JPH05271184A - ビタミンa酸の製造方法 - Google Patents

ビタミンa酸の製造方法

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JPH05271184A JP4101863A JP10186392A JPH05271184A JP H05271184 A JPH05271184 A JP H05271184A JP 4101863 A JP4101863 A JP 4101863A JP 10186392 A JP10186392 A JP 10186392A JP H05271184 A JPH05271184 A JP H05271184A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビタミンAアルデヒドを原料にして、安価に
かつ高収率でビタミンA酸を製造できるようにする。 【構成】 ビタミンAアルデヒドを燐酸などの酸性物質
の存在下、亜塩素酸アルカリ金属塩で酸化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビタミンAアルデヒド
からビタミンA酸を製造する方法に関する。ビタミンA
酸は、近年、例えばビタミンA欠乏に起因する様々な疾
病、障害を回復させる作用があることが知られており、
ビタミンA欠乏やそれに類似した症状に対してビタミン
A酸やその誘導体が治療薬になる可能性を示唆されるな
ど、その有用性が注目されている。
【0002】
【従来の技術】従来、ビタミンA酸を製造する方法は多
数知られている(例えば、The Retinoids
Volume 1、Michael B.S.、e
t.al.、Academic Press)。これら
の製造法のうち、最も短い工程で生産可能な製造法は、
現在工業的に大量生産されており、入手が容易なビタミ
ンAアセテートを出発原料とし、ビタミンAを経由して
製造できるビタミンAアルデヒドを酸化する方法であ
る。ビタミンAはビタミンAアセテートを通常のアルカ
リ条件下で加水分解反応することによって容易に得られ
る。また、ビタミンAからビタミンAアルデヒドを製造
する方法としては第三級アルデヒドを用いるOppen
auer酸化法が知られている(特開平3−20607
6号公報参照)。さらに、このビタミンAアルデヒドも
しくはその類似体をビタミンA酸構造へ変換する方法と
しては、二酸化マンガン、二酸化マンガンと青酸ナトリ
ウムとの組み合わせ、もしくは酸化銀などを用いて酸化
反応に付する方法が知られている(例えば、Kanek
o,R.、et.al.,、Chem.Ind.(Lo
ndon)1971,(36),1016、Baru
a,R.K.,、Curr.Sci.37,364(1
968))。しかしながら、これらのビタミンA酸の製
造法はマンガンや銀などの高価で有毒な重金属化合物を
大量に使用するため、工業的にはほとんど利用されてい
ないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして本発明の目的
は、工業的に大量生産されているビタミンAアセテート
から容易に誘導できるビタミンAアルデヒドを原料と
し、マンガンや銀などの高価で有毒な重金属化合物を使
用することなく、一工程で、安価にかつ高収率でビタミ
ンA酸を製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上述し
た課題は、ビタミンAアルデヒドを酸性物質の存在下、
亜塩素酸アルカリ金属塩で酸化することにより達成され
る。
【0005】本発明では酸化剤として亜塩素酸アルカリ
金属塩が使用される。アルカリ金属の種類としてはナト
リウム、カリウム、カルシウムなどが使用される。具体
的には、亜塩素酸アルカリ金属塩は、市販されている亜
塩素酸ナトリウムあるいは亜塩素酸カリウムなどの粉末
状のもの、あるいは水溶液状のものが使用できる。水溶
液状の亜塩素酸アルカリ金属塩はそのまま使用すること
もできるが、一般的にはこれらを水に溶解したのち、あ
るいは水で希釈したのち反応に使用される。亜塩素酸ア
ルカリ金属塩の水溶液濃度は、0.1重量%〜50重量
%の範囲で使用することができるが、15重量%〜30
重量%の濃度範囲での使用が望ましい。また、使用量は
ビタミンAアルデヒドに対して当モル量以上、好ましく
は当モル量〜1.8倍モル量の範囲で使用される。
【0006】本発明では亜塩素酸アルカリ金属塩の他に
酸性物質が使用される。酸性物質としては、塩酸、硫
酸、燐酸などの無機酸;リン酸二水素ナトリウム、リン
酸二水素カリウムなどのいわゆる酸性の無機塩;酢酸、
プロピオン酸などの有機酸が使用される。特に、本発明
においては燐酸の使用が好ましい。これらの酸はそのま
まあるいは水溶液の状態で使用される。使用する酸性物
質の量は亜塩素酸アルカリ金属塩に対して当量以上で使
用される。当量〜6当量の使用が実際的である。これら
の酸性物質はビタミンAアルデヒドと亜塩素酸アルカリ
金属塩の水溶液を含む反応液中に添加される。添加に伴
って反応熱が発生するので所定の反応温度を維持できる
ように徐々に滴下することが肝要である。
【0007】反応は、0℃から100℃の温度範囲で行
われる。原料のビタミンAアルデヒド及び生成物である
ビタミンA酸の安定性などを考慮すると、0℃から20
℃の温度範囲で反応を行うのが好ましい。
【0008】反応時間は採用する反応条件によっても変
化するが、通常、3時間以内で反応は完遂する。
【0009】また本発明では、上述した亜塩素酸アルカ
リ金属塩と酸性物質の他に炭素数が3以上、特に炭素数
3〜10程度の二重結合を一ケ以上持った低級不飽和化
合物の使用が推奨される。低級不飽和化合物の具体的な
例としては、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソ
ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブ
テン、イソプレン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、2,
6−ジメチル−2,6−オクタジエン、ミルセンなどが
挙げられる。これら低級不飽和化合物の使用量は特に限
定されることはないが、原料のビタミンAアルデヒドに
対して、0.1倍重量〜100倍重量の範囲で使用され
る。経済性などを考慮すると、3倍重量〜6倍重量の範
囲で使用するのが実際的である。特に、2−メチル−2
−ブテンは安価であり、沸点が取扱いの容易な温度領域
に属しているので、低級不飽和化合物として好ましく用
いられる。
【0010】なお、本発明では原料のビタミンAアルデ
ヒドを溶解させるために有機溶媒が使用される。有機溶
媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチル
エーテル、イソプロピルエーテルなどの環状もしくは鎖
状のエーテル;トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどの芳
香族もしくは脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホ
ルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;など
ビタミンAアルデヒドを溶解することができ、かつ反応
を阻害しない溶媒を使用することができる。なかでもジ
オキサンの使用が良い結果を与える。使用量はビタミン
Aアルデヒドに対して0.1倍容量以上、好ましくは
0.5〜5倍容量の範囲である。
【0011】原料のビタミンAアルデヒドおよび生成物
のビタミンA酸の安定性の面から、反応及び抽出作業な
どは必要以上に光に曝すことなく、また窒素、ヘリウム
あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うこと
が望ましい。
【0012】上記の方法で目的の酸化反応は実施される
が、反応の終点である原料のビタミンAアルデヒドの消
失は薄層クロマトグラフィーもしくは液体クロマトグラ
フィーで簡便に確認できる。
【0013】反応の後処理はトルエン、酢酸エチル、塩
化メチレンなどの抽出溶媒でビタミンA酸を抽出するこ
とによって行われる。抽出した有機層は水洗した後、減
圧下で溶媒を除去し、その残留物としてビタミンA酸を
単離することができる。また、ジオキサンなどを反応溶
媒とした場合には、反応後に析出したビタミンA酸をそ
のままろ過して取り出すことができる。このようにして
得られた粗なビタミンA酸は、水酸化カリウムなどのア
ルカリ条件下で溶解処理したのち、再度、硫酸などの酸
で酸析することによって不純物を除くことができる。さ
らにエタノール溶媒などで晶析すること、あるいはシリ
カゲルクロマトグラフィーで精製することによって高純
度なビタミンA酸を得ることができる。
【0014】なお、本発明の原料となるビタミンAアル
デヒドは、前記したようにビタミンAアセテートを加水
分解して得られるビタミンAと、トリルメチルアセトア
ルデヒドあるいは2,2−ジメチル−4−ペンテナール
などの第三級アルデヒドを触媒量のアルミニウムアルコ
キシドの存在下で反応させて製造することができる(特
開平3−206076号公報参照)。この方法によって
製造されたビタミンAアルデヒドは、特に精製すること
なく、もしくは必要により晶析などで精製したのち本発
明の原料として使用できる。
【0015】本発明によりビタミンAアルデヒドから容
易にビタミンA酸が製造できる。しかし、本発明の酸化
方法はビタミンAアルデヒドからのビタミンA酸の製造
だけでなく、ビタミンAアルデヒドのような共役二重結
合を持つポリエンアルデヒドから対応するポリエリン酸
を製造する際にも利用することができる。このポリエン
アルデヒドは反応に関与しない限り、種々の置換基が結
合していてもよい。
【0016】以下、実施例により本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例により限定されるものではな
い。
【0017】
【実施例】
実施例1 ビタミンA酸(全トランス体)の合成 窒素ガス雰囲気下、1リットルの三つ口フラスコにビタ
ミンAアルデヒド54.9g(69.1%純度、13
3.6mmol、全トランス体比率98.5%)、2−メチ
ル−2−ブテン250g、ジオキサン100ml及び25
%亜塩素酸ナトリウム水溶液53.2gを取り、激しく
機械撹拌した。次いでこの中に内温を5℃に保ちなが
ら、8.5%燐酸水溶液170gを1.5時間かけて滴
下した。滴下終了後、さらに5℃で40分間激しい撹拌
を続けた。原料のビタミンAアルデヒドの消失を薄層ク
ロマトグラフィーで確認後、析出した黄色の固形物をガ
ラスフィルターでろ過し、さらに数回水で洗浄した。次
ぎにこの黄色の固形物を500mlのフラスコに取り、さ
らに5%の水酸化カリウム水溶液200mlとエタノール
100mlを加えたのち、1.5時間加熱還流した。冷却
後、反応液を1リットルの分液ロートに移し、ヘキサン
200mlを加えてよく振った。下層部を分液し、10%
の硫酸水溶液で酸性とした。析出した黄色の沈殿をイソ
プロピルエーテル500mlで抽出し、下層が中性になる
まで水洗した。イソプロピルエーテルを減圧下に留去
し、黄色の残留物にエタノール400mlを加えて加熱し
た。完全に溶解したことを確認後、撹拌しながら内温0
℃まで徐々に冷却した。析出したビタミンA酸の結晶を
ガラスフィルターでろ過し、次いで冷エタノールで洗浄
した。この結晶を減圧下に乾燥し、純度99%以上のビ
タミンA酸22.3gを得た。反応収率55.9%。こ
のビタミンA酸の全トランス体比率は99.5%であっ
た。 実施例2 ビタミンA酸(13−シス体)の合成 窒素ガス雰囲気下、200mlの三つ口フラスコにビタミ
ンAアルデヒド8.86g(80.1%純度、25mmo
l、13−シス体比率92%)、2−メチル−2−ブテ
ン50g、ジオキサン20ml及び25%亜塩素酸ナトリ
ウム水溶液10gを取り、激しく機械撹拌した。次いで
この中に内温を5℃に保ちながら、8.5%燐酸水溶液
32gを15分かけて滴下し、さらに5℃で40分間激
しく撹拌を続けた。反応の確認及び後処理は実施例1と
同様な方法で行い、純度99%以上のビタミンA酸3.
46gを得た。反応収率46%。このビタミンA酸の1
3−シス体比率は95%であった。 参考例 ビタミンAアセテートからのビタミンAアルデ
ヒドの合成 窒素ガス雰囲気下、500mlの三つ口フラスコにメタノ
ール205g、ビタミンAアセテート50.2g(98
%純度、150mmol、全トランス体比率98.6%)お
よび50%水酸化ナトリウム水溶液24gを取り、室温
下で1時間機械撹拌した。内容物を1リットルの分液ロ
ートに移し、さらにヘキサン150ml及び水200gを
加えてよく振り、分液した。有機層を数回水洗したの
ち、ヘキサンを減圧下で留去させることにより、粗なビ
タミンA47.06gを得た。
【0018】次いでこのものを窒素ガス雰囲気下、20
0mlの三つ口フラスコに取り、さらにトリメチルアセト
アルデヒド26g(300mmol)を加えた。続いてこの
中にアルミニウムイソプロポキシド1.16gを加えて
45〜50℃で50分間機械撹拌した。水1mlを加えて
反応を停止したのち、さらにヘキサン100mlを加え
た。この反応終了混合物からヘキサン、トリメチルアセ
トアルデヒドなどの低沸点化合物を減圧条件下で留去さ
せることにより、純度69.1%のビタミンAアルデヒ
ド54.9gを得た。反応収率89.7%。このビタミ
ンAアルデヒドの全トランス体比率は98.5%であっ
た。
【0019】このビタミンAアルデヒドはそのまま実施
例1の原料として使用した。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、酸性物質の存在下、ビ
タミンAアルデヒドを亜塩素酸アルカリ金属塩で酸化す
ることにより、有用な生理活性作用を持つビタミンA酸
を容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 洋進 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビタミンAアルデヒドを酸性物質の存在
    下、亜塩素酸アルカリ金属塩で酸化することを特徴とす
    るビタミンA酸の製造方法。
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