チタン、炭化タンタル、炭化ハフニウムが挙げられ、
金属窒化物としては、窒化チタン、窒化タンタル、窒化
ハフニウムが、金属炭窒化物としては炭窒化タングステ
ン、炭窒化チタン、炭窒化タンタル、炭窒化ハフニウム
が挙げられ、さらに金属ホウ化物としては炭化硼素、硼
化チタンが好ましい化合物として挙げられる。
【0029】これら金属化合物の中でも、特に、形式的
にWCで表される炭化タングステン等が好ましく使用さ
れる。
【0030】金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物お
よび金属ホウ化物よりなる群から選択される金属化合物
の、基材中における含有割合は、通常5〜95容量%で
ある。
【0031】前記金属化合物の基材中における含有割合
が5容量%未満であると、金属炭化物等を加えることに
よって生じる硬度の改善効果が不十分になり、また95
容量%を越えると基材の靭性が低下し、工具等の刃先と
して使用する場合に基材の欠損を生じ易くなるという不
都合を生じることがある。
【0032】基材中に含まれる焼結助剤としては、イッ
トリア(Y23 )、イットリア−アルミナ、イットリ
ア−マグネシア、マグネシア、マグネシア−アルミナ等
を挙げることができる。これらの中でも好ましいのイッ
トリアである。
【0033】焼結助剤の基材中における含有割合は、通
常1〜10容量%である。この焼結助剤の含有割合が1
容量%未満であると焼結時に十分に緻密化しないという
不都合を生じ、また10容量%を越えると基材の高温強
度が低下するという不都合を生じることがある。
【0034】本発明においては、前記基材として、前記
窒化ケイ素と炭化タングステンとイットリアとからなる
基材が好ましく使用され、中でも、窒化ケイ素(Si3
4)と炭化タングステン(WC)とイットリアとの燒
結体が特に好適に使用される。
【0035】この窒化ケイ素と炭化タングステンとイッ
トリアとから得られる基材の場合においても、該窒化ケ
イ素の含有割合が上記の含有割合範囲にあることが好ま
しい。この場合、炭化タングステンの含有割合が95容
量%を超えると(すなわち、この場合、窒化ケイ素の割
合が5容量%未満となるので、前記したようにダイヤモ
ンド類薄膜の密着性の改善効果が不十分になるととも
に)、基材自体の靭性が低くなり(たとえば、靭性を表
すK1cが5.5MPacm1/2 未満となる。)、一方、
炭化タングステンの含有割合が5容量%未満では、基材
の硬度が不十分となることがある(たとえば、硬度を表
すHV が1,600Kgm-2未満となる。)。
【0036】いずれの成分からなる基材であっても、前
記基材は、市販品等の既成品を用いてもよいし、独自に
調製して用いてもよい。本発明に使用する前記基材は、
公知の方法等の各種の方法を用いて製造することができ
る。たとえば、通常、微粒子状のSi34 等の窒化ケ
イ素系化合物と微粒子の炭化タングステン等の金属化合
物と燒結助剤とを十分に混合して、これを、窒素ガス雰
囲気中で1,600〜1,800℃の範囲の温度で例え
ばホットプレスを用いて燒結して所定の組成の窒化ケイ
素系化合物含有セラミックスとすることによって好適に
得ることができる。
【0037】本発明の方法においては、前記窒化ケイ素
系化合物含有セラミックスを成形している基材にダイヤ
モンド類薄膜を被覆形成する前に、該基材を前記特定の
条件すなわち5〜3,000気圧の加圧窒素雰囲気中に
おいて、1,400〜1,800℃の温度で加熱処理す
る。
【0038】その際、加熱処理に供する基材は、各種の
形状およびサイズを有していても良い。また、加熱処理
に供する基材を、その全面または所定の部分面に対し
て、予め、常法に従って適宜に物理的あるいは化学的手
段による表面処理を行ってよい。たとえば、通常行われ
るような研削加工によって、基材面に予め適当なラフネ
スを与えておく方法などが好適に採用される。
【0039】なお、前記加熱処理における圧力は、窒素
(N2 )圧が5〜3,000気圧(絶対圧、atm)の
範囲にあればよいという意味である。したがって、雰囲
気選定ガスとして窒素と他のガスとの混合ガスを使用す
る場合には、その全圧は、その他のガスの分圧の合計を
Pとすると、(5+P)〜(3000+P)気圧の範囲
に選定されることになる。もっとも、前記加熱処理は、
通常、純粋な窒素ガス雰囲気で好適に行うことができ
る。
【0040】上記の温度範囲等の高温下での基材の加熱
処理を、上記の所定の加圧雰囲気中で行わずに低い圧力
下で実施すると、基材中の例えば窒化ケイ素が分解した
りして不都合な反応を起こすことがある。また、前記基
材の加熱処理を、もし窒素ガス以外の雰囲気中で、ある
いは窒素ガス圧が5気圧未満の条件でのみ行った場合、
たとえその温度が上記の範囲にあったとしても、窒素圧
が低すぎるので基材とダイヤモンド類薄膜との密着性の
向上は不十分となり、また、場合によっては、例えば窒
化ケイ素などと炭化タングステンなどとが反応して基材
に反りが生じることがある。前記加熱処理における窒素
圧は、一般に、高い方が好ましいが、3,000気圧を
超えて窒素圧を増大しても、ダイヤモンド類薄膜との密
着性のさらなる向上効果はほとんど見られず、かえっ
て、余分な圧力の増加に伴う製造コストの増加の点で不
利となる。なお、好ましい窒素圧の範囲は、通常、10
〜2,000気圧である。
【0041】前記基材を1,400℃未満の低い温度域
のみで行った場合には、たとえ窒素圧が上記の範囲にあ
ったとしても、Si34 微結晶粒子の成長等の基材の
性状の改善が不十分となり、基材とダイヤモンド類薄膜
との十分な密着性の向上効果が得られず、一方、1,8
00℃を超える高い温度で加熱処理を行うと、窒化ケイ
素成分が他の成分(たとえば、WC)と過剰に反応して
しまい、窒化ケイ素系化合物含有セラミックス製の基材
としての好ましい特性が損なわれたり、基材の変形が生
じるなどの支障が生じやすいし、また、エネルギーコス
トが大きくなる。
【0042】前記加熱処理は、その保持時間をとらなく
ても良いし、4時間以内の保持時間をとっても良いが、
好ましくは保持時間を1〜2時間程度とするのがよい。
以上のように、前記基材に前記特定の条件での加熱処理
を施すことによって、基材面に前記したように窒化ケイ
素あるいはサイアロンの微結晶粒子を成長させることが
できる。その際、成長した窒化ケイ素あるいはサイアロ
ンの微結晶粒子は、通常、針状結晶であり、そのサイズ
は、通常、平均有効直径が0.2〜3μm程度で有り、
平均長さが2〜10μm程度である。このような窒化ケ
イ素等を微結晶粒子に成長させることにより、基材の表
面粗さを微視的レベルで均一に大きく増加させることが
できる。一例を挙げれば、基材のRmax (表面粗さの尺
度)を該加熱処理によって、たとえば、0.8μmから
2.4μmへと大きく増加させることができる。なお、
この加熱処理による基材の変性効果として、上記以外の
他の好ましい効果も考えられるが、いずれにしても該加
熱処理を施した基材は、この加熱処理を施していない従
来型の基材と比較的して、ダイヤモンド類薄膜に対する
アンカー効果が著しく増大しており、ダイヤモンド類薄
膜との密着性を著しく向上させることができる優れた性
状を有している。
【0043】本発明の方法においては、前記加熱処理を
施した基材の所望の面上にダイヤモンド類薄膜を形成さ
せる。このダイヤモンド類薄膜の形成は、CVD法やP
VD法、あるいはこれらを組み合せた方法等による気相
法によるダイヤモンド類薄膜の合成手法によって好適に
行うことができる。
【0044】本発明の方法において、前記加熱処理を施
した基材の面上に形成せしめるダイヤモンド類薄膜の厚
みは、ダイヤモンド被覆部材の使用目的等によって異な
るので一律に定めることができないが、通常、2μm以
上、好ましくは、10μm以上、さらに好ましくは、2
0〜1,000μmにするのが適当である。このダイヤ
モンド類薄膜があまり薄いと、基材の表面を充分に被覆
することができないことがあり、一方、この厚みがあま
り大きいと、ダイヤモンド類薄膜が、内部に蓄積される
応力などの歪により剥離することがある。
【0045】なお、本発明においては、単にダイヤモン
ド類と言うとき、それはダイヤモンドの他に、ダイヤモ
ンド状炭素を一部において含有するダイヤモンドおよび
ダイヤモンド状炭素を含むものである。気相合成法によ
るダイヤモンド類薄膜の形成方法としては、従来から各
種の方法が知られている。
【0046】本発明の方法においては、これらの公知の
方法など各種の気相合成法によるダイヤモンド類薄膜の
形成方法が適用可能であるが、通常は、以下に示す方法
が好適に使用することができる。すなわち、次に示す方
法によって、前記加熱処理を施した基材上に所望のダイ
ヤモンド類薄膜を好適に形成することができる。
【0047】前記ダイヤモンド類薄膜を形成する際に用
いる炭素源ガスとしては、通常用いられている各種のも
のを使用することができる。
【0048】この炭素源ガスとしては、たとえば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン、アレン等のジオレフィン系炭化水
素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳
香族炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコ
−ル類;このほかの含酸素炭化水素;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類;このほかの含窒素
炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭素、過酸化炭素を挙げる
ことができる。また前記各種の炭素化合物を混合して使
用することもできる。これらの中でも、好ましいのはメ
タン、エタン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エ
タノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベ
ンゾフェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であ
り、特に一酸化炭素が好ましい。
【0049】なお、これらは一種単独で用いてもよく、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。また、こ
れらは水素等の活性ガスやヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、キセノン、窒素等の不活性ガスと混合して用いても
よい。原料ガスがメタンガス(CH4 )を含有する場
合、メタンガスの含有量は5モル%未満であるのが好ま
しい。
【0050】また、好適な炭素源ガスとして一酸化炭素
を使用する場合、一酸化炭素と水素ガスとを組合わせる
のが好ましい。一酸化炭素と水素ガスとを組合わせた原
料ガスによると、ダイヤモンド類薄膜の成長速度が速い
(たとえば、同一条件では、メタンと水素ガスとを組合
わせた原料ガスの場合の2〜10倍のダイヤモンド薄膜
の成長速度が得られることがある。)。
【0051】前記一酸化炭素としては特に制限がなく、
たとえば石炭、コークス等と空気または水蒸気を熱時反
応させて得られる発生炉ガスや水性ガスを十分に精製し
たものを用いることができる。前記水素ガスとしては、
特に制限がなく、たとえば石油類のガス化、天然ガス、
水性ガス等の変成、水の電解、鉄と水蒸気との反応、石
炭の完全ガス化等により得られるものを十分に精製した
ものを用いることができる。
【0052】水素ガスと一酸化炭素との混合ガスを原料
ガスとして使用する場合、一酸化炭素ガスの含有量が、
通常1〜80モル%、好ましくは5〜60モル%、さら
に好ましくは10〜60モル%となる割合で原料ガスを
調製する。前記混合ガス中の一酸化炭素ガスの含有量が
1モル%よりも少ないと、ダイヤモンド類薄膜の成長速
度が十分に得られないことがあり、一方、一酸化炭素ガ
スの含有量が80モル%を越えると堆積するダイヤモン
ド類薄膜中のダイヤモンド成分の純度が低下することが
ある。
【0053】前記炭素源ガスもしくはこれを含有する原
料ガスは、活性化(励起)状態で、前記燒結体の所定の
表面に、通常、適当なキャリアーガスとともに流通させ
るなどして接触・反応せしめ、所望の性状のダイヤモン
ド類薄膜を形成させる。このキャリアーガスとしては、
通常、前記例示の不活性ガス、必要に応じて水素等の反
応性ガスあるいはこれらの混合ガスを使用することがで
きる。また、このキャリアーガスには、所望により、水
蒸気、酸素等の添加ガスを含有させることもできる。
【0054】本発明の方法において、前記ダイヤモンド
類薄膜の形成には、公知の方法、たとえば、CVD法、
PVD法、PCVD法、あるいはこれらを組み合わせた
方法など、各種のダイヤモンド類薄膜気相合成法を利用
することができる。これらの中でも、通常、EACVD
方式を含めた各種の熱フィラメント法、熱プラズマ法を
含めた各種の直流プラズマCVD法、熱プラズマ法を含
めた各種の高周波プラズマCVD法、ECR法を含めた
マイクロ波プラズマCVD法などが好適に使用すること
ができる。
【0055】ダイヤモンド類薄膜の形成のための反応条
件としては、特に制限はなく、前記のそれぞれの気相合
成法に通常用いられる反応条件を適用することができ
る。
【0056】たとえば、反応圧力は、通常、10-6〜1
3 Torr、好ましくは、10-1〜102 Torrの
範囲内にするのが適当である。この反応圧力が10-6
orrよりも低いと、ダイヤモンド類薄膜の形成速度が
遅くなることがある。一方、103 Torrより高くし
てもそれに相当する効果は奏されない。
【0057】反応温度(前記燒結体の表面温度)は、前
記原料ガスの活性化手段等により異なるので、一概に規
定することはできないが、通常、300〜1,200
℃、好ましくは、500〜1,100℃の範囲内にする
のが適当である。この温度が300℃よりも低いと、結
晶性のダイヤモンド類薄膜の形成が不充分となることが
あり、一方、1,200℃を超えると、形成されたダイ
ヤモンド類薄膜のエッチングが生じ易くなる。反応時間
はダイヤモンド類薄膜が所望の厚みとなるようにダイヤ
モンド類薄膜の形成速度に応じて適宜に設定するのが好
ましい。
【0058】以上のようにして本発明のダイヤモンド類
被覆部材を製造することができる。本発明の方法によっ
て製造されたダイヤモンド類被覆部材は、前記加熱処理
を施していない窒化ケイ素系セラミックス等の従来の各
種の基材上にダイヤモンド類薄膜を形成して得られる従
来のダイヤモンド類被覆部材と比べて、特にダイヤモン
ド類薄膜と基材である窒化ケイ素系化合物含有セラミッ
クスとの密着性が著しく優れており、また、基材自体も
強度、硬度、靭性等の特性に優れており、たとえば、切
削工具等の超硬工具や耐摩耗性部材など高い硬度や耐摩
耗性を要求される各種の工具類や耐摩耗性部材として実
用に供した際に、高い性能と優れた耐久性を発揮し、厳
しい条件で使用された際にも、その使用寿命を大幅に向
上させることができる。
【0059】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例によっ
て、より具体的に説明する、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、以下において、表面粗さの尺度
となるRmax の値は、触針式表面粗さ計によって測定し
たものである。
【0060】(実施例1)窒化ケイ素(Si34 )6
5容量%、炭化タングステン(WC)30容量%および
燒結助剤(Y23 )5容量%からなる混合原料を燒結
して得た窒化ケイ素系化合物含有セラミックス製素材を
研削加工して、SPGN−120308スローアウェー
チップ形状に加工したものを基材として用い、該基材を
窒素ガス雰囲気中、窒素圧2,000気圧、1,650
℃の条件で1時間加熱処理した。なお、基材の表面粗さ
(Rmax )は、この加熱処理によって0.8μmから
2.4μmに大きく増加した。また、電子顕微鏡写真か
ら、この加熱処理後の基材の表面に窒化ケイ素(Si3
4 )の針状晶の形成が認められた。
【0061】次に、この加熱処理を施した基材を支持台
上に載置して、ダイヤモンド合成反応器に装入し、該基
材の面上にダイヤモンド類薄膜を形成すべく、原料ガス
として一酸化炭素15容量%と水素ガス85容量%から
なる混合ガスを導入しつつ、40Torrの圧力、90
0℃の基材温度の条件下で、マイクロ波CVD法によっ
て、5時間かけてダイヤモンド合成反応を行い、所望の
ダイヤモンド被覆部材を製造した。
【0062】こうして得られたダイヤモンド被覆部材中
のダイヤモンド類薄膜の膜厚は20μmであった。次
に、このダイヤモンド被覆部材について、下記の条件で
切削試験を行った。 被切削材:Si(12容量%)、Al(87容量%)お
よびCu(1容量%)からなる合金 切削速度:800m/min 送り :0.1mm/rev. 切り込み:0.5mm。
【0063】この切削試験の結果、切削距離50,00
0mにおいても、ダイヤモンド類薄膜(被覆膜)の剥離
などの異常は認められなかった。すなわち、このダイヤ
モンド被覆部材は、基材とダイヤモンド類薄膜との密着
性に著しく優れており、強度、硬度、耐摩耗性等に対し
て厳しい条件が要求される切削工具としても、高い性能
および耐久性を発揮し、使用寿命が著しく長いことが確
認された。
【0064】(実施例2)実施例1における基材の加熱
処理時の窒素ガス圧を9.5気圧とした以外は、実施例
1と同様にしてダイヤモンド被覆部材を製造した。この
ダイヤモンド被覆部材について、実施例1と同様の切削
試験を行った。この切削試験の結果、切削距離50,0
00mにおいても、ダイヤモンド類薄膜(被覆膜)の剥
離などの異常は認められなかった。すなわち、このダイ
ヤモンド被覆部材は、基材とダイヤモンド類薄膜との密
着性に著しく優れており、強度、硬度、耐摩耗性等に対
して厳しい条件が要求される切削工具としても、高い性
能および耐久性を発揮し、使用寿命が著しく長いことが
確認された。
【0065】(実施例3)窒化ケイ素(Si34 )2
8容量%、炭化タングステン(WC)70容量%および
燒結助剤(Y23 )2容量%からなる混合原料をホッ
トプレスにより燒結して得た窒化ケイ素系化合物含有セ
ラミックス製素材を研削加工して、SPGN−1203
08スローアウェーチップ形状に加工したものを基材と
して用い、該基材を実施例1と同じ条件にて加熱処理し
た。なお、基材の表面粗さ(Rmax)は、この加熱処理
によって0.7μmから2.5μmに大きく増加した。
また、電子顕微鏡写真から、この加熱処理後の基材の表
面に窒化ケイ素(Si34)の針状晶の形成が認めら
れた。
【0066】この加熱処理後の基板の表面に、前記実施
例1と同様にしてダイヤモンド薄膜を形成してダイヤモ
ンド被覆部材を製造した。このダイヤモンド被覆部材に
つき前記実施例1と同じ切削試験を行った。その結果、
切削距離50,000mにおいても、ダイヤモンド類薄
膜(被覆膜)の剥離などの異常は認められなかった。
【0067】(実施例4)窒化ケイ素(Si34 )9
容量%、炭化タングステン(WC)90容量%および燒
結助剤(Y23 )1容量%からなる混合原料を用いた
ほかは前記実施例1と同様に実施してダイヤモンド被覆
部材を製造した。なお、加熱処理によって、基材の表面
粗さ(Rmax )は、0.7μmから2.5μmに大きく
増加した。また、電子顕微鏡写真から、この加熱処理後
の基材の表面に窒化ケイ素(Si3N4 )の針状晶の形成
が認められた。
【0068】このダイヤモンド被覆部材につき前記実施
例1と同様にして切削試験を行った。その結果、切削距
離50,000mにおいても、ダイヤモンド類薄膜(被
覆膜)の剥離などの異常は認められなかった。
【0069】(実施例5)窒化ケイ素(Si34 )8
5容量%、炭化タングステン(WC)10容量%および
燒結助剤(Y23 )5容量%からなる混合原料を用い
たほかは前記実施例1と同様に実施してダイヤモンド被
覆部材を製造した。なお、加熱処理によって、基材の表
面粗さ(Rmax )は、1.0μmから3.0μmに大き
く増加した。また、電子顕微鏡写真から、この加熱処理
後の基材の表面に窒化ケイ素(Si34 )の針状晶の
形成が認められた。
【0070】このダイヤモンド被覆部材につき前記実施
例1と同様にして切削試験を行った。その結果、切削距
離50,000mにおいても、ダイヤモンド類薄膜(被
覆膜)の剥離などの異常は認められなかった。
【0071】(比較例1)実施例3における基材の加熱
処理時の窒素ガス圧を1気圧(常圧)とした以外は、実
施例1と同様にして基材の加熱処理を行った。この加熱
処理によって、基材に反りが生じ、切削チップとして使
用できないものとなった。
【0072】(比較例2)実施例3で用いたものと同じ
素材からなる基材を用い、この基材を加圧窒素雰囲気中
での加熱処理を行うことなくそのまま基材として用い、
これに実施例3と同じ条件でダイヤモンド類薄膜を被覆
形成した。得られたダイヤモンド被覆部材について、実
施例1と同様の条件で切削試験を行ったところ、切削距
離が30,000mの時点でダイヤモンド類薄膜(被覆
膜)の一部に剥離が生じた。
【0073】
【発明の効果】本発明の方法では、特定の窒化ケイ素系
化合物、特定の金属化合物および焼結助剤を含有するセ
ラミックス性の基材を用い、これに特定の範囲にある温
度および窒素圧において加圧窒素雰囲気中で加熱処理を
施してから、該加熱処理を施した基材にダイヤモンド類
薄膜を被覆形成するという特定の方法によってダイヤモ
ンド被覆部材を製造するので、基材とダイヤモンド類薄
膜(被膜)との密着性に著しく優れ、かつ、基材自体の
機械的強度、硬度、耐破壊靭性等にも優れており、切削
工具等の超硬工具や耐摩耗性部材等として使用した際に
も十分な実用性能および耐久性を発揮して大幅な長寿命
化を達成することができる実用上著しく優れたダイヤモ
ンド被覆部材を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 29/04 Q 7821−4G

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素、α−サイアロンおよびβ−
    サイアロンよりなる群から選択される少なくとも一種と
    金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物および金属ホウ
    化物よりなる群から選択される少なくとも一種と焼結助
    剤とを含有する基材を、予め5〜3,000気圧の加圧
    窒素雰囲気中において、1,400〜1,800℃の温
    度で加熱処理し、次いで、該加熱処理した基材の表面に
    ダイヤモンド類薄膜を形成することを特徴とするダイヤ
    モンド被覆部材の製造方法。
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